NASCAR Cup Series
YellaWood 500
どうやらステンハウスがガス欠した模様、急失速するステンハウスと、そうとは知らず思いっきり押してしまうカイル。2台がもつれながらターン3に入り、失速した2台の内側をロス チャステインがすり抜けようとしましたが、カイルも加速しないステンハウスを避けて内側に急いで切り込んだので接触。
このまま内側はFRMが占めた状態でピットサイクルかなと思ったら、ちょうど100周目になぜかハーブストがハブられてここから大きく情勢が変化。こういうごちゃっとした時に出てくるのがデニー ハムリンで、うまいこと内側の先頭に出てそのまま105周目にハムリンを先頭とした集団がピットへ。FRMはせっかく近くにいるので一緒に入りました。経験値の浅い新人を先頭にピットに入るのは怖いのでこの方が後続としても安心かもしれません。
残り31周、真ん中の隊列が乱れてあやうく玉突き事故が起きそうになったもののなんとか回避、ただ初志貫徹してずっと真ん中で組んでいたロガーノとケゼロウスキーは分断されて集団に入ってしまい、特にケゼロウスキーはずいぶんと後ろに下がってしまいました。そしてこれが悲劇を招きます。161周目・巻き返したいケゼロウスキーはホースバーを押していきましたが
ホースバーがトライ オーバルで巻き込んでスピン、そして運悪く多重接触で一番内側の列にいたオースティン ディロンの車がスピンしてケゼロウスキーめがけ一直線。まともに食らったケゼロウスキーの車は中破し、ついさっきまでレースを優位に進めていたはずが、一寸先は闇の32位でリタイアです。ディロンとギブスの2台がSAFERバリアのほぼ同じ場所に、いずれもほぼ直角に近い角度で突っ込んだので確認と修復が必要になり、レースはひとまずレッド フラッグとなりました。ハムリンはこのコーションでようやくラップバックです。
ドーンと押されたのはハーブストでした。トライオーバル部分でハーブストはラジョーイの車と引っかかってしまいスピン、周辺の車を巻き込んで多重事故になり多くの車はタラデガあるあるで横を向いてチェッカーを受けることになりました。そして押してもらいたい人が回ったのでハービックは完全に孤立してしまい、頑張ってブレイニーをサイドドラフトにかけようとしたもののあっちは2台いるので届きませんでした。
ブレイニーがシャーロット以来の今季2勝目、通算9勝目、タラデガでは3度目の優勝を果たしプレイオフ次ラウンド進出を確定させました。ハービックに続いてバイロン、ハムリン、ラジョーイ、シンドリックが続きました。シンドリックは172周目のデブリーによるコーションでフリーパスを貰ったばかりだったんですけど、ハムリンともども『周回遅れは何だったの?』という感じです。トップ10でプレイオフ選手はブレイニー、バイロン、ハムリンだけでした。
たとえばこのうち上部にある一部のボルトが無かったり、ちゃんと締まっていなかったとします。そうすると完全にがっちり締めた場合と比較していくらか窓が浮くので角度としては立ち上がることになります。じゃあどうなるのかというと
本来ならボンネット、フロントウインドウ、屋根、リア ウインドウ、と伝って車の後方に流れ、最後はスポイラーにあたって跳ね上げられるはずの空気の流れが、窓の段階でいくぶん上部に離されしまい、結果スポイラーにあたらずにその上を通過してしまうので、本来後部で発生するはずの空気抵抗が減少するのではないか、とレターテは指摘しています。
ハムリンは勝ってないけど勝ち抜いたも同然、チャステインは絶望的になるかと思ったらプレイオフ選手が総じて苦戦したのでまだなんとかポイントでも行けそうなギリギリの範囲、ケゼロウスキーも周囲の取りこぼしに救われるような形で当落線の上でラウンド オブ 12の最終戦へ向かいます。ラーソンは最後に事故って不運でしたがステージ1で8点取っておいたのが効いてやや安全圏。逆にステージ1で9点取ってればまだどうにかなりそうだったカイル、もう勝たないと無理ですね。
YellaWood 500
Talladega Superspeedway 2.66miles×188Laps(60/60/68)=500.08miles
winner:Ryan Blaney(Team Penske/MenardsPennzoil Ford Mustang)
NASCAR カップ シリーズはプレイオフ中盤の山場・タラデガに来ました。最も予測が困難で事故率が高いだけにドライバーもチームも一発逆転を狙える一方で絶対に無理はしたくありません。そしてプレイオフ選手以外でも勝てる可能性があるだけに、普段以上に"その他"の選手との絡みにも注意が必要です。
前戦では複数のプレイオフ選手がクラッシュして下位に沈み、とりわけ圧倒的な速さを見せながらもクラッシュしたカイル ラーソンはこのラウンドイチ抜けのはずが一転して当落線近辺へ。ラーソンは過去にデイトナとタラデガに計36戦出場してトップ5は昨年のタラデガでの4位一度だけ、いずれのトラックも平均順位22位以下で、タラデガは全開催地中最も平均順位が悪いトラックです。(一度だけしか走っていないデイトナ ロード コースは除く)
昨年のチャンピオン・ジョーイ ロガーノは既に脱落、チェイス エリオットはドライバーとしてのプレイオフにはそもそも進出できず、2度の王者・カイル ブッシュもラーソン同様に前戦でのクラッシュで当落線のかなり下。直近のチャンピオン潰しといった流れのシーズンで一昨年のチャンピオンは不利なデータを覆せるのか注目です。ちなみに大会スポンサーのイェラウッドは圧力加工した強くて軽い木材なんかを扱ってる会社ですかね。椅子、机、床など色んな個所に使えるそうです。DIY好きな人とかお世話になりそう?
・レース前の話題
9月27日、カイルが保有するクラフツマン トラック シリーズのチーム・カイル ブッシュ モータースポーツと、KBMの子会社でレース車両をはじめとした精密加工を行う製造企業・ラウディー マニュファクチャリングをスパイアー モータースポーツへ売却したという驚きの発表がありました。
KBMは元々2010年、J.B.スコット(以前カップ戦にも出ていたブライアン スコットのお父さんです)からチーム施設を、ラウシュ フェンウェイ レーシングからは車両を購入して立ち上げたチームで、TRD/ジョー ギブス レーシングとのつながりでトヨタ陣営の若手ドライバーの育成や、自身を含むカップ選手の並行参戦による調整の場として貴重な役割を果たし、カイルの移籍にともなって今季から車両がシボレーになったばかりでした。今年のポコノーでは自分で勝ってチーム通算100勝という大台に到達し、トラックシリーズ史上最も成功したチームといえます。
カイルは声明で
「2010年と今とでは人生の異なる場所にいる。家族も増えたし、カップシリーズのチームも今年から変わった。家族やリチャード チルドレス レーシングのNo.8 チームと過ごす時間を増やすことは、僕にとって重要なことなんだ。自分たちが築き上げた素晴らしい施設から離れるのはつらいことだ。ショップ内を歩いて従業員と話したり、ロビーでファンとのイベントを開催したり、成功のために数え切れないほどの時間を費やしたりすることができなくなるのは寂しい。でも、僕の人生とキャリアの現時点ではこれが正しい決断だとわかっている。」
スパイアーはつい先日、リブ ファスト モータースポーツから4000万ドルとも言われる金額でカップシリーズのチャーターを購入したばかりです。この参戦枠はトラックハウスと契約したドライバー・ゼイン スミスがフル参戦するために使用されると考えられていますが、同じくトラックハウスではシェイン バン ギスバーゲンが複数のカテゴリーに跨って参戦することが明らかにされています。
元々スパイアーは昨年からトラックシリーズにスポット参戦で出場をしていますが、KBMを手にすれば一気に複数台でのフル参戦も可能です。ギスバーゲンはトラックハウスからの預かりでこの車を使ってトラックシリーズに出場する、ということはじゅうぶん考えられます。こんなに一気に資金を注ぎ込んで事業拡大して大丈夫かと思いますが、スパイアーがかなり影響力を拡大しています。ちなみにカイル自身は来季もスパイアーからトラックシリーズに5戦出場する予定だそうですw
そして今週も来期の日程の話題、なぜか小出しにしてくるNASCARさんですが、オール-スター レースが来年もノースウィルクスボロで開催されることと、インディアナポリスはみんな分かっている通りオーバルで開催されることが発表されました。オールスターは5月17~19日と今年と同じような日程、一方インディアナポリスは7月21日だと発表されたので、今年よりも3週間ほど早いですから日程の前後関係はちょろちょろと動きそうです。
・Craftsman Truck Series Love's RV Stop 250
言わずもがな荒れたトラックシリーズ。プレイオフ順位で4位から22点離されてこのレースに臨んだニック サンチェスがステージ1で1位、ステージ2も2位となってポイントを稼ぎますが、残り3周というところでマット クラフトンと交錯して多重事故になってしまいます。サンチェスは7位で走り切ってプレイオフ順位を4位に上げたものの、レース後にクラフトンと乱闘、流血沙汰になりました( ゚Д゚)
後にクラフトンには25000ドル、サンチェスにも5000ドルの罰金が課せられ、この争いに加担したサンチェスのお父さんは今季残り試合での出入りを禁止されました。クラフトンの方が罰金額が高いのは、『リタイアしていて落ち着いて考えるだけの時間があったことを考慮した』そうです。頭を冷やす時間があったのにそれでも殴り掛かったので、レース直後で気が立っている人よりも罪が重いということですね。
乱闘の勝者はいなかったと思いますが、レースの優勝はオーバータイムの争いを制したブレット モフィット。2018年のシリーズ王者で現在はエクスフィニティーを主戦場としているため今季初出場でしたが、最後はベン ローズに押してもらって逃げ切りました。タラデガでプレイオフのレースが開催されるのは8回目で、全てプレイオフ選手以外が優勝しているとのことです。
プレイオフ選手ではZ.スミスが1回目のピットの際にスピンしてクルーを撥ねてしまう事故が発生。幸いクルーは無事でしたが、直後にクラッチが壊れる不具合に見舞われ32位、プレイオフ順位でぶっちぎりの最下位となりました。また、レース中の事故でスチュワート フリーズンとグレッグ バン アルストが病院へ搬送され、最新の情報ではアルストは椎骨を骨折、フリーズンも椎骨に問題があってまだ痛みがあるとしながら、とりあえず予定していたダートのレースに出るため練習走行へ向かいました、大丈夫かよ^^;
・予選
カップシリーズの予選はエリック アルミローラがブッシュ ライト ポールを獲得、アトランタ以来今季2度目です。アルミローラの予選はデイトナ500で4位、春のタラデガと夏のデイトナでも2位、フォード勢自体がスーパースピードウェイの単独走行で速いですが、とりわけスチュワート-ハース レーシングとアルミローラが僅かに優位性あるみたいですね。ロガーノ、チェイス ブリスコー、ラーソン、ブラッド ケゼロウスキーが続きました。
・ステージ1
序盤から3ワイドの時間も多く、見ていて綺麗なステージ1。ただ、内側の前方にいるロガーノが隊列の核になっている様子で3列目で大外から前に出るような流れにはならず、あくまで2列目後方の人が前に進むための動きという感じです。無理に押す人も抑える人もいないのでまあ今の段階では3台並んでも安全な雰囲気。
そんな中で35周目あたりになるとリッキー ステンハウス ジュニアが3列目を上手く使って35位スタートから最前列へ到達し、2列ともブロックして隊列を支配下に置こうと試みます。デイトナ500勝者、スーパースピードウェイではいつもイキイキ。
39周目、ロガーノをはじめフォード勢の多くがピットへ。これを見て翌周にステンハウスをはじめとしたシボレーの上位勢がピットに飛び込みます。41周目は4台だけがえらく少数で、そして42周目にトヨタ勢となんか余ってた人が一緒にピットに入ってサイクル一巡、ステンハウスはかなり良い感じで走っているようで内側の先頭を維持、お隣はオースティン シンドリックとライアン ブレイニー。さっきまで先頭を多く走ったロガーノは給油が長かったかちょっと下がって埋もれています。
ブレイニーはアホみたいにシンドリックを押しますが、ステンハウスも少々危ないぐらい気にするかい!という雰囲気で押してもらったりブロックしたり。なんか途中で誰かしらの車から破片が飛んで行った気もするんですがコーションも出ずに続きます。
そしてステージ最終周、バックストレッチでシンドリックはブレイニーに譲るように進路を変更し内側はブレイニーがリード。一方外側ではステンハウスをカイルが押していましたが、
チャステインは右をカイルに引っかけられてスピンし、クリストファー ベルの車とぶつかった後に壁にもぶつけて中破、一発リタイアとなってしまいました。ベルもこの接触でテープ修理タイムに入ります。これは不運としか言いようがありません・・・カイルとしてもステージ ポイントを多く得るはずが何のおみやげも手に入りませんでした。ステージ1でいきなり先頭走者がガス欠という事態にカイルは無線で
「ハハハハハ、笑うしかねえよな。毎回毎回よお、あいつガス欠だよ。」
ステージ1はブレイニー、ウイリアム バイロン、ラーソン、チェイス、アレックス ボウマンのトップ5でした、ってブレイニー以外全員ヘンドリックやん。
・ステージ2
まっささんがもう落ち込んで見るの辞めたんじゃないかと心配しつつステージ2、ブレイニーとチェイスがまずは隊列の先頭。ブレイニーの後ろがバイロン、チェイスの後ろにはラーソンとボウマンがいてヘンドリックに取り囲まれています。近隣にロガーノとシンドリックはいるものの、まさに物理的にペンスキー包囲網
一方、テープで修理したベルはとりあえずドラフト内を走る分には問題ないようですが、アダム スティーブンスからベルに「前の車を押さないで」と助言。タラデガであと100周押さずに走るって、なんか『食べても良いけど歯が欠けるから噛まないでね』ぐらい難しい気が^^;
上位勢に視点を戻すと、ヘンドリックが上位を占めたからといってそのまま逃げられるわけがないのがタラデガで、3列目を作ってエリック ジョーンズとステンハウスが見事に大外から先頭へ。ジョーンズはステージ1で速度違反ペナルティーを受けて周回遅れ、ステンハウスはガス欠してたわけで、まあ日欧のレースならあり得ない出来事ですがここでは普通です。
さらにはマイケル マクダウル、トッド ギリランド、ライリー ハーブストのフロント ロウ モータースポーツ3人が一致団結して前に出る時間もあり、まあちょっとよそ見するだけで気づいたらさっきいた車がいないレース展開。ちなみにFRMは基本的にはフォードのプレイオフ選手を支援する方向ではあるそうですが、いざ勝てそうになったらそうも言ってられないですよねえ、ギリランドやっちまえ!w
| チームのショップに後日写真が飾られそうな36,34,38の隊列 |
このまま内側はFRMが占めた状態でピットサイクルかなと思ったら、ちょうど100周目になぜかハーブストがハブられてここから大きく情勢が変化。こういうごちゃっとした時に出てくるのがデニー ハムリンで、うまいこと内側の先頭に出てそのまま105周目にハムリンを先頭とした集団がピットへ。FRMはせっかく近くにいるので一緒に入りました。経験値の浅い新人を先頭にピットに入るのは怖いのでこの方が後続としても安心かもしれません。
ところがこういう時にピットで速度違反をやらかすのもまたハムリンで、入り口での速度違反でペナルティーとなります。その間に翌周は主にフォード勢、107周目にシボレー勢がピットに入ってサイクルは一巡しました。このサイクルではシンドリックも速度違反しています。
最初に入った人たちは引っ張ってくれることを期待したハムリンが途中でいなくなったのでちょっと損した形、サイクル一巡後の先頭にはケゼロウスキーとロガーノがつけましたが、ステージがもうあと10周ちょっとなので上位を狙ってみんな積極的。最終ステージを後方からリスタートするとその先が苦しいので最低限前方へ行きたい時間帯です。
ロガーノとケゼロウスキーは2台で組んで逃げようとするものの、その前方にバイロンが回り込んでリーダー。一方の外ラインはさっきペナルティーを食らったハムリンとシンドリックが周回遅れになるタイミングで列が乱れたので全体に沈んだ状態でステージ最終周になりました。ケゼロウスキーはバックストレッチの絶妙なタイミングでバイロンをかわして前に出て逃げ切り、ステージ2を制しました。
このステージ2の最後でケゼロウスキーも少しやったように見えますが、スーパースピードウェイの技術の1つに『後続にサイドドラフトの掛け合いをさせて抑える』という高等技術があります。自分が単独で先頭、後ろから2ワイドの隊列が来ている、という時に有効な手段で、たとえばまず外に動いて外の人をドラフトに入れてあげます。
ドラフトを得た外の人はすーっと近寄ってきますが、追いつかれる前に内側に動くと、外の人がドラフトを失い今度は内側の人が吸い寄せられます、当然ですね。すると、その過程で先行していた外の人の斜め後ろの位置に内側の人が来るタイミングがあります。ここで外側の人は内側からサイドドラフトをかけられてしまい失速させられます。
で、内の人がすーっと近寄り始めたら今度はまた外へ行くと、内の人はドラフトを失い、外の人が引っ張られる過程で内の人の斜め後ろに来てサイドドラフトが、というさっきと逆のことが起こるのでサイドドラフトのかけあいになってしまいます。うまくハマると、本来なら抵抗をモロに受けているから簡単に追いつかれるはずのリーダーが、強引なブロックをせずとも空力だけで後ろの追い上げを抑制できる、という仕組みです。
実際は真後ろの車だけなくその後ろに車も連なっていてバンプしたり、3列目に動いたりということがあるのでそんなに簡単には思い通りいかないですが、見ていて『あれ?どうしてこの人単独で1位を守れてるの?』と思う場面があると、よく見たら後続を"見えない力"で封じていることもあるので頭の片隅に入れておくと面白く見れます。
・最終ステージ
ピットでタイ ギブスが燃料缶を付けたまま発進してしまい、落っことした缶から出火するというめっちゃ危ない事案が発生。炎上しながら転がる燃料缶は恐怖でしかないですが幸い走行レーンの真ん中あたりで誰にもぶつからずに燃えて、無事消化されました。変に角度が付いて転がってクルーがいる側に戻ったりするのが一番危ないので、何もなくてよかったです・・・
最終ステージはロガーノとラーソンの1列目でリスタート。仲が良いかどうかは別にしてロガーノとケゼロウスキーはお互いにこのレースで勝つために最良の相手だと認識していると思いますが、ここも2台で抜け出そうとしている様子が伺えます。ケゼロウスキーの後ろにはチェイスがいますが、あんまり前を押したらラーソンが不利になって敵に塩を送ることになりかねないので控えめな動きに見えます。
135周目、ケゼロウスキーがタンデム ドラフトでロガーノを一気に押し上げてこちらのラインが一歩リード、ただ大外に3列目も作られています。この3列目の先頭で仕掛けているのは誰だ!と思ったら周回遅れのハムリン、さっきのステージ2終了時はうっかりカーソン ホースバーにフリーパスを取られてしまい、まだラップ バックできていないんですね。シンドリックとフリー パスを争っているので後ろで待ってなどいられません。
143周目から145周目にかけて、ハムリンは得意のタンデムドラフトを連発してクリス ブッシャーを押しまくり隊列の先頭まで到達。部分的に時間を切り取れば自力ラップバックという状況ですが、ちょっとはしゃぎすぎて危うく自分だけ外されそうになり苦労が水の泡になりかけましたw
3列のうちどこが速いのかみんな探りながらのレースが続き、周回遅れながらハムリンが大きく勢力図に影響する状況が続きます、リードラップであろうとなかろうと速い車がいればその恩恵に預かりたいのがスーパースピードウェイです。残り36周・カイルの車の左前フェンダーがおそらく最初のクラッシュの影響で破損しますが、もう今さらどうしようもないので抵抗が増えた車でドラフトにぶら下がります。破片とかも飛ばなかったのでレースの方も続行。
残り31周、真ん中の隊列が乱れてあやうく玉突き事故が起きそうになったもののなんとか回避、ただ初志貫徹してずっと真ん中で組んでいたロガーノとケゼロウスキーは分断されて集団に入ってしまい、特にケゼロウスキーはずいぶんと後ろに下がってしまいました。そしてこれが悲劇を招きます。161周目・巻き返したいケゼロウスキーはホースバーを押していきましたが
ホースバーがトライ オーバルで巻き込んでスピン、そして運悪く多重接触で一番内側の列にいたオースティン ディロンの車がスピンしてケゼロウスキーめがけ一直線。まともに食らったケゼロウスキーの車は中破し、ついさっきまでレースを優位に進めていたはずが、一寸先は闇の32位でリタイアです。ディロンとギブスの2台がSAFERバリアのほぼ同じ場所に、いずれもほぼ直角に近い角度で突っ込んだので確認と修復が必要になり、レースはひとまずレッド フラッグとなりました。ハムリンはこのコーションでようやくラップバックです。
10分ほどで作業は終了しピット解禁、もうのんびりタイヤなんて換えていられないので給油のみかせいぜい2輪交換といったところ。なぜかロガーノとコリー ラジョーイがいずれも10個順位を上げて1位、2位でピットを出たと表示されていますが何らかの表示不具合、実際の先頭はアルミローラで、ロガーノとラジョーイは9位、10位あたり。
残り20周、アルミローラとボウマンの1列目でいよいよ"本番"が始まりますが、2周後にバックストレッチのデブリーでコーションとなり小休止。ただ、せっかくコーションを出したのにオフィシャルが到着する前にこの破片を蹴飛ばしてる車が多いんですが、ドライバーに教えてあげていないのか気にしていないのか^^;
残り13周、今度はブレイニーとボウマンの1列目でリスタート。ブレイニーの後ろはハーブスト、アルミローラ、ロガーノとフォード勢が並びますが、ボウマンの方もハービックを挟んでチェイス、ラーソン、バイロンとチームメイトが全員後ろにいます。
このうちハーブストはちょっと遠慮気味だったのかブレイニーを上手く支援できず外ラインがリスタートから出遅れますが、逆にこれが好機となってハービックが外へ飛び出しフォード陣営に加勢、これで内側はヘンドリックが4台揃ってお互いに団体戦という雰囲気です。
しかしボウマンは内側にとどまらずに内外に動く考え、88番の先輩・デイル アーンハート ジュニアがよくこういう動きをしていましたが、動きすぎるとだいたい自滅して解説の石見 周から「ジュニアは~、自分から動きすぎるんだよね」とダメ出しを貰うことになります。石見さん、いまはどうしてはるんかなあ。で、ボウマンはどうだったかというと案の定残り6周で外されてしまいました、石見さんからのダメ出し確定w
前方はブレイニーがハービックを押しまくりますが、残り2周でハービックは内側へ引っ越してバイロンの前へ。そのままハービックとブレイニーを先頭に最終周に入りました。ターン1の入り口でブレイニーがやや姿勢を乱し、バイロンは最後の逆転を狙って少し距離を取った様子でハービック独走。ターン2を独りぼっちで立ち上がらされるとたいていはズタボロになるのでハービックに出来るのは鬼ブロックだけでしたが、これが見事に空振りしてブレイニーに逆を突かれてしまいます。
半周前と入れ替わって内側の先頭がブレイニー、外がハービックという位置関係でターン3から4へ。バイロンが相変わらず距離を取って賢く走っている様子で、ハービックの後ろはちょっと頼りにはしにくいハーブスト。内側はヘンドリック勢がみんなちょっと大事に行っている雰囲気で『ドカーン』と押せる人が見当たらない状況、ハービックとすると最後にハーブストからドンと押してもらいたかったんですが
ドーンと押されたのはハーブストでした。トライオーバル部分でハーブストはラジョーイの車と引っかかってしまいスピン、周辺の車を巻き込んで多重事故になり多くの車はタラデガあるあるで横を向いてチェッカーを受けることになりました。そして押してもらいたい人が回ったのでハービックは完全に孤立してしまい、頑張ってブレイニーをサイドドラフトにかけようとしたもののあっちは2台いるので届きませんでした。
ブレイニーがシャーロット以来の今季2勝目、通算9勝目、タラデガでは3度目の優勝を果たしプレイオフ次ラウンド進出を確定させました。ハービックに続いてバイロン、ハムリン、ラジョーイ、シンドリックが続きました。シンドリックは172周目のデブリーによるコーションでフリーパスを貰ったばかりだったんですけど、ハムリンともども『周回遅れは何だったの?』という感じです。トップ10でプレイオフ選手はブレイニー、バイロン、ハムリンだけでした。
・ステージ 車検場
勝てなかったハービック、いやあ惜しかったなあ、なんて思ってたら彼にはオーバータイムがありました。ハービックの車はレース後の車検でフロント ウインドウのボルトが一部抜けていたことが判明。これはNASCARの規則上
14.5.6.2.F イベント全体を通してフロントガラスの留め具はしっかりと固定しておく必要がある
14.1.E 規則で明示的に許可されている場合を除き、部品や構成物は規則の概要に従って組み立てて使用する必要がある
14.1.P イベント中は、すべての留め具を常にしっかりと締める必要がある
という、内容的にはほとんど同じ意味合いですが3点の決まりに反しているため失格となりました。もちろん安全面で大きな問題がありますが、スティーブ レターテの解説だと必ずしもそれだけではない側面もあるとのこと。窓のボルトは上下左右それぞれ6本ずつ、計24本あるんですが
たとえばこのうち上部にある一部のボルトが無かったり、ちゃんと締まっていなかったとします。そうすると完全にがっちり締めた場合と比較していくらか窓が浮くので角度としては立ち上がることになります。じゃあどうなるのかというと
本来ならボンネット、フロントウインドウ、屋根、リア ウインドウ、と伝って車の後方に流れ、最後はスポイラーにあたって跳ね上げられるはずの空気の流れが、窓の段階でいくぶん上部に離されしまい、結果スポイラーにあたらずにその上を通過してしまうので、本来後部で発生するはずの空気抵抗が減少するのではないか、とレターテは指摘しています。
また、Gen7の車両は窓の上部にドライバーの冷却風を取り込むためのダクトが備えられていますが、ここから取り込んだ空気は後ろの窓にある5つの溝からやや斜め後方に向けて排出されます。本来であれば車内に不必要な空気を取り込むのは抵抗でしかないはずですが、とりわけスーパースピードウェイになると風圧が大きいので排出した空気が上面の気流に作用して、これまたスポイラーを避ける流れになって抵抗を減らす可能性があります。かつてのF1のFダクトと似た構図ですね。
受圧部であるフロント ウインドウで何らかの恣意的操作が可能だと、車内へ取り込む空気をより高圧にして、結果さっきの話のようにFダクトを作って抵抗を削減できてしまう、つまり単独で最高速が伸びるという武器を手にできる可能性がある、と解説動画は指摘します。
レターテももちろん『故意ではないと思うが』と前置きした上で『ルールはルール』としていますが、故意でなくて事故無く安全に完走できたとしても、無自覚に車が速くなっていた可能性を完全には否定できない要素がありますよ、という話でした。実際問題どこのボルトがどうなっていたのか詳細は明らかになっていないので何とも言えませんが、非常に面白いというと語弊があるかもしれませんが、興味深い空力の話を聞けました。
ハービックは2018年のラスベガスでも、リアウインドウの補強部材が壊れて窓が一部陥没しペナルティーを受けたことがあるので、窓に関する違反は6年間で2回目。チームはこの裁定に対して抗議せず受け入れましたが、妙な問題が2度も起きると『実はなんか細工したんじゃないの?』と疑われてしまいますね。
そんなわけで2位以下の人は全員が順位繰り上がり。ハーブストは横を向いても9位でチェッカーにたどり着きましたが、不運だったのはラーソンで8位は固いかなと思った瞬間ハーブストに巻き込まれてスピンし結果は15位。やっぱりタラデガは鬼門でした。テープを貼ったベルはただ大外を走っていて14位、タイラー レディックが16位、マーティン トゥルーエックス ジュニア18位、ブッシャーが19位、バッバ ウォーレスが23位、そして車がやや傷んだカイルは25位。リタイア組を除けばプレイオフ選手の大半が14~25位に固まって痛み分けという感じの結果でした。ポイントはこうなりました。
ハムリンは勝ってないけど勝ち抜いたも同然、チャステインは絶望的になるかと思ったらプレイオフ選手が総じて苦戦したのでまだなんとかポイントでも行けそうなギリギリの範囲、ケゼロウスキーも周囲の取りこぼしに救われるような形で当落線の上でラウンド オブ 12の最終戦へ向かいます。ラーソンは最後に事故って不運でしたがステージ1で8点取っておいたのが効いてやや安全圏。逆にステージ1で9点取ってればまだどうにかなりそうだったカイル、もう勝たないと無理ですね。
結果的に事故によるコーションは2回、これに最後の多重事故を含めて事故は計3回と比較的おとなしいタラデガでした。でも締まった展開の中で超高速脳トレレースをやるのもまたスーパースピードウェイの魅力で、70回と記録されたリード チェンジもそれぞれ中身のあるものが多かったので事故が無くても色んなドライバーのファンが盛り上がって楽しめたんじゃないかなとか思いました。チャステインのファンは早々に下を向いてしまったでしょうけど^^;
最後の半周ぐらいを振り返ると、まずハービックは完全に踊らされてしまい、最後に逆転の望みを託した相手が新人だったのは負けパターンでした。ハーブストはハービックが運営しているマネージメント会社の顧客なのである意味社長とお客さんという関係でもありますが、スポット参戦の新人があんまり荒らしちゃいけないし、ましてやチームの顔の大ベテランを変な押し方で事故らせたら怖いので遠慮がちになるのは仕方の無いところ。むしろあの位置で下手にやらかさずにフロントストレッチまで帰ってきてよかったと思いました。
一方内側ではバイロンはもう勝ち抜けが決まっているのでそこまで無理をする必要がなく、怪我しないこととうっかり自分の動きで後ろにいるラーソンを破壊しないことが大事なのでブレイニーを必要以上に崩しに行く意味がなかったと思います。何が何でも勝ちたい人ならトライオーバルで強引にこじ開けにいったりしますけどそういうの皆無でしたからね。
そのバイロンの後ろでチェイスはオーナー ポイントでプレイオフを争っているとはいえ後ろにいるラーソンに危険が及んではいけないのでこちらも変に動く必要性が無く、そしてラーソンは10位以内にでも入ったら上出来だと思っていたでしょうから、内側の上位4台が流しに行った、というと言いすぎですが無茶な動きを誰もしなかった、する必要が無かった状態でした。結果的にチェイスは右からハーブストが飛んできて思いっきり吹っ飛ばされるわけですけど^^;
こう考えるとハービックの後ろに誰でも良いのでもう少し経験値のある人がいてくれたら勝っていた可能性がそれなりにあったわけですが、勝ったところで失格でショックが大きかっただけなので、ま~るく収まったということですね。スーパースピードウェイの何が難しいって、こういう損得勘定を走りながら瞬時に考えて動けるドライバー/スポッター/クルー チーフでないといけないところだなと書きながら改めて思いました。
時々書いてますけど、スーパースピードウェイってただ多重事故を見て盛り上がるだけじゃなくて、こういう駆け引き、誰が何を考えて行動しているのか、誰と誰の利害が一致して、誰がその外側にいて引っ掻き回せる人なのか、というのを一緒になって想像して俯瞰して観戦すると全然違う見方ができて、そこに空力的な見えない力も脳内で書き加えると、もうみなさんも立派ななんちゃってクルーチーフです。
さて、次戦はラウンドオブ12の最終戦・シャーロット ローバル。ステージ間コーションの復活と変な位置に設定されたガイコ リスタート ゾーンでレースがどう動くのか。最後にミサイルが飛んでくるのか、殴り合いはあるのか、注目です。なお。ギリランドは12位でした。

コメント
Rovalのあの謎のリスタート位置ですが実はNASCAR HEAT5(2020)の時点でゲームの仕様上、シケインカットする形でリスタートをできなかったようで実は今度のリスタートの仕方と全く同じなんですよwゲームだとただでさえロードコースで安定性がない旧規定マシンで、シケインクネクネしながら大馬力マシンのトラクションを制御しながら加速するのがめっちゃ難しかった記憶があります笑
で、だいたいフィニッシュラインの壁にそのまま突っ込むんです()
それはさておき、見応えのあるレースでした。
今までは「2位、3位で争っていたらリーダーが逃げちゃうよ~」と天野さんみたいに思っていましたが、そうなるようにリーダーが仕向けている部分があったんですね... とてもしっくり来ました。
今回のレースも非常に面白かったし、最後は本当に叫んでしまいました(笑)
そしてレース後の車検結果でもう一度叫んでしまいました……
まぁ結果的には良かった?のかもしれませんが……(笑)
それにしても、ボルト1本でこうも変わるものなのですね。
NASCARは長年『レース後に違反が見つかっても相応の罰則は与えるけど優勝の記録は残す』というちょっと変わった方針で運営されていました。ただ、現行プレイオフ制度になって優勝の持つ意味が大きくなり、そのロガーノの違反の件では分かりにくさと「それって本来なら他の人が優勝してプレイオフ行けたはずでは」という疑問が生じるので、2019年から我々にもなじみのある一般的な失格扱いで運用されるようになったので、以降の人は全て失格になっています。そして栄誉ある新制度の優勝剥奪第1号になったのが昨年のハムリン、というかJGRですね(笑)
私も変人なので『ドライバーチャンピオンとオーナーチャンピオンが異なる』という奇妙なことが起きるのをとても楽しみにしています(・∀・)
シケイン発進はグランツーリスモのローリングスタートでも時々あったのですごくよく分かります、いきなりシケインの頂点から加速させられても冷えたタイヤと500馬力の車じゃ危ないし、シケインより後ろでレースが始まってしまう人は一旦全開加速してすぐまたシケインなのでスタートライン到達前に既に危ないんですよw
スーパースピードウェイのドラフトって本当に奥が深いですね、壮大な騙し合いに隠れた技術とか考え方を理解するたびに新しい見え方が出てきます。誰にでも勝つチャンスがあるレース、と安易に書くのもやめた方がいいかなと思うぐらい、やっぱり勝てるやり方を知ってる人が強いレースですね。
みなさん理解が早くて助かります(笑)実際にハービックのボルトのどれが抜けていて窓はどういう状態だったのか分からないですから「実は抵抗が増えて不利だった」という可能性もゼロではないですが、とてつもなく細かいところで競っているだけに、その僅かな誤差も場合によっては勝敗を分けることになるんだなと思いましたね。わざとクルーが体当たりして車を凹ませてた数年前が懐かしい(笑)
そのハーブストのスポッター、ケゼロウスキーの兄弟なんですね。知らなかったです。
あと、カイルは酷しいですね。チームを売ってお金が入ったから、チャンピオンはいらないのかなー
NASCARって人的なつながりが色々あったりするので調べると面白いですね。弟ケゼロウスキーは兄ほど目立つ存在ではないですけど、今週末はNitro Motorsportsというチームの一員としてバージニアでトランザムのレースのクルーチーフやってますし、色んな形でレース界を支えてる感じがしますね。
KBMは裏側の事情がどうなってたのか分かりませんけど、トラックシリーズへの出場数が制限されて自分で走る機会が減っていることや、息子のレース活動を支えつつ自分のチームも、というあれもこれもがさすがにきつくなってきたことは可能性として挙げられていますね。かつて秋口に勝てないカイルは体力不足を指摘する声もありましたけど、今年は久々に秋に失速していて、年齢のことも考えると全部抱えて選手やってたら1年もたないと感じている可能性はありそうです。
カップでは2015年に当時フロントロウに所属していたデビットレーガンがカイルの怪我やヴィッカーズの体調不良の代役でJGRの18号車やMWRの55号車を担当していたので、その埋め合わせとしてフロントロウの34号車にモフィットが乗っていたのでそれ以来の組み合わせの様ですね。
今回のスキームも彼が参戦していた2015年のホームステッドの時と一緒にしている様ですし、このフロントロウ&モフィットの34号車がトラックシリーズとはいえまた見られるのは驚きでした。
改めてフロントロウの34号車はいろんなエピソードがあって面白いですね。
レーガン(とギリランド父)による奇跡のチーム初優勝、今はRFKで頑張っているブッシャーの雨のポコノでのチーム2勝目、マクダウルによる2度のプレーオフ進出、そして今回チームはトラックシリーズにおいてはゼインスミスの38号車に加えて、初めて34号車を出走させたそうですが、いきなりモフィットが勝利を収めるなど本当に運が強いチームなんだなと。
ただ髪...や口ひげなど8年経ったモフィットの変貌は一瞬誰かと思いましたがw
モフィットの名前で検索をかけると別人みたいな写真が並んでヒットして同姓同名かと疑いたくなるけどどっちも本人で驚きます、いったいどの段階でマンセルみたいな風貌になったのかw
それはさておきフロントロウは地味ながらNASCARを支える重要なチームとして貢献してる上に奇跡的なこともたまに起こすので応援したくなる愛すべき中堅チームだなと思いますね。低迷する時代には戻ってほしくないので、やっぱりギリランドには頑張ってもらいたいです(←なぜか推す人)