SUPER GT 第2戦 富士

2025 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL
富士スピードウェイ 4.563km Race time:3hours
GT500 Class winner:KeePer CERUMO GR Supra 石浦 宏明/大湯 都史樹
(TGR TEAM KeePer CERUMO/Toyota GR Supra GT500)
GT300 class winner:UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI 片山義章/Roberto Merhi Muntan
(VELOREX/FERRARI 296 GT3)

 オートバックス スーパー GT、第2戦は大型連休に開催される富士スピードウェイでの長距離レース、今年は昨年に続いて3時間耐久レースです。問題なくレースが進んだ場合はレース距離が従来の500kmをちょっと超えるぐらい、もしなんやかんや起きても終わる時間は同じなので帰りの時間が気になったりすることもありませんが、残り周回数の計算だけがちょっと難しくなります。
 昨年はGT500クラスではニスモのZがほとんど無風でワンツーフィニッシュ、GT300はウラカンGT3 Evo2にボンネットのルーバーを追加で投入したJLOC88号車が優勝しチャンピオン獲得の足掛かりとなりました。その後のシーズンを見るとZ NISMO GT500はやや苦戦気味、チャンピオンを獲ったウラカンは性能調整の影響かかなり苦労している様子ですが、優勝経験があるこのレースで結果を出せるかは注目です。

・レース前の話題

 ボーカルを担当していたバンド・doaが昨年12月をもって解散した吉本 大樹。しかし4月29日に新たなユニット・SO×DY(ソディー)の結成が発表されました。doaで一緒に活動していた大田 紳一郎というボーカル&ギターの方と新たに音楽活動を行うということで、結局は3人だったバンドから1名抜けて2人で再始動したような結果になりましたね。レーサーと歌手の二刀流復活です。去年解散の話題を書いたのに再結成を書かないのはフェアーじゃないので書いてみました(笑)

 第2戦に関する話題としては、長時間レースなので第3ドライバーを起用するチームがあり、今回は近年のGT500クラスとしては珍しくTGR チーム ウエッズスポーツ バンドウが小高 一斗を第3ドライバー登録しました。小高選手は今年トヨタ全体のリザーブという立場で契約しており、今回も基本的には緊急要因だと思いますがリザーブと第3ドライバーではまたちょっと格が違いますね。またaprはスーパーフォーミュラの事故で負傷して開幕戦に参加していなかったオリバー ラスムッセンが今回から合流しました。
 GT300のコンドー レーシングはジョアン パオロ デ オリベイラがなんと母国のBRB ストック カー プロ シリーズに参戦するためブラジルに帰っておりGTを欠場。代役としてスーパー耐久やGT ワールド チャレンジ アジアなどに出場している金丸 ユウが登録されました。オリベイラはブラジルストックカーでフル タイム ガズー レーシング(フルタイムというのはチーム名)からトヨタ カローラ クロスで参戦。インテルラゴスで行われた開幕戦は13位でした。このシリーズにはフェリペ マッサ、エリオ カストロネベス、ルーベンス バリチェロ、リカルド ゾンタなど世界的に有名なドライバーも参戦していることで知られます。
金丸=かなまる と読みます

 それと、公式サイトによると運営会社であるGTアソシエイションは運営や経営企画の新規人材を募集しているようです。スーパーGTに内部から関わってみたい!という方がもしいらっしゃれば早めにサイトをのぞいてみてください。今までこういうのは見たこと無いかなあ。あと今年に入って公式サイト自体がリニューアルされてるんですけどリザルトのページとかが現状すごく使いにくいので、どなたかもう少し整備をお願いします。

・予選

 GT300クラス、練習走行ではSUBARU BRZ R&D SPORT(6kg)が最速、割り当てられたQ1A組も井口 卓人が最速で通過しました。しかしD'station Vantage GT3は藤井 誠暢がQ1B組を最速で通過。路面条件が良くなっているのか藤井の記録は井口より0.4秒近く速いものでした。そしてQ2でもチャーリー ファグは1分34秒820とQ1より0.8秒も速い記録を出してポール ポジションを獲得、BRZ・山内 英輝も相棒を1秒以上上回る記録だったもののファグには0.062秒届きませんでした。この2チームは去年の第3戦鈴鹿でも予選最速を争ってましたね。

 一方GT500クラスはKeePer CERUMO GR Supraがポール獲得。Q1の石浦 宏明は3位通過、Q2で大湯 都史樹の走りがさく裂しました。Q1の最速はWedsSport ADVAN GR Supra・国本 雄資でしたが、Q2では阪口 晴南が0.083秒差の2位で惜しくも届きませんでした。映像を見ると大湯のアタックはセクター3で1.5秒ほど前方にARTA CIVIC TYPE R-GT #8(8kg)・松下 信治がおり、松下は次の周が本気アタックでこの周はタイヤの仕上げの周という感じでした。

 セクター3内でもじわじわ追いついて最終的に大湯は松下の1秒以内の距離感で最終コーナーを出ており、スリップストリームをけっこう使えています。セクター2までの高速コーナーはそこまで空力的に影響を受けず、多少存在は気になったでしょうが直線の伸びで取り分があったように思えます。ひょっとしたらこの0.083秒差はスリップの有無が関係していたかもしれません。これはぜひ公式さんに2台並べた車載映像を出してほしいところです、マジで比較してみたい。

 それとウエッズスポーツはポールは獲れませんでしたけど、昨年は合算方式でヨコハマタイヤが全然勝負にならなかったので、それを思うと富士で以前のようにしっかり走れる坂東組を見ることができてよかったと思いますね。

・決勝

 GT500はびっくりするぐらい無風でした。21周目から5分間ほどFCYが出た以外に全体に波乱がなかったこともあり、キーパーセルモは大湯でスタートして最初は40周/1時間3分あたりまで引っ張り、ドライバー交替せずそのまま第2スティントへ。ドライバー交替しなかったので2時間経過前には必ずピットに入る必要がある中で、2回目のピットは72周目/1時間53分経過時点とちょっと早めに区切って、残りの1時間5分は石浦が後ろとの差をしっかり維持。残り時間9秒ほどで新しい周回となる116周目に入り、結果として石浦が44周を走ってほぼ完ぺきな勝利を挙げました。


 なんとセルモの優勝は2019年の第2戦富士以来、当時はまだ車両がLC500でした。GRスープラが導入された2020年以降一度も優勝していなかったんですね。石浦選手も当然6年ぶりの優勝、大湯選手はARTA時代の2023年第6戦以来です。大湯選手と言えばテレビ東京の番組で流れるキーパーのこのCMが妙に印象に残ります、なんというかユーチューバー的な乗り(笑)



 無風だったGT500とは対照的にGT300は二転三転する内容でした。FCYが出た19周目、5位を走っていたPONOS FERRARI 296(8kg)・ケイ コッツォリーノと、10位あたりにいたLEON PYRAMID AMG(50kg)・蒲生 尚弥がピットに滑り込むことに成功。まだレース開始から32分ほどしか経過していないのでここからあと1ストップで走り切るのはタイヤも燃料もけっこうギリギリですが、とりあえずものすごい時間を省略して『裏の1位・2位』の状態になります。中継ではけっこう長い間レオンが前にいるような捉え方でしたけどポノス296忘れんといて^^;
 かたや正攻法では藤井でスタートしたヴァンテージは先頭を問題なく快走し32周目/開始55分ほどのやや早めに1回目のピット作業。とにかく速いからサイクルが違う人たちもそのうち抜けるだろうという雰囲気で見ていたら実際その通りになりましたが、なんと55周目に左後輪がパンクして緊急ピット。富士では左後輪が爆弾になりやすいですが、私のブログ記事によれば彼らは昨年のこのレースでも左後輪が3回パンクしており、対策はしたけどまたもや、、、という感じでしょうか。

 幸い致命的に遅くなったのはコースの終盤だったので損失は少なく、そのため見た目上は2回目のピット サイクルを終えても先頭にいましたが、両クラスとも車両の航続距離はがんばっても45周あたりが限界。55周目に給油したヴァンテージは残りが約1時間25分でしたから何も起きないとあと50周ほどレースが残っており、残念ながらこれで最後までは走り切れない状態でした。J SPORTSの放送席はなんか走れてしまう前提みたいな話になっていましたが、複数回のFCYやSCなど数周分の燃料を節約できるイベントが無い限りは勝負権が無い状態でした。

 これでレースは正攻法作戦ではBRZ、ズレたサイクルでポノス296とレオンAMG、という構図になりましたが、ここにもう1台割り込んだのが練習走行では1位と肉薄するクラス3位だったのに予選・Q1でほぼビリ、27位スタートだったUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIでした。速さはあったのでロベルト メリーはほんの10周でもう10位以内にまで大きく順位を上げており、32周目に1回目のピット作業で片山 義章へ交代、70周目に2回目のピットでメリーが再登場し驚くほど追い上げていました。
 レース終盤に入ってBRZ・井口をメリーが猛追、96周目の段階では16秒差でしたが4周後に10秒差、さらに4周後の104周目終了時点で4.2秒差。1周ごとに1.5秒近く追い上げており、残り時間は3分であと2周か3周かどっちだろうな~、という状況です。3周だと追いつきそうなのでR&Dスポーツは2周で終わってほしいところ。
 ところがGT500で書いたように石浦は残り9秒で新しい周回に入ったのでGT300は結果として107周でした。井口も最後の踏ん張りでペースを上げておりなんとか2秒差という逃げ切れそうな状態で最終周へ。R&Dスポーツは昨年のこのレースで燃料が1周足りずガス欠しているので怖いのはそれだけでしょう。

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 エンジンがあと2kmもちませんでした。YouTubeのスバル公式車載映像を見るとヘアピンを立ち上がってちょっと進んだあたりで壊れていたようです。これでユニロボブルーグラスフェラーリが参戦28台中の27位スタートからまさかの優勝。チームルマンは今年から『VELOREX(べロレックス)』という名称をブランドとして用いての参戦となっていますが、GT300で初優勝となりました。2019年を最後にGT500クラスから突然撤退し、2022年には開幕戦を終えていきなり本山 哲がドライバーから外れてメリーが加入する、というなんというかお金関係で色々ごちょごにょとあったのは間違いないですが、着実に戦える位置が上がって来ていました。あ、そういえば帝王はこの日のゲスト解説でしたね、心中複雑だったのでは^^;

 予選で遅かったのは片山選手の失敗かと思ったら謎のエンジン出力出ない現象が要因で、ターボの過給圧がどうもうまく制御できていないために毎回ちゃんとすんなり走ってくれないようです。開幕戦もおそらくそれが原因で最大過給圧違反によりレース後に失格になっていました。今回は違反してなくてよかったです^^;

・GT500 振り返り

 ここから個人的に気になった部分をいつくか。セルモのレースは完璧でしたが、ピット戦略はなかなか興味深いものでした。1回目のピットは40周目まで引っ張りましたがドライバーは大湯選手のまま。38周目以降に入ったチームは開始から1時間が経過していたんですが、12台あった1時間経過後のピット組でドライバーを替えなかったのはセルモ以外ではDelloitte TOM'S GR Supra(12kg)だけでした。
 最大運転時間は2時間なので、1時間を超えてからピットに入ったチームはここでドライバーを交代すると次の人が2時間を超えることがないため、2回目ピット作業時にドライバーをどうするかは自由度がありますし、2回目のピットの時期もある程度自由に決めることができます。継続で行くと次のピットは必ず2時間経過より前に行う必要があるので戦略の幅が狭くなり、万が一何かの問題でレースが途中で終わって再開されなかった場合には交代義務違反によるペナルティーを受けるという、非常に小さいながら受けると大きいリスクもあります。
 そんな中であえて元気な若者を連続で走らせたセルモ、2回目のピットは2時間ギリギリで行くのかと思ったら、それより5分ほど早いタイミングでした。40周→32周とここはかなり短く区切っており、結果として最後は44周という比較的長い距離が残りました。最後のピットが72周目より早かったチームは無く、同じ72周目にはARTA8号車も入っていましたが、こっちは1回目のピットを27周目と極端に短くしたのでこれで45周走破、燃料が限界でした。いわゆるミニマム作戦です。
 44周走るにはそれなりの燃費走行が必要で、出力がタイムに与える影響が比較的大きい富士では理論上の速さという点でやや不利、できれば大湯選手であと2周引っ張っておいた方が石浦選手も安心して走れるはずですから、けっこう攻めた設定でした。想像するに、1回目のピットは後ろとかなり大きな差が開いていたので、できるだけ飛ばしつつ距離も稼ぎ、ある程度給油して次に訪れる2回目の給油時間を減らす。そして2回目は万が一1~2周欲張ったがためにSCが出てしまったら最悪なので、理論上の速さよりもSC対策優先、差が大きいから燃費走行でも問題なし、という割り切りだったのかなと思います。

 一方で2位になったのは開幕戦の勝者・au TOM'S GR Supra(40kg)・坪井 翔/山下 健太でした。予選で7位というだけでもけっこうすごいんですが、チャンピオンらしい上手いレース運びで順位を少しずつ上げて行くと、ピット戦略としては坪井選手スタートで39周目に山下選手へ、そして80周目に2回目のピットで再度坪井選手へ、という均等割りに近い内容でした。最後の給油はセルモより8周も後だったので終盤にかけては追い上げて行く形となり、当初35秒以上あった差は最終的に11秒になっていました。おそらく使える燃料の差が関係していたと思います。

 トムスは昨年もそうでしたが、他の陣営がSC警戒で前のめりにピットに入ってしまうところを理論上最も速い均等割り戦略を基本としており、そしてドライバーは混戦で順位を取れそうな時は積極的に取る、でも車がサクセスウエイトで遅いのはどうしようもないので、無駄な争いはしないし抜けないならタイヤと燃料を節約して他の人が動くまで待つ、という考えを徹底しています。
 auトムスは先に優勝してサクセスウエイトが重いからライバルと同じ土俵で戦えば不利、そのため理論上での速さを念頭に置き、もしSCが出て大損してもしゃあない、どのみち同じことをやっても数ポイントしか獲れないんだ、という割り切りがあると思います。一方でライバルはSCが出てしまって実力と関係ないところで勝負権がゼロになるのは嫌だ、と考えるので早めに動くことが多く、そうすると燃料搭載量が多い状態で走るので、トムスからするとピット作業以降はサクセスウエイトの重量差がいくらか燃料重量差で相殺されます。
 また最大燃料流量を絞られていても、相手が燃費走行を強いられる状況だと差が小さくなります。SCさえ出なければ、ライバルの前のめり作戦はトムスにとっては一時的にトラック ポジションを失うもののハンデを一定程度相殺できるのでありがたい展開と言えます。既にこれで2連覇して確固たる戦い方を得ている、そして今年も開幕戦で勝ったからこその戦い方、お見事です。
 さらに坪井選手はサイド ドラフトを使うのも非常に上手く、86周目に松下選手を抜いた場面はまさに相手の斜め後ろに付き、サイドドラフトが効いた瞬間に一気に相手と距離を取ってサイドドラフト返しを食らわないようにするお手本の動きでした。まだSUPER GTでは認知度が低いサイドドラフト、選手の動きを見ていても失礼ながら素人目には「サイドドラフト効いて抜けそうだったのに何で並走してわざわざドラフト返しされてるの?」と思う場面があるんですが、今回の坪井選手はものすごく分かりやすい動きで効果が明らかだったので、この先1~2年で他のドライバーもどんどん研究・活用するんじゃないかと思ったりしますね。坪井選手は絶対研究してます、テレビ東京のSUPER GT+KYOJOでも相棒のヤマケンが坪井選手について「真面目」って言ってました。

 あとは、3位に入ったSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(16kg)・山本 尚貴/牧野 任祐 組がちょっともったいなかったなという印象です。予選Q1で2アタックの2発目がメインだったと思われますが、計測に入るはずが直前に時間切れになって真っ先にチェッカーを受けてしまいました。本来ならトップ3には入れていたのではないかと思います。結局Q1落ち・13位スタートから山本選手スタートで38周目に牧野選手へ、74周目に2回目の給油とタイヤ交換、と繋いで24秒差の3位でしたから、普通に行けば少なくとも2位は行けたでしょう。逆から言えばトムスはこういう取りこぼしも全然しないですね。
 Zの最上位はスタンレーの1つ前、12位スタートだったTWS IMPUL with SDG Z・平峰 一貴/ベルトラン バゲット 組、上位7台のうちトヨタでなかったのはこの2台だけでやはりスープラが総合的に勝っていました。この登録名、まだ順番がよく分からなくて馴染みが無く「えーっと、TWS バイ SDGSインパル・・・」とか脳内で無茶苦茶になってます(笑)

 厳しい結果だったのはARTA8号車、4位スタートから序盤にチームメイトのARTA CIVIC TYPE R-GT #16と争って詰まったこともありミニマム作戦へ。おかげで1回目の給油時間は必然的に短くて見た目上の2位、2回目のピット作業を終えても引き続き2位でしたが、そこからペースが上がらずに最終的に9位まで落ちました。チームによると最後はガス欠症状が出たそうなので主な要因は燃料不足とみられます。44周は長いと書きましたが、ひょっとしたらARTAは残り周回数を43周で計算して途中でもう1周しそうだと考えて不足したのでは?とも感じました。たしかARTAは富士の長距離戦で以前にもガス欠した記憶が。
 燃料を節約するためにリフト&コーストまで積極的にやりだすと今度はタイヤの温度が下がって作動温度領域を外れ、これが特にフロントで起きるとGT的に言うピックアップ、要はグレイニングが発生してさらに状況が悪化することも考えられます。そもそも使ったタイヤがコース条件に合っていないタイヤで、それを補おうとして燃料を使いすぎた、という可能性もありそうですが、いずれにしろファンとすればずっと2位だったのに何で・・・という感じかもしれません。俺たちのARTA、なんて言われてしまったらもうお手上げです(。∀゜)

・GT300振り返り

 なんといってもBRZです、悲しすぎる。元々小排気量のエンジンでその他大多数の大排気量車両と競争することがかなり無理のある状態ですからエンジンや駆動系はずっと泣き所。BoP表から見ると、低~中回転域では過給圧が2.5バール前後というものすごい数字になっており、ものすごく大雑把に言えば総排気量2000ccのEJ20型エンジンに大気圧の2倍以上の空気を無理やり詰め込んで4000ccや5000ccにしているような状態です、そら壊れます。
 また、車載映像を見るとおそらくですが、BRZは出力不足を旋回性能で補い、相手よりも早く加速動作に入ることで出力差を埋める、言うなればリアル豆腐屋ハチロクみたいな走り方になっていると思います。音を聞いてるとアクセル踏んでる時間がものすごく長いように思うんですね。踏んでる時間が長ければもちろんそれだけ負担がかかります、あと2kmもたなかったのはSTIが本当にレース距離ギリギリまで攻め込んで作ったエンジンの証でもあります。壊れたらエンジニアとすると0点なのかもしれませんが、ファンのみなさんはその姿を称えてあげてください。
 チームにとって僅かな救いは、9位以下の車両がセルモの後ろでチェッカーを受けて1周遅れの106周でレースを終えたので、BRZはチェッカーは受けられなかったものの106周+αを走った状態で8位完走、ドライバーに8点、チームに11点が入ったことでしょう。SUPER GTはチェッカーを受けることが完走要件ではないので途中で止まっても規定周回数を超えていれば完走、そして距離優先なので最終周で止まっても周回遅れの人全員よりは前方の順位が付きます。
 時々書いていますが、極端で分かりやすい例を出すと仮にGT300の1位と2位の間にGT500の1位が入った状態で500の車両がチェッカーを受けたら、その2台のタイム差が1秒しか無かったとしても2位の人はそこでチェッカーを受けてレース終了、1周遅れの2位で順位が確定します。1位の車両が直後にガス欠で止まっても、1コーナーでブレーキが壊れて壁に突っ込んで車両が全損しても、新しい周回に入った車両がそれ1台しかいなければどうやっても記録は優勝となります。

 ちなみに石浦選手が減速して115周でレースを終えていたらBRZは勝てたわけですが、当然ながら石浦選手には何の非もありません。耐久レースでは何が起こるか分からないので早く終われるなら時間調整してさっさとチェッカーを受けるのがセオリーですが、何せ坪井選手が11秒後方にいました。おそらく9秒を調節するには相手が近すぎたんだと思います。つまり文句を言う相手は石浦選手ではなく、石浦選手に調整を許さなかった坪井選手とトムスです(笑)

 追い詰めたという点ではべロレックスの2人もほぼビリスタートからあれだけ追い上げて2秒差まで来ていたから、井口選手は最後までエンジンを労わる走りをできなかったというのももちろんあります。相手があの終わり方では喜びも10%ぐらい減りそうですが、たま~に出現するGT400クラス状態でお見事なレースでした。ヴァンテージも28秒差を付けられましたが結果は2位、1回余分にピットに入ってもパンクで失った順位は2つだけでしたから、GT400クラスでしたね(。∀゜)

・296速すぎ?

 今回はCARGUY FERRARI 296 GT3・ザック オサリバン/小林 利徠斗/澤 圭太 組が予選3位・決勝4位、そしてFCYの利益があったのか無かったのか微妙でしたがポノスフェラーリ・ケイ コッツォリーノ/篠原 拓郎 組も予選5位・決勝6位でした。昨年のデビューから安定して直線でもコーナーでも速い296 GT3ですが、レースカー エンジニアリングという専門誌の記者・アンドリュー コットンによればこの車両は言わば『新世代GT3』にあたるそうです。
 オートスポーツ誌2025年5月号 No.1607にちょうどコットンさんが書いた記事があり、以前に海外サイトでも似たような記事があったのを見つけましたが、グループGT3というのは元々458イタリアやウラカンようなスーパーカーからベントレー コンチネンタル、GT-Rのようなごっつい4人乗りクーペまで幅広い車両を、ベース車両の寸法をできるだけ維持しながら改造して、あとは性能調整で均衡化させるというカテゴリーです。
 改造範囲については規則があるものの、コットンさんによるとGT3車両の方針を事実上管理していたSROという組織(とその代表のステファン ラテル)は、GT-Rのようなゴッツくて四角い車の改造範囲は広く、スーパーカーは狭くしてスーパーカー寄りの性能になるようにしていました。一次情報の規則とかが確認できないので複数の記事の話をまとめた私の推察になるため全然外れてたらごめんなさいなんですが、自動車メーカーはベース車を改造した図面をFIAに提出して許可を貰う必要があり、ゴッツイ車メーカーは『規則上OKな改造を提出して許認可もOK』で、スーパーカー側は『規則上はOKな改造』でも『許認可の段階でNG』というような状態だったと思われます。

 しかしFIA側の主導で規則の方向性が転換されたようで、フォードGTのような実質特定チーム専用品、少量生産で外部に販売しないプロトタイプ的GT3は作れないようにする一方で、どんなベース車両でも規則通りに同じ改造範囲で許認可なく車両制作ができるようになったとのこと。296はその新しい方針に基づいて作られた最初の1台で、前後にサブ フレームを備えて非常に整備性が高い純レーシングカーのような設計で作られました。
 コットンさんによると、やはり車両の素性が良いので現在のGT3標準車と言えるAMG GT3と同じ土俵で走らせるための調整がより難しくなり、緩ければ296が速い、かといって締め付けるとやりすぎと言われる、という状況に陥りかねないとのこと。今後はもちろん他メーカーも『新GT3』の車両が出てくるでしょうが、当然車両はより高額になっていく中で現在のGT3の秩序が維持されるのかどうか、先行きについてやや懸念しているようです。
 現状、SUPER GTでの296はイメージとすると『GTA-GT300とGT3のちょうど中間ぐらいの特性を持って総合力が高い車』という印象、表現として良いかどうかはさておき例年チャンピオンを争っているGT300常連強豪チームではどこも使用していないため、まあまあ釣り合っていて面白い感じにはなっています。ただ『これをお馴染みの強豪が使ったらひょっとして最強じゃね・・・?』という印象も無くはないですし、かといって今いきなりBoPを締め付けたら今の3台は中団以下に沈みそうです。BoPのあれこれはBoPなんて単語が無い時代からこのシリーズの名物ですが、坂東さんはまた1つ悩みが増えたかもしれませんね。あ、新入社員にこれを解決できる素晴らしい人材がいれば・・・(笑)

 さて、次戦は1ヶ月半ほど間が空きますがマレーシア・セパン サーキットでの久しぶりの海外レースです!あ、BoPと言えばJLOCのウラカンは予選から速さも今一つでしたが決勝は2台とも車の不具合によりリタイアでした。残念。

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