NASCAR Cup Series
ステージ1後半もブレイニーの独走は止まらず、60周目を終えた段階で2位のボウマンと8秒、3位のバイロンとは13秒という目が点になる大差。さらにその差を広げながらステージ1は残り11周となりましたが、お約束の現地コマーシャル中になんとベルがスピン。15位あたりにいたのでそんなに調子が良くなさそうでした。これでコーションとなってリードラップ車両がピットへ。
ステージ残り5周の短距離戦となりますが、2列目リスタートのグレッグソンが派手に空回りして後続が大渋滞。さすがはカップドライバーで事故にはならずに収まりましたが順位はかなり変動しました。リーダー争いもけっこう激しかったですがブレイニーがモノにしてステージ1を制し、ボウマン、ブリスコーが続きました。コーション前の段階で既に7位に上げていたラーソンがこの短距離戦でさらに前に出て4位、シンドリック、バイロン、AJ、ベリー、グレッグソン、ロガーノのトップ10でした。
・ステージ2
5周したタイヤをまた交換するのかという話ですが、解説のラリー マクレイノルズは「去年のレースで同じことをやったドライバーがいるが、その結果は『マイケル ジャクソンのムーン ウォーク』だった。」とのこと。後ろに進んでるということですね(笑)ということでホースバーを除いて全員が4輪交換を選択。しかし幅が狭いホームステッド、ボックスを出たベリーがラーソンと接触して回り、お隣さんのロガーノを道連れにスピンする大混乱が起きました。ラーソンは無線で「21番がドアにぶつけてきた」とお怒り、車体に穴が空いたので当初チームはピットでの修理を考えましたが、土壇場で取りやめてそのまま走らせることになりました。
ピット出口ではボウマンがブレイニーを逆転、ムーンウォークに挑むホースバーとボウマンの1列目で89周目にリスタート、でもブレイニーは相変わらず速いので95周目にはもうリードを奪い返します。タイヤのもちに自信があるからリスタート後の数周に内側のラインを走ってタイヤを使ってしまうことをあまり恐れていない印象を受けますね。ホースバーはそこまで滑り落ちずにうまく戦っている様子でした。ちなみにこの時間帯、FOXが裏で放送していたインディーカー中継が電気的な不具合で中断してしまい、10分間ほど代わりにNASCARが放送されていたみたいです。そんな話初めて聞いたぞ(苦笑)
ここもブレイニーの独走は変わりませんが2位で続いたのはハムリン。ステージ2に無事故無違反でそのまま117周目からピットサイクルとなりブレイニーも118周目、ハムリンに3秒以上の差を付けて早めにタイヤを交換しました。ハムリンの方は元々こういうタイヤ消耗レースで均等割りして後半勝負する傾向が強く、やはりここも125周目まで引っ張って均等割り。この時ハムリンの約2秒後方にいたラーソンはさらに1周引き延ばしました、ラーソンもタイヤの履歴差を使って後半に抜きまくる考えです。
ステージ2後半もブレイニーは盤石、のはずでしたが残り20周あたりから周回遅れに苦戦して2位のバイロンにあっという間に追いつかれました。全くトッド ギリランドを抜けずブレイニーお手上げ。ただバイロンも追いついたところでダーティー エアーによって抜くことができず、もたついてたらステージ残り5周であっという間にハムリンとラーソンもここに辿り着いて大混戦。結果、タイヤの新しい2人が混乱を味方につけてブレイニーを抜いていきました。
ステージ2をハムリンが制しラーソン、ブレイニー、バイロン、ウォーレス、ボウマン、シンドリック、チェイスのトップ8。そして9位にはホースバーが入りました、どうやらステージ1最後の短距離戦はわざとのんびり走ってタイヤを節約し、ステージ2を先頭リスタートから早めのタイヤ交換で繋ぐ、という戦略だったようです、やるなスパイアー。ただ、この後ホースバーは184周目にエンジンの不具合でリタイアとなってしまいました、残念スパイアー。
・ファイナル ステージ
ラーソンがピットでハムリンを逆転してとうとうリーダーに、一方ブレイニーはピットで混戦に巻き込まれて9位まで下がった状態でファイナルステージが始まりました。リスタートを制したラーソンがそのまま逃げる、のかと思ったらここにウォーレスが挑戦。練習走行で最速だった瞬発力はこの段階でも効いているようで、177周目にリードを取りました。
でも周回を重ねるとラーソンが速いのも練習の結果通り、20周もするとウォーレスはラーソンの驚異に晒され、さらにブレイニーもラーソンの背後に既に付けています。ラーソンとすると下手にウォーレスに仕掛けて失速しブレイニーを前に出すことは避けたいので、かなりじっくりとウォーレス攻略を狙っている様子です。最終ステージは2ストップの可能性もあるとラリーが解説していましたが、200周目を超えても誰も動いてないのでさすがにここは1ストップ。ところが208周目、お馴染みの現地コマーシャル中に思わぬ形でコーション発生、なんとブレイニーのエンジンが壊れた模様。
これでリードラップ車両がピットへ、ウォーレスとラーソンの1列目で217周目/残り51周でのリスタートとなりました。102周のステージ距離の見事に半分が残っていましたね。リスタートではラーソンが良い反応を見せてウォーレスに並びかけましたが、2人が争ったさらに外側からボウマンが隙を衝こうとした結果、ラーソンは自由に戦えなくてウォーレスはちょっとタナボタでリードを守ります。逆にラーソンは混戦で順位を下げてしまいました。やがてウォーレス、ボウマン、ラーソンの順におさまります。
ラーソンがここからまた追い上げてくるのかと思ったら、一体今日何回目だろうかという壁ガリガリでブリスコーに抜かれて4位に後退。一方ボウマンはウォーレスを追い詰めると235周目に久々に先頭を取り返しました。夕方になってきてターン1~2の多くが日陰になってきましたが、解説のハービックによると影になって路面温度が下がったら全体にグリップ力が上がるのでどのラインでもそこそこ速く走れるようになり、結果として大外ラインの旨味が減少するとのこと。こういう話は日欧のレースの感覚だと絶対分からないオーバル特有の要素なので面白いですね。
残り14周、ここでラーソンがまだ終わらんよと言わんばかりにブリスコーを一発でかわして3位浮上。ボウマン、ウォーレス、ラーソン、ブリスコー、4人中2人は苗字がBで始まり、ウォーレスは本名はダレルですが愛称の"バッバ"で呼ばれることが多いですから名前がBで始まります。唯一Bでないのはラーソンです。ミドル ネームも"ミヤタ"だからBじゃないですね。
ラーソンは残り11周であっさりとウォーレスも抜いてしまいとうとう2位、ボウマンまで1秒差。ラーソンはブリスコーに仕掛けた段階で完全に攻めの走りのスイッチを自分の中で入れたようで壁に擦りながらもボウマンの背後へ。ボウマンも大外ラインで対抗していましたがやはり元祖ミニ四駆には勝てませんでした。残り7周、ターン4で完全に失速するほど壁に擦り付けてしまい、失速しているところをラーソンにかわされました。
抜かれたボウマンも必死に諦めず追いかけましたが、最後は力尽きたように離れていって勝負あり。ラーソンが今シーズン初、通算では節目の30勝目を挙げました。
Straight Talk Wireless 400
Homestead-Miami Speedway 1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/HendrickCars.com Chevrolet Camaro ZL1)
NASCAR カップシリーズ第6戦はホームステッド、2002年から2019年までは最終戦で開催され、過去3年間も10月の開催でした。春に開催されるのは2月28日に決勝が行われた2021年以来2度目で3月開催は初となります。1周1.5マイルですが一般的なDシェイプやトライ オーバル形状ではなく、長い直線とやや鋭角なターンで構成されたペーパークリップの特殊な形状。旋回時間が長いので右側のタイヤへの負担が非常に大きくて、映像を見ていてもみるからにリスタート直後と数十周した状態では旋回速度が違います。
また、ターンは大外が最も高い20°のバンク角を持つプログレッシブなので壁沿いを走るのが理論上は最速、ここを上手く使えるドライバーと、タイヤを壊さずに守って走れるドライバーがホームステッドで勝てる人です。大外ラインのミニ四駆走りが得意なのはラーソンとレディック、現在のNASCAR界における2大ミニ四駆です。Gen7での過去3回のホームステッドでの優勝者も2022年がラーソン、昨年はレディック、あとは2023年のベルです。
タイヤの摩耗がハゲしいのでアンダーカットの効果が抜群、内側からの追い抜きは難しいしクリーンエアーも欲しいのでピット戦略はかなり前のめりのタイヤ交換になりがち。しかしあんまり前のめりすぎると、均等割りして新しいタイヤを使っている人が内から外からバンバン抜きまくって最終的には一番速かったりもするので、何を大事にして何を切り捨てるのか、クルーチーフの思い切りとその意図に応えられるドライビングもけっこう大事になります。
ここでの現役最多勝はハムリンの3勝、Gen7では3位と7位が1回ずつ。過去3戦で平均順位が最も良いのはベルで5.3。アルメンディンガーも妙にここは得意で、2022年に3位になるなど3戦全て8位以内で同じく平均5.3となっています。こういうタイヤがむっちゃくちゃ減るタイプのトラックではRFKレーシングも車づくりが上手くて上位でしぶとい印象があります。
・レース前の話題
先週はピットできちんとナットが締まっていなかったベルが、チームの指示でチームメイトのブリスコーのピットに立ち寄って締めてもらうという珍事がありました。当然ながら『あれはありなのか?』という声は上がったとみられ、NASCARは見解を出しました。ベルのチームの行為はレースにおける重大な危険を未然に防ぐ行為としては許容されるべき行動であり、こうした安全上の脅威を取り除くために他陣営のピットを利用することは禁止しないと表明。
そしてこの週末に向けてピットの違反行為に関する規則を3大全国シリーズ向けに通達、その中では安全性を理由にした作業、ナットの締め付け、取り付けられたままになっている給油缶やジャッキの除去といった作業を他陣営のピットで行った場合、ピットボックス外での作業に該当するので通常のペナルティー(パススルーか最後尾リスタート)を課す、と明文化。
一方でウエッジのアジャストなど競争上の目的で他陣営での作業を行った場合には周回ペナルティーを課す可能性があると併記し抜け穴を防ぐことにしました。今後は締め忘れをチームメイトのクルーに助けてもらう場面がまた出てくるかもしれないですね。
続いてスポンサーの話を2つ。フェデックスが抜けて財政的に楽ではないジョー ギブス レーシングですが、保険会社大手のプログレッシブ インシュアランスがハムリンのスポンサーとなり、なんと18戦で主要スポンサーを担うと発表されました。チームが公開した写真だとかなりシンプルな青と白のスキームになるようですが、ハムリンとすると大助かりです。
一方、ヘンドリック モータースポーツは昨年まで長年チェイス エリオットのスポンサーだったレストラン企業・フーターズからのスポンサー料が未払いだとして170万ドルの支払いを求める訴訟を起こしていましたが、このたびフーターズ側が90万ドルを支払うことで合意したとFOXのボブ ポクラスが伝えました。
訴状によればフーターズは総額175万ドルを4分割して3か月ごとに支払う契約を結んでいましたが、2024年3月の初回支払いの際に僅か4万5000ドルを支払っただけにとどまっていたとされています。フーターズは近年業績が悪化して苦戦しており、昨年は突如40店舗を閉鎖するなど厳しい台所事情になっています。金の切れ目が縁の切れ目というやつでしょうかねえ。でも日本だとこういう話でこじれても表に話が出て来ないので、出てくるだけちゃんと見ている側にも理解できて良いなとかもちょっと思ってしまいます。
最後に日本のファンに嬉しいニュース、ABEMAの解説でもお馴染みになっているであろう古賀 琢麻がジョーイ ゲイズ モータースポーツからエクスフィニティーの2戦に出場すると発表されました。7月のドーバーと8月のポートランドに出場します。ということはこの週末の解説は古賀選手の担当ではないですね(笑)
・Craftsman Truck Series Baptist Health 200
ラーソン、チャステインもスポット参戦したトラックシリーズ、このレースは放送席が『ドライバーの日』と銘打たれてケビン ハービックが実況、ケゼロウスキー、ロガーノが解説で手助けしました。レースはコリー ハイムが非常に速く、これにラーソン、レイン リッグスが挑む構図。しかし90周目にラーソンがリッグスを抜こうとして自滅スピンしコーションとなります。
これでハイムが圧倒的に有利かと思いきや、なんと残り20周あたりから断続的にエンジンが止まるような不具合が発生して競争力を失い、一方でタイヤを換えて20位以下からリスタートしたラーソンが猛追。ラーソンは残り2周でリーダーのリッグスをかわしてチェッカー、大逆転のような、江夏の21球的な一人芝居のような結末でトラックシリーズ通算4勝目を挙げました。なお尾形 明紀は32位でした。
・Xfinity Series The Hard Rock Bet 300
こちらにも参戦のラーソン、17位スタートながら早々に上位に顔を出しレース残り8周で2位に15秒以上の大差を付けていました。しかしテイラー グレイのスピンでまさかのオーバータイムとなると、リスタートで後ろにいたサム メイヤーが下手な押し方をしたためにふらついて加速できず。これで抜け出してオールガイアーが先週に続く2戦連続優勝、通算27勝目を挙げるとともにダッシュフォーキャッシュの賞金10万ドルも手にしました。しょうもない負け方でスイープを逃したラーソンはレース後に不満気だった模様。
このレース、ビッグなマネーと対象的な見た目だったのがJGRのジャスティン ボンシニョーア。モディファイド ツアーで4度のチャンピオンを獲得している37歳は通算3度目のエクスフィニティーシリーズ参戦でしたが、
信じられないことに車体がほぼ真っ黒の大口スポンサー無し、「19番ってどっかの小規模プライベーターだっけ?」と思ってしまう外観でした。持参金で乗ってます感が強すぎますけど、JGRマジでお金無いんでしょうか・・・
・カップシリーズ
予選
ブッシュライトポールはボウマンが獲得しました、通算6度目。2位は先週の優勝で勢いに乗るベリーです。ノア グレッグソン、ブリスコー、バイロン、ブレイニー、ジョン ハンター ネメチェック、シンドリック、ウォーレス、アルメンディンガーのトップ10でした。ラーソンは14位、レディックは20位。ちなみに練習走行の最速はウォーレスでしたが、周回数を重ねた場合の平均タイムだとラーソンが全体的に速かったようです。
・ステージ1
ブレイニーが序盤に好調の様子、9周目にボウマンからリードを奪います。レディックは大外ラインで確実に順位を上げている一方でラーソンは最初の15周で2回も壁に擦っており、ちょっとまだミニ四駆のセッティングが完ぺきではない様子。事前収録のインタビューだと「Gen7で車が頑丈になったから以前より壁際を走りやすくなった」とは言ってましたがさすがに当たりすぎてます。
異様に早いブレイニーはボウマンとの差を30周で5秒ほどにまで広げて独走、コーションが出ることもなく31周目あたりからピットサイクルとなりました。そんなに急がなくても良さそうですがブレイニーも33周目に早々にタイヤ交換、半数以上のドライバーは前のめりにタイヤを換えました。一方でラーソンは前の人が少なくなったことを活かしてクリーンエアーで大外回り。マジでずっと壁走りしてんじゃないかと思うぐらいスレスレを中古タイヤのわりに良いペースで走って41周目まで引っ張りました。
ステージ1後半もブレイニーの独走は止まらず、60周目を終えた段階で2位のボウマンと8秒、3位のバイロンとは13秒という目が点になる大差。さらにその差を広げながらステージ1は残り11周となりましたが、お約束の現地コマーシャル中になんとベルがスピン。15位あたりにいたのでそんなに調子が良くなさそうでした。これでコーションとなってリードラップ車両がピットへ。
ステージ残り5周の短距離戦となりますが、2列目リスタートのグレッグソンが派手に空回りして後続が大渋滞。さすがはカップドライバーで事故にはならずに収まりましたが順位はかなり変動しました。リーダー争いもけっこう激しかったですがブレイニーがモノにしてステージ1を制し、ボウマン、ブリスコーが続きました。コーション前の段階で既に7位に上げていたラーソンがこの短距離戦でさらに前に出て4位、シンドリック、バイロン、AJ、ベリー、グレッグソン、ロガーノのトップ10でした。
・ステージ2
5周したタイヤをまた交換するのかという話ですが、解説のラリー マクレイノルズは「去年のレースで同じことをやったドライバーがいるが、その結果は『マイケル ジャクソンのムーン ウォーク』だった。」とのこと。後ろに進んでるということですね(笑)ということでホースバーを除いて全員が4輪交換を選択。しかし幅が狭いホームステッド、ボックスを出たベリーがラーソンと接触して回り、お隣さんのロガーノを道連れにスピンする大混乱が起きました。ラーソンは無線で「21番がドアにぶつけてきた」とお怒り、車体に穴が空いたので当初チームはピットでの修理を考えましたが、土壇場で取りやめてそのまま走らせることになりました。
ピット出口ではボウマンがブレイニーを逆転、ムーンウォークに挑むホースバーとボウマンの1列目で89周目にリスタート、でもブレイニーは相変わらず速いので95周目にはもうリードを奪い返します。タイヤのもちに自信があるからリスタート後の数周に内側のラインを走ってタイヤを使ってしまうことをあまり恐れていない印象を受けますね。ホースバーはそこまで滑り落ちずにうまく戦っている様子でした。ちなみにこの時間帯、FOXが裏で放送していたインディーカー中継が電気的な不具合で中断してしまい、10分間ほど代わりにNASCARが放送されていたみたいです。そんな話初めて聞いたぞ(苦笑)
ここもブレイニーの独走は変わりませんが2位で続いたのはハムリン。ステージ2に無事故無違反でそのまま117周目からピットサイクルとなりブレイニーも118周目、ハムリンに3秒以上の差を付けて早めにタイヤを交換しました。ハムリンの方は元々こういうタイヤ消耗レースで均等割りして後半勝負する傾向が強く、やはりここも125周目まで引っ張って均等割り。この時ハムリンの約2秒後方にいたラーソンはさらに1周引き延ばしました、ラーソンもタイヤの履歴差を使って後半に抜きまくる考えです。
ステージ2後半もブレイニーは盤石、のはずでしたが残り20周あたりから周回遅れに苦戦して2位のバイロンにあっという間に追いつかれました。全くトッド ギリランドを抜けずブレイニーお手上げ。ただバイロンも追いついたところでダーティー エアーによって抜くことができず、もたついてたらステージ残り5周であっという間にハムリンとラーソンもここに辿り着いて大混戦。結果、タイヤの新しい2人が混乱を味方につけてブレイニーを抜いていきました。
ステージ2をハムリンが制しラーソン、ブレイニー、バイロン、ウォーレス、ボウマン、シンドリック、チェイスのトップ8。そして9位にはホースバーが入りました、どうやらステージ1最後の短距離戦はわざとのんびり走ってタイヤを節約し、ステージ2を先頭リスタートから早めのタイヤ交換で繋ぐ、という戦略だったようです、やるなスパイアー。ただ、この後ホースバーは184周目にエンジンの不具合でリタイアとなってしまいました、残念スパイアー。
あ、そういえば現地放送も『今季の優勝者は苗字がBで始まる人ばかり』という話してましたね、考えること私と同じだ(笑)さあBではないハムリンは流れを止められるのか。
・ファイナル ステージ
ラーソンがピットでハムリンを逆転してとうとうリーダーに、一方ブレイニーはピットで混戦に巻き込まれて9位まで下がった状態でファイナルステージが始まりました。リスタートを制したラーソンがそのまま逃げる、のかと思ったらここにウォーレスが挑戦。練習走行で最速だった瞬発力はこの段階でも効いているようで、177周目にリードを取りました。
でも周回を重ねるとラーソンが速いのも練習の結果通り、20周もするとウォーレスはラーソンの驚異に晒され、さらにブレイニーもラーソンの背後に既に付けています。ラーソンとすると下手にウォーレスに仕掛けて失速しブレイニーを前に出すことは避けたいので、かなりじっくりとウォーレス攻略を狙っている様子です。最終ステージは2ストップの可能性もあるとラリーが解説していましたが、200周目を超えても誰も動いてないのでさすがにここは1ストップ。ところが208周目、お馴染みの現地コマーシャル中に思わぬ形でコーション発生、なんとブレイニーのエンジンが壊れた模様。
フェニックスに続いて今シーズン2回目です。フェニックスでは壊れる前から本人が異常を訴えていましたが、今回はそういうやり取りも性能の低下もなかったようなので予兆なくいきなり壊れたと思われます。内部でかなりしつこく燃えていて完全に消火できるまでけっこう時間がかかっていましたので、かなり酷い壊れ方をした様子です。
これでリードラップ車両がピットへ、ウォーレスとラーソンの1列目で217周目/残り51周でのリスタートとなりました。102周のステージ距離の見事に半分が残っていましたね。リスタートではラーソンが良い反応を見せてウォーレスに並びかけましたが、2人が争ったさらに外側からボウマンが隙を衝こうとした結果、ラーソンは自由に戦えなくてウォーレスはちょっとタナボタでリードを守ります。逆にラーソンは混戦で順位を下げてしまいました。やがてウォーレス、ボウマン、ラーソンの順におさまります。
ラーソンがここからまた追い上げてくるのかと思ったら、一体今日何回目だろうかという壁ガリガリでブリスコーに抜かれて4位に後退。一方ボウマンはウォーレスを追い詰めると235周目に久々に先頭を取り返しました。夕方になってきてターン1~2の多くが日陰になってきましたが、解説のハービックによると影になって路面温度が下がったら全体にグリップ力が上がるのでどのラインでもそこそこ速く走れるようになり、結果として大外ラインの旨味が減少するとのこと。こういう話は日欧のレースの感覚だと絶対分からないオーバル特有の要素なので面白いですね。
残り14周、ここでラーソンがまだ終わらんよと言わんばかりにブリスコーを一発でかわして3位浮上。ボウマン、ウォーレス、ラーソン、ブリスコー、4人中2人は苗字がBで始まり、ウォーレスは本名はダレルですが愛称の"バッバ"で呼ばれることが多いですから名前がBで始まります。唯一Bでないのはラーソンです。ミドル ネームも"ミヤタ"だからBじゃないですね。
ラーソンは残り11周であっさりとウォーレスも抜いてしまいとうとう2位、ボウマンまで1秒差。ラーソンはブリスコーに仕掛けた段階で完全に攻めの走りのスイッチを自分の中で入れたようで壁に擦りながらもボウマンの背後へ。ボウマンも大外ラインで対抗していましたがやはり元祖ミニ四駆には勝てませんでした。残り7周、ターン4で完全に失速するほど壁に擦り付けてしまい、失速しているところをラーソンにかわされました。
抜かれたボウマンも必死に諦めず追いかけましたが、最後は力尽きたように離れていって勝負あり。ラーソンが今シーズン初、通算では節目の30勝目を挙げました。
「僕が彼らに近づいていけば、彼らは動き回ってミスをし始めるだろうとわかっていたし、アレックスにプレッシャーをかけ続けることができれば、彼はミスをするかもしれないと思った。彼はそれで壁に接触して、予想よりも簡単に彼を追い抜くことができたんだ。それでも懸命に努力しなければならなかった。僕の車のクリーン エアーでのバランスは、彼らと同じように本当にルースだったんだ。チーム全員に脱帽さ。」
とラーソン。ダーティーエアーでダウンフォースが抜けている状態でのバランスを重視すると、クリーンエアーでは前が強すぎてルースになっちゃうんですね。クリーンエアーで完璧なバランスにした人が集団に埋まると酷いタイトで戻ってこれなくなるというのも納得です。なおこの週末は3戦2勝で惜しくも全勝を逃したラーソンですが、ブリストルでも再び3連勝に挑戦するそうです。
2位からボウマン、ウォーレス、ブリスコー、ハムリンのトップ5。6位には11位スタートから地味に走っていたクリス ブッシャー、ほらRFKレーシングもちゃんと上がって来たでしょ(笑)アルメンディンガー、レディック、プリース、そしてジャスティン ヘイリーのトップ10でした。レディックは車がタイトな状態が解消せず、ラーソンほどの爆発が無いままに終わってしまいましたね。
というわけでこの週末はラーソン祭りでした。本来ならブレイニーも勝てる車でしたから、トラック ポジション重視で早めにタイヤを換えて行くブレイニーと、均等割りして後から追い上げてくるラーソンが最後にどう決着するのか、というのが見どころでしたからエンジンが壊れたのは非常に残念でした。ボウマンはラーソンさえいなければという感じで、ウォーレスは残り20周ぐらいでコーションが出る展開だったらそこそこの確率で勝てた気がしますね。基本的にみんな同じ車を使っていてこれだけ特製の違う陣営がだいたい同じような時間でゴールする、というのが改めて非常に面白い競技だなと思います。
ちなみに今回ABEMAでは日テレG+時代の大人気解説者、当ブログでもたびたび名前だけ登場する桃田さんが解説でしたがABEMAのコメント欄を見たら桃田さんファン多いですね。登場して一言目に「ブギティブギティブギティ、レッツゴーレーシングボーイズ、久しぶり!」ってノリとしては完全にG+の続きでした(笑)
次戦は最小のトラック・マーティンズビル。なんとケイシー メアーズが6年ぶりに登場するみたいです( ゚Д゚)
コメント
桃田さんならではのバッサリと切り倒した説明の仕方(笑)裁判沙汰になってしまったことで、この規模のチームに付くスポンサーが1レースあたりどのぐらいの値段で契約しているのかというのが出てしまってるのがなかなか興味深いなとも思いました。
JGRのノースポンサーは、2021年にタイ・ギブスがエクスフィニティーにスポット参戦した時に何戦かあったようですね。
ボンシニョーアの個人スポンサーの問題でしょうが、それでもエクスフィニティーとはいえ強豪チームでもこうなるんだなと言うショックはあります。
去年のコリー・へイムがサムハントレーシングからエクスフィニティーにスポット参戦した時も真っ黒のスキームだった時があるのを見ると、トラックシリーズでの活躍だけでは、個人スポンサーが付くのは難しいんだなと思わされました。
日本でも一時フーターズは話題になっていたのもあって、日本の運営会社が破綻するほど経営が大変なのは知っていましたが、アメリカも同じようになってしまっているのは驚きました。
フーターズは調べてみると2017年からチェイスに年何回かスポンサー付いてたんですね。
それでも去年のテキサス戦でようやくフーターズのスキームでは初勝利を挙げたほど時間がかかったのを考えると、チェイスのプライマリースポンサーはあくまでもNAPAなのも含めて、限られた機会で勝ってくれるかまでは本当に分からない中スポンサーしているのは大変ですね。
だからと言って未払い起こすのは印象が最悪ですが。
HMSは事情が違うとはいえ、差別発言の影響でスポンサーが付かないラーソンを助ける形でHendrickCars.comのスキームがメインになりましたが、今では3シリーズに跨ってこのスキームが見られるほどHMSを代表するスキームになりましたね。
特に今回は3シリーズともラーソンの活躍があった事は勿論、トラックシリーズではスパイアーモータースポーツのラーソン含む3台(コーリー・デイとカルースはヘンドリック育成ドライバーだからかな?)がこのスキームでしたし、前にも書きましたが元々は飛行機事故で亡くなったオーナーの息子リッキーのドライバー時代のスキームなのもあって、別事業の宣伝もしつつ、毎戦がスローバックスキームの様な感じにもなるのも丁度良いと言ってもいいでしょう。
そんなラーソンのダーリントン戦のスローバックでは、テリー・ラボンテがカップ戦最後の優勝を果たした2003年のサウザン500で走らせたケロッグのトニー・ザ・タイガーのスキームで走ることも決まったので、自分の好きだったスキームがまた見られることが嬉しくなります。
フーターズがプライマリースポンサーになってるのは年間2~3戦、その他は小口でしょうけどそれでも年間2億円近いお金がいるんだなあと非常に数字そのまんまの印象を受けました。その限られたレースで早々に事故られたらたまったもんじゃないので、50周遅れでもとにかく走ってほしい、走らなきゃいけない、というのがなんかすごく現実味をもって感じられます。
HendrickCars.comスキームはもはやヘンドリックのエース、期待する選手に対して付けるスキームのような印象すら与えているので、抜擢された育成選手はこのスキームを貰ったらやる気が出るだろうし、一般のお客さんがヘンドリックの自動車屋さんで車を買うことへのブランド力も高まるし、結果オーライでものすごい宣伝になってますよね。何なら値段を上乗せしてあのスキームのレプリカ車両で販売したら買いたい人いるんじゃないかと(笑)