NASCAR Cup Series
South Point 400
Las Vegas Motor Speedway 1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
NASCAR カップ シリーズはいよいよ残り4戦、プレイオフ最後の関門・ラウンド オブ 8となりました。まずは今年最後の1.5マイル オーバルのラスベガスです。来週が神に祈るしかないタラデガなので、プレイオフ選手8人はさっさとここで勝ってチャンピオンシップ4進出を決めるか、万一タラデガで事故ってもポイントでどうにかなる範囲には稼いでおきたいレースです。
プレイオフに残ったのはデニー ハムリン、ライアン ブレイニー、カイル ラーソン、ウイリアム バイロン、クリストファー ベル、チェイス エリオット、チェイス ブリスコー、ジョーイ ロガーノの8人。手持ちのプレイオフ ポイントにもあまり差が無く、開始時点で1位ハムリンと5位ベルの差はたった8点。7位のエリオット/ブリスコーまで18点差、8位のロガーノが唯一ちょっと離れて28点差。ラウンドオブ8開始時点で1位の選手が当落線から8点しか上にいないというのは史上最少差です。
1998年初開催、2017年まではずっと第3戦での年1回開催で、2018年以降は2回開催となってシーズン序盤とプレイオフのどこかしらで開催されてきました。プレイオフは全てラウンド初戦での開催で、2018年・2019年はラウンドオブ16初戦、2020年・2021年はラウンドオブ12の初戦、そして2022年からラウンドオブ8の初戦となっています、出世でしょうか。
第5戦で開催された春のラスベガスではジョッシュ ベリーが参戦53戦目で初優勝、ウッド ブラザーズ レーシングに歓喜をもたらしファンを熱狂させました。このレースでは合計32回のリード チェンジが発生する大混戦でした。高速トラックではクリーン エアーを得ることが重要で、短い間隔でコーションが発生するとピット戦略が分岐していきます。分岐した戦略が速い人と遅い人の混戦を呼び、その混戦がコーションを呼び、という連鎖になって一向に作戦のズレが解消しない時に思わぬ勝者が生まれることがありますね。
NASCAR国際映像のテロップだとどのドライバーが何周目にタイヤを換えたのか、その時何本換えたのか、というのがテロップでは分かりにくく、実況解説を聞いてたらある程度分かるんですがこれをAbemaで見ていると日本語コメンタリーは情報不足でよく分からなくなったりするので、自分でも注意しながら観戦するとより深く楽しめます。まあそういう展開にならずひたすら同じタイミングで4輪交換するだけ、という方が圧倒的に多いですけどね。
・ちょっとしたデータ
Gen7導入の2022年以降となるラスベガス直近7戦で優勝を経験したのは4人。上記ベリーの他にラーソンとロガーノが各2勝、アレックス ボウマンとバイロンが各1勝。つまりチームで見るとヘンドリック モータースポーツが4勝、チーム ペンスキーと提携先のウッドブラザーズが合計3勝ということになります。トヨタ系チームは2019年プレイオフでのマーティン トゥルーエックス ジュニアを最後にラスベガスでの優勝者がおらず、今年の1.5マイルオーバル6戦でも未勝利です。2週間前のカンザスではオーバータイムのリスタートで上位4人を占めていたのに潰しあいになってしまい、誰も勝てずにエリオットに持っていかれました^^;
当然ながらこの期間の平均順位も上に挙げた人の数字が良くてバイロン、引退したトゥルーエックス、ラーソン、ボウマン、ロガーノが並んでいます。しかし彼らは平均順位2~5位、それを上回って平均順位が最も良いのはロス チャステインで7戦中6戦でトップ10フィニッシュ、うち5戦がトップ5と驚異的安定感です。先週は凡ミスでプレイオフ脱落を自ら招いて酷く落ち込んでいましたが、得意のベガスで立て直すことができるでしょうか。過去にラスベガスのプレイオフ戦ではプレイオフ選手しか優勝したことが無いんですが、空気を読まないスイカ男の劇的な復活を期待です。
プレイオフ選手ではベルがGen7ラスベガスで2位を2度記録。春のレースでも速かったんですがピット作業でナットを締め損ねるミスがあり、ブリスコーのピット ボックスに入って代わりに締めてもらうという珍事がありました。これが契機となって『締め損ねたらバックせず誰か他所のクルーに頼む』という流行ができました(笑)
2週間前に同じ1.5マイルのカンザスで優勝しているエリオットですが、カンザスは数字が良かったんですがGen7のラスベガス6戦(1戦は怪我で欠場)ではトップ5フィニッシュなしとこちらはあまり数字がよろしくありません。また、ブレイニーはラスベガスの直近2戦でいずれもクラッシュに見舞われており、その影響もあって平均順位はプレイオフ選手で下から2番目です。
一番数字が悪いのはブリスコーですが、そもそも去年までは競争力の低いチームだったのであまり参考になりませんね。春のラスベガスは移籍5戦目ということもあり17位でしたが、2回開催のカンザスはいずれも4位、シャーロットでは3位、1.5マイルで不利には見えません。ブリスコーは勝ち残った8人で唯一チャンピオンシップ4の出場経験が無い選手でもあります。
ちなみに、『プレイオフの7戦目』で優勝したドライバーは過去4年間で3回がその年のチャンピオンになっています。2021年のラーソン、2022年・2024年のロガーノです。また、面白いことにプレイオフ第7戦の優勝者は2020年以降ロガーノ、ラーソン、ロガーノ、ラーソン、ロガーノ、となっており、順番で言うと今年はラーソンになります(笑)ロガーノは2018年も優勝しており、なぜか『偶数年のプレイオフ第7戦』には4連勝中なんですが、奇数年には勝ったことがありません。
・レース前の話題
かねてからショート トラックでのエンジン出力増加を求める声が上がっていましたが、NASCARのスティーブ オドネルはラジオ番組の中で、来シーズンの1.5マイル未満のオーバルと全てのロード コースでエンジン出力を向上させる予定であることを明らかにしました。マーティンズビルやフェニックスはもちろんのこと、1.5マイル未満なのでダーリントンとナッシュビルもここに含まれます。現在はドラフティング トラックでは510馬力、それ以外の全てのトラックでは670馬力となっていますが、対象となるトラックでは750馬力になる見込みです。でもどうやら「え?全部じゃないの?たった750馬力なの?」という異論は出ているようで・・・^^;
そして訃報です。ボストン レッドソックスの名選手として知られたマイク グリーンウェルが甲状腺がんのため10月9日に亡くなりました。62歳でした。グリーンウェルは12年間レッドソックス一筋で通算1400安打を記録、1988年にはアメリカン リーグの最優秀選手投票でホゼ カンセコに次ぐ2位となるなど『ミスター レッドソックス』とも呼ばれ、また春季キャンプ地でワニを捕獲して口をテープでぐるぐる巻きにしてチームメイトのロッカーに入れるいたずらをしたことから『ザ ゲイター』の愛称もありました、シャレにならん(笑)
怪我の影響で出場機会が減少すると、1997年に日本の阪神タイガースに当時のチーム史上最高年俸で入団。多少落ちたとはいえ実績豊富な現役メジャーリーガーの加入は大きな話題を呼びましたが、春季キャンプ中に私用で帰国すると怪我を理由に再来日が遅れ、5月に意欲満々でいきなりデビューから3戦連続で打点を挙げる活躍を見せるも、なんと出場6試合目に自打球を当て、次の試合も出場しましたがその後の検査で右足甲の骨折が判明。するとこれで骨だけでなく心も折れてしまったのか「野球はもうじゅうぶんだという神様からのお告げ」という趣旨の発言を残して突然『現役選手を引退』しました。
その発言内容、年俸3億6000万円でたった7試合出場、という衝撃も相まって『珍外国人選手列伝』として語られることも多く、とりわけ阪神ファンの間ではネタになるか、あるいはグリーンウェルは禁句になりました。なお、契約内容の関係で3億6000万円が満額支払われたわけではなく、なおかつ後年の話ではグリーンウェルは年俸の一部返納を申し出たもののそれはチーム側から固辞されたとのことです。『1試合で5000万円』『持ち逃げ』というのは正しい指摘ではありません。
そんなグリーンウェルは現役時代からNASCARが好きだったらしく、野球をやめた後にレイト モデルでレース活動を開始。2006年にはなんと2戦だけですがクラフツマン トラック シリーズに出場し、1周0.5マイルのマンスフィールド モータースポーツ スピードウェイでのデビュー戦はリード ラップで完走して26位でした。と言っても18回もコーションが出る荒れまくった展開が影響し、自身も周回遅れの中でミスってリード ラップ車両をスピンさせるなど荒れたレースの中にいました。
NASCARの出場はこの2戦限り、2010年にはレース活動も引退したようですが、阪神ファンは名前を目にするたび「おー、あいつ今そんなことしてるんか!」と気にせずにはいられない存在だったと思います。まあ色々と破天荒なエピソード満載の人でした。当時の阪神のチームメイトの話では現役メジャーを感じさせない意欲的な姿勢だったという話もあり、5月の復帰は日本の『こどもの日』に試合に出たいという気持ちがあったとも報じられています。引退も、回復を待てばチームの戦略の迷惑になる、という意図があったともされ、むちゃくちゃなおっさんなのか、すごく真面目だったのか、調べるとなかなか味わいのある選手でした。記憶にも記録にも残るお騒がせ最強助っ人(?)、ご冥福をお祈りいたします。
・カップシリーズ 予選
ブッシュ ライト ポール賞はハムリンが獲得しました。2位ブリスコー、3位ベルとジョー ギブス レーシングがトップ3独占。4位にエリオット、5位バイロン、6位ラーソンでヘンドリックが続く3人を占めました。7位からバッバ ウォーレス、タイラー レディック、ロガーノ、タイ ギブスのトップ10。ブレイニーは14位でプレイオフ選手としては最も低い順位です。15位にチャステイン、春のベガスではポールを獲って驚かせたマイケル マクダウルですが今回は18位。最近暴れまくりのカーソン ホースバーは22位です。
・・・続きは決勝視聴後に 泊りで出かけるのでエクスフィニティーの結果も編集に間に合っていません・・・
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