フォーミュラE 第14戦 ポートランド

ABB FIA Formula E World Championship
2024 Hankook Portland E-Prix
Portland International Raceway 3.19km×26Laps(+0.031km)=82.971km
※規定により27周に延長
Race Energy:38kWh
winner:António Félix da Costa(TAG Heuer Porsche Formula E Team/Porsche 99X Electric Gen3)

 衝撃のキャシディー自滅スピンから一夜明け、フォーミュラEシーズン10・ポートランドの2戦目です。たぶんあの状況で一日で切り替えられるような人間はほぼいないでしょう、キャシディーの心理状態やいかに。そんな第14戦は前日よりも周回数が1周減って26周です。ちなみに昨日のレースにおけるダコスタのレース平均速度・152.041km/hはフォーミュラE史上最速のレースだったそうで、ここがいかに高速レイアウトであるか分かります。スピード感だけならほぼ節約がいらないロンドンの方があって、リフト&コーストしまくるここは遅く見えるんですよねw

 あと全然関係ないですが、大阪や神戸で店舗を構える『スクールバスコーヒー』というお店がありまして、大きい場所だとなんばパークスに店舗があって結構気に入ってるんですが、ここで取り扱っているコーヒー豆がポートランドにある『Coava coffee roasters』というお店の豆だそうで、ポートランドと聞くと最近はこのお店が頭に浮かびます。スクールバスコーヒー、コーヒーもおいしいしお菓子もなかなかクオリティー高いのでおススメです☆

・レース前の話題

 ポートランドと言えば昨年のイベントではDSペンスキーによるスパイ騒動がありました。他チームの使用しているタイヤがどのセットなのかを知ることは戦略上重要で各チームは一生懸命調べているようなんですが、DSペンスキーは作業を自動化しようとしてRFID読み取り装置を勝手に持ち込み、当たり前ですがこれがバレて当該レースの予選失格と罰金処分を受けました。で、今年のレースでも実はまたDSペンスキーにスパイ疑惑が起こりましたw

 1回目のフリー走行が行われていた際に、DSペンスキーの関係者がコース脇の限られた人しか入れない区域で他チームの使用しているタイヤについて記録を取っていました。この人が持っていたのはブロンズの許可証でしたが、ブロンズはお得意さんなどが指定された観覧エリアに入ることだけを許可するもので、この場所は入ってはいけない場所でした。こうした区域に入れるのは、各チームが18人にしか割り当てることができない黄色い腕章を持っている人だけと規則で定められているようで、腕章が無いから警備さんに発見されて捕まったようです。
 例えるなら、音楽イベントで関係者用席から観覧できる権利を持った人が勝手に舞台袖に立ち入ったような状態ですが、チームはこの件について説明を求められ、Tha Raceが伝えている話を要約すると

追加の部品を持って後から現地に合流したスタッフがいて、後から来たから腕章を持っていないため観客席から観戦するように指示されていたが、別の上役からはパスがある前提の間違った内容の指示が伝えらえて制限区域に入ってしまい、そしてチームに貢献しようとタイヤ判別の仕事を率先して手伝ってしまった

というような話だそうです。さっきの例えだと、そもそもは運営スタッフで舞台裏にいるべきところ、急遽必要になった大道具を取りにいかされたから設営途中に合流し、運営パスを持ってないから関係者席で見てなさい、と言われたのに移動中に別のスタッフから「おいお前何しとったんや~、さっさとこれ運んでくれや~」と言われて結局作業を手伝ってパス無しで舞台袖にいた、みたいなことですかね。どこまで本当か分かりませんが、何せ規則に違反したのでDSペンスキーには5000ユーロの罰金と、黄色の腕章1枚没収という罰則が与えられました。

・グループ予選

 ドライバー選手権の関係で、組分けしたらたまたま11チーム中8チームが同組になってしまった本日のグループ予選。A組は昨日のタイヤ無交換予選が良いと考えたのか、ジャガーの2人だけが数分待ってから出動しそのまま最後までコース上でとどまる風変わりな戦略で勝負。
 しかし最速だったのは普通にタイヤを換えて2巡させ、1分9秒665を記録したフラインスでした。ベルニュ、キャシディー、ヒューズのトップ4となり、ジャガーはキャシディーが通ったけどエバンスは6位で脱落しました。といっても1位から11位まで0.34秒しか差がありませんw

 B組は全員が最後の1周に賭ける中でデニスがターン10で飛び出してしまい、後続の複数のドライバーには邪魔な存在に。黄旗区間を通過して記録を更新していないか気になる状況でしたがどうやら『トラックから遠い場所に停止している』という雑な理由で黄旗は出されなかったようで、1分9秒726を記録したダコスタがグループ1位、バード、デフリース、ベアラインの4人がデュエルスに進みました。

・デュエルス

 B組の準々決勝がポルシェ対決なのでひょっとしたらベアラインを勝たせる茶番になるのかも、と思ったらそんなこともなく、しかもベアラインがターン1・2でミス。一方でダコスタは準々決勝の4組/8人の中で最速となる1分8秒750を記録し、ベアラインを叩きのめす結果になりましたw
 そのダコスタが準決勝ではバードも破って決勝へ、A組はベルニュが勝ち上がりました。両者の準決勝でのタイム差は0.006秒、放送ではついつい事故スポットのターン10・11に注目していますが、低速のターン7をきちんとエイペックスに付いて出口へ車を向けて加速できているか、というのがタイムに影響しているように見えます。エイペックスを逃した人はここで0.15秒ぐらい失ってそのまま終わってますね。
 国際映像が2画面車載映像で伝えた決勝、さっきまでは全然映像の開始位置が揃っていなくてやるだけ無駄でしたが、今回はきっちりタイミングを揃えていて非常に見ごたえのある映像、そしてお互い全く遜色の無い走りを見せて全然差が無い戦いとなりました。
 私がポイントと見たターン7はダコスタのほうが上手く抜けてここですこーし稼いだもののほとんど差がない状態で魔のシケインに入り、ベルニュはちょっと攻めすぎて車が滑ったので失敗かと思いきや、限界ギリギリで車速を維持できたようでなんと0.025秒差でベルニュが勝利。フォーミュラE歴代最多・通算17回目のジュリアスベアポール。よほど良い戦いだったのか、走行後は元僚友に握手を求めに行き爽やかな笑顔。JEVってこんなキャラだったっけ?と思いましたw

 スタート順位はベルニュ、ダコスタ、バード、フラインス、ヒューズ、キャシディー、ベアライン、デフリースのトップ8。エバンスは11位スタートです。あ、左に見切れてるのはキヤノンのレンズかな?(え)

・決勝

 現地コメンタリーも今回現場で詳細解説するコーナーとしてターン10・11を取り上げており、何が難しいのか、キャシディーがどう失敗したのかを改めて解説してくれましたが、まあキャシディーとしたら「もう言わんといて(> <)」って感じでしょうね。
 レースが始まるとまず1周目はダコスタが先行しましたが、2周目のターン1に向けては上位勢がこぞって超早いリフト&コースト、ここを突き抜けてヒューズが前へ飛び出しました。キャシディーは15位以下まで下がってるので後方待機作戦のようです。
 
 5周目、国際映像がなかなか気づいてくれないですがベアラインがウイングを脱落させて車体の下に挟んで引きずっています。ターン7でモルターラに追突してしまったようで、タイヤに干渉して白煙も出てるしもうこりゃベアライン終わりだな、と思ったらなんと6周目のターン9・事実上のバックストレートで綺麗に外れてしまいました。やれやれ。
 が、これでとばっちりを受けたのがバードでした。外れたウイングが飛んできてバードの羽に当たってしまい、今度はこっちの車が壊れてターン9を曲がれず芝生へ。大事故は避けられましたがこれでバードのレースは事実上終焉です。バードが激怒する一方、"犯人"のベアラインはうまいこと羽が取れたのでそのまま羽なしでレースを続行しました、バード的にはむっちゃ理不尽^^;

 8周目、ここまであえて前を行く戦略を採っていたであろうヒューズがターン1で突っ込みすぎて失敗、4位に落ちてしまいます。エナジーを使っておいて失敗で順位を下げるというのはかなり効率が悪いので損ですね。ヒューズはこの後12周目にモルターラとの接触でウイングも壊してしまいリタイアとなりました。わりと散々なポートランドとなりましたね。 
 さらに13周目、ターン1・2で玉突き事故が発生、これで複数の車両が破損して、なんとその中の1人はキャシディーでした。キャシディーはぼちぼちレースも後半なので順位を上げに行く雰囲気でしたが、その矢先の出来事でした。玉突きのきっかけは3位にいたモルターラがターン1で突っ込みすぎてターン2で急激に失速したためで、対応しきれなかった後続がガッシャガッシャぶつかりました。今日やたら事故多いですね。

 そのモルターラも15周目に後ろからかるーくダコスタに接触されてターン11で飛び出してしまい、パンクにより戦線離脱。段々と集団に参加している人が減少してきましたが、18周目にはダコスタ、ベアラインとポルシェのワンツー体制になります。ベアラインはウイングがないですが、ダコスタもさっきモルターラと接触してウイングが傾いておりまともな車がいませんw
 ところがあまりに破片が多すぎるのでこの周を終えるころにとうとうSC出動、これでとりあえず走れている人は隊列に追いつくことが可能となり、キャシディーももう一度ゲームに参加です。後方に落ちた人はSCを期待して周回遅れにならない程度に手抜きして走るので、再開後はエナジー残量で優位に立てます。ただあんまりレース距離が残って無いからたぶん使っても抜けないと思われ。

 破片を回収して21周目にリスタート、リーダーはSC導入直前に前に出ていたフラインスで、ダコスタ、ベアライン、ベルニュ、エバンスの順。しかしフラインスはやや残量で負けていたのですぐにダコスタが先行し、残り周回数が少なくなってきたのでSC前は1分14秒台だったペースが12秒台へと2秒の切り上げ、だいぶ本気モードのレースとなります。ペースが上がると羽なしベアラインがついていけるのか。
 レースはSCのために1周追加され合計27周、SC導入後に2回目のアタックを使ったエバンスが猛烈に追い上げて一時2位となりますが、ダコスタは上位勢で残量に最も余裕がある上にペースが1分11秒台まで上がってきたのでもう追い抜きも簡単ではありません。チームからは危険を冒さないよう再三のご注意が飛んでおり、昨日のキャシディーの悲劇を絶対に起こさないように気を使っていますw
 そして最終周、残量が同等になったフラインスがダコスタの後ろについて重圧をかけに行きましたが、ターン10で自滅すること無くチェッカーまで車を運びました。ダコスタ、なんとこれで3連勝、かつここ5戦で4勝という驚異の勝率で通算12勝目を挙げました。ドライバー選手権ではローランドを抜いて4位に浮上、通算で134点ですがそのうち100点をこの5戦で稼いでいます(;・∀・)

 本日もトロフィーを高く放り投げました。2位は2戦連続でフラインス、3位にエバンス。ウイングの無いベアラインはさすがに予選の2秒落ちペースとなるとちょっと付いて行けない雰囲気で4位でした。

 ドライバー選手権ではまさかの2戦連続無得点だったキャシディーに今日こそ追いかける人が点数を稼いだので、エバンスとベアラインがいずれも12点差となって決戦の地・エクセルロンドンへと向かうことになりました。もうこれキャシディーはチャンピオン逃したら毎晩夢にターン10が出てきて寝れないだろ・・・

 また、チーム選手権ではジャガーがかなり取りこぼしましたがそれでもなお2位のポルシェに対して33点差。一方、パワートレイン製造者で競うマニュファクチャラー選手権ではポルシェが1位となっており、ジャガーは19点差の2位です。2戦連続無得点とローランド不在が響いた日産はチーム選手権で5位に後退し、3位のDSペンスキーと27点差。マニュファクチャラーでもステランティスに対して5点差の4位と1つ順位を下げました。

 ポートランドの前の段階では、キャシディーがほぼチャンピオンを決めるものだと思っていたので、まさかこんな結果になるとは思いもしませんでした。キャシディーはこの日も中団~後方で待機して追い上げていくいつものパターンで進めていましたが、この作戦は利口である一方で貰い事故、特に玉突きのような避けようのない事態に巻き込まれる危険性は高くなります。
 選手権を考えた時に、もうキャシディーはベアラインの近くを走っていればそこまで極端な危険を冒す必要性はなかったはずですが、前日に大失敗したことで『負けた』という意識があり、どうしても『負けた分を勝って取り返す』ということが主眼に置かれていたのかなと思います。確かに、そこそこの順位でベアラインが自分の前方でゴールした場合には点差が20点以下になって最終戦に向かうことにはなりますが、失敗した場合の痛手を考えるとどっちが良かったのかな、と思ってしまいますね。
 そのベアラインもウイングを壊した段階ではもう終わったも同然でしたから運がよかったわけですが、壊れた部品が他車に当たるというのは極めて危険なので運営側はきちんと考えた方が良い気がしますね。厳密に言えば安全でない状態の車両に走行をさせているので、カナダでのぺレスと同じで罰則の対象になってもおかしくない案件だと思います。バードが気の毒でしたが怪我が無くてよかったです。

 次戦はいよいよロンドン2連戦、ジャガーの2人が微妙な点差になったので、チームメイト同士で揉めてる間にダコスタがまた勝って、しれっと点数ではベアラインが、みたいなことが起こったりしてw

 

コメント

スイカ男 さんのコメント…
やっと14戦を見れましたε-(´∀`;)ホッ
良い案ありますよ〜。
フロントウイング翼端板ステー左右、ノーズステー2ヶ所の合計4箇所に配線を繋ぎます。
接触等で配線が1箇所切れると5秒後に出力20%減。2ヶ所で40%減。
ウイング本体脱落で合計80%出力減(⊙_⊙)
5秒は後続からの激突を避けるための回避時間。
25%にするとピットまで帰れなくなるのでここは優しさ。
ウイングなしでデメリットないなんてこと無くせばいいんですよ。
カンタンでしょ?
SCfromLA さんの投稿…
>スイカ男さん

 技術的にちゃんと裏付けのある妙案( ゚Д゚)でも私には配線で首の皮1枚繋がったウイングがプラプラしたまま走る車が頭に浮かんでしまいましたw