NASCAR Cup Series
窓から手を出していいねポーズ、SVGナイスガイ。エクスフィニティーのシリーズを戦うギスバーゲンはプレイオフ ポイントを獲るためステージ1を走り切ったので、レース中盤はピットサイクルの関係で中団に下がりましたがレース終盤にコーションが相次いだためリスタートごとに順位を確実に上げました。そして残り3周のリスタートからジェシー ラブを捉えてリードを奪い返し、そのまま今季3勝目を挙げました。去年のシカゴはカップ戦しか出てないのでエクスフィニティーのシカゴは初勝利、そしてシカゴで2戦2勝です。
玉突き事故が起きました。ちょうど上位勢がピットを出たタイミングとジェット ドライヤーなどの作業車両が通過するタイミングが重なる、という普段のオーバルではまず起こらない問題が発生し、ベルは行く手を遮られて加速ができないので後続がどんどん詰まったようです。これは運営ミスでしょう。
ラーソンがターン6に向けて全く止まれずタイヤに突っ込んで自滅、前を走っていたギブスはラーソンが後ろをかすめて行って危機一髪でした。1戦欠場しながらもレギュラーシーズンのドライバー選手権で1位のラーソン、今日は思いっきり取りこぼしましたが、結果的にレース後もポイント1位を守りました。
後からレディオ アクティブを見て気づきましたけど、ハンドを担当するスポッターはブラッドの兄・ブライアン ケゼロウスキーなんですね。ロード コースはスポッターを複数配置するので他のチームでも助っ人スポッターがいて、オースティン ディロンには弟のタイ ディロンが、ギスバーゲンのスポッターにはコウリッグのチームメイトの1人・デレック クラウスが追加のスポッターとしてついていたようです。
撃沈。前方でステンハウスが前に合わせられずトゥルーエックスに軽く追突。これでトゥルーエックスが姿勢を乱し、連鎖的な接触でベルが最大の被害者になりました。これでスリック勢の最上位はギブスとなりますが、彼もまた翌周にケゼロウスキーとの接触で順位を下げてしまい、その脇をすり抜けたレディックがスリック勢最上位に浮上。スリックは速いんだけどラインを外すとグリップしない上に、タイヤが傷んできたウエット勢がグダグダになってきたので外的要因が多すぎました。
と思ったら気合が入りすぎたのかターン5で内側の壁にぶつける痛恨の失敗、画面の前で私は思わず「あーー!!!」と桃田さんシャウト。ジョーダン ブランドの特別スキームでコンクリート壁にダンクを決めてしまい、これで勝負ありました。アレクサンダー マイケル ウォーレン ボウマン、2022年の第3戦ラスベガス以来となる通算8勝目、ロードコースでの初勝利を挙げプレイオフ進出を決定的にしました。
ミスを素直に謝罪するボウマンに古い話を掘り返してぶつけたウォーレスはちょっと印象悪いと思いました。ボウマンは良いヤツなので「ほとんど当たらなかったし、じゅうぶんに報いを受けたよ。」と気にしていない旨の発言をしていましたが、ウォーレスには5万ドルの罰金処分が課せられました。
改めて優勝はボウマン、2位からレディック、ギブス、ハンド、マクダウルのトップ5でした。4周目にスリックを捨てて大失敗したマイケルおじさん、ステージ2の残り3周でスリックに交換したうちの1人で、記録を見返したらそのころはまだ20位あたりにいたようです。ピット作戦の失敗はピット作戦で取り返しました。
Grant Park 165
Chicago Street Course 2.2miles×75Laps(20/25/30)=165miles
※規定により58周で終了
winner:Alex Bowman(Hendrick Motorsports/Ally Chevrolet Camaro ZL1)
♪ゴッドブレスアメリカ~、というわけで7月4日はアメリカの独立記念日。そして昨年このタイミングで初開催されたNASCAR史上初の市街地レース・シカゴが今年も独立記念日に近いこの週末に帰ってきました。カップシリーズの第20戦・グラント パーク 165です。シカゴ市街地にある都市公園・グラントパーク周辺の道路を使用して、90度コーナーがたくさんある見事な市街地コースとなっています。
昨年のレースは雨に見舞われ、スポット参戦だったシェイン バン ギスバーゲンが衝撃的なデビュー戦勝利を記録、本来は1戦だけのつもりだったのに本格的なストックカー転向へと一気に気持ちが傾きました。昨年は100周の設定でしたが、雨で75周(+オーバータイム)しかできなかった上に、時間が長引いて開催費用がかさんでしまったので今年は周回数が短くなっています。レギュラー陣は2年続けてギスバーゲンに負けたくはないでしょう。
・レース前の話題
このところ特にショート トラックで速さを見せているジョッシュ ベリーが来シーズンはウッド ブラザーズ レーシングに複数年契約で加入することが発表されました。1950年設立・NASCAR界最古参とされるウッドブラザーズ、現状はペンスキーと提携してはいるものの競争力不足が顕著。シリーズ通算99勝を挙げているものの2017年にブレイニーが勝利をもたらして以来100勝目に手が届かないままです。
2020年はマット ディベネデトーを擁してプレイオフに進出するなど2年間で6度のトップ5フィニッシュを記録しましたが、2022年に加入したハリソン バートンは91戦に出場してトップ5フィニッシュが一度と結果が出ていませんでした。なお、ベリーは移籍しますが現在のクルーチーフであるロドニー チルダースは一緒にウッドブラザーズへは移籍しないとみられています。
来年ではなく将来へ向けた話題もシカゴに合わせて登場しました、NASCARは電動の試作車両を公開するとともに、ABBと電動化・自動化の提携企業として契約したことを発表しました。今回持ち込まれたABBのでっかいロゴが入った試作車両は参戦するシボレー、フォード、トヨタの3社と連携して制作され、78kWhというフォーミュラEの2倍近い大きな蓄電池を搭載。電動機を3基も搭載しており最高出力は1000kWとなっているようです。
外観はSUVのような形状で亜麻由来の複合材料を使用。ぱっと見は現行のカップシリーズ参戦車両とは異なる一方で、車体の基本骨格、サスペンション、ステアリング、ブレーキ、ホイールは現在のGen7車両と同一の部品が使用されているため、現行車両とは近い設計であるとしています。
・Xfinity Series The Loop 110
僅か50周のエクスフィニティー、ポールシッターのギスバーゲンと予選2位のラーソンが序盤から激しくもフェアーな争いを展開。思わずギスバーゲンも走りながら
窓から手を出していいねポーズ、SVGナイスガイ。エクスフィニティーのシリーズを戦うギスバーゲンはプレイオフ ポイントを獲るためステージ1を走り切ったので、レース中盤はピットサイクルの関係で中団に下がりましたがレース終盤にコーションが相次いだためリスタートごとに順位を確実に上げました。そして残り3周のリスタートからジェシー ラブを捉えてリードを奪い返し、そのまま今季3勝目を挙げました。去年のシカゴはカップ戦しか出てないのでエクスフィニティーのシカゴは初勝利、そしてシカゴで2戦2勝です。
2位にギブス、3位ラーソンとカップ選手が上位を占めました。また、日本人の三浦 健光が初めてエクスフィニティーに挑戦しましたが、残念ながら予選落ちして決勝には出られませんでした。
・カップシリーズ
予選
エクスフィニティーでは敗れたラーソンでしたが、カップの予選では1分27秒836を記録してブッシュポールを獲得、2位は僅か0.01秒差のギブスでした。よく読んだらヘンテコなスタート順位決定方式はオーバルの予選に限られるのでトップ10はそのままラウンド2の記録順となり、3位からマクダウル、レディック、ギスバーゲン、ウォーレス、ベル、ボウマンのトップ8となりました。ギスバーゲンはラウンド1・A組でラーソンに0.346秒離された2位でしたが、ラウンド2でもラーソンと0.347秒差でした。
なお、ベリーはラウンド1でスピンして36位、バートンもクラッシュして車を壊してしまい決勝は後方からのスタート、新旧ウッドブラザーズの両者は苦い結果に。また、RFKレーシングからスポット参戦、BuildSubmarines.comスキームの60番だから見た目ほぼケゼロウスキーのジョーイ ハンドはA組の下から2番目で、コウリッグの3台目となる13番で出場のA.J.アルメンディンガーもB組の下から2番目だったので、この2人は仲良く19列目スタートです。
・スタート前
・・・天気悪いw レース3日前に天気予報を見た際には月曜日が雨で日曜は大丈夫そうに見えたんですが、その後に早まったんでしょうかね。決勝前に雨が降って難しい路面状況となってしまい、しかも断続的に発生している雨雲が開催地にかかるようなかからないような難しい予報です。オーバルと違ってウエット ウエザー タイヤの装着可否を運営側が一律に縛るわけではないので各自の判断が必要となり、NASCARは特別な配慮としてとりあえず1周偵察で隊列走行してみて、タイヤを換えたいと思ったら1回だけ順位を失わずに交換できることにしました。
各車が1周してみたところ路面はだいぶ乾いていてウエットだとすぐに潰れそうに見えるんですが、舗装の凹凸には水が溜まっている場所があることと、今まさにまた小雨が降ってきたことが問題です。みんなピットに入ったらちょっと周囲の様子も窺いながらだいたいスリックに交換した模様。ペンスキーの3人は全員ウエットとの情報です。
・ステージ1
完全な手探り状態でスタート、まずはギブスとレディックが先行。さらにギスバーゲンがかなり積極的な走りを見せており2周で3位となります。ターン10と11の間にある短い直線は昨年もそうでしたが最も乾きにくく舗装の割れ目に水が溜まっているんですが、SVGは亀裂さえ踏まなければ大丈夫、とばかりにここで堂々とラインを外して内側から抜きに行っていました。いや、完全に水踏んでる時もあったw
4周目、スリックでやや苦戦していたマクダウルが「もう状況はウエットだ」と上位で最初にタイヤ交換。ただ見てるとコースの西側は濡れてるんだけど東側は乾いてるんですよね。東側はどちらかというと高速なので、ウエットはここで壊れてしまう気がします。実際スタートからウエットを履いている人も別に速くありません。
SVGは8周目にレディックも抜いて2位となると、12周目には大量の周回遅れを利用してギブスもかわし今年もリーダーとなりました。この周回遅れはウエットを選んで失敗した人たちで、これほどわんさか出て来たのはギブスとしては誤算でしたね、この混乱に乗じてベルも2位となります。
この後ベルとギスバーゲンが接近戦を演じつつ西側から雨が降ってきた様子で、ステージ制とあいまってどのタイミングでタイヤを換えに行くのか難しい状況となってきましたが、ステージ残り4周でラジョーイがスピン。狭い場所に進行方向と逆を向いて止まってしまったのでコーションとなりました。
このタイミングでコーションが出るとステージ1終了までピットの入り口は閉鎖になってしまうのでタイヤを換えようはなく、この間に雨も強くなってきたので1周だけのシュートアウトもあり得ません。ステージ1はそのままコーション下で終了という選択しか無く、ギスバーゲン、ベル、ギブス、ブリスコー、ラーソンのトップ5となりました。
・ステージ2
文句なしにウエットへの交換でリードラップ車両がピットへ、スリックでピットに突っ込んでくることを考えたらクルーが撥ねられないために非競争の方がいいんじゃないかと私は思いましたが通常の競争ピットです。ベル、レディック、ラーソン、ギスバーゲンの順でピットを出ますが、
玉突き事故が起きました。ちょうど上位勢がピットを出たタイミングとジェット ドライヤーなどの作業車両が通過するタイミングが重なる、という普段のオーバルではまず起こらない問題が発生し、ベルは行く手を遮られて加速ができないので後続がどんどん詰まったようです。これは運営ミスでしょう。
唯一ウエットを履いてリードラップに残っていたZ.スミスだけがステイアウトを選択し25周目にリスタート、スミスはすぐに抜かれてしまいます。最終コーナーを立ち上がった時点でスピンしかけている人がいるし、3列目以降の人は水しぶきで何も見えないし、もう嫌な予感しかしないわけですが、ターン2でボウマンがウォーレスにぶつけて回してしまうと、ターン6では最悪の展開。
ブリスコーが全く止まれずミサイルになってギスバーゲンに命中。ブリスコー自身はタイヤ バリアーに突っ込んだのでマシでしたが、ターンを曲がっている最中に後ろを押された形のSVGはそのままターン6出口の壁に右側を叩きつけられて走行不能。ブリスコーは来年のチームメイトたちにSVG撃墜という贈り物をしましたが、SVGのレースを楽しみにしていた数多くのファンを敵に回したかもしれませんね。
これで当然コーションとなりましたが、あまりに水たまりが多くて視界も悪いのでNASCARはレッドフラッグを決断、全車がピットへ戻ったらえげつない雨が降ってきました。うーん、それならリスタート前にもう少し様子を見ておけばSVGが撃墜されることもなかったんじゃないかな、とちょっと思ってしまいましたね。
結局レッドフラッグは1時間40分にも及びました。レースは最大で現地時間20時20分までと予め規定されておりどうやら今年も時間制レースになりそうです。31周目、ギブス、ベル、ラーソン、スミスの順で1列でのリスタート、初勝利を手にしたいギブスですがさすがにここはベルが1枚上手のようでターン6からの争いで前に出ました、映像に映って無かったけどw
後方ではまたもやターン6でミサイル案件、ハムリンがステンハウスに突っ込んでしまいますが、綺麗に2台ともタイヤバリアに突っ込んで、自力で脱出できたのでコーションは出ませんでした。
もう雨は降っていないのでライン上だけは比較的乾くのが早そうで、上位勢もそれぞれ少し間隔が空いてレースが落ち着きました。スリックに換えるならターン10あたりの水浸し地帯が乾かないといけないので、ここからはウエットを長くもたせることも大事になるだろうと思ってのんびり見ていたら。
ブシャー!!!! |
ラーソンがターン6に向けて全く止まれずタイヤに突っ込んで自滅、前を走っていたギブスはラーソンが後ろをかすめて行って危機一髪でした。1戦欠場しながらもレギュラーシーズンのドライバー選手権で1位のラーソン、今日は思いっきり取りこぼしましたが、結果的にレース後もポイント1位を守りました。
38周目にリスタート、残り時間がおよそ40分となっており予選タイムで走っても間に合わないので時間制レース確定です。ターン4でベリーとブリスコーが立て続けに曲がれずに真っ直ぐ行ってしまいましたがこれは自力で動いたのでノーコーション。ベル、ギブス、レディックのトップ3にギリランド、そしてネメチェックが続いています。
さらに40周目には魔のターン6でプリースも止まり切れずタイヤに突っ込みますが、真っ直ぐ突っ込んですぐリバースに入れて脱出し、まるでプロレスラーのロープ技のように華麗にレースに復帰しました、あんまり日欧のレースでこんな動きは見たことないぞw
ステージ2開始直後の路面水量が多い状態ではベルに軍配が上がりましたが、乾き始めたこの環境ではギブスも速くこの2人だけが独走状態。そしてここで各陣営は戦略を考えないといけません。日欧の普通のレースであれば、スリックへの交換は目の前の状況を見て『次の周にどっちのタイヤが速いか』の最適解を探しに行く争いです。
ところがこのレースはステージ制です。上位勢はステージ残り2周、上位から離れている人は残り3周を過ぎるとステージ間コーションになるまでピットに入れません。コーション中にスリックに交換したら、既に交換済みの人がいたらリスタートはその後ろになりますから損します。時間から逆算すると最終ステージは大した周回数を走れないでしょうから、リスタートしてからのタイヤ交換ではもう間に合いません。ということは、仮に今はまだスリックで走るには厳しかったとしても、何周も後の最終ステージ開始後の路面状況を先取りして今スリックにするかを考えないといけなくなります。もちろん、先回りして換えたは良いけど全然グリップしないようなら大失敗、事実上レース終了です。
するとステージ残り3周、中団以降のドライバーがスリックに交換するためピットへ。そして上位勢も残り2周でピットに入りました。ただ、まだ路面はそこそこ濡れているためピットを出たベルはピットに入っていないウエット組にコース上で次々と抜かれていきます。状況が分からないベルは「あいつら全員スリック履いてるのか?」と質問。
そしてステージ2の勝者はというと、ピットに入らなかったケゼロ・・・じゃなかったハンドでした。プレイオフの当落線上にいるため多少なりとも点数が欲しかったボウマンは惜しくもこれを抜けずに2位。ケゼロウスキー、ホースバー、トゥルーエックスのトップ5で、スリック勢はまだこの段階ではウエットを上回る速さが無い状態でベルはステージ13位でした。
後からレディオ アクティブを見て気づきましたけど、ハンドを担当するスポッターはブラッドの兄・ブライアン ケゼロウスキーなんですね。ロード コースはスポッターを複数配置するので他のチームでも助っ人スポッターがいて、オースティン ディロンには弟のタイ ディロンが、ギスバーゲンのスポッターにはコウリッグのチームメイトの1人・デレック クラウスが追加のスポッターとしてついていたようです。
・ファイナル ステージ
コーション中も着々と路面は乾いていきますが、ここまで来たら上位勢は最後までウエットで行ってみるしかありません。2位のボウマンも「スリックに換えて勝てるのかどうか分からんけど、もうこのまま行くしかないんちゃうかな。」と腹をくくった様子。タイヤを換えたら20位以下に落ちるので、残った周回数での挽回は極めて難しくなります。
というわけで上位勢の顔ぶれはそのまま、ハンドを先頭に最終ステージが始まりました。残り時間は20分を切っておりレースは残り12~13周ぐらいでしょうか、ステージ2終盤から引き続いてボウマンが猛烈にハンドを追い立てます。ちょっと車が曲がらない雰囲気のハンドに対して51周目、ターン5でボウマンが豪快に内側に飛び込んでリードを奪いました。するとその直後、ターン2でまたもやベリーがクラッシュ、動けそうにないのでコーションとなります。ベリーはステージ2の最後にスリックに交換した際もピット出口で回っていました、こういう条件は苦手っぽいですね。
スリック勢先頭のベルは9位まで上がってきましたがコーションになると残り周回数が減るので追いかける時間が無くなります。54周目・残り4分25秒でリスタートしたのでたぶんあと5周ですね。ターン12でスリックを履いたネメチェックがミスってバリアに突っ込み、後輪が宙に浮きあがるグランツーリスモみたいな事故がありましたが幸いノーコーション。ベルはこの1周で6位、ボウマンから3.7秒差に迫りさらに前を伺っていましたが
撃沈。前方でステンハウスが前に合わせられずトゥルーエックスに軽く追突。これでトゥルーエックスが姿勢を乱し、連鎖的な接触でベルが最大の被害者になりました。これでスリック勢の最上位はギブスとなりますが、彼もまた翌周にケゼロウスキーとの接触で順位を下げてしまい、その脇をすり抜けたレディックがスリック勢最上位に浮上。スリックは速いんだけどラインを外すとグリップしない上に、タイヤが傷んできたウエット勢がグダグダになってきたので外的要因が多すぎました。
そんな混乱をよそにボウマンはリスタート直後のハンドの重圧を押し返して単独走行。そしてリスタートから3周で残り時間が0になりレースは残り2周となります。NASCAR独自の規則で、
時間が0になる→コントロール ラインを通過→次の周にホワイト フラッグが振られる→その次の周がチェッカー
ということで要するに制限時間+2周ルールです。何で2周なのかと思いますが、たぶん大前提として『チェッカーフラッグの前の周にホワイトフラッグを振る』というのがあるためでしょうね。もし時間制限+1周ルールにすると時間が0になって最初に通過したリーダーに対してホワイトフラッグを振る必要がありますが、万が一ほぼ時間ピッタリに車が通過したらそこでホワイトフラッグを振るかどうかで混乱が生じるため、余力を持たせているんだと思います。日欧のレースで+1周ルールがある理由の1つも、時間切れとほぼ同時に通過した車にチェッカーを振るべきかどうかが難しいからでしょうね。
チェッカー目前で話が逸れましたが、ボウマンはもうハンドと4秒近い差なのであとは大事に車を持って帰るだけ、と思ったら最終周に入るところで驚愕の事実が判明。全然映像が捉えてなかったけど1周2秒も速い異常なペースでレディックが来ており、ハンドを抜いて2位に上がっていました。ボウマンとの差なんと1.9秒( ゚Д゚)スリックのレディックは明らかにコーナーごとに差を詰めており、これは最後の最後まで分からない、
と思ったら気合が入りすぎたのかターン5で内側の壁にぶつける痛恨の失敗、画面の前で私は思わず「あーー!!!」と桃田さんシャウト。ジョーダン ブランドの特別スキームでコンクリート壁にダンクを決めてしまい、これで勝負ありました。アレクサンダー マイケル ウォーレン ボウマン、2022年の第3戦ラスベガス以来となる通算8勝目、ロードコースでの初勝利を挙げプレイオフ進出を決定的にしました。
ただレース後には2つほど事件が発生。まず大喜びしてパワースライドしながら1周しようとしてたら途中でスピンして1回止まりました、もうこれはただの事故w
さらに、もう遠い過去の話で忘れかけてましたがステージ2開始早々にウォーレスにぶつけてスピンさせていたため、まだこれを根に持っていたウォーレスが報復の接触をかまして去っていきました。ボウマンはワイパーが動かなくてスイッチを操作してるうちにぶつけてしまったそうで、ウォーレスにぶつけたのは申し訳なく思ってレース後のインタビューで謝っていましたね。
ミスを素直に謝罪するボウマンに古い話を掘り返してぶつけたウォーレスはちょっと印象悪いと思いました。ボウマンは良いヤツなので「ほとんど当たらなかったし、じゅうぶんに報いを受けたよ。」と気にしていない旨の発言をしていましたが、ウォーレスには5万ドルの罰金処分が課せられました。
たまたまとはいえこの時ボウマンはヘルメットのバイザーを上げて手で涙をぬぐっていたようで、その最中にいきなりぶつけられてその勢いで壁にもぶつかっており、一歩間違えれば指で目をついて選手生命を絶たれていた可能性だってあるのでボウマンが言うほど軽いものではなかったと思います。レース後は誰だって気持ちを切っているわけで、速度は遅くてもレース中以上の惨事を招く可能性がある凶器を扱っている、という自覚を改めてドライバーには持っていただきたいですね。
改めて優勝はボウマン、2位からレディック、ギブス、ハンド、マクダウルのトップ5でした。4周目にスリックを捨てて大失敗したマイケルおじさん、ステージ2の残り3周でスリックに交換したうちの1人で、記録を見返したらそのころはまだ20位あたりにいたようです。ピット作戦の失敗はピット作戦で取り返しました。
6位からステンハウス、ギリランド、バイロン、カイル、ブレイニー、となんか本日初めて名前が出て来た人がトップ10にいてもうワケがわかりません。ステンハウスはそもそもハムリンにミサイル食らってブチ切れてたのに6位ですからね、こっちはウエットで耐えきった組なのでマクダウルとはまた事情が違います。
というわけで、コーションは5回しか出ていないんですが果てしなくコーションが続いていたような2回目のシカゴでした。去年は100周の予定が75周、今年は75周の予定が58周、どんどん短くなってますw
F1イギリスの記事の締めくくりに「雨がらみのレースは意味不明なレースになってどっと疲れることも多いですが、今回は手に汗握る展開で本当に面白かったです。」と書きましたが、シカゴはどう考えても前者でした。ギスバーゲンが真っ先にリタイアしたのが本当に残念でしたし、正直最後に猛追しているレディックがスリックなのか、履歴の浅いウエットなのかも瞬時に把握できずに話に付いていくのが大変でしたが、個人的に頑張ってほしいと思っているボウマンが勝ったので終わりよければすべてよしとしておきます。
最終ステージに対するタイヤ選択が勝敗の鍵になりましたが、ベルとするとリスタート時点で前方にウエット勢が12人もいたのはちょっと誤算だったのではないかと思いました。いくら速くてもそれだけの台数を捌きに行くとどうしても危険性は高くなります。逆にボウマンからすると壁がそれだけ多くいたのが最大の分岐点で、ここは全員それぞれの思惑が絡んだ末の運という要素がありました。
最後はレディックが自滅しましたがあのまま行っていたら半分以上の確率でボウマンは抜かれていたと思いますし、15%ぐらいの確率で無茶なブロックして共倒れしたでしょう()。レディックが追いついたということは事故がなければベルとギブスも追いついていたはずですから、単純に速さだけで言えば作戦で勝ったのは彼らスリック勢の方で、しかしレースという生き物を手懐けられたのは結果としてボウマンの方、安全な先頭を走れることがいかに大きな利点であるかよく分かる展開だったと思います。もしハンドを抜くのに手こずっていたら負けだったでしょうから、素早く抜いたのも大きな勝因です。
そしてこれでプレイオフ争いもまた大変になりました。今季12人目の勝者が誕生したのでポイントでの出場枠がもう4つしかありません。レギュラーシーズンはあと6戦あるので理論上は17人以上の勝者が誕生することもまだ可能で、そうなると1勝した人の中からポイント下位の人が脱落してしまいます。一応ですが今の段階で1勝していてポイントが最も少ないのはシンドリックです。ポイントで言えばギリランドより下なんですねえ。
現在の16位はクリス ブッシャーとなっており、17位のウォーレスとは45点差。新たな勝者が誕生してもポイントをたくさん持っているトゥルーエックスやギブスなら大勢には影響しませんが、現在当落線の下にいてもうポイントでは届きそうにないマクダウルやカイルが勝つとチャステインですら残れなくなってくるので、さらなる番狂わせになります。
次戦はトリッキー トライアングルのポコノー、その次が返ってきたブリックヤード400・インディアナポリスと続き、オリンピックのため2週間のお休みに入ります。
コメント
私もシカゴのロケーションはすごくいいなと思いますね。単純な直角コーナーの繰り返しでもストックカーならレースとして盛り上がっているので、現地報道では一応3年契約らしいですから来年こそ晴れたレースを見たいなと思います。ただ、シカゴでは7月4日前後に合計100人以上が銃撃され19人が死亡する事件があったことから警備体制の見直しなど治安面での懸念事項が増加した背景があり、NASCARとシカゴ市との契約には早期解約条項があるため来年の開催はまだ不透明なところがあるようです。
ちなみにF1の場合、モナコを除いてレース距離は約305kmと決まっており2時間を超えたらおしまいになる時間制限もあります。ただ今回のようなレース中の赤旗だと別のルールがあって、中断時間を含めて合計3時間になっています。ですから1時間40分も中断すると、、、予定していた305km全部を走るのは無理でしょうねw
F1もあれこれ変な規則を作っていくぐらいなら、サーキットの特徴に合わせてある程度柔軟に距離をいじるぐらいの変革もやってみたらどうかと思いますがそれはまた別のお話。
ところで、カイル・ブッシュは出場してました?涙
やっぱりカップシリーズは耐久レースですから体力もいりますし、タイヤマネージメントだったりアジャストだったり、経験が無いと掴めない技術も多いのでなかなか簡単ではないですね。むしろトップチームとはいえ既にそれなりのところまで来ているのはよくやってると思いますよ。あとは本人が慢心しないことですね。
あ、カイルさんは9位という素晴らしい結果なのでテレビには映って無いけど記憶からは消さないでください(笑)
80戦未勝利だったそうですが、今シーズンは返り咲き勝利を果たすドライバーが多いのも嬉しくなります。
HMSもこれでロードコース全勝も見えてきました。
ロードコース戦しばらく勝ってないチェイスも残りのワトキンスグレンやローバルでは複数回の勝利経験があるので、初のドライバー全員によるロードコースコンプリートに期待したいです。
また、ゲートウェイで勝てばチームは全トラック制覇の記録にも王手をかけた形になりました。
(未勝利だったケンタッキー、インディロード、ブリストルダートが無くなったので大チャンスですw)
反対にSVG、ラーソンはまさかでしたね。
エクスフィニティーでの好調ぶりやポール獲得、ステージ優勝とロードコース得意なこの2人の為のレースかと思いましたが、ロードコースだからって毎回勝てるほど甘くないんだなと思いました。
他にもベルやアルメンディンガーとロードコースでは名前が挙がるドライバーもリタイヤしていますし。
ジョーイハンドのステージ優勝もこれまた驚きましたが、34ポジションアップはスーパースピードウェイでもない限り滅多に見られないものになりましたね。
3戦連続悪天候による赤旗も珍しいですし、残念だったのは2年連続で予定していた距離を走れなかったこととエクスフィニティーデビュー戦だった三浦選手が予選落ちになったことぐらいでしょうか。
三浦選手に関しては、欧州ルートからトラックシリーズにスポット参戦するなど古賀選手や尾形選手とも違うキャリアなので注目していましたが。
マクドウェルのホワイトソックスやウォーレスの呪術廻戦(報復行為はイメージ悪すぎる)など、今戦も色々なスキームが見られたあたり、やはりシカゴストリートの注目度は高いんですね。
GAORAも放送するぐらいですし。
ウォーレスはF1のハミルトンと同じくBLM運動のイメージも強くありますが、ハミルトンは最近復活優勝できたんだから、ウォーレスもそろそろ実力で頑張ってほしいですね。
アルミローラと揉めた件と言い、また最近トラブルメーカーになっている感じがあります。
SVGのリタイアが残念すぎましたが、エクスフィニティーと両レース見てると正直ロードコースでAJを凌いでいる感じがあるので、ロードコース職人の立場を完全に奪ってしまったなという印象も受けました。世代交代というにはSVGもそこそこ年取ってますけどw
ウォーレスはそもそもパンデミックのお休み中にiRacingのイベントでキレ落ちしてスポンサー失ったりしてましたから、BLM運動や首縄事件がなければイメージとしてはあんまり良くないままだったはずだし今もカップ選手でいられたか分からないので、言い方は悪いですけど追い風があったのを活かさなきゃいけないのにちょっとそれを忘れてるのかなあと感じます。
ちなみに私は呪術開戦を全く知らないので、「へ~、アメリカのマクドナルドもなんかアニメみたいな宣伝キャラクターいてるんやなあ」と意味を理解していませんでしたw