2023 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT 450km RACE
オートポリス 4.674km×97Laps=453.378km
GT500 class winner:au TOM'S GR Supra 坪井 翔/宮田 莉朋
Q1のB組で最速だったSUBARU BRZ R&D SPORT(47kg)が0.125秒差で2位、4年前にプリウスで勝っているapr LC500h GT(21kg)が3位、そして4位もGT300規定車両の埼玉トヨペットGB GR Supra GT(75kg)でした。LEON PYRAMID AMG(44kg)も7位に入っておりブリヂストン使用車両は重くても好調の様子、何せこのコースはタイヤ選択が外れるとどうしようも無くなります。
GT500はQ1でZ GT500が全滅し5台のGRスープラ GT500と3台のNSX-GTによるQ2。16号車のARTA MUGEN NSX-GT(37kg)・福住 仁嶺がこちらもレコード更新でポール。2位のWedsSport ADVAN GR Supra(27kg)に0.473秒と大差をつけました。
12位スタートでしたがニテラと同様にほぼ均等割り作戦で坪井 翔はコー ス上で追い抜きを連発。序盤の混戦で接触してグリルのあたりに破損があり右側のライトは点灯しなくなっているんですが、逆に真正面だから空力性能への影響が少なくて済んだのか見た目に反して快走。65周目にドライバー交替すると後半の宮田 莉朋もまた追い抜 きを連発し、73周目にはとうとう高星に追いつきました。 ドライバー選手権1位、2位がなんと2位争いで直接対決です。
オートポリス 4.674km×97Laps=453.378km
GT500 class winner:au TOM'S GR Supra 坪井 翔/宮田 莉朋
(TOYOTA GR Supra GT500/TGR TEAM au TOM'S)
GT300 class winner:埼玉トヨペット GB GR Supra GT 吉田 広樹/川合 孝汰/野中 誠太
GT300 class winner:埼玉トヨペット GB GR Supra GT 吉田 広樹/川合 孝汰/野中 誠太
(TOYOTA GR Supra/埼玉トヨペット Green Brave)
オートバックス SUPER GT、シーズンは残り2戦となりました。第7戦はオートポリス、このコースでは初となる450kmレースです。元々長距離レースも開催されていた富士スピードウェイ/鈴鹿サーキットと違ってオートポリスでは300km以上の開催経験が無いので読めない部分があります。また、他の2コースよりも平均速度がやや低く(といっても富士とは数km/hの差)タイヤの性能劣化も激しいため、普通に何も起きずに走ったと仮定して最も時間のかかるレースとなります。
シーズンにここまで全戦出場している車両はサクセスウエイトがGT500クラスはポイント×1kg、GT300クラスは同×1.5kgと掛率が第6戦までの半分。上位と下位の戦力差が少し縮まりますので、選手権上位勢とするとできればここで追い上げる人たちに大量点を許さずある程度の安心感を持って最終戦へ臨みたいところです。
・レース前の話題
前戦SUGOでレースの中盤に大きな事故に見舞われたSTANLEY NSX-GT(31kg)・山本尚貴。レース直後の段階では病院に緊急搬送されたものの大きな外傷なし、という情報でしたがその後の精密検査の結果『外傷性環軸椎亜脱臼』及び『中心性脊髄損傷』と診断されました。いずれも首と背骨という人間にとって極めて重要な部位ですので、安全を最優先に考えて今季の残りのレースには出場しないことになりました。代役として木村 偉織が出場します。
・予選
GT300はGTA-GT300規定の車が大活躍、muta Racing GR86 GT(51kg)の平良 響がQ1A組をトップで通過すると、Q2では堤 優威がコース レコードを僅かに更新してポール ポジションを獲得しました。
オートバックス SUPER GT、シーズンは残り2戦となりました。第7戦はオートポリス、このコースでは初となる450kmレースです。元々長距離レースも開催されていた富士スピードウェイ/鈴鹿サーキットと違ってオートポリスでは300km以上の開催経験が無いので読めない部分があります。また、他の2コースよりも平均速度がやや低く(といっても富士とは数km/hの差)タイヤの性能劣化も激しいため、普通に何も起きずに走ったと仮定して最も時間のかかるレースとなります。
シーズンにここまで全戦出場している車両はサクセスウエイトがGT500クラスはポイント×1kg、GT300クラスは同×1.5kgと掛率が第6戦までの半分。上位と下位の戦力差が少し縮まりますので、選手権上位勢とするとできればここで追い上げる人たちに大量点を許さずある程度の安心感を持って最終戦へ臨みたいところです。
・レース前の話題
前戦SUGOでレースの中盤に大きな事故に見舞われたSTANLEY NSX-GT(31kg)・山本尚貴。レース直後の段階では病院に緊急搬送されたものの大きな外傷なし、という情報でしたがその後の精密検査の結果『外傷性環軸椎亜脱臼』及び『中心性脊髄損傷』と診断されました。いずれも首と背骨という人間にとって極めて重要な部位ですので、安全を最優先に考えて今季の残りのレースには出場しないことになりました。代役として木村 偉織が出場します。
・予選
GT300はGTA-GT300規定の車が大活躍、muta Racing GR86 GT(51kg)の平良 響がQ1A組をトップで通過すると、Q2では堤 優威がコース レコードを僅かに更新してポール ポジションを獲得しました。
Q1のB組で最速だったSUBARU BRZ R&D SPORT(47kg)が0.125秒差で2位、4年前にプリウスで勝っているapr LC500h GT(21kg)が3位、そして4位もGT300規定車両の埼玉トヨペットGB GR Supra GT(75kg)でした。LEON PYRAMID AMG(44kg)も7位に入っておりブリヂストン使用車両は重くても好調の様子、何せこのコースはタイヤ選択が外れるとどうしようも無くなります。
GT500はQ1でZ GT500が全滅し5台のGRスープラ GT500と3台のNSX-GTによるQ2。16号車のARTA MUGEN NSX-GT(37kg)・福住 仁嶺がこちらもレコード更新でポール。2位のWedsSport ADVAN GR Supra(27kg)に0.473秒と大差をつけました。
3位にDENSO KOBELCO SARD GR Supra(34kg)、4位がENEOS X PRIME GR Supra(37kg)と似たサクセスウエイトの車が集まり、GT500の最軽量車(=ドライバー選手権で最下位)でQ1では最速だったDeloitte TOM'S GR Supra(9kg)はジュリアーノ アレジが伸びを欠いて5位でした。
Q1を突破したスタンレーNSXでしたがQ2では偉織選手がタイヤをロックさせてしまったそうで、タイムとしては全くまとまらず3秒落ちで8位となりました。攻めすぎたとの本人談ですが、何せGT500の予選ってアタック時にタイヤを最適に持っていけるかで勝負の半分以上決まってる感じがあって独自の技術が必要なので、いきなり初の予選だとそもそも他の人と同じタイヤの状態まで持っていくだけでもかなり大変です。アレジもたぶんこの辺まだまだ苦労してるんじゃないかなあと想像しています。
Q1で脱落したもののドライバー選手権1位のNiterra MOTUL Z(34kg/-1)が9位でウエイト40kg以上の車両としては最上位を獲得。選手権2位のau TOM'S GR Supra(49kg)は12位となりました。オートポリスは勾配はあるものの上り坂区間は常にハンドルを切った連続コーナー、そのためどちらかというと燃料流量より重量の方が影響が大きいとされています。二テラZも『30kg台の重りを乗せた中で唯一出力も下がっている』と考えると9位は順当と言え、前戦で得点が50点ではなく51点になったことは結構大きいと思います。
また、8号車のARTA MUGEN NSX-GT(32kg)は練習走行でけっこう強烈にクラッシュしてしまい、ギリギリ修復はしたもののセッティング壊滅で10位となりチームメイトとは明暗が大きく分かれました。
・決勝
開会宣言をするオートバックスの役員さんが「 450キロメートル」と読むか「450キロ」 と読むか一瞬迷ったっぽくて噛んでしまった決勝。厳密に言えば「 キロ」は1000倍を表すものでこれ だけだと単位がメートルなのかグラムなのかバイトなのかわからりませんから「キロメートル」 が正しいわけで、個人的にはこちらで開会宣言してくれる人が出てき てくれることを実は毎回密かに期待しています。
そんなことは明日のレソト共和国の天気ぐらいどうでも良いと思いますが決勝のスタート、GT500はウエッズ・ 国本 雄資が全然まだタイヤが作動していないらしくデンソー・関口 雄飛にターン1で抜かれると、 以降も完全に後続の蓋になります。今年はかなり作動が早くなったと感じるヨコハマですが今回は昨年まで良く見たパターン。事後情報だと想定していた路面温度と全然違ったみたいです。
一方で6位スタートのAstemo NSX-GT(29kg)・松下 信治は出足が良くて4位に上がり、さらに国本を抜こうとしますがなかなか抜けません。 真後ろに自分がいるのになおも蛇行してタイヤを温め続ける国本に 対してパッシング連発で威嚇するものの決定打が出ず、そうこうしている間に3周で関口と国本には5秒の差が付きました 。2位と3位で隊列分断。
さすがにもうタイヤに熱が入っているはずなのになおペースが上がりきらない様子の国本に対 し、 松下は6周目の100Rをうまく立ち上がって第2ヘアピンで外か らようやく追い抜きに成功、 国本は翌周のターン1で一気に3台に抜かれるとその後も抜かれまくってダム決 壊、この周だけで11位まで後退してそのままピットへ、タイヤを換えました。結局この日の路面に合致するタイヤが無かったウエッズ号は2周遅れの13位、同じヨコハマのリアライズコーポレーション ADVAN Zも状況は同じで12位でした。
そしてこの壁が崩壊したタイミングでの混戦とGT300の遭遇が重なった結果、ARTA8号車・野尻 智樹 はアールキューズAMG GT3・城内 政樹と接触して緊急ピット、フェンダーにテープ修理が必要になりますが、まだ車輪は装着していないのにジャッキを落 としてしまう連係ミスが出ていて、スタッフさんは昨日の緊急修復作業と決勝に向けての車の手直しでお疲れだったのかもしれません^^;
一方GT300は上位9台までがスタート順位通りに1周目を終え て比較的落ち着いた展開となり、 ムータレーシングは平良が単独でまずは逃げることに成功。3台で繰り広げられていた2位争いでは5周目にLC500h・小高 一斗がピットに入るショート戦略に出たのでグリーンブレイブ・川合 孝汰が3位となり、さらに8周目の60R~50Rという狭くて曲がった部分でBRZ・山内をかわして2位まで順位を上げました。平良もまだ2.5秒前方の見える場所にいます。
GT500はGT300の集団に遭遇すると大混乱という感じで、 この混乱でARTA・ 福住はなんと関口に13秒という大差をつけて見えないところへ走 り去っていきました。 一方GT300は川合が平良に追いついてコース上で直接対決とな ります。 中団スタートだとたいていショート戦略に出るこの2台、コース上で序盤の1位対決は貴重です。
この貴重な対決に追いついたのがGT500の2位争い、気づいたら 今度は関口が蓋になっていて松下が狙う構図でしたが、14周目・ 関口が松下を牽制してブロックしに行って、 松下がその隙間を探そうとした結果空いた穴に飛び込んだのがZE NT CERUMO GR Supra(18kg)・立川 祐路。なにをやっても『ラスト〇〇 』といちいち言われる立川選手ですが、絶妙の立ち回りで松下を抜きつつさらに100Rで関口の外に車を並べ、こうなると関口は先輩を押し出すわけにいかないので軽くブレーキ。立川が2位となり、 流れが崩れた関口はさらに2台に抜かれてしまい、展開が崩れたのでこの後15周目にピットに入りました。
ちょうどこのバトルの後、背後で黄旗が振られているのが見えたの で何かと思ったら、ちょうどターン1でUPGARAGE NSX GT3(60kg)・小出 峻がK-tunes RC F GT3(14kg)・新田 守男に追突されて砂場にハマっておりFCYとなりました。チャンピオン争いのために上位へ行きたいアップガレージでしたがこれで入賞すら難しくなり、結果は17位でした。新田選手は完全に自分のミスだったそうですが、正直ここ数年少しうっかり事故が多いように見受けられ気になります。
FCYが終わって19周目、1位独走の福住が1回目のピットへ。 すでにGT500では7台が1回目のピットを終えており、 見た感じ他の陣営もヨコハマほど酷くは無いものの予想より路面温度が低すぎてタイヤが発動しない、 グレイニング(ピックアップ)が出る、といった症状に見舞われているように見えます。ペースが上がらないと入力が減ってさらに温度が下がってゴムが溶けなくなり、その割に路面からタイヤへの攻撃性が高いのでガサガサになることがオートポリスでは多いと思われます。スタートの段階で27度とやや低かった路面温度はなんと21℃とさらに下がっていました。
続いて21周目には立川と松下も同時にピットへ、 ピット内で松下が立川を逆転しましたが、 なんとこの2台の後ろでピットに入ったMOTUL AUTECH Z(40kg)・ ロニー クインタレッリがタイヤ交換だけという奇 策で先行、ピット組で2位となります。ニスモは手持ちのタイヤでは2ストップが難しいと考えたのか最初から3ストップの戦略でした。でもできればクルーが前から後ろへタイヤ交換で移動するタイミングに一瞬仕草だけでも良いから給油リグを挿して義務を消化したことにしておいた方が、万が一変なレースになった際に助かる気はします。
GT300では18周目にとうとう川合が平良をかわして先頭へ、SCリスクを考えなければ前を走ってる限り急いでピットに入る理由には乏しく、グリーンブレイブは 普段とは逆にかなり正統派の戦略になりそうです。
そのGT300、総合の27周目にYogibo NSX GT3(15kg)が左前輪を脱輪。車は自力でピットに戻り、 車輪回収のために一瞬だけFCYが出たもののすぐ解除されてやれやれ良かった、と思いきや、ピットでタイヤを付け直した直後にターン1を直進、ヨギボーの宣伝で枕に飛び込むみたいに砂場にハマってしまい、またFCYです。車内に煙が流れてたように見えましたが何だったんでしょうね。FCY連発で誰か大儲けする人がいるんじゃないかと思いましたが、今回は何もありませんでした。
このFCYは4分ほど続き、暫定1位のデロイトトムス・ 笹原 右京が30周目に入ったあたりで解除、直後に2位のニテラZ・ 千代 勝正がピットへ。笹原はFCY中にピット入り口を通り過ぎてしまい、千代は絶妙にFCY開けの瞬間ピットに入れるタイミングでした。笹原は摩耗して熱が逃げやすくなったタイヤでの長いFCYから1 周し、この周を終えてピットに入り、また冷えたタイヤで出ていくので千代と比べるといくらか損。ピット前は6秒ぐらい前にいたのに、作業時間で3秒の差があったとはいえピットを出たら即千代に抜かれた上にタイヤに熱が入る前にさらに数台に抜かれました。運が無かった・・・(´・ω・`)
GT300は30周目にムータレーシングがピットへ、 平良から堤へ後退して4輪交換。 これを見たからか翌周にグリーンブレイブもピットに入りますが、 我が道をゆくスープラはなんと給油のみでピットを出ました。 これによりピット後はグリーンブレイブとムータの間に、 5周目に捨てピットをこなしたaprが割り込むことになりました 。グリーンブレイブは目下の相手であるムータを意識しつつも、同時に全然違うところを走っているLC500hに対しても前に出られないようにカバーする両にらみの作戦を繰り出した様子です。ウエイトが軽い上にハイブリッドで加速が良いLC500hは前に出したら厄介だと考えているんでしょうね。
GT500は1回目のピットサイクルを終えて少しレースが落ち着き40周目、 モチュールZが2回目のピットへ。 松田次生に交代して給油と4輪交換、当然ほぼ最後尾へ。 今すぐSCが出たら超ラッキー。 とか思ったらARTA8号車が第2ヘアピンで全然曲がれず砂場に埋 まり本日3度目のFCY、マジでSC出るかと思った^^;
43周目にFCY解除、 リーダーは相変わらずARTA16号車の福住、 これに対して2位の松下はこのスティントで少しずつ差を詰めつつ も後ろからは立川が追いかけ回しています。 これに続く4位に千代がいて、 ここから後ろは早めにピットに入った組なのでかなり差が開いて単 独走行となっています。
ここから先にレースが動いたのはGT300の方で、 45周目にグリーンブレイブとaprが同時に2回目のピットへ。 ドライバーはそれぞれ吉田 広樹と根本 悠生へ交代します。 ここがだいたい燃料的にギリギリのタイミングですね、 今日はガス欠とかしないようにしないと。タンクが空っぽのLC500は 給油時間が長いためここで大きくグリーンブレイブか ら離されます。想定内。
一方GT500では50周目にゼントが最初にピットに入り石浦 宏 明へ。セルモとするとどうやってもコース上で松下を抜けないので先に動いたと思われますが、 残り47周は燃料もタイヤもけっこうキツイ周回数、それをわかっているからだと思いますが、リアル レーシングは反応しませんでした。
57周目、 福住がGT300の集団に詰まった上に2度も軽く後ろに当てられてちょっと後々の影響が気になる場面があり、この間に5秒差まで迫った2位のアステモがピットへ、 松下から塚越 広大へ交代します。ピットを出て石浦に抜かれるのは想定内ですが、 サイクルがズレいて実質的には順位を争っていない松田にも抜かれてしまったのでちょっと面倒にな ります。
後ろが動いたのでARTAは2周後にピットへ、 福住から大津 弘樹へ交代して復帰して石浦の後ろで合流。かなり早くピットに入ったことでとりあえず石浦が実質の1位となりました。 大津はできれば抜かれたくなかった松田にも抜かれますが、 半周も走ったらタイヤが作動して翌周のターン1で素早く抜きかえ し、塚越もこれに続きました。次夫選手、実際の順位はもっと下だし、かといって安易に譲るのもシャクだし、でも争っても自分が損するからロスなく抜かせる以外選択肢が無いのでたぶん心境は複雑でしょう^^;
大津は圧倒的に速くてすぐに石浦に追いつき、 63周目にあっさりとかわして実質1位へ返り咲き。 燃費走行も必要なので石浦としてもここは1位狙いではなく、先を考えて譲るしかない場面でした。何せまだ30周以上あるわけです。
GT300ではムータが57周目に2回目のピットに入りここでも 4輪交換。合流したのはLC500の後ろ・実質の3位でしたがそれほど差は無く、 タイヤに熱が入ったらすぐに追いついてすぐに実質 2位を取り返しました。LC500の根本はちょっとペースが上がらず苦しんでいる様子です。まあ何せオートポリスをGT300で走るのは初めてで、長い距離を任されていますから大変です。
69周目、 GT500で9位を走っていたデンソーが急になにか異変を感知し たようでターン1の内側に自主退避。 安全な場所に止めたのでFCYは出ませんでしたが、 車をどけることもできないので車がポツーンと置き去りになりました。2戦連続で表彰台に乗っていたデンソーサード、ここでリタイアし14位。
コース上ではさすがにピットに入るのが早かった石浦が苦戦し、63周目にピットに入った二テラZの後半担当・高星 明誠がこれをかわして2位となります。選手権ポイント1位の状態で2位、しかもペースが良いんだからこれはもう手が付けられないな、と思ったらそれ以上に速かったのがauトムスでした。
明らかに速い宮田に対して高星はGT300に詰まりつつも必死の 抵抗を見せましたが、 76周目の最終コーナーでまたもやGT300に完全に詰まったことが決め手となって翌 周の第1ヘアピンでとうとう宮田が前に出ました。実は高星も大津に少しずつ追いついていたので1位の大津からする と争ってくれてありがとう状態だったんですが、 これで蓋が外れたのでさあ大変、 まだ20周も残っていて宮田が毎周1秒追いついてきます。
大変なのはGT300も同様で、 やっぱりピットに入るのが早かったせいか吉田に対して堤のペース が明らかに早くこちらも残り20周あたりから既に接近戦、 レース序盤と前後関係を入れ替えて第2ラウンドが始まりました。吉田選手は前戦でガス欠した嫌な思い出もあるので余計に色々気になるところ。仮に2位で終えても選手権を10点リードで最終戦に入れるんですが、勝ったら20点差でほぼチャンピオン確定なのでどっちを獲るかと言われたらそりゃあ今勝ちたいに決まっています。
ちょうど86周目にこの両クラスの争いが1画面に収まると、 この周の最終コーナーで大津が完全にGT300に詰まって大ピン チ。それでもなんとかターン1を抑えると、 ターン3は黒白旗を振られそうなブロックでしのぎました。 この間に高星がまた追いついてきたのでこのままだと挟まれそうな 宮田、どうするかと思ったら ここまでは動きを見せずに手の内を隠していた第2ヘアピンで内側に 飛び込み、見事に一発で大津を仕留めました。
こうなると選手権的に3位で終わりたくない高星、なんとか大津を抜こうとするもののそこまで決定的な差があるわけではなく、しかも自分は燃料流量が絞られているのでこういう時には不利に働きます。
2時間50分にも及んだレース、GT500はau TOM'S GR Supra・坪井 翔/宮田 莉朋が12位スタートから、実重量で言えば最も重い49kgのサクセスウエイトで大逆転し今季2勝目。5.5秒差でARTA16号車、その0.3秒後ろで惜しくも抜けずに二テラZが続きました。ドライバー選手権では坪井/宮田組が千代/高星組に対して7点の差を付けて最終戦もてぎを迎えることになります。ARTA16号車の福住/大津組も16点差でギリギリ権利は残して最終戦&NSX-GT最後のレースへ向かいます。
4位は47周の長旅を耐えたゼントスープラ、5位はレース序盤目立たなかったのに後半はえらくペースが良かったMARELLI IMPUL Z(32kg)が入りました。あれほどゼントと長く戦っていたのに、最終スティントでは根負けしたようにむしろ順位を下げてしまったアステモNSXが6位。前を行くマレリZとは12秒も差がついてしまったので、選んだタイヤがうまく機能しなかったように見えます。
一方のGT300はというと吉田と堤の争いが延々とチェッカーまで続きました。3位以降には大差がついていて完全に2台だけの争い。かつてはよくスピンすることから『クルリン』という不名誉な上に何の捻りも無い安直なあだ名を付けられた吉田選手ですが、今やすっかりグリーンブレイブのエースになった29歳は最後まで隙を見せませんでした。
埼玉トヨペット GB GR Supra GTが91周走ってたったの0.6秒差になった争いを制し2連勝、ドライバー選手権ではムータレーシング 堤/平良組に20点差と王手の状況を作って最終戦に臨みます。今回グリーンブレイブの第3ドライバーには、シーズン途中で残念ながら参戦継続ができなくなったHOPPY Schatz GR Supra GTのドライバーだった野中 誠太が登録され、出番はありませんでしたがGT300の優勝常連チームで実際に優勝の場面に立ち会って貴重な経験を得たそうです。GRスープラ、GR86に続く3位はLC500hとBRZの争いでしたが、根元がなんとか井口を抑えきってLC500hが初表彰台を獲得しました。
ちらっと植毛 |
GT500はやはりタイヤが重要でした。オートポリスで12位から優勝というと2011年にMOTUL AUTECH GT-Rがやはり12位スタートからギャンギャン抜いて優勝したというのがありましたがあれよりも遥かに予想外でした。当時は予選のQ1で敗退した車はスタートのタイヤが自由選択だったのでニスモはこれをうまく活用した側面がありますが、今回はそんな特殊事情もなく、何せ50周目の段階でまだARTAから25秒も離された7位、残り30周を切った時点でもまだ12秒差の6位、鼻も壊れてるしさすがに来るとは思わないですよw
オートポリスは舗装がどちらかというとザリザリしていて、ハンドルを切っている時間が長いのでタイヤの表面が削られます。タイヤがきちんと作動温度領域に入ってベタベタに溶けていれば影響は少なくなる一方で、うまく溶けていないと消しゴムのように削れていわゆるピックアップ、F1中継で言うグレイニングの原因になります。最悪の場合
ピックアップでペースが上がらない→タイヤが冷える→曲がらない→ハンドルをこじる→タイヤ削れる→ピックアップ悪化→ペースが上がらない→・・・
の悪循環にハマります。ここに、GT300との混走でラインを外れて走行することでタイヤカスを拾い上げる方のピックアップも重なり、しかもタイヤが削れるコースということは落ちているゴミがまたデカかったりするので、ダブルピックアップコンボを食らったりします。ん、なんかちょっとおいしそうな名前(っ ◠‿◠ c)一方で『短いスティントだから柔らかいタイヤでいいや』とソフトを選ぶと過負荷ですぐ潰れることもあり、いい塩梅になるタイヤとセッティングがすごく難しいと思われます。
トムスはかつて所属したドライバー、ジェイムス ロシターだったか正確には忘れましたが『ピックアップが起きにくい/起きても走りながら解決しやすい方向のセッティング』というのを助言してもらって当時からわりと対策する術を持っていると思われ、今回まさにそんな結果だったなあと思いました。あ、ロシターさんどうやらフォーミュラEのマセラティー代表を急にやめることになったそうですね^^;
オートポリスはどうしても抜きにくいし、一方で燃料的にはほぼ1ストップで行けるぐらいの航続距離があるので、チームによっては予選~第1スティントをセットで考えて短めに、その先は決勝で使えそうなやつを長めに、という考えだったと思われます。手元のメモだと最初のピットを27周目以降まで引っ張ったのは4チームしかありませんでした。
その中で36号車は34周目→65周目と最も引っ張ってほぼ均等割りした作戦、そのためにピット後の順位は冴えずに上記のように残り30周でまだ6位にいたわけですが、自分の前を走る車の大半は自分より10周以上も古いタイヤを履いた車で、履歴差での追い抜きに繋げました。『人の行く裏に道あり、花の山』とはよく言ったもんですが、計算上最も早い作戦は何か、という原点回帰のような戦い方での優勝は見事としか言いようがありませんでした。ドライバー2人も力は入ったでしょうけどこれほど面白い優勝ってなかなか経験できないのですごく満足感があるんじゃないでしょうか。
個人的に二テラZが表彰台まで来るのはレース前から、なんならウエイトが51kgになった段階からある程度想像していました。ミシュランとオートポリスは好成績につながることが多いですし、最初の方に書いたように実重量が軽いのはここではお得。加えて周りが早めに動いてくれたのでいくらか燃費走行が必要になり、自分たちは均等割りしておいたら単独で走っているぶんには出力減がタイムに与える影響は相対的に無くなります。なんなら燃料搭載量が軽い分全体では自分たちの方が速い条件ですらあったと想像できます。
もうレースの中盤ぐらいには「これは3号車王手かけたな~」なんて知った顔で観戦していたんですが、まさかトムスが来るとは想像できておらず注目もしていなかったので「知ったかぶりしてごめんなさいm(_ _)m」とまだまだGTの世界を見極められていないことを痛感しましたw
最後に笑うのはどっちだ |
一方のGT300はapr製車両が表彰台独占ともいえる結果で、位置関係が変わってもGTA-GT300のトップ4独占も予選と決勝で変わりませんでした。そういう意味では順当と言える結果だったわけですが、まあ吉田選手と根本選手はずっと後ろから追われて果てしない残り周回数に思えただろうなと思います。オートポリスってコーナー多くてゲームですら追われてるとホント疲れるんですよ。追いかける側は抜けなくて腹立つでしょうけど。
個人的にグリーンブレイブの2回目のピットはもう数周でも引っ張ってあげた方がよかったんじゃないかなとは思いました。31周目(給油のみ)→45周目(4輪と給油)という作戦でタイヤとしては45周→46周の均等割りですが、前半はFCYも多かったので序盤争っていたとはいえレース周回としてはもう少し軽い負担だったと思います。位置関係からすれば数周待っても後続に抜かれる感じではなかったので最後にガクっと来ないか気にしつつ見てましたが、クルリン改めなんとあだ名を付ければ良いか、吉田の見事な走りでした。
一方2位のムータレーシング、2位は今季3度目ですが第2戦は1位と0.579秒差、第3戦でも0.607秒差、そして今回が0.612秒差と全て0.62秒以内でした。1年に3回もこんな僅差で2位ってNASCARでもあんまり経験できない出来事だと思いますが、色々と違いのあるGT3車両に競り負けた過去2戦と比べても、兄弟車・同じタイヤのライバルに最後は蓋をされて抜けなかった、という点で一番悔しい2位かなあと思いました。
でもグリーンブレイブから見れば過去2回ムータが2位だったレースはいずれも3位、ムータが入賞しているレースで自分たちが先にゴールしたことは今季一度も無かったので『ようやく3度目で前を走れた』という形でもありました。ムータが昨年より確実に競争力を上げた結果良いライバル関係になってますね。グリーンブレイブは埼玉トヨペット、ムータレーシング(インギング)はトヨタカローラ山口が母体のいずれもいわゆるディーラー系チームでそのあたりも似ています。
そして3位になったapr LC500hですが、嵯峨 宏紀と小高 一斗が年間を通じて参戦するレギュラーで根本 悠生は長距離戦だけの第3ドライバーです。ただ、長距離戦の際には第2戦を除き若手優先で小高→根本でレースを回して嵯峨選手に出番が無いというやり方になっています。(第2戦も嵯峨は最初の10周だけを担当)
今回も同様に小高・根本リレーだったんですが、根本選手は本来なら並行参戦しているヨーロッパのレースに出場するためこちらには出場しないはずでした。ところがチーム監督(兼代表)・金曽 裕人からの要望により予定を変更してオートポリスに急遽参戦することになっていました。一方で嵯峨選手は第5戦鈴鹿の予選Q1で大失敗してほぼビリになってしまい、この際に金曽監督は
「Q1で落ちたのも嵯峨のドライビングがまだこの車に合わせ切れていないのが要因。あんなの落ちるわけがない、というのが正直なところ。」
「今の車は空力で走っているので、ギクシャクした走り方をすると一定のGをかけて走れず一定のダウンフォースを得られない。そこはドライバーが自分でコントロールする必要がある。」
として「昭和の運転」と表現しかなり厳しい表現で敗因を語っていました。この一連の流れから、『金曽監督は嵯峨にもう期待しておらず、なんとしても結果を出すために根元を無理を言ってでも呼んだのでは?』とどうしても感じられてしまい、試しに調べたらやはりSNSでも「嵯峨が完全に干されている」という表現がありました。一応補足すると上記の通り嵯峨選手が450kmで乗っていないのは今回が初めてではなく元々なんですが、これまでと意味合いが違っているのは明らかで、嫌でも来年の体制は気になります。
左から小高、根本、嵯峨 |
そう思って見てしまうとインタビューの嵯峨選手がすごく複雑そうに見えてしまうわけですが、この公式サイトのインタビューで根本は最終戦の意気込みを聞かれ、まず出るかどうかを確認されて「まだ分からないけど現地には行くしサポートはしたい」と答えました。「サードドライバーなので300kmは出ないですよ」と言わなかったのがそう思って見るとまたちょっと引っかかってしまいますね^^;
次戦、11月最初の週末に最終戦のもてぎです。チャンピオン争いを2クラス分考えなくて良いので頭はパンクしなくて済みそうですが、タイヤをパンクさせないように気を付けましょう。さが吉がんばって!
コメント
たしかにアメリカのバーガーっぽいw