Formula1 Crypto.com Miami Grand Prix
・決勝
気温26℃・路面温度40℃とまあまあ暑い条件、多くはミディアム選択ですが5位のラッセルはハードを選択。前日の予選以降にまた雨が降っており路面の状態は万全ではなく、決勝時間中の降水確率は30%と気になる数字。持ち込まれたタイヤは昨年より1段階柔らかくなっていて運営側は2ストップにさせたいんですが、とりあえず作戦は1ストップが基本です。
スタートではフェルスタッペンがすぐに内側に動いてノリスを抑え込みにかかりましたが、ターン1のブレーキでロックさせてしまって隙が生まれました。ターン2に向けてノリスが並びかけましたが、暴れたフェルスタッペンの車にぶつけられそうだったので緊急回避でコース外へ、6位に後退して当然ながら「押し出された」と主張します。今回は悪意あっての押し出しというよりマジで滑ったぽいなあ。
後方ではジャック ドゥーハンとローソンが接触し、パンクしたドゥーハンがその後にコース脇で停止してしまったので約1周のVSCを挟みました。再開後すぐにピアストリがアントネッリを抜いて2位となります。もしフェルスタッペンがペナったら抜かずとも1位ですが、今回はレースの一部とみなされたようでペナルティーは出ず。ただピアストリ、というかマクラーレンは直線での早さがレースの武器になっている様子で、ピアストリは9周目にフェルスタッペンのDRS圏内。ノリスも既にアントネッリを抜いて3位に上がっています。
フェルスタッペンは3周以上ピアストリを抑え続け、最後にはおなじみのブレーキング直前進路変更や強引なブロッキングダイブまで駆使しましたが、ターン1で止まりきれず14周目にピアストリに抜かれます。続く15周目にはノリスにもやられかけますが、どうもノリスはフェルスタッペンとの争いでもう苦手意識ができてるんじゃないかと感じる動きでいつも通り抑え込まれてしまいようやく抜いたのは17周目、抜き方は完全にマックスダイビングでした。ただ問題は自分も白線の外へ出ていたことで、やり方として未完成でした。
ノリスは順位を返す判断をしたようで、ターン17でふたたびフェルスタッペンが前に出て、またこれを翌周にノリスが抜き返すというなかなかの浪費合戦。これでピアストリとノリスの差は9秒も開いてしまいました。争いすぎてフェルスタッペンの後ろにはアントネッリとラッセルも来ています。ノリスは抜きつ抜かれつで勝機を失った感じがありますが、フェルスタッペンの方も3位からさらに落ちる危険性を作ってしまいました。
ちょうどこの頃、サーキット近隣にはけっこうな雨量の雨雲が発生しており一部はこちらに流れてきたようでしたが、かろうじて雨雲本体は北側をかすめる形になって豪雨は回避されました。25周目あたりから上位勢はピット サイクルとなりますが、その最中の28周目にベアマンの車がターン5あたりで急に不具合に見舞われたようで、コース脇に車を止めてしまったので2度目のVSC宣言。まだタイヤを換えていなかった人たちには絶好の機会となり、ピアストリとノリスも同時にこの周にタイヤ交換を終えました。同時ピットですが差が開いていたために渋滞することも無し、女神もピアストリ推しに心変わりしたか。
30周目にVSC解除、ピアストリ、ノリスが8秒差で1位・2位なのは変わりませんが、ハードでスタートしていたラッセルがVSCで特をしてフェルスタッペンとアントネッリをまとめて逆転しており3位。フェルスタッペンはピット前より1つ落として4位となります。そして5位のアントネッリもVSCで得をしたアルボンにVSC解除後に抜かれてしまい、なんと5位アルボン、6位アントネッリというなかなか意外な順位に。
この後33周目にもう一度VSCを挟みましたがレース後半はわりと穏やかな進行。ノリスはピアストリとの差を毎周少しずつ削っていって残り8周で4秒差まで詰め寄りましたが、当然ピアストリは見ながら走っているでしょうし、どっちみちこのペースで追いかけると追いつくまでにあと20周ぐらい必要なので、追いつくのはインタビューが終わってトイレに行ったぐらいになってしまいます。
フェルスタッペンもラッセルを追いかけるけどちょっと届かなさそう、VSC中にラッセルが減速義務を怠ったんじゃないかとフェルスタッペンが告げ口をしていたので、チームはとりあえず5秒以内にはいてもらいたいようです。フェルスタッペンのチクりはけっこう当たってるからなあ(笑)
Miami International Autodrome 5.412km×57Laps(-0.158km)=308.326km
winner:Oscar Piastri(McLaren Formula 1 Team/McLaren MCL39-Mercedes)
F1世界選手権、第6戦は一旦アメリカ大陸に飛んでマイアミ。連戦になっていない単独開催でスプリント方式のイベントです。新人さんにとってはよく知らないアメリカに行って走ったことがない市街地で練習機会がほとんど無いですから条件はけっこう悪いですね。それにしてもフォーミュラEはどんどん市街地から遠ざかってるのにF1は市街地が増えてるってどういうこと、とか思う今日この頃です。
今年で4回目の開催となるマイアミ オートドローム、NFL マイアミ ドルフィンズの本拠地・ハード ロック スタジアムの周囲を走るトラックでターン1も最終のターン19も右コーナーだけどレイアウトとしては左回りです、けっこう珍しい気がしますね。前半は中高速コーナーがクネクネ続くけど、長い直線を挟んでやってくる後半は異様にせせこましいという構成でターン11~16はフォーミュラE的なコーナーになっています。そしてマイアミですので基本は高温多湿の環境です。
去年はマックス フェルスタッペンとランド ノリスの優勝争いとなり、タイヤ交換を遅らせたノリスにSC導入というマイアミの女神が現れたことで逆転、悲願の初勝利を挙げました。あれから1年、ノリスはフェルスタッペンには勝ててもチームメイトが大きな壁になり始めており、思い出深い場所で流れを取り戻したいところです。アメリカなんで身内でガシャガシャやり合ってレース後に殴り合ってくれても構いませんけど(笑)
・特別カラー
F1にとって重要な売り込み先となったアメリカなので今年も特別スキームのチームが登場、フェラーリはスポンサーのヒューレット パッカードを強調して青色が多めの色合いで、レーシング ブルズはアメリカで限定販売されるレッド ブルの製品を宣伝するためにピンク色になりました。ザウバーも普段と違う、ペンキをぶちまけたようなスプラッシュ ペイントのような仕上げになっているんですが、いかんせん普段と色が同じ黄緑なので言われないと気づかないまま終わりそうです。
またメルセデスは車体は普段通りですがスーツが限定モデルとなっていて、アウトドア製品みたいな普段と全然違う見た目になりました。ピットで難しい顔をしているトト ウォルフもなんか着ている服は浮かれてるように見えます(笑)
・練習走行
唯一の練習機会、ノリスは車内に工具を置き忘れたまま送り出されたようで、足元になんか転がっていると異変を訴えてピットに戻る珍しい場面がありました。懐中電灯だったようですが笑い事ではなく危険なので審議となり、結局チームへの戒告で済みました。セッションは残り5分ほどでオリバー ベアマンがクラッシュして最後のソフトでの予選想定の走行ができなかった人もいましたが、まあまあそこまでは比較的順調なセッションだったと思われます。ピアストリが最速で2位はシャルル ルクレール。ウイリアムズのカルロス サインツとアレクサンダー アルボンが4位・5位に付けました。
・スプリント予選
SQ1はみんなが最後のギリギリを狙う大渋滞で複数の陣営が自滅。ジャック ドゥーハン、角田 裕毅、ベアマンなどが最後のアタックに入る前に時間切れになってしまいました。おかげで角田は18位でSQ1脱落、脱落の遠因には違うサイクルで走っていてピットまでゆっくり戻っていたフェルスタッペンも関係しており、レッド ブルのチーム内での連携ミスもありました。
SQ3、1回目のアタックではジョージ ラッセルがちょっとタイミングをズラした一発勝負で1分26秒791と唯一の26秒台を記録してきました。他の人の結果を待つラッセル、これを上回ってきたのはチームメイトのキミ アントネッリで、1分26秒482と大きく先輩を上回りこの記録にはマクラーレンの2人も届きませんでした。スプリント予選とはいえ18歳の少年が早くもポール獲得、しかもFP1ではソフトでの走行なしの条件です。
スプリント予選はアントネッリ、ピアストリ、ノリス、フェルスタッペン、ラッセル、ルクレール、ルイス ハミルトンのトップ7。だいたいチーム力順に順当に並ぶ中で8位にアルボン、9位にアイザック ハジャーが入りました。スプリントなので点が貰えるのは8位まで、ウイリアムズとレーシング ブルズが境界線を争います。
アントネッリの車載映像を見てると思うんですが、特にターボ+ハイブリッド化された2014年以降のドライビングって減速時のシフトダウンは回転数が低いところでやるのが主流、たしかニコ ロズベルグとかも最初は高回転でオーバーレブ気味の走り方だったのを直していった記憶があるんですが、アントネッリってけっこう『NA走り』で高回転でシフトダウンしてるんですよね。
・スプリント
開始前にマイアミ名物の豪雨が襲来。レコノサンスが始まって最初にコースに出て行ったルクレールが1分ほど走ってクラッシュしスプリントに出走できなくなりました。降雨量とインターミディエイトを履いていることを考えればちょっと慎重さを欠いていたと思われる事象でした、いつぞやのモナコを思い出すなあ。
19周で行われるスプリントそのものも当初予定時刻のスタートに向けて動きはしたものの、視界が悪すぎたので20分ほど順延。1周減算の18周となってようやく始まったレースは蹴り出しの良かったピアストリがターン1でアントネッリをかわし、アントネッリの方ははみ出して4位へ後退。そのままピアストリがレースを引っ張りますが、ひとたび雨が止んだら乾くのも早い上に8周もするともう日差しが出てきて路面状況が急回復しました、これは大変。
後方のドライバーからスリックへの交換が始まり、マクラーレンは当然ながら前を行くピアストリから優先してタイヤを換えました。ところが次の周にリアム ローソンとフェルナンド アロンソが接触してアロンソの車が中破し自走不能、SCが出たので結果としてノリスはタイヤを交換して1位を守ることができてしまいました、去年の女神がまだここにいたようです。しかも残り周回数が少なすぎてそのままSC先導でレースは終了、ノリスがスプリントの勝者となりました。
ローソンはアロンソの外側で並走していて白線の外まで行ってしまい、たぶん彼の中では「俺は押し出されただけでコース内で勝負する意図があるんだ。」という感じで張り合い、アロンソは「お前コース内におらんねんから引けや。」という動きだったので引っかけられたんだと思います。結果ローソンには5秒加算ペナルティーが課されました。ただ、そういう風に見てるただの確証バイアスかもしれませんが、上空から映像を見ているかのように相手の車に対処してきたアロンソがこうあっさり引っかけられてしまう姿というのは、最近の単純なミスも含めて見るとさすがに少し力が落ちている、あるいは車が思ったより遅くて気持ちが切れ始めているのかなとも感じてしまいました。
ポールシッターのアントネッリはというとラッセル先輩に追いかけ回された挙げ句、タイヤを換えにピットに入ったら作業を終えたフェルスタッペンがいきなり発進してきてまともにぶつけられてしまい、急いで回避行動を取ったので自分のボックスに入ることができませんでした。結果2ピットになってポイント圏外となってしまいますが、彼の懸命な判断でクルーが撥ねられるようなことがなかったのでこの件に関しては良かったと思います。
このフェルスタッペンの危険な発進は10秒加算、これ以外にもレース後に持ち越した審議案件が積み重なったためスプリント終了後にさらに結果に多くの変動が発生し、正式な順位はノリス、ピアストリ、ハミルトン、ラッセル、ランス ストロール、角田 裕毅のトップ6に。角田はスプリント予選が18位だったのでセッティングを変更してピット レーンからのスタートでしたが、スタート手順を一旦停止してレッド フラッグを経たので実質的なスタート時はピットではなく19番グリッドに着席。そして最初にスリックに交換したことと前を行く人の事故やペナルティーが重なり、結果として13台抜きという笑える数字になってフェルスタッペンの代わりにチームに3点もたらしました。
・予選
スプリントが長引いたので15分遅れの予選、Q3はピアストリ、ノリス、フェルスタッペンによるポール争いとなり、1回目のサイクルは最速がフェルスタッペン、0.003秒差でノリス、0.017秒差でピアストリとほとんど全員同じ記録で目が点に。
2回目のサイクル、フェルスタッペンはおそらく最終区間にタイヤを残すためにちょっとタイヤの温め方を変えたんだと思いますが、ターン1でいきなりズルっといってしまったもののそれ以外は1回目をさらに上回る走り、自己記録を0.288秒も削り取って他のドライバーを待ち構えます。これに対してノリスはセクター2通過時点で0.009秒差、セクター3はマクラーレンが速い傾向があるので逆転なるか!と思ったら1回目のアタックでミスって行き過ぎたターン17で意識しすぎたか、今度は縁石にノリスぎました(今年3回目)。これで0.065秒フェルスタッペンに届かず、ピアストリも0.171秒届きませんでした。そして最後にアントネッリがマクラーレンの2人に割って入る0.067秒差の3番手タイムを記録。
気が抜けない素晴らしい予選でしたがピレリ ポール ポジションはフェルスタッペン、2位にノリス、3位アントネッリ、4位ピアストリとなりました。ポールを争える選手が何人もいるよ予選はむちゃくちゃ面白い。ラッセル、サインツ、アルボンが続き、スプリントで恥をかかされたルクレールが8位、角田はQ3まで進みましたが10位でした。
フェルスタッペンの凄いところの1つにはタイヤの性能を最大化する感性があると思います。タイヤは全員同じですが、ご存じの通りそのタイヤは最大限の性能を発揮できる作動温度領域というものがあり、そしてピレリが供給するタイヤは本当に100%の力を予選で出そうと思うと無茶苦茶狭い範囲しかありません。
まずもって本当の限界がどこかを見極める必要があり、これをアタック前にその時の路面温度と車両の状態から考えて、しかも1周1分30秒ほどのコース全体で見て最適になるように合わせこむ必要があります。技術・理論の面として『〇分△秒で走ってタイヤを温めろ』『×℃にしろ』ということを言えても、タイヤというのは完璧にシミュレートしきれるものではないので最後はドライバー自身に委ねられます。フェルスタッペンはこれを短期間で見極めて最大化できるのが予選での強みだと思います。
練習走行で角田がフェルスタッペンに近い記録を出しても、その場でフェルスタッペンのようなドライバーは100%まで出し切ってはいません。それはもちろん角田でも同じですが、イメージとすると大多数の一流ドライバーが練習での98%から予選で100%に持って行くところ、フェルスタッペン級の超一流、宇宙人ドライバーはQ2で100%を出したらQ3で101%まで瞬間的に車を持って行くような感じで、100%までしか出せない人との大きな差になっていると思います。その時の状態によって101まで行けたり行けなかったりがあっても101%を出せる時点で超一流ですが、フェルスタッペンはそれを高い頻度でやってのけるからこそ4連覇していると感じます。
・レゴレース(?)
近年は権利料の高さや造形の複雑化といった影響でなかなかF1の新しい車がミニカーになるのはハードルが高くなっていると思います、組み立て式の模型だとなおさらですね。そんな中、昨年レゴとF1が複数年契約を結んでおり、なんと今回の決勝レース前に『実物大レゴF1』が登場。乗れるだけでなく電動で20km/hほどで走行までできるということでデモ走行が行われました。
重量は1500kgもあって実車よりアホみたいに重たいようですがドライバーは大はしゃぎ、なんかはしゃぎすぎてラッセルとノリスが軽く接触したっぽくレゴの破片がコース上に落ちたように見えますが、完璧に空力部品を1mm単位でモデリングする必要がないレゴの強みが見えましたね。レゴはF1以外でも最近レース車両との提携による言うなれば『大人向けのレゴ』が多くてかなり力を入れてるっぽいです。F1モデルは安価なシリーズだと4000円ほど、お高いシリーズは3万円以上するようですね。実物大は買えないのでみなさんの創意工夫で作ってください。
・決勝
気温26℃・路面温度40℃とまあまあ暑い条件、多くはミディアム選択ですが5位のラッセルはハードを選択。前日の予選以降にまた雨が降っており路面の状態は万全ではなく、決勝時間中の降水確率は30%と気になる数字。持ち込まれたタイヤは昨年より1段階柔らかくなっていて運営側は2ストップにさせたいんですが、とりあえず作戦は1ストップが基本です。
スタートではフェルスタッペンがすぐに内側に動いてノリスを抑え込みにかかりましたが、ターン1のブレーキでロックさせてしまって隙が生まれました。ターン2に向けてノリスが並びかけましたが、暴れたフェルスタッペンの車にぶつけられそうだったので緊急回避でコース外へ、6位に後退して当然ながら「押し出された」と主張します。今回は悪意あっての押し出しというよりマジで滑ったぽいなあ。
後方ではジャック ドゥーハンとローソンが接触し、パンクしたドゥーハンがその後にコース脇で停止してしまったので約1周のVSCを挟みました。再開後すぐにピアストリがアントネッリを抜いて2位となります。もしフェルスタッペンがペナったら抜かずとも1位ですが、今回はレースの一部とみなされたようでペナルティーは出ず。ただピアストリ、というかマクラーレンは直線での早さがレースの武器になっている様子で、ピアストリは9周目にフェルスタッペンのDRS圏内。ノリスも既にアントネッリを抜いて3位に上がっています。
フェルスタッペンは3周以上ピアストリを抑え続け、最後にはおなじみのブレーキング直前進路変更や強引なブロッキングダイブまで駆使しましたが、ターン1で止まりきれず14周目にピアストリに抜かれます。続く15周目にはノリスにもやられかけますが、どうもノリスはフェルスタッペンとの争いでもう苦手意識ができてるんじゃないかと感じる動きでいつも通り抑え込まれてしまいようやく抜いたのは17周目、抜き方は完全にマックスダイビングでした。ただ問題は自分も白線の外へ出ていたことで、やり方として未完成でした。
ノリスは順位を返す判断をしたようで、ターン17でふたたびフェルスタッペンが前に出て、またこれを翌周にノリスが抜き返すというなかなかの浪費合戦。これでピアストリとノリスの差は9秒も開いてしまいました。争いすぎてフェルスタッペンの後ろにはアントネッリとラッセルも来ています。ノリスは抜きつ抜かれつで勝機を失った感じがありますが、フェルスタッペンの方も3位からさらに落ちる危険性を作ってしまいました。
ちょうどこの頃、サーキット近隣にはけっこうな雨量の雨雲が発生しており一部はこちらに流れてきたようでしたが、かろうじて雨雲本体は北側をかすめる形になって豪雨は回避されました。25周目あたりから上位勢はピット サイクルとなりますが、その最中の28周目にベアマンの車がターン5あたりで急に不具合に見舞われたようで、コース脇に車を止めてしまったので2度目のVSC宣言。まだタイヤを換えていなかった人たちには絶好の機会となり、ピアストリとノリスも同時にこの周にタイヤ交換を終えました。同時ピットですが差が開いていたために渋滞することも無し、女神もピアストリ推しに心変わりしたか。
30周目にVSC解除、ピアストリ、ノリスが8秒差で1位・2位なのは変わりませんが、ハードでスタートしていたラッセルがVSCで特をしてフェルスタッペンとアントネッリをまとめて逆転しており3位。フェルスタッペンはピット前より1つ落として4位となります。そして5位のアントネッリもVSCで得をしたアルボンにVSC解除後に抜かれてしまい、なんと5位アルボン、6位アントネッリというなかなか意外な順位に。
この後33周目にもう一度VSCを挟みましたがレース後半はわりと穏やかな進行。ノリスはピアストリとの差を毎周少しずつ削っていって残り8周で4秒差まで詰め寄りましたが、当然ピアストリは見ながら走っているでしょうし、どっちみちこのペースで追いかけると追いつくまでにあと20周ぐらい必要なので、追いつくのはインタビューが終わってトイレに行ったぐらいになってしまいます。
フェルスタッペンもラッセルを追いかけるけどちょっと届かなさそう、VSC中にラッセルが減速義務を怠ったんじゃないかとフェルスタッペンが告げ口をしていたので、チームはとりあえず5秒以内にはいてもらいたいようです。フェルスタッペンのチクりはけっこう当たってるからなあ(笑)
最終的にピアストリはノリスに対して4.63秒差を付けて3連勝し早くも今季4勝目を挙げました、マクラーレンの選手による3連勝は1997年最終戦スペイン(へレスで開催されたヨーロッパGP)から1998年の開幕戦オーストラリア、続くブラジルと3連勝したミカ ハッキネン以来です。同一シーズンという縛りをかけたら1991年に開幕から4連勝したアイルトン セナ以来でしょうかね、こっちは自分調べなので間違ってるかも。
ラッセルが3位、フェルスタッペンは抗議実らず4位でした。アルボン、アントネッリ、ルクレール、ハミルトン、サインツ、角田のトップ10でした。角田はピット入り口で突っ込みすぎて速度違反し5秒加算ペナルティー、レースの終盤は11位のハジャーと5秒差を巡るハゲしい攻防を繰り広げ、結果0.168秒差で逃げ切りました。速度違反がもうあと1km/hよぶんだったら5秒加算ではなくドライブスルーになっていたそうなので、結果オーライとはいえ大きくて避けるべきミスでしたからここは反省点だったでしょう。
ドライバー選手権で1位ピアストリと2位ノリスの差は16、まだ全然分からないんですがその数字以上にピアストリが一歩前に出ている印象すら感じるレースでした。対フェルスタッペンの争いでピアストリは相手が何をやってくるか冷静に考えながら、場合によってはちょっと押し出す形になっても提示されている基準に抵触していなければ構わない、というある種レース結果第一に徹して、それが別に誰相手でもあまり変わらない印象を受けます。
対してノリスは見た感じのイメージでしか無いですが『フェルスタッペンが相手!』と考えすぎて『あいつは押し出してきやがるから普通にやっても俺が悪者扱いされて終わるから、それをこうやってこうやってああやってあいつが悪いことを100%証明して前に出てやる』みたいなちょっと意識をしすぎているように見えてしまいます。もちろん、現状でMCL39をより使いこなしているのはピアストリのようでもあるのでその自信の差とかもあると思いますが、ちょっとかつてのロズベルグの対ハミルトンに重なるところがあるので、ここを上手く乗り越えてほしいですね。
・迷走フェラーリ
マクラーレンはここまで、主にノリスの取りこぼしが原因でチームメイト内の直接対決がまだ起きていない感じでまだ取り扱いに苦労していませんが、フェラーリは今回取り扱いで苦労して迷走しました。普通にレースが進んでいれば問題は起きなかったかもしれませんが、VSCのおかげでハードでスタートしたハミルトンがだいぶ得をしてミディアムを履いた状態で早々にルクレールに追いついて詰まってしまったのが始まりでした。
見た目上ではミディアムを履いたハミルトンが早い、この2人はいずれも前を行くアントネッリを捕まえたい、でも前でスタートしたのはルクレール、ハミルトンは今速くてもミディアムはそのうち性能が落ちてくる、色んな要素から何を優先すべきかまとまらなかったとみられ、ハミルトンからずいぶんとせっつかれてからようやく順位を交換。
ところが交換してそんなに経たないうちにハミルトンはやっぱりタイヤの性能が落ちてきて伸び悩み、今度はハードを履いたルクレールがハミルトンに詰まります。当然ルクレールが文句を言う番になって、またしばらく考えてから順位を入れ替え。入れ替えるたびに『フェラーリの2台の塊』という捉え方では時間を損しているので、じわじわ追い上げたアントネッリに入れ替えている間に離されました。
再入れ替えで後ろになったハミルトンは後ろのサインツを抑えて前に出さないようにリカルド アダミから声をかけられたものの、不機嫌につき「だったらサインツ前に出してやろうか。」とふてくされたような返答。結局アントネッリは捕まえられずにそのままの順位で終わってしまい、なんというか全員が敗者みたいになりました。解説で「ちょっとした悪ふざけのつもりでも、イギリス人では通用する冗談でもイタリアの人には冗談として通じないかもしれない」と指摘されていてなるほどと思いましたが、ピーター ボニントン相手ならなんとなく笑って許されたものがそうならないかも、というのは考えた方が良さそうですね。
一連の流れで何を反省すべきだったかはチームとして何を残して何を捨てるべきだったかによるので難しいところですが、入れ替え作戦を積極採用するなら追いついた瞬間すぐに入れ替えて、たとえもう1回入れ替えることになってもとにかく詰まって無駄な時間が生じることを避けるのが必須事項です。ハミルトンが追いついてしまうのはVSCが出た瞬間にはもう想定できたことですし、そもそも作戦遂行において想定されるパターンの1つとして織り込んではあるはずなので、なんかもうちょっと上手く対処できんかったんか、というのが素直な感想。
しばしばこういうことが起こるというのは、単に報道する側がフェラーリの時だけ面白おかしく頻繁に取り上げてるせいでそう見える、というだけではないと思うので、チームの本拠地側の作戦担当部門とか、現場での各エンジニアをとりまとめてより俯瞰してレースを監督する立場の人とか、どこか組織としてメルセデスやレッド ブルと比べて詰めや事前想定で負けてる部分があるのかもしれないと感じます。
ハミルトンに求められてるものって、そこにマクラーレン、メルセデスで得た勝てる組織の考え方を持ち込むことでもあると思うので、その前にふてくされちゃったらどうしようもないですけど、お互い敬意を持って多少時間がかかっても新しいものが入ったらなと思いますね。ゆえにハミルトンは単にレース結果の対ルクレールの数字だけではない部分もあるので、そこだけ見て衰えたのなんだのと言ってしまうではなくファンの人はもう少し長い目で見ると良いかなと思ってます、買いかぶりすぎかもしれませんが。だってフェラーリが遅いとおもろないですし(笑)
次戦はまた1週間空けてエミリア ロマーニャGPですが、そこからモナコ、スペインとまたもや3連戦になります。
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