Formula 1 Qatar Airways British Grand Prix 2024
日曜日も天候が今ひとつ、 ほぼ全員がミディアムを選択して決勝スタート。 開始時点でレース中の降水確率が60%とけっこう高めです。 ガスリーは車に不具合があるとしてグリッドに付かずフォーメーシ ョンを終えたらピットへ、フリー走行はあんまり走れないし、予選は意味が無いからほとんど攻めてないし、決勝は走れないし、何しにイギリスへ来たのかとガックリ来る終わり方です。こんなことなら予選でソフト使いまくったらよかったなあw
Silverstone Circuit 5.891km×52Laps=306.198km
winner:Lewis Hamilton(Mercedes-AMG Petronas F1 Team/Mercedes F1 W15)
F1初夏の3連戦、と言っていたらちょっと肌寒そう、第12戦はイギリスです。あ、壊れた私の部屋のエアコンは無事新しいものが納入・取り付けされました(・∀・)先週はとうとうフェルスタッペンとノリスの争いが接触という結末に繋がりましたが、フェルスタッペンによると和解したそうです。まあ1回ならそこまで関係も悪化しないでしょうが、繰り返すと修復不可能になるのでこの辺で止めておいてください、マジでお願いします、あの敬意の欠片も見えないギスギスしたレースはマジで嫌なんです・・・
(っ ◠‿:;...,
お馴染みシルバーストーンでは来年公開予定のF1を舞台にした映画の題名が『F1』となることが発表され、宣伝用の映像公開も行われるなどこっちも盛り上がってきたようです。そういえば今『フェラーリ』という映画が公開されていて、なんかミッレミリアあたりを舞台にしたエンツォ フェラーリ自身について重きを置いた作品らしいんですけど、ちょっと見てみたいなと思ってます。
・レース前の話題
今週も新しい契約が一件、ハースは来シーズンから複数年契約でオリバー ベアマンが加入すると発表しました。今年のサウジアラビアでサインツの代役として出場してその役目を期待以上に果たし、一気に知名度を上げた19歳のフェラーリ育成ドライバーですが、その時から既に言われていた通りハースに加入することになり、もちろん将来のフェラーリ入りを期待されています。今年は本職としてFIA F2に参戦していますが、今のところレッドブルリンクのスプリントで1勝したのが唯一の表彰台となっています。
たしかオートスポーツ誌で松田 次夫が書いていたと思うんですが、サウジアラビアでの活躍ぶりは特筆すべきものがあった一方で、一戦だけで評価を決めてしまうとニック デ フリースのようにいざレギュラーになったら期待外れ、ということもあるので過大評価には気を付けた方が良いという意見もあると思いますね。なおハースは今週に大型のアップデートを持ち込んでいます。
一方、先日契約を済ませたアルピーヌのガスリー。現在4戦連続入賞と安定感を出していますが、この週末はFP1の走行機会を若手のジャック ドゥーハンに譲るため走らない上に、PUの部品をごっそり交換するため50グリッドの降格が決まっています。50グリッドですから1人だけピット入り口あたりからスタートすることになりますね()フォーミュラEではないので消化しきれなくてもレース中に追加の罰を受けなくて良いのが救いですがまず間違いなく最後尾スタートです。
・予選
FP3は雨になってしまい、予選開始時点では路面はほぼ乾いたものの近隣にまたゲリラ豪雨的雨雲の姿。Q1の最初はインターミディエイトで様子見をし、乾いていることを確認してスリックへと交換していきましたが、
ペレスがターン9で飛び出してスナーバックスコプス店に入店。これで赤旗が出されると、待ってる間に次の雨雲が近づいてしまって再開後はとにかく急いでタイムを出さないといけないせわしない戦いになりました。ここでフェルスタッペンもターン9で飛び出して貴重な1周を失ってしまい、ああこりゃあQ1脱落だ、と思ったら幸いそれ以上雨は強くならなかったのでその後に記録を更新してなんとか踏みとどまりました。
ただ、飛び出した時に床下をバリバリに壊してしまったためダウンフォースが減少、この影響でQ3はいつもの圧倒的な力が影を潜めて4位となりました。そしてピレリポール争いは3人のイギリス人によって争われ、前戦でタナボタの優勝を挙げたラッセルがここはタナボタではなく実力でポール獲得。ハミルトンが2位となってまさかのメルセデスワンツー、そして3位にノリスでした。
イギリス人が予選で1位から3位を独占するのは1968年の開幕戦・南アフリカでジム クラーク、グラハム ヒル、ジャッキー スチュワートによって達成されて以来の出来事で、イギリスGPでは初でした。このレースはそのままクラークとヒルのロータス-フォードがワンツーでレースを終え、クラークはこれがF1最後のレースでした。この年のチャンピオンはヒルが獲得しています。
2024年に時を戻そう、ピアストリは5位、昨年は予選だけならノリスを上回る場面が多かったですが、最近は優勝の自信もあるのかノリスが予選で力んで変なミスしないので予選でも勝つのが難しくなってきた印象です。そして6位にまさかのヒュルケンベルグ、サインツはこれに続く7位となりました。なおルクレールはQ2で敗退しており11位です。
・決勝
というわけでガスリー不在でスタート、ノリスはターン3で車の位置取りが悪くてハミルトンの斜め後ろの 中途半端な場所に入ってしまい、 外へはみ出してしまってフェルスタッペンに抜かれました。せっかくの イギリス人トップ3早くも崩壊。その後数周すると上位3人はいずれも1. 5秒差になっているのでおそらくはタイヤ管理であえてそこにいる と思われますが、 ノリスとピアストリはDRS圏にぶら下がるべく1秒前後の差を継 続します。
どうやら今日も雨が来るようで、 国際映像でも雨へのカウントダウン開始。 15周目ぐらいには降るかもという話なので、 絶対降ると信じるなら今このタイヤを過度に守る必要性はありませ んが、 逆に本降りまで時間がかかって待つ時間が長いと思うならそこまで きっちりタイヤを残す必要があり、 ここは予測とタイヤ管理に関連性が出てきます。基本はいつどうなるか分からないのでできるだけ長くもたせることだとは思いますが、人の行く裏に道あり、花の山、と言いますからねえ。
15周目、 ここでターン1側の受けるカメラに水滴が見えたのである程度予想 通り雨が来た模様。 ちょうどこのタイミングでノリスがフェルスタッペンとの距離を詰 めて明らかに待ちから攻撃へと切り替えており、 ターン15でDRSを使ってスパッと抜きました。 特にフェルスタッペンは抵抗もしなかったのでここでの順位を気に していないか、まじでこれ以上速く走れないのか。フロアは直してると思うんですが規則の範囲内では完全に戻せない箇所でもあるんでしょうかね。
17周目には観客のみなさんも急いで雨具を装備しますが、 そんな状況でピアストリもターン15でフェルスタッペンをかわし ました。映像を見ていて「待てそこは濡れてるぞ!」 と思いましたが、ピアストリはうまいこと限界を見極めてすっ飛ばない場所をちゃんと見極めて突っ込んでいたようです。こういうあたりやっぱり非凡だなと思いますね。というかなぜ未だにDRSの使用が許可され続けてるんだw
さらに18周目、 ここまでは2位で見ていたハミルトンが急にラッセルに追いついて これまたターン15でラッセルをかわし先頭へ。インターミディエイトに タイヤを換えるとしたら、この位置関係のままではピットで列になって待たされるか、1周交換を待たされるかでいずれも最適な作戦を手に出来ないので、チームメイトより先行して主導権が欲しいところでしょう。
しかしハミルトンは抜いたのも束の間、続く19周目のターン1でだいぶ降ってきた雨に足をすくわれてコー ス外へ、ラッセルも一緒になって飛び出します。これでラッセルはノリスにも抜かれ、翌周にはかなり慎重になっている様子のハミルトンもノリスに抜かれました。雨に備えているのかダウンフォースマシマシなマクラーレン、圧倒的な 速さで20周目にはピアストリも2位となります。このあたりで 中団では数人がとうとうインターミディエイトへ交換を決断してい ますが、ハミルトンは「まだドライの部分が多い」 と交換すべきでないと主張。
この雨は一時的なものにとどまり、さっきは水しぶきすら上がっていた場所が一旦おさまったのでタイヤを換えずに生き残るのが正解でした。しかし次に来る雨は時間が長い本格的なものになりそうで、これでやれやれ終わった、とはなりません。とりあえず今分かっているのは、 さっきインターに換えてしまったペレスとルクレールが大失敗だっ たという事実だけです。
そして26周目、ふたたびの本格的な雨襲来。劣勢のフェルスタッペンとその後ろにいたサインツはとうとうインターミディエイトへ交換します。一方コース上ではリーダーのノリスがミスったのかピアストリに追いつかれますが、距離が詰まったら同時にタイヤを換えられないジレンマも起きます。
27周目、ノリスはピットに入りましたがマクラーレンは待ち時間の発生を嫌ってピアストリはコース上に残しました。逆にメルセデスは渋滞覚悟でハミルトン、ラッセルを同時にピットに呼びます。 ここの判断はメルセデスが正解で、取り残された ピアストリが直面したのは、もはやスリックではまともに走れないツルツルの路面でした。1周してピットに たどり着くころには既にタイヤを換えたノリスが真後ろにおり、数秒の渋滞を避けるためにピット1回分の時間を失ったことになります。
これでサイクルが一巡し、ノリス、ハミルトン、 フェルスタッペン、ラッセル、サインツ、 ちょっと離れてピアストリのトップ6。おお、 ヒュルケンベルグがまだ7位にいるではないか。映像を見ていると場所によっては路面水量が減っているようにも見 え、「あと6分は雨が続くぞ」というピーター ボニントンからのお知らせにハミルトンは「 雨はどこも降ってないぞ」。 走っている分には他の車の水しぶきと大差ないレベルのうっすい雨と見られ、これだと高速のシルバーストーンでは タイヤがゴリゴリ減っていきます。
34周目、 雨漏りでもしたのかラッセルに突然リタイア司令が飛んでガレージ へ。冷却系のようです。すぐにハミルトンにも伝えられますが、 そう言われても気をつけようがありませんね。これでイギリス人表彰台独占の夢は途絶えました。
37周目には明らかに空が明るくなって日差しが復活、 ハミルトンはノリスとの差を2秒前後に縮めてきました。もう雨は止んでますね。こうなるともう1回タイヤ交換が必要でしょうが、インターはだいぶ傷んでいる上に路面水量が場所によってもだい ぶ異なるため、単純に「◯秒までペースが上がったから交換」 とも決めにくくドライバーの感触やエンジニア側がコース全体の他車のタイムなどの状況をいかに把握するかがとても大事です。
すると38周目、真っ先に2位のハミルトンがピットに向かい3位のフェルスタッペンも続きました。 ミディアムの在庫がない両者、ハミルトンはソフト、 フェルスタッペンはハードとタイヤ選択が分かれます。残りが14周なのでソフトでも行けそうではあるんですが、雨でラバーが流れていると摩耗が進みやすいのでソフトの場合丁寧に走らないと最後がキツイ可能性もありますね。少し離れて5位のピアストリも入りましたが、こっちは在庫を持っていたの でミディアムです。持ってるならミディアムが今日使った実績もあるので安心感あります。
後ろが動いたので翌周にはノリスもピットへ。チームが決めている停止位置を少し行き過ぎてしまったせいで1.5秒ほど作業時間が余分にかかってしまいました。新品のミディアムを持っているノリスですが、ここはソフトを選択。しかし1周後に動いたのは結果としては出遅れで、ピットを出たらハミルトンの後ろとなってしまいます。ハミルトンの方もピット作業の際に他車との交錯を避けるために余分な1秒ほどの静止が発生していたんですが、適切な判断によって大きな損失にはなりませんでした。
ただこれで仕事が終わったわけではありません。 順位はハミルトン、ノリス、フェルスタッペンですが、 タイムでいうと速いのはフェルスタッペン、ノリス、 ハミルトンと逆順、 つまり後ろから2人がどんどん追いついてきます。 ピアストリも同等なんですがいかんせん15秒以上後方にいるので 追いつけません。
残り8周、1位・2位・3位の差がいずれも2.2秒という状況、 ここまでの推移だとまずフェルスタッペンがノリスに追いつくほう がちょっと早いのかなと思っていたら、 ここからノリスが少し落ちてきて私の想像通りまず2位と3位 の争いとなります。ちょっともたついてくれたらハミルトンは超ラッキー。
片山 右京「ここでトト ウォルフが『勝てるぞ』って言わなければ・・・」
右京さんが先週のオーストリアのレースを見ていた人ならだいたい吹き出すであろう絶妙のボケを挟み込んできました。ドライバーが「うるせえ!黙れ!」と言いたくなるようなどうでも良い無線だけどチーム代表相手だからそんなこと言えるわけない、という笑えない状況と、トトなら本当に言ってそうだなということまで想像できて秀逸なボケだと思いますw
走っている方はそんな小ボケを気にしている余裕など一瞬もありません。48周目、 ターン15でフェルスタッペンは一発でノリスを抜くことに成功、 DRSを使ったRB20に対してダウンフォース増量キャンペーン中のMCL38 は何の抵抗もできませんでした。これでノリスはあんまり壁にならず、残り3周でハミルトンとフェルスタッペンの差は3.2秒です。 しかもハミルトンの前にはちょろちょろと周回遅れが出てきて、1回でも変に引っかかると致命傷になりかねない緊張感のある状況となりました。
周回遅れの中にはペレスもいたので後味の悪いことが起きなければいいなと思ったらあっさり譲ってくれ、2.5秒差で最終周に入ったハミルトン、 かなり底を擦って火花を散らしながら走っているので車検大丈夫か な?とかもうレース後車検のことが心配になってきましたが、 大事に最後の1周を走って2021年サウジアラビア以来となる通 算104勝目、 イギリス最強の王者はシルバーストーンで通算9勝目、 1人の選手による単一サーキットにおける史上最多勝利記録を樹立 しました。
また、シルバーストーンではこれで11年連続・12戦連続の表彰台(2020年はイギリスGPと70周年記念GPの2回開催されている)、通算では15回目となり、これらも単一サーキットでの記録としては最多。また39歳と182日での優勝は21世紀に入って以降では最年長優勝記録、通算出場回数が300戦を超えてから優勝を記録した選手は史上初でした。車検も無事通過しました。
フェルスタッペン、ノリスと続き、4位はピアストリ。サインツは5位走行で後ろとものすごい差があったのでフェラーリ久々のプランFが採用され、狙い通り追加の1点をもぎ取りました。そのすごい差の6位は誰だと言ったらヒュルケンベルグでこれで2戦連続の6位。ハースの2戦連続6位以上は2018年以来の出来事でした、アップデートが機能している模様。ストロール、アロンソ、アルボン、そして普通に晴れのレースならたぶん入賞できなかったであろう角田が10位に入りました。
アルピーヌが復調気味、ハースはアップデートで競争力向上、となると、スペインで新しいものを色々持ち込んだのに問題が続いてちゃんと性能評価も合わせこみもできていないVCARBは後半戦に対してやや劣勢に立たされたかもしれません。なおルクレールは14位、ペレスは17位でした。
イギリスは普段より開始時間が1時間遅い日本時間23時からなので最初から生放送を捨てて録画で見ましたが、うっかり結果のネタバレをしなくて本当によかったです。雨がらみのレースは意味不明なレースになってどっと疲れることも多いですが、今回は手に汗握る展開で本当に面白かったです。
メルセデスは結果的に3回おとずれた雨がらみの選択肢で全て正解の選択肢を選び、(といっても1回目でうっかりタイヤを換えたのはごく少数だが)ハミルトンも1回飛び出した以外はそれに応える素晴らしい走りでした。最後のスリックへの交換が決め手になりましたが、ここはやはりベテランの判断力と、異様に乾いているところを見つけて走るのが上手い彼のセンスがあってこそ自信を持って決断できたと思います。安定した成績はなかなか残せずに尖っているW15ではありますが、フェラーリ行きはなんか成績をさらに落としそうな気配も漂って来年以降さらに勝てない気もするだけに、ここイギリスでメルセデスで勝ったというのはもうハミルトンの長年の積み重ねが引き寄せたとしか言いようがないですね。
逆にマクラーレンは2人のコース上での速さをタイヤ交換の判断で順番に切り崩されてしまって惜しいレースでした。ピアストリをスリックでコース上に残したのは自分たちでも後から認めるしかない失敗で、直前に変に追いついてしまったために逆に迷ってしまったのかなと思います。もちろん、あの状況ですから後方の選手がタイヤを換える前に砂場にハマってSCが出る、結果コース上にいてめっちゃ得する、みたいな可能性もゼロではなかったですが、堅実に2台入れておきたかったですね。ちょっとノリスが初優勝を逃したロシアでのレースを思い出しました。
2回目のタイヤ交換は前を走る人ゆえの出遅れという面もありますから難しいところですが、ミディアムを選んでいたらどうだったのかなとは思いました。ハードを選んだレッドブルは、序盤にペレスが履いたハードのデータから傷みやすいソフトよりも良いと判断したようですが、そんな彼らからしてもノリスがミディアムを選ばなかったのは不思議、とのこと。ハミルトンは先頭走者なのでまだタイヤが管理しやすかった一方、ノリスはハミルトンの2~3秒後方でどうしても乱気流を受けるので先にダメになってしまいました。ひょっとしたら1周後からタイヤを換えても前に出られるという読みだったのかもしれませんね。
結果的にこの3連戦は全て異なる勝者が誕生し、王者による圧倒、強者同士の接触、雨がらみの混戦、とそれぞれある意味F1らしいレースが展開されて、全部同じ人が同じように勝つ3連戦より数倍盛り上がることができました。マグレではなくいよいよ局面次第ではレッドブルが最速ではない部分が目に見えるようになってきた、というか実はもう既に最速では無いものがフェルスタッペンの力でどうにかなってるだけかもしれませんが、運営とすると非常にありがたい勢力図になってきました。もうF1見なくてもいいかな、と思いつつやっぱりこうしてやめられないんですよね~。
あと、あのスリックでまともに走れない状況で事故らずにちゃんと帰ってきたピアストリは結果には繋がりませんでしたがすごい走りだったと思います。あの技術が勝利を引き寄せる日もそう遠くないかもしれません。
次戦は1週のお休みを挟んでハンガリー、そしてベルギーに続く2連戦。これを終えると約1か月の夏休みに入ることができます。

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