F1 第11戦 オーストリア

Formula 1 Qatar Airways Austrian Grand Prix
Red Bull Ring 4.318km×71Laps=306.452km
winner:George Russell(Mercedes-AMG Petronas F1 Team/Mercedes F1 W15)

 F1初夏の3連戦、2戦目はオーストリア。1周があまりに短いので目が回るような忙しさでこれがフィルムカメラの時代だったらカメラマンさんはフィルム交換が終わる前に車が1周回って来てしまって大変だったことでしょう。そしてただでさえ目が回るのに、このレースはスプリント方式の週末ですからさらに目が回ります。3連戦ではやらない、とかもうちょっと制限付けた方が良いと思うんですけど。

 そして開催地のレッド ブル リンクは昨年1200件を超えるコース外走行の嫌疑がかけられて調査が全くもってセッションの進行に追いつかないことで審判の目が一番回りました。本質的には決められた規則を守っていない人間が悪く、実際決勝レースで一度もはみ出さなかった人もちゃんといるわけですが、参加者も世論も「運営と規則とコースがおかしい」とばかりに批判。そんなわけで、今年ははみ出しやすいターン9と10の外側にちょびっとだけ砂地を用意して、はみ出したらそれなりの代償が発生する設計としました。昔から『無理が通れば道路が引っ込む』って言いますからねえw


 なお、よく『コース外を全部砂と芝生にすれば良い』という意見が出てきますが、そもそもの話は砂や芝生だと車が不測の事態でコース外に飛び出した際に安全に停止できず人命に危険が及ぶために舗装したという経緯がありますから、これは参加者を危険に晒すだけなので安易に採用できない案です。このコースは2輪でも使用するので併用できる構造も求められており、小さい砂地を埋めるだけで2輪にも使えるこの設定は他でも使われるようになるかもしれません。

・レース前の話題

 連戦の最中ですが契約書に数枚ハンコが押されました。アストン マーティン アラムコ フォーミュラ 1 チームはランス ストロールと複数年の契約延長で合意したと発表。チームは既にフェルナンド アロンソと2026年までの契約延長で合意していますので、ホンダPU初年度の2026年も同じ顔触れとなります。ストロールは言うまでも無くチームのオーナーの息子ですから、ほとんど『希望すれば終身雇用』的立場だと言われています。ただ、ローレンス ストロールが本気でチャンピオンを獲りたいと思うのであれば息子を諦める決断が必要とも最初からずっと言われており、2026年をどうするのかと思われていましたが普通の結末でした。角田が2026年にホンダと一緒に加入、と期待していた方にはがっかりニュースになりましたね。

 まあひょっとしたら2026年規定の車とストロールの相性がむっちゃ良くていきなりトップ選手に化ける可能性も無いとは言えませんし、チャンピオンを争う車になっていなければフェルスタッペンを雇おうが息子を雇おうが5歳の親戚の孫を雇おうがチャンピオンを獲れないことに変わりがないので、始まってから改めて考えるつもりかもしれませんね。

 そしてもう1人、アルピーヌがガスリーとの契約延長を発表。スペインGPの前の段階ではオコンがクビになることだけが決まっていましたが、ガスリーとは複数年の契約延長で合意しました。ちょうどここ3戦連続で入賞して上り調子のガスリー、アウディーからもお声が掛かっていたようですがフランスのチームにとどまる決断。アルピーヌはガスリーの相棒について現在検討中です。

・スプリント予選

 今週は安定のフェルスタッペン、危なげなく最速でスプリントの1位スタートを確保しました。2位からノリス、ピアストリ、ラッセル、サインツと続き、SQ1の最初のアタックではみ出してフロアを壊したらしいハミルトンが6位でした。
 時間が短いスプリント予選であってもできれば路面状況が良い最後に走りたい、というのはみんな同じですが、今回はターン9・10の砂場追加でやや砂が撒き散らかされてしまうので本当に得なのか微妙な状況。しかし最悪だったのはルクレールで、ピット出口の渋滞で待機していたらエンジンが落っこちてしまい、再始動に手間取って最後のアタックに入れないまま時間切れになってしまいました。

・スプリント(24周)

 ノリスの体調があまりよろしくない、という話が舞い込んできてちょっと心配、そしてメルセデスのアンドリュー ショブリンがなんか額に手を当てて画面を見ているのもまた気になります。何か不具合でも起こってるんでしょうか。
 タイヤは全員がミディアムを選択、いよいよスタート、と思ったらなぜかスタート手順が取り消しになって隊列周回を1周追加。事後情報では、人気撮影スポットのターン1にたくさんのカメラマンがいたけど、場所的に万一事故が起きた時に危険な場所なので移動させるためだったことが分かりました。立ち入りが許可されていた場所がどうしてそんな土壇場で決断されたのか謎ですが、これでレースは1周減算されて23周になりました。なお翌日はここが正式に立ち入り禁止区域になったそうです。

 改めてのスタートでフェルスタッペンはリードを維持、マクラーレン同士の2位争いがあったものの入れ替わることはなくそのままの順位でした。しかしDRSが使えるようになるとこのコースでは利益が大きいのでノリスがフェルスタッペンを攻め立てていきます。
 5周目のターン3、ノリスが突撃ブレーキでフェルスタッペンをかわしますが、フェルスタッペンはDRSが無いにも関わらずターン4でお返し。抜かれたノリスにはさらにピアストリが並びかけ、ノリスはあっさりと僚友に道を譲りました。抜かれる際にノリスはもう電池切れして失速したっぽいので、無理に抑えても利益が無いと考えたでしょうか。

 その後は残念ながら(?)ピアストリが数周でフェルスタッペンのDRS圏から外れてしまい、フェルスタッペンが今回のスプリントでも優勝しました。ピアストリ、ノリス、ラッセル、サインツ、ハミルトン、ルクレール、ペレスのトップ8でした。

・予選

 ソフトの在庫が少ないのでQ1では中古タイヤしか使わなかったフェルスタッペン。それゆえ真の実力は不明でしたが、Q2で新品を投入して走ったら速すぎてたぶんポールを争うライバル勢の心が折れましたw
 Q3でも一発目から誰も届きそうがない1分4秒426を記録すると、2回目にはこれをさらに1分4秒314まで詰めてピレリポールを獲得。2位は頑張ったけど0.4秒も置いていかれたノリス、そして3位はピアストリのはずでしたがターン6でわずかにはみ出していたので記録が無効化され、代わってラッセルが3位。サインツ、ハミルトンの順。ピアストリは1回目のアタックのタイムだと7位でした。
 ルクレールは今日は時間には問題なかったけどこちらもターン6ではみ出してもうこの時点で無効なので無理しなければよかったのに続行したらターン9で滑ってすっ飛んでしまい、さらに床下をバリバリに壊しました。後続車のアタックの邪魔にならなかったのが救いでしたね。ルクレールもこれで最初の計測での記録となりましたがピアストリの1つ上・予選6位でした。この失敗アタッカー2人の差は0.004秒でした。


 そしてセッション後、Q1の最中に角田が無線で暴言を吐いたとして罰金が課せられました。ピット内で周 冠宇が割り込んできたのでこれにキレたようですが、ざっくり訳すと「このガイジが」的な差別的発言をしていました。本人は「英語が母国語ではないので意味を知らずに使った。本当の意味を知ったときはぞっとした。」と釈明。4万ユーロの罰金(ただし2万ユーロは執行猶予付き)を受けました。私は前戦の記事で



 こう書いたばかりなんですけど、早速やってしまいましたね。何度も書いて来たと思いますが、角田は調子よく結果が出ているときは殊勝な態度の一方で、うまく行っていない時に自己制御ができず、そしてちょっと「何か不満がある時に放送禁止の汚い言葉を使って怒るのが格好いい」みたいな考え方が染み付いてるようにも見えます。
 そもそも差別的単語を用いていなくてもいわゆるFワードも同時に発しているので褒められたものではないですし、英語が母国でない、という話なら何で英語であるFワードで文句は言うんだ、という話になります。だったら「ボケ!」「ウザいんじゃゴミが!」と日本語でキレても不思議ではないところをわざわざ英語で吠えてるわけですし、英語の先生が「いいですかユウキさん、怒った時はF※※※って言うんですよ、リピートアフターミー、フ(自主規制)」なんて教えてくれてるわけでもないでしょう。誰か今まで見てきた人の言動を真似して吠えていると思えます。
 「グリップしねえよ!」「押し出されたよ!」と状況を伝えたりする英語がちょっと汚くなるなら分かりますが、暴言はそもそも母国語でない人間であれば『これはダメじゃない?』という認識があれば学ぼう、言おうとしないので口からそんな咄嗟には出てこないはずです。もし仮に過去に誰かドライバーなり周りの大人なりがこうした発言をしているのを見て「俺も使ってみよう」と思ってきたのなら、それが間違えていることに気づかないといけないですし、まさにF1選手のような影響力のある人が侮辱的単語を発することがいかに他者の思考を歪めるかというのを証明していることにもなっています。
 過去にはフェルスタッペンも同じようなことを言っていたのに罰金も呼び出しも無かった!角田だけ扱いがおかしい!とか言う人もいるかもしれませんが、何の擁護にもなっていません。年々こうした発言をきちんと是正しようという流れは強まっていますし、むしろ当時取り締まってない方が悪いです。間違えていることを発信して真似する人が出ないようにするのも立派な責任なので、角田にはきちんと態度で、そして周りの人も間違っていることは間違っているとちゃんと言うのが大事だと思います。

・決勝

 ピットからスタートするジョウ以外全員ミディアムでスタート、スプリントをやるとだいたいタイヤの寿命やペースが見えてしまうのが難点ですw
 スタートは今日もフェルスタッペンが危なげなく動き出し、ノリスに対してラッセルがちょっかいをかけたのでDRS圏から千切れてしまいました。この後ラッセルはハミルトンとDRSの使い合いになって身内同士で争ったので、2位のノリスは前後とも離れて単独になってしまいます。


 一方、運が無かったのはルクレール、スタート直後のターン1でピアストリの右後輪と自分のウイングの左端が接触し、これでウイング交換が必要になりました。個人的にはこの接触の遠因はペレスが内側からやや無理な角度で飛び込もうとしたせいではないかと思います、ここのターン1は真ん中よりも内側から入ろうとすると角度的に無理があるんですよね。この後ピアストリもターン4でペレスに押し出されて抜かれましたが、どうやらこの件が記録されて審議入りしそうだったのでペレス側が7周目に順位を返した様子です。

 路面温度が47℃を超えているのでけっこうなタイヤ我慢レース、じゃあミディアムからハードに交換したら良いかというと、ウイング交換ついでにハードにしたルクレールが速くないのでどうも使い勝手は悪そうです。速くないけどグリップ不足で表面が滑って加熱するのでそんなに寿命も長くなってくれないという美味しくない特性のようで、こうなるとミディアムでそれなりに引っ張りたい展開。
 21周目に上位勢では最初に5位のハミルトンと7位のペレスがピットへ。ハミルトンを後ろから見ていたピアストリは「ハミルトンがピットの白線を跨いだ」と無線で告げ口しており、確かにターン9で滑ってしまって意図せず白線を踏んでいました。これで5秒加算ペナルティーを受けることになり、本人も謝ってるのでミスった自覚があるようです。ここのピット入り口は屈指の難しさだと思いますね。
 翌周にラッセルとサインツも動いたので、23周目にフェルスタッペンとノリスもピットに入りました。既に両者には6秒以上の差が付いていたので、作業を終えて走行レーンに出ていくフェルスタッペンとこれから入るノリスが交錯しかけ、ノリスは邪魔されたと主張します。軽くブレーキを踏まされました。

 25周目、ピアストリもピットに入ってサイクル一巡、上位勢ではラッセルだけがミディアム連投、他はハードを履いていますが、特にレース展開に変化はなくここ最近では久々の上位勢何もなし状態です。唯一あったのはペレスがピット内速度違反で5秒ペナルティーを受けたことぐらい、何やっても上手く行かないですね。
 レース折り返しの35周を終えてフェルスタッペンとノリスの差は8秒、ピットでの交錯の件はノリスがちょっと大げさだったのか審議の結果罰則無しで決着しました。中団ではオコンとガスリーがやり合っていて、ガスリーが押し出されたので後ろで見ていたアロンソは無線で「ワオ」とお客さん気分(?)です。

 
 フェルスタッペンはこの後タイヤの感触が今ひとつだと言い始め、周回遅れの存在も相まってノリスが6.5秒差あたりに少しだけ接近。ノリスに合わせているわけではなく本当にこれ以上速くは走れないみたいです。46周目にラッセルがピットに入ったところから上位勢には2回目のピットサイクルとなりフェルスタッペンもできればタイヤを換えてほしいところですが、今入るとちょうど周回遅れの大集団にハマってしまうので待てのサイン。
 それでも、「このタイヤ終わっとるぞ!」とハミルトンみたいなことを言い出したので、51周を終えてピットに入りノリスも一緒に入りました。フェルスタッペンはここで左後輪が外れなくて時間を食ってしまい、これでノリスと交錯する危険があったため待機の時間まで発生。これで両者の差は2.5秒になり、さらにフェルスタッペンがピットを出て早々ターン4のブレーキで失敗したのでさらに縮まって2秒差となりました。
 タイヤは両者ともミディアム、獲物が見えたことでノリスは攻め時と見てタイヤを使って攻めているようで54周目にはDRS圏に入りました。どうせ後ろのラッセルは10秒以上離れているし、何もせず2位になるよりは攻めてタイヤが潰れてからあとを考えれは良い話です。

 55周目、DRSを使って飛び込もうとしたノリスに対してフェルスタッペンは減速しながら進路変更して防御の動き、ちょっと危ない。フェルスタッペンは「何か突然車がおかしいぞ、グリップ無い!」とピットを不安にさせることばかり訴えますが、乱気流を受けることを考えるとノリスにもそんなに残された時間がありません。しかもコース外走行が累計3回に到達してしまい、次やったらペナルティーですから抜こうとしてはみ出しても負けです。
 59周目、ノリスはターン3で飛び込みましたが突っ込みすぎてコース外へ。一旦前に出たけどこれは返すしかありません、というかこれ4回目の違反にカウントされません?


 デデーン、ノリス、アウト~。ノリスにはやはり4回目のトラック リミット違反で審議となりますが、ノリスはそんなことよりフェルスタッペンのいやーな進路変更についてなおも不満たらたらです。さらに63周目、再びのノリスダイブで今度はフェルスタッペンがコース外に出てしまってお互いに非難の応酬です。ノリス的にはフェルスタッペンが危険行為でペナルティーを食らうか、自分と同じようにコース外に出まくって5秒ペナを食らったら条件が対等になりますが、まさかそこまでどす黒くはないだろう・・・そして64周目、

 とうとう起こりました、接触で両者ともパンク。ムービングブレーキを繰り返すフェルスタッペンに対して今回は意表をついて外側にノリスが飛び込んだところ、既に相手は横にいるのにフェルスタッペンは寄せたので横同士が接触しました。即座にタイヤが駄目になったのはフェルスタッペンでしたが、ちょっとずる空気が抜けていったノリスは意地になって速く走ろうとしたせいか右後輪を激しくパンク。どっちも当然優勝争いから脱落です。
 これでリーダーはなんとラッセル、トト ウォルフから無線で「勝てるぞジョージ!」と熱い激励が入りますが、ラッセルは「運転に集中させて!」。さすがにチーム代表に「うるせえ黙れ!」とは言えませんねw
 そして2位にはサインツ、を抜いてピアストリが浮上。ハードを履いたラッセルよりも速いのでもしや!と思ったらノリスが破片をハゲ散らかしすぎて一時VSCとなりました。VSC解除後はラッセルもペースを上げたのでピアストリはさすがに最終周に入る辺りで降参。ラッセルがまさかの展開で2022年ブラジル以来の通算2勝目を挙げました、ごっつぁんです!そういえばラッセルは去年のレースで一度もトラックリミット違反しなかった貴重な選手なので、サーキットの神様が味方してくれたのかもしれませんね。


 表彰台の真ん中にラッセル、その両脇はピアストリとサインツ。ピアストリはあと1.9秒、実質は3秒ぐらい届きませんでしたが、予選で利益どころかちょっと損しているかもしれないターン6をはみ出して記録が取り消されたことには不満を持っているようです。もし3位スタートなら俺が勝ってたのに、と思ってるでしょうけどみんな同じルールでやってますし、トラックリミットの神様がラッセルに付いてますから仕方ないですね()
 ハミルトンは白線を踏む失敗やらなんやらまとまりがなく4位でガックリ、フェルスタッペンはパンクしても5位でした。衝撃的だったのはハースで、ヒュルケンベルグが6位、マグヌッセンが8位と望外の大量得点。ヒュルケンベルグにとって6位は2019年のイタリアで5位になって以来だそうです。
 とにかく早めにタイヤを換えてトラック ポジションを重視してあとはどうにか耐える作戦を採用したところ、今日はみんなタイヤを気にしてほとんどの陣営がこの動きに無反応。これが奏功して空いた場所を走れた上に、争っていたアルピーヌが同士討ちして時間を浪費したので大きな利益を生みました。しかもヒュルケンベルグは最後にペレスを抑えきっています。
 この2人を抜けはしませんでしたが、同じ作戦で付いて行ったダニエル リカードも9位でビザルビーは2点を確保。アルピーヌはガスリーの1点だけにとどまって、オコン解雇論がさらに加速しそうな情勢です。というかオコンはあんだけ暴れるとF1どころか世界の代表的なカテゴリーのどの有力チームも彼を獲得したいとは思わなくなるのでやればやるだけ損でしかないと思いますね。


 この週末はフォーミュラEでキャシディーが優勝を目前に単独スピン、NASCARでは300周のレースが331周まで延長されて優勝を目前にしたドライバーが相次いでクラッシュとガス欠により脱落し、そしてF1はこの結果という劇的な週末でした。フジテレビ放送席ではスペインGPの際に「フェルスタッペンとノリスは2021年のフェルスタッペンとハミルトンみたいにギスギスしてなくてレース後も楽しそうに振り返ってるのが良いですね」みたいな話をしていたところですが、F1ドライバーが仲良くし続けられるわけもありませんでした^^;
 ノリスはスプリントの状況からフェルスタッペンを狙えるチャンスはそう長くはないと感じていたと思うのであそこで勝負をかけるのは当然ですし集中力もさすがでしたが、59周目の飛び込みは意地になりすぎたように見えます。フェルスタッペンの危ないブロックを避けるために意表をつくしかなかった、相手が動いてくるから真っ直ぐブレーキを掛けられずとまれない、というのはあるにせよ遠すぎましたし、あと1回はみ出したら5秒加算という状況ではもう少し落ち着かないといけなかったと思います。
 一方でフェルスタッペン側も、ランビアーズがどう伝えていたか分かりませんがこの段階で5秒加算はほぼ確定していましたから、ここから先で無茶な動きをする必要性は低かったと思います。抜かれたら5秒ぐらい簡単に離される!と思っていたのかもしれませんが、真横にいる相手にぶつかるのはいくら巨大で視界が悪い車でも結果としては最悪の部類でしょう。減速中の進路変更も含め、昔の悪い癖が出たように見えました。
 単純に選手権だけ考えたらこのレースの1位を死守する意味は殆ど無いので、先に行かせて5秒以上離れたらしゃあない、の安全策でも問題ないわけですが、やはりそこはドライバーとして単純に負けたくない意思が全面に出た対決でした。こういう理屈を無視した意地のぶつかりあいはこの数年なかなか見られなかった光景ですし、ここまではまだフジテレビの話じゃないですが「余裕で受けてるチャンピオンvsダメもとで挑む挑戦者」ぐらいの感じだったものが、今回はより対等なライバルという雰囲気を感じました。
 それだけフェルスタッペンはノリス/マクラーレンを脅威と考え始め、安易に引いて負けを認めるようなことはやっていられないと考えだしてるのかなとも思いました。まだ1回程度の接触ならそんなに後には引きずらないと思いますが、レース後もニコニコレース映像見ながら談笑をするようなことはこれからは減っていくかもしれませんね。
 マクラーレンがあえてフェルスタッペンと同時にピットに呼び込んだのが、アンダーカットするには遠すぎ、かといって履歴差を作って勝負できるわけでもないので、この差ならピットでの交錯でひょっとしたら足止めできるかも、という考えに基づいていたとするのなら本当に策士だなと思いますし、レッドブルのクルーはその罠に手元を狂わされてまんまとハマってしまったわけですが、実際どうだったんでしょうね?

 次戦は3連戦を締めくくるイギリスです、ちょうど総選挙が終わって新しい首相が誕生していますが、別にレースには関係ないですね。

コメント

カイル・プッシュ さんのコメント…
フェルスタッペンとノリス、いつかはやるんだろうなーって雰囲気でしたよね。
どっちが悪いのかってゆう問題はありますが、意地と意地(プライドとプライド?)のぶつかり合いは、見てて面白いです。レース!って感じがします。だからと言って、クルマとクルマのぶつかり合いは避けて欲しかったですが。
ここ何戦かを見てると、盛者必衰の理って言葉がよぎりますよね。これを書いている14時間後にスタートなのですが、シルバーストーンはどうなるのでしょう。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 車同士のぶつかり合いは避けてほしいですけどまだこのぐらいで止まってくれたら見ている側とすると待ち侘びてきた熱い戦いの復活で大歓迎ですね。お互いに敬意の欠片もないやつはやめて欲しいです^^;
 シルバーストーンも一筋縄ではいかない気がしますね~、何せフェルスタッペンは今日もまたチームメイトの援護が期待できない(笑)