ABB FIA Formula E World Championship
15時50分45秒 – ピット エントリー クローズ
デニスのブラックフラッグ問題は、FIAがレギュレーションの抜け穴に反応しそれを封じ込めようとしているようにしか思えませんでした。彼がピットレーンで赤信号を無視したという事実は争いがないが、ドライバーが見える赤信号の位置、FIA の混乱したリアルタイムメッセージ、メッセージを表示する文脈での「ピットレーン」と「ピットエントリー」の当惑させる意味、そしてデニスに対する厳格な黒旗提示は確かに議論の余地があります。
これでロウランドがデュエルスを制して2戦連続のジュリアスベアポール、東京では昨年からの3戦全てポールです。しかも今回はデュエルスを3回走って2回は対戦相手がミスって潰れました、おそるべしロウランド。あ、でもモナコではバーナードに勝とうとしてロウランドが事故ったか。予選順位はロウランド、ティクタム、ベアライン、ベルニュ、モルターラ、ディグラッシ、ダコスタ、ナトーのトップ8となりました。
・決勝
気温24度、路面温度28度、湿度77%、蒸し暑い。予選で車をぶっ壊したエバンスは修理が間に合わずに出走できませんでした。スタートでは動き出して2秒としないうちに各ドライバーの表示灯が紫から青に変わったので、わりと早々にスロットルを戻して4WDモードが終了してるっぽい雰囲気です。
7周目に2位のティクタムは先にアタックモード、後ろにいる複数のドライバーも同時だったので2位のまま合流しました。ロウランドはいつも通り周りの動きを無視して300kWのまま走行していたので翌周にティクタムがリーダーとなります。
ロウランドは周りの動きを無視し続けて4位まで後退、なおも各所でハゲしい争いが起きていますが12周目にでっかい破片を理由にFCYが発動、1分ほど続きました。このFCYのための減速ではダコスタが追突事故を起こしてしまい、右前のサスペンションが壊れてガレージ行きとなります。エバンスを含めて2人目の脱落者、レース前の時点でドライバー選手権2位だったんですが痛いリタイアとなりました、まあ2位と言っても60点も離されてるんだけどな、hahahaha。
16周目、ティクタムはあえて道を譲った様子でベアライン、ティクタム、バーナード、ロウランドのトップ4でレースを折り返しました。続く17周目にようやくロウランドが最初のアタックに入りますが、多くのドライバーが4分+4分で組み立てるのに対して彼は2分を使用、このサイクルでは落とした順位を取り返す前にアタックが終了して5位とアタック前より1つ順位を下げてしまいました。
ただロウランドはここでかなりエナジーを使ってしまったので残量が上位で最も少なくなりました。逆に3位のティクタムは意図的に譲ったこともあって残量が前の2人よりも多く、4位のバーナードもイケイケの攻めまくり。ロウランドが節約走行なので上位10人がひとかたまりになってしまい、どう考えても危険な雰囲気が漂います。
するとやっぱり起きてしまいました、小競り合いが何度も起こった末に29周目、ターン5で4位のバーナードに対して後ろにいたモルターラが追突、ノーズ先端で左後輪をつつく会心の一撃でタイヤが壊れ、バーナードが壁に真っ直ぐ刺さったのでSC導入となりました。エナジー不足のロウランドとするとこれで不安要素が少なくなりました、というかあと3周ちょっとしかないしこのまま終わりか?
2025 Tokyo E-Prix
東京市街地サーキット 2.575km×32Laps=82.4km
Reference Lap Time for FCY/SC: 3:45
winner:Oliver Rowland(Nissan Formula E Team/Nissan e-4ORCE 05)
雨上がりの東京、フォーミュラE東京2連戦の2日目です。高温多湿で早くも梅雨かと思うような天候ですが、大雨で待てど暮らせど何も始まらないことを思えばちょっと蒸し暑いぐらいどうってことないですかね。土曜日も仕事の私は日曜日なら日帰り弾丸ツアーで見に行けないこともないんですけど、往復の旅費+入場券代を考えるとなかなか思い切れませんねえ。それにしても、今回東京用に用意されたこの公式映像は一体なんなんだ(笑)
・デニス失格の是非
昨日のレースではレッドフラッグからレースが再開する際にデニスだけがグリッドに付かずピットに入り、ピットブーストを行って得しようとしたら失格になってしまいました。この件に関して、どうやらFIA側の対応は決して一貫して規則に従った明快なもの、とは言い切れないようです。規則として『再スタートの際にはピット禁止』といった明示があるわけではなくピットに入ることがこの時に許可されていたかという事案が問題でしたが、The Raceがまとめたレース コントロール メッセージの時系列によれば
15時52分07秒 – グリーン ライト ピット レーン オープン
15時52分10秒 – セーフティーカー 導入
15時52分33秒 – セーフティーカー この周で退出
15時53分53秒 – ピット エグジット クローズ
15時52分10秒 – セーフティーカー 導入
15時52分33秒 – セーフティーカー この周で退出
15時53分53秒 – ピット エグジット クローズ
アンドレッティーの認識としては、メッセージではピットはSC先導でリスタート手順に進む前段階で開放されていたので、リスタート時にピットに入ることに問題は無かったと認識していました。ただ、どうやら実際はピット入り口に設置されている信号が赤色になっており、これがデニス失格の根拠となりました。
競技規則 23.16では安全上の理由などがある場合にレース ディレクターの裁量によってピット入り口を閉鎖することが可能で、その場合は車両の故障やパンクなど緊急的な必要性が明らかな場合しかピットに入ることができません。それ以外の理由で作業を行った場合は競技規則16.3に基づいて罰則を課すことができると記載されています。
実際、再開前にリーダーのロウランドはこうした作戦が行われて自分たちが大損する可能性を理解しており、彼の担当エンジニアに「このアウト ラップでピット入り口を閉鎖してもらうことはできるのか?」「絶対にそうすべきだ、さもないとFEはゴミの見世物になるぞ。」とキツイ言葉で忠告していました。私もリスタート時にグリッドに行かずピットに行ったら有利だなというのは頭に浮かんだので、さすがに運営も分かってはいたでしょうから対策したんだと思いますが、いかんせん手順の詰めが甘かった様子です。
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♪いえーい作戦成功、と思っていた頃 |
アンドレッティー側とすると、入り口の信号が赤で進入禁止の表示がされていたんだと言われてしまったらここを真っ向から否定することはできない一方で、メッセージの内容と不一致があったことには疑問があります。レースコントロールメッセージの『"ピットレーン"開放』というのがピットの出口だけを指すのか出入口両方を指すのか言葉の選び方として不明瞭で、なんというか一方通行の標識をわざと布で隠しておいて、車が来た瞬間にいきなり布を取って「ピピー!道路交通法違反!」って言ってるような不親切な印象をアンドレッティーは感じたと思います。
また処分内容に関しては根拠となる規則16.3に4種類書かれているんですが、これは色んなレース中の違反行為に関して定められているもので、5秒加算、10秒加算、ドライブスルー、10秒停止の4段階が書かれています。そう、規則16.3には失格処分を与える項目は無いんです。(引用元のThe Raceの記事では25秒停止と書いてありましたが、手元の規則書を読む限り10秒でした)
デニスは競技23.16に違反しました
→23.16に違反したので16.3に基づいてペナルティーを課します
→失格とします
というのは規則書を読む限りはその範囲を逸脱して書いていない処分を行っていることになります。記載された適用競技規則の内容と処分内容が一致していなくても良いのなら運営が裁量で自由に失格処分にできてしまう前例となりかねず、アンドレッティーのやり口が合法かどうかという話とは別に運営の透明性に問題はあると思います。
これはFP3の序盤で解説のジェイムス ロシターも指摘していたんですが、仮に最も重い10秒停止ペナルティーでも、34秒停止が必要なブーストをリスタート後にやるよりも単純計算で『24秒早い』ですから(実際はブースト時間よりリスタートの方が早く、隊列が通過するまでピット出口の信号は赤なので追いかける時間も含めると20秒も無い)デニスには利益が残ります。失格以外の罰では『やったもん勝ち』になってしまうわけです。
ピットブーストそのものを無効とする規則が無い以上は失格にしないと罰として釣り合わないという考えが重い処分に繋がったと考えられます。ロシターはこの運営の考えについて理解できると話していたと思うんですが、私は規則の恣意的な運用に前例を作るのは競技運営として避けるべきではないかと考えます。そこはデニスがいくらか得してしまっても規則の範囲内で罰則を課し、不備があるのなら率直に運営として不備を認めて対応すべきだったのではないかと思いました。The Raceの記事もどちらかと言えばFIAに対して批判的で、別の記事内で
としています。前回の記事に書いた通りレース中にブラックフラッグで失格を食らうのはあのディグラッシ事件(別名・マクニッシュ激走事件)以来でしたが、じゃあディグラッシも規則を逸脱して罰を受けたのかというとそうではなく、彼の場合はSC中のピット手順違反(SC/FCY中にピットに入った場合、必ずボックス内で完全な一時停止を行うこと、という規則への違反)に対してドライブスルーのペナルティーを受け、これに従わずにそのまま無視して走り続けたのでペナルティー無視が原因の失格でした。でもこの事件でも、『SC中にピットを通過したら条件次第で順位が上がることがある』という前例がそれい以前のレースであったにもかかわらず対応を取っていなかったことが問題を生んだ一因でした。
・練習走行
土曜日の嫌な思い出はとりあえず忘れ去りましょう。金曜日以来の乾いた路面で走るFP3、最速のベアラインは1分12秒011と金曜日のナトーよりも速い記録が出ました。これならもう路面状態としては大丈夫そうです。そのナトーも2番手タイムと引き続き速さはありそうです。300kWでの走行に限れば最速はロウランド、2位がティクタムでした。
・グループ予選
A組は各陣営とも12分間走り続ける組み立ての模様。まずは1回目のサイクルを各ドライバーが終えて2回目に入るところでしたが残り約3分、魔のターン16でミッチ エバンスがクラッシュ。右後部を壁にぶつけたらホイールが壊れたようで脱輪して高速で車輪が壁に当たって空を飛び、エバンスの車も全く操作が効かずに同じく壁へ。近くにいたマーシャルさんはかなり危ない場面でした。あそこのコーナー、ボトム スピードが120km/hぐらいあると思うんでそうとう高速で車輪が転がってきたはずですし、車両もそうだったでしょう。
再開後は時間が無いのでみんな急いで最後のアタックへ、次々と記録が塗り替えられていきましたが、結局は中断前にも最速だったルーカス ディ グラッシが会心のアタックで1分13秒781を記録して1位通過しました。0.009秒差でナトー、0.037秒差でロウランドと日産の2人がほとんど差が無く続き、4位にベルニュが入りました。
B組もピットに入らずアタックと冷却を組み合わせて合計で3回計測する戦略の様子。常に早かったのはベアラインで、1分13秒671を記録して1位で通過。2位は0.037秒差でモルターラでした。最後の最後にニコ ミュラーがターン10・11のシケインで縁石に乗りすぎて姿勢を乱しクラッシュ、イエロー フラッグが振られましたが幸いそのまま最後まで行われ、3位にティクタム、4位にダコスタ。5位のバードはダコスタと完全同タイムでしたが、後から記録を出したので無念の脱落となっています。
・デュエルス
A組準々決勝でいきなり当たってしまう日産の2人、グループ2位はナトーの方ですがファンの勝者予想では93%がロウランドに投票しています。もちろんナトーはそんなこと知りませんが、ロウランド相手に一生懸命攻めた結果はさっきのミュラーと同じように縁石で跳ねたことをきっかけに壁に接触。これでロウランドが勝ち上がりました。この後グループ1位のディグラッシも激戦の末ベルニュに敗れてしまい、グループ3位のロウランドと4位のベルニュが準決勝で対戦。やっぱり人気投票ぶっちぎりのロウランドは1分12秒007とこの週末の最速を記録して決勝に進みました。
一方のB組はティクタムが1分12秒173、1分12秒028と連続で見事な走りを見せて決勝に進出。デュエルス決勝は最強日産・ロウランド vs 型落ちポルシェ・ティクタムとなりました。
デュエルス決勝、先攻のティクタムは180度回り込むターン4を壁スレスレできれいに回り、ターン10・11のシケインも縁石を撫でるような見事なライン取り、少しずつ確実にロウランドを上回ってこれはいけるか!?と思ったら、カメラがロウランドを映している間にティクタムまさかのクラッシュ。ターン15の進入が速すぎてエイペックスに付けず、それでもつい気持ちがはやって早くスロットルを開けたら道幅が足りずに壁に当たりました。ここまで完璧だったので結果だけで言えばここは少しミスって失っても勝負権がある状態でしたね、惜しい!
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こうして外からの映像で見ると 案外コースが広そうに見えるんですねえ |
これでロウランドがデュエルスを制して2戦連続のジュリアスベアポール、東京では昨年からの3戦全てポールです。しかも今回はデュエルスを3回走って2回は対戦相手がミスって潰れました、おそるべしロウランド。あ、でもモナコではバーナードに勝とうとしてロウランドが事故ったか。予選順位はロウランド、ティクタム、ベアライン、ベルニュ、モルターラ、ディグラッシ、ダコスタ、ナトーのトップ8となりました。
・決勝
気温24度、路面温度28度、湿度77%、蒸し暑い。予選で車をぶっ壊したエバンスは修理が間に合わずに出走できませんでした。スタートでは動き出して2秒としないうちに各ドライバーの表示灯が紫から青に変わったので、わりと早々にスロットルを戻して4WDモードが終了してるっぽい雰囲気です。
7周目に2位のティクタムは先にアタックモード、後ろにいる複数のドライバーも同時だったので2位のまま合流しました。ロウランドはいつも通り周りの動きを無視して300kWのまま走行していたので翌周にティクタムがリーダーとなります。
ロウランドは周りの動きを無視し続けて4位まで後退、なおも各所でハゲしい争いが起きていますが12周目にでっかい破片を理由にFCYが発動、1分ほど続きました。このFCYのための減速ではダコスタが追突事故を起こしてしまい、右前のサスペンションが壊れてガレージ行きとなります。エバンスを含めて2人目の脱落者、レース前の時点でドライバー選手権2位だったんですが痛いリタイアとなりました、まあ2位と言っても60点も離されてるんだけどな、hahahaha。
16周目、ティクタムはあえて道を譲った様子でベアライン、ティクタム、バーナード、ロウランドのトップ4でレースを折り返しました。続く17周目にようやくロウランドが最初のアタックに入りますが、多くのドライバーが4分+4分で組み立てるのに対して彼は2分を使用、このサイクルでは落とした順位を取り返す前にアタックが終了して5位とアタック前より1つ順位を下げてしまいました。
するとびっくり、ロウランドは22周目に先に2回目のアタックを使って自分から仕掛けました。これを見て翌周に前を行くライバル勢が全員アタックを使いますが、ロウランドはベアラインとティクタムの間、2位での合流となってアンダーカット成功。残すのはベアライン1人ですが、アタック持続時間がロウランドの方が45秒ほど長いのでこの45秒の攻防がレースを決しそうです。
26周目、ベアラインのアタックが切れてロウランドの攻勢開始、ターン9から先で猛攻撃を仕掛け、ベアラインもピッタリ1台分しか隙間を残さないかなり危ういブロック。それでもロウランドは一歩も引かずアタック時間切れ間際のターン16で外から仕掛けました。これでロウランドがリード奪還。
26周目、ベアラインのアタックが切れてロウランドの攻勢開始、ターン9から先で猛攻撃を仕掛け、ベアラインもピッタリ1台分しか隙間を残さないかなり危ういブロック。それでもロウランドは一歩も引かずアタック時間切れ間際のターン16で外から仕掛けました。これでロウランドがリード奪還。
ただロウランドはここでかなりエナジーを使ってしまったので残量が上位で最も少なくなりました。逆に3位のティクタムは意図的に譲ったこともあって残量が前の2人よりも多く、4位のバーナードもイケイケの攻めまくり。ロウランドが節約走行なので上位10人がひとかたまりになってしまい、どう考えても危険な雰囲気が漂います。
するとやっぱり起きてしまいました、小競り合いが何度も起こった末に29周目、ターン5で4位のバーナードに対して後ろにいたモルターラが追突、ノーズ先端で左後輪をつつく会心の一撃でタイヤが壊れ、バーナードが壁に真っ直ぐ刺さったのでSC導入となりました。エナジー不足のロウランドとするとこれで不安要素が少なくなりました、というかあと3周ちょっとしかないしこのまま終わりか?
と思ったがそんなことはなかったぜ、おそろしいことに32周目・残り1周でレースが再開されました。しかしもうそんなにエナジー残量がハンデにならないロウランド、失敗したり追突されたりミサイルが飛んできたりしなければ大きな問題ではなく、後ろにいるのもプロの選手なのでさすがに最後の最後で台無しにするようなことはありませんでした。ロウランドが今シーズン4勝目・通算7勝目を挙げました。今年の2連戦のイベントでは全て1位か2位です( ゚Д゚)
2位にベアライン、3位はティクタムでこれは通算57戦目で初の表彰台でした。クープラ キロとしても初表彰台、チームとしてはNIOがシーズン4・第5戦メキシコシティーでオリバー ターベイが2位となって以来7年ぶりの表彰台でした。14位スタートのデニスがアタックモードを巧みに使って4位に入り前日の嫌な思い出を払拭、ディグラッシ、ベルニュ、ニック キャシディー、バード、ブエミ、グンターのトップ10でした。
ロウランドが強すぎてドライバー選手権がえらいことになりました。2位のベアラインとの点差が77、ほとんど倍近い点数を獲っています。シーズンは残りが上海2連戦、ジャカルタ、ベルリン2連戦、ロンドン2連戦の計7戦。フォーミュラEは優勝25点+ポール3点+ファステスト ラップ1点で最大1レース29点獲れます。2位だと18点獲れて11点ずつ縮まりますから、計算上はロウランドが残りのレース全て2位ならベアラインは全レース完全優勝でないと逆転できません。つまり、もうこの段階でベアラインは自力優勝の権利があと1点で消滅するギリギリの縁にかかっている、ロウランド側から言えばもうほぼ他人の自力チャンピオンの可能性を消したことになります。
まあF1でも去年はそんな状況からノリスがかなり追い上げていったので、優勝マジックなんて点いたり消えたりするものではありますが、ベルリンあたりで決まってしまう可能性も無きにしもあらずです。チーム選手権では日産はほぼロウランドの点数しかないため、タグ ホイヤーポルシェに対して僅か15点差の1位、マニュファクチャラー選手権ではマクラーレンのバーナードが頑張っている恩恵でポルシェに対して44点差の1位です。
日産自動車は経営危機に陥っており、大規模な人員削減と工場の閉鎖が発表されているためモータースポーツ活動も撤退ではないか?と考える方や、あるいは日産嫌いな人なんかは鬼の首をとったように「とっととやめろ!」みたいなことを声高にわざわざ主張しているかもしれませんが、これに関しては簡単ではないと思います。というのも、余剰な人員と生産能力を削減して固定費を減らしたところで、結局最終的には車が売れないことにはどうにもならず、売るためには一定のブランド力は必要不可欠だからです。
売れないからって一切合切全ての宣伝を止めて、存在を忘れられて車が売れなかったら意味が無く、それならさっさと今すぐ会社を解散して資産を全部換金して投資家と銀行と従業員にお金を払った方が手っ取り早いでしょう。会社として自動車屋さんを続けるのならリストラの先を見据えた活動も並行されるべきであり、そこにレース活動が訴求力として必要であれば安易にやめるべきではないです。
折しも日産はフォーミュラEに関しては最高のパワートレインを作り出すことに成功し、おそらく来シーズンの最後までは優勝争いの常連として戦うことができるでしょう。このレースが自動車開発に役立っているのかというのはさておき、宣伝文句としてはこれ以上ない素材になっていますから使わない手は無いでしょう。悪い言い方をすれば数千億円の赤字企業の中にあってせいぜい数十億円の参戦費用(予算制限があるので青天井にはできない)で世界に宣伝できます。そしてGen4時代まで参戦契約を既に締結しているので、たぶん撤回すると違約金が発生してどっちみちいくらかお金は捨てないといけません。
もちろん、参戦を継続するのであればそれがどう会社の役に立つのか、逆から言えば参戦していることを販売にどう役立てるのか、というのを綿密に考える必要があり、正直ホンダと同様に今の日産はSUPER GTに出ていてもその車を中心としたブランド作りが全然できずにいると思いますし、電動化を推進するにも手法が中途半端でせっかく世界に先駆けていたのにそれを活かせず置いてけぼりになっています。
別には私は運転免許を持っているわけでもないし日産ファンでも日産株式ホルダーでも無いのでやめるならやめるで構わないですが、レース好きとしてはやるんならちゃんとその意味を見いだして堂々とやってほしいですね。メンツでやめたくないけどリストラしておきながらレースやってるって言うと叩かれそうだから、できるだけ名前を出さずにこっそりと、みたいな雰囲気になるのが一番良くないと思いますね。
次戦はまた2週間の間を空けて上海での2連戦です。
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