新放映権契約締結!他NASCAR情報

 11月29日、NASCARは2025年からの新たな放映権契約で放送局各社と合意したと発表しました。現在から引き続き放映権契約を継続するFOX、NBCに加えて新たにTNTとアマゾンが契約企業として加わり、契約期間は2031年までの7年間となります。契約金額は公表されていません。


 詳しく見ていくと、開幕前のブッシュ ライト クラッシュとオールスター戦を加えた全38戦のカップ シリーズの放送は4社に跨って放送されます。まず、ブッシュライトクラッシュ、デイトナ500、オールスターを含む開幕からの14戦をFOXが、プレイオフ期間を含む最後の14戦をNBCが放送します。現行契約と比べるとFOXは4戦、NBCは6戦の放映数減少となります。
 そして残るシーズン中盤の10戦、季節で言うと概ね5月末から7月末にあたる10戦をアマゾンとTNTが5戦ずつ山分け、おそらくはアマゾンが前半の5戦、TNTが後半の5戦となります。初めてNASCAR放送に関わることになるアマゾンはプライム ビデオを通じての配信を予定。ワーナー ブラザーズ ディスカバリー チャンネル傘下のTNTは2014年以来となるNASCAR放送再参入で、TNTでの放送に加えて配信サービスのMaxを通じてのストリーミングも行います。

 また、アマゾンはブッシュライトクラッシュ、デイトナ500、オールスターを除くシーズンの前半について練習・予選の独占放映権を有し、以降の後半戦の全てのレースはTNTが練習・予選の独占放送権を獲得していずれもストリーミング配信される予定です。
 2025年の具体的な日程はもちろんまだ決まっていませんが、FOXが放送するのはオールスターが区切りとなりそうです。オールスターの翌周に開催されるコカ-コーラ600の放映権はアマゾン、独立記念日のレースは時期的にアマゾンとTNTのどっちになるのか境界線あたりで、日程次第ではブリックヤード400はTNTの放映期間に含まれそうです。NBCは放映レース数がだいぶ減りますが、プレイオフ争いの最終盤からプレイオフ本体の目玉部分を引き続き放送し、夏場の放送から離れるためオリンピック期間と重複してNASCARに2週間の休みが発生する状況は無くなる可能性がありそうです。
 また、以前に先に発表されていた通りエクスフィニティー シリーズはCWネットワークが全戦放送し、クラフツマン トラック シリーズは引き続きFOXが全戦を放送することが発表されました。放送局の割り当ては図にするとたぶんこうなると思います。


 2022年からイースターの週末にもレースを開催するようになったのでオールスター戦までに13戦を消化していましたが、発表された内容からするとFOXがオールスターまでの14戦を担当ということはオールスター前に開催されるのは第12戦のはずなので、2019年以前のようにイースターを休みにすることでズレるのかな、と想像しています。

 そして、発表されていないと言っても気になるのが契約金額ですが、スポーツ ビジネス ジャーナルが伝えたところでは、既に発表されているCWとのエクスフィニティーでの契約金額を含めると7年間の契約総額は77億ドルとなり、1年平均にすると11億ドルでこれは現行契約をおよそ4割上回る数字だとしています。日本円換算で1年あたりおよそ1600億円という巨額の契約です。

 アメリカでは近年、費用が高額なケーブルテレビ局との契約を打ち切ってしまい、安価で自分の見たいものだけを見るインターネットでのストリーミング契約に切り替える、俗に『コード カッター』と呼ぶ行動が放送局の悩みのタネです。
 スポーツ中継は生放送が魅力で、既存の放送局が巨額の費用で長期独占契約しているため相対的に影響は低く契約を繋ぎ止める大事な武器とはされていましたが、この分野もアマゾンやアップルなど大手IT企業が割り込んでいます。この流れが運営団体からすると競争による価格つり上げに繋がるか、逆に懐の苦しい放送局の煽りを受けて価格低下に繋がるかが焦点でしたが、ひとまずNASCARはうまく商売をしたと言えそうです。
 注目度が決勝ほど高いとは言えない練習・予選をストリーミングを軸に放送を展開したい新規参入2社に対して切り売りして放送させることで、せっかく権利を得たんだから決勝無しで単体としてお金を獲れるコンテンツにしないといけない、自社がレースを放送する5戦にも呼び込みたい、という競争が起きてくれることも期待していると思われます。逆にこの2社から「視聴者数が増えるように予選単体も面白くしろ」と言われてヘンテコな予選制度ができないか若干心配ではありますが^^;
 一時期のバブルとも言える人気から低下傾向をたどって苦戦していたNASCARでしたが、2020年のCOVID-19感染拡大から全世界を見てもプロのスポーツ競技として真っ先に再開にこぎつけたことでNASCARは注目を集め、その後の施策と相まって回復とまでは言えませんがひとまずの底を打って長期停滞に歯止めをかけたところがあります。そうした流れは今回の契約額に少なからず影響したと思われます。

市街地レース、他カテゴリー選手の参戦など
近年は新規層開拓に積極的

 放映権契約がまとまったことで、次のNASCARのお仕事はチーム側との商業協定の締結に移ります。参加チームに支払われる収益分配金の原資として多くを占めるのが放映権料であるため、両者の交渉は中断状態であると伝えられています。チーム側は、収入の大半をスポンサーからの広告収入に依存している現状を変え、より収益分配金を多く手にできるように求めているとみられ、両者がどう歩み寄るのかが注目されます。

 しかし日本のNASCARファンとして気になるのは我々の視聴体制です。NASCARは公式サービスとして海外からでも生放送を視聴できる有料サービス『トラックパス』を展開していましたが、これが2022年末に唐突に終了してしまいました。NASCARは海外向けにも放映権を販売しており、たとえばオーストラリア、タイなどでも放送局がありますが、残念ながら日本は2019年をもって日テレG+が放送を終了して以降放送局がありません。そのため、日本からの視聴方法は、NASCAR公式YouTubeチャンネルでレースの概ね3日後に公開されるフル レース リプレイしかありません。
 今年は小林 可夢偉の参戦に伴って1戦だけGAORAが中継を担当し、2024年のデイトナ500も放送することが決まっていますが現時点ではそこまでの予定。フルレースリプレイは2025年以降も継続してもらえるのか、特にプライムビデオという全世界的な配信プラットフォームで独占配信される期間は、競合他社のYouTubeで使える契約になっているのか気になるところです。というかGAORAさんこの際全戦放送に戻ってきてくださいよw

 さて、その他の話題をざっとお送りします。

・チェイス、古傷を手術

 11月17日、チェイス エリオットはソーシャル メディアに『ちょっとした報告』として、古傷の右肩を手術したことを明らかにしました。来季の開幕には間に合う模様です。なお、チェイスは全米モータースポーツ記者協会が選出する最も人気のあるドライバーに6年連続で選出されています。

・ハムリンも手術

 11月22日にはデニー ハムリンも右肩の関節鏡視下手術を受けたと発表しました。来年の開幕には間に合う、はずでしたが、11月30日のNASCAR表彰式に姿を現したハムリンによると術後の経過はあまりよろしくないとのこと。怪我をしたのはプレイオフ期間中の10月のことで、腱を断裂するそれなりの重傷だった模様。「スイッチを入れるように言われても痛くて手が届かない、触れないことがあった」ものの「怪我をプレイオフで負ける言い訳にしたくなかった」ため公表していなかったと説明しました。医師からは3か月の休養とリハビリを推奨されているようで、ブッシュライトクラッシュへの参加は現時点で安泰とは言えないものとなっているようです。



・グレッグソンが後継候補?

 エリック アルミローラの引退によりシートが1つ空いたスチュワート-ハース レーシング。アルミローラに付いていたスポンサー・スミスフィールドも一緒に離脱してしまい動向が気になるところですが、おなじみFOXの記者・ボブ ポクラスによれば有力視されているのはノア グレッグソンとのこと。
 2023年はレガシー モータークラブからフル参戦していたグレッグソンですが、SNS上の人種差別的投稿に対して好意的反応を示したことから出場停止処分を受け、自らチームとの契約解除を申し入れたとされています。その後更生プログラムを受けてNASCARからの出場停止処分は解除となり、9月にカナダのピンティーズ シリーズのレースに1戦だけ出場しました。
 グレッグソンは2年契約で2024年も契約があった一方で、レガシーMCが来季からトヨタに変更されることと結果があまり出ていないことから残留が危ういと元々噂が出ていましたが、それはさておき人材不足のSHRが興味を示しているようです。SHRはエクスフィニティーでコール カスターがチャンピオンを獲得したので普通に考えたら昇格させてあげれば良さそうに思いますが、チームは来季もエクスフィニティーに参戦すると発表しています。
 アルミローラの引退が濃厚ならそれなりに手だてを考えているはずなのでSHRとしてもなんというか下手なやり方になってしまってる感じがしますが、グレッグソンにしてもスポンサーが無いとチームとしては財政的に厳しいところがあるので、本当に契約するのかはまだ半信半疑といった印象です。
 仮にグレッグソンが契約すると、来季からケビン ハービックの後任として加入するジョッシュ ベリーとは、エクスフィニティー時代に続いてまたチームメイトということになります。グレッグソンとベリーはJRモータースポーツのチームメイトで、実績としてはグレッグソンの方が上の存在でした。

 ドライバーが未定というとコウリッグ レーシングのNo.16もまだ発表されていません。A.J.アルメンディンガーはスポンサー不足からエクスフィニティーへと活動の場を戻すのではないかとされていますが、スポンサー次第では残留できる可能性も残されています。そんな中でポクラス記者が後任候補として名前を挙げているのがタイ ディロン。2023年はスパイアー モータースポーツから参戦してパッとしませんでしたが、リチャード チルドレスの孫ということでそれなりにお金が付いてくるらしくお金が無いコウリッグが目を付けているとしています。
 しかし、少なくともロード コースでなら優勝できる可能性がある、プレイオフに出ることさえできればオーナー順位16位以内になって分配金の増加が見込めるAJと、持ち込みスポンサーはあるけど勝てるかと言われるとうーん、な弟ディロンのどっちにするかと言われるとなかなか難しい問題です。



・ハービック、『ロケ地』の家を買う

 引退して来年からはFOXの解説者になるハービックですが、このほど『リッキー ボビーの家』を購入したとのこと。リッキー ボビーというのは2006年に公開されたNASCARを題材にしたコメディー映画『Talladega Nights: The Ballad of Ricky Bobby(日本語版の題名は タラデガ・ナイト オーバルの狼)』に出てくる登場人物。この作中に出てきた撮影に使われていた家を購入したそうです。何回見てもこの邦題がダサいんだw
 シャーロット  モーター スピードウェイから北北東に70kmほど移動したノーマン湖という湖の近くに立つ物件で、誰が調べたのか675万ドルで購入されたとFOXは伝えています。


・スクワイアーさん亡くなる

 1980年~1990年代にNASCARの実況を務めた元アナウンサーのケン スクワイアーが11月15日に腸閉塞にともなう合併症で亡くなりました。88歳でした。スクワイアーさんは1979年のデイトナ500で実況を担当。当時まだインディアナポリス500ですら一部を生放送したり、録画放送しかされていなかった時代に史上初めて500マイルのレースを完全生中継したレースでした。
 最終周に優勝を争うケイル ヤーボローとドニー アリソンがもつれるように絡んでクラッシュし、リチャード ぺティーが逆転で優勝する劇的な展開とその後の乱闘の場面は全米で大ウケし、当時はまだ知名度が低かったNASCARが全国に知れ渡る転機となった重要なレースとされています。そんな一部始終を実況し、デイトナ500を『グレイト アメリカン レース』と表現したことでも知られるスクワイアーさんはまさにNASCARの一部でした。
 2015年から2017年のダーリントンのレースでは、スロウバック企画としてレースの一部で実況を担当するなどファンに馴染みの存在でしたが、2020年には新型コロナウイルスに感染。幸いに回復したものの近年は体調を崩すことも多かったそうで、ホスピス ケアに入ったことが明らかになったばかりでした。最後は家族に見守られながら息を引き取ったとのことです。ご冥福をお祈りいたします。


 最後に、2024年のデイトナ500のグランドスタンドとキャンプ場の入場券はなんともう完売したそうです!
 

コメント

ChaseFun9 さんのコメント…
amazon Japanのprimeで全部配信してくれても良いのよ!!(>_<)
カイル・プッシュ さんのコメント…
頼みの綱のYouTubeがなくなると困ります、、、
Cherry さんのコメント…
YouTubeがどうなるのか(特にAmazonの期間)が心配でしかないのでトラックパス復活なりなんなり金取って良いのでやっても良いんだよ!って思いますw
SVGの庭、RSCはTVストリーミングされてない国向けのそれぞれの地域向け視聴サブスクサービスがあるので(日本向け、普通にスカパーの単独チャンネル契約並に月学払うんですけどw)尚更やって欲しいですね笑
SCfromLA さんの投稿…
ちゃんと契約書で「海外向けにYouTubeで配信する」って書いてくれてると良いんですけどね~。海外向けはアマゾンが独占するならそれはそれで契約を考えてもいいかなと思うんですが、そういえば元々アマプラ契約してる人は再来年から5レースと前半の予選だけは見れるようになるわけですね。実況解説に誰を雇うのかも気になります(・∀・)