ABB FIA Formula E World Championship
2024 Shanghai E-Prix
上海国際サーキット 3.051km×28Laps(-0.19km)=85.238km
Race Energy:38.5kWh
winner:António Félix da Costa(TAG Heuer Porsche Formula E Team/Porsche 99X Electric Gen3)
初めてデスクトップPCのストレージ交換をしてみたら、色々と付随する部分で苦戦して時間を食ってしまいました、WindowsUpdateで引っかかるとは^^;
さて、フォーミュラE 上海の陣・第2戦。前日の第11戦ではエバンスが勝ったものの、チームメイトのキャシディーは作戦の内容にちょっと不満があり、いくら仲良しニュージーランド人コンビでも常に完璧に双方が満足はできるはずがないことを再認識させられました。迎えた上海の2戦目は前日よりも1周少ないレース距離で争われます。
ところで、フォーミュラEはちょっと謎なことがあり、サーキットの1周の長さが公式サイトや中継映像で表示されている数字と、公式文書の『サーキット マップ』で書かれている数字で僅かに異なっていることがあります。さらに、決定したレース内容が書かれている『イベント ノート』という文書にはレースの総距離が示されているんですが、これもどうやって計算したのかちょっと謎な時があります。
たとえばこのレースはイベントノートでは28周で85.42kmと書いてあり、これは3.051km×28周=85.428kmなので分かります。ところが、昨日のレースは29周で88.77kmと書いてあります。3.051×29=88.479なので計算とは300mほど誤差があります。けっこうこういうのがあるので、とりあえず毎回定型文として私が最初に書いているレース距離も実は公式情報の数字通りとはなっていないことがあり、上海ではコースマップに『フィニッシュ地点はスタート地点より190m手前にある』という記載があるので、その分を差し引いた数字にしてあります。モナコは誰がどう見ても1周の距離は1通りしかないし、スタートとフィニッシュの位置も同じなので計算通りで楽でしたw
・グループ予選
ほんのちょっとやーん、みたいな反応のDSと僅差すぎて笑うしかないマクラーレンのみなさん。1分13秒921とタイム的には遅いので本人も負けたと思っていてビックリ、負けたバンドーンも0.001秒差と聞いてびっくり。実は記録を見たらヒューズのセクター3全体のタイムは準決勝よりも少し速いぐらいで、セクター1でまとまっていないのが記録が伸びない要因でした。
雨予報があるもののこの段階では前日よりも気温が高く、グランツーリスモ7的に表現すると『湿気のある雲がちな晴れ』みたいな感じ。タイヤが加熱しすぎている様子で前日よりも記録が伸び悩んでの戦いとなり、A組最速のローランドが出した記録は1分14秒629。前日より0.4秒ほど遅い水準でした。バンドーン、キャシディー、デフリースの4人がデュエルスへ、タイムは遅くなりましたが1位から4位までたった0.025秒差でした。脱落した5位のマキシミリアン グンターでも1位から0.043秒差、4位までなら0.018秒差、どんだけ〜。
B組は昨日に続いてヒューズが一人だけ異様に速く、1分14秒308を記録して1位通過。2位のダコスタと0.228秒も差がありました。3位エバンス、4位ナトーが続き、ベアラインは7位でデュエルス進出を逃しました。キャシディーがデュエルスに進んでおり、前日より距離が短くて順位を上げにくいことを考えると後方スタートはやや痛手です。
・デュエルス
準々決勝ではデュエルスならではの珍しい現象が発生、最初の対戦となったキャシディーvsバンドーンはバンドーンが0.006秒差で勝利しましたが、結果的にこの時のキャシディーのタイムは残る3カードのどのドライバーよりも速いものでした。8人中2番目に速かったのに予選5位、あくまで数字上ですが相手がバンドーン以外なら誰であっても勝ち上がっていた、というちょっと悔しい結果でした。
そのA組はデフリースが準決勝へ進んだものの、元チームメイトのバンドーンにはさすがに勝てず2列目スタート確定。B組はヒューズが今日はきっちりと勝ち上がって、決勝はバンドーンvsヒューズとなりました。ただ、昨日は対戦が進むごとに少しずつ速くなったのと対照的に、今日はセッションが進むと全体的にタイムが下降基調なので路面温度の高さが悪さをしている様子です。
そしてバンドーンとヒューズによるデュエルス決勝。ヒューズはターン2でちょっと車が外に逃げてセクター1で0.099秒負けたものの、セクター2は逆にバンドーンがS字で内側に付けず0.15秒ほど遅れてしまい、セクター2通過時点でヒューズが0.048秒リード。ところがヒューズはシケインで跳ねすぎて失敗、ああ、逆転か!と思ったら、なんと0.001秒差でギリギリヒューズが勝ちました。
ほんのちょっとやーん、みたいな反応のDSと僅差すぎて笑うしかないマクラーレンのみなさん。1分13秒921とタイム的には遅いので本人も負けたと思っていてビックリ、負けたバンドーンも0.
スタート順位はヒューズ、バンドーン、ダコスタ、デフリース、キャシディー、エバンス、ナトー、ローランドの順となりました。ベアラインは13位からのスタート、雨乞いしときます?
・決勝
レース前にフォーミュラE最初のレースとなったシーズン1開幕戦・北京の映像が流れましたが、改めて見るとニコラ プロストの寄せ方はなかなか酷いですね^^;
しかしあれから10年、よくもまあこんなレースを無謀にも立ち上げたもんだし、数年で潰れてもおかしくなかったものがよくここまで発展したなと改めて思います。確か最初にFEの記事を書いた時に、歴史の大きな転換点のスタート地点に立ち会っているのか、数年で潰れる全く広がらないものになるのか分からないけど見て行きたい、的なことを書いた記憶があるんですが、今のところは歴史が動いたかどうかは分かりませんが、きちんと10年も続いてどんどん進歩しているので、推し活しててよかったなと思いますね。インタビューでも言われてましたが、もしニック ハイドフェルドが大怪我してたらフォーミュラEは1年で潰れたでしょう。
で、肝心の本日のレースはというと、雨はレース前にかるーく降った程度で済んだのですごく蒸し暑い気候になった模様。レース中には降らないみたいで、雨でレースがかき回されることを期待していた人には非常に残念な天候となりました。スタートで前に出たのは2位スタートのバンドーンで、特に雨上がりだから路面が濡れてて、というような影響も無さそうです。
3周目にヒューズをはじめ全体でまんべんなく11人が1回目のアタックを使用、続く4周目にリーダーのバンドーンもアタックへ。これで、3周目のアタック組からナトーが先頭になります。ナトーもできれば前には出たくない雰囲気で、バンドーンを前に出そうとターン3にかなりゆっくり進入したように見えましたが、譲らせてもらえませんでした。
しかしナトーはこの後興味深い動きを見せ、7周目に2回目のアタックに行くと程なくバンドーンを抜いて自ら再び先頭へ。その気になれば人の後ろを付いて走れるはずなのに、あえて前を走ります。前日は1分19秒台のペースでレースが進んでいましたが、今日は既に17秒台なのでだいぶペースが速い様子、たった1周少ないだけですが回生する場所がないレイアウトなので全然事情が変わっているようです。たかが1周、されど1周。
11周目、ここでベアラインに悲劇。ターン3で左後方にいたバードの羽が軽く当たってしまい運悪くパンク。これでタイヤ交換するしかなくなって入賞すら絶望的になってしまいました。バードの方はほぼ無傷だったと思いますが、この後17周目のシケインでミスってバードミサイルを発射。デフリースに命中してしまい、自身は車を壊してリタイア、デフリースも360度スピンで入賞争いから後退しました。ターンアングルが大きいコーナーが多くて手への負担も大きくまだ痛かったという話なので、できればここも休んで次から出場した方がよかった気もしますね。でもテイラー バーナードはFIA F2でモナコにいるので呼べないんですよねえ・・・
優勝争いの方は12周目、2回目のアタックサイクルを終えて先頭はナトー、さっき表示されたエナジー残量では少し負けてたんですがそれでもなお先頭を走っています。これにダコスタ、バンドーン、ヒューズ、キャシディー、エバンスと続きました。ローランドは開始早々にいつも通り順位を下げたら、今のところそのまま14位付近、だるまさんが転んだ作戦でエナジーを貯めている様子です。私は見ていて「少し全体のペースが上がってきた」と思ったんですが、記録を見たら12周目の時点では全然変わってないどころかむしろちょっと遅くなっていたので勘違いでしたw
16周目、ここでダコスタがナトーを抜いて先行、ダコスタとすると残量にやや不安のある車両を後ろに挟んでしまうことで、これから追い上げてくる人が引っかかってくれたら独走で逃げられるかもしれない、というベルリンと同じ展開が期待されます。ナトーは1分18秒0近辺で隊列を引き連れていましたが、ダコスタは17秒台前半まで上げてきました。
18周目、ヒューズもそろそろナトーを抜きたい時間でしたが、ナトーが鬼ブロックしてシケインを並走。2台がシケインを並んで立ち上がったので加速が鈍く、これを利用してキャシディーが19周目のターン1でヒューズを抜きに行きましたが、ヒューズはかなり厳しく閉めてくる状況でキャシディーが外に流れてしまい接触。キャシディーのウイングは踏まれてしまって右に傾きました。ヒューズの方は特に問題なく、この後S字でのスリリングな争いを制して2位を奪いました。
22周目/残り7周まで来るとダコスタはさらにペースを1段階上げて1分15秒9前後を正確に刻むようになってきました。予選の最速が14秒5あたりですから、1.5秒落ちとなるともう簡単には前の車を抜けない水準に入ってきます。ジャガーの2人やローランドはエナジーを貯めているものの、こうなると持ち腐れになるパターン。特に未だ11位のローランドは出遅れたかも。。。
ダコスタ、ヒューズ、ナトー、キャシディーのトップ4で完全にレースは膠着。ヒューズは直線で右にズレて走っているのでおそらく高温になっていると思われ、ナトーは残量が厳しくてそこにいるのが精いっぱい。キャシディーはウイングがガタガタなのでシケインで攻めると脱落する危険があるため攻められず、5位はチームメイトのエバンスなのでチーム内の取り決めにより一切手を出せません。ダコスタは完全に自分のレースに持ち込みました。
最終周、ダコスタはターン10のブレーキング手前で見事に残量が0.1%になり、これを回生で回復させてシケインを通過し、0.4%残しでチェッカー、という見事なお仕事で完勝、今季2勝目を挙げました。ポルシェはどちらかというと集団で貯めて貯めて、というより前方を長く走ってこういう勝ち方を好む印象がありますね。
2位はようやく初表彰台を獲得したヒューズ、3位は昨年のローマ以来となる表彰台のナトーでした。毎年1年限りでシートを失ってきているナトーですが、これでベンチュリー、日産、アンドレッティーと自身3チーム目の表彰台です。キャシディーが4位、エバンスが5位。バンドーン、ベルニュ、グンターとステランティス勢がその後に並び、ローランドは結局10位で1点しか獲れませんでした。ドライバー選手権は
ベアラインが本日おみやげなしにつきキャシディーが25点リード、上海2連戦の前から比べると9点だけ差が広がりました。エバンスはこの2連戦で最多の35点を獲得して選手権で3位、デニスは本日無得点でちょっと連覇は無理っぽい点差です。
契約で瀬戸際と言われてはや数か月、ダコスタはミザノでの失格を査定としては優勝に勘定しておくとこれで3勝目、選手権では5位~6位あたりに相当する点数を稼いでいることになります。一方で前日のレースでは押し出しペナルティーで入賞圏外になっており、脆い部分もあるのでチームとしてまだ契約をどうするか悩んでいるかもしれません。
ベアラインは予選でデュエルスに残れなかったところで集団のリスクを抱え、あの程度の接触でそんなに簡単にはパンクはしないと思うのでよっぽど当たり所が悪かったのかな、という印象。本来ならここでも多少なりともキャシディーとの差を詰めて、ジャガーの内紛を誘えば残りの4戦でもひっくり返せるところでしたが、先に脱落して相手を楽にさせてしまいました。
キャシディーはキャシディーでウイング脱落はターン1に突っ込みすぎたことが大きいと思うので、もしまたサンパウロの時みたいに自分で踏んづけてリタイアしてたら悲惨でした。ベアラインとは逆に運があり、相手が既に脱落したのでまあ4位でも良しとしよう、と切り替えやすい点も有利でした。前日はエバンス優先の戦略に不満だったと思いますが、今日はその決まりごとが無かったらエバンスを前に出されていたかもしれませんから、自分が不利な時があれば有利な時もある、と落ち着いて再認識する機会になったかもしれません。
ローランドは8位スタートからだるまさんが転んだ作戦で転んだまんまになり、結果とすれば失敗かなと思います。ただ、もしチームとして彼のチャンピオンを第1に考え、普通にやってたら追いつかないので優勝が狙えるでっかい勝負を仕掛けた結果だったとすると、結果何も起きないレースだったのでしゃあない、という場合もあります。もしそうならその決断は個人的には良い意気込みで好きですねw
日産はチームとしてはDS、アンドレッティーと選手権3位を僅差で争っているので、いずれにせよ次戦以降はチームとして最大の点数を狙いたいところです。ジャガー、ポルシェの2強に続く3位というのはそれなりに自信になりますし、予算も付けやすくなります(え)
次戦はアメリカに渡ってポートランドですが、6月末の開催なので1か月ぐらいスコーンと間が空いてしまいます。
コメント
半分削って「ガチ」のスプリントやろーよー!
ここならコース幅広いし....。
ノロノロ走らせたいならバックストレート使えばいいのに。
ショートコースだとどうもサンデーレースに見えてしまいます...。
メキシコシティーでの開幕戦があまりに何も起きなかったことで、運営は節約不要なレースをやろうと思えないんでしょうね。そして今でも時折ブレーキが全然効いてないような事象が起きているので、あまりに高速にして大事故が起きることもちょっと気にしてるのかなと思います。ノロノロ走らせたいためにあえて長いバックストレートを使うというのは面白いです(笑)