NASCAR Cup Series
ハムリンとトゥルーエックスがヤバい、以上!ブリストルがプレイオフの3戦目で開催されるのはこれで5年連続5回目、過去4回のレースで優勝したケビン ハービック、ラーソン、ブッシャー、ハムリンの4人は既に次ラウンド進出を決めていたり、レース中にポイントでの進出が決まったり、そもそもコンテンダーでなかったので、『このレースで勝ったことで次ラウンド進出を決めた』という事例はありません。
なお、今年もまたブリストルにスポット参戦し見事7位で終えたデイル アーンハート ジュニアですが、来年はエクスフィニティーに出場する予定が今のところないとレース前の段階で語りました。ただ完全に引退ではないし、チームとして必要性が生じれば喜んで協力するとのことです。
残り100周を切るとトゥルーエックスの背後にラーソンの姿、こんなレース終盤で周回遅れになったらもう本当に終わりなのでトゥルーエックスは必死に抵抗します。ラーソンも2位と3秒以上離れていて余裕があるのでかなりフェアーに争ってくれ、おかげで15周ほど粘り続けていましたが、最後は周回遅れのジョッシュ ビリッキーに引っかかって撃沈しました。今すぐコーションが出たらせめてフリーパスが!なんて希望的観測も残念ながら叶いませんでした。
ラーソンが周回遅れを抜く時以外は全然テレビに映らず、注目されたのがスアレスとギブスの争い。この段階で脱落圏にいるものの比較的調子が良いギブス君はさらに順位を上げたいところですが、それを3周遅れのスアレスが阻止します。スアレス自身は自力で抜ける相手が極めて限られていますが、ギブスの進行を阻止していれば今の選手権順位を守って生き残れるので大きな意味があります。30位が8位を抑える光景ってさすがになかなか見かけない光景ですね。
たぶん日本だとあり得ない、レース後のパフォーマンスに息子同乗。オーウェン "ミヤタ" ラーソンですね。2位にチェイス、3位はプレイオフ選手ではないウォーレス、契約延長に御礼のトップ3フィニッシュとでも表現しましょうか。ハムリン、ベル、ブレイニーと続き、7位にはライアン プリース。ブリスコー、ボウマン、チャステインのトップ10でした。18位スタートのマクダウルがここ4回のブリストルで3度目となる11位を獲得、最近コツを掴んだのか非常に相性がよくなっています。
このレース24位だったトゥルーエックス、結果から見ると生き残るには5位以内が最低条件という感じでしたが速度違反で自滅していなければ2位でリスタートできたわけですからあまりにもったいないミスでした、引退シーズンに無念です。ギブスも速度違反なく上位で戦えていたら残れたかもしれないですね。
ラーソンが今回の完全勝利でプレイオフポイント7点を稼いだので大きな貯金でスタート、1戦ぐらい別のレースに出て休んでも大丈夫かもしれません()。シンドリックはプレイオフポイントが少ないので、せっかく前ラウンドで最終結果6位でも無慈悲に当落線下の9位スタートです。次ラウンドの開催トラックは
Bass Pro Shops Night Race
Bristol Motor Speedway 0.533miles×500Laps(125/125/250)=266.5miles
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/HendrickCars.com Chevrolet Camaro ZL1)
さあ今年のNASCARカップシリーズもプレイオフ最初の脱落レース、ブリストルにやってきました。お馴染み0.533マイルのコンクリート舗装、一発リタイア級のクラッシュも起こりやすく、周回遅れとの接触・貰い事故など落とし穴も非常に多いためプレイオフ選手は最後の最後まで油断できません。レース前の段階でのプレイオフ順位を確認すると、
ハムリンとトゥルーエックスがヤバい、以上!ブリストルがプレイオフの3戦目で開催されるのはこれで5年連続5回目、過去4回のレースで優勝したケビン ハービック、ラーソン、ブッシャー、ハムリンの4人は既に次ラウンド進出を決めていたり、レース中にポイントでの進出が決まったり、そもそもコンテンダーでなかったので、『このレースで勝ったことで次ラウンド進出を決めた』という事例はありません。
ブリストルの現役最多勝利はカイルの8勝ですが最後に勝ったのは2019年。昨年のこのレースの勝者はさっきも出た通りハムリンで、今年の春のブリストルでも勝っているので現在ブリストル2連勝中、通算4勝。ハムリンは平均順位でもブリストルに5戦以上出場している現役選手の中では3番目に成績が良いので、ポイント13位から抜け出して生き残るには好材料が揃っています。
その春のブリストルではタイヤが異常に摩耗するという全く想定していなかった問題が発生しレースが大混乱になりました。そこでNASCARとグッドイヤーは7月にテストを行い原因を解明、レース開催当時も言われていたことですが、内側のラインのグリップ力を向上させうための化学成分として従来の PJ1 ではなく ザ レジン という化合物を用いたことが影響した可能性が高いと改めて判断されました。
じゃあ今回は元のPJ1に戻すのね、と思ったらそうではなく、タイヤが摩耗しまくるレースは結構評判がよかった、とのことで春と同じレジンを採用しタイヤも同じものを使用します。チームとドライバーはタイヤをいかに摩耗させずに上手く走らせるかが非常に重要となります。そこをうまく切り抜けて優勝したハムリンはやり方を知っているはずなのでその点も有利でしょうか。ただ、異常摩耗の要因の1つはおそらく路面温度が低すぎて表面のゴムが溶けなかったことで、実際テスト走行では異常摩耗は起きていないようですから今回も起きない気はします。
・レース前の話題
23XIレーシングがウォーレスと複数年の契約延長で合意したことを発表しました。でも23XIはレース参戦の前提条件となるであろうNASCARとの新たなチャーター契約には合意していないままのはずですから、現状ウォーレスは契約チームがあるけどそのチームが来年レースに出ているか分からない、というちょっと謎の状態になっています。いや、さすがにこのまま撤退とはならないだろうけど。
そして来年ではなく今すぐの契約の話題も飛び込みました、なんとラジョーイとジャスティン ヘイリーがこのレースを終えると『トレード』されることになり、次戦のカンザスからラジョーイがリック ウェアー レーシングへ、ヘイリーがスパイアー モータースポーツへと電撃移籍します。2人の選手がシーズン中に所属を入れ替えるというのはNASCARどころかモータースポーツ界でも極めて稀ですが、どうやらRWRの社長・ロビー ベントンとスパイアーの共同オーナー・ジェフ ディッカーソンの間で色々やり取りしているうちに『36時間のうちに事が運んだ』そうで、本当に急に決まったみたいです。
今季RWRに加入したばかりのヘイリー、チームがRFKレーシングと提携を強化したこともあって時折良いレースを見せてはいましたが、どうやら移籍を希望していた様子。スパイアーはラジョーイに代わって来年からヘイリーを獲得する方向性に進んでいたため、話を詰めていく中で来年を待たずに今動くことに決まったようです。モータースポーツの場合スポンサー契約が色々とあるので単純に選手を入れ替えたら済む話ではないですが、それを乗り越えたというのが驚きです。
また、このヘイリーの移籍にはヘンドリックが関わっているとの噂もあります。ヘンドリックはボウマンの成績がどうも上向かないために、F1のペレスやリカードと同様に『クビになるのでは』説がまことしやかに流れています。そんなヘンドリックがボウマンがダメな場合の後任候補としてヘイリーを見ているらしく、スパイアーがヘイリー獲得に動いたのも協力関係にあるヘンドリックの意向がいくらか影響しているのではないか、との噂。実際、RFKのオーナーであるケゼロウスキーはヘイリーの契約について記者に尋ねられ「ヘンドリックのオファーには太刀打ちできない」という趣旨の発言をしたとされています。まあでもボウマンはこう言うでしょう、「僕には契約がある。」とね。
契約の話をもう1つ、現在プレイオフを戦っているバートン。残念ながら今季限りでウッド ブラザーズ レーシングを離れることが既に決まっていますが、来季はAM レーシングからエクスフィニティーにフル参戦することが発表されました。AMレーシングはNo.15のフォード マスタングで参戦し、今年はヘイリー ディーガンを起用していましたが成績がなかなか伴わない中で第17戦を最後になんと契約を解除し、以後は複数のドライバーが起用されていました。
・ARCA Menards Series Bush’s Beans 200
豆の缶詰で最大手と思われるブッシュズ ビーンズが冠スポンサーのARCA、序盤はジリッシュとサワリッチが優勝争いを展開しましたが、ジリッシュは63周目に周回遅れのスピンを避けられず車が大破してリタイア。以降はサワリッチとランドン ルイスの優勝争いとなりますが、まあ何せあっちこっち事故だらけで計13回もコーションが出ました。ルイスは167周目までの合計80周のリードを記録したものの、168周目に前に出たサワリッチが最後はオーバータイムを制して今季8勝目。また並行エントリーとなるARCA Menards Series Eastではこのレース結果をもって2年連続でのチャンピオンが決定しました。
・Craftsman Truck Series Unoh 200 presented by Ohio Logistics
おそるべしジリッシュ、このレースにもスポット参戦してポールを獲得。決勝も最初の41周をリードしましたがさすがにトラックの実力者相手にそう簡単には行かず、5位を走っていたステージ2最終周にはニック サンチェスに押されてスピンし最終的に19位でした。
その後はプレイオフ選手のコリー ハイムとラジャ カルースが優勝争いを展開していましたが、ここに18位スタートの伏兵・レイン リッグスが登場。前戦ミルウォーキーで初勝利を挙げたばかりの22歳が121周目にハイムからリードを奪いそのまま優勝。第14戦まではトップ5フィニッシュが2回だけ、選手権順位17位で全くプレイオフに届かなかったものが、その後の4戦は全てトップ5で2連勝。驚くべき進歩に本人も手ごたえを感じているようです。
2戦続けてプレイオフ選手は優勝できなかったわけですが、このレースを終えてポイントでハイム、ニック サンチェス、クリスチャン エッケスの3人は次ラウンド進出が決まりました。
・Xfinity Series Food City 300
エクスフィニティーはこれがレギュラー シーズン最終戦。ポイント リーダーの"コンクリート王"・オールガイアーが予選2位から序盤を全周リードして優位に進めたものの、52周目にクラッシュした周回遅れの巻き添えで後ろのバンパーを破損。その後フレームむき出し状態でも上位へと戻りますが、ステージ2・153周目にこれまた前方の争いのややとばっちりでクラッシュ。完全に歯車が狂ったオールガイアー、修復作業で使用していた電動工具を車の下に挟んだままピットを出てペナルティーを食らい、ちゃんと修理できてないから遅いわ火花は散らすわパンクしてまたスピンするわの酷いレースで30位に終わります。
この状況で幸運が舞い込んだのがポイント2位のコール カスターでした。2周目にオールガイアーの背後で壁にぶつけてパンクし早々に大失敗した彼でしたが、その後は荒れたレース展開が味方。209周目にクリードからリードを奪うとそのまま逃げ切り今季2勝目を挙げるとともに、なんとレース前には43点もあったオールガイアーとの点数差をひっくり返して僅か3点差でレギュラーシーズンのチャンピオンを獲得しました。
なお、今年もまたブリストルにスポット参戦し見事7位で終えたデイル アーンハート ジュニアですが、来年はエクスフィニティーに出場する予定が今のところないとレース前の段階で語りました。ただ完全に引退ではないし、チームとして必要性が生じれば喜んで協力するとのことです。
・カップシリーズ
予選
カップの予選、こちらもコンクリートではけっこう強いボウマンが今季初のブッシュライトポールを獲得、クビ論者に待ったをかけました。2位にラーソン、3位バイロンとヘンドリックが予選トップ3を占めます。4位からトゥルーエックス、ブリスコー、ベルとプレイオフ選手が続き、7位にはなんと先週の殊勲者・ホースバー。ハムリンが8位、スパイアーで最後のレースとなるラジョーイが奮闘し9位、チェイスが10位でした。
・ステージ1
5周目にジョン ハンター ネメチェックのスピンで早々に1回目のコーションが発生しますが、それ以外はわりと穏やか。スタートからリードを守っていたボウマンを33周目にラーソンがかわし、その後は独走。周回遅れが出てくるとそれなりに引っかかるのがブリストルのはずですが、周回遅れがわりとみんなばらけているせいかラーソンは周回遅れを抜きつつも少しずつボウマンを引き離しました。
この間、プレイオフ選手ではスアレス、バートン、ケゼロウスキーが周回遅れに転落。ケゼロウスキーは元々当落線から離れた順位で全然速くも無いのでかなり絶望的、スアレスもかなりの余裕を持ってここに来たとはいえ30位あたりしか走れずかなり危ない戦いです。
タイヤの異常摩耗も見られずステージ1の125周はそのままあっという間に終了、ラーソンが今季11度目のステージ勝利を挙げ、ボウマン、ベル、トゥルーエックス、バイロン、ハムリン、ブリスコー、ギブス、チェイスと上位9人はプレイオフ選手でした。
・ステージ2
引き続きリーダーはラーソン、ピットで順位を1つ上げたベルがそのまま2位で続きます。ステージ間コーションで大打撃を食らったのはギブスで、ブリストル特有のピットの構造に足を掬われて速度違反ペナルティー、隊列最後尾リスタートとなります。
ここもラーソンが反則の速さを披露、周回遅れがありながらベルに対して常に0.8~1.5秒ほどの差を付けて近寄れる雰囲気がありません。逆にベルはステージ中盤になると3位のハムリン先輩にしつこく狙われるようになり、237周目にとうとう抜かれました。そして同じころ、バートンがパワー ステアリングの不具合でピット裏のガレージへ。元々ポイント的にも順位的にももうダメっぽかったですが、これでとどめをさされました。頑張って修理して戻ったバートンでしたが最終的に78周遅れの35位でした。
そのままステージ2も平穏に終わると思いきやステージ残り8周、ロガーノが周回遅れに詰まったところを後ろからラジョーイに押されてクラッシュ。これでリードラップ車両はピットに飛び込み、おかげで周回遅れだったスアレスはウエイブ アラウンドの機会を手にしました。ただこれで2周遅れが1周遅れになっただけ、まだリードラップではありません^^;
1周遅れのケゼロウスキーもウエイブアラウンドでリードラップに戻りたかったんですが、なんとレディックだけがステイアウトしたので後ろにいた彼はウエイブアラウンドできませんでした(T T)
249周目、ステージ残り2周でリスタート。ステイアウトしたレディックのこの2周の動きは万一オーバータイムがあった際に参考になります。レディックはリスタートしてターン1つで3位に落ちましたがその後は外ラインでなんとか粘りました。ステージ2も勝者はラーソンで2位にトゥルーエックス。ハムリンが3位でレディックはステージ4位となりましたが、実は最後にちょっと緩めてハムリンに1点プレゼントしたようです。
・ファイナル ステージ
上位勢は当然ながらピットには入らずリスタート、今回もラーソンが快走、ここでの2位はトゥルーエックス。プレイオフ バブルの1人・ブリスコーはここまでトップ10圏内を走り続けて力を見せますが、レース序盤から右側の電子ミラーが壊れて見えていない上に、ここに来てブレーキの電動ファンに起因しているとみられる発煙も起きているようで電源入れるなと言われています。電装系どうなっとるんだw
相変わらず速いラーソン、ものの50周でスアレスはまた周回遅れにされて2周遅れに逆戻り。追いかけるトゥルーエックスの方はアジャストがややタイトへ振りすぎたのか徐々にペースが落ちてラーソンから3秒差、自分の後ろに渋滞が発生してしまいます。ステージ2までのポイントを加算して、今の2位でレースを終えたとしてもなお当落線ギリギリのトゥルーエックス、後ろで詰まってる人たちに抜かれたら大惨事です。絶体絶命とも言える状況でしたが、
329周目、ここまで11位を走って健闘していたラジョーイが後ろから押されてクラッシュ。ラジョーイはスパイアー最後のレースに好結果をプレゼントするはずが、トゥルーエックスに休憩時間をプレゼントしてしまいました。ラジョーイはこれでリタイアし35位でレースを終えています。
このコーションで残りが160周ほどとなりますので、リードラップ車両は最後のつもりでピットに入ります。が、一息つくはずのトゥルーエックスがまさかの速度違反で最後尾ペナルティーを受けました。一瞬気が抜けたわけではないでしょうが致命的、意気消沈したように無線で一言「すまん。。。」
338周目/残り163周でリスタート、2番手からリスタートしたハムリンですが長距離を想定してタイヤ内圧を低めにしているのか勢いが無く、2列目からリスタートしたチェイスに華麗に外から抜かれてしまいます。チェイスは予選10位からすごくコツコツと来た印象です。
そんな目立たないチェイスですがラーソンを追いかける速さはさすがに無くてまたもやラーソン独走。プレイオフ争いではさっき速度違反したトゥルーエックスが20位以下から戻って来れなくて苦戦する一方、複数のコーションが味方してギブスはトップ10圏に復活。ハムリン、ブリスコー、ギブス、スアレスの4人が当落線近辺で接戦となっています。ただ、スアレスは3周遅れで自力ではほとんど順位の上下動が無いので選手権順位は他人任せ。トゥルーエックスは上位に戻らない限り勝負権がない状態です。
残り100周を切るとトゥルーエックスの背後にラーソンの姿、こんなレース終盤で周回遅れになったらもう本当に終わりなのでトゥルーエックスは必死に抵抗します。ラーソンも2位と3秒以上離れていて余裕があるのでかなりフェアーに争ってくれ、おかげで15周ほど粘り続けていましたが、最後は周回遅れのジョッシュ ビリッキーに引っかかって撃沈しました。今すぐコーションが出たらせめてフリーパスが!なんて希望的観測も残念ながら叶いませんでした。
ラーソンが周回遅れを抜く時以外は全然テレビに映らず、注目されたのがスアレスとギブスの争い。この段階で脱落圏にいるものの比較的調子が良いギブス君はさらに順位を上げたいところですが、それを3周遅れのスアレスが阻止します。スアレス自身は自力で抜ける相手が極めて限られていますが、ギブスの進行を阻止していれば今の選手権順位を守って生き残れるので大きな意味があります。30位が8位を抑える光景ってさすがになかなか見かけない光景ですね。
スアレスはここに来てちょっと車が良くなってきたのかまあまあの速さがあり、外側を走っている限りギブスは全く抜くことができませんでした。延々これを続けていたらギブスの方がタイヤを使いすぎたのか後退していき、ギブスのファンは怒るでしょうがスアレスは今ある手段で全力で死守して次ラウンド進出を手繰り寄せました。
まあでもブリストルやからまだ何か起きるやろう、という期待は見事に裏切られました。ラーソンはチェイスに4秒以上の大差を付けて独走し、安全圏にいるコンテンダーはもうレースに変な変動を与えたくないのでおそらく危険を避けて慎重に運転。結果全くコーションが出ないままホワイト フラッグを迎え、そのままラーソンが何事もなく最初にチェッカーを受けました。500周のうちなんと462周でリードを記録、ブリストルでは1977年にケイル ヤーボローが495周のリードを記録して以来となる数字でした。
たぶん日本だとあり得ない、レース後のパフォーマンスに息子同乗。オーウェン "ミヤタ" ラーソンですね。2位にチェイス、3位はプレイオフ選手ではないウォーレス、契約延長に御礼のトップ3フィニッシュとでも表現しましょうか。ハムリン、ベル、ブレイニーと続き、7位にはライアン プリース。ブリスコー、ボウマン、チャステインのトップ10でした。18位スタートのマクダウルがここ4回のブリストルで3度目となる11位を獲得、最近コツを掴んだのか非常に相性がよくなっています。
で、プレイオフ争いは結局さっきのキャプチャー画のままで決着、脱落したのはギブス、トゥルーエックス、ケゼロウスキー、バートンの4人でした。プレイオフ選手の中で未勝利だったトゥルーエックスとギブスが消えたため、残る12人は全員が今シーズン1勝以上している選手たちとなりました。最終的な結果がこちら。
このレース24位だったトゥルーエックス、結果から見ると生き残るには5位以内が最低条件という感じでしたが速度違反で自滅していなければ2位でリスタートできたわけですからあまりにもったいないミスでした、引退シーズンに無念です。ギブスも速度違反なく上位で戦えていたら残れたかもしれないですね。
バイロンは終始ハンドリングが悪いので順位が上がらずかなり点数を気にしていたようで、クルーチーフからは大丈夫だから堅実に行くようになだめられていました。ハムリンもなんとか命拾いしました。そしてこれがラウンドオブ12になると3000+プレイオフポイントにリセットされてこの順位で始まります。
ラーソンが今回の完全勝利でプレイオフポイント7点を稼いだので大きな貯金でスタート、1戦ぐらい別のレースに出て休んでも大丈夫かもしれません()。シンドリックはプレイオフポイントが少ないので、せっかく前ラウンドで最終結果6位でも無慈悲に当落線下の9位スタートです。次ラウンドの開催トラックは
・普通の1.5マイル・カンザス
・一番ヤバい場所・タラデガ
・プレイオフ2度目のロードコース・シャーロット-ローバル
まあとにかくタラデガが鍵でしょう、ドラフティングトラックでステージポイントを集めるとかなり楽に戦えることはこのラウンドのシンドリックとスアレスが見せてくれました。逆から言うとそこにしか勝利への道が見えてこない、となったらステージポイントの段階から結構順位争いが起きてしまうので、よそ見せずに見た方が良いかもしれません。ペンスキーは仲間で結束して1-2-3を取りに行くのはわりとやってくるので、ペンスキーの位置取りは注目でしょうね。
2週間先のタラデガはさておき、今回のブリストルはすごく大人しいレースとなりました。最後のグリーン フラッグ ランは163周、昨年も131周していて過去20年間で最長だったんですが、さらにこれを上回りました。レース時間 2時間37分53秒は500周のブリストルとしては史上最短で、平均時速は101.277mphでした。ブリストルの平均時速が100mphを超えるのは上述のヤーボローが独走したレース以来で史上3度目でした(いずれもRacingReference.info、およびWikipediaの情報を自分で目を皿のようにして見たズラスポーツ調べ)。なお、意外ですがブリストルでは過去のカップシリーズでオーバータイムのレースというのが無く、全てちゃんと既定の周回数で終わっています。
想像するに要因は2つ。1つ目はタイヤの問題で、テストで異常摩耗は起きなかったとはいえ、実際走ってみたらどうなるのかが分からないのでどのドライバーもかなり慎重に摩耗を気にして走ったと思われます。NASCARの競技部門担当上級副社長・エルトン ソイヤーは
「春から、ショートトラックレースで求めていたもの、つまりタイヤ管理をドライバーの手に取り戻すというレシピが手に入ったと感じています。年間を通じて素晴らしいレースがいくつかありました。リッチモンドが思い浮かびます。ちょうど1週間前のワトキンスグレンではタイヤが大きく落ちました。ですからブリストルに到着したとき、同じようなレースが見られるだろうと期待していました。」
と、何も起きずにいささかがっかりした模様。NASCARがタイヤ摩耗を呼ぼうと仕組んだルールというのは、えてして各陣営が慎重に走って何も起きないレースを生む、というのは過去にも経験済みですし、そもそも路面温度が高いとたぶん同じ問題は起きないと考えられます。ソイヤーは
「ファンの皆さんには会社としてがっかりさせてしまいましたが、そこから学び、何が起こったのかを解明し、今後修正していきます。」
と話しましたが、偶然起きたタイヤの異常摩耗にエンタメ要素を頼るのがそもそも間違ってる気がしますね・・・
2つ目の何も起きなかった要因は、プレイオフ選手は当落線の数名を除いてじゅうぶんな点差があったので、いらんことをして一発リタイアやバーストだけは絶対に起こしたくないのでより一層慎重・安全に走ったことにあると思います。方や当落線の選手はというと上位戦線にいたのは最終的にハムリンだけで、展開的に最後は安全走行こそが最善の道。スアレスは周回遅れでできることがないし、ケゼロウスキーは勝負できる車に程遠かったので無茶してでも順位を上げたいのはトゥルーエックスとギブスだけ。トゥルーエックスがギリギリの順位を争っていたら何かあったかもしれませんが、速度違反で自滅した時点でその芽もなくなり、そうなったことで当落線上の人ですら「何も起こさず帰ってくる」にさらに進んでしまった印象です。
本来なら当落線を5点ぐらいの差で争っていたらもうちょっと混戦が起きるはずが、実際のレース内での順位が離れすぎていて直接やり合わないのも明らかに影響しました。もしギブスの立場にロガーノみたいな性格の選手がいたなら、周回遅れなのに立ちはだかるスアレスは吹っ飛ばされてコーション出てたんじゃないかと思いますね、ギブスも本来キレやすいことで有名でしたが今年はすごく落ち着いてるように見えるので、それがスアレスにとっては幸いでした。
まあ何はともあれこのラウンドはまだまだあいさつ代わりのラウンド、次からさらにハゲしくなります。まずはカンザスできちんとこのラウンドを戦う土台作りをしたいところですが、先手を取るのは誰なんでしょうか、またラーソンが独走する気もしていますけど。
コメント
レースは、ラーソンの独り舞台。トゥレックスとギブスはピットロードのスピードオーバーで自滅し、コンテンダーから脱落しました。バートンはともかく、落ちると思っていたブリスコーとスアレスが残ったのは、グレンで生き残ったおかげですね。シンドリックも。レディックは、ステージ2のステイアウトでポイントを稼いだのは賢明でした。ポジションもそれまで20位前後で、フィニッシュも変わりませんでしたし。
ラーソンが、プレーオフポイントを荒稼ぎするのは、チャンピオンを獲得した2021年と同じパターンです。その時はカンザスで優勝、タラデガの前に勝ちそうな気が。ラーソンはデイトナ、タラデガで良い結果出した記憶ないんですよね。
残りのレースが少なくなってきて寂しくなってきましたが、トゥルーエックスとカイルには、1勝してシーズンを終わって欲しいものです。
仰る通りラーソンはスーパースピードウェイではロクなことがないのでカンザスの意味合いはけっこう大きいですね。近年はトヨタがなぜか強いですが、それに対抗して勝ってるのがラーソンなので嫌でも彼には注目でしょう。
そして依然としてホームランをかっ飛ばせる松井秀喜は大したものだなと思いました。少年野球とかで教えても最後は必ずホームラン打つようにおねだりされてに挑戦し、ヒーコラ言いながらも絶対最後に決めてくるのでスターだと思いますよ。
ピットロードの速度は実際には計時システムで時間を計ってますから、極端な話0.01mphの超過でも理論上は見逃されないと思いますね~(トランスポンダーの測定誤差があるのでたぶんある程度の僅差は見逃されるでしょうから、ギリギリだったのは間違いないと思います)
トゥルーエックスとカイルだったらなんかカイルの方が勝ちそうな気はするのでまずはカンザスに期待ですね。
過去のドライバーではカップシリーズに昇格したギリランド、チーム初のチャンピオンをもたらしたスミス、チーム初の連勝を記録したリグスとドライバーにも恵まれていますね。
来年からの3台体制もいつかはトラックからの昇格を見越しているのかな?と。
(このチームもまだチャーターの契約合意していないのが心配です)
ヘイリーとラジョーイのトレードには驚きました。
ヘイリーにとっては自身とチームのカップ戦初優勝を挙げた古巣に戻ってやり直せますし、7号車なら来年からはロドニーチルダースとタッグを組めるので、実力での優勝が狙える体制には近づいたのではないかと思います。
正直RWRにいるのは勿体無いドライバーだと感じていたので良かったです。
ラジョーイは今年限りでスパイアーを離れるとはいえ、せっかく成績が上向いてきた所なのにと思いましたが、ヘイリーが複数年なのに対してラジョーイはあくまでも今年の残りのみの契約だそうなので何とか来年に繋げる活躍を見せてほしいです。
(ラジョーイも代役とはいえ、チェイスの出場停止による代役でHMSからの参戦があったのも考えるとなんか皮肉な感じがします)
ラーソンはショートトラックでは珍しい圧勝ですね。
最近F1のフェルスタッペンより自分の方がオールラウンダーという発言をして騒がれたそうですが、実際NASCARだけで見ればロードコースも得意ですしそう言えるほどの実力はあると思います。
フェルスタッペンがスプリントカーのダートレースやブリストルのカップレースで勝てるわけがないとまで続けたそうですがそれを口だけじゃないところも見せましたね。
ここまで言ったなら是非今年もチャンピオンを取って、インディ500以外のカテゴリーにも挑戦してほしいですw
オーバル=単純、という日欧の人の固定概念が実際は全然違うことを知ってもらいたいとは私も思いつつ、ラーソンはちょっと調子乗りすぎたかなと思いますが()、それはさておきモータースポーツ界で「シーズン中のトレード」なんてことが起きるとは想像してなかったので本当に驚きました。そしてそのタイミングに前後してスパイアーが異様に活躍しているのも率直に驚きです。
Gn7導入、トラックハウスのチップガナッシ買収と躍進、というところまでが最初の転換点だったとすると、このスパイアー猛拡張というのが変革の第2章となるのかどうかはこの先2年ぐらいの大きな注目点ですね。ラジョーイはまたマスタングに乗って顔を貼って走ってもらえれば私は満足なんですがw