Formula 1 Aramco Gran Premio de España 2025
Circuit de Barcelona-Catalunya 4.657km×66Laps(-0.126km)=307.236km
winner:Oscar Piastri(McLaren Formula 1 Team/McLaren MCL39-Mercedes)
F1初夏のヨーロッパ3連戦、イモラ、モナコとこなして締めくくりはスペイン・バルセロナのカタロニア サーキットです。ターン アングルの大きい回り込む形状のコーナーが多くて低速と呼べるコーナーがほとんど無い空力サーキット。かつてはオフのテストもここだったので新人さんも走行経験があり開幕前と現時点での車両アップデートの成果も見やすい場所と言われましたが、テストがバーレーンに移ってしまったので数多くある「昔からF1やってるからみんなよく知ってる」というだけのコースになりましたね。
コース特性的には左側のタイヤばっかり負担が大きいので賢く使うことが重要、ここも抜けない部類のサーキットですけどまあモナコと比べればマシなもんでしょう。空力効率が大事なコースなので、なかなか運転手さんの腕で車の性能差をひっくり返す結果を出すのが難しいとも言えます。
昨年は3連戦の初戦での開催で、ノリスが僅差でポールポジションを獲ったもののスタートで3位に後退。フェルスタッペンは2位スタートからあっさりと前に出たあとは常にレースを支配し、タイヤの履歴差でなんとか追いつこうとするノリスに手を出させずに優勝しました。一方VCARBは投入した新型のリア ウイングに不具合があってモナコ仕様で走るという苦行を強いられ、その後の車両開発にも影響する低迷ぶりでした。
ところでスペインGPですが、F1は来年からマドリードの市街地も使用した新しいサーキットでの開催を2024年に発表しており、先ごろそのコース名が『マドリンク』と称されることと、そのCGによるイメージ動画が公開されました。カタロニアサーキットでの開催契約も2026年まで残っているので来年はスペインで2戦が開催される見通しですが、2027年以降はバルセロナが消える可能性が指摘されています。
・レース前の話題
このレースからフロント ウイングの強度検査が厳格化されます。ウイングがたわんで有利だなんだというのは常に発生している話題で、今のところ違法なウイングは無いということもFIAは確認しているんですが、インチキが広がらないように厳しい基準になりました。シーズン途中からの変更ですが、FIA側はその理由として昨年の後半にこの方針が決まったので開幕からの導入はチームの財政的な負担になるから遅らせた、としています。
・練習走行
FP1はノリス、FP2はピアストリが最速で、土曜日のFP3はピアストリ、ノリスのワンツー。空力効率が求められるコースでマクラーレンを倒すのはちょっと難しそうです。
・予選
Q1残り3分30秒、最後のアタックに向かおうとしてピット出口にお馴染みの間抜けな大行列ができましたがまさかの事態。列の前方にいたコラピントは車に問題が発生して動かないようで、後ろの人が全然ピットを出ることができません。やむを得ず後続はピット内でコラピントを避けて抜いて行きますが明らかに予定が狂っています。その影響があったのか、残り10秒ほどでギリギリ計測に入った角田がなんと最下位。母国レースのサインツも18位で脱落しました。1位のピアストリから15位のオリバー ベアマンまで0.523秒差、最下位の角田でも0.834秒差、車に自信を持てていなければすぐに落とされます。
本日のポール争いはマクラーレン、Q3・1回目の計測では先に出したピアストリの1分11秒836に対して、後から来たノリスが0.017秒だけ速く走って暫定1位。ただ、2人はちょうど1周ズレてのアタックで、ピアストリがアタックを終えるタイミングのセクター3でノリスが道を譲っていました。ピアストリからすると多少なりとも気になるし、自分のスリップストリームを使いに来ているのでちょっとズルく見えている様子。
2回目のアタックはノリスから先に入って同じサイクルでのアタック、ノリスは僅かな記録更新にとどまった一方でピアストリは0.2秒以上更新する1分11秒546を記録、ノリスを0.209秒も突き放しました。もちろん他の選手は全然マクラーレンに届かないので結果としてはピアストリだけがぶっちぎりで今季4回目のピレリポールを獲得しました。1位と2位の差0.209秒は今季最大でした。
3位はフェルスタッペンで1分11秒848、4位はラッセルで1分11秒848、なんと同タイムでした。ハミルトン、アントネッリ、ルクレール、ガスリー、ハジャー、アロンソのトップ10。アロンソはQ3の新品タイヤが1セットだけなので他の人が走っていない時間に1人だけ走行、その段階では5位の記録を出してお客さんから大歓声を貰い本人もご満悦でした。なおアロンソはカタロニアサーキットのアンバサダーに就任したことが発表されており、マドリードでのレースが始まってもバルセロナが残るようにする機運を高める狙いがあると思われます。ちなみにマドリードもアンバサダーがいてサインツが就任、スペイン人同士で喧嘩になっちゃう。
・決勝
なんとストロールが急遽欠場。2年前の2月、自転車でトレーニングしていた際にタイヤのパンクで落車しけっこうな大怪我をしていましたが、この時の怪我に起因する痛みがここ数週間再発したとのことで、改めて手術を受け回復に専念するとのことです。ちなみにストロールは昨年のスペインでも出演必須のイベントを医者に行くため欠席し、それをチームがちゃんと運営に伝えていなかったので無断欠勤になって戒告処分を受けていました。なんか相性悪い?^^;
というわけでグリッド上は19人、うち角田はセッティング変更でピットレーンからのスタート。タイヤ選択はピットから出る角田以外全員ソフトで2ストップ想定、マクラーレンの2人は予選で使い切らずとって最後までとっておいたE缶新品ソフトです。フェルスタッペンは中古スタートですが新品を在庫で持っています。
スタートではノリスが今ひとつ、フェルスタッペンはそこそこ良い蹴りだしだったので順位が入れ替わりました。他にも結構変動が多く、1周目を終えてピアストリ、フェルスタッペン、ノリス、ハミルトン、ルクレール、ラッセル、アントネッリの順。
フェルスタッペンは最初の2周だけとにかく頑張ってみる作戦だったのか、DRSを使ってピアストリを抜けなかったらその後にもう距離を取りました。ノリスは3位になったら最初からフェルスタッペンと距離を取っており、無理せずタイヤを使っていると思われます。問題はフェルスタッペンに煽られたときにピアストリがどのぐらいタイヤを使わされたかですね。
10周目辺りから1回目のピットサイクル到来、フェルスタッペンはピアストリから4秒近く離されており、ノリスはずっと付き合ってもいられないのでタイヤを使ってDRS圏に接近。13周目のターン1で仕掛けるとフェルスタッペンは内側を空けてほぼ譲りました。タイヤがしんどいマックスはこの周を終えてタイヤを交換し、またもやソフトを投入。ノリスからすればすぐに対応しないとフェルスタッペンにアンダーカットされてまた後ろを走ることになってしまいますが、見ているのはあくまでピアストリなのでここはレッドブルを無視して走り続けます。
そのままフェルスタッペンを無視し続けたところ、マクラーレンはノリスどころかピアストリすらフェルスタッペンにアンダーカットされる状態となっており、ピアストリには無線で「25周目まで伸ばせるか?」という質問までしているので全然作戦が違う様子。ただピアストリの返答は「行けるけど相当しんどい。」だったので危険性が高いと見たようで、21周目に動きました。ピアストリから5.6秒も離されてしまったノリスが先にタイヤを交換してソフトからミディアムへ。翌周にピアストリも同じくミディアムへ、これで見た目上はフェルスタッペンがリーダー。
そのままフェルスタッペンは29周目までレースをリードして2回目のタイヤ交換、ここでミディアムを投入して残りが37周、さすがにタイヤがしんどいと言っておいてこれで最後までは走らないだろうから3ストップと思われます。これでマクラーレンのワンツーに戻りますが、国際映像制作チームは全く興味を失ったようで全くテレビにオレンジ色の車は映らなくなりました(笑)
ようやくマクラーレンの姿が話題に戻ってくるのは40周が近づいたころでした。フェルスタッペンがコース上でルクレールを抜いて3位に戻り、タイヤが新しいので前の2人よりも早く走っています。追いかけてくるのでノリスもペースを上げており、結果としてピアストリに少し追いついてピット後の4.5秒差が3秒差に縮まりました。
これが45周あたりになるとフェルスタッペンはヘタってきて勢いが弱まり、そしてノリスもまたピアストリから離されてきました。ピアストリから5秒以上離されてノリス、そこから4秒強離されてフェルスタッペン、という状態で47周目にまず失うものが無いフェルスタッペンが先にピットへ、ソフトに交換しました。
当然マクラーレンはノリス、ピアストリの順番でピットに呼び寄せていずれもソフトへ。フェルスタッペンはギャンギャン攻めてノリスのDRS圏に入り、スタート直後の対ピアストリと同様に1回限りの勝負を仕掛けに行ったようですが、運悪くノリスの前に周回遅れがいたので相手もDRSを使ってしまいました。ああ、これで今日のレースはもうネタ切れだ。
ネタ切れっぽいのでとりあえず私は水を飲みに行って戻ってきたら55周目、この3連戦でやたらと車が壊れるメルセデスにまた問題、アントネッリがPU関係の不具合でスナーバックスに突っ込んで停止、SC導入となりました、ネタ復活。これで上位勢は一斉にピットに飛び込みました。マクラーレンの2人はソフトでしたが、フェルスタッペンは中古ソフトではなくまさかの新品ハード。視聴者もフェルスタッペンも抱いた感想は同じで「何でハード?」
61周目にリスタート、いきなりソフトからハードに乗り換えたらグリップ感分からないんじゃ、という不安は的中してフェルスタッペンは最終コーナーでいきなり滑ってすっ飛びかけました。ルクレールには簡単に並びかけられ、さらにターン1でラッセルにも飛び込まれました。ラッセルはちょっと突っ込みすぎてフェルスタッペンを押し出す形になったので、フェルスタッペンはコース外に逃げて4位のまま合流。
この動きに対してチーム側はペナルティーの可能性を感じてラッセルに順位を返すように指示しますが、フェルスタッペンはリスタート直後にルクレールに幅寄せされた!ラッセルに押し出された!こんなタイヤ選びやがって!とキレまくっている状態、64周目のターン4でラッセルに譲るのかと思ったら、減速した後に急加速してまさかのインから体当たり。その後改めて譲り直しはしますがさらなる審議案件です。
結局フェルスタッペンに全ての注目が集まってしまいリスタート後のマクラーレンは全く触れられることなく気づいたらもうチェッカード フラッグが振られていました。ピアストリがポールトゥーウィンで今季5勝目を挙げました。ノリスが2位に入ったことでマクラーレンはチーム史上52回目のワンツー フィニッシュ。スペインでのワンツーは2000年のミカ ハッキネン、デイビッド クルサード以来25年ぶりでした。また、ピアストリは8戦連続表彰台となり、これはマクラーレンではアイルトン セナ、ハミルトンに次いでチーム史上3人目です。
3位は予選を多少犠牲にしてでも決勝にミディアムを2セット残しておいたルクレール、スペインでは初表彰台で、そもそもフェラーリがスペインで表彰台に乗るのが2017年以来でした。4位はラッセル、フェルスタッペンはラッセルにぶつけた件で10秒加算のペナルティーを受けて10位に転落。繰り上がって5位になったのはなんとザウバーのニコ ヒュルケンベルグ。予選は16位でしたがスタートからの混戦を上手く抜けて10位あたりを走行し、最後のSCの際に残しておいた新品ソフトが活躍。ハミルトン、ハジャー、ガスリー、アロンソが続きました。アロンソはコース外に飛び出す自滅があったりして苦戦してる様子でしたがなんとか入賞で締めましたね。
・フェルスタッペンのタイヤに在庫は無かったのか
このレースの注目点は完全にフェルスタッペンのタイヤ在庫になりました。建前上、フェルスタッペンの手持ちタイヤには新品ハードの他に予選で使用した中古ソフトがあったはずで、フェルスタッペンの予選は全て綺麗に3周でまとめたので特段ボロボロだったわけでもないはずです。でもそれなら「何でハードなん?」という問いかけに「これが唯一の選択肢やねん。」なんて返答にはならないでしょう。いくら何でも中古ソフトと新品ハードのどっちが有効か計算できないわけはなく、使えない理由があったと考えるのが妥当です。
決勝前の確認走行=レコノサンス ラップでフェルスタッペンはソフトを履いて複数周回しています。レコノサンスで使うタイヤは決勝で使う気が無いセットを用いることが多いので、おそらく在庫で残っていたのはこのソフトと思われます。予選3周+レコノサンス周回が乗っかっています。チームはタイヤの細かい部分を調べてある程度"良いセット"といわゆる"ハズレセット"を振り分けているとも言われており、ひょっとしたらこれがハズレセットかもしれません。
それでもレコノサンスなんて全力で走っているわけではないので、隊列走行でじゅうぶんに熱が入れられない状態でリスタートするハードと比較して劣っているとも考えにくく、我々がうかがい知れない何かがこのタイヤにはあって選択肢から外れたか、あるいはさすがにこのタイヤを使う展開が可能性として低すぎたため、そもそもウォーマーに入れていないから使えなかった、ということもあり得るのかなと思いました。
もう1つ、フェルスタッペンにはステイアウトするという考えもありました。マクラーレンに食われるのは確実として、ルクレール以下に抜かれる危険性を新品ハードと比較したときにどうか、というのをチームは考えてタイヤ交換を決断したと思われますが、これはタラレバ要素が多すぎるし結果論になってしまうので難しい問題だとは思います。ただハードが遅いというのは去年のレースでも明らかな傾向だったので、ステイアウトの方がマシだったようには見えました。
で、その後フェルスタッペンはラッセルに押し出されたことでもうガタガタになっていきましたが、この押し出しの件についてレース スチュワードは結果的にはラッセルが姿勢を乱してフェルスタッペンは回避行動を取る必要があったので順位を返す必要は無かった、と結論付けています。マックスご乱心の要因はチームの考えすぎだったわけです。
レースを見るとこれより前にローソンとアルボンの争いで似たような事案があり、アルボンはコース外に逃げた後その場にとどまったら10秒加算を受けました。レッドブルはこれを見て「俺たちも同じ目に遭う」と恐れたんだと思いますし、ひょっとしたらサウジアラビアでの件もあるので余計に警戒したのかもしれませんが、強気な集団にしては珍しく慎重すぎて逆効果でした。その後のラッセルへの体当たりは問題外の行為でしたね。
それと、リスタート直後のラッセルもちょっと突っ込みすぎて危なかったですがローソンがターン1で何回か他者と絡んでいるのが気になりました。なんだかシーズンを通じて接触が多い印象ですが、今回のレースではターン1に届かない距離から突っ込んで行って接触している場面があり、なんというか極端な言い方するとグランツーリスモでレースのやり方が分かっていない人の動きみたいな、入って良い距離のコンセンサスが全然相手と取れておらず彼だけが「何で俺がいるのに開けてくれないんだ。」という動きになっているように見えました。かつてセルヒオ ペレスもそういう時期がありましたね。
昨年までに代役でVCARBから出場していた時も感じましたが、彼は自分こそが実力があってレッドブルに相応しいんだ、ということをちょっと見せようとしすぎているというか、レースが自分vs競争相手、ではなく自分vsレッドブルのお偉いさん、みたいな状態でちょっと周りが見えていないのかなあという印象を受けます。相手から全然信用されない状態が続くと他の選手もちゃんと正面から勝負してくれなくなりますから、ちょっと落ち着いた方が良いしチームもそのあたりを上手く伝える必要があるかなと思います。まあそういうことができず、ただ才能なんて放っておいても勝手に出てくるからそうじゃない人はさっさと捨てて次のやつを使えばいいや、という対応を続けてるから今みたいな状態になってるような気はしてるんですけど。
優勝したピアストリはもうタイヤのマネージメントが、というのは完全に消えましたね。今回は追いかけるノリスがちょっと接近してその後に離れたので印象としてむしろノリスの方がタイヤを傷めているようにも見えますが、このコースは左側のタイヤの温度をきちんと管理しないとタイヤがボロボロになるコース。ピアストリのペースはおそらく今のMCL39で無駄なく理想的に走れるペースで、これより上げてしまうと温度が上がってしまってどこかでペースを落とさざるを得ない境界線上だったのではないかと思います。
ノリスもたぶん同じペースで走り続けたらピアストリとの差を平行移動では行けたんじゃないかと思いますが、フェルスタッペンの接近に伴って速く走るよう指示が出されたのでペースを上げてしまい、結果として境界線を越えて攻めた分だけ後からお釣りが来た、と考えるのが良いのかなと思いました。車両とタイヤの性能からある程度限界ペース、レースを最短で走れるやり方が決まっていて、それ以外のことをやっても時短ができない、という感じかなと思いました。何にせよその設定タイムできっちりと走り続け、後ろに合わせた微妙なペースの上げ下げでレースを自分の手中に収め続けたピアストリはドライバーとして確実に昨年より1段階、いや2段階ぐらい進化したと思いました。
次戦は連戦が山ほどある中でポツンとはぐれて存在しているカナダです。
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