ABB FIA Formula E World Championship
2025 Hankook Berlin E-Prix
Tempelhof Airport Street Circuit 2.374km×38Laps=90.212km
Tempelhof Airport Street Circuit 2.374km×38Laps=90.212km
※規定により41周に延長
Race Energy:38.5kWh
Reference Lap Time for FCY/SC 2:40
winner:Nick Cassidy(Jaguar TCS Racing/Jaguar I Type-7)
あ、とりあえず最初に、前回の記事でマクラーレンの消滅に端を発したドライバーの玉突きについて書いた際にキャシディーの存在を盛り込むのを忘れていたのでちょっと内容に手直ししてます、ごめんなさい。
今日のレースではピットブーストがありませんが、今年ようやく導入されたこの制度では今のところ『エナジー残量が60%~40%の間』に充電を実施することが義務付けられています。しかし前日のレースでは国際映像の表示を見る限りピットブーストが可能になったエナジー残量は60%ではなく55%前後でした。以前東京の際にも私はやはり60%ではなく67%あたりで表示が出ていることについて書いたと思います。
The pit window will only open when the battery State of Charge (SoC) of 60%> Batt_MinSOC (from CAN message BMS_HV_01_Status) >40%. What that means in coherent English is the cars need the battery to be between a certain state of charge - between 60% and 40% - in order to do the boost charge in the pits. And that state of charge is not the TV value you see when they show the 'SOC% remaining' graphic, which represents the amount of usable energy as defined by the rules for that race left. It's between 60% and 40% of the physical remaining battery energy, which is larger than what teams are allowed to use in each race.
ピットウィンドウはバッテリーの充電状態が60%>40%の場合にのみ開きます。これはピットでブースト充電を行うために、車のバッテリーの充電状態が特定の範囲(60%~40%)にある必要があることを意味します。この充電状態は、レースのルールで定義された使用可能な残りエナジー量を表す『SOC%残量』グラフに表示されるテレビ画面の値とは異なります。これは物理的なバッテリー残量の60%~40%であり、これは各チームが各レースで使用できる量よりも大きい値です。
・グループ予選
スタート順位はベアライン、ティクタム、ダコスタ、フラインス、ミュラー、 バンドーン 、バーナードと続き、昨日の接触事故で5グリッド降格のロウランドは8位スタート。デュエルスで勝ち進んだおかげでそこそこの位置からスタートできることになりました。
・決勝
ようやく晴れたベルリン、今日はそれなりに エナジー節約が必要になるレースです。スタートでトップ2は順位が変わりませんでしたが、バンドーンは明らかに戦略的な動きであっという間に6位から15位あたりへ後退、ここにはチームメイトのヒューズがいました。
グループ予選から約5秒落ちとなる1分4秒台のペースから入ったレース、チーム戦略はクープラ キロも採用したようで、12位スタートのベックマンが真っ先にアタックモードを使用して一気に先頭まで移動し、ティクタムの風よけになってあげる場面がありました。どうせならリタイア覚悟でエナジーを使って引っ張り続けるぐらいのわりきりがあっても良いかなと思ったんですが、さすがにベックマンにもちゃんとレースをさせてあげないといけないため、この後は節約の必要に駆られてベックマンはすぐ10位以下に戻っていきました。
その後もティクタムとポルシェの2人は順位を入れ替えつつ常に上位を維持し続けました。ここからなんとベックマン以外誰一人アタックを使わないままレースは17周目に突入します。するとこの辺りからようやくエナジー管理に関する考え方がばらつき始めたのか、コース上では急速に2ワイドの争いが増加して陣とり合戦が始まりました。接触でティクタムはやや後退、ロウランドとエバンスに挟まれましたがロウランドとしてもちょっと危ない場面です。
18周目、ようやく10位を走っていたモルターラが2人目のアタックモード使用者となりレースのさらなる動きが期待されましたが、続く19周目にブエミの車がコース上で止まってしまいSC導入、モルターラのアタックは無駄打ちに(´・ω・`)
22周目にリスタートすると、このSC導入直前に先頭に出ていたバーナードが即座にアタックへ、SC中に表示されたエナジー残量によるとポルシェの2人はいずれも残量がやや少なく、バーナードなど後ろで待っていた人たちの方が2%ほど、中団以降で隠れていた人は4%ほど余裕がありました。バーナードはここから飛ばしていくつもりだったと思いますが、ほどなくミュラーとサム バードの接触が発生し再びSC、バーナードのアタックも無駄打ちとなってしまいます。それはそうと、マクラーレンの閉鎖で来年の仕事が危ういバードとすると リタイアは避けたかった場面、接触後にむちゃくちゃミュラーに対して怒っています。
26周目にリスタート、まだアタックを使っていない人が大半なので8分残っておりここからはわりとどんどん使うしかありません。2位のベアラインはまっすぐアタックへ、当然順位争いがさらに混沌としてきてもはや誰が何でどうなっているのか、捕捉するのが難しい状況です。29周目にはロウランドが一時的にリーダーになる場面があった一方で、気づいたら33周目にはベアラインがほぼ最後尾まで落ちていました。彼はアタック2分を使いましたが、多くの選手は4分を使ったので次々と抜かれてしまい、さらに先頭を走りすぎたツケでエナジー残量も不足しているため挽回が出来なくなった、というのが大きな理由でした。
・ピットブーストは結局何%からなのか分からない
今日のレースではピットブーストがありませんが、今年ようやく導入されたこの制度では今のところ『エナジー残量が60%~40%の間』に充電を実施することが義務付けられています。しかし前日のレースでは国際映像の表示を見る限りピットブーストが可能になったエナジー残量は60%ではなく55%前後でした。以前東京の際にも私はやはり60%ではなく67%あたりで表示が出ていることについて書いたと思います。
で、ちょっと調べてみたところ2月のザ レースの記事の中にヒントになるものがありました、というかこの記事は一度読んでるんですけど見落としてました。この記事によると
☆以下引用☆
☆引用終わり☆
レースで使用可能なエナジー量、例えば38.5kWhに対する60%~40%という意味ではないとのこと。じゃあピットブーストの基準として使われる60%は国際映像でいつも我々が見ている数字で言うと何%なんだ、という話になるとさっぱりわからないわけです(笑)
なにせレース中のエナジー使用量というのも回生に対して一定の係数がかけられていたり何かと複雑なものがありますし、実際はパワートレインから出し入れされる走行関係の能力以外にもバッテリーから取り出されて使用されている電力というのもあるはずなので、これはもう正確につかむことは素人では難しい気がしました。とりあえず『国際映像の60%という数字が基準になってはいない』ということだけ覚えておこうと思います。
ちなみに普段のレースではエナジー総量は38.5kwhで運用されることが多いですが、オートスポーツ誌 No.1610の記事によると東京E-Prixで予備用として裏側の区画に置いてあったバッテリーに貼られているラベルには『容量 47.0kwh』と記載されていたので、実際の最大蓄電容量は47kwあるようです。じゃあここから計算しての60%か?というとそれだとウインドウが73%ぐらいのタイミングで開いてしまうので、そういう意味ではないんですねえ。
・練習走行
また雨になってしまったFP3、開始11分ほどでダコスタの車両の右後輪が脱輪してレッドフラッグ^^;
・練習走行
また雨になってしまったFP3、開始11分ほどでダコスタの車両の右後輪が脱輪してレッドフラッグ^^;
さらに残り8分ほどのところでルーカス ディ グラッシがターン2で全くと言ってよいほど減速できず壁に突っ込み車両が大破。これでFP3は強制終了となりました。ローラ ヤマハ アプトは今回スーパーマンの特別スキームでしたが、ディグラッシの車は思いもよらぬ形で宙づりになりました。
あんまり参考にならないですがFP3最速はブエミ、300kWではヒューズが最速でした。
・グループ予選
雨が上がって 路面が回復していく方向の予選、今日はちゃんとデュエルスまで開催される 通常の方式です。まずA組のドライバーは当然ながら走れば走るほど速くなっていくのでピットに入ることなく、時々タイヤを冷やしながらもひたすらアタック。選手によっていつがアタックでいつが冷却なのか差があるため、セッションの後半にかけてはちょっと危ない場面も目にしますが、そんな中でセッション残り54秒で事故発生。
ちょうど2番手タイムを出したばかりのヒューズが直後のターン2でクラッシュ。FP3のディグラッシと同じような事故でレッドフラッグとなり、A組の予選はそのまま終了しました。最速は1分1秒870を記録したバンドーン。ヒューズはレッドフラッグの原因を作ってしまったので最速が抹消されて次点のタイムでは6位でした。これで以降のドライバーが繰り上がって2位がバーナード、3位ティクタム、そして4位にロウランドが入りました。ロウランドはそこまでの流れではデュエルス進出は難しそうにも見えたんですが、強制終了したタイミングに運を感じました。
ちなみにヒューズ、全然止まらないので一旦は手首を怪我しないためステアリングから手を離したものの、このままでは真っ直ぐ壁に突っ込んでしまう!と察知してもう一度ステアリングを握り、わざと少し右に切って浅い角度で右側の壁にぶつけてから正面の壁に突っ込ませていました。ものすごい反応だったと思います。
このクラッシュの関係で少し予定より遅れて始まったB組のグループ予選では開始5分で早くも最速タイムが1分を切り、もうほとんどドライ コンディション。結果同じタイヤで走り続けると遅いので交換する陣営も出ました。最速はベアラインで59秒048、なんと同じタイヤで走り続けて7周目と11周目の2度このタイムを記録しました(笑)2番手にチームメイトのダコスタ、3位フラインス、4位はニコ ミュラー。昨日の勝者・エバンスは0.03秒届かず5位でデュエルスに進むことができませんでした。
・デュエルス
ついさっき強い日差しが出ていたのにデュエルスまでの待ち時間にパラッと通り雨、非常に面倒くさい状況。A組の対戦ではティクタムがバーナード、ロウランドを倒して決勝へ勝ち上がりました。1回戦は雨がパラついた後に最初に走る立場だったのでどのぐらい攻めたら良いのか難しかった上に、そもそもグループ予選とも全然条件が違うので難易度が高かったと思うので、非常に質の高い仕事をしたと思いました。
・デュエルス
ついさっき強い日差しが出ていたのにデュエルスまでの待ち時間にパラッと通り雨、非常に面倒くさい状況。A組の対戦ではティクタムがバーナード、ロウランドを倒して決勝へ勝ち上がりました。1回戦は雨がパラついた後に最初に走る立場だったのでどのぐらい攻めたら良いのか難しかった上に、そもそもグループ予選とも全然条件が違うので難易度が高かったと思うので、非常に質の高い仕事をしたと思いました。
一方のB組は準々決勝を順当にポルシェの2人が勝ち進んだため準決勝はこの2人の対戦。まあこういう時は八百長対決になって当然なんですが、今回はそんな必要もないぐらいベアラインが異次元に速く、他には誰も出せない57秒台のタイムを並べて勝ち進みました。決勝はベアライン 対 ティクタムになります。
デュエルス決勝、ティクタムはいきなりターン2でエイペックスにつけず0.1秒ほど失ってしまうと、本日絶好調のベアラインに対してはこれがもはや致命傷になってしまいました。ベアラインは3連続の57秒台となる57秒850を記録、ティクタムの58秒008もデュエルス全体で2番目の記録なのでむちゃくちゃ速いんですが相手が悪かったというやつでした。ベアラインがジュエリアスベアポールを獲得、大逆転チャンピオンのために絶対に欲しい3点を見事に手にしました。
デュエルス決勝、ティクタムはいきなりターン2でエイペックスにつけず0.1秒ほど失ってしまうと、本日絶好調のベアラインに対してはこれがもはや致命傷になってしまいました。ベアラインは3連続の57秒台となる57秒850を記録、ティクタムの58秒008もデュエルス全体で2番目の記録なのでむちゃくちゃ速いんですが相手が悪かったというやつでした。ベアラインがジュエリアスベアポールを獲得、大逆転チャンピオンのために絶対に欲しい3点を見事に手にしました。
スタート順位はベアライン、ティクタム、ダコスタ、フラインス、ミュラー、 バンドーン 、バーナードと続き、昨日の接触事故で5グリッド降格のロウランドは8位スタート。デュエルスで勝ち進んだおかげでそこそこの位置からスタートできることになりました。
・決勝
ようやく晴れたベルリン、今日はそれなりに エナジー節約が必要になるレースです。スタートでトップ2は順位が変わりませんでしたが、バンドーンは明らかに戦略的な動きであっという間に6位から15位あたりへ後退、ここにはチームメイトのヒューズがいました。
グループ予選から約5秒落ちとなる1分4秒台のペースから入ったレース、チーム戦略はクープラ キロも採用したようで、12位スタートのベックマンが真っ先にアタックモードを使用して一気に先頭まで移動し、ティクタムの風よけになってあげる場面がありました。どうせならリタイア覚悟でエナジーを使って引っ張り続けるぐらいのわりきりがあっても良いかなと思ったんですが、さすがにベックマンにもちゃんとレースをさせてあげないといけないため、この後は節約の必要に駆られてベックマンはすぐ10位以下に戻っていきました。
その後もティクタムとポルシェの2人は順位を入れ替えつつ常に上位を維持し続けました。ここからなんとベックマン以外誰一人アタックを使わないままレースは17周目に突入します。するとこの辺りからようやくエナジー管理に関する考え方がばらつき始めたのか、コース上では急速に2ワイドの争いが増加して陣とり合戦が始まりました。接触でティクタムはやや後退、ロウランドとエバンスに挟まれましたがロウランドとしてもちょっと危ない場面です。
18周目、ようやく10位を走っていたモルターラが2人目のアタックモード使用者となりレースのさらなる動きが期待されましたが、続く19周目にブエミの車がコース上で止まってしまいSC導入、モルターラのアタックは無駄打ちに(´・ω・`)
22周目にリスタートすると、このSC導入直前に先頭に出ていたバーナードが即座にアタックへ、SC中に表示されたエナジー残量によるとポルシェの2人はいずれも残量がやや少なく、バーナードなど後ろで待っていた人たちの方が2%ほど、中団以降で隠れていた人は4%ほど余裕がありました。バーナードはここから飛ばしていくつもりだったと思いますが、ほどなくミュラーとサム バードの接触が発生し再びSC、バーナードのアタックも無駄打ちとなってしまいます。それはそうと、マクラーレンの閉鎖で来年の仕事が危ういバードとすると リタイアは避けたかった場面、接触後にむちゃくちゃミュラーに対して怒っています。
バードはターン1・2で内側に入って抜こうとしたのに、ミュラーがリフトしながらゆらーっと内側に動いたためにタイヤ同士が接触。バードは車が壊れてターン2の先で止まってしまいましたが、同じくパンクしたミュラーが行き場を失って刺さってしまい奇妙な状況が完成しました。ミュラーはこの後タイヤを換えてレースに戻ります。
26周目にリスタート、まだアタックを使っていない人が大半なので8分残っておりここからはわりとどんどん使うしかありません。2位のベアラインはまっすぐアタックへ、当然順位争いがさらに混沌としてきてもはや誰が何でどうなっているのか、捕捉するのが難しい状況です。29周目にはロウランドが一時的にリーダーになる場面があった一方で、気づいたら33周目にはベアラインがほぼ最後尾まで落ちていました。彼はアタック2分を使いましたが、多くの選手は4分を使ったので次々と抜かれてしまい、さらに先頭を走りすぎたツケでエナジー残量も不足しているため挽回が出来なくなった、というのが大きな理由でした。
33周目、上位勢では比較的早いタイミングでロウランドが2回目のアタックに突入、ここから2回目のサイクルとなってもちろんまた後ろの人たちに抜かれてしまうわけですが、最初の26周は一体何だったんだろうかという展開です。そんな中、36周目に先頭に立ったのはなんと20位スタートのキャシディーでした( ゚Д゚)
レースは3周延長されて合計41周となりますが、エナジー残量不足のポルシェは2人とももはや勝負権なし、キャシディーはレース序盤に節約していたおかげで1分を切る圧倒的な速さで独走します。ロウランドはなんやかんやうまいこと4位を走行しており、さらに残り2周ではフラインスの車が止まってしまったために数十秒だけFCYが出されて彼にとっては追い風になりました。
優勝はニック キャシディー、20位スタートから弱者の兵法で節約し、30周目の段階でもまだ17位だったところから5%近いエナジー残量差を活かして勝負を決めました、ジャガーがまさかのベルリン週末連勝。2位は同じく後方待機作戦だったジェイク デニス、この人も16位スタートでだいたいキャシディーと似たような位置を走っていました。3位はベルニュ、こちら16位スタートで8位あたりの中団で隠れて節約しており、後方待機組には負けましたが作戦としては成功でした。
そしてロウランドは見事4位でチェッカーを受けました。ベアラインはポールスタートからまさかの15位で入賞できず。この瞬間オリバー エリック ロウランドのABB FIA フォーミュラ E 世界選手権 シーズン11の世界チャンピオン獲得が決定しました。ロウランドにとって主要なシリーズでのチャンピオンは2015年のフォーミュラ ルノー 3.5 選手権以来だと思います。この時シリーズで3位だったのがデフリース、2位はWECでお馴染みのマシュー バキシビエールでした。
5位にエバンス、6位はバーナード。最後はロウランドの後ろで激しく争い、バーナードはかつてのカート時代の恩師が順位を守れるように手助けした形になりました。もしロウランドが5位だったら今日は決まらなかったんですね。そして7位には代走ドライバーのドルゴビッチ、混戦だったという点はありますがキャシディーたちと同じ後方待機作戦でぶつけもせず独特なレースをこなしたのは好印象、フォーミュラE向きの選手でしょうか。ダコスタ、セッテカマラ、ヒューズが入賞しました。
マニュファクチャラー選手権ではポルシェが日産を2点だけ引き離して7点差、チーム選手権は日産が7点だけ追いついて23点差で最後のロンドン2連戦へと向かうことになります。日産は1冠か3冠か、マニュはある程度バーナードに期待し、チームの方はナトーに期待するしかありません。ただ少しだけ期待できるのは、ナトーは『シーズン最後の2連戦』『ロンドン』の2つの要素には妙に強い傾向があることです。
・久々の節約レース
まずこのレースについて振り返ると、後方待機作戦が正解になりました。Gen3Evoになってどちらかというと『賢くエナジーを使いつつアタックモードで上手く前に出て逃げる』レースが増えていましたが、今回はみんなが動かずに待ち続けたこともあって久々に『エナジー残量差を使って抜く』というパターンになりました。
誰かがレースを動かしていれば他の人の行動パターンも変わったんだと思いますが、主に後述するポルシェの飛ばしすぎがきっかけで後ろの人は『とりあえずエナジー的に問題なくなるまで我慢する』という去年までの戦略に見事に集中してしまった、というところかなと思います。SCが導入された際にアタック使用の有無に差があればこれもまたリスタート後に動く要因でしたがほとんどそれも無かった上に、元々想定よりもやや早くてSCがあってなおそんなに余裕が無いことが節約していた人を有利にしたのかなと思いました。
低迷するジャガーとすると雨と節約で想定外に連勝してちょっとしたボーナスのような感じで、退任する代表・ジェイムス バークレイにとっては最後に良い思い出、後任となる人は良いモチベーションになりそうです。もっとも、パワートレインの性能不足という根本はたぶん解決できていないわけですが・・・
・ポルシェ、単に飛ばしすぎた感
元々ほとんど不可能な差だったとはいえ、ベアラインの逆転チャンピオンへの戦いはえらくあっけなく終わりました。チーム代表のモドリンガーさんによると、この週末を前にして『もし予選で成績が悪ければ後方で節約する』ということを決めていたそうなんですが、実際は前方スタート、しかもカスタマーのクープラキロもいて、一時はトップ5にポルシェが4人も集まっていました。
彼らとすると前方スタートでわざわざ集団に入っていくことで事故の危険性を背負うよりは、自分たちでうまく戦ってまとめようとしたわけですが、実際はエナジーを使いすぎた上にどうやらタイヤも早い段階で摩耗したようです。元々ここはタイヤには厳しいコースですが、そこに加えて雨が続いていてラバーが全然乗っていないので路面が粗かったことが要因かもしれません。
レースの終盤にJ SPORTS側の実況でサッシャが「ベアラインは350kWは速いけど300kWになると遅い」と指摘していましたがおそらく非常に的を射た指摘で、タイヤの摩耗によってトラクションがかかりにくくなり、4WD状態ならそれを覆い隠せても後輪駆動だと無理があったと推定できます。サッシャさんはトラブル等を疑っての発言だったのかもしれませんが、それでも非常に良い気付きですごいなとこれを書いていて思いました。マジで1人で実況解説できるぐらいサッシャさんはフォーミュラEについて詳しく理解されていると思います。
サッシャさんの話は置いといて、ポルシェは見た感じクープラキロと何か予め連携するつもりがあったようには見えませんでした。ティクタムはベアラインを風よけにしていましたし、ベックマンの動きは結果としてほぼ邪魔なだけでしたからね。そもそも本来ならダコスタがすぐ前に出てベアラインを引っ張ってあげ『ナンバー2』の仕事を完遂するように仕向けることもできたと思いますが、現実にはドライバー以外の2つの選手権があるので捨て駒を作りにくい、極端なナンバー2扱いができない、そして何より金曜日のFP1でぶつかっていて関係性が最悪、とベアラインは仲間が多いように見えて実際はあんまりそうでもないのが痛かったと思います。
どのみち先頭スタートで勝つのは簡単ではないし、2人でそこそこの順位で入賞してメーカーとして日産に勝てれば、というのもあったと思うのでなかなか難しいところですが、結果としてほとんど何も持ち帰れずに終わったことを考えるとせめてダコスタは開き直って後方待機の別の作戦に置いておくとか、ペロトン スタイルのレースを仕掛けて抜きたいやつは抜いて行け、とするぐらいの割り切りが必要だったかもしれません。
・ロウランドおめでとう
そして最後にロウランドです。振り返れば彼は本来はここにはいなかったかもしれない選手でした。日産e.damsはシーズン5のドライバーとしてアレクサンダー アルボンと契約していましたが、レッド ブルが横取りするような形でトロ ロッソの選手としてF1に連れて行ってしまい、急に空いた穴を埋めるために契約されました。マヒンドラでニック ハイドフェルドの代役として1戦、またルノーe.damsでブエミの代役として待機したこともありましたが、FIA F2でシーズン3位の25歳というすごいようなちょっと物足りないような微妙な経歴。
それが第6戦・三亜でポールポジション、決勝2位といきなり活躍して掘り出し物感を見せ、翌年には初優勝までした、のに3シーズンでマヒンドラへ移籍。しかも3年目の途中でもう移籍が発表されて正直日産とすると『蹴られた』感じでした。ところがそのマヒンドラでも1年半過ごしてあまりの競争力の無さに失望し途中解約。で、結局ドライバーを求める日産に帰ってきました。
たまたま席が空いたことで正ドライバーとして拾い上げてくれたメーカーを捨てて移籍し、でもそれが大失敗で出戻り、あんまり印象としては良くない、よく言えばものすごくプロフェッショナルということになりますが、結果が出なかったらもう次はない状況なのは間違いなかったと思います。
そんな中でGen3の車両とレースのやり方が彼に合っていたことは間違いなく、特にレース全体を把握する能力と、それに対して自分が今攻めるべきなのか抑えるべきなのかという状況判断、そして攻めると決めた時の突破力は抜群のものがあると思います。Gen3Evoのアタックモードは彼のやり方に最適の制度なんじゃないかと思いますね。「甲子園は清原のためにあるのか」、じゃないですけど「Gen3Evoはロウランドのためにあるのか」という感じです。
レッドブルがもうちょっとマシな人材育成を行っていたらアルボンが呼ばれることはなく、そうするとロウランドはおそらく日産に乗っていなかったでしょうし、下手したら1年もフォーミュラEと関わらずに終わったかもしれません。当時私は「日産にアルボン返して~(T T)」なんて書いていたような気がしますが、ロウランドがこれほどの力を持つことになるとは全く想像していませんでした。だってアルボンは見るからに速そうでしたから。
1周の計測が速い選手をテストで見つけるのと比べると、実際にフォーミュラEでレースをしてマネージメントを的確に行うことができる選手を見つけるのは遥かに難しく、しかも最初からできる人はおそらく誰もいないので起用して教えて慣れてもらって、そこからの伸びしろをチームが判断するしかありません。ぶっちゃけ2年前の段階でも私は日産の『本命』はサッシャ フェネストラズで、ロウランドはフェネストラズが育つまでのベテラン枠という感じだろうと甘く考えていました。実際はフェネストラズは伸びを欠いてしまい、ロウランドは世界王者です、私は見る目が無い(笑)
たぶんこれほど伸びる選手はそうはいないですから、日産は活動を継続するのならロウランドを大事にしないといけないし、彼が途中でそっぽを向くことが無いように油断せず開発を続けないといけません。ジャガーを見れば分かりますけどパワートレインの世代が変わると突然勢力図がひっくり返ります。
次戦は2週間後、最終のロンドン2連戦です。
コメント
まずは日産 ロウランドおめでとう!!!。会社本体が傾く中でもしっかり結果を残す。これだけ素晴らしいことはありません。ただしヨーロッパ日産と日本の温度差が気になりますが...。 GT-R LM NISMOなど前科があるので仕方ないか...。
ピットブーストで戦略に幅ができても自力があるのが大切ですね。確かに節約レースや全開レースが同じシリーズで楽しめるのはマルですがどんなレースになるかフタを開けてみなきゃ分からないのは如何なモノかと個人的には思いました。
車両の見た目が一緒で目に見えないパワートレインが違うとなるとインディカーが思いつきますがバッテリーの問題でオーバルレースは期待できないのでコースバリエーションで変化をつけれない...。ここで!
ここはスーパーバイクを見習って
土曜日レース1(ピットあり)
日曜日レース2(レース1と同じグリッドからスタート。エネルギーは一緒で距離半分のガチ 上位8人はレース3のグリッド確定)
日曜日レース3(ピット無し)
スーパーバイクはピレリが悲鳴あげない限りピットはないためそこがオリジナル。
革新的なクルマ、シリーズを謳うならアレコレもっと試せ〜w
俺らのクルマ下に見られとるらしいがこんだけ速いんだぜ!アピールもそろそろしていいんじゃないかな???
さ、スイカ食べてこよっ。
お久しぶりです!!(笑)再来年からGen4になると車がさらに速くなってその時どっちの方向に進むのか、というのがポイントだろうと思いますが、『普通のレース』だとたぶん没個性なのでそのぐらいの思い切りはあっても良いかもしれませんね。ただあの人たちにスプリントやらせると修理代がエライことになりそうで不安ですけど。