NASCAR 第9戦 テキサス

NASCAR Cup Series
AutoTrader EchoPark Automotive400
Texa s Motor Speedway 1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
※NASCARオーバータイムにより276周に延長
winner:Chase Elliott(Hendrick Motorsports/Hooters Chevrolet Camaro ZL1)


 テキサス州のサーキット オブ ジ アメリカズでレースをした後バージニア州のリッチモンド、マーティンズビルと転戦したNASCAR。そしてまたテキサス州へと戻ってきて第9戦はテキサス モーター スピードウェイ、左右非対称バンクの1.5マイルオーバルです。両方に完璧に合ったセッティングは作れないので、非常に技術面でも運転の面でも難易度が高い特殊なトラックと言えます。あんまり評判よくないみたいなんですけど私はけっこう好きなんですよねえ。
 2020年までは年2回開催、かつ500マイルが慣例でしたがこれが2021年から1回開催になり、その代わりに開催したオールスターも無くなり、そして昨年から距離も400マイルになって、とうとうプレイオフのレースでもなくなって、なんか段々規模が寂しくなっている気がしなくもありません。
 現役最多勝ドライバーは、名目上は今回スポット参戦しているジミー ジョンソンの7勝ですが最後に勝ったのは2017年。フル参戦ならカイル ブッシュの4勝ですがこちらも2020年が最後。2019年以降は毎回違う人が勝っているので特定の誰かが強い、という印象でもないトラックです。じゃあ平均順位が良いのは誰ですか、と聞いたらチェイス ブリスコーが3戦の出場で平均10.0、というのが見た目上最良の数字。2番目が一昨年の勝者・タイラー レディックで10.4、こっちの方がまだしっくり来ますね(←データを出している意味がない)

・レース前の話題

 今季もショート トラックに新しい空力パッケージを持ち込んだNASCARですが、正直効果は出ているとは言い難い状況。「エンジン出力上げたらいいんじゃね?」という意見が出る中でもNASCARは消極的ですが、ジョーイ ロガーノもこの状況に「すぐ何かしないといけない」と発言。NASCARは改善を試みるとし、出力を上げる気はなく、もう空力パッケージの小手先も無理なので摩耗の激しいタイヤをグッドイヤーと協力して作る方向性のようです。

 運営絡みでもう1つ、デニー ハムリンがスピードウェイ モータースポーツについて噛みついた問題ですが、とりあえず両者のSNS上での場外乱闘は収まったものの根本的な部分では未だにくすぶったままです。ハムリンは収益構造や同社のお金の使い方に問題があるという自説を維持した上で
「私は自分が23XIにどれだけ投資したかを個人的に知っている。 あえて口にすると、23XI はスピードウェイモータースポーツが過去10年間に投資した以上の額をこのスポーツに投資してきた。」
として、自分たちはものすごくお金を注ぎ込んでこの競技の成功に汗をかいているのに、運営側は放映権から多額の収益を得ながらそれを適切に設備投資もせず、チーム側への分配もしてないことを重ねて批判。NASCARとチームとの来年以降のチャーター契約もまだ合意には達していないと思われる中で、最大の問題である収益分配制度がちょっと別の角度から噴き出しているとも言えそうです。

 放映権といえば2025年からエクスフィニティー シリーズはCWネットワークが独占放映権を獲得しましたが、これに先行する形で今シーズン最後の8戦をCWが放送することになりました。番組の制作や放送席の顔ぶれは引き続きNBCが行い、放送をCWが受け持つことになるようです。来年からの放送を少しでも多くの人に見てもらうための先行投資といったところでしょうか、色々考えはりますねえ。

・Craftsman Truck Series SpeedyCash.com 250

 本職のカップ戦ではなかなかうまく行かないカイルですが、こちらでは予選4位から38周目にリードを奪うとレースを支配。終盤に連続したリスタートで一時リードを失ったもののきっちりと取り返し、167周中112周のラップ リードを記録して貫録の今季2勝目を挙げました。

・Xfinity Series Andy’s Frozen Custard 300

 カロリー高めなスポンサーのエクスフィニティーは劇的な展開。予選6位のジャスティン オールガイアーが序盤にリードを奪うとステージ1・2を制し最終ステージでも快走。ところが173周目、焦ったのか周回遅れのリーランド ハニーマンを抜こうとして姿勢が乱れてぶつけてしまい、自分から流れを手放してしまいます。
 その後のリスタートでリードを奪ったのはライアン シーグ。184周目にもまたコーションが出た後、残り11周からのリスタートも決めて2位以下が争ったことで一時1秒以上の大差を付けましたが、ここからタイヤが踏ん張らずにサム メイヤーの猛追を受けてしまい、最終周が激戦。一旦メイヤーが前に出たものの、ターン3で外に流れたのでシーグが懐に飛び込み、もう最後は壁プレスギリギリの状態で並んでチェッカー。

 僅か0.002秒差でメイヤーが勝利、シーグは全国シリーズ初優勝にあとほんの髪の毛数本分届きませんでした。メイヤーはダッシュ フォー キャッシュの賞金10万ドルも獲得し、次戦ではメイヤー、シーグ、オールガイアー、A.J.アルメンディンガーが対象ドライバーとなりました。
 なお、リッチモンドのレースから3戦連続で出場したマット ディベネデトーはこのレース20位でした。彼が乗るNo.38はシーグと同じRSSレーシング(ライアン シーグの父・ロッド シーグがオーナーの家族チーム)ですが、バイキング モータースポーツという別のチームとの共同チームになっていて、実態としてはバイキングはあくまでスポンサーの立ち位置で運営はRSSレーシングが行っているようです。少なくとも5戦に出場と発表されているMattDですが、残りの多くのレースに出場する可能性があるようです。


・カップ シリーズ
 予選

 カップの予選はカイル ラーソンが3戦連続でブッシュ ライト ポールを獲得。通算19回目のポールはヘンドリック モータースポーツにとって通算250回目のポールだそうです。2位にタイ ギブス、3位は先週久々にダメダメだったクリストファー ベル、そして4位にレディック、5位ブリスコーとデータ通りの人がいるではありませんか。既に3勝を挙げているウイリアム バイロンも7位と上々の出来。一方カイルは練習走行でクラッシュして予選の計測ができず、決勝はバックアップ車両で最後尾スタートです。

・ステージ1
 
 朝方は曇っていたそうですが、レース開始時は快晴で気温30℃、路面温度47℃。ラーソンは最初の7周で早くもギブスに対して1秒差を付け、その後は1秒差を維持したまま推移。3位のベル以降とは少しずつ差が広がって行きました。2位がウォーレスではなくギブスであることを除けば展開は3戦連続でほぼ同じですね。
 給油必須の80周ステージなので35周目あたりからピット サイクル、リーダーのラーソンはアンダーカットされると面倒なので36周目にすぐ動きます。ギブスはラーソンをアンダーカットできないし、後ろとも4秒以上差があってアンダーカットされる危険性も少ないので履歴差を作るためステイ アウト。
 ところがギブスの前にはタイヤを換えた周回遅れが大量にいてクリーン エアーを走れない上に、ちょうどピットではお隣さんでこぼれた燃料に引火したため路面が燃えてバックトゥーザーフューチャー状態。40周目にピットに入りましたが、トドメに左後輪の交換に手間取って、対ラーソンで9秒近く失い実質4位で復帰しました。
・・・デロリアン

 何人かはコーション待ちで引っ張っていると、50周目にジョンソンが単独スピン。チェイス エリオット、トッド ギリランド、オースティン ヒル、ダニエル ヘムリックがコーション待ちの賭けに勝ちました。このコーションで彼らとタイヤ交換/アジャストしたい一部の人がピットへ。ギブスはさっきの失敗ピットでどうもナットが締まっていない疑いがあるのでピットに入り、残念ながら集団の後方へと放り込まれます。

 56周目にリスタートするとその先はコーション フリーでステージ1は終了、ラーソンがステージ勝利、ベル、デニー ハムリン、レディック、ブリスコー、ライアン ブレイニーと続き、周囲より新しいタイヤで走ったエリオットが7位でした。でもステージ最終周にブレイニーに抜かれてることからすると車としては並の出来栄えっぽいですね。ギブスは21位まで戻すのがやっとでした。

・ステージ2

 ステージ間コーションで作戦が分かれました。ブレイニー、ヒル、クリス ブッシャー、ギブスの4人がステイアウトを選択。ピット組ではマーティン トゥルーエックス ジュニアが2輪交換を選んでその後にラーソンが続きました。リスタートからブレイニーがリードし、これを4輪交換のラーソンが追いかけます。なんかラーソンとヒルのスキーム、ちょっと似てる気がするw

 ラーソンは100周目にはもうブレイニーを捉え悠々と前に出ようか、というところでしたが、その直前に10位のベルがターン4でスピン。さらにこれを見て減速した後続でボウマンも前に詰まってスピンし、ここにジョン ハンター ネメチェックが突っ込んで多重事故になりました。ボウマンはこれで一発リタイア。
 
 ここで燃料を目いっぱい入れたらステージ2を最後まで走れるのでギリランド以外は全員ピットへ、トラック ポジションを重視したい上位勢は2輪交換で済ませました。107周目のリスタート後すぐにギリランドは抜かれ、ラーソン、トゥルーエックス、ハムリンのトップ3となります。しかしこのグリーンは長く続かず、114周目にカーソン ホースバーがスピンしてコーション発生。ターン1の入り口でカイルが後ろから押してしまってますね^^;
 今度はさすがにステイアウト主体かなあ、と思いつつコマーシャルに入ったら、想定外の事態がコマーシャル中に待ち受けていました。
ハズレちった、テヘ(≧▽≦)

 ラーソン、脱輪。トラック上での脱輪なので規定により2周ペナルティーが課せられ、ラーソンは優勝戦線から脱落します。これで119周目、ハムリンとトゥルーエックスの1列目でリスタート、ハムリンはさっきのコーション直前にトゥルーエックスの前に出ていたので主導権を得ることに成功していましたが、2周後にジョッシュ ベリーがスピンしてコーションとなると、この時の影響かベリーは137周目にもクラッシュしてしまい、そこそこの周回数をこなしたのでまた各車ピットに入ることになります。
 ピット組ではギブスが2輪交換で一気に挽回し、トラック上ではコーション前に2位に浮上していたロス チャステインなど8人がステイアウトを選択。さっきまでリーダーだったハムリンの姿は集団に消え、ごっそり上位の顔ぶれが変わってステージ残り23周でリスタートしました。


 ところがリスタート早々、ターン3で1列目の外側からリスタートしたマイケル マクダウルがスピン。幸い後続は誰もぶつかりませんでしたが、マクダウルは左後部を中破しガレージ送りとなります。コーション前の時点で自力で4位まで上げてきてかなり調子が良さそうだっただけに、非常にもったいないスピンでした。
 そしてコーションが連続したので1周遅れの車が誰もいなくなっており、2周遅れのラーソンがフリー パスを得ました。もうすぐステージ2終了のコーションがありますから、ラーソンはほぼ確実にもう1回フリーパスを貰ってリードラップに復帰できます。
 ステージ残り16周でリスタート、チャステインがリスタートで抜かれるはずがないのでそのまま残る周回をリードして走り切り、ステージ2を制しました。2位はウォーレス、3位にブレイニー。リスタート直後は2位にいたエリック ジョーンズが4位で、ギブスは9位、ハムリンは集団に埋まってしまい12位でした。そして、ラーソンさんリードラップ復帰です、もし優勝したらコーションの原因になってきた全員に賞金を山分けしてあげましょうw

・ファイナル ステージ

 作戦がバラバラになってるのでここも全く揃わず、ステイアウトしたウォーレスとチェイス ブリスコーの1列目でリスタート。ここにターン1で内側2列目リスタートのハリソン バートンが飛び込みリードを奪います。すると、これでターン3に3ワイドの真ん中で入ることになったウォーレスが堪え切れずブリスコーを巻き添えにスピン、最終ステージもクラッシュから始まりました。ここ3回のレースでいずれもコーションの回数が2桁になっているテキサス、今日もこれが9回目で王手です。


 177周目にリスタートすると、バートンはさすがにリードを守れず今度はレディックがリーダー。しかし181周目、今度はブレイニーがターン1でクラッシュしまたもやコーションです、これが10回目ですね。ライアン プリースと絡んでいるようないないような、決定的な映像が無くて視聴者には判別できない事故でした。

 185周目のリスタートからはレディックがリードしハムリンが追う展開。今上位を走っている人たちはベリーが2回目に事故った6回目のコーションでピットに入ったのが最後の人たちなので、そろそろ70周ほどを走行して燃料的に限界。残りの周回数も60周を切って来たので、今の状況と残りの距離を天秤にかけながらピットのタイミングを探ることになります。とか言ってる間にレディックはなんとハムリンに対して5秒以上の差を付けて独走。ハムリンは無線で「まるでジキルとハイドだ、ピットに入るたびに車の感触が違う。」と言っていてバランスがうまく行かない様子。


 残り56周、4位のバイロンがピットへ、先週と同様に自分から先に動いて何か起こそうという構えですが、レディックからは11秒近く離されています。これをきっかけにピット サイクルとなりますが、余裕だったはずのレディックに悲劇。いざピットに入ったら右側の作業で大失敗し、7秒ほど余分にかかったのでハムリンに逆転されました。これでも実質2位で戻れたのは大量リードのおかげで、この後トラック上でハムリンを抜き返します。

 コーションごとに作戦がバラバラに分岐したため、トラック上にはまだ燃料が残っている人がいてコーション待ちのステイアウト中、そのため見た目上ではレディックもまだ10位以下になっています。今日はけっこうコーションが多いのでひたすら待つ作戦は案外成功確率が高いんじゃないかな、とかコマーシャル中にこの文章を書いていたら

確率が、ぐらいまで書いたところでコーションが出ました、ウソやろ( ゚Д゚)既にボロボロで右側のカー ナンバーはテープで隠れているネメチェックがクラッシュ。レディックの前にはまだ最後の給油をしていない人が12人もいて超ラッキー、レディックたちも既にグリーンで20周弱走っているので、ステイアウトしてとりあえず順位を取り戻してもタイヤがすごく古くなります。
 アンダー グリーンで既にピットを終えている人はさすがにここではステイアウトを選択。一方作戦がハマった人たちは2輪、ないしは4輪を交換した上で3列目以降に付いています。けっこうな台数がウエイブ アラウンドとなって隊列の後方に付くことになりました。彼らは順位を下げた上にタイヤも古いので、残りのレースが平穏に進むと上位進出が難しくなります。

 残り33周、レディックとハムリンの1列目でリスタートしますが、2列目のエリオットがターン1で内側に飛び込んでいきなり3ワイド。挟まれたレディックは失速し、見事な走りでエリオットがリードを奪いました。しかし途中で書いた通りチェイスの車はやっぱりあと1つ物足りない仕上がりのままなようで、残り22周でハムリンに抜かれ、ファンの期待はまた幻となってしまいます。その直後に4位に落ちていたレディックが完全にラインを外れ、これはなんとかレディックがぶつけずに耐えたのでノーコーションでしたが、254周目にリッキー ステンハウス ジュニアスピンしたため12回目のコーション。残り10周あまりで最後の大きな山場ができました。

 上位勢では3位のケゼロウスキーが11回目のコーションで4輪交換していて最も良い条件。コーション前もおそらく単独ならハムリンよりも速い車でした。同様にタイヤが新しいのは5位のダニエル スアレスです。
 残り8周、1列目はハムリンとエリオット、2列目の内側=3ワイドを引き起こせる位置にケゼロウスキーが付けました。2列目の外側はタイヤは古いけどリスタートなら強いチャステイン。リスタートするととりあえずケゼロウスキーによる3ワイドは無く、チャステインがどう動くのかに焦点が移りましたが、その直後に中団でラーソンがスピンし13回目のコーション。大混雑の中で後ろから引っかけられた模様。

 コーション直前にエリオットがハムリンの僅かに前にいたので、続く残り2周のリスタートは先ほどと内外が入れ替わって内側にエリオット。リスタートするとチャステインが何かやらかす、こともなくエリオットとハムリンのサイド バイ サイドで、エリオットが少し前に出た状態でターン3に入ったところ、

 ハムリンがスピン。リスタートからのターン3で1列目の人が事故るのは本日3度目です。僅かに後ろが流れ始めたその瞬間に、私も画面の前で「あ、マズい!」と思わず声に出てしまいました。これで3戦連続となるNASCARオーバータイム突入。
 オーバータイムはエリオットとチャステインの1列目でリスタート、しかしこれも後方でバートンがスピンしたので2回目のオーバータイムへ、あんまりオーバータイムが続くとエリオットはガス欠の危険性があります。

 オーバータイム2回目、チャステインはさっきのハムリンと同じパターンで外からエリオットを狙っていき、スピンはしませんでしたがやはり大外刈りはできませんでした。ようやく誰も事故らず1周出来たのでホワイト フラッグが振られて最終周へ。もはや乱流の中にいるチャステインが逆転するのは厳しい状況でしたが、ラインを変えてなんとかしようとした結果、むしろターン2の脱出速度が鈍りました。すると


 後ろから勢いよく来たバイロンに突っ込まれました。チャステイン、これはちょっと可哀そうなクラッシュ。コーションとなってこの瞬間レースが確定、エリオットが待ちに待った2022年の第31戦タラデガ以来およそ1年半ぶりの優勝、通算19勝目です。記録によればこのうち13勝は最も多くスポンサーに付いているNAPAスキームで挙げており、フーターズのスキームで勝つのは初めてです。それどころか、カップシリーズでフーターズスキームの車が勝つのは1992年のポコノーでアラン クルウィッキーが優勝して以来32年ぶりとのことです。


 2位からケゼロウスキー、バイロン、レディック、スアレス、ブリスコーのトップ6、統計は嘘をつかない()7位にウォーレス、8位にオースティン ディロン、なんかガタガタだったカイルも9位でまとめ、ホースバーが10位で自身初のトップ10でした。トゥルーエックスはレース中に2回もナットが締まっていない疑いで余分なピットを強いられ14位、最後にクラッシュしたチャステインはチェッカーを受けられず、リードラップ車両が多かったせいでむちゃくちゃ順位が下がって32位でした(T T)

 まあこのレースはとにかくチェイスが勝って盛り上がった、おめでとう!おかえり!もう怪我しないでね!な感じでした。実際問題、彼の勝利にはかなり色んな運が絡んだと思うんですが、最も大きかったのは残り8周のリスタートからコーションまでの僅かな時間で辛うじてハムリンの前に出ていたことでしょう。ハムリンが前にいたらたぶんそのまま次のリスタートで抑えられて終わっています。でもその瞬間をもたらしたのはラーソンの事故なので、これも運と言えば運ですね、結局全部ひっくるめて実力です(っ ◠‿◠ c)ちなみにチェイスのクルーはこのレースで4輪交換を8.49秒で終えるというGen7車両での新記録を作ったそうです。

 今回はターン3でスピンする人が非常に多かったですが、左右非対称バンクだと内圧もサスペンションも妥協が必要になります。基本的にバンク角が低いターン1・2側でより旋回速度を上げないといけないので、こっちに合わせてタイヤの内圧もサスペンションも決めていきますが、内圧は下げすぎるとターン3・4側で過負荷になってバーストしやすくなります。今回これはありませんでした。
 一方、右リアの車高をギリギリまで下げることで床下のダウンフォースを稼ごうと、入力の小さいターン1・2側に合わせてサスペンションの動きを決めると、3・4側では入力が増えた結果縮みきってしまい、底付きして跳ねるような動きが出てしまいます。今回多かったのはこの類の瞬間的なグリップ抜けではないかというのがFOXの放送席で話題になっていた話と思われます。理屈としてなるほどという感じですし、バンク角がプログレッシブに設定されているトラックで、どうして外を走ると速い人とそうでない人がいるのか、人によって速く走れるラインが違うのか、というような話にも通じる部分を感じます。奥が深いです。

 コーションのタイミングで作戦がバラバラになり、それも最後の白熱した展開に寄与しました。ケゼロウスキーは本当に惜しかったし、ステンハウスの事故が無くアンダーグリーンのままレースが終わっていた場合、ひょっとしたらハムリンに追いついて抜いていたんじゃないかとも思いました。チェイスが勝ったから次はこの人にも勝ってもらいたいですね。

 で、次戦はそんなケゼロウスキーも大得意、恐怖のスーパースピードウェイ・タラデガです。

コメント

アールグレイ さんの投稿…
ハムリンは10年以上前のGEN6車両批判から変わってないですね。でもそれぐらいメンタルが強くないとこの世界では長年活躍できないんでしょうね。

HMSは去年から色々な記録ラッシュが続きますが、(カップ戦通算300勝、ヘンドリックが手がけたエンジンが3大シリーズで通算500勝、カップ戦通算8万リードラップ、先週の40周年記念レースでの1-2-3、カップ戦通算250ポール)あとはボウマンの復活勝利を見るだけですね。

記事の中にクルウィッキーの名前が出ましたが、彼はオーナードライバーとしてチャンピオンを獲った翌年の1993年のシーズン序盤に、スポンサーのフーターズの手配した飛行機での事故で亡くなってしまうという悲劇(この数ヶ月後には、1992年ランキング3位で、最終戦でクルウィッキーに逆転されるまでポイントリーダーだったデイビー アリソンもヘリコプター事故で亡くなりました)がありましたし、本当にトラック外での怪我や事故ほど悲しいことは無いと思いますので、チェイスにはもう繰り返さないで欲しいと願うと同時に、ビクトリーレーンに戻って来れて本当に良かったという気持ちで一杯です。

チームオーナーのリック ヘンドリックも2004年に小型飛行機事故で息子のリッキーを24歳の若さで失う不幸がありましたし。
ちなみにラーソンのHendrickCars.comのスキームの元ネタはリッキーのドライバー時代のスキームですが、今ではエクスフィニティーでたまにHMSが走らせている#17やトラックシリーズでも今シーズン、カルースがこのスキームで参戦しているので、もう今のHMSを代表するスキームになりつつありますね。
(元々は差別発言でスポンサーを失ったラーソンをオーナー自らが助けるために、2020年にバイロンが数戦使ったスローバックを使いまわしていた形でしたが、復帰初年度の活躍により、ヘンドリックカーズの売上アップもあったので、もう大出世のスキームですねw)
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 ハムリンはそのぐらい良くも悪くも発言力だったり問題意識だったりが高いからこそオーナーまでやるんだろうなと思いますね、イチ選手としての発言よりもオーナーとして自分でお金を使ってるとたしかにより実感だったり危機感だったりはより増しますし。
 
 HendrickCars.comスキームは確かに今やヘンドリックのエース車両というイメージすら付いてますね。色んな状況が重なった結果ではありますが、ヘンドリックが事業会社を持ってしっかりと仕事をしている、というのは大きいなあと思いました。経営陣は自社の宣伝効果の方が高ければ他所からスポンサーを連れてこなくて良いので、結果として契約する会社のスポンサー料も高く設定できる好循環ですから、ハムリンはそうとうこのビジネスモデルを羨ましく思ってるんじゃないかな~、とか思いますw
ChaseFun9 さんのコメント…
いやぁ待ち侘びたぜぃ!!良い兆候は出ていたから今年は行けると思っていた矢先でした!
Hendrick3人がクラッシュを重ねてChaseが勝利w ちょっとアレなので早い内に1-2-3フィニッシュの主役にでもなって欲しいです🤣
Cherry さんのコメント…
お久しぶりです!!大学入ってからCOTAあたりからリアタイできてないわ、このブログの存在すら忘れるほどバイトさせられていた者です()

チェイスがついに勝ちましたね(超絶号泣)
割とマジでチェイスの初勝利並みにやっと来た!って瞬間過ぎて…
レース当日、残り30周あたりで起床しまして、予選ダメダメだったからリアタイしないで寝てよくらいに思ってたらこんなだったので飛び起きましたw そして最後の15周(と度重なるオーバータイム)を家のトイレに篭って見るとかいう迷惑行為してましたww トイレでロスが事故った瞬間には絶叫しましたね!ロスありがとう!!(酷)

取り敢えず調子に乗らず今年は後1回くらい勝ってくれたら良いなぁと思います。安定して上位にいれる方ではあるはずなので取り敢えずプレイオフまではのんびり見れる…はず…
日日不穏日記 さんの投稿…
アーカイブを観ながら観戦記を書いているので、3時間50分の動画の残り時間で、残り2周のリスタートの時点で、3時間27分。どう考えてもオーバータイムだろう・・・と思ってたら、案の定。ただ、まさかハムリンが消えるとは思いませんでした。リアルタイムの視聴とは、そこが違いますね。そして2度目のオーバータイムで、チャステインが、バイロンに突っ込まれて撃沈。さすがに可哀そうでした。
エリオットは、チャステインとのバトルには勝ちましたが、ラーソンとまともに勝負する状況では、勝ち味が薄い感じで、優勝したものの、かなり運に恵まれた感じだった気はします。カイル、AJ・アルメンディンガー、ケセロウスキー、マクダゥエルが僕の<推し>なので、彼らが去れば、次の<推し>はエリオットになるでしょう。ラーソン、バイロンとの真っ向勝負で勝つ場面を観たい気がします。ところで、オースティンと、フォートワースって、どのくらい離れてるんでしょうね。
かつて、プレーオフ(当時はチェイス?)で、F1アメリカGPと、テキサスの500マイルが被った(日程が近かった?)時に、F1側がNASCARに抗議をしたってニュースを観た覚えがあります。共にテキサス州の大都市ですが。
SCfromLA さんの投稿…
>ChaseFun9さん

 ラーソンのコーションで優勝の手がかりを引き寄せて最後はバイロンの引き起こしたコーションで終了ってちょっとした笑い話レベルでしたねw 次はドーバーで1-2-3-4フィニッシュが狙い目でしょうかね~
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 思い出していただきありがとうございます、あとトイレは解放してくださいw 
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 動画の尺で分かっちゃいますよね~、たまに長いと思ったらレース後の映像を長くとっててややフェイントの時もあるのでできるだけ意識せず見るようには努めてますw
 ちなみにオースティンとフォートワースの距離ですが、CoTAとテキサスモータースピードウェイの距離で言えば高速道路を使って350kmぐらいの距離で、日本に換算したら東京から京都までの直線距離、新幹線の営業キロ数で言っても東京~名古屋ぐらいになります。アメリカの尺度ではけっこう近い距離の都市ですけど、日本の尺度で言ったらもう別の都市圏ですね。どこの国だろうと350kmは遠いと思うんですが・・・w