NASCAR 2025年のチーム・ドライバー情報

 伝説の3ワイドフィニッシュ、トランスポンダーをも欺く0.001秒差の決着、勝利を欲するあまりの自爆攻撃が生んだ悲哀、重量規定違反、集団でのレース順位操作、そして3タイムス チャンピオンの誕生。1シーズンで10年分ぐらいの濃度を詰め込んだ2024年のNASCAR カップ シリーズが終了し、2025年は新たな放映権契約体制のもとで始まります。現時点でチャーター制度を巡ってまだ参加チームと運営が裁判で争うような状況もありますが、2025年の主要なチームのドライバー情報を集めてみました。

ドライバー名の前の記号は
〇=新人
△=移籍
□=復帰
ドライバー名の後の()内の数字は推定される契約期限

チーム名の前の記号は
△=体制変更
〇=新規参戦
×=閉鎖

12/25~エクスフィニティーの情報を少しずつ追記中
1/8   トラックハウス、リックウェアー、フロントロウの情報を更新
1/15   とりあえずエクスフィニティーは完成

×Stewart-Haas Racing/Ford

 スチュワート-ハース レーシングは2024年をもって閉鎖。ベテラン選手の引退に合わせて大口スポンサーも一緒にいなくなってしまい財政状態が厳しかった上、共同オーナーであるトニー スチュワートがドラッグ レースなど他カテゴリーでの活動に熱心になってしまい、NASCARに対する意欲が低下したことも背景にあるとされています。もう1人の共同オーナーであったジーン ハースがチーム体制の一部を引き継いでハース ファクトリーとして参戦を継続します。


 Joe Gibbs Racing/Toyota
11 Denny Hamlin(2025?)
19△Chase Briscoe(at least 2026)
20 Christopher Bell(2025?)
54 Ty Gibbs


 元NFLの名ヘッドコーチ・ジョー ギブス率いるジョー ギブス レーシング。2024年はプレイオフに全4人のドライバーを送り込むことに成功した一方で、2014年に"チャンピオンシップ4"制度が導入されて以降初めて誰も最後の4人に残ることができませんでした。2025年に向けてはマーティン トゥルーエックス ジュニアがフル参戦から退いたためチェイス ブリスコーが加入、デニー ハムリン、クリストファー ベル、タイ ギブスの3人が残留となっています。
 この11月で44歳となったハムリン、3勝を含む12回のトップ5フィニッシュで前年と同水準の好成績を維持しましたが、チーム側の管理ミスでエンジン規定違反によるペナルティーを受けるという不運がプレイオフの戦いに影響した面は否定できず、ツキのないシーズンにもなりました。また、長年支えてくれたフェデックスがスポンサー活動を完全に終了しました。ブログでは無冠の帝王で終わってしまうことを危惧してハムリンに限りチャンピオンを『アレ』と言い換えてみましたが、効果がありませんでした。とりあえず来年もアレを目指してアレするために当ブログもアレします。
 一方、来季でフル参戦6年目・30歳になるベルはトラックを問わず速さを見せてチームのエースのみならずシリーズ全体でも屈指のオールラウンダーとなりました。15回のトップ5フィニッシュは最多タイ、23回のトップ10は全ドライバー中最多。3年連続のファイナル進出を逃したのは第19戦以降に優勝できなかった上、堅実に15位前後で終えればよかった第35戦マーティンズビルでまさかの低迷を喫したため。実力は全体の結果には文句の付けようもなく、あとはまとめきる力だけでしょう。なおシーズン中には、まだ正式発表されていないブリスコーの移籍について口を滑らせるという可愛らしい一面(?)も見せましたw

 オーナーの孫・ギブス君はポイントで初めてのプレイオフ進出で飛躍した2年目でした。あと少しで初優勝!という場面があったもののさすがにその壁は高く、他方で18位以下のレースが16回もあるあたりにまだまだこれからという印象も受けます。また来シーズンはエクスフィニティーの54号車に『オーナー』として関与することが発表されています。ギブス家はコイ ギブスが2022年に急逝、J.D.ギブスも2019年に亡くなってジョーの2人の息子がいずれも若くしてこの世を去っています。将来を見据えたギブス家の継承者としての動きか、とも言われています。
 そして閉鎖されたSHRから移籍してきたブリスコー。苦戦するSHRにあって第26戦ダーリントンで優勝しプレイオフに滑り込むなど、なんかヘラヘラしてる印象ですがなかなか勝負強くてショート トラックに強みがあります。ブリスコーはキャリア初期をダートで積み上げており、ベルもまたダート出身選手で共通項があります。2人のダート出身者の存在によりチームは長年の方針を転換してダートの他レースへの出場を許可する方針を明らかにしており、ある意味1周もしていない段階でブリスコーはチームを変えました。シーズンでもJGRに新たな刺激となるのか注目です。

 23XI Racing/Toyota
23 Bubba Wallace(2026)
35〇Riley Herbst
45 Tyler Reddick(2025?)

 NBAの元スター選手・マイケル ジョーダンと現役ドライバーであるハムリンが設立した23XIレーシング。閉鎖されたSHRからチャーターを1つ購入し3台体制へと拡充したんですが、NASCARとの新チャーター制度契約交渉において不満があったため反トラスト法を理由に運営を提訴。現時点では"オープン"チームとして扱われることになるため財政基盤に不安があります。とりあえずドライバーはバッバ ウォーレス、タイラー レディックが残留し、ここにエクスフィニティーにSHRから参戦していたライリー ハーブストが新加入。レディックもハーブストもモンスター エナジーが主要スポンサーなので車の外観が被るおそれがありますw
 レディックはレギュラーシーズンのチャンピオンを獲得、プレイオフも苦しみながら得意のホームステッドでミニ四駆走りを見せつけるなど勝負所で力を見せて初のファイナル4進出。速さと安定感を底上げしてあらゆる数字で自己最高成績を残しており6年目の初戴冠へ向けて期待が高まる存在、ベルと並ぶトヨタ陣営の2枚看板です。
 一方ウォーレスはプレイオフに進めず選手権18位止まり。平均順位、トップ10回数など自己最高を更新はしており、これほど優勝者が大量に生まれるシーズンでなければプレイオフには行けたのかもしれませんが、レースを通じて変化するコンディションに適応してレースの最後まで競争力を発揮できない場面が見られ、勝てるドライバーであるレディックとはやはり大きく差があります。複数年の契約延長をしたものの、2年間勝っていないだけに来シーズンは勝たないと次の契約は壁が高くなります。
 そして新加入のハーブスト、エクスフィニティーに2020年からフル参戦して2023年の第30戦で4年目にして待望の初優勝。2024年は2勝を挙げて年間7位、最終戦フェニックスで優勝して去り行くSHRに勝利をもたらしました。元々JGRの育成ドライバーで2020年はJGRからエクスフィニティーに出ていましたので、久々にトヨタ陣営に戻ってきたことになります。ちなみにハーブスト家は彼のお父さんをはじめオフロードのレース活動をしている人が多いレース一家であり、またテリブル ハーブストというそこそこ大きな規模のガソリンスタンドを経営しています。

 23XIに関しては引退したトゥルーエックスが希望のレースにスポット参戦する際に受け皿として車を用意してくれる、という話に最初はなっていたんですが、フル参戦を3台用意するとさすがに4台目を用意する余力がない上に、そもそも体制自体が不安定なので話が宙ぶらりん。とりあえずデイトナ500に23XIから出る話はお預けになって他から出ることになりそうです。

 Legacy Motor Club/Toyota
42 John Hunter Nemechek
43 Erik Jones(2026)
84 Jimmie Johnson

 カップシリーズ通算200勝・7度のチャンピオンに輝いた"キング"・リチャード ペティー率いるリチャード ペティー モータースポーツと、アレジアント航空の共同創業者・モーリー ギャラガーが設立したGMSレーシングが2022年に合併して誕生したペティーGMSレーシング。そこに2023年に共同オーナーとして、7度のチャンピオン・ジミー ジョンソンが名を連ねて改称され今に至るレガシー モーター クラブ。2024年にシボレーからトヨタへ車両を変更しましたが、思ったほどの活躍はできませんでした。
 エリック ジョーンズは複数年の契約延長を行って最低でも2026年まで所属。トヨタへの転向で競争力が増して期待できるかと思いきや、第10戦・タラデガで怪我をする不幸もあってかトップ10フィニッシュ僅かに2度、それも記録されたのはデイトナとタラデガです。トップ20に範囲を広げても15回、シーズン28位と厳しい結果。シーズン最後の5戦はクルーチーフをデイブ エレンズからベン ビショーに交代する急な人事異動もありました。
 チームメイトのジョン ハンター ネメチェックは苦戦どころか大苦戦、3年ぶりのカップシリーズフル参戦でしたがトップ10が4回。これだけ見たらジョーンズよりマシに見えますがトップ20も7回しかなくて25位前後が定位置。なんとフル参戦したドライバーでは最低順位となるシーズン34位でした。中継映像でもミスってやらかしてる映像が圧倒的に多く、前年のエクスフィニティーで7勝した姿はカップでは面影ゼロ。シーズン終盤にクルーチーフのビショーを相方に持って行かれたので、コウリッグから移籍してくるトラビス マックが新たなクルーチーフに就任します。
 また、共同オーナーのジョンソンも引き続きNo.84でスポット参戦を継続。2024年は9戦に出場しましたが2戦でリタイアするなど最高位は26位でした。

 Team Penske/Ford
  2 Austin Cindric
12 Ryan Blaney
22 Joey Logano

 1950~60年代の主に国内のサーキットレースで活躍したロジャー ペンスキーが1966年に耐久レースに出場する車両を用意したところから始まるチーム ペンスキー。その後アメリカの多岐にわたるレースに参戦して栄冠を手にし『レース界のニューヨーク ヤンキース』とも呼ばれる、らしいです。知らんけど。ドライバーは現チャンピオン、前年チャンピオン、社長の息子、という鉄壁の3人(?)なので変更なし。
 何と言ってもジョーイ ロガーノは2024年のチャンピオン。2018年、2022年に次ぐ3度目の栄冠で史上10人目の快挙となり歴代の錚々たるチャンピオンに肩を並べました。平均順位など統計的な数字を見ると過去のどのチャンピオンよりも"酷い"成績でプレイオフ制度ならではの結果となりましたが、4勝を挙げ、プレイオフ制度という仕組みを最大限に活かしたレース戦略はベテランならでは。参謀クルーチーフ・ポール ウォルフとともに仕掛ける燃費レースやギャンブル戦略は今の彼の真骨頂と言えます。常時優勝争いではなかったせいもあってか勝負所でぶつけて勝って大ブーイングという姿もありませんでしたが、やはり勝ったらブーイングの嵐、それに憎たらしくクドイ笑顔で応えるのがお約束。キャラ変しない35歳が史上4人しかいない4度目のチャンピオンを目指します。
 そのロガーノに敗れて連覇は逃しましたが、ライアン ブレイニーは前年のチャンピオンに続いてシーズン2位と普通に考えたらこれ以上ない成績。4回あったデイトナ/タラデガのレースで3回は事故ってリタイアしておりやや運の悪さを感じますが、特にショート トラックでタイヤ摩耗が激しいレース設定の時に圧倒的に強いことが大きな武器になりました。ロガーノ、ブレイニーとも2022年の段階で『長期の契約延長』をしたと発表されており、結果も加味すると2027年ぐらいまでは動かないのかもしれません。
 社長の息子・オースティン シンドリックは毎年特に発表もなく残留してる気がするのでたぶんよほどのことが無いと変わらないんでしょうが、来季がフル参戦4年目。2024年はブレイニーのガス欠というちょっとした運もありましたが第15戦ゲートウェイで予選2位から2年ぶりの通算2勝目を挙げてプレイオフに進出。全体的な数字は確実に底上げされました。親の光よりも計4冠のチームメイトの光が眩しすぎる気もしますが、泡沫候補から中堅争いへと前進はしているように感じます。

 Wood Brothers Racing/Ford
21△Josh Berry(2026)

 グレン ウッドとレナード ウッドの兄弟が1950年に設立したところに起源がある最古参チーム・ウッド ブラザーズ レーシング、ハリソン バートンが第25戦・デイトナでチームとして7年ぶりに優勝、通算100勝を達成しました。しかしバートンは2024年限りでチームを離れ、後任としてSHR消滅で無職になったジョッシュ ベリーが加入。
 2024年、33歳にして初めてカップシリーズにフル参戦したオールドルーキーだったベリー。SHRそのものが苦しんでいましたので選手権27位、トップ10フィニッシュ4回と結果としては平凡でしたが、ショートトラックの8戦に限ればニューハンプシャーで3位を記録するなど平均順位14.5を記録し注目されました。ウッドブラザーズは特にGen7車両になった2022年以降は苦戦しておりベリーから見れば似たような競争力のチームですが、ここから数字を伸ばすことができるのか注目です。
 ちなみにベリーは2度のインディーカーチャンピオン・ジョセフ ニューガーデンと中学時代に同級生、高校時代は1年先輩にあのテイラー スウィフトがいたそうです、どうでも良いですねw

 RFK Racing/Ford
  6 Brad Keselowski
17 Chris Buescher
60△Ryan Preece

 元フォードの従業員であるジャック ラウシュが1988年に創業したチームに、2007年に投資家のジョン ヘンリーが、そして2022年にブラッド ケゼロウスキーがペンスキーからドライバー兼共同オーナーとして出資して現在に至るラウシュ フェンウェイ ケゼロウスキー レーシング、通称RFKレーシング。2025年は3台体制に拡充され、ケゼロウスキー、クリス ブッシャーに加えてSHR失業組のドライバー・ライアン プリースが加入しました。
 オーナーのケゼロウスキーはもちろん来季も現役続行、第13戦・ダーリントンでオーナー兼ドライバーとなってからは初の優勝を飾り大いに沸かせてくれました。ただ、第15戦までに7回もトップ5を記録しながらその後は失速、以降の21戦ではトップ5は2回、トップ10も6回となってプレイオフを勝ち進むことができませんでした。チーム力強化のためにオーナー業も大変なようですが、データを集めるために台数を増やすという就任当初の目標に確実に進めているあたりなかなかやり手です。
 一方チームメイトのブッシャー、本来ならダーリントンで勝っていたのはこの人だったはずのレース展開で、レディックに潰されてしまいました。逃がした魚は大きくレギュラーシーズンで優勝できずにプレイオフ進出を逃し、ようやく勝ったのは第28戦・ワトキンスグレンでした。統計的にはどのトラックも似たような平均順位に収まっているオールラウンド型の選手ですが、なんかあと一歩足りなくて非常に惜しい選手です。なお当ブログでは一貫して『ふなっしー』の愛称で呼んでいます。
 そして移籍してきたプリースですが、成績だけを見ると選手権26位、トップ10フィニッシュ5回とベリーとよく似ており相対的にショートトラックの方が強いのも同様。実はベリーと誕生日も3日しか変わらないんですね。唯一(?)の違いは来季がフル参戦通算6年目だということ。スポンサーとして大手スーパーマーケットのクローガーが付いてくれているのはRFKにとって有難い存在です。なおプリースが使用する3つ目のチャーターは購入ではなく、提携するリックウェアーからの借り物です。

 Front Row Motorsports/Ford
4?△Noah Gragson
34 Todd Gilliland
38△Zane Smith

 ヤム!ブランズ(ケンタッキーフライドチキン、タコベル、ピザハットなどの運営会社)の複数の店舗のフランチャイズ オーナーである実業家・ボブ ジェンキンスが率いる小規模チーム・フロント ロウ モータースポーツ。チームを支えるベテランのマクダウルが離脱、2025年は6年ぶりに3台でのフル参戦へと体制を拡張、と体制変更が大きいチームです。ところが23XIとともに新チャーター制度に署名しておらず、そのためにチャーターの購入がNASCARから承認されていません。とりあえず2台ぶんのドライバーがトッド ギリランドとSHR失業組・ノア グレッグソンであることは発表されています。
 来季でフル参戦4年目、まだ25歳と若いギリランド。昨シーズンはトップ5フィニッシュが一度もなかったにも関わらず選手権22位、18位以内で終えたレースが17戦もあったので平均順位20.9と非常に地味~~~に戦っていました。地味に完走するのはマクダウル先輩の得意分野だったので、3年間一緒に仕事をしてとうとう先輩の極意を学んだ、わけではないと思いますが中堅チームとすると有難い存在です。
 SHRから加入するグレッグソンは2023年がフル参戦初年度でしたが途中でクビになったせいで21戦しか走っておらず、昨シーズンが36戦を初めて全て戦った1年。選手権24位はSHR内で2番手、平均順位19.6、ギリランドと同じ尺度で言えば18位以内だったレースが20戦もあり、速いけどプッツンやらかし系というイメージから脱却を図るような意外と手堅いシーズンでした。カーナンバーはSHRの消滅で空き番となった4番を使用、クルーチーフのドリュー ブリッケンズダーファーをはじめ数名のクルーがセットでSHRから移籍しています。

 そして予定している3台目は先行きが不透明ですがスパイアーのシートを失ったゼイン スミスが移籍しました。スミスは本来2025年にトラックハウスからデビューする、という前提で1年だけスパイアーに貸し出されている形でしたが、トラックハウスが契約を解除してしまって行き場を失っていました。元々フォード系で育ったドライバー、2023年はこのチームから一部のレースで出場しており古巣に出戻り、チームメイトのホースバーに圧倒されたとはいえ26歳とまだまだ若く、なんといっても2022年のトラックシリーズ王者です。


〇Haas Factory Racing/Ford
41□Cole Custer

 消滅したSHRの資産と従業員を一部そのまま引き継ぐ形で参戦するのがハース ファクトリー レーシング。ジーン ハースがオーナーとなっての1台体制という寂しい布陣で、RFKレーシングと提携しての参戦となります。ドライバーには2023年のエクスフィニティー王者・コール カスターを起用。ハースファクトリーの社長で実際にNASCARの現場を取り仕切っている社長・ジョー カスターの息子で2022年以来3年ぶりにカップシリーズフル参戦への復帰です。
 カスターは2年連続エクスフィニティーシリーズ2位という結果を持って2020年にカップへ昇格すると第17戦・ケンタッキーでいきなり優勝。ただその後の2年間は鳴かず飛ばず、SHR自体が弱体化していましたのでどこまでが彼のせいか分かりませんがエクスフィニティーに出戻りました。ただエクスフィニティーのSHRは強豪でカスターも腕があるので復帰1年目でチャンピオン、2024年も2位と好成績。社長の息子なので見られる目は厳しいですが、27歳とまだまだ若いので成長には期待です。


 Rick Ware Racing/Ford
15 Kaz Grala?
51 Cody Ware?

 元ドライバーであるリック ウェアーが率いるリック ウェアー レーシング。源流を遡ると、彼が父のジョン ウェアーとともに地方でレースをしていた半世紀近く前の家族でのレース活動に起源があり、現在ではNASCAR以外にも複数のカテゴリーに参戦。RFKと提携してチームの拠点もRFKの施設内に構えており、今季はチャーターを1つRFKに貸し出しました。別チームではありますがデータ収集などRFKから『4台目』としての役目も期待されています。
 このチームは体制発表が非常に遅い傾向があるので現時点で正式発表がありませんが、No.15はチャーターの無いオープン チームとして、No.51がチャーターのあるフル参戦車両として参加するとみられます。No.15がスポット参戦なのかオープンでフル参戦なのか、それとも走らせないのかも含めてまだ謎です。
 RWRは昨シーズンの第30戦を前に異例とも言えるドライバーのトレードを行っており、それまでのジャスティン ヘイリーから最後の7戦だけコリー ラジョーイへと交代してシーズンを終えました。2025年も引き続きラジョーイが乗る可能性がありますが、最新の現地報道ではラジョーイは残留せず、オーナーの息子・コディー ウェアーが乗る可能性が高いのではとされています。

 Hendrick Motorsports/Chevrolet
  5 Kyle Larson(2026)
  9 Chase Elliott(2027)
24 William Byron(2025)
48 Alex Bowman(2026)

 元々シボレー車のディーラーとして大成功を収め、現在では10000人以上の従業員を抱えるヘンドリック オートモーティブ グループにまで成長させた敏腕オーナー、リック ヘンドリックが率いる強豪・ヘンドリック モータースポーツ。ドライバーは2022年からカイル ラーソン、チェイス エリオット、ウイリアム バイロン、アレックス ボウマンの4人で不動。2023年はドライバーがやたら怪我しましたが、昨シーズンは無事に全員生き残りました。
 ラーソンはインディー500に参戦したために1戦を欠場しましたが、全ドライバーで最多となる6勝を記録。チャンピオンを獲得した2021年には及ばないものの15回のトップ5を記録して全体3番手となる平均順位12.9を記録。数字だけ見ればどうして彼がチャンピオンでないどころかファイナル4にすら残っていないんだ、という戦績でした。またインディー500には出る方向性ですが、次回はもし時間がズレて双方のレースが重なったらNASCARを優先するとヘンドリックは明言しています。
 7年連続でカップシリーズの人気投票1位に選ばれているチェイスは前年に怪我があって未勝利でしたが、第9戦・テキサスで久々に優勝。結局この1勝しか挙げられなかったものの平均順位が全ドライバー中ぶっちぎりの11.1。トップ10フィニッシュが4番目に多い19回で、20位以下だったレースは4戦しかありませんでした。元々ロードコースで圧倒的に速かったものがGen7になって車両特性が"普通の車"に近づいたせいか3年間ロードコース未勝利。ここで勝てるようなだと2度目のチャンピオンが見えてきます。なお当ブログで『チェイス』と書いた場合は99%ブリスコーではなくエリオットを指します。
 バイロンは第8戦までに3勝しながら以降は勝てずに尻すぼみ感がありましたが、プレイオフ最後の7戦を全て6位以内と安定した結果を取り戻しファイナル4進出、2年連続でシリーズ3位でした。もういつチャンピオンを獲ってもおかしくないですね。現在の長期契約が2025年で終了しますが、主要スポンサーのバルボリンは2029年まで契約を延長し、他のスポンサーも2026年まで契約を表明している企業があるため、条件を詰めたらバイロン本人も契約は延長でしょう。
 そんな華やかな3人と比べて少し厳しい立場なのがボウマン、1勝してプレイオフに出ているものの、主要な数字ではチームメイトに一歩遅れを取る数字となっており、プレイオフ期間にはF1のぺレスのようにメディアから"解雇説"をたびたび流されることとなりました。これに奮起したわけではないですがプレイオフ序盤を好走していましたが、プレイオフ第6戦で車両の重量規定違反というチームのミスにより脱落する憂き目に遭いました。契約は2026年まで結んでいるので"僕には契約がある"んですが。。。

 Richard Childress Racing/Chevrolet
3 Austin Dillon
8 Kyle Busch
33 ?


 ドライバーとして主に1970年代のカップシリーズに285戦出場した経歴があり、その後オーナーとしてNASCAR史に名を残す存在となったリチャード チルドレスが率いる名門・リチャード チルドレス レーシング。2023年に加入したカイル ブッシュと、オーナーの孫・オースティン ディロンの組み合わせは3年連続の継続ですが昨シーズンはとてつもなく苦戦しました。オフに変更したチーム内の体制をシーズン中にまた人事異動を行うなど必死にもがく1年となりました。
 ディロンは第23戦リッチモンドで記録上は優勝したものの、最終周のターン3~4にかけてロガーノとハムリンを相次いでクラッシュさせての優勝だったためNASCARから制裁を受け、実質的に優勝の効力を取り消されました。シーズンでトップ5フィニッシュはこの1回だけ、36戦中24戦が20位以下ともはやテールエンダーの数字で選手権32位という数字をはじめ記録は軒並みフル参戦11年目にしてキャリア最低の数字でした。基本的に本人が辞めると言わない限りは乗り続けられる立場ですが、さすがにこの順位ではチームと本人、お互いにモチベーションも下がりそうです。
 一方2023年は3勝してチームの期待を背負ったカイルですが、開幕からピット クルーの作業ミスが相次ぎ毎戦のようにクルーを入れ替える浮足立った序盤戦となると、第13戦ダーリントンからの10戦では5度のリタイアを含め7戦が25位以下の大不振。オールスター戦ではステンハウスとの何でもない争いにブチ切れて報復行為に出る(結果レース後に大乱闘)など明らかに精神的に乱れていました。シーズン中盤以降はやや立て直したものの優勝はできず、フル参戦1年目から続けてきた連続優勝記録が19年で途絶えました。5月には40歳になるベテラン、復活となるでしょうか。なお兄のカート ブッシュと同時に参戦していた名残から当ブログでは彼を『カイル』と書くことが多いです。

 また、RCRはスポット参戦として3台目のNo.33を時折稼働させていますが、具体的な計画は今のところ未定です。

 Trackhouse Racing Team/Chevrolet
  1 Ross Chastain(2025?)
88〇Shane van Gisbergen
99 Daniel Suárez(2025?)
91 Hélio Castroneves

 元ドライバーで起業家でもあるジャスティン マークスが2021年に設立したトラックハウス レーシング。ベンチャー企業を彷彿とさせる従来のNASCARにはなかった経営手腕を発揮し、2021年末にはチップ ガナッシ レーシングのNASCAR部門を設備・チャーター丸ごと買収する大規模な取引をまとめ上げ一気にトップチームへと駆け上がりました。2024年からMotoGPにも参戦し、2025年は日本人ライダーの小椋 藍と契約したことで知った方もいるかもしれません。こちらNASCARは4年連続不動の"スイカ男"ロス チャステインと、唯一のメキシコ人ドライバー・ダニエル スアレスに加え、新たに3台目をフル参戦させてシェイン バン ギスバーゲンが加わりました。
 2022年は世紀に残る壁走り、2023年はレースが荒すぎてひんしゅくを買ったチャステイン。ブッシュ ライトなど大口スポンサーが就いて迎えた昨シーズンは彼らしい爆発力がなかなか見えずプレイオフ未進出。第30戦・カンザスでようやく初勝利を挙げましたが、トラックハウス加入後の3年間でトップ5回数が15→10→6と数字でも勢いのなさが見えました。半面、完走率が向上して走行距離や平均順位は前年並みだったことから、速さと確実性のバランスをどう落とし込むのかが引き続きの課題になりそうです。ちなみにシーズン途中にヒゲを剃りました。
 一方スアレスは第2戦アトランタで伝説に残る3ワイドフィニッシュを制してプレイオフ進出を決めましたが、トップ10フィニッシュが合計9回でプレイオフ選手では下から4番目。トップ5は僅か4回でうち2回がアトランタ、と全体的な成績ではどうしてもチャステインに及ばないのが苦しいところ。
 そしてオーストラリアのレプコ スーパーカー シリーズで3度のチャンピオンを獲得したニュージーランド人・ギスバーゲンがNASCAR挑戦3年目でついにフル参戦。2023年のシカゴ市街地で衝撃のデビュー戦勝利を記録し、元々は単発だったつもりのNASCARへと転向を決断。昨シーズンはコウリッグからエクスフィニティーにフル参戦してロードコースで3勝、並行してカップにも12戦出場してワトキンスグレンでは優勝まであと半周という2位でした。ナイスガイでありつつ勝負所は接触も厭わない、ひと昔前のNASCAR選手のようなスタイルがフル参戦でどんな結果をもたらすのかは2025年最大の関心事の1つでしょう。
 3人中2人が外国籍のドライバーというのは珍しく、なおかつ優勝するとチャステインはスイカを割り、スアレスはタコスのおもちゃをぶちまけ、そしてギスバーゲンはラグビーボールにサインをしてスタンドに蹴り入れる、となぜか全員がモノを飛ばすパフォーマンスを得意にしている非常にキャラの濃いチームです。

 そしてトラックハウスは世界の著名なドライバーをNASCARに乗せる企画・プロジェクト91を約1年半ぶりに復活させ、4度のインディアナポリス 500勝者・エリオ カストロネベスとデイトナ500で起用するとも発表しています。4台同時に動かせる体制が整っていたことに驚きです。

 Kaulig Racing/Chevrolet
10□Ty Dillon
16□A.J.Allmendinger

 住宅設備関連企業リーフ ホームの創業者・マット コウリッグがオーナーを務め2022年からカップシリーズにフル参戦を開始したコウリッグ レーシング。RCRと技術提携しています。昨シーズンはNo.31でダニエル ヘムリックがフル参戦、No.16は複数ドライバー制でしたが、2025年はNo.16にA.J.アルメンディンガーが2年ぶりのフル参戦復帰、そしてNo.31から10へと変更したもう1台はタイ ディロンがフル参戦、こちらもカップシリーズは2年ぶりのフル参戦となりました。
 ロードコース職人のアルメンディンガー、2023年・41歳にして5年ぶりにフル参戦に復活。期待されたプレイオフには進めなかったもののシャーロット ローバルで優勝して力を見せますが、資金不足でたった1年でエクスフィニティーへ逆戻りしていました。昨シーズンはエクスフィニティーで安定した成績を残し、優勝こそ1勝のみながらチャンピオンシップ4に進出して選手権3位。そしてなんと43歳にしてまたもやカップシリーズ復帰に繋げました。近年は若手ドライバーもロードコースで速い選手が増え、ギスバーゲンという大きな壁とチーム力の差で優勝は容易ではないものの中年の星への期待感が高まります。
 そんなAJをひょっとしたら助けたかもしれないのがディロン。オースティン ディロンの弟であり、当たり前ですがチルドレスの孫。カップシリーズ通算245戦でトップ5フィニッシュ僅か2回の未勝利ですが、その立場上か資金力を持っているようで昨シーズンもコウリッグのドライバー候補に挙げられ、結果として5戦だけスポット参戦しました。『コウリッグは勝利より金集めを優先した』と批判する声もありますが、モータースポーツの性質上やむを得ないですね。なお当ブログでは『弟ディロン』と表記することが多々あります。
 余談ですが、弟ディロンに押し出されたヘムリックは選手権順位こそ29位でしたが2024年の全ドライバー中最も多くの周回数/走行距離を記録したミスター完走でした。彼が堅実に集めたデータがチームに役立つことを願うとともに、ディロンがボコボコ車を壊したらヘムリックのありがたみを感じることになるかもしれません・・・

△Hyak Motorsports/Chevrolet
47 Ricky Stenhouse Jr.(2026)

 2006年以来『JTG ドアティー レーシング』という名称で活動していたNo.47ですが、経営体制に変更が生じて名称が『ハイアク モータースポーツ』へと変更されました。ハイアクはチヌーク ジャーゴン(アメリカの先住民の言語と英語、フランス語が混ざった混成言語)で『速い』を意味するそうです。ドライバーはリッキー ステンハウス ジュニアがシーズンの早い段階で複数年による契約延長を行って残留しました。
 旧チーム名の"JTG"はオーナーのタッド ゲシクター、ジョディー ゲシクター夫妻の頭文字から来ていましたが、前身のST レーシングから携わるゲシクターが退いたための体制変更。2023年のシーズン終了後に新たにオーナー陣に名前を連ねていたゴードン スミスがチームを率先していくことになりました。『ハイアク』は彼が創業したタグボートを作る企業の名称でもあります。また、チーム名から名前は消えていますが元NBA選手・ブラッド ドアティーも引き続き共同オーナーとして参画していますが、長年の主要スポンサーであったクローガーが去ってしまったのが財政的には痛手です。
 そんな状況でのステンハウス、2024年は第31戦タラデガで優勝しましたがプレイオフには進出できずシーズン25位でした。全体的な成績としては毎年だいたいこのぐらい、という数字が残りましたが、まあ何せ『ゲシクターが抜けてクローガーも去ってチームは閉鎖ではないか』『どこかと合併するのではないか』と春先から非常に周囲が慌ただしく、当然そんなチームにじゅうぶんな競争力を整えるお金もないでしょうから、そこは割り引いて考える必要がありそうです。とにかく新経営体制が安定することに期待し、まずは得意なスーパースピードウェイで確実に獲る、というのが彼の最大の任務でしょう。

Spire Motorsports/Chevrolet
  7 Justin Haley
71△Michael McDowell
77 Carson Hocevar

 スポーツ選手や芸能人等のマネージメントを手掛ける企業・スパイアー スポーツ+エンターテインメントを母体とするスパイアー モータースポーツ。弱小テールエンダーから資金を投じて徐々にその範囲を拡大し、2024年からカップシリーズは3台でフル参戦。そして2025年に向けてはさらにドライバー、クルーチーフ等の体制強化を図る意欲的な姿勢を見せています。結果、残留したのは実質カーソン ホースバーのみ、シーズン終盤にラジョーイとの交換トレードで加入したジャスティン ヘイリーと、FRMから移籍してきたベテラン・マイケル マクダウルが加わった新たな陣容となります。
 唯一残留のホースバーは2024年がフル参戦1年目、エクスフィニティーでのフル参戦を経ない1段飛ばしの参戦ながら速さを見せ、第15戦・ゲートウェイで8位を記録して以降は20位以下だったレースが21戦で僅か5回と完全に中団を争う立場になりました。まだ22歳と伸びしろが大きく将来が楽しみな存在です。
 ヘイリーは2023年の途中にわざわざコウリッグから弱小RWRへの移籍を大々的に発表して驚かされましたが、RWR自身の競争力向上も手伝って上位に顔を出す頻度が増えて注目を集め、2024年シーズン途中・たった29戦をRWRで走っただけでのスパイアー移籍に繋がります。移籍についてRWRの提携相手であるRFKのケゼロウスキーが「ヘンドリックのオファーには敵わない」とこぼしたことから、背景にシボレー陣営として有望な若手を囲い込もうと動いた様子が伺われました。クルーチーフにはSHRを離れた敏腕・ロドニー チルダースが就き、結果次第ではヘンドリックでボウマンの後釜を狙うのではないかとも囁かれています。
 そんなギラつく若手に混ざるのが40歳を迎えるマクダウル、カップシリーズ通算501戦出場の頼れるおじさんです。昨シーズンは優勝こそならなかったものの、デイトナ500を除くすべてのドラフティング トラックの予選でポール ポジションを獲得、第15戦・ゲートウェイでもポールを獲ったため、なんと年間6ポールはラーソンを凌ぐ最多でした。シーズンが進むにつれて、プレイオフ進出のために勝利を狙って無茶をすることが増えた印象で平均順位がここ5年で最も悪い数字でしたが、ロードコース、1マイル前後のトラックでも速く中堅チームには有難い存在です。

※スポット参戦専門、または参戦が噂されているチーム※

 Beard Motorsports/Chevrolet
62 ?

 元ドライバーでもあり、M&Lペトロリアムの創業者であるマーク ビアードが2009年に設立し、2017年からスーパースピードウェイに特化してスポット参戦してきた家族経営のチーム・ビアード モータースポーツ、RCRと提携しています。2021年のデイトナ500を目前にした1月31日にビアードさんが亡くなりましたが、チームは家族らによって引き続き運営されています。
 2024年はアンソニー アルフレードが3戦に出場して第10戦・タラデガで6位。第25戦・デイトナはパーカー レツラフを起用して7位と、例年通りフル参戦の強豪に対して優勝に近いところを戦いました。現時点で2025年の計画は未定ですが、引き続きスポット参戦する意向があるとみられます。

 Live Fast Motorsports/Chevrolet
78 B.J.McLeod?

 現役ドライバーでありながら早くからオーナー業も開始していたB.J.マクラウドが2020年のパンデミックによるシーズン中断からの再開と同時にカップシリーズに参戦を開始したリブ ファスト モータースポーツ。2023年に向けて車両をフォードからシボレーへ変更しRCRと提携する体制変更を行いましたが、シーズン終了後にスパイアーへチャーターを売却しフル参戦から撤退しました。
 スポット参戦となった2024年は自身をドライバーとして5戦に出場、元々後方を走るチームなので最上位は第25戦・デイトナでの19位でしたが、チームは既に2025年もデイトナ、タラデガ、アトランタの全レースとシャーロット、合計7戦へ出場することをSNS上で発表しています。

 Team AmeriVet/Chevrolet
50 ?

 元ボクシング世界王者・フロイド メイウェザーと、元スターコム レーシングのオーナー陣が共同オーナーを務めるザ マネー チーム レーシング。2022年・2023年で合計6戦に出場したものの、2024年は開幕から姿がありませんでした。ようやく姿を見せた第14戦・シャーロットでなんとチーム名が異なっていたことからメイウェザーがオーナー陣を外れたようだと発覚。マネーチームレーシングを取り仕切っていたウィリアム オークムーディーとベッキー オークムーディーの夫妻に、アメリベット証券の幹部であるマイケル ネイドリッチ、メルセデス エライアスが新たな出資者として加わって『チーム アメリベット』に改められました。
 アメリベット証券は1994年・現役陸軍将校だったエルトン ジョンソン ジュニアが設立した証券会社で、彼はいわゆる9・11の後にイラクへ2度、アフガニスタンへも1度派兵される経験した後2013年に退役。負傷/退役した軍人のコミュニティーを活かして彼らの金融資産形成に役立つことを目的として掲げている証券会社のようです。チームとしてもアメリベットの思想を汲んでおり、レースに参戦を通じて資金を集めることで退役軍人が抱える債務を返済するという理念を掲げています。
 結局2024年に参戦したレースはシャーロットと最終戦フェニックスの2戦のみでしたが、ジェブ バートンを擁したこの最終戦では支援企業の努力によってなんと100名の退役軍人がかかえる総額12万5000ドルの債務を返済して帳消しすることができたと発表されています。チームの目標は2025年のシーズンに15~17戦出場し、年間で500万ドルの退役軍人債務を帳消しにすることだそうです。でもマネーチームが出る出ると言ってまずレースに出てくる前に数年かかったので、NASCARファンはこの目標を非常に冷ややかに見ていると思われます。
 ちなみにオークムーディー夫妻はベッキーさんが小学校の教師、ウイリアムさんは元建設機械のセールスマンだそうで、すごい大富豪とかでもない様子。また撤退したメイウェザーについてはボクシングで現役通算50勝無敗だったことを引き合いに出して『これで50勝1敗か?』とちょっと皮肉る記事もありましたw


◎Xfinity Series 主要チーム

Joe Gibbs Racing/Toyota
18〇William Sawalich
19 multiple drivers
    (Justin Bonsignore:5 races)
20△Brandon Jones
54   Taylor Gray

 エクスフィニティーシリーズでも4台体制、だけど所属ドライバーにとっては上の壁が分厚くてなかなかカップに上がれないJGR。そんな都合が影響しているのか、昨シーズンに移籍加入したばかりのクリードとC.スミスがたった1年でチームを離れ、2025年はウイリアム サワリッチ、テイラー グレイの若手2人と、JRモータースポーツから3年ぶりにJGRへ出戻ってきたブレンダン ジョーンズが加入。No.19だけが複数ドライバー制となります。
 ARCA メナーズ シリーズ イーストで2年連続チャンピオン・18歳のサワリッチは第31戦ホームステッドでエクスフィニティーに初出場したばかり。彼のお父さんはスターキー補聴器という大手補聴器メーカーの社長兼CEOを務めていることでも知られています。JGRが期待しているであろう若手です。
 テイラー グレイも満20歳のシーズンと若く、既に昨シーズンはトラックシリーズにフル参戦。優勝はありませんでしたが選手権6位の結果を残し、エクスフィニティーにも並行して13戦に出場しデビュー戦のリッチモンドで3位でした。グレイの祖父はマーボブ エナジーという石油会社の創業者で、父のジョニーも社長をしていましたが既に会社は売却されて経営からは退いている模様。ジョニーはドラッグレーサーでもあり、トライコンガレージの出資者の1人です。テイラーも、兄のタナーもトライコンのお世話になっていますね。
 ジョーンズは2018年からJGRで5年間フル参戦しこの間に5勝、2020年は3勝して自己最高のシーズン6位でした。しかしJRモータースポーツ移籍後は2年連続でプレイオフに進めず14位とチームからすればおそらく期待外れ、しかも2年目の方が成績を落としてしまいました。メナーズの蛍光イエローでよく目立つ車なんですけどねえ。
 唯一の複数ドライバー制となる19番ですが、ドライバーの1人としてジャスティン ボンシニョーアが5戦に出場。彼はNASCAR傘下で唯一の"オープン ホイール"であるウィーレン モディファイド ツアーに通算226戦出場して45勝、2024年を含めて4度もチャンピオンを獲得しているモディファイド界の王者。36歳のベテランは昨シーズンの第16戦ニューハンプシャーでJGRからエクスフィニティーに初出場し、雨で練習走行/予選が無かったにもかかわらず一時トップ5圏を走る速さを見せました。


○Haas Factory Team/Ford
00△Sheldon Creed
41△Sam Mayer

 エクスフィニティーではSHR時代と同じ2台体制を継続するハースファクトリー、同じフォード勢のAMレーシング、RSSレーシングとの提携も続きます。ただ前年のドライバーは2人ともカップへ行ってしまったので総入れ替えとなり、JGRからシェルドン クリード、JRモータースポーツからサム メイヤーとトヨタとシボレーにいたドライバーが集まってきました。
 クリードは2022年からの2年間はRCR、2024年はJGRからフル参戦。まだ優勝こそ記録していないものの昨シーズンはトップ10フィニッシュ23回が全ドライバーで最多タイ、選手権7位でした。2年連続での移籍となり、しかもシボレー→トヨタ→フォードです。クリードはオフロード出身で16歳にして既にスタジアム スーパー トラックに出場していた経歴があり、2016年には一度だけロビー ゴードンのチームからダカール ラリーに出たこともあるわりと変わった経歴の選手でもあります。
 一方メイヤーは2021年からJRMでエクスフィニティーに出場し、フル参戦は昨シーズンが3年目。2023年のロード アメリカで初優勝して以降ロードコースで速さを見せてここ2年間で計7勝、そのうち4勝がロードコースです。まだ21歳と若く伸びしろを感じるので、移籍したのはけっこう驚きでした。なおメイヤーの主要スポンサー・アクセラレイト プロフェッショナル タレント ソリューションズは彼の父・スコット メイヤーが創業した人材派遣会社です。けっこうお父さんの会社が背景についてる選手多いですね。

 AM Racing/Ford
15△Harrison Burton

 AMテクニカル ソリューションズという建築やエンジニアリングを手掛ける企業を母体とするAMレーシング。2016年からトラックシリーズに、そして2023年からエクスフィニティーにも参戦しSHRと提携しています。昨シーズンは女性ドライバー・ヘイリー ディーガンを複数年契約で獲得し、さらに2台体制に拡充するとして開幕前は話題になりましたが結局は頓挫。さらに第17戦を終えた時点でディーガンとまさかの契約解除とこちらも短命に終わっていました。
 2024年の残るレースは6人のドライバーを起用していましたが気持ちを切り替えて、かどうかは分かりませんが今シーズンはカップでシートを失ったハリソン バートンを獲得。彼にとっては2021年以来4年ぶりのエクスフィニティー参戦です。2020年には満20歳のシーズンながら年間4勝を挙げていますが、当時はJGRの所属でチームに恵まれていました。

 RSS Racing/Ford
28 Kyle Sieg
29?
39 Ryan Sieg

 ロッド シーグとパメラ シーグの夫妻がオーナーを務め、ドライバーには息子のライアン シーグとカイル シーグ、まさに家族経営という感じのRSS レーシング。ロッドさんはS&W トウイング サービスというレッカー車の会社を経営しているそうです。昨シーズンは3台体制のうちのNo.38を途中から名前を貸すような形で『バイキング モータースポーツ』の名称で参戦させていましたが、バイキングがシボレー陣営へと転属したのでふたたびRSS名義の3台体制に戻るかもしれません。シーグ兄弟はライアンが兄、カイルが弟ですが14歳差とかなり年が離れています。
 来シーズンでエクスフィニティーフル参戦12年目になる兄ライアンですが、昨シーズンは何度か初優勝にあと一歩という場面があり、自己最多となるシーズン4度のトップ5フィニッシュを記録しました。なんか苦労してそうなのでNo.39を見かけるとなんとなく応援したくなりますw

JR Motorsports/Chevrolet
  1〇Carson Kvapil
  7  Justin Allgaier
  8  Sammy Smith
88〇Connor Zilisch

 デイル アーンハート ジュニアと妹のケリー、ヘンドリックらがオーナーを務め、実質的にヘンドリックのエクスフィニティ―での活動拠点となっているジュニア モータースポーツ。2025年に向けてはメイヤーとB.ジョーンズがチームを離れ、21歳のカーソン クワポーと18歳のコナー ジリッチが加入。20歳のサミー スミスを含めてものすごく年齢の低い構成となり、ここに38歳で初めてエクスフィニティーのチャンピオンを獲得した大ベテラン・ジャスティン オールガイアーが重しとして配置されます。オーナーのデイルジュニアはここ数年ずっとスポット参戦していましたが、ひとまず2024年を区切りにして参戦しない意向を示しています。
 2003年のトラックシリーズ王者・トラビス クワポーを父に持つカーソン、2023年まではJRモータースポーツから主にレイト モデルのシリーズに出ていたため、トラックシリーズはおろかARCAシリーズにフル参戦したこともありません。しかし初めてエクスフィニティーに出場した2024年の第7戦・マーティンズビルでいきなり4位、第10戦ドーバーでも2位と上々のデビューを果たしてのフル参戦開始となりました。なお、Kvapilは普通に読んだら「クバピル」となってしまいますが、現地の発音を聞くとvもiも音が消えているようなので、現地実況解説にできるだけ合わせる方針に従って当ブログでは「クワポー」と表記します。もうちょっと良い書き方が見つかったら変えるかもしれません。
 そしてもう1人の新人・ジリッチは2006年生まれの18歳、レースは5歳の時にカートをやりはじめ、2020年にはFIA カーティング アカデミー トロフィーでアメリカ人として初めて優勝した経歴を持ちます。その後とりあえずサーキットレースに進んで2022年にはマツダ MX-5 カップで年間2位の好成績、そしてレイトモデル、ストックカーへと進みました。2023年のワトキンスグレンでARCAシリーズに初出場してあわやデビュー戦勝利、2024年はCoTAでトラックシリーズに初参戦していきなりポール獲得からターン1でオーバーラン、エクスフィニティーには第25戦ワトキンスグレンでデビューして前年の忘れ物を取り戻すデビュー戦勝利、ととにかく話題の尽きない選手です。
 こっちも私は発音表記で迷走しており、当初は現地実況通り『ジリッチ』と書き、しか綴りで言うと『sch』は『シュ』の音になりそうで、実際『ジリッシュ』と呼んでいるコメンテーターもいるのでジリッシュ表記に変えましたが、やっぱり『ジリッチ』が多数派っぽいので今季はジリッチと書くことにします。

 チャンピオンを獲ったオールガイアーはカップシリーズにいた頃から私の推しなので今季も応援に力が入りがち、そして若手の新人2人に存在感を奪われそうですがスミスもJGR所属だった2023年に当時エクスフィニティー史上4番目の年少記録で優勝したドライバーです。フル参戦2年目/JRM移籍初年度だった2024年は第28戦タラデガでの1勝のみでしたが、多くの数字で前年を上回りました。


Richard Childress Racing/Chevrolet
  2 Jesse Love
21 Austin Hill

 カップでは苦戦が続くRCRですがエクスフィニティーでは強豪、なぜかドラフティングトラックで無類の強さを誇り、2024年も6戦中4戦で優勝しました。ドライバーは前年と変わらずジェシー ラブとオースティン ヒルの2人。
 30歳になったヒルは2年連続開幕戦勝利、さらに開幕2連勝と幸先の良いスタートで自身初めてチャンピオンシップ4に残りましたが残念ながらチャンピオンは獲れず。なんか上手いこと機会が回って来なくてカップシリーズのレギュラーになれないうちに中堅の年齢まで来てしまいましたが、ベリーのこともあるのでチャンピオン目指して頑張ってほしい存在です。
 一方2023年がエクスフィニティーのデビューであり初のフル参戦となったラブ、優勝は第19戦タラデガでの1勝のみでしたが平均順位12.0はフル参戦選手で6番目の数字、ヒルよりも上でした。JRMの新人さんが他の運営会社のシリーズを中心にして駆け上がってきたのに対し、こちらはARCAの地方シリーズ・全国シリーズで無双して上がってきたNASCAR育ち、若手の争いが面白そうです。

Kaulig Racing/Chevrolet
10〇Daniel Dye
11 Josh Williams
16〇Christian Eckes

 コウリッグはアルメンディンガーがカップへ再昇格、トラックハウスから預かっていたギスバーゲンも本来の居場所に戻ったため、新たに2名の新人が加入。いずれもトラックシリーズにフル参戦していたダニエル ダイとクリスチャン エッケスで、ここに昨年から加入しているジョッシュ ウイリアムズを加えた3台体制です。2024年はギスバーゲンがNo.97だったので使用する番号は11・16・97の3台でしたが、彼がいないので本来の10・11・16に戻りました。
 2003年12月生まれのダイは2022年のARCAシリーズで2位(新人では最上位)、2023年にはもうトラックシリーズにフル参戦し、2年間で最高位は2位。優勝こそありませんでしたが2024年はプレイオフに進出しました。高校生だった2022年には友人とふざけ合っている中で相手の股間を強く蹴って睾丸を破壊しかけたために、暴行の重罪で警察沙汰になったというしょうもない経歴があるようです^^;
 エッケスはそのダイとトラックシリーズでもチームメイトでした。2年連続で年間4勝を挙げて2024年は初のチャンピオンシップ4進出でシリーズ3位。通算9勝のうちマーティンズビルで2勝、他にブリストル、フェニックス、ダーリントン、ナッシュビルでも勝っており0.5マイル~1マイル前後の高速まで行かない中速トラックで結果を出しています。
 そして唯一の残留がウイリアムズ、長髪とヒゲ、そして2023年に運営の最低に納得が行かずトラック上に車を放置して立ち去った珍行動で非常に記憶に残る選手です。といってもこれまで家族経営の小規模なチームを出発点に、なかなか競争力のあるチームで走る機会が無く大きな成績を残したことはない31歳。コウリッグ加入1年目はトップ10フィニッシュ4回だけのシリーズ18位でした。2018年時点の取材だと、彼は妻とともに差し押さえ物件のメンテナンスを行う会社を営んでおり、平日はそこの仕事をして週末はレースをすると語っていました。今どうなっているのかは分かりません。

Jordan Anderson Racing Bommarito Autosport/Chevrolet
27 Jeb Burton
31△Blaine Perkins

 現役ドライバーでもあるジョーダン アンダーソンが当初は自身がトラックシリーズに参戦するチームとして2018年に設立し、2021年からエクスフィニティーにも参戦しているジョーダン アンダーソン レーシング。ミズーリ州最大規模の自動車ディーラー・ボマリート オートモーティブがいわゆるタイトル スポンサーとなっており、正式名称としては、ジョーダン アンダーソン レーシング ボマリート オートスポートとなります。ドライバーはジェブ バートンが3年連続での所属となる一方、チームメイトはパーカー レツラフが離脱してブレイン パーキンスが加入しました。
 ハリソン バートンとは従兄弟になるジェブは2023年にタラデガで優勝してプレイオフへ進出したものの、2024年は一度もトップ5フィニッシュがなく、3回だけあったトップ10フィニッシュのうち2回はやっぱりタラデガ、シリーズ19位と活躍できませんでした。
 2000年2月28日生まれのパーキンスはこれがエクスフィニティーフル参戦3年目、2024年はRSSレーシングでしたが最高位は第4戦フェニックスでの13位、ワトキンスグレンでは予選落ちするなど軒並み後方を走り、フル参戦ドライバーでは最下位となる選手権27位の成績でした。ただし参戦1年目よりはいくらか数字は改善しています。

△Viking Motorsports/Chevrolet
99 Matt DiBenedetto
何だか難しそうなサイアプスの製品紹介動画


 元素を測定する分析機器を製造販売する企業・SciAps(サイアプス)のCEO・ドン サケットがオーナーを務めるバイキング モータースポーツ。サイアプスはRSSレーシングのスポンサーでしたが、2024年のシーズン序盤にRSSの38号車を『バイキング モータースポーツ』という名称に改称して独自チーム活動へ向けた動きを見せ、2025年はフォードを離れてシボレーへと変更、RCRと提携しました。サケットは声明で

私たちはトヨタがとても好きでした。しかしJGRには私たちのエンジンがありませんでした。他のチームへの供給で既にいっぱいです。エンジンなしでは速く走るのは難しいです。」
「フォード、SHRは提携に年間130万ドルを要求しましたが、セットアップのデータやシミュレーションなどは一切得られませんでした。ただ車が納品されるだけで、何も学べません。これは長期的に持続可能な計画ではありません。さらに、フォードはスペア パーツを供給できません。部品は唯一のサプライヤーであるハースに完全に頼らざるを得ません。これは良くありません。」
「したがって、シボレーは最も悪くない選択肢でした。皆さんは私たちを信頼してください。私たちはマットを中心に長期的なプログラムを構築しています。鍵となるのは、独自の技術を開発し、可能な場合はシボレーからシムを入手することです。私たちには素晴らしい新しいピットクルーがいます。私たちはうまくやっていくでしょう。」

 と、普通は内緒にしておくのが慣例じゃないかという提携料金などを全てぶっちゃけ、『フォードは全然ダメだけど欲しかったトヨタのエンジンが手に入らなかったのでシボレーにした』と爽快なぐらい全部言いましたw
 ドライバーはバイキングの名称と共にシーズン途中で契約したマット ディベネデトーと2年契約を締結。2019年にはリバイン ファミリー レーシングで優勝まであと一歩のレースを見せて注目を集め、翌2020年はウッドブラザーズをプレイオフへと導く活躍を見せましたが、2021年限りでカップでの契約先が見つからなくなって以降の2年間はトラックシリーズへ。そのトラックも2023年終盤に突如シートを失いましたが、思わぬ形で巡ってきたバイキングで28戦に出場し3回のトップ10。実質チームメイトのK.シーグを上回る結果を出しました。なんと言っても当ブログは元々MattD推し要素が強かっただけに、活躍に期待がかかります。

〇Craftsman Truck Series 主要チーム

 TRICON Garage/Toyota
  1〇Brent Crews(9 races)
   Brandon Jones(7 races)
   William Sawalich(5 races)
  △Lawless Alan(4 races)
  5〇Toni Breidinger
11 Corey Heim
15 Tanner Gray
17〇Gio Ruggiero

 元々トヨタのトラックシリーズでの活動はカイル ブッシュ モータースポーツが軸。しかしKBMが2023年にシボレー陣営へと移ったために、その穴埋めとしてフォード陣営にいたデイビッド ギリランド レーシングがトヨタへと鞍替えして誕生したトライコン ガレージ。チーム名は三角形を表すトライと象徴を表すアイコンを組み合わせた造語で、ドライバー、オーナー、メーカーの3つのタイトルを目指すぞ、とかいう意味合いが込められています。
 トヨタ系若手ドライバー育成を担っており、昨シーズンの最多勝となる6勝を挙げ選手権2位だったたコリー ハイムとタナー グレイが残留。初勝利が待たれるグレイはデイビッド ギリランド レーシング時代からこのチーム一筋で6年目のフル参戦となります。
 一方でタナーの弟テイラーとサワリッチがトラックのフル参戦からエクスフィニティーのフル参戦へと昇格したために2名が加入。いずれもARCAシリーズでベンチュリー二 モータースポーツに所属していたドライバーで、25歳の女性ドライバー・トニ ブライディンガーと、18歳のジオ ルジェーロ。ブライディンガーは正式な名前だとアントワネット マリー ブライディンガーですが、英語圏ではよくある話で長いので『トニ』となっています。女性ドライバー自体はそれなりに見かけるストックカー界ですが、彼女は母親がレバノン出身のため『初のアラブ系アメリカ人女性ドライバー』として中東のメディアでも取り上げられています。
 1号車だけは複数ドライバー制で、エクスフィニティーを主戦場とするサワリッチとジョーンズに加え、昨シーズンはリューム ブラザーズ レーシングからフル参戦していたローレス アレンと、2006年3月30日生まれ・まだ16歳というブレント クルーズが起用されます。クルーズは2023年のARCAシリーズ第14戦でシリーズ史上2番目となる年少優勝記録を樹立しています。

 Spire Motorsports/Chevrolet
07 ?
  7○Corey Day(8 races)      
71 Rajah Caruth
77   ?

 2022年からトラックシリーズでも活動を開始すると、2023年のオフにKBMの資産を買収して一気にトラックシリーズでも有数の技術と人員を手にしたスパイアー。買収前からKBMと提携契約を結んでいたレブレーシングとは2024年も提携関係を維持していましたが、シーズン終了をもって契約期限が切れたとのことで契約を終了。結果、レブレーシングに貸与していた車両や人員を手元に引き戻して07号車となり、2025年は4台体制となる見込みです。
 このうち71号車はラジャ カルースが残留。スパイアー加入1年目・トラックシリーズ2年目のフル参戦でしたが第3戦ラスベガスで初優勝、シリーズ史上3人目のアフリカ系アメリカ人としての優勝を記録してシリーズ7位となり、オフにはファンの人気投票でトラックシリーズ部門の1位となりました。
 7号車は複数ドライバー制で昨シーズンはラジョーイやカイルも走りましたが、とりあえず8戦にはヘンドリックが契約を結んでいる若手・コリー デイを起用すると発表されています。19歳のデイは幼いころからダート バイクを始めており本来はモトクロスの道へ進みたかったようですが、9歳の時に骨折して断念。スプリント カーに転向してついこの前までダートオーバルが主戦場でした。レイト モデル/ストックカーでの主だったレース活動は2024年からで、ヘンドリックとの契約によりここから本腰という形です。エクスフィニティーにもヘンドリックからのエントリーでスポット参戦の予定があります。
 07号車と77号車は現時点で未定、昨シーズン77号車に乗っていたチェイス パーディーはチームと契約していないことを明らかにしており、それどころか自身のインスタグラムのアカウント自己紹介には『ドライバー(元)』と書いてあることから引退したのではないかとさえ言われています。年明けにはプロポーズして成功したような幸せそうな写真がアップされてましたけど。

 Niece Motorsports/Chevrolet
41 ?
42 Matt Mills
44〇Christian Rose
45 Kaden Honeycutt

  水、燃料、潤滑油などの液体を積んで運ぶ特殊なトラックの製造、販売を行う企業、ニース エクイップメントの創業者・アル ニースが設立し2016年から参戦しているニース モータースポーツ。今カップシリーズで脚光を浴びているであろう若手・ホースバーが2023年に所属していたチームです。
 マット ミルズは前年に続いてのフル参戦、ケイデン ハニーカットは昨シーズン14戦に出場していましたが2025年はフル参戦となりました。ハニーカットは14戦中2度のトップ5、6度のトップ10を記録しており、これはフル参戦しているチームメイトと比べても圧倒的な好成績。21歳とまだ若くチームとして期待できそうなドライバーです。
 そして44号車はARCAシリーズに参戦していた29歳のクリスチャン ローズが自身初のフル参戦、彼は大学時代には野球をやっていたそうですが、記録を調べたら合計31試合に登板して投球回数以上の自責点でけっこうバカでかい防御率の投手でした^^;
 41号車はベイリー カリーがフル参戦していましたが2025年に関しては未定。ニースは4台のうち1台が複数ドライバー制を採用することが多いため、他の3台が全て固定であることを考えるとこの車両がスポット参戦枠となりそうです。

 McAnally-Hilgemann Racing/Chevrolet
18 Tyler Anklum
19△Daniel Hemric
81△Connor Mosack
91 Jack Wood

 仕事をしながら1992年~1998年のK&N プロ シリーズ ウエストに合計56戦も出場した努力の人・ビル マカナリーが設立したビル マカナリー レーシング。ARCA メナーズ シリーズ ウエストで若手育成の場として有名で、カスター、ハーブスト、ギリランドなども"卒業生"です。そのBMRに実業家のウィリアム ヒルジマンが出資してトラックシリーズに参戦しているのがマカナリー-ヒルジマン レーシング。
 19号車は過去2シーズン連続で4勝を挙げてチャンピオンを争っていたエッケスがエクスフィニティーに昇格しましたが、彼がコウリッグに移籍したのと入れ替わるようにコウリッグでの仕事が無くなったダニエル ヘムリックが加入。2021年にはエクスフィニティーでチャンピオンも獲得しているヘムリック、トラックシリーズのフル参戦は2016年以来です。
 18号車はアンクラムが残留、まだ23歳のアンクラムですがトラックシリーズのフル参戦はこれが早くも7シーズン目となります。2019年に1勝して以降は優勝がありませんが、昨シーズンは12回のトップ10フィニッシュで未勝利ながらプレイオフに進出しました。
 81号車はニースから移籍してきたコナー モザックが自身初となるフル参戦、91号車は昨シーズン13戦に出場していたジャック ウッドがフル参戦になりました。チームのカーナンバーは昨シーズン 18、19、43、91 の4台でしたが2025年は43ではなく81を使うようです。

 CR7 Motorsports/Chevrolet
 9 Grant Enfinger
 97 Codie Rohrbaugh

 ドライバーでもあるコディー ローバーなどがオーナーを務め、マカナリーヒルジマンと提携しているCR7 モータースポーツ。2018年の参戦開始以降優勝経験の無いチームでしたが、GMSレーシングの閉鎖に伴って宙に浮いていた大ベテラン・グラント エンフィンガーを獲得したことで昨シーズンはついに優勝を手にしました。
 39歳のエンフィンガーは昨シーズン未勝利の状態でプレイオフに滑り込みましたが、第20戦タラデガ、第21戦ホームステッドとプレイオフ終盤の大事な局面でまさかの2連勝。これでチャンピオンシップ4に残り、チャンピオンにこそ手が届かなかったものの選手権4位というチームとしても当然ながら過去最高の結果をもたらしました。シブいオジサマドライバー、けっこう好みですw
 オーナーのローバーは過去2年は開幕戦デイトナにしか出場しておらず、2025年もとりあえずデイトナに出るようですがこの1戦だけかもしれません。オーナーなので雇い主なんですけどエンフィンガーよりも若くて8歳ほど年下です(;・∀・)

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
フェデックスの撤退は、ハムリンにとっては痛いでしょうね。契約最終年にマーズが消えたカイルと違って、契約が残っていたので残留出来てますけど、SHRから、スポンサーを引き継いだ形になったペンスキーや、トラックハウスのように上手く行けてないのが、痛いところです。4台のチャーターを維持出来るんでしょうか?ヘンドリックやペンスキーのように自前で資金力があるようにも見えませんし(知らないだけかもしれませんが)。あとチームとは関係ないですが、GEICOがパートナーシップから離脱したらしく、カップシリーズの4番目のプレミアパートナーを探しているというのも気になるところです。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 ハムリンとJGRにとってまだ有難い、と言って良いかどうかは分かりませんが、フェデックスは徐々に支援レース数を減らしてチームもフェデックス後に備える時間的猶予があったのがカイルよりいくらかマシだったと思いますね。孫のモンスターエナジーもそこそこ助けになってるでしょう、孫の給料はまだそんなに高くないだろうしw
ただそういう是が非でもスポンサーが欲しい環境で胡散臭い会社を呼んでしまうので、マーケティング担当には守るべきラインは企業の社会的責任としてきちんと守ってもらいたいとは思いますね。