F1 開幕戦 バーレーン

Formula 1 Gulf Air Bahrain Grand Prix 2024
Bahrain International Circuit 5.412km×57Laps=308.238km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB20-Honda RBPT)

 NASCARが始まったばかりなのにもうF1始まったってどういうことでしょうか(。∀゜)2024年の開幕戦バーレーンです。毎年こんなことを言ってる気がしますが、2024年は史上最多の24戦が開催される予定です。もうNASCARのトラック シリーズを超えてしまっています、ということはプレイオフ制も行けますね!
 さらに、普段ならイベントは金曜日から日曜日の3日間ですが、開幕戦は木曜日から土曜日の日程。これは次週のサウジアラビアGPの影響で、3月10日 日曜日からムスリムの方々にとって重要ないわゆる断食月・ラマダーンになってしまうので、それより前にレースを終わらせるべく決勝を土曜日へとズラしたためです。規定ではレースとレースの間に1週間空けないといけないので、開幕戦もセットでズレてしまったというわけです。そう思うと毎週2レースやってたパンデミック明けのNASCARってホント異常でしたねえ・・・ていうかそれなら3連戦の最後にスプリントとかやるなよな^^;
 さあ、イベント数が多すぎるのでさくっと参ります。

・開幕前の話題

 今年はドライバーがなんと昨年から全員残留、新人さんがいません。しかし衝撃だったのは来年で、ルイス ハミルトンがなんと来年からフェラーリと複数年契約を結んだことが突然発表されて大騒ぎとなりました。さすがに現在のメルセデスとの契約がもうF1人生最後の契約かと思っていたのに、いきなりのウマゴン加入。長年ハミルトンを倒すべき憎き相手だと思っていた跳ね馬ファンは心の受け入れ準備に時間がかかりそうな気がします^^;
 代わりにフェラーリを去るのがシャルル ルクレールなはずもないのでカルロス サインツが弾き出されることになり、開幕前からいわゆるレーム ダック状態なのでチームを率いる側も今年をどう戦うかドライバー面で大変そう、移籍市場もこの強烈な一撃で大慌てになっていることでしょう。

 車体の規則はちょっとした手直しぐらいしか無く、パワー ユニットも当然ながら継続使用。本来ならドライバーあたりのPU年間基数は4基から3基に減らされるはずでしたが、結局4基に戻されました。3基に減らされた場合、各メーカーは『信頼性向上』を理由とした改良を投入しまくって開発凍結を形骸化させるのではないかという指摘もありましたが、結局変わらなくなったのでこの手はあまり大手を振って使えなさそうです。
 
 一方チーム体制では2チームが名称を変更。ザウバーは2026年からアウディーのワークスという形で参戦することが決まり、そうなると同業他社であるアルファロメオと協力し続けるわけにいかないので協業を終了。そこでチーム名を主要スポンサーに合わせて『ステイク F1 チーム キック ザウバー』に変更。ステイクはお肉屋さんではもちろんなくてオンライン カジノを運営する会社です。
 ただ、賭博企業の宣伝を大々的に掲げることが法律上できない国があるため、その場合は『キックザウバー』を名乗るという二正面作戦、キックは動画配信プラットフォームを手掛ける会社ですが、ステイクの創業者も出資しています。当ブログでは面倒なのでザウバー、ないしは、いきなりステイクF1に名称変更されたので『いきなりステーク』と呼ぶことにします。いやでもドライバーがラーメンキャラなんだよな・・・

 そしてもう1チーム、昨年までアルファタウリと呼んでいたチームが『ビザ キャッシュ アップ RB』に名称変更。レッド ブルの服飾ブランドであるアルファタウリはあんまりうまく行かなかったのか、やめるんじゃないかという話になってチーム名も変更へ。そしてこんな長い名前になり、RBはアールビーでレッドブルではない、そして会社名としては『レーシング ブルズ』であるという分かったような分からんような話になりました。
 こちらもどう呼べばよいのかメディアで話題になっていたそうですが、当ブログでは単にRBとかVCARBとか、あるいは今朝閃いたもので、ビザでアールビーでチームが元をたどるとミナルディーなので『ビザルビー』とでも呼ぼうかと思います(・∀・)なお、さらにワケが分からんことに、ブランドを畳むのかと思ったアルファタウリはF1の公式アパレル パートナーとして契約したことが明らかになりました。ほんなら名前変えんでよかったんちゃうのん、とか思うわけですが、逆にこれをやりたいから特定チームの名前からあえて剥がしたんでしょうかね。宣伝上手企業の考えることは分からんw

 最後に、ハースはチーム設立時から代表だったコワモテおじさん・ギュンター シュタイナーが代表を解任され、新たに小松 礼雄が代表に就任しました。小松さんはロータス時代にロマン グロージャンのエンジニアを担当し、グロージャンとともにハースに移籍。以降技術系の要職に就くなどしていましたが、とうとう代表です。それにしてもギュンターおじさん、単に雇われている代表というわけではなくチームの設立から関わっている設立メンバーの1人みたいなものなので、突然の発表は驚きで、本人も驚きだったようです。


・予選

 今年最初もやっぱり速いのはマックス フェルスタッペン。Q3最後のアタックは本人としては少し失敗したのか謝っていましたが、2位のルクレールに0.228秒の差を付けてピレリ ポール ポジションを獲得しました。
 3位からジョージ ラッセル、サインツ、セルヒオ ペレス、フェルナンド アロンソ。7位にランド ノリス、8位にオスカー ピアストリとマクラーレンの2人、ハミルトンは9位となりました。1位と2位で0.228秒も差があったのに2位から9位までの差は0.303秒と大混戦、フェルスタッペンこそ少し抜け出したもののそれ以降は昨年の開幕より明らかに差が無い印象でした。フェルスタッペンもルクレールとの差という点では去年より縮まっていますね。

・決勝

 スタート時のタイヤはなんと全員ソフト。上位ではペレスのスタートが良くてサインツと順位が入れ替わりましたが、これ以外は9位まで順位変動なし。10位スタートニコ ヒュルケンベルグがスタートに失敗して順位を下げ、さらにターン1で前が渋滞するところに大内から入ってしまってランス ストロールに追突。これで2人は大きく遅れ、角田 裕毅が1つ順位を上げて10位となりました。


 ルクレールがフェルスタッペンにどのぐらいついて行けるのかが見どころかと思いきや、3周目のターン4でなんかえらく簡単にラッセルに抜かれてしまいます、あれ、どうした?ラッセルのペースが速いわけではないようでルクレールはちゃんと付いては行くものの、ターン10のブレーキでたびたびタイヤをロックさせてそのたびに取りこぼしている模様、結果7周目にはペレスにも抜かれてしまい、「俺の方が前のやつらよりペースあるぞ」と言っているサインツが迫ってきました。そんなことやってる間にフェルスタッペンは6秒も前方へ。
 11周目にはとうとうサインツもルクレールをかわしてこれでルクレールは5位。フェラーリ的には状況を考えたら入れ替えたほうが良さそうだったのに、この2人はそれなりに普通に争っていました、このあたりやっぱり残る人と去る人の扱いの差が出てくるのでは・・・
け、けっこう近いよ(;・∀・)


 その11周目にラッセルとルクレールがピットに入りここからピットサイクル、みんなハードへ乗り換えて行きます。タイヤを替えた者同士の争いでは14周目にペレスがラッセルをコース上で抜いて実質2位となると、フェラーリはおそらく予定より早く入る羽目になったであろうルクレールが結果的にサインツをアンダーカットして元に戻ってしまいました。ルクレール、ハードに交換してもロックさせてるので基本的に何かダメっぽい。
 ダメっぽいチームメイトをもう一度抜いたサインツは18周目にラッセルも抜いて3位。この後しばらくは特に何も起きない時間となり、レースが折り返しを迎えることにはフェルスタッペンとペレスの差が10秒まで拡大、ペレスとサインツの差は2.3秒前後で膠着します。レッドブルはハードを1セットしか持っていないため、次はソフトを使う可能性が高くなっています。

 32周目あたりからが2回目のピットサイクル、ハミルトンがピアストリをアンダーカットしたことと、バルテリ ボッタスの左前輪がハマらなくて1分近い作業時間になったことぐらいしか大きな出来事はありませんでしたが、タイヤ交換後になるとさっきまで苦戦していたはずのルクレールがなんか普通に走っていてラッセルを追い上げていきました。いきなりステークはナットを締めながらジャッキを落としたから斜めに入ってしまったんじゃないだろうか・・・


 ルクレールに話を戻すと、ブレーキの温度が左右で全然異なる状況になってしまい、片方だけ効いているのでブレーキを踏むたびに車が勝手に斜向する状態だったとのこと。おそらくこの頃になんとか左右をある程度同じ温度にできたものと考えられます。そのままラッセルを追い回していると、46周目に今回はラッセルがターン10で失敗。ロックしてコース外にはみ出したのでルクレールが4位を取り戻しました。ああ、ブレーキさえちゃんとしてたらこんなところ走って無いのに、と思ったことでしょう。
 
 そしてレースは終盤、撮れ高を演出したのはビザルビーでした。角田はタイヤ交換を14周目、34周目、と比較的長く走って均等割りに近い構成にして理論上の速さを取りに行ったようでしたが、これで争っている相手にアンダーカットされ、さらに2回目のピット後にはみ出したことでケビン マグヌッセンにも抜かれて13位まで落ちていました。そこに、第3スティントにソフトを履いていたダニエル リカードが到達。角田が抜けずに苦戦しているためにチームは入れ替えを指示して打開を試みようとしました。
 ところが角田は「冗談やろ?今か?」と言っていたのでおそらくすぐに受け入れなかったと思われ、結果ターン1で入れ替えてくれるのかと思ったリカードは危うく突っ込みかけます。入れ替えるって言ったのに譲ってくれないのでリカードは「何も言うことないわ。」
 この後角田は渋々道を開けた上で「おおきに、お礼言うとくわ。」とチームに皮肉で返すと、リカードがマグヌッセンを全然抜けずに状況が変わらないので「はよ走れや。」「あいつ全然速ないで。」とネチネチと口撃。チームの考えに対して言ってる、と釈明すれば良いとはいえ、開幕戦からそんなに相方をボロカス言うもんじゃないのでは^^;

 フェルスタッペンはそんな揉め事とも当然無縁、結局ペレスに22秒の大差を付けて開幕戦を制し、通算55勝目を挙げました。レッドブルのワンツーにサインツ、ルクレールとフェラーリの2人が続き、ラッセル、ノリス、ハミルトン、ピアストリと5位から8位はメルセデス4人衆がだいたい想定通りの順位となりました。メルセデスは冷却の見積もりを間違えたらしくレース中に2人とも温度上昇で苦しめられたので、あの最強チームが何やってんの、と思ってしまいましたね^^;


 SC導入に賭けて延々とタイヤを換えずに引っ張ったアロンソは神頼み失敗、単にしんどいだけのレースで9位でしたが、スタートでほぼビリになったストロールが10位になったのでアストン マーティン的には最低限今年も中団勢の多くよりは前に出た状態で戦えそうなのが肯定的な材料だったでしょうか。でも勝てる車じゃないとアロンソは見切りを付けて出て行っちゃうかもしれませんけどね。

 というわけで、フェルスタッペンがまず優勝してプレイオフ進出圏を順当に手にし、プレイオフ ポイントも7点獲得しました。え、違う?
 というわけで、2024年のチャンピオンはフェルスタッペンに決まりました。え、これも違う?
 いやあ、レースになったら去年と変わらずの速さで何も言うことがありませんね。去年の後半からはガタガタでなかなか2位になれなかったペレスがきちんといるのがチームとして好材料ですが、彼は元々トラクション系サーキットにめっぽう強いですから、それ以外の開催地でどうなるのかが注目です。
 フェラーリもメルセデスも追いかける側なのに満足に攻められない事情がそれぞれにあったので、ちゃんと100点満点は無理でも90点ぐらいのレースをできた時にその差がどうなのか、というところがまだ今回は全部見えていないのかなとも思いましたので、まだフェルスタッペン全勝と決めつけずに見て行こうと思います()

 そして身内で揉めていたVCARBは結局そのままの並びでレースを終えてリカードが13位、角田は14位。すると怒りが収まらない角田はレース後のクール ダウン周回でリカードの車の内側に飛び込むと、立ち上がりでもえらく至近距離から抜いていく煽り運転状態でした。
 放送されてないだけでみんば無線では口が悪いのに角田だけ切り取られてるだけだ、とか、そもそもそんな冷静に走る方が無理だ、とか、英語圏の人ではない角田には語彙力の面で単純なキツイ言葉が出やすいのは仕方ない、とかいう意見もあるでしょうしそれももちろん正解の1つではあるんですが、何もない人はどう切り取ったって何もありません。怒った相手が作戦やチーム側にあったとしても、レース後にチームメイトの車に対して危険行為に近い行動をするというのは、ちょっと3年F1を経験した上での行動としては自覚が足りないと思いました。
 監督の作戦が明らかにマズくて試合に負けて、三振した最後の打者が次打者のいる方向に対して持ってた道具を投げつけてたら、感情が出ている、別のその選手に対して怒ってるわけじゃない、それもスポーツ、では済まないと思います。これがグロージャンやマグヌッセンや、ニキータ マゼピンが同じことをしていたらどう思われるでしょうか?日本人だから、というのではなく、指摘するべき点は日本のメディアであってもして欲しいなと思います。私の感性が全くもってズレていなければ、の話ですが。

 次戦はラマダーン前のサウジアラビアです。

コメント

studiocurve さんのコメント…
「はいはいマックスマックス」とゴール後すぐにTVから離れてしまいw角田の悪行を知ったのは翌日のSNSで。チームの戦略はさて置き「オマエ次から来なくていいから」と言われかねないくらい愚かな行為で、もう応援するのをやめたくなりました。せめてピットに戻ってからチームの代表に直訴すればよかったのに…
SCfromLA さんの投稿…
>studiocurveさん

 私もチェッカー後すぐに別の事を始めたので、事案を知ったのは翌日に公式動画を見てからでした。仰る通り口より先に手が出るのはマズいですし、単に気が短いとかいうだけなのか、ひょっとしたらどこかに「何か自分が不利益を被った時に、厳しい言葉で吠えたり暴れたりするのがカッコイイ」というような誤った認識を持ってしまっているのではないか、とも思えてしまいます。あんまり状況が悪いとシーズン中にローソンと入れ替えられる可能性すら感じますね・・・