NASCAR 最終戦 フェニックス

NASCAR Cup Series
NASCAR Cup Series Championship Race
Phoenix Raceway 1mile×312Laps(60/125/127)=312miles
winner:Joey Logano(Team Penske/Shell Pennzoil Ford Mustang Dark Horse)

 とうとう今年のNASCARもシーズン最後のレースとなりました。全米3シリーズ全て、プレイオフで勝ち残った4人のうち最も上位だった選手がドライバー選手権のチャンピオンとなるチャンピオンシップ ウイークエンドです。今年ももちろん、NASCARが多額の費用をかけて改修したフェニックスがチャンピオンを争う舞台、1マイルとしては比較的高速のレイアウトでカップ シリーズですら312マイルのレース距離なので、大きな事件が無ければ意外とあっという間に終わってしまいます。
 カップシリーズでチャンピオンを争うのは、今回唯一2度のチャンピオン経験者・ジョーイ ロガーノ、レギュラー シーズンのチャンピオン・タイラー レディック、昨シーズンのチャンピオン・ライアン ブレイニー、そして予選/決勝とも年間平均順位で4人中最高成績・ウイリアム バイロンです。なんと見事に全員がここまでシーズン3勝を挙げています。いや、ロガーノはオースティン ディロンに撃墜されていなければ本当は4勝か、いやそれならブレイニーもガス欠していなければ・・・w
 年間2回開催のフェニックス、第4戦の勝者はクリストファー ベルなのでこの4人に残っていたら大チャンスだったんですけど後の祭りです。昨年の最終戦はプレイオフ選手ではないロス チャステインが空気を読まずに優勝しました。プレイオフ選手ではロガーノが2度の最終戦を含めてフェニックス通算3勝、バイロンも昨年の第4戦で優勝しています。また、この4人の中でシーズン最終戦の優勝経験自体がロガーノの2勝しかありません。昨年のブレイニーは現行プレイオフ制度史上初めて、最終戦で優勝せずにチャンピオンを獲得しました。

 データをGen7導入以来の過去5戦のフェニックスに絞ると、最も平均順位が高いのはブレイニーで4.0。5戦すべて5位以内に入っており、範囲を広げて過去11戦で見ても6位以内に入れなかったのがたった2回だけ、通算17戦のフェニックスで平均順位10.9とマーティンズビルと同様に非常に良い数字が出てきます。
 バイロンは直近5戦のフェニックスで1勝して平均順位9.4、レディックは2度の3位を記録して平均12.2、ロガーノは一昨年に優勝していますが平均は14.4、ただ今年の第4戦で追突事故を食らってリタイアした分だけ数字が低く出ている面はあります。いずれにしてもシーズンの流れとフェニックスでの相性等を見ると、個人的には本命ブレイニー、対抗バイロン、というのが軸になるだろうと常識的で無難な予想を立ててみました。

・レース前の話題

 23XI レーシングとフロント ロウ モータースポーツがNASCARに対して起こした反トラスト法訴訟。両チームはこの審理が決着するまでの間、暫定的に両チームが2025年からの新チャーター規定に基づいて競技に継続参戦できることを求める仮処分申請を行いましたが、裁判所は現時点で必要となるだけの損害を証明できていないとしてこれを却下しました。今後の状況次第で受理される可能性があるので最終判断ではありませんが、チーム側から見ると訴訟の序盤戦は首尾よく進んでいるとはちょっと言い難い情勢に見えます。
 23XIの共同オーナー・デニー ハムリンは、記者からの質問の中で来年のデイトナ500に23XIの車両を並べることができるのか聞かれると、牽制する意味もあるのか「全て未定さ。乗り越えなければいけない事柄があるけど、そうなることを願ってるよ。」と開幕戦不参加の可能性も示唆しました。

 そして訃報です。1983年のカップシリーズチャンピオンでデイトナ500も3度制覇、歴代4位となるカップシリーズ通算85勝を挙げているボビー アリソンが11月9日に亡くなりました、86歳でした。

 フロリダ州マイアミ生まれのアリソン、レース活動に関心があるものの親の反対もあって制約が多い中、1950年代後半にお金を稼げるレースを求めて弟のドニーら仲間とともにアメリカを旅していたところ、アラバマ州に高額賞金が貰えるダート トラックが点在していることを発見。即座にここで好成績を残して多額の賞金を稼ぐと、仲間とともにアラバマに拠点を構えて以後暫くの間地元のレース界を席巻、このドライバー仲間の集団は『アラバマ ギャング』と呼ばれました。
 アラバマでのダート経験を経てNASCARのモディファイド シリーズで2年連続チャンピオンを獲得したアリソンは1966年からカップシリーズにほぼフル参戦。1971年はシーズン中盤に5連勝という偉業を達成するなど自己最多の11勝、1972年も10勝するなど一流選手として活躍しました。しかし彼の名前で最も出てくるのは1979年の開幕戦デイトナ500、史上初めてテレビで生放送された記念すべきレースで、終盤にケイル ヤーボローと接触。その後この2人による乱闘が始まり、結果として全米のお茶の間に「なんだ、血の気の多いおもしれえレースやってるじゃねえか」とばかりにバカ受けしてNASCARが一気に知名度を上げるきっかけとなりました。
 1988年には50歳にしてデイトナ500を3度目の制覇、しかも長男のデイビーを従えての親子ワンツーフィニッシュという偉業を達成しましたが、同年の第13戦ポコノーでクラッシュから他車に勢いよく衝突されて瀕死の重傷を負い、事実上選手生命を絶たれました。さらに1992年には次男のクリフォードが練習走行中の事故で、長男デイビーも翌年にヘリコプターの事故で亡くなり、この影響もあって4年後に妻と離婚(後に再婚)するなど多くの苦難も訪れました。
 アリソンの通算勝利数は時代の古さが影響していくつかのレースが公式の勝利とみなすべきなのか論争になっていました。そのうちの1つ・1971年にボウマン グレイ スタジアムで開催されたレースについては、参戦台数が不足していたので下部カテゴリーの車両の参戦も認めて共同開催のような形となっていました。アリソンは普段使っている車両よりも下部カテゴリーの車両の方が小柄で0.25マイルには合っていると判断してあえてそちらの車両を使って優勝しましたが、NASCARはカップシリーズの優勝回数として認めていませんでした。
 長年論争になっていましたが、NASCARはつい先日の10月21日に従来の姿勢を覆してアリソンの勝利を正式な優勝として認定し、通算勝利回数を84から85に訂正。これまでダレル ウォルトリップと並んで『4位タイ』だったものが『単独4位』になったばかりでした。殴り合いの相手だったヤーボローも昨年12月31日に亡くなっており、現在のNASCARの大きな土台を築いた名ドライバーたちが少しずつこの世を去っています。ご冥福をお祈りいたします。

・ARCA Menards Series West Desert Diamond Casino West Valley 100

 ARCA西シリーズの最終戦、普段は全国シリーズ/東シリーズに出ることが多くてこちらに出るのは珍しいウイリアム サワリッチとコナー ジリッシュが両方ともエントリー、優勝を争うお馴染みの展開となりました。今回は2位スタートのジリッシュが100周のうち99周をリードするほぼ完全勝利で優勝し、彼にとって本命であるエクスフィニティー シリーズへ向けて弾みを付けました。また、西シリーズのチャンピオンは2年連続でショーン ヒンゴラーニが獲得しています、先月18歳になったばかりの若いドライバーです。

・Craftsman Truck Series Championship Race

 ポールシッターのタイ マジェスキーと2位のコリー ハイム、チャンピオンを争う2人が優勝争いの中心でした。ところがハイムは99周目のリスタートでラインを変えるのが早すぎて反則リスタートを取られてしまいペナルティー、これでマジェスキーはいくぶん重圧が軽減されました。ハイムは最終的に2位まで追い上げたものの、200周のうち132周をリードしたマジェスキーがレースを支配して今季3勝目、30歳にして初めてシリーズチャンピオンを獲得しました。

 ソースポート レーシングとしては昨年のベン ローズに続いてシリーズ2連覇、ここ4年で3度目のチャンピオン獲得です。

・Xfinity Series Championship Race

 エクスフィニティーは練習走行から波乱が起きました。他車の撒いたオイルに乗ってジャスティン オールガイアーがクラッシュ、バックアップ車両で後方スタートが確定し、オーナーでのチャンピオン争いがかかるエリック アルミローラも同じ理由でクラッシュして後方スタートとなります。
 決勝で速さを見せたのはチャンピオンを争っていないライリー ハーブスト。スチュワート-ハース レーシング最後のレースでステージ1を制するとステージ2も快走。ステージ2終盤には怒涛の追い上げでコンテンダー最上位まで挽回したオールガイアーと4位を争いましたが、ここで両者が軽く接触してオールガイアーは左後輪がスロー パンクチャー。ハーブストがステージ2も制した一方でオールガイアーは壊れかけのタイヤがなんとかもってステージ10位にしがみつきます。

 しかし一連の動きで気が立ってしまったのか、オールガイアーは最終ステージ開始のリスタートでラインを変えるのが早すぎて反則リスタートとなると、さらにこのペナルティーを消化するため入ったピットで速度違反してさらにペナルティー。完全な独り相撲を繰り広げてチャンピオン争いから脱落しました。そう誰もが思いました。
 仕方ないのでオールガイアーはピット サイクルが訪れてもコーションを待って延々と古いタイヤで走り続けていると、155周目にアンソニー アルフレードがクラッシュしてコーション発生。オールガイアーはリード ラップにいる状態でコーションを拾うことに成功し、後方リスタートながら新しいタイヤを持って仕切り直しました。
 11位からリスタートしたオールガイアーは次々と順位を上げ、194周目にはプレイオフ選手最上位のコール カスターを抜いてとうとうタイトルに片手が届きます。しかし抜かれてもなお食い下がるカスター、残りは2周、と思ったらリーランド ハニーマンのクラッシュでまさかのオーバータイム突入。プレイオフ選手は全員が4輪を交換しましたがオールガイアーはタイヤが空転しまくって順位を下げてしまいプレイオフ選手で3番手に後退。
 今度こそ終わった、と思ったらリスタートでオースティン ヒルとカスターがやり合いすぎて内側ががら空きになり、オールガイアーがするすると最上位を奪取。もうさすがに終わりやろうと思ったらパーカー レツラフのクラッシュでなんとオーバータイムおかわり。2回目のオーバータイムでオールガイアーはリスタート直後にジェシー ラブと右後部が接触してまたしてもパンクの懸念が出た上に、同じくラブと接触したハーブストが白煙を上げながらも猛追してきました。

 オールガイアー以上にパンクの危険がある白煙マンがすごい速度で追ってくるので怖すぎますが、オールガイアーにとって大事なのは4人の中で最上位にいること。幸い他のコンテンダーは7位以下にいたので無理する必要が無く、オールガイアーはターン3でハーブストに道を譲って安全にチェッカーを受けました。これまでシリーズ2位が2度、3位が4度もあった38歳のベテランがついに初のエクスフィニティーチャンピオンを獲得しました。たまたま同い年という理由もあってカップシリーズ時代から応援していたので非常に嬉しいです。

 優勝したハーブストは今季2勝目でSHR最後のレースに花を添えました。来年は23XIからカップシリーズに参戦するのではないか、と噂されていますがチームがそもそも参戦を継続できるのかが見通せなくなってしまったので、今のところ発表が無いし本人もひょっとしたら困っているかもしれません。アルミローラは3位でオーナーチャンピオンならず、ジリッシュが4位で続き、今季のエクスフィニティーは4戦出場で優勝1回、4位も2回という華々しい1年となりました。
 なお、エクスフィニティーは来年も看板スポンサーとしてシリーズにとどまることが明らかになっています。

・カップシリーズ
 予選

 今年最後のブッシュ ライト ポール賞はなんと2戦連続でマーティン トゥルーエックス ジュニアが獲得。先週はレースでボロボロになってしまいましたけど、フル参戦最後のレースでひとまずの有終の美を飾れるでしょうか。彼も来年23XIからスポット参戦し、オーナーのハムリン曰く本人が出たいと思えばいくらでも車を用意するつもりがあるそうですが、チームの体制と収入の基盤であるチャーター契約がおぼつかなくなったら話が反故になりかねません。実はフェニックスで見納めだった、なんてことにならなければ良いんですが。。。

 プレイオフ選手ではロガーノが2位、バイロンが8位、レディックは10位。ブレイニーだけ少し離れて17位となりました。ただロガーノはイベント前の最初の車検で2度引っかかってしまい、ピット選択権を失ったのでちょうど真ん中あたりの面倒くさそうな24番ピットを割り当てられました。不幸中の幸いは、1つ手前の25番ピットはスポット参戦の50号車・ジェブ バートンのピットで、こっちは4回も車検に引っかかったのでレース開始直後にペナルティーのためピットに入る必要があること。ほぼ確実に周回遅れになってくれるのでおそらく邪魔になりません。なお1つ奥の23番ピットはハリソン バートンなので、ロガーノはバートン家に挟まれましたw
 

・ステージ1

 いよいよ最後の戦いが始まる高揚感はいきなり消し飛びます。2周目に入ったところでタイ ギブスがいきなり姿勢を乱してけっこうな勢いで壁に衝突し最初のコーション。ドッグレッグの部分で荷重が抜けたら急に巻き込んでハイサイドを起こしたような動きでした。ギブスの2年目の最終戦はたぶんかなり痛いであろうクラッシュで幕を閉じました。
 10周目にリスタートするとロガーノが外から好リスタート、トゥルーエックスをかわしてリードを奪います。金曜日のトラックシリーズからわりとリーダーが内側を選んで順位を守れない展開が多いので、この先外側リスタートを選ぶ人も出てくるんじゃないかと思うんですが、やはり内側にぶち込まれるのは怖いので分かってても行けないんでしょうかね。
 
 先頭を快走していたロガーノですが30周を過ぎたあたりからトゥルーエックスが少しずつ差を詰め始め、ロング ランは完璧というわけではない様子。周回遅れが出てくるといよいよトゥルーエックスが真後ろになり、もたついている間にベルも追いついてきて三つ巴になりましたが、なんとかロガーノがリードを譲らず逃げ切ってステージ1を制しました。バイロンは4位、レースになるとやはり速いブレイニーは20周以上争った末にステージ最終周にレディックをかわし、この2人が6位、7位でした。

・ステージ2

 ステージ間コーションで全車ピットに入りますが、慎重なのか動きが固いのかコンテンダー4人はいずれも10秒台の作業時間。特にロガーノは最初に右前輪の作業で躓いてしまい、ピットを出た順はチェイス エリオット、ベル、バイロン、ブレイニー、ロガーノといきなり大きな変動が起こりました。
 69周目にリスタート、するはずでしたがペース カーの運転手さんはボーっとしてたのかピットへ引き上げるのが遅れて慌てて左折したようで、急角度すぎてピット入り口のタルにぶつかるという前代未聞の事件が発生。もちろんこれではリスタートできずレースに水を差しレッド フラッグになってしまいます。ペースカーが原因のレッドフラッグって世界的にもほとんど例がない気が・・・w

 余計な待ち時間ができてしまいましたが72周目に改めてリスタート、今回のリスタートでもベルが見事にチェイスを大外刈りしてリードを奪い、その後ろでもブレイニーがバイロンを外から抜き去ってコンテンダーで最上位となりました。やっぱりリスタートは外の方が良いのではないかと思ったり。
 ブレイニーはステージ1で前の車を攻略するため色々とラインを探っていたところ、ターン2でエイプロンまで降りて右側のタイヤを黄色い線に乗せるとなんかすごいグリップするということを発見したようで、ちょっと変わったライン取りでチェイスの様子を伺います。このラインってケビン ハービックがフェニックスで無敵だった時にもよく使ってたラインな気がするんですけど、その領域に近づいてたり?
 チームメイト・バイロンのためにはブレイニーを抑え込んでおきたいチェイスですが、105周目にブレイニーが前に出てこれで2位。並ばれたらもうそんなに無理はしていない様子でしたが、やはり同期デビューで仲の良い友達だというのは心情的に影響したでしょうか。この時点でバイロンは4位、ロガーノが5位、レディックだけちょっと置いて行かれて10位。レディックの前は先週大暴れしていたカーソン ホースバーがいます。
 115周目になるとステージの半分よりちょっと手前ということでアンダーカットを狙う陣営が一斉にピットに飛び込んでピット サイクル。ブレイニーは後ろが動いたのを見てから動く定石の対応できっちりとコンテンダー最上位を維持。ベルもブレイニーと2秒以上の差があったのでさらに1周待った上で実質的な1位を守りました。ロガーノはピット内でジャスティン ヘイリーと衝突しそうになりましたが辛うじて回避、ピット内でチャンピオン争いを終えるわけにはいかないですね^^;

 ステージ後半戦、ブレイニーはなんかさっきよりもルースな挙動に見えますが3位のバイロンに対しては2秒差を付けているので悪くはない模様。譲ってくれた周回遅れには1人1人ちゃんとサンキューハザードならぬサンキューお手振りもしていて精神的にも比較的落ち着いていそうです。
 そのバイロンはハンドリングが良いとは言えなさそうで、ずっと内側を開けて外側のライン取りになっており153周目にロガーノにかわされました。これでペンスキーがチャンピオンシップワンツー体制。バイロンはタイトだから外を走ってるのかと思ったら無線では「フリー」と言っていたようなので、舵角を入れた状態でスロットルを踏むと滑るから切れなくて外にいる、という感じだったと思われます。
 順位を挽回するロガーノ陣営ですが、ジャッキ担当のピット クルー・グラハム ストッダートが体調不良で急遽戦線を離脱する事態に見舞われています。本人もシーズン最後の戦いを途中で離れざるを得ないって悔しいやろうなあ。代役としてオースティン シンドリックのところからパトリック グレイを急遽引き抜きました、持つべきものはプレイオフと関係ないチームメイトですね()
 165周目あたりからリーダーのベルの前には大量の周回遅れが点在し、これで勢いが鈍ってブレイニーは一気に0.5秒差まで追い上げました。ここから2人セットで頭を抑えられてペースが上がらない時間を10周以上続け、その間に3位のロガーノはじわじわと追い上げてきます。ロガーノが来たらブレイニー的に面倒だと思いますが178周目に外からベルを攻略し一安心、と思ったらベルも抜かれて終わりではなく延々と粘ったのでその間に本当にロガーノまで追いついてきましたが、次の何かが起こる前にステージ2はチェッカー。
 ブレイニー、ベル、ロガーノ、バイロンのトップ4となりました。バイロンは終盤に全くロガーノにはついて行けなかったのでロング ランを改善しないと勝利は見えて来ず、逆にロガーノはピットで失敗しなければブレイニーを上回ることができそうなぐらい速そうです。


・ファイナル ステージ

 さすがジョー ギブス レーシングのピットクルー、ベルがピットで逆転してリードを奪い返しました。ブレイニー、バイロン、ロガーノの順で出ていきレディックは9位。ちょっと挽回する手が見つかりませんので、アンダーカットを狙うよりも博打で燃料が無くなるまで引っ張ってコーション待ち作戦の方がいくらか可能性があるんじゃないかと私は思いましたが、実際はチームメイト・バッバ ウォーレスが上手く行っている走り方を教えてもらって試してみる模様。
 195周目にリスタート、ベルが内側選択でリードを守り、ブレイニー、ロガーノ、バイロンが続きます。そしてなんとレディックは助言効果ではないと思いますが、かなりリスクを背負って外側のかなり狭いラインを踏み込んで行き、なんと4人をゴボウ抜きして5位に浮上しました。これでコンテンダーは2~5位に見事に揃います、毎年必ずこうなりますよね。
 そしてこちら、リスタートでバイロンをかわしてコンテンダー2番手に戻ったロガーノはさらにブレイニーに勝負を仕掛けて数周に渡るフェアな争いを展開。201周目にブレイニーを退けて2位となりレース序盤以来となるコンテンダー最上位を取り返します。

 218周目、ライアン プリースがフラッフラになっていたのでコーションか!と思ったら何かをバラまくことも無ければ回ることもなくピットへ帰還しました。コーションが出なくて有難かったと思われるのはロングラン重視のブレイニー、ちょうどこのあたりからロガーノとの差を詰めて勝負を仕掛け始めており、ペンスキー同士のバトル・第2ラウンドが始まりました。上手くラインを変えて対応してくるロガーノに対し、ブレイニーは234周目に得意のハービックラインで攻略して2位を奪い返します。
 抜かれたロガーノ陣営は即座に対抗、ポール ウォルフは2周後にピットの指示を出してアンダーカットによる再逆転を狙いに行きました。リーダーのベルもこれを察知して同時に動きます。これで当然ブレイニーは翌周にカウンターに出ますが、ピットの出入りも作業時間も完璧だったのか、戻った場所はベルとロガーノとの間。アンダーカットを許さず、しかもベルとの距離はピット前よりも詰まった状態となっており、これでチャンピオンに向けて大きく前進しました。レディックも同じタイミングでタイヤを換えているものの蚊帳の外。
 一方バイロンはというと今から動いても無駄ということもあって、ルディー フューグルは「まだ早すぎる!」とステイ アウトを指示。これでコーションでも出たら大儲けでしたがその前に上位勢にはラップ バックされてしまいました。結局バイロンは248周目/残り64周でタイヤ交換。上位勢とのタイヤ履歴差がおよそ11~12周ありフューグルとするとこれが最善だそうですが、ベルとは7.4秒差が付いていて基本的にペースでは負けていた相手です。さあここからどれだけ追い上g
ガシャーン

 バイロンがピットを出た翌周にゼイン スミスがクラッシュしてコーション。この時点でラーソンとチェイスはコーション待ち作戦だったので見た目上のワンツーでビンゴ。バイロンはさっきタイヤを換えたのでステイアウト確実です。じゃあベル、ブレイニー、ロガーノ、レディックはどうしよう、となりますが、リードラップ車両が今挙げた7人しかいなかったのでピットに入ってもほぼ損失ゼロ。ステイアウトしたってすぐ抜かれるのは目に見えているので全員ピットに入り、そのままの順番で出ていきました。

 259周目・残り54周。1列目がバイロンとラーソン、2列目にチェイスとベル、そして3列目にブレイニーとロガーノが並んでの今シーズン最後かもしれないリスタートです。見てるこっちも急にすごい緊張してきた^^;
 チームメイトの壁もあるので少なくともリスタート直後は優位にレースを進めると思われたバイロンでしたが、ロガーノがターン2の出口でハービックラインを使ってまず2人を抜き、さらにターン4の出口では並走しているベルとバイロンの内側に潜り込みました。そのままターン1で先行して実質1周で4人抜きしリードを奪います。ブレイニーも非常に良い動きを見せてはいるもののラーソンの壁に阻まれて4位で停滞。さすがにブレイニーもラーソンの嫌なライン取りにキレて放送自粛用語が出ている模様です、いくらロングランが速いとは言ってもあと50周もないので時間がありません。
 シフトアップして、ブレーキバランスを変えて、ブレーキを踏んで、シフトダウンして、車と格闘しながら曲がって、加速して、シフトアップして、ブレーキバランスいじって…とむっちゃ忙しそうなブレイニー、277周目にようやくラーソンをかわしますがあと35周、ロガーノまで3秒以上の大差です。抜いた時にちょっとラーソンに嫌がらせするラインを通ったように見えたのは気のせいでしょうかw

 ブレイニーは単独走行だとロガーノより毎周0.15秒ほど速いようで、ラーソンを抜いて10周もするとまずは2位のバイロンが射程圏。バイロンはラーソンほど意地悪ではなく堂々と勝負してくれたので、2周ほどで決着が付いて291周目に2位となりました。ただ、一旦は2秒以内になったロガーノとの差が争っている間にまた2.2秒差に開いてしまいます。1周0.1秒ずつ追いついたら真後ろに来た瞬間レースが終わりますね。
 ところがここでロガーノの前にはちょうど周回遅れ3人が立ちはだかり、クリーン エアーを奪われてブレイニーに一気に0.3秒近く差を削り取られる場面があります。同じ面々はブレイニーにはさっと道を譲ったので残り14周で1秒差を切りました、ロガーノは嫌われてるからなあ(違)。しかしロガーノも負けじと301周目に急にポーンとペースを上げてブレイニーと同じ速さになり対抗。ちょっと逃げ切る希望が見えたと思いきや、前方にはまた数人の周回遅れが出て一進一退です。
 クリーンエアーを失うとちょっと曲がらないロガーノ、残り6周でとうとうブレイニーとテール トゥー ノーズになりました。ブレイニーはロガーノと逆のラインを取って攻め立てますがまだ抜くには至らず。そうしている間に周回遅れがいなくなると、ロガーノはまたいくぶん息を吹き返してブレイニーを遠ざけます。

 そしていよいよ最終周、またロガーノの前に周回遅れが3人。ブレイニーは最後の大勝負でターン1の大外からV字のラインを狙ったようですが、ちょっと外すぎて汚れた路面まで出て言ってる雰囲気、ターン3の入り口までに並ぶことができません。最後は決死の外ライン勝負を狙ったブレイニーでしたがここはホームステッドでは無いのでさすがに届かず、ロガーノがチームメイトの猛攻をしのぎ切って2024年のカップシリーズチャンピオンを優勝で飾りました。史上10人目となるカップシリーズ3度目のチャンピオンを達成です。


 ブレイニー、バイロン、ラーソン、ベル、レディックと続きました。最後のレースとなるスチュワートハースでは12位のノア グレッグソンが最上位でした。ポールシッターのトゥルーエックスは17位でフル参戦最後のレースを終え、参戦していても全然存在感が無いのが悲しいジミー ジョンソンは26位でした。また、このレースで18位だったホースバーが今年の新人王を獲得しています、ドライバー選手権でも21位と大健闘しました。


 それにしてもロガーノが3度目のチャンピオンとは驚かされました。終盤のロングランで速かったのは間違いなくブレイニーでしたが、悪いのは全てスミスとラーソンですw
 最後のターン3で争ってるのがロガーノとハムリン、あるいはディロンだったらどっちが前でもタックルがさく裂したでしょうから、チームメイト同士のクリーンな争いで本当に良かったなと思います。前戦でメーカー総出の通せんぼに助けられたバイロンが勝っていても、壁走りで脱落したノン コンテンダーのベルが勝っていてもそれぞれに『もしも』が付いて回っていたと思いますが、そうした結果にもならず本当に完勝、とにかく最後のリスタートでの4人抜きが全てでした。でもあの時ターン4でベルがちょっと突っ込みすぎて外に少しだけ膨らんだ結果、バイロンもろとも2台で外へ流れて内側ががら空きになっていたので、結果論だとは思いつつもなんかやっぱり前戦からの運命みたいなものってあるんだなと思いましたね。
 ベルはその後、ラーソンと並走している際に内側からブレイニーが来たらある程度空気を読んで早めに戻して譲ってる様子なんですが、ラーソンが鬼ブロックしたことでブレイニーは完全に捕まりました。あそこはむしろベルも粘ってラーソンを外へ追いやってくれてたらブレイニーの道が開けましたので、意外とこのレースの行方を左右したのはベルの走りだったかもしれませんw

 『もしも』と言えばそもそもシャーロットでアレックス ボウマンが重量規定違反で失格になっていなければ、ロガーノはその時点でプレイオフから脱落してここでチャンピオンを争っていなかったはずですし、続くラスベガスで優勝したのも普通に走っていたら勝てないからギャンブルしたのが見事にハマった形。失うものが無い強みが生んだ勝利でチャンピオンシップ進出を決め、そして本番では車検ギリギリのところを攻める車で攻めた走りをして優勝。まるで3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズで2連敗してから4連勝した横浜DeNAベイスターズではないですか!

 振り返ると、前戦の記事に日日不穏日記さんからもコメントをいただきましたがロガーノ、というかフォード勢自体が不振で開幕から12戦未勝利でした。それが第13戦以降の残る24戦でなんと半数の12勝を挙げています。ストックカーは所詮『それっぽいガワ』を被せただけですが、本当に僅かな部分の差がそのまま結果に出る競技ですので車両の形状がマスタング ダークホースへと変更された僅かな変化が空力面をはじめ僅かなセッティングの差に繋がっていた可能性はあります。数か月かけてフォード パフォーマンスを中心に最適化を図り、そしてラウシュ イェイツのエンジン開発も進んだのかな、という印象です。
 ロガーノに関しては初勝利が第19戦ナッシュビル、しかもオーバータイムが連発するレースでひたすらステイアウトして燃費レースで逃げ切ったというトリッキーな勝ち方でした。実はロガーノは36戦中15位以下だったレースが19戦もあり、シーズン平均順位17.1でのチャンピオンは少なくとも近代NASCARでは最も低い数字、史上最低かもしれません。
 トップ5フィニッシュ7回、トップ10フィニッシュ13回も近代NASCARではおそらく史上最少で、記録をWikipediaで探せたトップ10回数はNASCAR創世記の1949年、1950年以外にロガーノより少ない回数でチャンピオンを取った選手はいませんでした。怪我で11戦を欠場してチャンピオンになった2015年のカイル ブッシュが25戦で出した数字よりも遥かに少ないものです。プレイオフ制度を抜きにして単純に開幕戦からドライバー選手権ポイントを足し算していった場合、ロガーノは12位でクリス ブッシャーよりも下位でした。ブッシャーはプレイオフの16人に入れなかったドライバーです。

 劇的なレースから少し時間が経過すると、こうした統計数値を見て『さすがに今のプレイオフ制度おかしくね?』という声が出始めたようで、NASCARは現在のプレイオフ制度に何らかの変更を加えるべきか検討作業に入ったと報じられています。そもそもプレイオフ制度ができた発端は2003年にマット ケンゼスが安定感を武器に1勝でチャンピオンを獲ったことに『3勝してるジョンソンたちや、8勝もしたライアン ニューマンより上っておかしくね?』的意見があったことから捻り出されましたが、ひょっとして歴史は繰り返すんでしょうか。日本でもベイスターズが日本一になって『リーグ3位で勝率5割そこそこが日本一っておかしくね?』的議論が再燃していると思うので、やっぱりロガーノとベイスターズは似てますね(え)
 何はともあれ、史上最も憎たらしくて笑顔がくどい3タイムチャンピオン誕生おめでとうございます(誉め言葉?)、最終戦で全てが決まる仕組みを作って、その最後の10周に凝縮され、2つの個性がぶつかりあってフェアーな争いで決着が付いたわけですから、もう私には2024年のシーズンに何の思い残しもございません、今年ほど濃密なプレイオフってそうそう無いと思います。素晴らしいシーズンでした。レースの終盤、残り15周あたりで実況のリー ディフィーが

「とんでもない争いです、36戦に渡るポイントレースの最終決戦。全米を転戦してきました。ロード コース、市街地コース、ショート トラック、インターミディエイト、スーパー スピードウェイ。今シーズンの結末は、2人のチームメイトによる2秒以下の争いです。」

と語っていましたが、なんか本当にデイトナからの36戦がこの一瞬に全て注ぎ込まれるような言葉でチェッカーを迎える前からジーンとしていました。ブレイニーが逆転すると信じていたので「あ~~~~~~、届かんかった~~!」と言いつつあまりのすごいレースにちょっと涙が出てきました。なかなかこんなシーズンもう一度やれと言われてもできないし、マンガで自由に書けと言われてもこんなに面白くはならないと思います。カール エドワーズやニコ ロズベルグが突然燃え尽きて引退した理由は観戦してるだけでもちょっと分かりますよね、これをまた翌年にイチから組み立てていくのって、ちょっともう途方もない作業に思えて考えられなくなります。というかディフィーが実況するようになってから全レース劇的な気がするので大混戦の要因は実は実況ではないかと疑ってるんですがw

 もちろん私はNASCARファンを引退するつもりはさらさらございませんので、また来年の2月からを楽しみにしたいと思います。今シーズンもお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。当分は裁判が一番の面白ポイントでしょうかね()

コメント

カイル・プッシュ さんのコメント…
ベイスタ、ではなくロガーノさん、おめでとうございます。レディックやバイロンがチャンピオンになってくれた方が嬉しかったのですが、ロガーノがチャンピオンになっちゃいましたね。
ロガーノが3度目のチャンピオンと聞いて思うことは2つです。
ひとつは、ハムリンのことです。あれだけの実績がありながら、まだチャンピオンになってないんですよね。ロガーノ3回、ハムリン0回。ツキの問題なのかツメの問題なのか。いずれにしてもハムリンが不憫です。
もうひとつは、プレイオフ制度のこと。主さんも書いておられましたが、疑問を感じますよね。レギュラーシーズンチャンピオンの影がこんなに薄いシリーズは他にないと思いますし、バラエティクイズ番組の、「最後の問題は得点が100倍!」でチャンピオンが決まるみたいな印象です。

ともあれ、今年のシリーズは終わっちゃいましたね。
今年も1年、情報をありがとうございました。
25シーズンのオープニングレースで45や23が走っていることを祈ってます。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 今年のハムリンに関してはTRDのエンジン管理ミスと、あとはリッチモンドでディロンダブル撃墜の被害に遭って無ければ単純計算でチャンピオンシップには残っていたと思うので運が悪かったのかなあという印象です。
ロガーノとペンスキーは不利な状況でひっくり返そうとする思い切りや見極め、抽象的な表現で言うと勝負勘が鋭いのもあると思います。
首跡 さんの投稿…
3 Times Champion, Joseph Thomas Logano!
ボウマン失格による繰り上がりはあったものの、「適切なタイミングで最高の結果を出す」そういった勝負強さは一番だったと思います。
参謀ポール ウルフに、勝負師ロガーノ、今季の2人は見事でした。

プレイオフでは苦戦したレディックですが、全体的には良いシーズンでした。
ブッシャーへの壁ドン、満身創痍で走ったダーリントン、ホームステッドでの逆転勝利など、記憶に残る場面を何度も魅せてくれました。
NASCARと23XIの動向が気がかりですが、来年の活躍を祈りつつ、モンスターエナジーをがぶ飲みしながら2月の前哨戦を待ちます(^^)
日日不穏日記 さんの投稿…
遅くなりました。先週が農業ボランティアの疲れがあってか、階段を落ち、左足の指の爪を割って、血まみれで靴下を脱げない状態に。昨日もボランティアで終日潰れ、今日、ようやく観戦記を書きました。ペンスキー3連覇ですね。ロガーノは史上10人目の3度のチャンピオン。草創期のリー・ペティを始め、ピアソン、ウォルトリップ、ヤーボロー、スチュワートと並ぶ快挙です。アンチではありますが、ラストリスタートの4台抜きをした走りには度肝を抜かれました。何だかんだでペンスキーはファイナルに合わせてきます。カイルは優勝出来ませんでしたが、来シーズンをラストイヤーと割り切り、応援します。ロガーノの優勝は36回で、ピアソン、ヤーボロー、ウォルトリップが勝利を重ねていたのと比べれば、見劣りしますし、父ペティが54勝、スチュワートが49勝なので、今のプレーオフフォーマットを一番うまく使っているドライバーかもしれません。ボビー・アリソンは1937年12月生まれ、7月生まれのキングがマーティンズビルでスタートコマンド、ラスベガスとこのレースで2月生まれのロジャー御大が元気な姿を見せてました。長生きして欲しいものです。YouTubeでの動画配信があれば、観戦記を書き続けたいと思います。話は逸れますが、F1の角田、ローソンがCOTA(オースティンとキャプションがあります)?レッドブル・モータースポーツのチャンネルでダートオーバルでバトルしてます。もし見てないのでしたら、お勧めです(F1 Drivers vs NASCAR Challenge)。ギスバーゲンがいて面白いです。https://www.youtube.com/watch?v=O0UYl3Qh6Is&list=LL&index=3&t=2s 今週はラスベガスなんですね。納得しました。僕はオールガイヤーではなく、右京さんと同い年です(ドヤッ)、自慢になりませんが。それではまた。
SCfromLA さんの投稿…
>首跡さん

 最終戦で競争の輪に入れないとなんか力不足感が強くなりますけど、レディックはレギュラーシーズン王者でトヨタ勢唯一のファイナリストですから誇るべきシーズン、これから来る時代の第一歩と考えると期待しか残らないですね(^_^)
でもモンスターエナジーはがぶ飲みしないでくださいw
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 ぎょええ、お大事に。早速動画を見てみましたけどレッドブルがサポートするストックカー選手がギスバーゲンとジリッシュぐらいしかいないからあの人選になったんだなあと思いました。ちゃんと見せ場を作ってて面白かったですw
 カイルがオリンピック休み明けに見えた復調の兆しからなんか最後はまた尻すぼみだったのがやや気になりましたけど、勝負に余計な水を差さなかっただけだと思い込むことにして来年を待ちたいと思います!
Cherry さんのコメント…
最後はロガーノが持ってっちゃいましたねw個人的には推しの同期派生で応援してるブレイニーの連覇を望んでましたが…
いろんなデータを見るとまさしく現行ルールのプレイオフが機能しなくなってきてる時代がそろそろ来てる感じはしますね…実際、チェイスのようにしれっと自身のチャンピオン年とほぼ同じAve.Finをしてるけど1勝みたいなケンゼスムーブをしている人は脱落していますが、パフォーマンスが微妙なことが多かったロガーノのようにタイミング良く勝ってかっさらう系は対策できないでしょうし。まあ勝てれば実力だって思うので別に自分として納得してますが。ただ極端な例でオーバータイムのレースが連発して、それをするたびにヘムリックが勝ってファイナルラウンドに来ちゃったみたいなことが起きえるってことですし…(ヘムリックファンすまそ)
個人的に何回も言ってますが来年のRo8にタラデガがいる時点で1人くらいお前運枠だろそれっていうFinal4が出てきそうなのがまた来年も炎上する起因になる気がしますが……
アールグレイ さんの投稿…
エクスフィニィティーはSHRラストレースで見事ハーブストが勝ってくれましたね。
23XIのチャーター問題で来年のシートの心配はありますが、SHRでの4年間は大きく成長出来たのではないかと思います。
オールガイアーもやっとのチャンピオン獲得で来年も自らの活躍は勿論のこと、チームメイトもスミス、クヴァピル、ジリッシュとルーキー2人を含む若手ドライバーを引っ張って行く立場にも期待したいです。

ペンスキーはこれで3年連続チャンピオンチームになりましたが、1-2で決めるという最高の形で飾りましたね。
提携先のウッドブラザーズはバートンによる久しぶりの勝利がありましたし、FRMはマクドウェルが今シーズン最多の6ポールを記録するなど周りも良い環境でシーズンを終えられたのではないかと感じます。
今回のロガーノのチャンピオンは幸運に恵まれた感じはありますが、それでも最後ブレイニーを抑えた事で、まだまだこのチームのエースは譲らないことを証明できたのかなと。

フォード勢が5月まで勝てなかった事や、ロガーノのプレイオフ脱落の危機など色々なことを乗り越えての戴冠は大きいでしょう。
他にもチームはカップ戦通算150勝、チーム(ラスティ・ウォレスの時代以前にも、70年代に参戦していたんですね)と22号車の大先輩ボビー・アリソンに捧げるメモリアル勝利になったのも良かったです。
ロジャー・ペンスキーオーナーも87歳ですが、これからもNASCAR、インディカー、WECなど色々なカテゴリーでタイトルを取っていくと思うと、まだまだ物語は終わらないでしょう。

そして色々な物がラストレースになりましたね。
スキームが見られる機会は減りましたがハムリン車に19年間スポンサーしてくれたフェデックス、自らの怪我やスプリントカーレースでの死亡事故など大変なことがありましたがそれでも16年間オーナーを務めたトニー、ラスト2レースでポールを獲るなどまだまだ出来ることを見せてくれたトゥレックスjr(カップデビュー時のスキームを復刻していましたが赤だったんですね)ありがとう!

来年はボウマングレイでのクラッシュやメキシコ開催、そしてオープンチームになってしまった23XIとフロントロウは全戦予選通過できるのかも注目したいです。(ほぼ大丈夫でしょうが、デイトナ500やロードコース戦には気をつけたい所です)

ブログ主さんも今年も色々なカテゴリーの情報をありがとうございました。
F1はまだしも、SUPERGTがまだ最終戦が残ってるのが不思議な感じがありますがw
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 なんというか、他のどのドライバーよりも「ロガーノが持って行く」ことのインパクトというか、マジかロガーノか~!みたいな彼のキャラクターが生み出す印象みたいなものありますよねw
 タラデガはどちらかというと失うものが無いノンコンテンダーが勝つ可能性が高い気がするので「お前運だろ枠」はそこまで可能性が高くないかもと思ってるんですが、むしろどうでも良いしょうもない事故に巻き込まれたコンテンダーがファイナル4を逃す「あなた運が悪すぎましたね枠」の方が現実的に可能性高そうで心配だったりします^^;
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 私の知らない細かい情報を今年もありがとうございました。トゥルーエックスは後から考えたら、最後ぐらいちょっと目立ちたいからセッティングを予選に思いっきり振って開き直ったのかなという気もするんですが、肩の荷を下ろして来年のスポット参戦でもまた魅せてもらえたらなあと思います。
 そんなトゥルーエックスも、フェデックスもSHRも、なんとなく2000年代真ん中ぐらいから20年ほど続いてきたものが去って行って、チャーター制度の節目の2025年がたまたま全体としても何か新しい章の始まる区切りになった印象を受けます。
 経済的には自動車業界にちょっと逆風が吹き始めているので、とりあえずこの状況下でNASCARが今の勢いを保ち盛り上げていけるのか、最初の1~2年はけっこう大事かもしれません。そこに法廷闘争という課題がいきなり横たわっているのはお互いあまり得しないので早く解決して欲しいんですが・・・
レリックアース さんのコメント…
ご無沙汰しております。ディロン大立ち回りのリッチモンドあたりから自分のスマホでのコメント投稿が出来なくなっておりました(たぶんクッキーが悪さをしているっぽいのですがなにやっても解決しないので諦めてこのコメントはネカフェで書いていますw)が記事の方は毎回楽しく拝見させていただいておりました。

さて本題ですが、ロガーノさんやってくれました!正直シーズン中盤まではタイトルどころかプレーオフ進出自体も心配になるくらいでしたが、プレーオフに入ってからは一度落ちたところから救われた事とかもありつつ、巡ってきた勝つチャンスを全てものにして結局はラーソンの6勝に次ぐ4勝をあげての戴冠ですから(他のスタッツがことごとく酷いので)色々言われていますが逆に言えば史上最も効率よく獲ったタイトルと言えるのではないでしょうか。
ロガーノと言えば3回のタイトル獲得時は3勝4勝4勝で戴冠なので勝つべき時にだけ勝つ勝負強さが最大の武器かなと認識していますが、これは本人のキャリアハイである6勝をあげながら勝利とともに不要な敵まで量産した結果最後は撃墜されそこから立ち直れずにファイナル4にすら残れなかった15年が相当薬として効いていてシーズン全体の戦い方をモデルチェンジしたのかなと考察していますし、本人は思い出したくもないでしょうがあのシーズンをキャリアの早い段階で経験したことは後々になって大きな意味をもっている気がします(余談ですが今のレースやシーズンの戦い方があまりにも大ベテランの風格を醸し出しているので、まだ34歳って聞くと一瞬脳が混乱しますw)

また話題になっているプレーオフフォーマットですが、なにがどうあろうと最終戦で一番前のドライバーがチャンピオンというのは非常にわかりやすいですし、これは他のメジャーカテゴリーにはない唯一無二の魅力だと思っているので(かなりの確率でガラガラポンになるタラデガが最終盤に入っていたりと)細かいところに議論の余地はあるもののあまり大きく変える必要はないのかなと思っています(念のためですがこれは推しがタイトルを獲ったからとかではなく元々この意見ですw)

そしてトゥレックスひとまずお疲れ様でした。順位操作事件でキャリアを棒に振りかけたところからシングルカー体制のファニチャーロウと共にチャンピオンにまで駆け上がった物語はもっと語られてもいいと思っていますし、最後の2戦を見てもスピードそのものが衰えたっていうよりはシーズンやレースを戦うスタミナが問題になったのかなと考えているので、またスポットでたまに出てきて上位を走ってくれたら嬉しいです。
SCfromLA さんの投稿…
>レリックアースさん

 あらら投稿できなくなってましたか、なんかちょいちょいBloggerも見えない仕様変更みたいなのがあるから何か影響してるかもしれませんね。
 ロガーノアンチばかりでなくロガーノ推しもいる常連さんの多様性がなかなか素晴らしいなと勝手に感心していますが、今年の戦い方を見ても正面から勝負したら分が悪いのを自覚した上で、じゃあどうやったら勝負になるのか、というのを大事な場面で機能させた点でクルーチーフ共々経験の多さを最大限活かした印象はありますね。
 NASCARもこの制度を根本から変更することはまあしないと思うので微調整レベルだと思いますが、あるとしたら優勝でのプレイオフポイントを1~2点増やすとか、ファイナル4も5000点一律をやめてに最大5点ぐらいのボーナスを持たせた状態にするとか、そんな程度かなあと想像しています。