SUPER GT 第2戦 富士

2024 AUTOBACS SUPER GT Round2
FUJI GT 3Hours RACE
富士スピードウェイ 4.563km 3hours
GT500 class winner:Nittera MOTUL Z 高星 明誠/三宅 淳詞
(Nissan Z NISMO GT500/NISMO NDDP)
GT300 class winner:JLOC Lamborghini GT3 小暮 卓史/元嶋 佑弥
(Lamborghini HURACAN GT3 EVO2/JLOC)

 オートバックス SUPER GT 大型連休お馴染みの富士スピードウェイ。今年はGT30年の歴史で初となる時間制レース・富士3時間です。想定されるレース距離は概ね500kmを超えたぐらいになりそうですが、時間制な上にSC導入時の手順にすごく時間のかかるカテゴリーなのでちょっとしたことでけっこう数字が変わってしまいます。
 GT500クラスはどちらかというとシーズンで2回開催される富士と鈴鹿での速さを主眼において車両開発が行われる傾向にあり、開幕戦の岡山での優劣だけではなかなか年間を見通せないところがあります。今年はホンダがNSX-GTからシビック タイプ Rにベース車両が変わっていますので、速いであろうとされる最高速が実際にそうなっているのか、それが富士での強さに繋がっているか、というのが注目の1つ。NSXはシュッとしてるけどシビックは角ばってるから抵抗が大きいのでは?と思ってしまいますが、実際はシビックの方が前面投影面積が小さく、NSXはFR化で不要になった『元吸気口』もただの抵抗物なので理屈ではシビックの方が抵抗が少ないんです。

・予選制度、手直し

 今年から始まったタイム合算予選、開幕戦を踏まえて微調整が入りました。手抜きを防ぐためにQ1、Q2ともいわゆる107%ルールが適用され、守れないとピット レーンからのスタートというのが開幕時点での規則でしたが、Q1で一発勝負のアタックをした上でミスるとこの対象となってしまいます。開幕戦ではARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8がこれをやってしまい、Q2は走っても無駄なので出走しませんでした。
 GT500でピットからのスタートだとGT300も全員通過してから発進なのでかなりの損失となり、さすがにこれだと厳しすぎるし走らない人が出るのは・・・ということで、今回からQ1では107%ルールが無くなってとりあえず何かしらのタイムさえ出ていれば構わないことになりました。Q2では107%ルールが残ります。

・今回の特別ルール

 長距離レースということで今回も限定ルール登場、第3ドライバーの登録が可能となっているのと、給油を伴う2回のピット作業が義務付けられました。その給油義務は5周目以降でないと有効にならず、またSCが導入されて再開される前のピットレーン オープンのタイミングでの給油も義務回数には含まれません。とはいえ2ストップレースだと思うので、レース距離を考えたらそんなに早く入る人はまずいないとは思います。

・予選

 GT300クラスは、今回ちょっとしたアップデート部品を投入したJLOC Lamborghini GT3(6kg)・元嶋 佑弥/小暮 卓史が合算で2位に0.5秒近い大差を付けてポールを獲得。元嶋にとっては初、小暮もなんとGT500時代の2012年第3戦セパン以来だそうでGT300初ポールでした。ちょっとした部品というのはボンネットのルーバー(空気排出口)に取り付ける整流板で、今までは冷却の仕事を終えた熱い空気がエンジンの吸気口とウイングに真っすぐ向かっていましたが、整流版で左右に逃がすことで性能面で恩恵がある上に車内も涼しいそうです。むしろなぜ最初から装備されていなかったのかw

 2位はグッドスマイル 初音ミク AMG(4kg)・片岡 龍也/谷口 信輝、3位はリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R・ジョアン パオロ リマ デ オリベイラ/佐々木 大樹と続き、開幕戦では厳しい結果だったヨコハマタイヤ装着車が3台並びました。ただ困ったことに(?)4位に開幕戦で2位のLEON PYRAMID AMG(36lg)・篠原 拓郎/蒲生 尚弥、5位に開幕戦勝者のmuta Racing GR86 GT(44kg)・平良 響/堤 優威と重い車が重力を無視して上位に来ました。

 一方で影の最速だったのはD’station Vantage GT3でした。Q1で藤井 誠暢がはみ出してしまったのでA組13位→ロウアー17に回りましたが、Q2でチャーリー ファグが全車中唯一となる1分35秒台のタイムを記録しました。残念ながら合算タイム22位ということで後方スタートですが、決勝では追い上げが期待できそうです。
 また、開幕戦に間に合わなかったGAINER TANAX Zが今回登場。車検に引っかかって練習走行に参加できずいきなり予選からのぶっつけ本番になったものの、Q1 A組を4位で突破。しかし不具合でQ2に出走できず残念ながらピットレーンスタートになりました、Q1を見ただけの印象ですがどうも直線がすごく速そうですね。なおこの車のエンジンはGT-Rで使っているVR38DETTです。

 一方GT500、開幕戦で貰い事故により0周リタイアとなったAstemo CIVIC TYPE R-GT・太田 格之進/塚越 広大が抜群の速さを見せてポールを獲得。Q1で太田が2位に0.1秒ほどの差を付ける最速を記録すると、Q2の塚越も1位から0.15秒ほど遅いだけの3位タイムを記録。2人の対比で言えばQ2の塚越は太田のタイムに対して0.5秒ほど落ちているので『落ち幅』で言えば大きかったですが、合算タイムでは2位に0.4秒の大きな差でした。


 そして2位はNittera MOTUL Z(10kg)・高星 明誠/三宅 淳詞、3位にMOTUL AUTECH Z(12kg)・ロニー クインタレッリ/千代 勝正とZが続きました。彼らはQ1では5位と8位でしたが、Q2では2位と1位。特にモチュールZは全車で唯一Q2の方が速いタイムを記録(Q1で107%を超えた車両を除く)しており、この方式の予選を非常に上手く戦っているし、どうやらZの最高速はそこまで速くないらしいので全体のバランスが良いのかもしれません。

 4位はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(6kg)・野尻 智紀/松下 信治。本来はチームメイトのARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(4kg)・大津 弘樹/佐藤 蓮が合算2位タイムだったはずでしたが、黄旗区間を通過して記録を更新したので無効となって予選14位となりました。ここには、アタック1周目のターン1で佐藤がスピンしてしまった、という遠因があったのでどうもARTAの噛みあわないレースが続いています。
 GRスープラ最上位は7位のENEOS X PRIME GR Supra・福住 仁嶺/大嶋 和也。しかしQ2担当の大嶋がターン3でスピンしており、これでタイヤを傷めてしまって交換することになったので、結局ピットレーンスタートとなりました。この大嶋のスピンが佐藤が通過することになる黄旗だったので、大嶋選手は他人のこととはいえ、多少「蓮くん巻き添えすまん」と思っているかもしれませんね^^;
 これで実際のスープラ最上位はWedsSports ADVAN GR Supra・阪口 晴南/国本 雄資で、非ブリヂストン勢力でも最上位。また、年をまたいで3連勝中のau TOM'S GR Supra(46kg)・坪井 翔/山下 健太は11位、重いんだし遅くて当たり前だとは思いつつも「11位から上位に来るんじゃね?」と思えてやっぱり不気味です。
 
・決勝

 GT500は上位が赤、赤、赤、オレンジなので引きの映像だとちょっと分かりにくいなあとかGT初心者みたいな完走を抱きつつスタート。気温23℃、路面温度41℃はまあ想定の範囲内でしょう。GT500はいきなり高星がターン1で外から塚越に仕掛けて前に出ました。選んだタイヤの特性が違うのか、いきなりニテラZがとばしています・・・えーと間違えてミシュラン履いてないですよね?w
 GT300でも見ている時間軸が違うのかリアライズGT-R・佐々木が2つ順位を下げ、逆にムータGR86の平良が2つ順位を上げました。たぶんタイヤが作動温度領域に入ったらその先は大きな差は無いと思うんですが最初の1周は秒単位でそれぞれにペースが違っていましたね。


 その後のレースは比較的落ち着いて進んでいましたが、17周目/開始25分ほどでいきなりFCY宣言。せっかく決勝を走ったゲイナーZでしたがやはり駆動系故障が発生してターン1の内側に車を停めてしまいました。車をコース外にどけるだけなのでわりとすぐ再開、FCY解除早押し選手権でGT500はちょっと順位変動がありました。ゲイナーZはこの後も動いたりガレージへ行ったりして32周走行できたようです。

 23周目、2度目のGT300集団を抜きながら塚越に重圧をかけていた千代がターン1で外から前に出て2位となり、赤いZがワンツーとなります。前を行く高星までもまだ4秒ほどの差。そういえばGT300のウラカンはどうなっただろう、と思ったら元嶋はなんと2位の片岡に対して16秒差を付けてもう手が付けられないことになっています、出た、GT400クラス!
 そのGT300は25周目・開始40分あたりから早いところは1回目のピットへ。そしてGT500も30周目のARTA16号車を皮切りに早めに動くところが出始めました。開始50分ほどなので単純計算で1/3よりも少し早め、GT500だと航続距離は無理してなんとか45周、できれば43ぐらいにしたいところなので、想定される周回数から考えてここがいわゆる『ミニマム』です。
 
 34周目、GT500で3位のアステモがピットへ、41秒の作業時間で塚越のまま出ていきます。ニスモはこれにすぐには合わせず自分たちの作戦に徹するようで、38周目・ちょうど59分が経過したところで2位のモチュールZが入りました。こちらは千代からクインタレッリへ交代しますが、満タン近くまで燃料を入れた様子で作業時間48秒。ロニーがピットを出ると塚越が迫っており、翌周のターン1で順位が逆転しました。これが想定内なのか、できれば抜かれたくはなかった想定外なのか気になるところ。
 続いて40周目にニテラがピットへ、こちらはさっきのニスモより給油を5秒ほど早く切り上げた様子、つまりリアルレーシングと同じぐらいの給油量(≒考え方)で1位を維持しました。もうちょっと多めに積んでも順位は維持できたと思いますが、とりあえず今のところ独走で完璧に決まっています。高星選手、写真素材の髪型も完璧に決まっています。


 レース開始から1時間15分/GT500の48周目、K-tunes RC F GT3が直線の途中でバースト。運悪くピット入口を通過したばかりなので、新田 守男は慎重にパンクした車で1周する必要に迫られました。この頃ちょうどピットの準備をしていたし、何か変なリスクがあっても嫌だからでしょうがGT300の暫定1位だったムータGR86がピットへ、4輪交換して平良から堤へ交代し、たっぷり燃料を入れて8位で戻りました。これは残りをタイヤ無交換で走るつもりかな?

 開始から1時間半、1位の高星は58周を終えて59周に入ろうかというところで、2位の塚越とは約15秒差。ピット後に3位となったクインタレッリは塚越を追いかけるよりもむしろ後ろからARTA8号車の野尻に追いつかれています。この時間帯に路面温度がやや下がる中、野尻さん好調の様子。
 一方GT300はJLOCウラカンが依然としてGT400クラス状態で、2位には13位スタートから17周目に真っ先にピットに入り、給油のみで作業を終わらせたapr LC500h GT(12kg)が付けています。今年は嵯峨 宏紀が抜けて小高 一斗/中村 仁のコンビに今年も第3ドライバーとして根本 悠生が加わるapr LC500、中村選手は18歳のトヨタ若手育成ドライバーです。でもスタートから乗っているのは小高先輩です。
 
 aprの作戦も当然ながら周回数の逆算から考えたミニマム作戦なので、当然2回目のピットサイクルもaprから。61周目/残り1時間15分で動き、4輪交換とたっぷりの給油で中村へ、ということは今回根本さん出番なしですね。給油量が多いので作業時間は1分を超えました。
 残りのレース距離も見えてきたのでここからSC出動リスクも考えて早めに動くチームは宿題を終わらせることにし、3位のグッドスマイル初音ミクと5位にいたGreen Brave GR Supra GT(16kg)が63周目にピットへ。グリーンブレイブは1回目の給油を43周目まで引っ張っており、ここで給油のみを選択するというaprとは逆のパターンの変則作戦を採用。給油量も少ないので、これでピット前には16秒ほど差があったグッドスマイルを逆転します。グリーンブレイブ・吉田 広樹はここから昨年と同様にしんどいタイヤで踏ん張る仕事が待っています。でもそれをこなしてチャンピオンを獲ったわけですから、楽ではないですがかなり自信は持っているでしょうね。
スープラ「オサキデース」
AMG「ちょっと待って。速いですね!」


 GT500は延々とクインタレッリと野尻の争いが続いており、71周目にようやく野尻が前に出ることに成功。しかし前を行く塚越とは11秒ほどの差、1位の高星は35秒も前方にいます。あ、これ二テラZはGT600クラスですね。
 レース残り1時間が迫ってくると、1回目のピット時にドライバー交代していないところは最大運転時間の壁が迫っているのでどのみちピットに入るお時間、74周目にアステモリアルが入って塚越から太田へ、しかし給油量が多い上にタイヤ交換で躓いているようで時間がかかってしまいます。後から映像検証したら1分ほどかかっていましたから他陣営より10秒以上余分にかかりましたね。映像では右前輪が上手く行かなかった様子が見えましたが、給油時間とこのミスだけでは1分にならない気がするので映像が無かった後輪でも少し何かあったような気もします。
 翌周にニテラZも入って高星から三宅へ、77周目にモチュールZがロニーから再び千代へ、そして78周目にARTA8号車が野尻から再度松下へ、とピットサイクルが一巡。1回目の給油が長かったニスモと短かったARTAはさっきと立場が逆転し、ピット後にふたたび千代が前に出ました。そしてアステモは作業時間の長さが大きく影響してしまい、サイクル後の順位は1位が三宅、2位に千代、3位・松下、4位・太田となっており、リアルレーシングはピットで2つ順位を下げました。で、5位には全く目立たないけどレース全体で見たら理想的に走っている様子のauスープラ・坪井 翔がいました。なお1位と2位の差は35秒もあります、さすがGT600クラス。

 GT300では77周目/残り50分あたりで。実質4位を走っていたレオンAMGがシケインを止まり損ねそのままガレージへ、ブレーキの問題とみられ大きな点数を稼ぎ損ねました。K2 R&Dレーシングはここで諦めずに修復し、後に再出走しましたがレオンAMGは6周遅れの26位でした。
 続く78周目、見た目上1位にいたムータが2回目のピット、グリーンブレイブと同じ作戦で来るのかと思ったら、給油は最小限ですがタイヤは4輪交換しました。暑さとサクセスウエイトを考えたら60周ぶっ通しは危険と考えられたでしょうか。実質6位で合流し、前にいるのは変則的な作戦を採ったLC500で、この後全く車両特性の違う車ゆえに抜けなくて苦しむことになります。

 
 この後はさすがに2時間半もレースが続くと間の空いた場所が多くなっていましたが、100周を超えて残り25分を切っても争いが続いたのが両クラスの2位争い。500は松下と太田、300はタイヤを換えていないグリーンブレイブ・吉田にグッドスマイル・谷口とリアライズGT-R・オリベイラが迫ります
 松下と太田の争いは何度か太田が並ぶところまで行ったものの、さすがに先輩に経緯を払ってか慎重に争っていたらなかなかあと一歩抜けません。そのうちだんだん2人の動きが荒っぽくなってきたので心配していたら、103周目はヘアピンで太田がブレーキ踏む場所間違えた、ぐらいの勢いで飛び込んでそのままはみ出しました。これで接近戦一旦終了、ぶつからなくてよかった^^;

 一方GT300は一番車がデカくて存在感のあるオリベイラがミスをした谷口を素早く抜いてしまうと、残り15分というところでハゲしい争いをねじ伏せて吉田もかわし2位となります、さすがに吉田選手も耐え切れず。そして抜かれた2人はそのまま3位争いへと移行、まだ気が休まりません^^;
 
 110周目、ちょうどARTA・松下の車載映像が映っている時にヘアピン出口で変速時に変な音がして気になりました。ひょっとして壊れてないかなー、これを見せるためにわざわざ車載映像入れたのかなー、たまたまかなー、聞き間違いかなー、なんてちょっと心配して見ていたら、やはり最終コーナーを立ち上がったところで加速できなくなりガレージへ。110周、もし500kmレースならちょうどチェッカーとなるタイミングで変速できなくなった8号車、ここで脱落。ARTAは16号車も95周目にパワステが壊れてあやうく事故りかけて脱落しており、速さがありながら2台ともチェッカーを受けることができませんでした。
 
 117周目、リーダーの三宅がターン1に入ったあたりで残り時間が無くなって最終周、ぶっちゃけ後ろと15秒以上差が開いていたので、116周目をゆっくり走ったら1周少なくチェッカーを受けて勝つことも可能ではありました。もしここで急にギアが噛んだりパワステが壊れたりしたら正直に117周目に入ったことを後悔しそうですが、三宅は最後の緊張する1周を走り切りました。
 Nittera MOTUL Zが予選2位からほぼ全周をリードして圧勝、今年からGT500に乗る三宅は当然ながら初優勝、高星は昨年の夏の富士でも勝ったので富士2連勝となる4勝目です。車を降りたらまだ誰も迎えに来てくれてないのでサイレント トリートメント状態でしたw
 そしてモチュールZがなんとGT500でありながらGT600を追い上げて13秒差の2位に入りZはワンツー、タイヤがミシュランからブリヂストンに変わりましたが、やっぱり何かセッティングの方向性にミシュランの面影があるのかたまに100Rで火花を散らすお馴染みの姿を見せ、2台で完璧なレースになりました・・・安心してください、ブリヂストン履いてますよ。


 そしてGT300も圧勝でJLOCランボルギーニGT3が優勝。こちらも2位とは17秒差でした。でも改良部品でこんだけ速くなったら次戦からのBoP変更は免れない気が・・・2位はリアライズGT-R、グリーンブレイブは3位を守り、逆に最後は少し粘り負ける形でグッドスマイル初音ミクAMGが4位でした。LC500hもまた5位を守り切り、44kgの重りを背負ったムータレーシングGR86は6位でした。それでもドライバー選手権では引き続き1位、次戦は重りが54kgに増えますw


 というわけで初の3時間レースでしたが、富士は元々やってた500kmとそんなに変わらなかったですね。終わりの時間が見えているので万一何か起きても後ろに押さない、という精神的安心感だけが見ている側の違いでしたw
 ここはピットのロスがかなり長く、一方でタイヤの方はそれなりに長持ちするので1回余分にピットに入ると勝負権が無く、新しいタイヤだからといって1分以上かけた損失を取り返すことができないので作戦的に特にGT500はあまり幅がありませんでした。どのみち2/3の最大運転時間規則もあるので2ストップだと長さもそんなに選べないんですよね。手元のメモでは最も長い周回数をこなしたのはARTA16号車の第2スティントで45周、4位に入ったトムスは綺麗に39周×3回で、優勝した3号車ニスモ NDDPは40→35→42と最後を長くしました。
 ニスモは2台で給油の考え方を分けてきて、1回目で多く給油した23号車ニスモはコース上での順位を1つ失い、少なく行った3号車はそのままでした。先に多く入れておく理由は、もしこの後にSCが出て一旦全車の差が無くなった際に、後続のたくさん給油している車両に2回目のピット時に逆転されないためと思われます。これがそれぞれに考えた作戦なのか、あるいは展開がどちらへ転んでも必ず1台は勝てる位置にいれるように戦略的に割り振ったのか分かりませんが、いずれにしてもSCが出ない展開では勝った3号車の方が当たりでした。

 そして今回も、あまり言われたくないかもしれないですがブリヂストンとそれ以外の格差はできてしまい、3台いる非ブリヂストンのうちウエッズスポーツだけはなんとか10位で入賞、ダンロップのModulo CIVIC TYPE R-GT(2kg)は1周遅れだった上にチェッカー目前に左後輪がバースト、そしてバーストしたこの車の後ろでリアライズコーポレーション ADVAN Zがチェッカーを受けていました。
 コンドーレーシングは予選のQ1で名取 鉄平が一応の記録だけ出してすぐピットへ戻り、Q2の松田次夫だけ107%以内になるように速く走ってタイヤを温存させたように見える動きをしました。チームの公式サイトに掲載された情報では、はっきりとは書いていませんがそれぞれの発言をまとめて要約すると「決勝のことを考えたタイヤを選び、Q1は規則を満たすためだけの走行にした」ということが読み取れます。
 タイヤの面でよほど苦労を強いられている、決勝で不安がある上に予選で気合入れて走ってもどのみち上位になれない、と自分たちで考えていることになりますからかなり辛そうです。サイトに掲載された決勝後の名取選手のコメントは

「コース上で周回を重ねるだけで、レースをやったという感じはありませんでした。つらい戦いになりました。」

と相当重苦しく、チームのエンジニア・村田 卓児も

「チームとしてできることをドライバーにやってもらうだけで、レースにはならなかったというのが正直な感想」

と書いてありました。村田さん、以前は長年セルモでエンジニアを務め、スーパーフォーミュラでも経験の長い国内レースの名エンジニアの1人なんですが、走ってる方も仕上げてる方もこういうコメントになるってなかなか無い気がします。今回、言ってしまえばほぼ耐久テストになった3時間がこの先のレースで報われると良いのですが・・・

 GT300はウラカンがとにかく速かったので作戦も何もあったもんじゃなかったですね。最終的に108周のレースでしたが、彼らは手元のメモで33周→35周→40周という刻み方でした。2位のコンドーレーシングは36→33→39。3位のグリーンブレイブが43→20(無交換)→45、4位のグッドスマイルは29→40→39、そして5位のaprが一番極端で17(無交換)→44→46でした。apr以下はGT500との位置関係で周回遅れなので1周少なくなっています。
 SCが入って台無しにはしたくないので最後は多少距離が長くなっても早めに宿題を終わらせる、というのが上位勢の基本的な考え方なので、その手前をどう組み立てるかで考え方がだいぶ分かれました。ここはGT500と違って車両特性がバラバラで、タイヤ屋さんによる違いもありつつそれなりに力関係が拮抗しているからですね。中継を見ていても圧倒的にGT300は起こっていることが分かりにくいかったですw
 どのチームも初の3時間を感じさせないほど見事に作戦通り走っていましたが、SUBARU BRZ R&D SPORTはなんと7位を走っていた残り1周でガス欠。1周分給油するためにピットに入るしかなく入賞圏を外れ、なおかつその注ぎ足した燃料でどうやら1周できなかった(うまく吸えなかったかも?)ようで最後もノロノロ走行でピット入り口付近に車を止めてしまいました。そのため記録上は3周遅れの15位となりました。
 また、決勝の追い上げを期待していたヴァンテージは左後輪が3度もパンクして16位、長距離戦で同じ車両が何度もパンクする、というのはこれまでにもよく目にした光景ですが、おそらく根本的にセッティングや内圧の設定等でタイヤを壊してしまうほど負荷のかかる状況を生み出していたと思われます。わりとこういうのはウラカンが多かった印象があるので、1回目のパンクを見た際には「JLOC今日は大丈夫かな」とちょっと心配にはなりました。

 次戦は6月の頭に鈴鹿サーキットでこれまた3時間レース、GT500はこのタイヤに厳しいコースでも我慢して2ストップで行くのかどうか注目です。私は開幕前の記事でタイヤが厳しいから3ストップじゃないか、と書いたので2回で耐えられるとちょっと悲しいですw

コメント

アールグレイ さんの投稿…
高星はこれで一昨年の富士での大クラッシュを完全に払拭できたんじゃないでしょうか。
NDDP自体も逆風からの巻き返しが凄いイメージがありますね。

一昨年は富士での大クラッシュでの全損→モノコックをテスト車両から流用して次戦の鈴鹿で優勝
去年は鈴鹿でトップでチェッカー受けたのにも関わらず微妙なペナルティで4位降格→次戦の富士で優勝と本当にリカバリー力があるチームなんだなと感じました。

富士戦はレース距離だけでなく、ピットのルールも毎年変わっている印象がありますが、500kmを1ストップで逃げ切って勝利した2007年のGT300のガライヤみたいなケースは今回のルールでは見られないと思うと少し複雑ですね。
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 実質ニスモの2台目に体制が変更されてから、NDDPはむしろニスモ以上に強い印象がありますね。ここはまだコースが広い部類なので、三宅選手には狭いコースでのGT300の処理という宿題がたくさん残っているだろうとは思いますが、今年も最後まで争いに残りそうで楽しみです。

 長距離戦のルール縛りは、わざわざ作戦が分岐しやすい耐久レースをやらせておいて自由度を無くしているのでやってることが矛盾してるなあと鈴鹿1000kmでは特に思いましたが、今はどうしても規則上「GT3規定が有利か、JAF規定が有利か」で参加チームが揉めてしまうので致し方ないところでしょうね。もっとも、今の車の速さ(2007年より5秒は速い)だと2回給油を逃れることはできないでしょうから、規則はどちらかというとSC中の給油で得するのを防ぐ意図の方が大きいかなと思いますね。