NASCAR プレイオフ 第9戦 マーティンズビル

NASCAR Cup Series
Xfinity 500
Martinsville Speedway 0.526miles×500Laps(130/130/240)=263miles
winner:Ryan Blaney(Team Penske/Discount Tire Ford Mustang Dark Horse)


 NASCARのプレイオフはいよいよ3シリーズともにチャンピオンシップ進出圏をかけたラウンドオブ8最後のレースとなりました。カップシリーズの第35戦マーティンズビル、カップシリーズ開催地では最小・1周0.526マイルのトラックを500周、ざっくり言うと加速してすぐにブレーキを踏み込む動作を延々と3時間半で1000回繰り返す、想像するだけでリタイアしたくなるレースです。
 年間2回開催のマーティンズビルは2004年のプレイオフ制度導入以降必ずプレイオフでのレースが開催されていて今年が21回目、最後の関門となる第9戦で開催されるのは今年が5年連続5回目です。それ以前のプレイオフ9戦目は長いことフェニックスのものでしたね。
 今回NASCARとグッドイヤーは新しいタイヤを持ち込んでおり、右側はオールスター戦とリッチモンドで『オプション(ソフト)』として使用されていたD-5256というタイヤが、左側には新たに作成されてこれも柔らかいコンパウンドが採用されたD-5254というタイヤが投入されています。見ての通り、柔らかくして性能の低下を早めることでレースを面白くしようという意図ですね。摩耗が早いことを考慮して、レース中に使用できるタイヤは予選からの持ち越し中古セットを含め10セットとなっています。

 ここまでのRof8ではロガーノとレディック、ポイントで言えば下位だった2人が優勝でチャンピオンシップ進出を決めて残る枠はあと2つ。レース前の段階での点差と、前戦ホームステッドで各ドライバーがどのぐらい当落線に対して点数の得失があったかを確認すると

 ポイント下位勢は相対的には当落線に対して追いつきはしたものの、元々かなり点差があったので全然届いていないという状況。ラーソンだけがレース序盤にパンクした影響でステージポイントを稼げず、なおかつレース終盤にも勝ちを狙ってスピンしたのでホームステッドで一人負け状態になりました。大人しく2位で終わっておけば、と思っても後の祭りです。
 今年の第8戦で開催されたマーティンズビルを制したのはバイロン、そして昨年のこのレースで優勝したのはブレイニーでした。ブレイニーはマーティンズビルでこの1勝しかしていないものの、平均順位は通算17戦の出場で全ドライバー中圧倒的な8.8。特に2019年以降は12位以下に一度もなったことがなく、この期間の11戦だけを取り出すと平均順位はなんと5.0、Gen7車両時代の5戦だけ取り出すと全て7位以内で平均4.0と異様な好成績を叩き出しています。ポイントでのチャンピオンシップ進出は難しい位置のブレイニーですが、昨年に続いてホームステッド2位→マーティンズビル優勝、となるのかが最大の注目点だと思います。
 ブレイニーに次いで平均順位が良いのはハムリンの10.2、通算5勝を挙げていますがこちらは全て2015年以前の優勝で、過去の数字でやや現在の平均値が持ち上げられています。チェイスは平均12.7で全体5番目の数字ですが、マーティンズビルでの優勝は2020年の一度だけ、Gen7時代は10位が3回、17位が1回、今年の春が最も好成績の3位でした。平均したら見事に10.0ですw

・レース前の話題

 先週のレースでは9位という素晴らしい結果を残したホースバーですが、スパイアー モータースポーツは彼のピット作業で『4輪交換で8.29秒』というGen7での最速記録を樹立したそうです。中堅チームは少々車が早くてもピット作業がね、、、と思っていたらスパイアーはここも強化されているんでしょうか。なんかこのチームの本気度が最近すごいです。

 トラックシリーズからの話題も1つ、先週のレースでコナー ジョーンズがマット ミルズに報復行為を行ってクラッシュさせたところ、ミルズの車から出火して煙を吸った彼は病院に搬送される事態となりました。結果が重かったせいもありますが、レースとあまりに関係ない安易な破壊行為に厳しいNASCARはミルズに対して1戦の出場停止処分を課し、マーティンズビルは欠場となりました。
 代わってソー スポート レーシングはジョニー ソーターが66号車に乗ることとなりましたが、ソーターは本来ならハットリ レーシング エンタープライジーズの16号車から出場するはずだったのでドライバーが玉突きに。服部さんのところは普段主にARCAシリーズに出場している18歳・ランドン ルイスが乗ることになりました。現在はスポット参戦のHRE、今年4回目の参戦だったんですけどまさか手当てしていたドライバーが変わるとはねえ^^;

・Craftsman Truck Series Zip Buy Now,Pay Later 200

 ポールシッターのクリスチャン エッケスがほとんどリードを譲らずステージ1・2を連勝。最終ステージも独走でしたが、残り38周で発生したコーションでステイアウトするエッケスに対してライバル勢がタイヤ交換。これが効いて残り5周のリスタートでタイヤが相対的に新しいテイラー グレイに大外刈りされますが、エッケスはこれを押しのけてリードを取り返すと、続いて襲ってきたベン ローズもやっぱり押しのけて優勝。ブーイングを浴びながらチャンピオンシップ進出を決めたものの、レース後にキレたグレイから思いっきりぶつけられ、車を降りたら軽く口論になりました。放送にばっちり自粛用語が乗りましたね^^;

 トラックシリーズのチャンピオンシップに進んだのは今週の勝者・エッケスと、このラウンドで2勝したグラント エンフィンガー、そしてポイントでタイ マジェスキーとコリー ハイムの4人となりました。ちなみにマジェスキーはこの数日後、火曜日に開催されたチャンピオンシップ進出選手のメディア対応イベントを欠席して罰金刑を食らうことになりますが、その理由は選挙の投票に行くためだったそうです。処分を不服として控訴しています。

・Xfinity Series National Debt Relief 250

 Debt=デット、借金のことですね。債務軽減を助けてくれる会社ですから、日本だとなんやら法務事務所的なやつでしょうか。レースは21歳のパーカー レツラフが自身2度目のポールを獲得するサプライズから序盤に奮闘したものの、54周目のリスタートで後ろにいる4人ぐらいの執拗なバンプでターン1の壁に突っ込まされる悲劇的結末でリタイア、彼は何も悪くない^^;
 全体的に事故多発で荒れまくるレースでしたが、スポット参戦で自身はプレイオフに関係が無いエリック アルミローラがステージ1・2を連勝。最終ステージも181周目に奪ったリードを最後まで手放さず、結局250周中150周のリードを記録して今季3勝目を挙げました。このレース2位のサミー スミスと3位のチャンドラー スミスはいずれも勝たないとチャンピオンシップには手が届かない立場だったので、アルミローラに阻まれる形で惜敗。

 フル参戦を退く理由だった大事な家族と優勝の喜びを分かち合うアルミローラでした。オーナー選手権はアルミローラの活躍によりJGRの20号車が勝ち残ったので、結果次第ではドライバーとオーナーのチャンピオンが異なる可能性があります。ドライバー選手権でチャンピオンシップに進んだのはこのラウンドで優勝しているA.J.アルメンディンガー、オースティン ヒルと、ポイントでジャスティン オールガイアー、コール カスターの4人となりました。レース後にはカスターとチャンドラーが口論となり、つい手が出てビンタしてしまったチャンドラーは1万ドルの罰金を食らいました。
 そのチャンドラーに関しては、2023年にコウリッグ レーシングとの契約が残っているものを捨ててまでわざわざJGRへ移籍してきたのに、現時点でまだ来年のシートについて確約が無い状態です。他チームからいくつか声もかかっているようですが、もう空いている契約先があまり無いので心理的にあまりよろしくないとのこと。私は彼は有望なドライバーだと思っていますが、コウリッグをあっさり切り捨てた動きは正直あんまり好きじゃなかったので、そういう人柄とかも案外影響してるんじゃないかなあとか邪推したり(※個人の感想です)

・カップシリーズ
 予選

 レースの行方にそこそこ大事な予選、なんとブッシュポールはプレイオフ選手ではないマーティン トゥルーエックス ジュニアでした、去年のこのレース以来1年ぶり。2位にチェイス、3位がバイロン、ラーソンが9位とプレイオフ選手でトップ10からスタートするのはヘンドリック モータースポーツの3人だけ。もう既に勝ってるから関係ないけどロガーノが12位、ブレイニーは14位。でも大丈夫、去年のブレイニーは11位から勝ってるし、春のバイロンも18位から勝っています。

 点数的に余裕があるとはいえベルは16位、とりあえず怪我さえしなければ良いレディックは31位、そしてハムリンは練習走行でスロットルが戻らなくなる致命的不具合が発生しクラッシュ、予選に出走できず最下位からのスタートと早くも暗雲です。

・ステージ1

 トップ3が予選順位のまま進む静かな立ち上がりから、周回遅れが出てきた42周目にチェイスがトゥルーエックスをかわして2人目のリーダーとなります。中継映像では開始直後の後輪のタイヤ内圧がパンクしてるのかと思うぐらい目に見えて低いことが早速話題に。ブレーキを踏んで前荷重になるとたわんでいる部分がポコンと元に戻る姿はなかなか衝撃です。こういうのをやってるうちに『せや、微細な穴開けたら内圧を低いまんまにして走れるやん』というアホなことを思いついた人がいたんでしょうねえw(もうだいぶ古い話)
ぺっしゃんこ

 トゥルーエックスはこの後バイロン、チェイス ブリスコーにも抜かれると、ライアン プリースには軽く押しのけて抜かれたのでプッツン。即座に後ろから押してやり返そうとしましたが、仕留め損ねたのか自重したのか抜き返すこともできません。そのまま67周目にタイヤ交換のためピットへ飛び込みました。ところが冷静さを欠いたかトゥルーエックスはピットで速度違反、もう気持ちが切れている・・・
 摩耗しやすいタイヤとはいえ上位勢はノーピットが基本姿勢な気がしますし、速度違反で自滅したのでトゥルーエックスのアンダーカットを気にする必要もありません。次に動く人がいるのか気にしていたら77周目にラジョーイがスピンしてコーション。ラジョーイ何やってんね~ん、と思ったらベルが単独でスピンしてラジョーイにぶつけていました。なんかこの柔らかいタイヤはタダでは済まないレースになりそうだなと感じさせつつリードラップ車両がピットに入り、チェイスが引き続きリードを維持しました。ベルは車のバランスが良いわけがなく、この先が少し不安です。

 86周目にリスタートするとチェイスとバイロンが容赦なく並走して争ったので一瞬やらかすんじゃないかと思いましたが、チェイスがリードを守ります。ところでレース早々に周回遅れになってしまったレディックはどうしたんでしょう、魂をホームステッドに置き忘れて来たんでしょうかw
 ステージ最終周には周回遅れに詰まったチェイスを軽くバイロンが突っついてまたもやヒヤッとしましたが、ステージ1はチェイスが制しバイロン、ブリスコー、プリースが続きました。5位にはなんともうブレイニーが上がってきておりラーソンがステージ6位でした。ハムリンも15位まで挽回しており、クリス ゲイブハートは1回目のコーション時点で「予定よりちょっと前にいる」とここまでは比較的順調であるとの見解を示してハムリンを励ましていました。
 そしてこの展開がマズいのはステージ21位だったベルで、彼から見てポイントで遠く離れたチェイスが優勝、近くにいるバイロンが優勝に近い大量点だと中団で埋まっている彼はポイントで5位に落ちる危険性があります。どうせならバイロンが勝ってくれた方が有難い展開です。

・ステージ2

 チェイス、バイロンはピットもそのままワンツーで出ましたが、ラーソンは混雑した走行レーンで不可抗力ながらチームメイトのボウマンに追突する不運。幸い大きな問題はなくステージ2に向かいました。142周目にリスタートしましたが、内圧が低すぎる弊害かチェイスはスロットルを踏んだ瞬間にかなり滑ってしまい、あっさりと外からバイロンにかわされてしまいます。すると3周後になんかえらい玉突きでスアレスがスピンして3回目のコーション。続く152周目のリスタートも6周後にハリソン バートンのスピンでコーションになってしまい、早くもマーティンズビルらしくなってきましたw

 165周目にリスタート、既にブレイニーは4位まで来ているのでバイロンも安穏とはしていられず、5位のラーソンはこのままだとどう転んでも自分にチャンスが無いのでちょっと強引でも順位を上げにいっている様子、ハムリンも10位まで来たのでじゅうぶん戦える位置まで来ましたが、このリスタートでは変速に失敗したか急に失速して危うく玉突き事故の起点になるところでした。
 このランも長くは続かず、184周目にまたもや押し合いへし合いでトゥルーエックスがスピンしてコーション、早くも本日5回目です。ここらでそろそろタイヤを換えたいのでトップ2を含む半数強のリードラップ車両がピットに入りましたが、ここでチェイスのクルーが右後輪のナットを締めないうちにジャッキを落としてしまう手痛い失敗、4輪交換に20秒もかかって後方に転落です。
 一方で同じことをやっていたら勝てないのでブレイニー、ハムリン、ベルの3人はいずれもステイアウトを選択し、彼らを含む11人がステイアウトしたのでバイロンは6列目から、192周目にリスタートします。しかしここもまた4周後に多重事故でコーション。さっきバートンにぶつけていたホースバーがここも事故の起点となっており、速いのは良いんだけど経験が浅くて周りが見えていない感じです。放送席ではそんな若造のチームメイトとして来年マイケル マクダウルが来ることの重要性、飛躍の大きなチャンスであることが解説されていました。マジで楽しみですけど、すごく光った翌年にチームも選手も壁に当たって期待外れ、ということは結構あるのであんまりハードル上げないようにしましょう。

 続く203周目のリスタート、なんとケゼロウスキーが外からブレイニーに勝負をしかけ、相手が元チームメイトの後輩であっても関係ないとばかりにリードを奪います。同じフォード同士、多少は助けになってくれるのかと思ってたのでこれは正直ビックリ。
 ケゼロウスキーにチャンピオンの道を阻まれては困るので、ブレイニーはターンでガスガス後ろから押して前に行かせろ圧をかけてみましたが、バッドブラッドは全く動じることなくリードを維持してブレイニーはイライラ。「フォードは今日マジで俺の助けになってるよな!(怒)。」話しぶりからするとここに順位を上げてくる過程でもけっこうフォードの選手に行く手を阻まれてますねw

 そのままステージ2はケゼロウスキーが制し、ブレイニー、ハムリンとステイアウト組がトップ3。4位にタイヤ交換組で最上位のラーソンが入りバイロン、ベルが続きました。ベルはなんとかステージ1の悪い状況を立て直しましたね。

・ファイナル ステージ

 ここはもちろんリードラップ車両が全車ピットへ。ケゼロウスキーはしれっと先頭のままでしたが、ブレイニーは作業が上手く進まず4つ順位を下げ、ベルは左前輪のナットが締まっておらず再ピットして後方リスタート、せっかくの順位を手放しました。まだ新しいタイヤの寿命が今一つ観戦する側には見えないのであと1ストップか2ストップかが分からんなあと思いながら271周目にケゼロウスキー/ラーソンの1列目でリスタートします。
 まずはケゼロウスキー、バイロン、ラーソン、ハムリン、ブレイニーのトップ5となり、この場合ポイント出場枠が2つ残るのでラーソンとベルが最後の1枠を争う状況です。と言っても30位あたりにいるベルは上げ余地がたっぷりなので、きちんと順位を戻すことができればまだ有利なのはベルでしょう。アダム スティーブンスは「ポイント5位以下のやつが勝っても13位なら問題ない。」と伝えています。普通にやったらええんよ、おーん。
 上位勢で調子が良さそうなのはブレイニーで、ハムリンとラーソンをじっくり抜いて329周目に3位へと浮上。さらに345周目には周回遅れのシェイン バン ギスバーゲンを押して外側にいたバイロンごと押しのける荒業を見せてとうとう2位となります。これはもしや伝説のスイカ投げ走法!?

 プレイオフ選手ではピット作業大失敗が響いて優勝争いから遠かったチェイスが351周目にピットへ。おそらく2ストップを覚悟した勝負の動きですが、他のプレイオフ選手はすぐには反応しません。次に反応したのは5位にいたハムリンでしたが370周目と19周も後になってから。ここだと残り130周ですから2ストップを考慮しつつもコーション連発ならそのまま行ってしまえる距離というところでしょうか。これがピットサイクルの合図となり、ラーソン、バイロン、ブレイニー、そしてリーダーのケゼロウスキーと上位勢が一気に動きました。
 この4人の中ではバイロンが一気にアンダーカットに成功、ピット後はバイロン、ケゼロウスキー、ブレイニー、ラーソンの順となります。ラーソンはピット作業そのものは失敗ではなかったものの、ピット入り口で突っ込みすぎてあやうく前の車に追突しそうになったことで時間がかかっていました、ピット入り口で事故る一歩手前^^;
 彼らより20周以上早くタイヤを換えたチェイスはこの段階でバイロンの7秒ほど前方でしたが、タイヤが古くて追い上げられます。追いかけるバイロンも見ていて『タイヤの寿命考えてます?』と思うぐらい飛ばし、あっという間にチェイスの背後にたどり着きました。チェイスを抜くのは時間の問題と思われましたが、398周目にお騒がせ男・ホースバーがスピンしてコーション発生。チェイスにとっては最高のタイミングで、彼をはじめ多くのリードラップ車両がピットに入りましたが、バイロンとラーソンはステイアウトを選択しました。
 この判断が影響を与えたのがベルで、コーション時点で周回遅れだったのでできればリードラップの人にはみんなピットに入ってもらい自分はウエイブアラウンドしたかったのに、上位勢にステイアウトされたせいでその手段を封じられました。バイロンはベル封じも考えた作戦だったように思えます。

 407周目、バイロンとラーソンの1列目でリスタートしましたが、

 車輪が転がっておる。カイル ブッシュの右前輪が外れており、一旦グリーン フラッグが振られたものの即座にコーションです。これがバイロンにとっては最悪で、少し蹴り出しが遅くてコーションの瞬間ラーソンに先行されたがためにリードを失ってしまいます。実際にカイルが脱輪したのはリスタート前のターン3の段階だったので、損をしたドライバーとするとそもそもリスタートの存在自体が無効で元通りの順位であるべきではないか、というところでしょうか。バイロンは「マジふざけんなよ。」、ブレイニーも「ふざけんなよ2つ順位下げただろ。」
 気を取り直して414周目にリスタート、ラーソンが単独で逃げた一方でバイロンに対しては同じステイアウト組のシンドリックが予想外のバトルを仕掛け、自由に走れないバイロンはラーソンから引き離されました。その後ろに4輪交換のチェイスがいますが2台に並ばれると眺めることしかできず一緒に停滞、ラーソンにとってこれほど有難い展開はそうそうありません。
 ようやくシンドリックが退けられるとチェイスは422周目にさっさとバイロンをかわしラーソンを急いで追走。2人とも勝てばチャンピオンシップ進出、2位だとポイントでは4位以内に入れないので脱落です。そしてベルは19位/周回遅れ最上位で自力ではこれ以上順位が上がらずにコーション待ちの状態、このまま行くと4番目の枠はバイロンの手に渡りますが、両者の点差が11点で、なおかるタイ ブレイカーはベルが持っているためバイロンは7位以下に順位を下げると脱落です。

 さて新しいタイヤでラーソンを追うチェイスですが、履歴差がそこまで大きな差になっていないようで1秒以上の差が残ります。ここから周回遅れの大群に遭遇しますが、2人の間には常に数人が挟まってチェイスは仕掛ける場所にたどり着けません。一方でバイロンは459周目にブレイニーにかわされて4位へ、ルディー フューグルからは「4位でも問題ないからな。」となだめられます。さっきタイヤ交換直後に全力でチェイスを追いかけたから摩耗が進んでるんじゃないですかねえ。
 しかし475周目、バイロンはなんとシンドリックに抜かれて5位に後退。フューグルからの無線もちょっと語気が強まって「あと1つだ、2つはダメだぞ!」。ベルは相変わらず19位から下がることなく走っており、バイロンの限界線が6位であることに変化はありません。こちらも後が無くなってきました。

 リーダーのラーソンの方もタイヤの古さはじわじわ効いて来たのか、周回遅れの集団が落ち着いた477周目、とうとうチェイスにかわされてしまいます。さらに、既にこの2人に追いついていたブレイニーも遅れまいとラーソンを押しのけて2位強奪、ラーソンも一度は小突き返したものの抜き返すことができずに降参しました。
 2位になったブレイニーはものすごい速さでチェイスに追いつくと、486周目・残り15周という土壇場でとうとうリードを奪いました。抜いた後に後ろから押し返されると大変ですが、ブレイニーは絶妙な戦い方で相手にそのタイミングすら与えずに圧倒的な速さでチェイスを置き去り。もやはバンプ&ランなんてできそうもない安全圏へと逃げました。ブレイニーはチャンピオンシップ進出に片手をかけます。

 一方のバイロン、ハムリンにも抜かれて6位となりとうとう後がなく、タイヤが古くて後続も追いついています。もうこれは詰んだか、と思ったら後ろにいるオースティン ディロンは全然バイロンを抜きません、も、もしやバイロンのために壁になってる?するとディロンの外からチャステインが並びかけ、空気を読まないスイカ男がディロンのせっかくの手心をぶち壊す、のかと思ったらそのままディロンと並走、どう見てもこれは2人でレーンを塞いでますね。マーティンズビルでこれをやられたら絶対抜けないw

 ディロンの背後にはフォードのケゼロウスキーがいますが、今ブレイニーがリーダーですからケゼロウスキーも変なことをしてコーションを出す理由はありません。これがトヨタの選手なら逆に突っ込んでコーションを出させても良い場面ですが、たまたま顔ぶれの関係でシボレー勢総出によるバイロン防御陣形が見事に機能しています。あまりに露骨なので見ていて可笑しくなってきてゲラゲラ笑いながら見てたんですが、でもここまで露骨だと罰則対象にならないか?
 そしてふと画面の左を見ると、ベルの1つ上にいるのはウォーレスなので「うーん、ウォーレスは下がれるんだよなあ、でも距離が遠いしそれをやったら確実にペナルティーだからさすがに無理かあ。」と思いつつ、バイロン防御陣形でゲラゲラ笑いながら「ブレイニー、あと少し頑張れ!お前はやれる!」と3分割画面で私も人格が3つに分裂しながらとうとうホワイト フラッグとなりました。
 リードを奪った後は毎周0.3秒近くチェイスを引き離すほど異常に速かったブレイニー、そのまま独走でチェッカーを受けて崖っぷちからの『2年連続サヨナラホームラン』でチャンピオンシップ進出を決めました。去年は当落線の上にいる状態のレースで優勝、今年は勝つしか無い状況ですから逆転サヨナラ3ランホームランぐらいでしょうか。
 そしてバイロン防衛陣形の方も適切に機能したまま最終周へ、ホワイトフラッグの後ならケゼロウスキーは暴れても構わないですがさすがにそんな無茶することも無いでしょうからそのままチェッカーへ、ん?今23番がいたような・・・

 ウォーレスが下がってる!ベルが突っ込んで抜いた!けど勢いがありすぎて滑って壁にぶつけた(T T)

 と思ったら全力で壁走りするまさかのチャステインムーブ( ゚Д゚)信じられません、さすがにやらんかと思ったウォーレスの減速でベルが1つ順位を上げると、おまけにターン3を曲がり切れず壁に当たったところから壁走り。これでベルとレディックは同点となってしまい、このラウンド内での最高順位が2位のベルがタイブレイカーを握っているのでチャンピオンシップ進出!おめでとう!

・ステージ 審査部屋

 と簡単に決まるはずもなく、ウォーレスの減速、ベルの壁走り、そしてシボレー勢の明らかに結託した防御陣形と、見ていて絶対あかん動きが3つもあったのでNASCARはこれらをどう判断し結果を決めるのか、審議に入りました。動画の尺が3時間59分もあるので絶対オーバータイムやろ、と思わせて、なんとレース後審議の待ち時間だったという驚きのパターン。とりあえずさっさと結果を調べるのではなく、生放送で見ていた方々の気持ちになって動画を最後まで見てみることに、、、これそんなすぐに決まらん気がするけどなあw

 と思っていたら現地でちゃんと結果が出ました。やはり審査結果はベルの壁走りに対して安全規定違反という結論を出し、これでベルには周回遅れの中で最後尾・22位を正式結果とするというペナルティー。ポイントでバイロンはベルを4点上回ることになったので、チャンピオンシップ最後の1枠はバイロンのものとなりました。ベルとチームからすると「攻めた結果壁に当たっただけで、最初から壁を使って走る意図だったチャステインとは違う!」と抗議の1つも出したいところですが、このペナルティーはピット作業や速度違反と同種のレース中のペナルティーに分類されるため、抗議権そのものが無いという無慈悲な結末となりました。
 
 では順位を操作した人たちは無罪放免かというとそうではなく、ディロン、チャステイン、ウォーレスの3陣営はレース後のペナルティーでいずれもクルーチーフとスポッターが次戦出場停止、50点の選手権ポイント減点と10万ドルというけっこう巨額の罰金が課せられました。トラックハウス レーシングは控訴しましたが退けられ、残る2チームも控訴したものの審理前に取り下げて受諾しました。何せ控訴するだけ無駄な状況でして、NASCAR Radioactiveで取り上げられた無線のやり取りだけでも

ディロン陣営
ジャスティン アレグザンダー「もし24番を抜いたら向こうは脱落だ。」
ブランドン ベネッシュ「1番(チャステイン)のクルーチーフはこのこと分かってる?」
アレグザンダー「もちろんだ。」

チャステイン陣営
ブランドン マクレイノルズ「24番と一緒に上手いことやってくれよ。」

ベル陣営
ベル「シボレーの連中、マジで道路塞いでんの?」
スティービー リーブス「見事にな。」
アダム スティーブンス「必要なのは1つだ、23番を捕まえに行くぞ。」
スティーブンス「向こうにはこっちに来るよう言ってるからな。」

ウォーレス陣営
フレディー クラフト「まだ20番と直線半分ぐらいの差があるぞ。」
ウォーレス「タイヤが壊れた気がする。」
クラフト「外側でそこの大集団を抑えてくれ、それでホワイトフラッグな。」

クラフト「でっかい集団が来るぞ、抑えろ、抑えろ。2台後ろに20番だ、あいつは内側に飛び込むぞ。」

 どう考えても意図的に順位を操作するために無線で連携していることは明らかですね。
 

 というわけで一悶着どころか二悶着ぐらいありましたが、チャンピオンシップに残ったのはブレイニー、ロガーノ、バイロン、レディックの4人でした。レディックは周回遅れでやたら遅かった上に最後はブレーキかどっかから火が出て先にリタイアしてましたけど、流れ的に大丈夫でしょうか^^;


 審査結果待ちでブレイニーが目立たなくなりましたが、素晴らしい決勝の速さで事前にブレイニー圧倒的優位を示す材料を書きまくった恥をかかずに済みましたw

 推測ですが、ブレイニーは非常に荷重移動が上手くて外側のタイヤ2本をきちんと使って車を動かしているのでタイヤに無駄な力もかけず、摩耗バランスも良いのかなと感じました。こういうトラックは一発の速さだけならややルースな車を振り回した方が速いですが、レースになるとタイヤの使いすぎになりますし、ましてや今回は柔らかいタイヤ。ブレイニーだけ別次元に速かった終盤は完全にタイヤの残り具合の差に見えました。
 Gen6以前を考えると、ショートトラックでは左右非対称の車に極端にスキューが付いた、左前方に最初から傾いた車にすることが多くありました。多少なりとも旋回時に左側のタイヤが仕事してくれるように最初から仕込んでたわけですが、Gen7はそこまで極端なことができません。その中でも上手く荷重移動して左を使ってやれば摩耗の面で優位なので、ブレイニーとペンスキーは何か4輪全てを上手く使って車を曲げるコツを持ってるんじゃないかと感じます。
 逆にハムリンとかチェイスとかはどちらかというと旧タイプの走り方が身に沁みついていて、どうしてもブレーキはずっと残しながらターンに入って右前輪の負担が大きい、というようなことが起きているのであと一歩対抗しきれないんじゃないか、そんな状況を勝手に想像しながら見ています。全然根拠とか無いんで、ただの想像です。

・もしベルが慌てていなかったら・・・

 1点を争う最後の1枠はメーカー総出の空中戦といった感じでしたが、ベルの壁走りが違反となったことで話が決着しました。ただ、たぶんご覧になった方は感じたと思いますがベルがもう少し落ち着いていたら結末は違ったように感じます。というのも、19位だったベルはターン3でウォーレスを抜いて目標順位の18位になったわけですが、ウォーレスは"トラブル"を抱えていましたからブレーキも早いし、もちろんブロックもしなければ抜き返す力もありません。ベルはあんなに止まり切れずコンクリート舗装からはみ出してタイヤカスを踏むような攻め方をする必要性がそもそも無かったと思います。
 そして、壁にぶつかった後は明らかにスロットルを踏み込んで、ぶつかったにも関わらず普通に曲がった人たちと同じぐらいの車速まで加速していたので壁走りと丸わかりだったわけですが、後ろにいたウォーレスは抜き返しには来ません。じゃあ20位の人が迫っていたのかというと、20位はエリック ジョーンズでした。じゃあジョーンズはどこにいたのかというと、

 1/4周近く後方にいて全然追いつかない距離でした、しかも同じトヨタです。ベルはひょっとしたらぶつけた拍子にサスペンションを壊して真っ直ぐ走れなかったかもしれませんが、もう少し落ち着いてゆっくり立ち上がり、たとえ壁に擦ったままでも危険視されない"常識的な遅さ"でチェッカーを受けていれば、順位を下げることもないし、壁走りを理由にしたペナルティーを受けることも無かった気がします。そこまで細かい情報を全部無線で入れたら露骨すぎるから伝えてなかったんでしょうけど、せめてもう少し落ち着いていたら、と思いました。
 ただ、もしベルに壁走りが無かったとすると今度はお互いの陣営の順位操作により焦点が当たることになり、さらに審議が困難を極めた可能性はあります。順位操作と言えば2013年のレギュラー シーズン最終戦・リッチモンドで起きたマイケル ウォルトリップ レーシングの故意スピン事件がありましたが、あれはチーム内での出来事。今回は同一メーカーとはいえ他チームの作戦参謀が忖度した形なので、その罰則を直接選手に与えるのが良いのかという問題も出てきますし、かといって何も罰則が無いと来年以降プレイオフでメーカー総出の争いが常態化しかねません。これを罰金と出場停止で済ませて『ベル君、ギリギリで出場おめでとう』で済ませて良いものか。
 その時どうするかと考えると、バイロンの西日避けになってくれた面々は『抜かなかった』ので、普通に走っていても実は追い抜きが困難だったかもしれない、よしんばわざと抜かなかったとしても誰かに仕掛けられている可能性があるから絶対成功するとは限らない『テクニックだ』と言い訳が立ちそうですが、ウォーレスは本当にトラブルがあったのか疑わしく、『わざと抜かない』より『わざと抜かれる』の方が成功率が高くて簡単なのも明らか。おまけにベル側のクルーであるスティーブンスが「こっちに来るよう言ってる。」と無線で言ってしまってるので、分が悪いのはこっちです。

 ベルが壁走りをしていなかった世界線では、ウォーレスの順位操作の件でやっぱりベルにチャンピオンシップ進出圏剥奪のペナルティーが出ていた、ということも想像できますし、ひょっとして、本当にひょっとしたらバイロンもベルも両成敗で減点され、結果としてラーソンがチャンピオンシップに進出した、という喧嘩両成敗というオチだったかもしれません。実はベルが慌てて壁走りしたことで最も利益を得たのは、他の難しい要素を考えずにただ壁走りに対して安全規定違反のペナルティーを言い渡すだけで済むことになったNASCARだったのではないかと、レースを振り返りつつ思いました。
 あ、すっかり存在を忘れてましたけど新しいタイヤはマネージメントの巧緻が見られましたし、摩耗が早いだろうと思ってタイヤを換えた人と、いやいやトラック ポジション重視でしょうとステイアウトした人が絡み合っていて、まあ初回でデータが少ないせいでもありますけどそれなりに運営の意図した内容になったと思いますね。ベルが最初に自滅したのもタイヤが減ってルースが悪化したせいでしょうし。

 さあ、次戦はとうとう最終戦です。フォーミュラワンとか言うヨーロッパ貴族の良く分からんレースもちょうど開催されていませんし、大統領選挙も予想外に簡単に決着がついてしまいましたので、きっと全米の視線がフェニックスに注がれることでしょう。

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
ベルが全くポジションを上げることが出来ず、バイロンがどんどん落としている中で、直近の3レースの成績では、ベルに分があることが分かり、バイロンをチャステイン、ディロンが抜かなかったことに、怪しさを感じてる中、突然、ウォレスが落ちてきたので「何?」と不思議な感情を抱きました。で結局出てきたのが「順位操作」疑惑。ブレイニーの素晴らしい勝利になかなか共感出来ないまま、NASCARの裁定が出るまでのバイロンとベルの表情を観ているのは苦痛でした。僕もオーバータイム確実と思っていて、全てリセットして、最後はラーソンが勝つのだろう・・・と頭の中を巡らせていたんですが、スピンゲートとは違い、他チームのクルーチーフが「共謀」可能性があるとすれば、闇は深いです。2013年には、ボウヤーの行為に激怒したNAPAがスポンサー離脱、トゥレックスクビ、結果的にウォルトリップレーシング解体という結果になりましたが、ベルのディウオルトのペイントを観ながら、フェデックスに続いて、ディウオルトが離脱したら、ジョー・ギブス終わりじゃないか、とかいろいろ思いを馳せるなど。NASCARもスポンサー離れは避けたいので、このあともう一幕あるのでは、と考えてしまいます。
ブレイニー、ロガーノのペンスキー2台がファイナルと言うのは、シーズン序盤に勝てなかったフォードを観ると信じられない結果です。不謹慎ですが、ディロンのポジションにカイルがいなくて良かった、と不謹慎なことを考えていたりもします。あと、久しぶりの間違い探し。475周目…以降の文章のくだりに変換ミスがあります。時間があれば訂正のほどを。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 ありがとうございます、訂正しましたm(_ _)m ディロンの後ろにギブス君が来ていたらまた全然違った展開と騒動だったと思うんですけど、あんだけ見事に道路を占拠するとは思いませんでした。
 言われてみれば不正行為にはスポンサーの心証という別の問題がありましたね。さすがに最終戦目前なので今のところそういう雰囲気は無いですけど、頭の片隅には置いた方がよさそうです。
カイル・プッシュ さんのコメント…
そうなんですよね~、ベルがもうちょっと落ち着いて、スロットルを戻していれば残れてたかもしれないですよね~それにしても、43の道譲りと1と3の道塞ぎは露骨でしたよね。追いついたとき、ヤンチャステインは抜いてくれるかなって思ってたんですが、見事なガードでした。
それにしてもそれにしても、NASCARの罰金って高いですね笑
アールグレイ さんの投稿…
ハースファクトリーはトニーオーナーがいなくなっても、乱闘要員としてはトラックシリーズでネメチェックにタックルした様に、その精神を引き継げるドライバーがいるのは安心ですねw

ハムリンは最下位からよく追い上げましたが今年もアレはならずなので、もうレディックに頑張って貰ってオーナーとしてのアレを目指すしかありませんね。

まさか壁走りが再び見られるとは思いませんでしたw
HMSはボウマンの失格の時と違って今度は助かる形になりましたが、チームどころかメーカーでチームオーダー行為するのはバイロンがチャンピオンを取ったとしても印象は悪くなるでしょうね。
チャステインの最終戦のクルーチーフの代役がトニーの3度目のチャンピオンやギスバーゲンのデビュー戦初優勝に貢献したダリアングラブなのも驚きです。

ケセロウスキーやシンドリックのイメージが強いディスカウントタイヤのスキームですが、ブレイニーはこのスキームで秋のマーティンズビル戦連覇を果たして2年連続チャンピオンシップ4進出につなげているので、縁起の良いスキームになりつつありますね。

最終戦はトゥレックスのラストレース、トニーオーナーのラストレース、カイルはシーズン勝利記録が19年で途切れてしまうのか?などチャンピオン争い以外にも見どころが沢山で楽しみです。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 今回の罰金、ドライバーとチームのそれぞれに10万ドルらしいのでNASCARは一夜で合計60万ドルの罰金が発生したと変な部分でも話題になってるようです、チャステインには空気読まずに抜いて欲しかったなあ(笑)
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 ブロッキングフォーメーションで笑いが止まらなくなったらベルが壁に突っ込んだので面白すぎてちょっと頭がおかしくなりそうでしたw
 バイロン陣営はかなり露骨に守られたので印象が悪いものの、ウォーレスの方がより露骨だったことでなんか印象が上手いこと薄まって忘れてくれそうな気もしますね。でもまあ世の中は因果応報なのでバイロンにはきっとフェニックスで変な落とし穴が待っていることでしょう、ベルが突っ込んでくるとか()