Formula 1 Pirelli Gran Premio d’Italia 2025
2位からノリス、ピアストリ、ルクレール、ハミルトンのトップ5。ただハミルトンは先週のオランダでレコノサンス周回に黄旗区間できちんと減速しなかった、というわりと問題があって5グリッド降格が予め決まっていたので、スタート順位は10位でした。6位からラッセル、アントネッリ、ボルトレート、アロンソ、角田が続き、彼らが1つずつ繰り上がって決勝で5位~9位スタートとなりました。
ところが今日のフェルスタッペンは鬼の速さ。4周目にはノリスを抜き返すと、その後はじわじわとノリスを引き離していってなんだかこのまま逃げ切りそうな雰囲気が漂いました。ピアストリの方も序盤ルクレールと抜きつ抜かれつになったので3位を確保したころにはノリスと差が開いており、トップ3は当面何も起こら無さそうな状態になりました。
!!!41周目に接触事故発生!えらいこっちゃ!と思いましたが2人とも自力で現場を離れたので影響なし。その後45周目、もはやSCが出たところでタイヤを換えて前に留まる見込みが無くなったマクラーレンはついにタイヤ交換に動きますが、前を行くノリスではなく先に3位のピアストリから動かしたい意向。というのも4位のルクレールが先にタイヤを換えていてアンダーカットされるのが怖かったからです。
2位ノリス、3位ピアストリでマクラーレンはとりあえず丸く収まりました。ポールトゥーウインは2019年以来だというのが冒頭の話で分かりますが、トップ3がスタートと同じ順位だったのは2010年以来です。ルクレール、ラッセル、ハミルトン、アルボン、ボルトレート、アントネッリ、そして気づいたらハジャーが10位で1点稼いでいきました。今回の結果、なんとアルボンがドライバー選手権でアントネッリを抜いて7位です( ゚Д゚)
Autodromo Nazionale di Monza 5.793km×53Laps(-0.309km)=306.72km
Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB21-Honda RBPT)
F1 第16戦はスピードの殿堂とも呼ばれるモンツァ。平均速度が高くて何も無いと追い抜きも無くあっという間にレースが終わってしまうので、運営もスプリントとか色々ややこしいことするぐらいならモンツァはレース距離を伸ばしたらいいんじゃないかと私はずっと思ってるんですが、今年ももちろん306kmです。
ただスピードの殿堂の名前は来年には少し様子が変わるかもしれません。2026年からのパワー ユニットはMGU-Hが廃止された上でMGU-Kの最高出力が現行の約3倍となる350kWに引き上げられるわけですが、そうするとモンツァのように全開率の高い場所では全くエネジー容量が足りず長い直線の途中で"息切れ"。最高速までの到達時間が早い一方で直線の終盤部分はもう回生する必要が発生して失速するのではないかと言われています。さすがに格好悪いので規則の細部は再検討されているとか。
WECでも以前に『LMP1は加速で速いけどリフト&コーストが早すぎて直線の終盤でLMP2が追突しそうなぐらい失速する』という状況がありましたね。手直しされないとお客さんから見たスピード感だけならF2が上回ることすら懸念されています。来年の規則って速度域が上がるとMGU-Kの電動出力が段階的に絞られていき、オーバーライド モードの時だけ制限が緩和されて高速でも電動アシストをかけられる、という素人にはなかなか分かりにくい規則だし、本当にちゃんとレースできるのかねえ(笑)
・練習走行
FP1ではハミルトン、ルクレールが1位・2位でイタリアのお客さんを喜ばせ、FP2・FP3はいずれもノリスが最速でしたがルクレールはここもまた2位で期待を持たせました。マクラーレンはFP2でピアストリに右側のミラーが割れる問題があり、同じころノリスも右のミラーが鏡面丸ごと壊れて無くなったようです。まあ彼らがレースで後ろから追われてミラーを見る必要に迫られることは無いので、ミラーなんてあっても無くても関係ないでしょう(暴論)
でもちょっと思うのは、最近コース外の一部に砂利を敷く流れが戻ってきていますが、高速で蹴飛ばされたごっつい石が原因で重大事故が起きないか、今さらながらちょっと心配になってきました。ハンガリーでもハジャーだったか、前の車が蹴飛ばした石が手に当たって痛い!って言ってる場面ありましたね。やっぱり舗装路面にしておいて、白線を守らずルールに文句ばっかり言うやつは無視して白線内でちゃんと車を操る技術で競ったらそれで良い気がするんですけどね。
・予選
とにかくタイム差が少ないモンツァ、Q1で1位ラッセルから15位のアレクサンダー アルボンまでたった0.423秒差、20位のリアム ローソンでさえ0.865秒差でした。ハジャーも16位で脱落してレーシング ブルズは先週から一転して厳しいスタート。事後情報ではダウンフォースを予選に向けてちょっと減らしすぎて失敗したみたいです。
Q2ではノリスがターン1を曲がり損ねると、もう1周やり直すことなくピット直行。おそらく燃料を3周分しか積んでいないためと見られ、それはすなわちマクラーレンが念のための保険を用意しておく余裕がないと考えていることになります。ノリスはこの失敗が原因で6周分の燃料を積んでの2回計測を行う必要に迫られ、なんとか5位でQ2を通過しました。
Q3、1回目の計測でフェルスタッペンが特に誰のスリップストリームも使わず1分18秒923と心理的節目を突破。2回目の計測ではピアストリのスリップを貰えたノリスが1分18秒869でフェルスタッペンをひっくり返したものの、フェルスタッペンがさらに上を行く1分18秒792を記録。2020年にハミルトンが記録したモンツァのコース レコードを更新してピレリポールを手にしました。ダウンフォースを削ったRB21おそるべし。
2位からノリス、ピアストリ、ルクレール、ハミルトンのトップ5。ただハミルトンは先週のオランダでレコノサンス周回に黄旗区間できちんと減速しなかった、というわりと問題があって5グリッド降格が予め決まっていたので、スタート順位は10位でした。6位からラッセル、アントネッリ、ボルトレート、アロンソ、角田が続き、彼らが1つずつ繰り上がって決勝で5位~9位スタートとなりました。
・決勝
抜けないと言いつつ2019年のルクレールを最後にポール トゥー ウインが出ていないモンツァ。戦略は基本的にミディアム→ハードの1ストップです。フェルスタッペンはスタートが今一つだったのですぐに車を右に向けてノリスに寄せて行きますが、ちょっとやりすぎでノリスは行き場なく芝生上を走行。ただ今日の彼はちょっと強気で、ターン1でやや奥まで突っ込んでフェルスタッペンが切り込めないように仕向けました。これでフェルスタッペンはシケインを曲がらずに通過しますが、コース外を使って利益を得たと見做されては困るのでチームの指示により順位返還。こういう争いでは珍しくノリスが図太く戦ってリードを奪いました。
ところが今日のフェルスタッペンは鬼の速さ。4周目にはノリスを抜き返すと、その後はじわじわとノリスを引き離していってなんだかこのまま逃げ切りそうな雰囲気が漂いました。ピアストリの方も序盤ルクレールと抜きつ抜かれつになったので3位を確保したころにはノリスと差が開いており、トップ3は当面何も起こら無さそうな状態になりました。
DRSトレインになって中団もそこそこの速さで走る、ピットのロスが長い、タイヤの摩耗があまり酷くないからペースが落ちない、ハードにつなぐからアンダーカットしにくい、こうした条件が全部揃っているので自分からピットに入ってレースを動かす動機が乏しく、また一方で車両の空力効率なりに序列ができてしまうコースでもあるので大きな動きがないままレースは進行。あったのは角田がベアマンの動きに反応して早めにタイヤを換えたら、ハードの発熱が遅いからアンダーカットを防ぎきれなかった上にローソンと絡んだりして1人だけ完全に競争から外れて行ったぐらいでした。
ミディアムがじゅうぶん長持ちしたのでフェルスタッペンはレースの半分を大きく超えて37周目にようやくピットへ、ハードへ交換。ラップ タイムはスタートから僅かに右肩上がりの見事な速さでした。ピット前の段階でノリスを5秒も引き離しており、あとはSC導入だけが怖い。逆から言うとノリスはもう待てるだけ待って誰かが事故ってSCが出てくれるのを期待するぐらいしか勝てる道筋がありません。
!!!41周目に接触事故発生!えらいこっちゃ!と思いましたが2人とも自力で現場を離れたので影響なし。その後45周目、もはやSCが出たところでタイヤを換えて前に留まる見込みが無くなったマクラーレンはついにタイヤ交換に動きますが、前を行くノリスではなく先に3位のピアストリから動かしたい意向。というのも4位のルクレールが先にタイヤを換えていてアンダーカットされるのが怖かったからです。
ノリスはアンダーカットされないなら、とその話に同意しますが、この時ピアストリとの差は約3.7秒で、交換するタイヤはソフト。アンダーカットされなくても、ソフトで1周かっ飛ばして来たらスリップが得られて、下手したらDRS圏に入られたりしてちょっと危ないのでは?とちょっと疑いながら観察していました。とりあえず45周目にピアストリから先にピットへ、46周目にノリスも入りますが、
ガガガガガ、左前輪がなかなかハマらず。左前輪のタイヤ チェンジャーはナットを締めたつもりでいましたが、隣のクルーに言われてもう一度締めなおし。スロー映像を見ると最初に"装着したつもり"だった時に余韻で回っているレンチの先端が反時計回りしているので、切り替えを忘れて外す方向に回したまま本人は締めた気になっていた、という風に見えますね。
これで交換に時間がかかったノリスはピアストリにアンダーカットされてしまいますが、これはさすがに気の毒な案件です。フェルスタッペンはそんなゴタゴタをよそに独走しますが、調子が良いので久々に無線で口も滑らか。
ジャンピエロ ランビアーズ「もう全てやり切ったから、安全第一で持ち帰って来いよ。」
マックス「安全第一、全力走行♪」
ジャンピエロからどんな返答が来たのか、あるいはあきれて無視したのか、その後のやり取りが気になります(笑)マクラーレンはピアストリに対してノリスに順位を譲るように依頼し、さすがに選手権で優位に立つピアストリは素直に従ってノリスが2位を奪回。するとまたマックス劇場開幕。
ジャンピエロ「ノリスとピアストリが順番入れ替えたからな。」
マックス「あ、ピット作業遅かったの?(笑)」
ジャンピエロ「こっちには関係ないことだけど、チャンピオンシップの観点からドライバー間の公平性を保つためだろう。お前も目の前の走りに集中しておけよ。」
ちょっとマクラーレンをバカにしつつ全力で走る男・フェルスタッペン。終わってみれば2位に19.207秒差の圧勝で今シーズン3勝目・通算66勝目を挙げました。ちょっとイエロー フラッグが出たぐらいで何の滞りも無く進んだこのレース、所要時間は1時間13分24秒325・平均時速250.706km/hでF1史上最速記録を更新しました。従来の記録は2003年のモンツァでミハエル シューマッハーが記録した1時間14分19秒838・平均時速247.585km/hでした。今回は史上初の平均250km/h超えレースですね。
2位ノリス、3位ピアストリでマクラーレンはとりあえず丸く収まりました。ポールトゥーウインは2019年以来だというのが冒頭の話で分かりますが、トップ3がスタートと同じ順位だったのは2010年以来です。ルクレール、ラッセル、ハミルトン、アルボン、ボルトレート、アントネッリ、そして気づいたらハジャーが10位で1点稼いでいきました。今回の結果、なんとアルボンがドライバー選手権でアントネッリを抜いて7位です( ゚Д゚)
ノリスとすれば当然勝ちたかったし、上手く行けばフェルスタッペンやルクレールを間に挟んで一気に点差を詰められる好機でもありましたが、結果としてはフェルスタッペンが速すぎてどうしようもありませんでしたね。フェルスタッペンはイタリアで開催されるレースはイモラに続いて2連勝、スパやシルバーストーンはダウンフォースを削って予選が速くても決勝ではタイヤ摩耗やら雨やらでダメでしたが、ここは条件が整っていました。2年前はこんなレースばっかりやったなあ、とちょっと懐かしく思う展開です。というか2年前なら19秒差なんて『マクラーレンよくがんばったなあ』のレベルですね(笑)
私はというと見ていて途中で若干飽きてしまいましたが()F1なんてたいていはこういうものなので仕方ないですね。スタート直後の混戦ではノリスもピアストリもとにかく接触で後退することだけは絶対に避けたい、という動きがそこかしこに見えており、逆から言えば他の選手はもう失うものが全然ない人が多いので、やはり予選で前を獲ることがいかに重要か改めて感じます。2位でスタートして3~5位あたりの人にターン1で突っ込まれて終わったら話になりません。
今回ノリスは結果としてはピアストリより前でしたが、Q2での失敗を見ると練習走行でピアストリの上を行っていても、予選でピアストリの方が確実に詰めてくる流れが多い印象です。仮にミサイルが飛んでこなくても1周目に位置関係が決まったらある程度チーム内で作戦の優先順位もできてしまうので、ノリスはいかに予選で自分を保って最大の力を出せるか、という開幕からの課題がこの終盤戦に向けても引き続き鍵になるだろうなと思います。16戦消化して解決してないんだからいきなりは無理だろ、と言われたらその通りな気もしますけど。。。
次戦からは連続開催は少しの間お休みとなり、1週間の休みを挟みながらアゼルバイジャン、シンガポール、アメリカと転戦していきます。
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