NASCAR Cup Series
Daytona 500
Daytona International Speedway 2.5miles×200Laps(65/65/70)=500miles
※NASCAR オーバータイムにより201周に延長
winner:William Byron(Hendrick Motorsports/Axalta Chevrolet Camaro ZL1)
さあやってきました2025年のNASCAR カップ シリーズ開幕戦・デイトナ500、今回が通算67回目の開催。今年も決勝参戦可能台数を上回るエントリーが集まったので予選落ちが発生する状況、予選から注目度が高いイベントとなりそうです。チャーターがあるので予選落ちしない36人以外に今回参戦するオープン チームの人を並べると
01 コリー ラジョーイ(リック ウェアー レーシング)
40 ジャスティン オールガイアー(JR モータースポーツ)
44 J.J.イェリー(NY レーシング チーム)
56 マーティン トゥルーエックス ジュニア(トライコン ガレージ)
62 アンソニー アルフレード(ビアード モータースポーツ)
66 チャンドラー スミス(ガレージ 66)
78 B.J.マクラウド(リブ ファスト モータースポーツ)
84 ジミー ジョンソン(レガシー モーター クラブ)
91 エリオ カストロネベス(トラックハウス レーシング)
以上の9人、小規模チームから元チャンピオンまで多彩です。決勝に出ることができるのは40人なので5人は予選落ちして帰らされることになります。ただしカストロネベスは世界的に著名で実績のある選手に対する特例制度を申請して予選落ちが免除となるため、彼が自力で決勝に出れなかった場合は別枠扱いされて41人が決勝に出場します。
2019年以降のデイトナ500優勝者は順にデニー ハムリン2連勝、マイケル マクダウル、オースティン シンドリック、リッキー ステンハウス ジュニア、ウイリアム バイロン。ハムリンの連勝以降は全て違う優勝者で、メーカーで言うとトヨタ2連勝、フォード2連勝、シボレー2連勝と来ています。今年の参加者でデイトナ500の複数回勝者は3勝しているハムリンと2勝のジョンソンのみ。1勝している現役は上に挙げた4人と、オースティン ディロン、ジョーイ ロガーノの計6人です。
予選順位があまり意味を成さないように思えるドラフティング トラックですが、それでもデイトナ500優勝者ではポールシッターの勝率が最も高く、通算9勝で勝率13.6%。2位スタートからの7勝も合わせると勝率は約24%なので、スタート位置の優位性というよりは予選で前にいられる単独での速さがレースでも必要であることを示唆しているかなと思います。とはいえ30位以下からのスタートでも6勝が記録されているのでひっくり返す可能性は普通のオーバルよりは遥かに高いと言えるでしょう。また、過去20年のデイトナ500では12回がオーバータイムとなっており、過去7年なら5回と高確率で延長戦に突入しています。
・レース前の話題
NASCARは通信大手・コムキャストとの上級スポンサー契約、およびエクスフィニティー シリーズの冠スポンサー契約延長を発表しました。しかし、上級スポンサー契約は複数年の延長だった一方でシリーズ戦の冠スポンサー契約は単年となっており、エクスフィニティーは今季限りで冠スポンサー契約を終了するとみられています。
その一方で、レース中のファステスト ラップに対して名前を冠している『エクスフィニティー ファステスト ラップ』については、各レースの獲得者に対してなんとドライバー/オーナー選手権ポイント1点が与えられることになりました。カップ、エクスフィニティー、クラフツマントラックの3シリーズ全てが対象です。最終戦でチャンピオンシップ4に残っている場合や、その選手がポイント獲得対象では無い場合など一部の例外はあるものの、F1では泥仕合を呼んで今年から廃止される制度がわざわざNASCARに今頃やってくることに。競争上の必要性からの要求と言うよりは、よりエクスフィニティーが名前を売る機会を提供することでスポンサーに留まってもらう意味合いが強そうです。
さらに各シリーズでシーズン終了後、最もエクスフィニティーファステストラップを多く獲得したドライバーに対しては『好きな慈善団体に寄付する権利』が付与され、カップは3万ドル、エクスフィニティー2万ドル、クラフツマントラック1万ドルが設定されています。
昨年にガイコが上級スポンサーから離脱したのでNASCARとしてはエクスフィニティーがいくらかでも残ってくれたのは助かりましたが、もう1つ重要な契約相手が燃料を供給しているスノコ。現在の契約は今年までとなっているようで延長が不透明となっています。スノコは給油所併設のコンビニエンスストア事業を展開していましたが、2017年以降この事業を数回にわたってセブンイレブンに売却しており一般消費者向け事業から法人向け事業へと集約を進めています。そのためNASCARを通じて宣伝する意味合いが薄れているようです。
NASCARはスノコと交渉を進めつつも、新たな供給事業者を探す作業も並行して行っているとの情報で、何せスポンサー収入は増減があってもどうにかなりますけどタイヤと燃料だけは無いと車が走らないので、手早く交渉をまとめていかないといけません。
・予選
デイトナ500だけは特殊な予選方式、日曜日の本戦に向けてまずは水曜日に1台ずつ走行する予選。ラウンド1の上位10人が2回目に進む2ラウンド方式で、ここで上位2人に入ると決勝での1列目スタートが確約されます。栄えあるブッシュ ライト ポールに輝いたのは、ジョー ギブス レーシング移籍初戦のチェイス ブリスコーでした、トヨタとブリスコーにとってデイトナ500初のポールです。2位は0.076秒差でシンドリックでした。Gen7になってからトヨタはドラフティングトラックの単独ですごく遅い傾向がありましたけど何か変わりましたかね。
また、決勝進出の狭き門を争うオープン枠の選手は彼らの中で上位2人に入っていれば決勝進出が保証されるのでものすごく大事な予選でした。オープン選手1位はトゥルーエックス、2位はジョンソンでこれまたトヨタ勢の2人でした。全体で見ればそれぞれ22位と29位ですが、元王者2人は帰らされる心配がなくなって一安心です。
・デュエル 1
木曜日は60周の予選レース・デュエル。このレース結果で決勝の2列目以降のスタート順位が決まるとともに、オープン残り2人の決勝進出者が決まります。基本的に予選で奇数順位だった人が参加するデュエル1は14周目の多重事故でオープンのスミスとカストロネベスがクラッシュして一発リタイア。レースを制したのはバッバ ウォーレスで、オープン最上位は9位のオールガイアーでした。これでオールガイアーの決勝進出が決まります。
・デュエル 2
基本的に予選で偶数順位だった人が参加するデュエル2、こちらはコーションが出ないままサクサク進んだのでアンダー グリーンでの給油が必要となり、結果ハムリン、カイル ラーソンなどが今年初の速度違反をやらかしました、本番の前に経験しておいてよかったかもしれません(笑)
ところがピット勢が順次隊列を組みなおしていく過程の48周目、まだ速度が乗り切っていないクリス ブッシャーがやや強引にブロックしたことで後ろで渋滞が起きて接触事故に発展しコーションが発生。54周目のリスタートから残り7周の短距離戦はシンドリックとエリック ジョーンズが一歩も引かない争いとなり
速報値0.004秒差でジョーンズが勝利と出ましたが、その直前に中団での多重事故でコーションが発生していました。NASCARは映像検証を行いしばらく決定に時間を要しましたが、結果はコーション発生の瞬間僅かにシンドリックが前にいた、ということでシンドリックがデュエル2をポール トゥー ウインで制しました。
オープン最上位は6位に入ったラジョーイで、これで全ての決勝進出者が確定。カストロネベスは特例で41位からのスタートとなり、アルフレード、イェリー、スミス、マクラウドの4人が予選落ちでデイトナ500本戦を走ることなく帰宅することになりました。小規模で頑張っているので毎回応援しているビアードモータースポーツが決勝にいないというのは個人的に残念でした。
決勝のスタート順位は1列目がブリスコー/シンドリック、2列目がウォーレス/ジョーンズ、3列目はバイロン/ブッシャー、4列目タイ ディロン/ハムリン、5列目がロス チャステイン/ロガーノとなりました。なお、デュエルの上位10人には10~1点の選手権ポイントが与えられています。
・Craftsman Truck Series Fresh From Frorida 250
金曜日夜のクラフツマン トラック シリーズからスピードウイークのレースが幕開け。7回のコーションが出たレースは最終周のバックストレッチ、パーカー クリガーマンだけが前方に放り出された状態になっていましたが、後続が押しあいへし合いで次々とクラッシュし、数台だけならコーションを出さず放置するNASCARもさすがにたまらず8回目のコーション発生でレース終了。パーカーが2022年のミッドオハイオ以来となる通算3勝目を挙げました。
「人生最大の勝利!」と大はしゃぎ、なんか喜び方がA.J.アルメンディンガーと似ていますがそれはともかくおめでとう!と思ったらその約1時間後、車検で車高が低すぎることが判明してなんと失格に。これでコリー ハイムが繰り上がって通算12勝目、デイトナでの初勝利を挙げました。ヘンダーソン モータースポーツはクリガーマンの失格について控訴を行っています。
・ARCA Menards Series Ride the ‘Dente 200
土曜日のお昼はARCAシリーズ、デイトナ本戦の練習としてカストロネベスが参加している他、様々なレースで活躍してきた女性ドライバー・キャサリン レッグも参戦しました。ところが開始早々の4周目に15台が巻き込まれる多重事故が発生すると、その後もたびたび大きな多重事故が発生してみんなボロボロに。序盤から多くの周回をリードしていたローレス アレンも44周目のクラッシュで撃沈します。
そんな中レースの最後は有名プロレスラーに似ていることから『バタービーン』の愛称で知られるブランドン クイーンがリード。カストロネベスが追いかけましたが初心者は大事な場面で無視されがち、というというデイトナあるあるで外されてしまいます。これでポールシッターのウイリアム サワリッチが2位となりましたが時すでに遅し。昨年までは主にレイト モデルでウイークリー シリーズを戦い、今年27歳にして初めてARCAへのフル参戦を果たしたバタービーン クイーンがいきなりの優勝を手にしました。
カストロネベスは多重事故に2度巻き込まれながらも大きな損害を免れて優勝争いに加わったものの結果は5位、そしてチェッカー後に後ろから押されてスピンしクラッシュ、車が中破しました。スロットルを戻すのが早すぎたのか、後ろの不注意だったのか理由は謎です。また、唯一参加した日本人選手・古賀 琢麻は3回目の多重事故に巻き込まれてリタイアし25位、レッグは最初の多重事故でリタイアして39位でした。40人でスタートしましたがリード ラップで終えられたのは僅か13人でした。
・Xfinity Series United Rentals 300
エクスフィニティーは開幕戦デイトナで3年連続優勝中のオースティン ヒルが今年も序盤を優位に進めてステージ1・2を連勝。ところがステージ2終了後から車内に煙が入って来てどうやらエンジンあたりに不具合があった模様、結局82周でリタイアとなってしまいました。
しかしヒルのチームメイト・ジェシー ラブが流れを引き継ぐように残るレースを戦いました。残り2周半というところで多重事故が発生してオーバータイムとなりますが、オーバータイムのリスタートでかなり際どいライン取りを見せて先頭を固めると、いよいよホワイト フラッグが振られようかというトライ オーバル部分でまたもや多重事故。これによって出たコーションがホワイトフラッグの僅かに後だったことからレースはここで確定して終了となり、ラブが昨年の第9戦タラデガ以来となる通算2勝目を挙げました。リチャード チルドレス レーシングとしてはこれで開幕戦4連勝です。
・ステージ1
天気予報から順延の可能性もあった日曜日、当初予定より1時間前倒ししてどんよりした空模様の中でデイトナ500スタート。バックストレッチで強い追い風が吹いているのでターン2出口でうっかり回らないように注意したい条件です。開始時点で既に固定カメラに水滴が付着しているので気になっていたら、8周目の段階で小雨になってきたので事故が起きる前に速やかにコーション発生、これ長くなるやつや。当然レッド フラッグとなって雨の通過を待ちます。
結局およそ3時間が経過、ようやく準備が整ってコーション周回で再始動され、ピットが許可されるとステージ1を走り切るべく各陣営が給油に向かいます。いよいよ再開、と思ったらまた雨がぱらついてきたので一旦レッドフラッグ、20分ほどの待機。こっちは一瞬で時間を飛ばせますが観客のみなさんとGAORAで生放送で見てる人は大変ですね、G+時代もせっかくの生放送で枠に入りきらないことありましたよねえ。ちなみにGAORAのモータースポーツ担当ディレクター・稲Dによると昨年のインディー500/シャーロット600ダブルヘッダーより仕事はきつかったとのこと。
すっかり日が暮れて24周目から今度こそグリーン フラッグ、中断前は6周ほどで全体が3列になっていましたが、今回はリスタートから3周でもう3列の争い、当然ながらリーダーは頻繁に入れ替わりますが、そんな中でも特にロガーノは先頭であっちこっちに動き回っていつもながらはしゃいでいます。これがだいたい事故のもとになるんですよねえ。
ステージ終盤にかけてはブラッド ケゼロウスキーがロガーノをしっかり押して支えているためか上位10人ほどが1列で抜け出す展開となりましたが、63周目・ステージ残り3周で隊列後方にいたハムリンが前に詰まってハーフスピン。ハムリンそのものは奇跡的に回らず耐えたんですが、後ろにいたゼイン スミスがスピンしてジョッシュ ベリーを巻き込みました。これでステージ1はコーション下で終了、ロガーノが勝者となりました。作れと言われてもできないこの表情がまさにロガーノです。
・ステージ2
セオリー通りここは各車4輪交換と目いっぱいの給油、ステージ2が始まりますが先頭のロガーノがなぜか今一つ加速せず。どうやら何か不具合があったようで後続がつかえて絵に書いたようにアコーディオン効果となり、10列目あたりでとうとう事故になりました。8人ほど巻き込まれてチャステイン、カストロネベス、トゥルーエックスが一発リタイア。加速しなかったロガーノはピットでECUを交換したようですが不具合解決せず。
77周目、今度は綺麗にリスタートしましたが83周目に破片が原因で4回目のコーション、ここで給油すればステージ2を走り切れるのでもちろんみんな給油へ向かってピットが大混雑です。そんな中でロガーノには朗報、不具合が解消しました。ステージ1の終盤にグリル下部にビニール袋が付着していましたが、どうもこの時に異物がグリル内まで進入して内部にあるスロットル ボディーに不具合をもたらしていたようです。なんとクルーが超速で部品交換、フリー パスを得て既にリード ラップに戻っているのでまた上位に戻ってきそうです。整備性が高いのかクルーがすごいのか、いずれにしてもエンジン部品をものの2分弱で取り替えるとは・・・
87周目のリスタート以降、ステージ2は外側の先頭にシンドリック、内側はアレックス ボウマンという状態でけっこう長時間の並走でそのまま最終周へ。シンドリックの後ろはチームメイトのライアン ブレイニーだったので組んでそのまま行くかと思ったら、ターン3の手前でシンドリックだけが前方に放り出されて単独になりチェッカー目前で失速。ブレイニーが逆転してステージ2を制しました。ロガーノはなんとステージ8位。
・ファイナル ステージ
デイトナ500でステージ2勝者が優勝したのは2020年のハムリンのみ、というちょっと不吉なデータと共にファイナルステージ。もちろんステージ間コーションで給油とタイヤ交換が行われました。ロガーノはまだ修理項目が残っていたようで、エアボックスを交換してまた後方からのリスタートです。
勝利への鍵、まずはここから順位をほどほどに維持しつつも燃料を節約して最後の給油時間を短縮し、ピット後に集団の前方にいることが必要です。もちろんピット前後でできるだけ台数の多いドラフトを維持していること、ピットで失敗しないことも条件。これらをクリアしないと最後の殴り合いに参加できません。変に埋まったら多重事故の餌食になる危険性も高まりますし、終盤はそう簡単に順位を上げることができません。
航続距離から言えば残り40周あたりから給油は可能になるものの、みんな可能な限り引っ張ってピットサイクルが始まるのは残り22周あたりではないか、それまでに徐々にメーカー同士で集まっていくだろう、というラリー マクレイノルズの解説もあり暫くは準備の時間だと思ったら、162周目になんとデブリーでコーションが発生。全車ピットに駆け込んで最後の給油が行われました。もうこれであとはチェッカーへ向けて突き進むのみ。
166周目/残り35周でリスタート、さあここからがデイトナ500の本番です。節約不要でシンドリックとブレイニーが組むとかなり速いらしく隊列を先導し、上位8人ほどが内側で1列。それ以降が2列という状況で残り周回数が減っていくので、中団の人はそろそろ追い上げて行かないとこのまま終わってしまいます、さあ仕掛けるのは誰だ。
すると残り16周、期待に応えてステンハウスに押されたラジョーイが登場、さらにロガーノも伸びてきてターン3でステンハウスとブレイニーの隙間に潜り込もうとしましたが、これをステンハウスがかなりギリギリのタイミングでブロック。詰まったロガーノがスロットルを戻しますが前後が詰まってしまい
多重事故発生。ロガーノ、カイル ブッシュ、ブレイニーなど上位のドライバーを巻き込みました。ステンハウスのブロックはかなりタイミングが遅かったので動いた時点でもう危ないのが目に見えていたと思いますが、ロガーノもあの隙間に入るのはちょっとリスキーだった印象はあります。ちなみにこの事故を受けてステンハウスのスポッター・タブ ボイドは「22がお前を事故らせようとしてきたと思う。」と伝えますが、ステンハウスは「いや、みんなして狭められただけだ。」とむしろ冷静に状況を理解した返答をしていました。
残り8周でリスタート。さきほどの事故で気付いたら上位にトヨタ勢がかなりまとまっており、ほどなくしてハムリンが内側、クリストファー ベルが外側の先頭となります。しかしベルを押しているコール カスターがなんか気合が入って押しすぎで危なそうな雰囲気を出しており、ちょっと怖いなあと思いながら見ていました。すると残り5周、悪い予感が的中して押されすぎたベルがバックストレッチでスピン、多重事故になります。
スピンして壁に当たって跳ね返ってきたベルがライアン プリースに当たると、プリースはジョーンズに当たった勢いで前部が持ち上がってしまいました。この体制で数十メートルはウイリー走行した後に横転しながらフェンスに衝突。プリースがデイトナで横転するのは2023年夏に続きこれが2度目、前回の横転を受けてデイトナのバックストレッチは芝生を廃止、昨年も浮き上がり事故が多発して浮遊対策が行われていましたが、今回また少し珍しいパターンで車が浮いてしまいました。
解説のクリント ボイヤーも「こんなウイリー状態は見たことが無い」と驚きの反応、ベリーのスポッターも同じことを口にしました。私も最初は他の車のボンネットに乗って前が持ち上がってるんだと思ったので、こっちの角度の映像を見て何の支えも無くウイリー走行していたことを知り衝撃でした、プリースに怪我が無くてよかったです。
これでレースはやはりオーバータイムへ、ハムリンとシンドリックの1列目。内側からリスタートしたハムリンは自分のチームのドライバー・ライリー ハーブストに押してもらったので出足は良かったものの、初手で勢いよく押しすぎており孤立。すぐに外へ動いてシンドリックを従えようとしましたが、こっちはまたもやカスターによる推し活があるため、勢いが違いすぎてブロックに失敗します。
それでもここから先もシンドリックとハムリンが争いを主導したまま最終周へ、バックストレッチでハムリンはシンドリックの外に並びますが、その背後からカスターが出てきました。ブロックできないギリギリのタイミングで外に動いてハムリンの外へ並びかけ3ワイドとしましたが、直後にすぐ内側に動いたため斜め後ろにいたプリースと角が接触。
もうこうなったら止めようもなくターン3の入り口で多重クラッシュ、ターン3での事故なのでコーションが出ない中、ここを無傷で通過したのは大外を走っていて辛うじてハムリンの命中を免れたバイロンでした。これにタイラー レディックが続いたものの差が開きすぎており、そのままバイロンが独走でチェッカー。デイトナ500で2年連続優勝という偉業を成し遂げました。
デイトナ500で2年連続で優勝したのは
1973・1974 リチャード ぺティー
1983・1984 ケイル ヤーボロー
1994・1995 スターリング マーリン
2019・2020 デニー ハムリン
彼らに次ぐ史上5人目の快挙です。バイロンは昨年も最終周に入ったところで多重事故によりコーションが出て優勝し、ラップ リードは僅か4周、そして今年もラップリードは10周で合計しても14周のリードのみです。過去の2連勝達成者で最もラップリードが少なかったのは1973年ペティーの17周で、バイロンは過去の誰よりも少ないリードによって連勝を達成したという珍記録でもありました。
2位からレディック、ジョンソン、ブリスコー、ジョン ハンター ネメチェックのトップ5。ボウマン、ブレイニー、シンドリック、オールガイアー、ブッシャーと続きました。ジョンソンが3位以内に入るのは2020年第25戦・ドーバー以来約4年半ぶりでフル参戦引退後は初めて。オールガイアーは2015年第8戦・ブリストル以来およそ10年ぶりのトップ10フィニッシュでした。
最後の多重事故の明らかに起因となったカスターですが、サイド ドラフトを使おうとしてハムリンに近寄ったら行き過ぎて吸い寄せられたのか調子に乗りすぎたのか接触してしまったようです。カスター自身はチェッカーまでたどり着きましたが21位、ハムリンがリードラップ最後尾の24位でした。
・ペナルティー
レース後車検で複数の違反が発見されました。ブリスコーは加工が禁じられている単一供給部品に改造が行われていたとして、クルー チーフのジェイムス スモールは4戦の出場停止、ドライバー/チーム ポイント100点減点、プレイオフ ポイント10点減点、罰金10万ドルという重い処分を受けました。
違反事由はスポイラー部分と書かれており、ジョー ギブス レーシング側はこの裁定を不服として控訴した上で『問題はスポイラー土台部分を車体に固定するためのボルトが、事前に開けられている締結穴と干渉したために摩耗したことが原因』と声明を出しました。故意の改造ではなく部品精度による不可抗力であるということですね。もし結果が覆らない場合、ブリスコーの開幕戦終了時点でのドライバー選手権ポイントはマイナス67点とぶっちぎりのビリです(笑)
また、トッド ギリランドとコディー ウェアーに対してはバラストの固定に関する規則違反でいずれも10点減点の処分が課されています。
というわけで今年も雨に祟られたデイトナでした。コーションは雨による1回を含めて8回、多重事故はほどほどでオーバータイムがあって、という展開でしたがアンダーグリーンでのピット作業はコーションとの兼ね合いで起きませんでした。どのステージも給油したいタイミングでコーションが出て燃料による戦略勝負が起きなかったので、極端に遅いペースで走るというここ数年の傾向が無くてコース上の熱量という点では割と高かった印象でした。先を争う中での接触はあってもしょうもない自爆や暴走が原因の事故は無かったので、引き締まった最上位カテゴリーらしいレースだったと思います。ARCAの荒れようといったらもう・・・(笑)
結果はバイロンが事故をすり抜けて独走になってしまうという思わぬ結末で、ハムリンとシンドリックの正面からの争いが結末を見ないまま終わったのが残念でした。2人とも自分たちは普通に真っ直ぐ走ってたらいきなり横からぶん殴られましたからね。そんな最終周の争いとバイロンの勝利に貢献したかもしれない影のヒーローがいたと思います。
ハーブストです。最終周に入る直前のトライオーバルで弾き出されて芝生に突っ込みましたが、絶妙なコントロールで立て直しました。最終周は基本的にターン3以降での事故なら『その後ろからはもう高速走行する車両が来ない』という判断からコーションを安易に出さない方針がありますが、ターン1前後だと最後に殺到してぐちゃぐちゃに争った車が押し寄せてくるので、近くで車が止まったら危険なので即座にコーションが出ます。
もしここでハーブストが回って外壁にでも突っ込んでいれば、レースはターン1あたりでコーションが出て終了、シンドリックが優勝でこれもまたしょっぱい終わり方になっているはずでした。シンドリックからすると『あそこで終わってくれれば』かもしれませんが、最後の盛り上げに貢献したであろうハーブストにはバイロンから何かお礼を送ってあげても良いのではないかと思います(・∀・)
さて、デイトナが終わって開幕なんだけど1つ大きな節目が終わってお腹いっぱいな状態で、次戦はまたドラフティングトラック、むしろデイトナよりヤバい説すらあるアトランタです、事故はほどほどに頼みますよ~
コメント
ここらでAlexにひとつ大活躍して欲しいなあ
もちろんChaseもLarsonも!!!
デイトナで2勝したらもうレジェンドドライバーの仲間入りですからね~、なんとなくチェイスは今年やってくれそうな印象があるしラーソンはほっといても大丈夫なので、あとはやはりボウマンでしょうか。
今回は予想以上に公式のアップが早くて驚きました、フォーミュラEの調べものしてる間に出てたから追いつかなかったぐらいです^^;
NASCARは10年ぐらい前までは賞金が公表されてたっぽいんですけど、以降は公式には不明なので優勝でいくら貰えてるのかすら分からないんですよね、今年のデイトナ500の賞金総額は3000万ドルを突破したそうなのでバイロンは200万ドル以上は貰ってるんじゃないかとは思うんですけど。
予選は移籍したとはいえマクドウェルの連続ドラフティングトラックでのポール記録が止まったことや、ビアードモータースポーツの予選落ちは残念でしたが、ジョンソン、トゥレックス、オールガイアー、ラジョーイとカップシリーズでの実績があるドライバーが無事に通過出来た事は良かったです。
正直去年のジョンソンの予選落ち危機も考えれば、チャーターシステム前にあった過去のチャンピオンに対するプロビジョナルも復活してほしい所です。
HMSはオーナーにとってもデイトナ500は史上最多の10度目の制覇なんですね。
チームは40年連続カップ戦勝利を早くも決めて、色々記録づくしになったのもめでたいですし、クラッシュでのチェイスの優勝に続いて、良いスタートを切った感じがあります。
去年不調だったレガシーモータークラブは2台がトップ10、更にジョンソンの3位は個人的にも嬉しくなりました。
JRモータースポーツもカップデビュー戦でトップ10入り出来たのも、デイルジュニアも喜んでいるでしょうね。
カストロネベスが自動的に決勝の枠を確保したことに対しては不満の声も出ていたようですし、仰る通りチャンピオンプロビジョナルを『前年に5戦以上出ている』とか条件付きで再導入しても良い気がしましたね。36+4の40台制度はレースの質を保つための措置だと考えると、そこそこ走れる人が落とされてしまうのが運営やお客さんの望む形なのか?という感じでもありますし。