Formula 1 Rolex Belgian Grand Prix 2024
Circuit de Spa-Francorchamps 7.004km×44Laps=308.052km
winner:Lewis Hamilton(Mercedes-AMG Petronas F1 Team/Mercedes F1 W15)
F1の前半戦を締めくくるのはベルギー。前半といっても14戦目ですからシーズンの6割ぐらいは進んでいますね。野球でもオールスター戦を区切りに前半戦・後半戦と分けたりしますがやっぱり6割以上は終わっています。まあ後半の方が長いと気が遠くなるので『この休みが終わったらもうひと頑張りで終わりだ』と思った方がなんとなく気分が楽ですね。そういえばうちの会社は昼休みを挟んで午後の仕事の方が長いのでちょっと疲れる気がします(え)
お馴染みのスパ-フランコルシャンは今年になって一部に再舗装などの改修が行われており、新しい路面と古い路面が混在する条件となっています。6月に開催された24時間レースではGT3車両が従来より3秒も速く走ったそうなので、F1だとどうなるのか、タイヤの負担はどうなのかが注目です。
・レース前の話題
夏休み前に宿題を終わらせたいわけではないでしょうが、ハースはオコンが来年から複数年契約で加入すると正式に発表しました。マグヌッセンの離脱が発表されてそれほど間を置くこと無くオコンの発表につなげる非常に円滑な流れです。これで来年のハースはオコンとベアマンの組み合わせとなります。頼むから新人と揉めるなよ・・・w
そのオコンが出ていく側のチーム・アルピーヌでは代表のブルーノ ファミンが退任することになりました。今後はF1以外のモータースポーツ活動をとりまとめるそうですが、チームにエグゼクティブ アドバイザーとして加入したフラビオ ブリアトーレと全然反りが合わなかったとの情報なので、よりチームの権力がブリアトーレ側に寄って行くことになりそうです。
後任はまだ発表されていませんが、FIA F2とFIA F3に参戦しているハイテック GPのオーナー・オリバー オークスになるのではないかと報じられています。ここに大きな問題があり、オークスは元々息子をF1ドライバーにしたいと考えたドミトリー マゼピンと協力し、ハイテックには父マゼピンも出資して当然ロシアのお金を取り入れてハイテックを運営していました。ロシアのウクライナ侵略により表向きロシアのお金もマゼピンも遮断されたはずですが、父マゼピンが所有する株式を売却したのは実質自分の支配下にあるファンドで、実態としてまだマゼピン家が影響力を持っているとみられています。
ハイテックはF1の新規参入申請にも応募しましたが、やはりロシアとの関連性も懸念材料となって承認はされなかったようです。いわば今回は別のルートでマゼピン家がF1への関与を試みている、と見ることもできます。当然オークスもそうした中でハイテックを運営しており、そうした向きがあるにもかかわらず方向性が合うからとブリアトーレがオークスを代表に据えるようであれば、道義的に大きな問題が生じる可能性があります。
また、アルピーヌは以前にも報じられていた『自社PU製造を諦めてカスタマーになる』という計画を前に進めていると伝えられており、ブリアトーレはメルセデスPUの獲得に動き、これをテコにサインツをドライバーとして加入させる材料にし、諸々手はずが整って価値を高めたらチームを投資ファンドに売却するとまで囁かれています。結局ブリアトーレって本社から『できるだけ高くチームを売り払ってきてくれ』と送り込まれたんでしょうか^^;
なお今回のアルピーヌは『デッドプール&ウルヴァリン』という映画の宣伝を兼ねて特別な赤色のスキームになっており、最初に見た時はアルファロメオかと思って混乱しました。だんだんF1もNASCARみたいになってきたなあ、とか思ったり。
そしてもう1件、2026年からアウディーとなる現ザウバーは最高経営責任者でF1チームを取り仕切っていたアンドレアス ザイドルと、取締役会会長のオリバー ホフマンの両首脳を解雇し、新たに元フェラーリ代表・マッティア ビノットを起用すると発表しました。こちらもどうやら内紛が原因のようです。
ザイドルはWECでポルシェに栄冠をもたらし、F1では低迷するマクラーレンに道筋を付けて現在の好成績への流れを作ったと言える敏腕。昨年アウディーを託される形でザウバーに加入しました。ところが今年になってアウディーがザウバーの100%の株式を買収して組織上も完全な子会社となると、本社からホフマンが『総代表』とでも言うべき新しい役職でやってきたので、これで全権を指揮できると思っていたザイドルと確執が発生した模様。
結果、アウディーはどちらか片方の解雇ではなく、あと腐れを残さないためにどっちも残さないという大胆な決断をわりと早めに下した、という流れとみられています。また、ビノットはフェラーリ時代にサインツと良い関係性だったので、これをきっかけにサインツが来てくれれば、という考えも同時にありそうです。とりあえず1つ確実に言えるのは、アウディーが作戦をミスったら『俺たちのアウディー』とネタにされてしまうということでしょう。
と、サインツに振り向いてもらおうとみなさん必死だったわけですが、結果としてこのレースの2日後にサインツはウイリアムズに複数年契約で加入することを発表。ウイリアムズはこれでアレクサンダー アルボンとサインツの組み合わせとなり、ローガン サージェントが今季限りとなりました。
・予選
また雨です(´・ω・`)F2のレースが開始できず延期になるぐらい酷い状況から持ち直したものの、今回はインターミディエイトでないと走れないそれなりの路面水量。Q1ではすぐにまた雨が来るという予想があったのでみんな大急ぎ、ところがそんなまとまった雨は結局降りませんでした、山の天気は予想が難しい。結局予選全体を通じて路面状況は悪化と改善を繰り返したので、限られたインターミディエイトを大事に使いつつもとにかく走り続けることが大事になりました。
ピレリポールはこういう悪天候ならめっぽう強いフェルスタッペンでした。しかしフェルスタッペンは今回既定の上限を超えるICEの投入によって10グリッド降格を受けることが事前に決まっていたので実際のスタート順位は11位となりました。代わって1位からスタートできるのはルクレール、2番手はペレスでした。雨だと散々な結果が多かったのでほっと一安心、できればルクレールより前にいたかったですが0.011秒届きませんでした。
3位からハミルトン、ノリス、ピアストリ、ラッセル、サインツの順。ただマクラーレンは決勝の晴れの状況を想定してダウンフォースを削っていたという話で、逆にレッドブルはけっこう大きなダウンフォースを付けたようなのでどちらにより車を合わせたのか方針に違いがあったようです。メルセデスもインターミディエイト履いてるわりに底を擦りまくってたからドライ寄りなのかなあとか思いながら見てはいましたけど、これはもう決勝を走って見ないと分かりません。
なお角田はPU一斉交換で60グリッド降格となっており最下位スタートが最初から決まっていました。そのため予選もQ1であっさり脱落しています。
・決勝
しかし今回はみんな本当に床下擦りまくってたから、レース後に誰か車高違反で失格になっても驚かへんなあ。特にラッセルなんか予定以上にタイヤ使ってそのぶん車高も下がってるから、案外スキッド削れすぎて失格なったりして。まあそんなことそうそうないわな、ハハハハ。
金曜日の走行結果と日曜日も朝まで雨だったことからタイヤの摩耗は激しいのではないか、とみて大半はミディアムを選択。ここから2ストップで繋いでソフトの出番はないレースと予想されています。路面温度42℃と高荷重サーキットとしてはなかなかキツイ条件です。
スタートでペレスはやや出遅れてハミルトンが内側に入ってしまい、ここからしばらく2人の争い。オー ルージュに先にハミルトンが入ったので「これ直線で抜き返されるやつでは」と思ったら結構すごい進路変更とルクレールのスリップを活用して力業でハミルトンが2位を守りました、レッドブルの空気抵抗が大きいというのもありそうですね。
他の順位でも致命的問題こそなかったもののこまごまと色々あり、中でも大きかったのはノリス。ターン1で外側の砂場にタイヤを落としていて7位まで転落しました。位置関係的にピアストリに押し出されて先週の仕返しでもされたのかと思いましたが、単純に加速を急ぎすぎてはみ出た感じで非常にもったいない失敗でした。内側から誰かぶつかって来ないか気にしすぎて外側の道幅がうまく掴めていなかったようにも見えます。
3周目にハミルトンはDRSを使ってルクレールをかわしリーダー、ちなみにケメル ストレートのDRS使用区間は昨年あまりに簡単に追い抜きができたことから少し短縮されています。
下位勢はいつもながらどんどん前のめりにタイヤを換えにいくので7周目あたりから早くも動きがありますが、10周目には5位のラッセルと8位のフェルスタッペンが上位勢では最初にピットへ。いずれもミディアムからハードへ。
すると翌周には早くもハミルトンとペレス、ピアストリの3人が入って、入れ替わって前に出たルクレールも12周目にピットへ。これで先頭はハードでスタートしたサインツとなります。ハードでスタートしたんだからそんなにすぐは動かないですかね。はみ出たせいでたぶん計画が狂っているノリスもまだ入っていません。
ノリスは結局15周まで引っ張ってピットへ、ピット前の時点で後ろにいたフェルスタッペンにはアンダーカットされていますが、周りの動きは無視して理論上速い作戦に挑むおなじみのパターンです。そのフェルスタッペンは前を走るラッセルを案外抜けなくて、その前方にもペレス、ピアストリがいる集団走行。ラッセルを抜いたら確実にペレスと入れ替え司令でしょうね。それにしてもペレスのペースがあんまり速くない様子です。
サインツの方は無線で1ストップを伺わせる会話をしていましたが20周を終えてピットへ。一度スタブローではみ出して秒単位で失ってしまったのが痛いところで、ミディアムを履いてノリスの5秒後方で合流しました。あと24周をミディアムで走って1ストップは無理でしょうね^^;
21周目、4位~6位争いはフェルスタッペンがラッセルを抜くよりも前にラッセルがペレスを抜きました。ペレスはどうもペースが上がらないままで、ミディアムを連続で使用していますが摩耗が気になって飛ばせないのかズルズル後退。こうなるとフェルスタッペンと順位を入れ替え、と思ったらペレスはピットに呼ばれてハードに交換しました。これでフェルスタッペンは5位。
ただ、人の後ろを長時間走ったフェルスタッペンもそんなに状況はよろしくないようで、しかも新品在庫がミディアムしかないのでアンダーカットを仕掛けるにも制約があります。結局フェルスタッペンはラッセルに攻撃できず、逆に後ろから来たノリスに煽られてしまいます。
優勝争いは25周目、2.3秒差で追いかける2位のルクレールがアンダーカットを狙ってピットへ。相棒のサインツがハードで20周走ってくれたので、残り19周はじゅうぶん行けるという判断材料ですが作業時間が3.4秒とやや失敗。これを見てハミルトンはすっ飛ばして翌周にピットへ、こちらは作業後に後続車と交錯しかけましたが違反をとられるほどではなく概ね予定通り進行。ピット後もルクレールと2.5秒差と変動なく、実質1位を守りました。ただ同じ頃にチームメイトのラッセルが「1ストップを考えよう」と言い始めました。さあどうする、やるのかい、やらないのかい。
28周目、フェルスタッペンとサインツが同時にピットへ、サインツはたった8周使っただけでミディアムを捨ててハードに戻してますからミディアム使いにくいんでしょうかね。サインツはピットに入る直前、ちょうどハミルトンの眼の前にいて彼からすると邪魔な存在だったので入ってくれたのは好都合、逆にフェラーリはサインツを捨て駒にして防御させることはしなかった、ということになります。隠れたフェアプレー賞(?)
1ストップを匂わせた人も結局2ストップにしていく中、ラッセルだけはおそらく1ストップを希望し続けていたようで、エンジニアからは「ジョージ、ステイアウトするけど本当にいいのか?」と最終確認っぽいやり取り。最後は本人の責任の下1ストップで勝負するようです。10周目にタイヤ交換してるから34周も走ることになりますが行けるでしょうか。
残り10周、ラッセルとハミルトンの差は5.2秒、状況を理解したハミルトンは「ヤツを抜くにはどのぐらい速ければいい、俺はヤツを抜けるのか、無理なのか。」と質問。ピーター ボニントンの答えは「ギリギリやわ。」メルセデス同士の際どい戦略ゲームとなり、そして気づいたら36周目にはピアストリがコース上でルクレールを抜いて3位に浮上。ピアストリも速いのでメルセデスはあんまり自分たちだけで考えていると付け込まれる恐れがでてきました。
ラッセルは非常に安定してミスもなく走ってはいますが、ハミルトンもまた確実に毎周0.7秒ずつ追いついて残り4周でとうとう1秒以内の差。上からのお達しは「お互いにじゅうぶんな空間を残してね。」なので争うこと自体は自由みたいですが、あんまりのんびりしてるとピアストリが追いついて来るのでほどほどにしないといけません。
残り2周、0.5秒差に入っても抜けないハミルトン。3位のピアストリが1.4秒後方まで来ており、トト ウォルフの右手が無線のタクティクスボタンにかかっています。いや、あのおじさんはだいたい常にあそこに指が掛かっている気がします、だから急に無線で割り込んできますw
ハミルトンも0.5秒差まで来ると乱気流で車が暴れまくっていることがラッセルの後方車載映像から読み取れ、ケメルストレートで勝負できる距離感にまで入れません。たぶん0.5秒未満に詰めてDRSを使わないと抜けないっぽいんですがどう足掻いても0.5秒よりちょっと遠くなります。結局最終周も同じ状況のままついにチェッカー、ラッセルがオーストリア以来の今季2勝目、あの時はノリスとフェルスタッペンが勝手にぶつかってくれたタナボタでしたが、今回は自ら引き寄せた勝利でした。
しかし今回はみんな本当に床下擦りまくってたから、レース後に誰か車高違反で失格になっても驚かへんなあ。特にラッセルなんか予定以上にタイヤ使ってそのぶん車高も下がってるから、案外スキッド削れすぎて失格なったりして。まあそんなことそうそうないわな、ハハハハ。
[悲報]ラッセル失格
そんなことを実際に考えていたので、朝起きたら普段はフォーミュラEでしかやらない結果の確認を気になって行い、ラッセルが失格と書いてあって驚くとともに「ああ、ホンマに起こった・・・」と思いました^^;
理由は車高ではなく重量で、レース後車検で計測したら規定の798kgより1.5kg軽い796.5kgしかありませんでした。メルセデスもこれは反論のしようがなく、これから原因を特定するもののタイヤの使いすぎが原因だった可能性を示唆。
結果、優勝はハミルトンでイギリス以来の今季2勝目・通算105勝目となりました。今季は勝者が7人も誕生する混戦となっているため、複数勝利を挙げたのはフェルスタッペンに続いてこれでようやく2人目です。ピアストリは2位でマクラーレンはこれで10戦連続の表彰台。振り返るとピアストリは2回目のピットの際に停止位置を行き過ぎて作業に余分な時間を要していたので、綺麗に2秒で終わらせてたら、、、とタラレバが出ますがこの順位は立派です。ルクレールは3位となってモナコで勝って以来久しぶりの表彰台でした。
フェルスタッペンが4位、ノリスが5位と結局みんな追い抜きができないままレースを終えたのでドライバー選手権ではフェルスタッペンがノリスに対して78点差と点差を広げて前半戦を終えましたが、コンストラクターズ選手権に関してはマクラーレンがレッドブルに42点差まで迫っています。レッドブルはペレスが7位まで落ちてしまったのが結構痛かったですが、結局取りざたされていた去就問題はペレスの継続で決着したようです。
ラッセルの1ストップは見事でした。結果的には他チームの選手も『1ストップ行っとけばよかった』と思っている人がいるようで、新しい舗装に対して金曜日の少ないデータと高い路面温度を見た時に、こりゃあ無理だろうと思うか、可能性を常に考えながら走るか、そしてそれが実際できる腕と車があったかの差でした。ラッセルはちょくちょく1ストップ要求をチームにしているので、普段から手元にカードを置いているのが今回やっと生きた感じです。
ハミルトンからすると自分がミスるか変な不運さえなければ勝てるレースだったはずが、想定外の相手が横から出て来たのでかなり悔しかったと思いますが、結果オーライになりました。振り返るとメルセデスってハミルトンとニコ ロズベルグが2人だけでチャンピオンを争っていた時代には、公平性を保つために『ピットのタイミングと使うタイヤの種類は変えても良いけど、回数を変える根本的な作戦違いは認めない』という徹底した約束事がありました。
そんな時代を思うと、今回別々のやり方でほぼ同時に306km走った今回のレース、見る側としては非常に見ごたえがありましたし面白かったです。ここ数年は1ストップするといってもせいぜい5位あたりの争いで、しかもだいたい失敗してボロボロになっていたことを思えば、ラッセルとハミルトンという両雄がこういった形で優勝争いする姿を見られたというのはありがたいことですし後年振り返った時に貴重なレースになるかもしれません。
それが結局重量違反でラッセルが消えたわけですが、考えられる理由としてはもちろん単純にバラストの計算を間違えた、というのもあるでしょうが、1ストップでタイヤを使いすぎたというのは前述の通り私も別の角度からちょっと気にしていたので、可能性は高い気がします。
motorsports.comの取材に対してピレリのマリオ イゾラも可能性として認めているようで、彼によると通常の摩耗でタイヤ1本あたり新品と使用後で1kgほど軽くなってしまうそうなので、たとえば普通の20周使った人が1kg減るところ、ラッセルが34周使って1.4kg減ってたら4本で (1.4-1)×4=1.6kgぶん普通の人、ないしは自分たちが本来想定していた作戦よりも減量していることになります。
実際にどのぐらい減るかはコース特性は使い方にもよるみたいですが、スパは高速コーナーに合わせてキャンバー角を付け、その状態で長い直線を走るのでタイヤの内側の角、いわゆるショルダー部分が削れやすい特性があります。消しゴムを想像すると、平面で均等に力を加えて使うのに比べて、角をゴシゴシやるとたくさんの体積が消し飛ぶんじゃないかと思うので、スパはタイヤが軽くなる方向性ではないか、とこれは私が完全に素人考えて想像しました。
ここで3つ目の要素として、そもそもメルセデスはかなりギリギリまで重量を軽くしてこういった事態に対しての余力を持たせない方針だったとすると、他のチームなら少々タイヤを使いすぎても失格にならないところ、彼らだと失格になってしまう、ということもあるでしょう。また、もし仮に私の妄想も関わっていたとすると、タイヤの使いすぎをきっかけに想定よりもスキッド プレートも削れてしまい、厚みは大丈夫だったけどスキッドの重さもいくらかすっ飛んでいる、ということもひょっとしたらあるかもしれません。
そして、通常のサーキットならチェッカー後はそのままコースを1周し、必ずエンジニアから口うるさく言われてコース上のタイヤカスを拾いまくってみんな帰ってきます。イゾラによると4輪で1.5kgぐらいならじゅうぶん回収できるんじゃないか、とのこと。しかし1周が長いスパは唯一1周せずにピット出口から逆走ですぐ帰ってくるコースなので、タイヤカスを拾う場所がありません。ひょっとしたらメルセデスはうっかりここを忘れていた、ということもあるのかもしれませんね。
ところで、タイヤを使いすぎた結果重量規定違反で失格になった、と聞くと思い出すのが2006年のハンガリーGPです。雨でレースが大混乱になってジェンソン バトンが初優勝したレースですが、このレースで7位チェッカーだったのが急遽デビューしてF1初出場だったロバート クビサでした。
多くのドライバーが最後はスリックに乗り換える中で、彼だけは異様に巧みなタイヤの扱いを見せてなんとウエットを潰さずに走り切ってしまい、Wikipediaによると51周も走ったらしいんですが、結果レース後車検で重量不足と言われてデビュー戦入賞が幻になりました。私はこのレースを見て衝撃を受け、クビサは絶対にチャンピオンを獲る力があるS級ドライバーだと思いました。実際、その後の大怪我がなければチャンピオンになっていても不思議ではなかったと今でも思います。
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