NASCAR 2024年のオールスターレース方式

 NASCAR カップシリーズは第13戦を終えてちょっと一休み、今週はオールスター戦となっています。毎年ルールが変わってややこしい、でお馴染みのオールスターですので先に制度だけ独立して書いておこうと思います。結果論から言うと、いくつかのイベントが悪天候で中止になってしまったんですが、来年に備えて規則だけはちゃんとメモっておきますw

・開催地

 昨年に続いてノース ウィルクスボロ スピードウェイで開催されます。1949年から1996年まで、通算で93回のカップシリーズ戦が開催されていた0.625マイルのトラックで、その後は休眠状態でした。昨年の開催時はあえて劣化した舗装をそのままにしていたので無茶苦茶えげつない凹凸がありましたが、今年に向けて再舗装工事が行われたのでバキバキ路面ではなくなりました。
舗装工事を伝える地元ニュース


・出場資格

 オールスターには出場資格がありますが、これは例年通り以下の3つの条件

・2023年、2024年のカップシリーズ優勝者
・現在フル参戦している過去のオールスター優勝者
・現在フル参戦している過去のカップシリーズ チャンピオン

のいずれかに該当していることが条件となります。これで出場権が得られたドライバーは苗字のアルファベット順に

A.J.アルメンディンガー
クリストファー ベル
ライアン ブレイニー
クリス ブッシャー
カイル ブッシュ
ウィリアム バイロン
ロス チャステイン
チェイス エリオット
デニー ハムリン
ブラッド ケゼロウスキー
カイル ラーソン
ジョーイ ロガーノ
マイケル マクダウル
タイラー レディック
リッキー ステンハウス ジュニア
ダニエル スアレス
マーティン トゥルーエックス ジュニア
シェイン バン ギスバーゲン

の計18人。ただ、昨年にトラックハウス レーシングからスポット参戦して優勝したギスバーゲンはこのレースには参加しないことが発表されています。彼を出場させるにはトラックハウスが3台目の車を用意する必要がありますが、ギスバーゲンはトラックハウスと所属契約しつつもレースへの参戦はコウリッグ レーシングから行っており、トラックハウスは今年3台目を走らせていません。このために用意するのは手間があったと思われます。
 ここに、オールスター本戦前に行われるオールスター オープンでの上位2名と、ここまででまだ出場権を獲得できなかった選手の中でファン投票による最多得票者1名がオールスター出場権を獲得します。本戦は合計20人のレースですね。

・タイヤ使用義務

 今年の新しい試みとしてタイヤ使用義務というのができました。グッドイヤーはプライム タイヤとオプション タイヤという2種類のタイヤを用意。合計でプライムが5セット、オプションが4セット供給され、セッションによって使用義務などの制約が発生します。プライムは数か月前にここでテスト走行した際に使用しているタイヤで、オプションはこれよりやや柔らかいのでグリップ力が高いけど摩耗もしやすいと説明されています。

 外観で区別できるようにプライムはグッドイヤーのロゴが通常の黄色、オプションは赤色で書かれています。これとは別に、0.625マイルのショート トラックなので雨用タイヤも用意されており、こちらは白いロゴですが雨の時しか使わないのでまあ関係ないでしょう。なお、異なる種類のタイヤを同時に装着することはできません。

 5月17日 金曜日

・オールスターオープン予選

 オープンの予選はいわゆるスーパー ラップ方式。各車両がプライムタイヤで2周の計測を行い、タイム順にオープンのスタート順位が決まります、シンプルですねw

※結果的に雨によりオープン予選は中止、選手権ポイント順のスタート順位になりました
(´・ω・`)

・オールスター予選

 一方でオールスター本戦に出場することが決まっている人たちはちょっとやり方の違う予選。こちらもプライムタイヤでまず全力で走るのは同じですが、1周したら2周目はピットへ。ピット内で4輪交換と給油作業(のフリ)をしてピットを出て、そしてもう1周する計3周のアタックです。全力走行の速さとピット出入口の上手さと、そしてクルーの早さが全て必要です。
 この予選はオールスター本戦のスタート順位を決める予選レース『ヒート レース』のスタート順位を決めるためのものですが、なんとオールスター予選で最速だった人はヒートレース1と、そしてなんと本戦のポール ポジションの両方を獲得することができます。デイトナ500のポールと同じ考え方ですね。
 ヒートレースは2組に分かれて行われますので、オールスター予選で奇数順位の人はヒートレース1に、偶数順位の人はヒートレース2に予選結果順に並んでスタートします。
 また、この予選の際にはピット作業時間が独立して計測される『ピット クルー チャレンジ』も同時に行われる形となっており、ピットクルーチャレンジのタイム順にピット選択権が与えられます。

※オールスター予選も雨で実施できず、土曜日に変更して開催されました。

 5月18日 土曜日

・Craftsman Truck Series Wright Brand 250

 土曜日はクラフツマン トラック シリーズの第10戦が併催されます。250周のレース、カイルとチャステインはこちらにもスポット参戦する掛け持ち組です。

・ヒートレース

 土曜日のオールスターイベントはトラックシリーズの後、オールスター本戦のスタート順位を決めるヒートレースが開催されます。レースは60周で、30周を終えたところでオールスター コーションという名称のコーションが必ず出され、4輪交換が義務付けられます。オーバータイム規則はありますが、リスタートは1回だけとなります。
 タイヤ使用に関しては、規定で『練習~ヒートレース(もしくはオープン)までにはプライム3セット、オプション2セット』とされており、ヒートレースでは使用義務がないため特に摩耗に問題がないのであればここはオプション2セットで乗り切ることになるでしょうか。なお、ラーソンはインディアナポリス500の予選と時間が接近しているので、ヒートレースには出場しないことを事前に表明しています。

※結果的に悪天候によりトラックシリーズがレース途中で中断、ヒートレースは中止になりました
(っ ◠‿:;...,

 5月19日 日曜日

・オールスターオープン

 日曜日は17時半開始予定でオールスターオープン。レースは100周で、50周を終えたあたりでオールスターコーションが出ますので、ここで必ず4輪交換を行う必要があります。タイヤ使用義務はありませんので、持っているオプションとプライムを上手く組み合わせたいところです。オールスター本戦に出ることを考えたらオプションで何周できるかは試しておきたいところですね。
 こちらもオーバータイム規則は1回限定で適用、オープンの上位2名がオールスター本戦に出場します。本戦のスタート順位は下位から。オープンの順位決定後、最後にファン投票の結果が発表されて最後の出場者1人が決まるので、推しの選手がこちらにいるファンは最後まで目が離せません。
 ちなみに去年のヒートレースに勝ったのはジョッシュ ベリー、2位がタイ ギブスでした。 NASCAR公式動画では、先週のダーリントンで好成績だったこの2人が今年もオープンの有力候補になるのではないか、との解説。でも去年のベリーは負傷したアレックス ボウマンに代わるヘンドリックからの代走だったので、車としたら断然去年の方が良い車ですけどね。そして今年はそのボウマンも本戦出場権が無いのでオープンに名を連ねており有力候補です。


 ファン投票による出場者はノア グレッグソンでしたが、オープンのレース中にぶつけまくったので、発表時はボロボロの車をクルーが直そうとしている最中でしたw


・オールスターレース

 そして20時開始予定のオールスター本戦。200周の決勝レースで、100周目と150周目の2回オールスターコーションが出ることになっています。100周目のコーションでのみ4輪交換義務があり、150周目は自由選択です。オーバータイム規則は本戦なので通常通りの回数無制限運用。
 さっきまでのタイヤは返却してここではオプションとプライムが各2セットずつ供給され、スタートでは必ずオプションを装着している必要があります。オプションで最初の100周を全部走り切れるとは誰も思っていないでしょうから、まずは誰かが何かしらやらかしてコーションが出るのを待ち、ここでプライムへ交換することをみんな考えるでしょう。アンダー グリーンのままピットサイクルが来たら驚きます。

 仮に最初の100周でオプションとプライムを1セットずつ消費したとすると、4輪交換義務のところから先で考えられる作戦パターンは

・とにかくトラック ポジション重視でプライムに交換して残り100周を走り切る
・プライムに交換するが、150周目、ないしはそこから先で起きるであろうコーションでオプションを投入しスペック差で勝負する
・オプションに交換し、次のコーションで信頼のプライムを投入して履歴差で勝負する

の3パターンに分かれると思われます。またちょっと変化球として、もしスタート直後にコーションが出るようなことがあればその段階でオプションを捨ててすぐプライムに交換、これによってレースの終盤には数周だけ使った中古オプションと新品オプションの2セットを手札に残す、というのも想定はできます。このあたりは実際にオプションがどの程度もって追い越しの役に立つのか次第ですね。ギャンブル要素は高そうですが。

 今年は開幕前のザ クラッシュも悪天候で急遽開催日が繰り上げられましたが、オールスターも当初予定通りにイベントが実施できなくてちょっと不運ですねえ。ちなみにNASCAR開催に先立って、zMAX CARS Tourというレイト モデルのレースも水曜日に開催されて、ベリーやトラックシリーズ参戦ドライバー数名も参加予定だったんですが、雨で実施できませんでした。NASCARの面々が来るのと入れ替わりで撤収しないといけないため、こちらは後日に順延されて改めて日程は発表、とされているようです。現地のFOX系地方局が土曜日のお昼ごろとみられる時間帯に伝えた雨の様子はというと
豪雨(っ ◠‿:;...,



コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
オールスター戦の出場資格が、過去の優勝者、チャンピオン経験者が、フル参戦が条件ならば、ジョンソンは外れますね。昨シーズンからの優勝者で、ギスバーゲンが入っているのは驚きでした。アルメンディンガーはフル参戦でしたけど、ギスバーゲンは2戦のみのスポット参戦でしたから。2018年にラウシュから、トレバー・ベインとのシェアでケンゼスがオールスター戦に出てましたが、前年はジョー・ギブスでフル参戦してたので、前年フル参戦であれば、問題なしという理解で良いんですね。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 オールスターの過去の栄光フル参戦規定は、まさにジョンソンみたいな半分引退の選手で出場者が焼け太りしないための措置でしょうね。2018年のケンゼスは、前年の第35戦でケンゼスがちょうど勝ってたので直近2年の優勝者枠に入ったパターンですね~。変な話、前年に1勝してるけど今年はシートが無い、みたいな選手がいたら誰かしら車を用意してあげればオールスターだけでも一応スポット参戦は可能と考えられます。