F1 第21戦 アメリカ(ラスベガス)

Formula 1 Heineken Silver Las Vegas Grand Prix
Las Vegas Strip Circuit 6.201km×50Laps=310.05km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB19-Honda RBPT)

 F1はアメリカ、メキシコ、ブラジル、と続いてまたアメリカに戻ってきました。その気になったら1か月間ぐらいカリフォルニアあたりに借りた家でアメリカ暮らししながら参戦できそうですが、第21戦は今年3回目のアメリカ開催・ラスベガスです。
 ラスベガスGPというのは一応初開催になりますが、1981年、1982年の2回だけラスベガスでの開催実績がありシーザーズ パレスGPと呼ばれていました。当時もアメリカで複数回のレースが開催されていた時代でしたが、有名なシーザーズパレスという高級ホテルの駐車場を利用した特設コースが用意されての開催。今となってはフォーミュラEレベルの笑い話に思えますが、1周3.65kmの長さを持つコースでれっきとしたシーズン最終戦でした。ただ、やはりお粗末なコースだったせいでお客さんも集まらず、興行として失敗し2回だけの開催でF1は消滅、その後も継続されていたCARTのイベントも1984年に消えました。
 それにしてもシーザーズパレス〇〇GP、なら分かりますけどホテルの名称がそのままイベント名ってすごいですよね。例えていうなら『F1第18戦ニューオータニGP』みたいなもんですからね、ビッグフラーイオオタニサン!コノバーベキューハイイデスネ!

 で、改めて登場したラスベガスのコースは今時のF1らしい作りになっていて、バクー市街地なんかと同じで小さいコーナーとなが~~~~~~~~~~~~~~い直線が主成分です。そして日程は木曜日~土曜日の開催になっていて、しかも開催時間は予選が現地時間0時、決勝も22時スタートになっています。こんな遅い時間に騒音出して怒られないのもベガスならではかもしれません。日本時間だと決勝が日曜日のお昼とオーストラリア並みに生活に優しい時間ですw
 ちなみにその長い直線になっている大通りはラスベガス ストリップと呼ばれますが、ストリップには『細長い帯状のもの』という意味があることから、転じて広い直線道路に沿って多くの店が立ち並ぶような大通りのことをストリップと呼ぶことがあります。単語としては皮を剥く、裸にする、という意味のストリップと全く同じ単語ですが、別にそういうお店ばっかり乱立しているからそう呼んでいるわけではありませんw

・さっそく不具合発生

 そんなラスベガス、FP1開始早々いきなり問題に見舞われました。市街地では排水溝の蓋をしっかりと固定しないといけませんが、いざ車両が走行したらきちんと固定されていない言うなれば不良品があったようで、カルロス サインツの車が外れた蓋と接触。いわゆるマンホールみたいな巨大で大きな蓋では無いようなので大事故にならなかったのが幸いでしたが、サインツ車はPU交換が必要になり決勝での10グリッド降格が決まってしまいます。
 どう考えても落ち度が無い不可抗力ですが特別扱いは許されずにグリッド降格は受け入れるしかありませんでした。しかし予算制限がある現在のF1でさすがに費用面まで全額負担で費用計上されては困るので保証を巡って協議が行われているとの情報です。また、この事故でFP1がそのまま終了、点検作業でFP2の開始も大幅に遅れたために観客の代理人が運営を相手取って訴訟を起こす事態にも発展!さすがギャンブルの町ラスベガス、今日は訴訟大国が顔をのぞかせる日でしたw

 

・予選

 さすがに11月、しかも夜になるとちょっと寒いラスベガス。気温15℃、路面温度17℃ぐらいの条件で、今回はC5~C3という最も柔らかいタイヤ配分を持ち込んでいるもののそれでもタイヤに熱が入りにくく、逆に連続でのアタックも可能な条件でした。そこに加えて市街地コースゆえに走れば走るほど路面のグリップ力も向上するので、みんなコースにとどまって走行を継続する展開になりました。木曜日の入場券を持っていた人は損しましたがこの日は普段の予選よりも車がたくさん走っていてちょっとだけお得。
 こういう時はタイヤを温めるためにかける時間、最後の周をどこに持っていくかのタイミングと渋滞処理、自分たちがまだ走るべきかどうかの読みなど、絡んでくる要素が増えがちで波乱が起こりやすくQ1ではマクラーレンの2人が揃って脱落、Q2でもルイス ハミルトンとセルヒオ ぺレスが11位、12位で脱落しました。Q3に2台の車を進めたのはフェラーリとウイリアムズだけ。言い換えればQ3にいなかったのはアルファタウリとマクラーレンだけでした。

 直線が長いコースで優位性を持つのはフェラーリで、シャルル ルクレールがQ1から常に速さを見せつけてピレリ ポール ポジションを獲得。0.044秒差でサインツが2位となりますが、排水溝のせいで決勝のスタート順位は12位。2台で組めたら優勝への選択肢が増えることを考えるとあまりに恨めしい出来事だろうなと容易に想像が付きます。
 3位にマックス フェルスタッペン、ソフト3/ミディアム2/ハード2と決勝でどう転んでも手元にカードが残るようなタイヤの持ち方をしており、そのため予選は各ラウンドで新品1セットずつと制約も大きかったのである程度想定内という印象です。予選でフェラーリが速いのも想定内なので決勝で抜くことだけ考えてる雰囲気ですね。
 4位にジョージ ラッセル、5位にピエール ガスリー。そしてこういう直線多めのコースになると強いウイリアムズが躍進しアレクサンダー アルボンが6位、ローガン サージェントが7位と2台で入賞の土台を築きました。コンストラクターズ選手権でアルファタウリに急速に追い上げられてきましたがここで数点稼いだら7位を守れる可能性が極めて高くなります。実際にはみなさんサインツの降格で1つ上のグリッドからスタートです。
母国レースなので国際映像も取り上げがち

・決勝

 タイヤ選択は上位9人を含めてほぼ全員がミディアム、10位のハミルトンがハードでの最上位。ピレリのオススメ戦略は2ストップですが走ってみないと分からない部分多数です。昨日の予選より時間は早いのでスタート時点での気温は19℃、路面温度20℃。ルクレールが今日は無事にフォーメーションの1周を終えて1番グリッドに到着。フェルスタッペンの付く2番グリッドはレース前のパレードで車両故障が置きてオイルが漏れたそうで、処理した跡があります。これも設備不良の不可抗力だけど仮にこのせいで出遅れても保証はしてもらえないので、そう考えるとサインツのPUに保証が無いのも仕方ないということになる、のかなあ、事の大小が全然違うけども^^;

 フェルスタッペンはオイル処理跡なんで気にしない蹴り出しでスタート直後すぐにルクレールに横並び。ターン1で内側を差しに行きましたが、ぜ〜〜〜んぜん止まれずに自分もろともルクレールをコース外に追いやってリードを奪います。チーム側はとりあえず順位返納の必要性は無いだろうと考えてフェルスタッペンを1位に留める判断。
 さらに中団でもフェルナンド アロンソが空いた内側に飛び込んだは良いもののこれまた全く曲がらず、ターン1でスピンして停止。直接アロンソミサイルが命中した人はいませんでしたが、突然死角から出てきてこっちを向いて止まったおじさん発生で玉突き事故のようになりました。これでVSCが導入されて破片回収処理が行われ、数台は車に破損があったのでピットへ。

 しかしVSC解除後ほどなく、3周目のターン11でランドノリスが単独でクラッシュ。予選だとただの全開区間だった場所ですが、熱が入っていないタイヤと重い車の組み合わせではそうならなかったようで、凹凸で跳ねた弾みで底を打ってグリップが抜けた様子でした。フォーミュラEのローマでよく発生した事故と同じような事故り方ですね。これで即座にSC、ノリスは念のためこの後病院へ搬送されましたが特に問題なくその日のうちに退院しています。『その日』って時間帯的に病院に着いたのが日付を跨ぐ前か後か微妙なので、厳密には不正確かもしれませんけどw
 
 このSCで中団のミディアム勢はピットに入ってハードに交換してしまいました。20位からソフトを履いてスタートした角田が混乱を避けて10位になっているあたりに混乱の様子が伺えます。7周目にリスタート、フェルスタッペンはすぐにルクレールを引き離しますが、スタート直後の押し出しについて5秒加算のペナルティーを課せられました。この件を告げられたフェルスタッペンは無線で「あ〜そう、よろしく言っといて」と非常にふざけた返答で応じます、2年前のブラジルでもありましたねw
 そうは言ってもフェルスタッペンなら5秒なんてすぐ無力化するんじゃね?とか思っていたら案外そうでもなくルクレールとはずっと2秒差、ここからルクレールはむしろ追い上げて15周目にはとうとう1秒以内にまで接近しました。中団はそろそろタイヤ交換の時間に入っており3位のラッセルもピットへ。
 どうやらミディアムは性能が落ち始めているようで、16周目のラスベガス大通り終わり・ターン14でルクレールがとうとうフェルスタッペンをかわしリーダーへ。抜かれる前から既にピットの指示が出ていたのでフェルスタッペンはピットに入り、ここで5秒ペナルティーを消化したのでピット後はラッセルよりも後ろに回ります。

 ルクレールの方は相手がペナっている上にハードへの乗り換えではアンダーカットしにくいので急いで動く必要がなく、21周まで引っ張ってピットへ。後ろは1周目の混乱でタイヤを既に一度換えているサインツとアロンソを挟んで実質2位のラッセル、その後ろにようやくフェルスタッペンなので今のところ悠々と実質1位。ここからなら1ストップで走り切ることもできるし、後ろが2ストップなら相手を見てから自分も合わせれば良いわけで戦いやすい状況を整えました。欲を言えば2台で戦いたかったのに排水溝がねえ・・・
 ラッセルとフェルスタッペンは作戦違いの車を処理しながら走行して見た目上の3位・4位となると、26周目のターン12でフェルスタッペンがラッセルをかわしに行きました。しかし追い抜くような場所ではないので、鼻を入れに行って抜く気満々のマックスと、ここは相手が引くだろうという感じで切り込んだラッセルが接触。これでフェルスタッペンのウイング右端は壊れるし、ラッセルのフロア付近はバリバリに壊れるしで破片散乱につき本日2度目のSCとなりました。この接触はラッセルに5秒ペナルティーが与えられました。

 このSCで得したのがペレスで、1周目以降ピットに入らず見た目上の先頭にいたためここで2回目のタイヤ交換、ルクレールに次ぐ2位で合流。チームメイトの事故でチャンスが転がってきました。ルクレールは普段ならフェルスタッペンがミスってくれたらラッキーですが、今日は余計なことしないで欲しい心境だったことでしょう。

 ハードは一旦使ってもSC中には冷えるようで、ルクレールはあやうくSC中に熱を入れようとして自爆しそうになって冷や汗、29周目にリスタートします。ペレスはルクレールより速そうな雰囲気でDRS解禁を待ち、解禁一発目の31周目は抜けませんでしたが翌周にはきっちりとかわしてリーダーとなります。3位にはピアストリがいますが、こちらは序盤にハミルトンとの接触でパンクしてハードからハードへ繋いでいたのでタイヤ交換義務未消化。実質3位はそのすぐ後ろにいるフェルスタッペンです。フェルスタッペンは接触したのでSC中にもちろんタイヤを換え、ウイングは換えずに壊れたままの状態で走っています。

 このころ、5位争いではアルピーヌ同士がやり合っていてオコンがガスリーを抜きましたが、その前に無線で「順位を維持してタイヤを守るように」と言われていたみたいなので、どうも指示を無視している様子、オコンって誰と組んでも絶対仲良くなれない人な気がする。ただ結果的にはこの後ガスリーのペースが上がらず入賞圏外まで転げ落ちたので問題にはなりませんでした。
 フジテレビNEXTではテレビ未放送の無線情報から「バッテリーがどうとか言ってるのでMGUが適切に機能せず出力が落ちているのでは」と言われていましたが、レース後のガスリーはそんな話はしておらずハードでグレイニングが酷かったことが敗因だとしているので、おそらくそのバッテリーの話はあったとしても大きな要因ではなかったと思われます。

 あやうく険悪になりそうだったフランスのチームはさておき、ペレスの方はというとせっかく前に出たのにルクレールを引き離せずDRS圏内にすぐに戻ってきてしまい、35周目のターン13で抜き返されました。ペレスはこの周にはまだルクレールは入ってこれない距離だろう、と思ってブロックしなかったら入られてしまった感じに見えましたね。ああこれでもうフェルスタッペンに譲るよう指示が出るなあ、と思ったらそんなことする間もなく翌周にはフェルスタッペンに抜かれて3位へ。
 これで結局はまたルクレールとフェルスタッペンの争いになりますが、ペナルティー食らったりぶつかったりして変なスイッチでも入ったのか、フェルスタッペンは無線で「一緒に戦おうぜ、アイツ捕まえよう!」とペレスに共闘を呼びかけます。ぺレスにも無線で「付いてけよ、2台分のトウがある、共闘するぞ。」
 フェルスタッペン的には序盤の戦いや壊れたウイングを考えると、ただ抜いただけでは抜き返されることを想像してペレスに2位になって蓋してもらいたいのかなと思いましたが、とりあえず37周目にルクレールとのブレーキ競争を制して先頭に戻ってきました。ここからも上位3台は1秒以内の争いが続くんですが、国際映像は何か起きることを期待してるのか8位あたりの争いを映してしまうのでせっかくのトップ3による争いがなかなか映りません、ここは映すとこでしょ^^;

 なんとかフェルスタッペンに付いていくことでペレスからも順位を守りたいルクレールでしたが、41周目辺りから徐々に離されてしまってほぼ丸腰に、メキシコではウイングの壊れたルクレールが結構速かったですけど今日も壊れたマックスが速くて空力屋さんは泣けてきますね。それでもなんとか耐えていたルクレールでしたが、43周目のターン12で完全に止まり損ねてペレスにも抜かれてしまいました。ただ、完全にタイヤがダメになったわけではなかったようでこの後もペレスには食い下がります。抜かれてなお離されない、ひっくり返す、なんてレースなかなかここ最近は見れないので非常に見ごたえがあります。

 そしてレースはいよいよ最終周へ、ペレスを4.5秒差まで突き放していたフェルスタッペンに対してジャンピエロ ランビアーズから「チェコとの差をできたら2.5秒にしてくれへんか?」と提案、「やってみるわ」と応じて本当にわざと遅く走り始めました。ルクレールに追われるペレスを少しでも引っ張ってあげて2位を守らせようというチーム戦です。自分で言ったことをちゃんと自分で守るなんて、なんと仲間思いなんだ(棒)
 そんなわけでフェルスタッペンはターン12を立ち上がってなんとピッタリ2秒差という神業を見せつけてペレスを援護、これでペレスはルクレールがDRSを使っても辛うじて逃げk

 抜いたあああ!抜かれたああああああ!ルクレール、0.5秒ぐらい後方にいたのに鬼ブレーキでペレスに反応すらさせず逆転しました。ペレスは35周目に続いてまたも入ってくると思っていなかった距離から飛び込まれてしまい打つ手なし。もうこの先に逆転できる場所はありません。優勝はフェルスタッペン、ペレスと2秒差にするよう頼まれたのに、結果的に2位のルクレールに対して2.07秒差での優勝でした。ルクレール、ペレスの順となりました。映像的にも明らかに1位より2位の方が目立つチェッカーでした。
 

 ラッセルは見た目上4位でチェッカーを受けたものの、5秒加算したら8位。4位はオコンの手に渡りました。普通はSC中にピットに入って得する人が多いですが、16位スタートのオコンは1回目のSCでステイ アウトして1ストップ作戦を敢行し、1回目のピット後に訪れた2回目のSCもステイアウト。どっちのSCでも大勢が入った中で自分は入らない逆張り戦略でリスタート順位を押し上げ、ペースの良さでタイヤの古さを補ってお釣りが来る形になりました。オコンとガスリーはドライバー選手権で11位を争っているんですが、この結果によってガスリーの62点に対しオコンが58点と4点差で最終戦を迎えることになります。
 5位からランス ストロール、サインツ、ハミルトン、ラッセル、アロンソ、ピアストリのトップ10。終わってみたらせっかくQ3に進んだウイリアムズもハースもアルファ ロメオも誰も入賞できませんでした。スタート直後の混乱やらトラブルやらSCやらで実力通りにだいぶ戻ってしまった感じですね。
 角田は最初のSCからリスタートする時点では前に出て来たものの、映像からは垂直荷重皆無という感じに見えて『実は1人だけC0タイヤ履いてんのか?』と思うぐらいツルツルですぐに抜かれまくってピットに入り、最終的には車が壊れてレースを走り切れず18位でした。この直線の長いコースで抵抗の大きいAT04は相性が悪く、あまりに遅いので博打でウイングを寝かせたら案の定操縦性が悪化したと思われます。


 今回のレースはさすがにフェラーリも悔しさはもちろんのこと、腹立たしさが大きかったのではないかと思います。サインツが2位からスタートしていれば勝てる可能性は上がっていたでしょうし、2回目のSCがなければ正面からの勝負でもルクレールは勝てそうな展開でした。2台いればSCがあっても分業することもできましたし、二重に勝てそうな展開を外的要因で失った形です。
 2回目のSCでペレスは入ってルクレールは留まったわけですが、ルクレールも入っていたらペレスが1位、ルクレールが2位の状態でのリスタート。ここからペレスが逃げてルクレールが追いついて、というパターンだとどうなったかはなかなか微妙で、うまく行けばフェルスタッペンとのタイヤ履歴差がないぶん勝てた可能性がある反面、先にフェルスタッペンに捕まって同じ展開だった可能性もあるので、あのSCで入るべきだったかどうかは何とも言えない、ただ不運だったという印象です。
 一方フェルスタッペンは今回ちょっと昔の悪い癖が出たように見えました。RB19と彼の驚異の速さは主に高速コーナーに分があるのでこういう低速と長い直線の組み合わせではそこまでの優位性がありません。予選で後ろになることも、圧勝できないことも事前に頭に入っていたでしょうし、スタートでの押し出しは他のドライバーの動きを見ても無理したというより単純にグリップ力を完全に見積もり間違えた感じがしましたが、ラッセルとの接触はどちらかといえば無用な争いでした。

 1点を争うチャンピオン争いをしていたらたぶんあそこでは抜きに行かなかったと思いますが、もう全部決まって優勝以外にあまり目指すべきものが無い状況になっていて、かつたまたま今回劣勢なのでちょっと無理したと感じました。あの先が長い直線でDRSを使えば何の問題も無く抜けたはずですから、1つ手前のターンで争ってもタイム的にはほとんど利益がなくリスクが大幅に勝っています。
 過失はラッセル側にあると判断されたので接触の責任がフェルスタッペンにあったわけではないですが、入らなければ接触することはなく、しかも入る必要性が薄かったので、まあラッセルは非常に利口でクリーンな選手なので信用していたのかもしれませんが、勝って兜の緒を締めるじゃないですがあそこで抜く判断が良かったのかどうかという部分は過失割合の話とは別にレースのやり方としてきちんと再検討しておいた方が良い気がしました。
 再検討という点ではペレスもたぶん反省会になっていると思います。前戦ブラジルでは一旦抜いたアロンソに最終周に抜き返されて3位に届かず、今回も最終周にルクレールに抜かれてしまいました。ペレスは35周目と50周目の2回同じように抜かれましたが、いずれもルクレールの圧倒的なブレーキの技術が強烈でした。普通の感覚からすると『この距離では入れないだろう』という位置からの飛び込みです。実際見ていてもあれでよくロックもさせず止まって曲がれたなと思います。
 しかも解説を見ると50周目は35周目よりもさらに遠い位置から飛び込んでいるし、これと同じかやや近い位置でも入ってこなかった周もあったのでペレスからすると守れると踏んでいたら違った、という雰囲気でした。振り返るとブラジルでのペレスはアロンソが飛び込める距離では無いのにターン1でついブロックのラインを採ってしまい、これがターン4に向けてアロンソに攻撃機会を与える要因の1つになりましたから(逆から言えばアロンソはうまく餌を撒いた)、ひょっとするとその印象があったので無駄なブロックをしないように逆に気にしたかもしれません。
 ルクレールがそこまで考えて待っていたのなら相当な策士ですけど、ペレスは不必要に警戒してミスったり、脱出が鈍って最後の最後にひっくり返される方がよっぽど怖いのでレコード ラインを通ったらその僅かな隙間に入られてしまったので、『せめて車半分でも締めて入れないように対策しなさいよ』とか後でチームから指摘されてるかもしれません。それでもとりあえずドライバー選手権2位はこのレースで確定しました。
 次にこういうことがあったら塩原ポエム的に「ぺレス、インサイドという心の隙間に入り込まれました!」とか実況してもらいたいですね(謎)

 結果的に接触で呼んだSCが起点になって逆転してフェルスタッペンが勝ってしまったので、なんというかちょっと江夏の21球的でフェラーリとしたら余計に「何やねんもう!」という感じでしょうが、あの時日本一になれなかった近鉄バファローズも結局、あ、日本一になれないままチーム消滅してるわ(;・∀・)えーっと、紆余曲折を経て消滅、合併の後に統合球団のオリックスバファローズが日本一になってるのでフェラーリファンの人も諦めずに、そうですね、何のフォローにもならないですね。
 ルクレールはこれでポールからスタートしたレースで12戦連続優勝ができず史上最多記録まであと1回、一方フェルスタッペンはマイアミ、オースティン、ラスベガスとアメリカで開催された今年の3戦全て優勝し、史上初めて同一年に同一国で3勝したドライバーになりました。しかも全部ポールは獲ってないんですよね^^;

 次戦は長かったシーズンの最終戦アブダビ、ラスベガスよりはまだ高速コーナーもありますけど基本特性は似ているので、今度こそ13度目の正直でルクレールが最後に勝ってウマゴンのファンを沸かせてくれるであろうと2%ぐらい期待しましょう(っ ◠‿◠ c)

コメント

アールグレイ さんの投稿…
今戦はレッドブル、フェラーリ、アルピーヌ、ウィリアムズ、アルファタウリ、アルファロメオとなんと6チームも特別スキームでの出走でしたが、こういう所もなんかNASCARに似てきましたね。
特にレッドブル、フェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズは今年何回も特別スキームをやっていますが、あんまりやりすぎても「本来のカラーを大事にしていない!」となる気がします。
レッドブルに至っては今年3つあったアメリカのグランプリでそれぞれ違うスキームにしている程ですし。

今回のラスベガスもFP1のトラブルがありましたし、スキームはチームの勝手かもしれませんが、近年増えた市街地レースなど華やかな見た目をアピールして内部はどうなの?というところが最近多く見られる感じがあります。
フェルスタッペンも今戦を「99パーセントがショーと1パーセントがスポーツ」と批判しているコメントがありましたし。
勿論、F1のアメリカ人気はNetflixのドキュメンタリー番組が先駆けとなって実際に年間に3つグランプリがやれるまでになったのは物凄いことだとは思いますが。
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 フェルスタッペンはスプリント方式も過剰な演出も高速コーナーが無いコースも全部好きでは無い様子なのでまあ言いたいこと山ほどあるでしょうね(苦笑)ド派手な夜の市街地ってカーボンニュートラルをお題目にしてるのとも相反しているし、スポーツウォッシングへの加担等色々と考えるべき点があるはずのところ、全部すっ飛ばして商業主義に邁進しているのでちょっと立ち止まった方が良いと私も思いますね。これをしないと人気が出ない、というわけではないはずなので。