Formula 1 Gran Premio de la México 2025
Autodromo Hermanos Rodriguez 4.034km71Laps(-0.23km)=305.354km
シーズン6勝目を挙げたノリス、マクラーレンの選手がメキシコで優勝するのは1989年のアイルトン セナ以来、2位との差30.234秒は2023年のハンガリーでのフェルスタッペン以来となる約2年ぶりの大差の勝利でした。VSCに助けられたルクレール、戦略勝ちのフェルスタッペンに続き、表彰台には届きませんでしたが4位にはベアマンが入りました。ベアマンは自己最高位、ハースにとっても2018年オーストリアでのロマン グロージャンに並ぶチーム最高位でした。Wikipedia日本語版でハースの表彰台回数が1ってなってますけど3位以上は無いですよね・・・?
Autodromo Hermanos Rodriguez 4.034km71Laps(-0.23km)=305.354km
winner:Lando Norris(McLaren Formula 1 Team/McLaren MCL39-Mercedes)
4位にラッセル。フェルスタッペンは5位止まり。アントネッリ、サインツが続き、ピアストリはなんと8位に終わりましたが、サインツに前戦での接触行為に対する5グリッド降格ペナルティーがあったため、スタート自体は7位からとなりました。うーん、こんだけ噛み合わないとなると精神的な話だけじゃなくて、実はアゼルバイジャンで壁にぶつけた時に手を怪我して公表せず走ってるとか、フロアがちょっと壊れてるけど予算的に新品を投入できないとか、何か別の物質的問題があるのかなとか今になって気になってきましたね。ピアストリの後ろはハジャー、ベアマン、角田です。
道幅が足りずに左のタイヤが完全に縁石の上に乗っていたフェルスタッペン、汚れてる上にバタバタしてるので全然止まらずいつぞやのチャステイン状態。1人だけシケインを完全に無視した画面外へ消えて行き、しれっとターン3の先で合流しました。ルクレールもターン1でハミルトンと当たりそうだったのでターン2を通過してノリスをぶっちぎりましたが、どう見てもあかんので順位返還。フェルスタッペンも4位まで順位を戻したのでごちゃついたわりになんとなく丸くは収まりました。最悪の事態にならんでよかったよ。
9位スタートのベアマンはなんか真っ直ぐ走ってたらいつの間にか実質3位という状況。そのころノリスはもうテレビに映らない一人旅で、スタートで失敗しなくて良かったと心の底からホッとしてたんじゃないでしょうか。ここからノリス、ルクレール、ベアマン、(ハミルトン)、フェルスタッペンのトップ5で動きが無いままレースは進行、どこかでソフトが落ちてきてミディアムのフェルスタッペンが追い上げるのかと思ったら、そういう展開にもなりません。22周目あたりからソフト勢はピットサイクルへ。
ビバ メヒコ!F1 第20戦 メキシコ、正式名称メキシコシティー。標高2240mと年間で最も標高が高い呼吸困難サーキット・アウトドローモ エルマノス ロドリゲスです。とてつもなく長い直線をうっすい空気の中で走るので最高速がモンツァ並、しかし巨大なウイングを付けてもなお空気抵抗が少ないせいでスリップストリームの効きが相対的に弱まってあまり抜けません。しかも直線以外は低速コーナーが多いから実は平均速度が遅く、空気が薄いせいでタイヤもブレーキも冷えないからきちんと守る必要があって、結局抜けないジリジリしたハンガリーみたいなレースになって早朝からリアルタイムで見るとだいたい眠くなるレースです(笑)
今週もまたピレリは2ストップを促すべくタイヤを1段階飛ばしで設定し、ハードは昨年より固いC2、ミディアムC4、ソフトC5になっています。なんとかハードを使わせようとしても先週は結局ほぼみんなミディアム→ソフトの1ストップで走ってしまい、ルクレールにいたってはソフト→ミディアムで強行突破されたのでまあ期待しない方が良いでしょう。もうここまで来たら複数種類をわざわざ設定するのは使わないタイヤを生んで資源の無駄遣いという気もしてきますね・・・
・練習走行
今回のFP1ではザウバー以外の全チームが義務付けられている新人選手の走行機会をここに設定、レギュラー陣が車を眺めるだけの時間になりました。ルクレール、アントネッリ、ヒュルケンベルグ、ピアストリ、ボルトレートのトップ5。6位にテスト新人さんで最速、レッドブルのアービッド リンブラッドが入りました。リンブラッドが乗るフェルスタッペン車は改良型の新しいフロアが装備されているので、万が一壊したら評価がどうの以前にクビになりそうで怖いですが()無事に走行を終えました。本人も無傷で車を返せてよかった、と率直な発言。
ちなみに『リンドブラッド』と書いてるところも多いですけど Lindblad とあったら真ん中のdの音は潰れてほとんど消えるのでカタカナ表記ではっきり『ド』と書くと強くなりすぎる感じがあり、『リンブラッド』の方が発音として近い表記だと思います。ちなみにフルネームで読むと限りなく『アービッディンブラッド』に近くなります。
一方地元メキシコ出身のインディーカー選手・パトリシオ オワードがマクラーレンで13位でしたが、食中毒で走る前から体調が最悪。30周の走行を終えたものの、その後は治療のために場内の医療施設直行になったようです。ハースの平川 亮が16位、レーシングブルズ・岩佐 歩夢が17位。フェラーリは開発ドライバーで普段は耐久レースでお世話になっている29歳のアントニオ フォーコを起用して20位でした。これからF1を目標とする若手という感じでは無いので、シミュレーターと実車のイメージ補完や功労者へのご褒美という感じでしょうか。
FP2からはいつもの顔ぶれ、新型フロアを手にフェルスタッペンが最速でしたが、翌日のFP3では何だかまだ詰め切れていない様子で6位。このFP3ではノリスが2位のハミルトンに0.345秒の大きな差を付けて1位でした。
・予選
みんながC5ソフトで走ると路面はみるみるグリップ力が向上しているようで、Q1は時間とともに勝手に記録が伸びて行く状態。1位から20位まで1秒以内の狭い争いで最速はなんとハジャー、他にもレーシング ブルズとハースが上位に並びした。たぶん低速からの加速が多いコースなのでソフトで1周攻めると後ろが次第にズルズルしてしまい、後ろがどっしりして扱いやすい車だと走りやすいのかなという印象です。ドライバー フレンドリー。
続くQ2でノリスがぶっちぎりの1位となって迎えたQ3、ここでもノリスは1分16秒170とさらに記録を伸ばして一発回答かと思いきや、なんとルクレールが1分15秒991という会心の一撃を見舞って暫定1位に急浮上。これを受けてノリスの2回目のアタック、気合が入りすぎると縁石にノリスぎる、ですっかり当ブログでは定着していますが今回も小窓の車載映像でターン2と3の縁石にめっちゃ乗ってる、これあかんやつやろ(;・∀・)
しかし絶妙に縁石を使えたらしいノリス、セクター1で最速を記録するとその勢いのまま突っ切り、飛び出たタイムは結果として全セクターで最速となる1分15秒586。本人ですら驚きのまさにスーパー ラップでピレリポールを獲得しました。路面温度が下がって急にフェラーリが元気になったのか2位ルクレール、3位ハミルトン。
| これからも縁石使います! |
4位にラッセル。フェルスタッペンは5位止まり。アントネッリ、サインツが続き、ピアストリはなんと8位に終わりましたが、サインツに前戦での接触行為に対する5グリッド降格ペナルティーがあったため、スタート自体は7位からとなりました。うーん、こんだけ噛み合わないとなると精神的な話だけじゃなくて、実はアゼルバイジャンで壁にぶつけた時に手を怪我して公表せず走ってるとか、フロアがちょっと壊れてるけど予算的に新品を投入できないとか、何か別の物質的問題があるのかなとか今になって気になってきましたね。ピアストリの後ろはハジャー、ベアマン、角田です。
・決勝
スタートのタイヤ選択が今日は特徴的。2位のルクレールがソフトを選ぶのはなんとなく想像できましたが、周りの人も同じ動きで1位から4位まで全員ソフトでした。5位のフェルスタッペンがミディアムの最上位で、全体で12人が選択したソフトは多数派でした。シグナルが5つ点灯したと思ったら不意打ちのようにすぐに消えてスタートし、ノリスはなかなか好発進で跳ね馬に並ぶことを許さず、もしろハミルトン、ルクレール、フェルスタッペンが3人並んでターン1へ突っ込みました。
道幅が足りずに左のタイヤが完全に縁石の上に乗っていたフェルスタッペン、汚れてる上にバタバタしてるので全然止まらずいつぞやのチャステイン状態。1人だけシケインを完全に無視した画面外へ消えて行き、しれっとターン3の先で合流しました。ルクレールもターン1でハミルトンと当たりそうだったのでターン2を通過してノリスをぶっちぎりましたが、どう見てもあかんので順位返還。フェルスタッペンも4位まで順位を戻したのでごちゃついたわりになんとなく丸くは収まりました。最悪の事態にならんでよかったよ。
スタートですぐフェルスタッペンに抜かれて5位だったラッセルは前方でのこの近道の応酬に非常に不満を持っているようですが、スタート直後のこうした動きは順位を返して利益さえ得なければあまり罪に問われないのでフェルスタッペンかまわず爆走。6周目のターン1でちょっと無理な距離からハミルトンの内側に飛び込むと、もちろん曲がれないので軽く接触。ハミルトンはターン2を無視はしないで頑張ってコース内で曲がろうとしたものの、ラインが鋭角でタイヤも汚れていて意地になってるのでこっちもまた曲がれずに今度はフェルスタッペンをコース外へ追い出しました。
ターン3を無視して戻ってきたフェルスタッペンはターン4で内側を固めると、ハミルトンは突っ込みすぎたかブレーキをロックさせて今度はターン4・5を曲がれず。しかしフェルスタッペンもまたターン4で突っ込みすぎており、はみ出しそうになって失速したところをラッセルに外から抜かれ、そうになったのをターン5で抑え込みに行ってる間にがら空きの内側からベアマンが抜いていきました(笑)
もう何が何だか分からずここだけで審議案件山積みという感じですが、結果としては最後にハミルトンがターン4・5を曲がらずにフェルスタッペンの前に居座ったことがコース外を使って不正に利益を得る行為だという判断が下されて10秒加算のペナルティーとなりました。これはちょっと個人的にはイマイチな事案だったので最後に改めて。
9位スタートのベアマンはなんか真っ直ぐ走ってたらいつの間にか実質3位という状況。そのころノリスはもうテレビに映らない一人旅で、スタートで失敗しなくて良かったと心の底からホッとしてたんじゃないでしょうか。ここからノリス、ルクレール、ベアマン、(ハミルトン)、フェルスタッペンのトップ5で動きが無いままレースは進行、どこかでソフトが落ちてきてミディアムのフェルスタッペンが追い上げるのかと思ったら、そういう展開にもなりません。22周目あたりからソフト勢はピットサイクルへ。
ただクリーン エアーで走って特にアンダーカットの脅威も無いノリスとルクレールはまだまだ走り続け、ルクレールは31周、ノリスに至っては34周までソフトで走り続けました。ノリスの後ろにはミディアムでまだ走り続けないといけないフェルスタッペンしかおらず、28秒も離れていたのでピットに入ってタイヤを換えても1位のまま、全周リードを継続です。
そのフェルスタッペン、ジャンピエロ ランビアーズが戦略家との「今んとこ1ストップか2ストップか・・・」という討議がドライバーへの無線を開放したまま始まってしまい「丸聞こえやぞ!」と言われたりしましたが、とりあえず37周まで引っ張ってようやくソフトへ交換しました。先にタイヤを換えた人たちには当然みんなアンダーカットを食らう形で実質8位、10秒ペナを消化したハミルトンよりも後ろに回っており、これはいくらソフトでも抜けなくて詰んだんじゃない?という雰囲気。
47周目にまずハミルトンに追いつくと、ハミルトンは余力が無いらしくお先どうぞ状態でフェルスタッペン7位。この周を終えてハミルトンはピットに向かうことにしますが、なんと前にいたアントネッリとピアストリも同時にピットへ。どうもミディアムはあんまり速くないらしく傷口が広がる前に交換することにした様子、ピレリの念願がかなってソフト→ミディアム→ソフトの戦略がありました。なおアントネッリはせっかく抑えていたピアストリにピット作業で逆転されてしまいました。
結果、49周目にはフェルスタッペンの前にいた人が2人を除いてみんな2回目のタイヤ交換に動いたため戦わずしていなくなり、なんと3位に急浮上。そしてルクレールに毎周少しずつ追いついて行って計算上は最後の最後に追いつきそうな雰囲気になりました。そして今回レース開始からおよそ1時間をリアルタイムで、朝食を挟んで残りを出勤までに見ることにした私は眠くなってきました(笑)
タイヤ交換後には18秒ほどあった差が50周目には12秒、55周目に8.5秒、60周目に5.1秒、65周目には2.5秒になってもう見える範囲にいます。そして69周目、ついにDRSを取得するかどうか、という野球場区間に向かうところで突然のイエロー フラッグ。ちょうど彼らが走っているあたりでサインツが車を止めているらしく、なんか絶妙にカメラに映らないのでどこにいるんだか分からないんですが、フェルスタッペンがとうとうDRSを使ってルクレールを攻め始めたところでVSCになってしまいました(´・ω・`)
71周目の途中で処理作業が終わったようでVSCは解除されたものの、もうこの2人は最大に勝負所を通過済み。優勝はノリスでしたが2位争いがハゲしすぎたので映像で抜かれたのはチェッカーの10秒前で車載映像という慌てぶり。そんだけ慌てても2位争いが入れ替わることもなく、どことなく締まらない形でメキシコシティーの熱いレースは幕を閉じました。サインツの車はどこにあったんや、と思ったら、どうやらスピンして壁に軽く当たり、レースの邪魔にならないように自分で壁の切れ目へ移動した、けど半分車が出ていた上に発煙もあったので運営としたらVSCを出すしかなかったみたいです。いや、それなら良いんですけど映像が無いから何か重大事故かと思って心配したんですよ・・・
シーズン6勝目を挙げたノリス、マクラーレンの選手がメキシコで優勝するのは1989年のアイルトン セナ以来、2位との差30.234秒は2023年のハンガリーでのフェルスタッペン以来となる約2年ぶりの大差の勝利でした。VSCに助けられたルクレール、戦略勝ちのフェルスタッペンに続き、表彰台には届きませんでしたが4位にはベアマンが入りました。ベアマンは自己最高位、ハースにとっても2018年オーストリアでのロマン グロージャンに並ぶチーム最高位でした。Wikipedia日本語版でハースの表彰台回数が1ってなってますけど3位以上は無いですよね・・・?
ピアストリはメルセデスの壁はなんとか超えたもののベアマンを崩せず5位。メルセデスは6位アントネッリ、7位ラッセルの順でしたがまとまりを欠きました。そもそもラッセルが前にいたものの、6周目のゴタゴタでフェルスタッペンを避けようとしてコース外に出てる間にアントネッリが逆転。ただ2回目のタイヤ交換以降、ラッセルは自分の方が速いのでベアマンを抜けなかったら順位を返すから入れ替えてくれ、と再三にわたって依頼。チームがこれを受諾するまでに時間がかかり、その間にだいぶタイヤの性能が落ちたっぽいラッセルはベアマンを抜けず、逆にピアストリに抜かれたので後輩から順位返せのクレームが来ました。ちょっとフェラーリっぽい状態でしたね。
8位ハミルトン、9位はオコン、そしてボッタス、じゃなかったボルトレートが10位に入り角田は11位止まりでした。フェルスタッペンと同じ戦略で、スタートでも順位を上げていたので上手くハマる可能性もありましたが、テレビに映ってないところでピット作業で時間がかかっていたようです。
この結果、ドライバー選手権ではノリスがピアストリを逆転して1点差で選手権1位に返り咲き、第5戦サウジアラビアから1位を守ってきたピアストリでしたが189日ぶりに2位に陥落しました。フェルスタッペンはノリスから10点離されたわけですが、対1位という意味では36点差なのでレース前よりは4点だけ縮まったことになります。またコンストラクター選手権ではフェラーリが2位を奪還しましたが1点差でメルセデスが続き、レッドブルもフェラーリから10点差で変わっていません。
久々にノリスが自分のやりたいレースをできた1戦だったと思いますが、2位以下の争いがハゲしかったです。ただハミルトンファンの方、アンチフェルスタッペンの方などを中心にちょっと納得いかないレースだったんじゃないかと思うので、話を整理してみます。
まず1周目のターン1~3をフェルスタッペンが通り過ぎた場面ですが、これはスタート直後の混戦であること、行き場が無くて減速が間に合わない状況に不可抗力で陥ったこと、彼以外にもターン1を曲がり損ねていてみんなどっちもどっちになっていること、そして順位を返還して元の順位に戻したことから、処分対象にならないと考えられます。これはまあ妥当と言えるでしょう。
一方で6周目のハミルトンとのゴタゴタはなんだか2021年を見ているようでしたが、整理すると以下の4つの出来事があったと考えられます。
1 ターン1でフェルスタッペンがハミルトンに接触
2 ターン2でハミルトンがフェルスタッペンをコース外に追い出してフェルスタッペンがターン3を曲がらず通過
3 ターン4でハミルトンがコース外を走行しターン5を曲がらず通過
4 ターン4で飛び出した際のコース復帰に用いるよう指定された細い道をハミルトンが無視
まず1番ですが、私から見ればフェルスタッペンは曲がれない速度と角度で後ろからハミルトンの内側に飛び込み、ハミルトンに『ぶつかるか、抜かれるか』の不利な2択状態を迫っているのでこのコーナーでの優先権は無いと思うんですが、現在の運用指針であるドライバーズ スタンダード ガイドラインではコーナーのエイペックス時点での前車軸の位置関係などで優先権を判断します。
車が制御できていない完全なミサイルは論外ですが、そうでない場合は今回のような強引で絶対相手にラインを残せるわけがないような入り方でも、エイペックスで並走状態か先行状態になっていれば優先権があると判断され、今回のフェルスタッペンは該当しました。言い換えればハミルトンは引くべき状態だったということになり、接触で外へ追いやられてはみ出したのはハミルトン側にも一定の責任があるという解釈になります。まずここの部分が納得できない方がそれなりにいらっしゃるでしょう、私がそうです(笑)
それを踏まえて2番に行くと、今度は攻守が逆の状態になるわけですがターン2に対して前にいたのはフェルスタッペンなので、ここも優先権があります。ハミルトンは内側の窮屈なラインで反撃しようとして曲がれないのでフェルスタッペンを追い出しますが、1番の事案と違ってハミルトンは優先権を持たない状態での攻撃なので、フェルスタッペンはコース外に追いやられても『優先権のない後続車両からの接触を避けるための正当防衛』というような位置づけになります。
優先権の無い選手がコース外を走ったら、その状態で相手の前に出ると利益を得たとして審議対象になりますが、フェルスタッペンは正当防衛で『そもそも前にいた』という当然の権利とみなされるので、前に居座っても問題がありませんでした。たぶんハミルトンファンからすれば、そもそもターン1で強引に飛び込んでぶつけてきたことが問題だからターン2の優先権に正当性が無く、ターン1以前の状態であるべきだ、と感じるのでこの点がさらにボタンの掛け違いのような状態になると思います。
続いて3番、これは残念ながらハミルトンの凡ミスと言えるので止まれなかったのは自己責任です。フェルスタッペンは意地になって突っ込みすぎてるので、もしちゃんと止まれて外から並ぼうとしていたのならまた別の問題が生じたでしょうが、単独で止まれずはみ出した以上は利益を得ずに戻る必要があります。2番の事案とは別件ですので、あいつははみ出して前に出たんだから俺もはみ出して出たってお互い様だろ、というわけにはいきません。
並行して4番がありますがこれは書いた通り不可抗力で追加処分なし、あの狭い道を通れという方がかなり無理があって現実的ではありませんね。というわけで結果だけを見るとハミルトンはフェルスタッペンの後ろに大人しく戻っていれば何も起こらずに終わったわけですが、正当な理由なくコース外を走って順位を得た以上は10秒加算は免れませんでした。マグなんとかという選手がくだらないブロックしてなければ規則は旧来のままで5秒で済んでたでしょうから、恨むならマグなんとかを恨みましょう(笑)
以上のように、規則で見るとフェルスタッペンは一連の攻防で咎められる行為を1つも行っていないということになり、ハミルトンはそもそもターン2で無駄な抵抗をしたのが良くないし、それでいて自滅を悪用して利益まで得た悪徳ドライバーということになります。しかし現実にはターン1の突っ込みがフェアーな争いに見えると思えなかった人には、その後の一連の流れがそもそも接触を起点に引き起こされているので、一方的にハミルトンだけ罰則を受けたことには納得がいかない、という構図ができあがります。
まあターン1の接触が仮にフェルスタッペンの過失でも、ターン4の事案は完全に別個なのでハミルトンが無罰になることは無いと思うんですが、全体の印象としてあまりにハミルトンだけがいじめられているように見えたのはファンなら仕方ないかなというところ。ただターン4の件が自分の過失であることは変わらないので、その点は抑えておいた方が良いかなと思います。
そして、前から書いてるとは思いますがコーナーの優先権をエイペックスと車軸位置というほとんど点で測ったような基準で判別しようとするのに無理があると私は思います。たしかにフェルスタッペンは規則通りの動きをし、おそらく規則を熟知して意図的にあの動きをしているんでしょう。やろうと思って狙ったって下手ならぶつけるか飛び出すかで、絶妙に『エイペックスでギリギリ自分が前に出るけど自分がコース外にはみ出さず、かつ相手が避けてくれる止まり方』なんてものを実践するのはある意味神業、それを狙ってできる彼の才能は図抜けていると思います。
ただ、じゃあみんな同じことができてコーナーでドカドカ突っ込んで行って「はい俺のコーナー~お前が避けろ~www」みたいな争いになったらどうでしょうか?それってプロのレースなのかというと私は疑問です。世界王者があれをやればF4やF3や、下手したらカートの若者も当然真似しようとして、そして成功するわけがないので事故が起きて危険ですし、競技としても公平性があるかと言われると私にはそう思えません。『リスクは抜く側が負う』という基本から外れて、これでは抜かれる側のリスクが大きすぎます。
抜かれたくなければブロックすれば良い、という話になるでしょうが、じゃあはるか遠くにいる相手に対して全部ブロックしてどんどん前から遅れて行くレースって何なの?と私は思ってしまいますね。せめてガイドラインには車軸位置に加えて『飛び込んだ車がそのコーナーで相手に対して1台分以上の空間を残して曲がれる状態だと言える客観的に相当程度の合理性が認められる旋回状態であるか』ぐらいの要素は加えてほしいところです。
次戦は1週間の休みを挟んでスプリント制度のブラジル。たぶんシーズン終盤の開催地で最も天候リスクが高い開催地なので、足を掬われないように気を付けたいところです。全員大失敗して予想外の人が勝つ、みたいなレースもありっちゃありですけど。
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