コディー ウェアーの出場停止処分を解除

 NASCARは12月12日、コディー ウェアーに対して課していた無期限の出場停止処分を解除したと発表しました。ウェアーは4月10日、ノースカロライナ州アイアーデル群で交際相手の女性に対する暴力行為があったとして警察に逮捕・起訴され、これを受けてNASCARから出場停止処分を受けていました。事件は4月3日に発生し、FOXスポーツのボブ ポクラスが伝えたところによれば、その内容は相手を床に押し倒し、顔を平手打ちし、首に手を回し、電話を投げつけて殺すと脅したとされており、令状には、首の周りに発赤と痛みがあり右手が骨折していると記載されていたとのこと。
FOX系列の地方局・クイーン シティー ニュースより
https://www.youtube.com/watch?v=a5MoSPDBwws


 ところがその後、9月になってその女性側もまたウェアーに対する暴行罪で起訴されていた模様。起訴状には女性がウェアーを繰り返し殴り、そのせいで手を骨折したと記載されていた、と報じられています。お互いが相手から暴力を受けたと主張している状況と考えられます。

 これとは別に、所属するリック ウェアー レーシングは女性に対して『ウェアーとチームに損害を与えるために意図的に虚偽の主張を行った』として『ウェアーの出場停止に伴ってスポンサーのバイオヘイブンからのスポンサー料と、代替ドライバーの確保のために損害を被った』として民事訴訟を起こしていました。この訴状では『女性がウェアーに対し、プロミス リングが正しい指にはめられていなかったことに腹を立てたことから始まった』と書かれているとのこと。損害額は、失ったスポンサー費用が350万ドル、代替ドライバーの費用が30万ドルとしています。

 こうした中で12月14日、アイアーデル群地方検事局は双方の起訴を取り下げると発表、『捜査のために必要な本人の証言が得られないためこれ以上の手続きの進展ができない』ことが理由とみられます。ポクラスは『ウェアーと彼の元ガールフレンドは、ウェア一家と彼女の間の民事訴訟も却下されることを理解した上で、お互いに不利な証言をしたくないと表明したため、検察は両者に対する起訴を取り下げた』とまとめています。
 同一の案件について当事者の双方が暴行の容疑をかけられており、お互いの事件の審理に相手の証言が必要となるものの、真っ向から話が逆さまなのでやり取りをすればするほどお互いに脛の蹴り合いになることは確実な状況。しかも客観性の無い水掛け論になる可能性が大きいためお互いにこの件について証言する気が無く、結果的にお互いのそれぞれの容疑を裏付けるものが無い、捜査ができない、とこういうことになると思われます。

 ウェアーは
「周囲が性急な判断を下す中、私は一貫して無実を主張してきました。信じられないほど大変な8か月間だったので、この問題が全て終わってうれしいです。全ての申し立てが棄却され、自分の人生を取り戻せたことに感謝しています。」
と声明を出しました。


 上記の通り、あくまでこれ以上事件の真相を追求するための手続きが進まないので検察が起訴を取り下げたのであって、ウェアーが実は被害者で全くの無実だった、という結論が出たわけでは無いですし、単純にお互いに暴力をふるい合って、責任の度合いは別にしてお互いにどっちもどっちだっただけ、という可能性もあるでしょう。真相は当事者以外には分からない状況です。
 しかしひとまずウェアーの処分が解けましたので、来年からレースには復帰できます。ただ問題はリック ウェアーが息子の扱いをどうするかです。RWRは既にウェアーの乗っていたNo.51のドライバーとしてジャスティン ヘイリーと契約しており、元居たシートはありません。残るのはNo.15の方ですが、本来は従来通り複数のドライバーで回そうとしていた枠と考えられます。
 お父さんウェアーとすると、息子ウェアーとともにレースを戦うというのは自身が子供だった時代からのレース活動を受け継ぐ、ある種の家族としての夢みたいなところがあるのでできれば息子を使いたいのは山々ですが、正直実力としてはそこまで期待できるわけでもないですし、起訴取り下げとはいえ企業側からしてすぐさま自社の宣伝を担ってもらいたいかというとやっぱり印象というものもあります。
 まだNo.15のドライバーに関しては全く発表が無いので、この検察や民事訴訟の行方も見ながら考える予定ではいたのかなと思いますが、チームとしてはRFKレーシングとの提携2年目、加えてヘイリーという普段起用してきたドライバーたちからすれば期待が持てる若手を連れてきたわけで、ひょっとしたら今までよりも前を争うことができたりするチーム力が付いてくるんじゃないか、という期待はこのNo.15でスポット参戦枠に入りたいと思っている人たちも持っているかもしれません。
 でももし本当にそんなことが起こるのなら、その競争力の上がった自チームで息子を走らせてやりたい、と思う親心も当然出てくるでしょうし、下位チームのあまりシリーズには影響しない部分とはいえこの先の発表が気になるところです。

コメント

アールグレイ さんの投稿…
良くてNo.15で何戦か乗れればっていう感じだと思いますね。
このチームは、ウェアーの出場停止で他のフォード系のチームの若手ドライバーにもシートを回して経験を積む枠になっていましたし。
FRMのNo.38に乗れなかった場合のNo.15やNo.51でのギリランド起用や、SHRの協力もバトンの参戦やエクスフィニティーのカスターやハーブストをこのチームで乗せたりと結構受けているイメージがありますので、正直いくら息子だからだと言っても若手ドライバーの育成や経験のためにシートを空けていても良いんじゃないかなと。
今年はニューマンというカップ戦勝利経験者も何戦かスポット参戦したので、No.15は若手育成&たまにゲスト、No.51はヘイリーに頑張ってもらって(結局グチャグチャになってヘイリーもNo.15にちゃっかり乗ってそう)、RFKとの提携も深めて、もう少し前で走るシーンを見たいところです。
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 チーム運営的に他所の選手を預かって走らせる仕事は必要不可欠なんでしょうね。まずはスポンサーとドライバーが噛みあう場所から埋めていって、残ったレースでさあ息子をどうするか、というのが現実路線だと思いますが、そうするとやっぱりイェリーがいちばん影響ありそうだなと思いましたw