F1 第17戦 カタール

FORMULA 1 QATAR AIRWAYS QATAR GRAND PRIX 2023
Lusail International Circuit 5.419km×57Laps=308.611km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB19-Honda RBPT)


 F1は一旦中東へ、第17戦は2021年以来2度目の開催となるカタールです。当時はパンデミックの影響で中止になったいくつかのレースを穴埋めするための初開催で、FIFA ワールドカップ開催を翌年に控えていたのでカタールとしても宣伝のために好都合というタイミングでした。昨年はワールドカップで忙しいのでお休み、そして今年から10年契約での開催となっています。同時に今回は今年4回目のスプリント方式イベントです。
 元々はF1を開催するにはちょっと設備面で足りないところがあったので改修工事を行い、コースの形状自体は変わっていないはずなのにコース全長はなぜか39m伸びました、計測し直したら変わったんでしょうかね。というわけで記録上は新しいサーキットということになります。それともう1つ、2年前にカタールGPの記事を書いた際に私はこんなツッコミを入れていたんですが↓


 やっぱり変だと思ったのか、リニューアルとともに英語名表記が都市名と同じLusailに変更されました。

・レース前の話題

 10月2日、FIAは2025年から2027年の間にF1に新規参入するために申請を提出していた4陣営のうち、アンドレッティー フォーミュラ レーシングが唯一審査を通過して最終段階に進んだと発表しました。アンドレッティーはジェネラル モータースのブランドであるキャディラックと組んでF1参入を目指しており、ここからは運営会社であるフォーミュラ ワン マネージメントが主に商業的な面から参入の可否を判断することになります。


 とんでもないお金がかかって新規参入はだいたい数年で頓挫するので、よくこの時代に参戦したいと思うなあと外にいる人間は思いますが、新規参戦のために払う一時金だけでも莫大な費用がかかる上に、GMは現在労働組合と労使協定が結べずにストライキ真っ最中。近年のアメリカでのF1人気と、レッド ブルと組んで復帰するフォードに対抗したいんだろうけどF1に出る余裕あんのかよ、、、というのが正直な感想です。さてFOMは最終的にどういう判断を下すでしょうか。

・予選

 なにせ高速で左右に切り返すのでトラック リミットをうっかり超えてしまうことが多いこのコース。Q1ではランス ストロールが17位で脱落してイライラ、国際映像のカメラには、ちょうど壁の向こうに姿が見えなくなる寸前だったので良く見えないものの、スタッフを突き飛ばしたように見えなくもない映像が映し出され問題になりました。アストン マーティンは夏場からフレキシブル ウイングを厳しく監視されて競争力が落ちたのでは、というのが通説になりつつあるようですね。


 続くQ2はフェラーリが路面の向上幅を甘く見積もった上に2人ともトラックリミット違反で新品タイヤの良さを活かせない二重苦。これが響いてカルロス サインツが脱落し、レッドブルもセルヒオ ぺレスがやはりトラックリミット違反で脱落。ペレスははみ出しやすいコースで毎回のようにこれで予選を失敗している印象で悩みが深そうです。
 Q3ではマックス フェルスタッペンが圧倒的に速くいつも通りピレリ ポール ポジションを獲得。続く速さを見せたのはランド ノリス、でしたが2回のアタックともトラックリミット違反で撃沈。チームメイトのオスカー ピアストリも2回目のアタックではみ出しており、正式結果はピアストリ6位、ノリスはタイム無しの10位になりました。2位はジョージ ラッセル、3位ルイス ハミルトンとメルセデスがなかなかの健闘、フェルナンド アロンソ、シャルル ルクレールが続きました。


・緊急コース改修

 金曜日の走行を終えた後、ピレリが練習走行で使った使用済みタイヤを確認したらあら大変、タイヤに損傷があってそのまま走っていると最悪パンクする兆候がみられたとしました。といっても練習走行は1回しか行っておらず、そんなに長距離を走った人がいないので集められる情報には限度があるし、現時点で既に壊れた人がいるわけでもなく『顕微鏡で見てはじめて分かる程度』という兆候だったようです。
 高速で縁石に乗ったまま走ることも多いこのコース、特にターン12・13で縁石の鋭利な外側の縁にタイヤを引っかけることで側面が傷んでいるようなので、緊急対策としてここのコース外側の白線を80cm内側に移動。これによってドライバーが縁石の外側の鋭利な部分を踏まないように促す(言い換えればこれではみ出してタイヤを傷めたら完全に自己責任)措置を取りました。さらに、状況を精査して場合によっては決勝でタイヤの最長走行周回数に制限を設け、3ストップを義務付ける可能性にまで踏み込みました。
 いきなりコース幅が変わったのでスプリント シュートアウトの前に10分間の習熟走行時間まで設ける異例ともいえる対応で土曜日の走行は始まりました。前日のことをよく覚えていないとどう変わったのか分かりにくいですが、車載映像で見ると

 縁石部分がずいぶんと幅広になったことが分かります。縁石が広くなったのではなく白線を内側に持ってきたので、前方にあるターン13外側の舗装部分では金曜日は黒い路面とオレンジに塗られた路面の境界に白線がありますが、土曜日は白線の外側にもちょっと黒い舗装の部分が残っていて白線の位置がズレたことが分かります。



・スプリントシュートアウト

 シュートアウトもどうせフェルスタッペンがポールでしょ、と思ったらマクラーレン大活躍。SQ3最初のアタックでフェルスタッペンがはみ出してしまったので少し慎重だったこともあるでしょうが、2回目のアタックでピアストリがトップ、フェルスタッペンは上回ることができません。最後にノリスがピアストリを上回るペースで回ってきてポールを獲る、と思ったら最終コーナーでまさかの大失敗。これでピアストリがスプリント予選とはいえポールを獲得、2位にノリス、3位フェルスタッペンとなりました。ラッセル、サインツ、ルクレールが続きます。


・スプリント

 ちょっと車が走っていないだけですぐに砂だらけになるこのコース、偶数列は明らかに不利でスタートからノリスは出遅れ、そして3位のフェルスタッペンもあんまり良いスタートではなかったので2位争いが混戦、ソフトを履いたラッセルが抜け出して2位となります。そしてターン2では後方でリアム ローソンが単独スピン、とりわけミディアムを履いた人は最初の数周が熱入れ不足と砂でツルッツルでした。
 ローソンが砂に埋まってSCが導入されたものの素早く撤去されて3周目にリスタート、ミディアムを履くピアストリをラッセルがターン6でズバッと仕留めてリーダーとなり、ほどなくローガン サージェントのスピンでまたまたSC導入。ミディアム勢、最初の1周は笑えるぐらいグリップしません。

 リスタート後はソフトを活かして逃げるラッセル、SC連発は寿命が懸念されるソフト使用者にとって幸運な展開だったはずなんですが、それでもまだ全然足りていませんでした。数周で形成は逆転してピアストリが追い上げ、11周目のターン1であっさりとリード チェンジ。

 するとまたまたリードチェンジの後にSC案件、8位~10位を争っていたエステバン オコン、ニコ ヒュルケンベルグ、ペレスの3台がターン2で絡んでオコンとペレスが砂場にハマりました。3ワイドの左にいたオコンが、まさか右端にもう1人いるとは思わずにヒュルケンベルグに寄せたことで起きた接触だと思いますが、ペナルティーはありませんでした。ここはペレスは被害者なので「ぺレスまた事故かよ~」と思い込みで非難しないようにしましょう。

 残り5周でリスタートされるとスタートで順位を下げていたフェルスタッペンがもうタイヤがヘロヘロのラッセルを抜いて2位まで帰ってきたものの、ピアストリも非常に速いので追いつかれることなくそのままチェッカー、スプリントとはいえピアストリはF1で初めて優勝を手にしました。そして、このレースの結果土曜日なのにフェルスタッペンのドライバー選手権チャンピオンが確定しました。
決勝でもないし2位だけど3連覇!

 土曜日にチャンピオンが決まる、というのは珍しいことで1983年南アフリカGPのネルソン ピケ以来です。え、当時もスプリントあったんすか?というとそうではなくかつてはF1の決勝が土曜日に開催されていたこともあったからで、ピケは1981年も土曜日開催の最終戦ラスベガスで優勝してチャンピオンになりました。ピケは1987年に3度目のタイトルを手にしますが、この時は日本GPで競争相手だったナイジェル マンセルが金曜日の予選1回目で負傷し翌日以降を欠場することが確定。この段階でピケのチャンピオンが決定したので、土曜日どころか金曜日に決まるという非常に珍しいケースでした。
 ご存じの方も多いでしょうが、現在フェルスタッペンと交際しているガールフレンドはケリー ピケ、ネルソンの娘さんです。今年はラスベガスGPが土曜日開催、来年以降もそうだとしたらスプリント以外にもまた土曜日決定の筋書きが増えるので、ピケパワーで2度目、3度目があるかもしれませんねw

 なお、このほかの土曜日チャンピオンは1955年のファン マヌエル ファンジオ、1959年のジャック ブラバム、1962年のグラハム ヒル、1982年のケケ ロズベルグです。都合1981年~1983年は3年連続で土曜日に決定、1981年~1987年の7人中4人は日曜日以外に決定していたということになります。

・緊急ルール変更

 ピレリとFIAはタイヤどうする問題をさらに検討。19周のスプリントで使ったタイヤから追加の情報を集めたいところでしたがSCが多すぎて参考にならず。そうすると余裕を持った見積もりをするしかなく『タイヤの周回数に上限を設け、ここまでの履歴も含めてタイヤの走行可能上限周回数を18周にする』という規則が設けられました。
 当初議論された3回タイヤ交換を行う義務は導入されませんでしたが、決勝は57周なので何かしらの理由で途中で終了しない限りは絶対に3回のタイヤ交換は必要になります。ただ、こうした規則は順次後から出てきたものなのでチームとすると想定外。スプリントの状況からすると主力のタイヤはミディアムですが、フリー走行後に返却セットにした人、土曜日にかなり注ぎ込んでしまった人は制約が多くなります。ハミルトンは持っている3つのミディアムを全部上限まで使うと合計41周、残り16がハードなので3ストップだとタイミングがほぼ固定です。


・決勝

 決勝直前、サインツの車に燃料漏れが発見されたようで出走を断念。貰い事故で車を壊したペレスはピットからのスタート、ついでに新品PUも投入しました。スタートのタイヤは多くのドライバーがミディアムでしたが、上記の通り戦略の幅が無い3位のハミルトンはソフトを選択、ソフトで16周もするわけないのでこれは4ストップ確定ということになります。4位のアロンソ以降もミディアムが多いのでハミルトン1人だけ別行動です。

 そして別行動さんがスタートで事件を起こしてしまいました。最初に前に出たいハミルトン、奇数列+ソフトなので期待が持てる条件でしたが、意外と2位のラッセルも好発進。ポールのフェルスタッペンは内側に動いてラッセルを抑えに行ったのでちょうどハミルトンの前が開け、大外から2台まとめて抜こうとしましたが
ぎゃあぁぁぁぁぁぁ

 ラッセルと接触、ハミルトンはホイールが割れて脱輪し砂場リタイア、ラッセルもスピンしました。たしかにラッセルはタイヤ半分ぐらい外へ流れてはいるんですが、3ワイドの状態で真ん中にいるラッセルにできることは限られておりハミルトンは無理しすぎ、あと車半分ぐらい外にいたら本当に2台抜きできたかもしれませんが、何せラインを外れたら砂だらけなので絶対外へ行きたくない、という意識が接触を生んだかもしれません。
 接触直後はハミルトンもラッセルもお互いに無線で相手を非難していたものの、ハミルトンは帰ってきて落ち着いてリプレイを見たら完全に自分に非があると認め謝罪。ラッセルはラッセルでSC中に場内映像を見たようで、一方的な批判をやめてあれこれと状況を考え始めたので、とりあえずレースに集中するよう逆にたしなめられました。
 さぞかしトト ウォルフはブチ切れて机を叩いてヘッドセットを投げ捨てて、とか思ったら先月に古傷だった膝の手術をしたために現在は療養中のため不在。無理に現場に来てたら暴れて悪化させたかもしれないのでいなくて正解でしたが、ファクトリーか自宅ですごい顔してると思うので次回から欠場の際はカメラ持参で中継に参加希望です。

 ソフトでスタートした人はSC中にハードへ交換。順位はフェルスタッペン、ピアストリ、アロンソ、ルクレールとなり5周目にリスタートされました。フェルスタッペンは少しずつピアストリを引き離し、3位のアロンソは珍しく思いっきり滑って自分から飛び出してしまいやや差が開く状況。異世界おじさんの魔法も最近はだんだん効かなくなってきましたね。
 手持ちのタイヤ履歴との兼ね合いで1回目のピット サイクルは11周目あたりからはじまり、ピアストリは12周目を終えて1回目のタイヤ交換。しかし戻った場所がケビン マグヌッセンとローソンが争っている面倒くさい場所の真後ろだったのでもったいない時間になります。おそらくこのタイヤでもう1周走れたはずなので待ったらよかった気がしますね。
 ピアストリが渋滞にハマってくれたこともあってフェルスタッペンは規定上限いっぱいまで引っ張ることができ17周目にようやく1回目のタイヤ交換。みんなミディアムからミディアムへ繋いでますがもう誰があと何周走れるのかよくわかりませんw

 サイクルが一巡して20周目にはフェルスタッペンとピアストリの差が7.5秒と盤石な状態。この先注目になりそうなのはアロンソに対して追い上げているノリスで、彼にとってはミディアムで18周走るぐらいだとマネージメントは楽勝な感じでスティント後半に一気にペースを上げてアロンソとの距離を詰めます。
 25周目、中古タイヤのため制約が大きいピアストリは2回目のタイヤ交換、ピアストリのミディアムは13周走れるものと14周走れるもの、そして新品を持っており、最初にどっちの中古でスタートしたのか分からないですけど古い方でスタートしたのなら上限より2周少ないタイミング、新しい方で出たのならここが規定上限です。このタイヤ交換でとっておきの新品ミディアムを投入して次は18周走ることができます。当然近隣のドライバーも似た状況なので2回目のピットサイクル。
 このサイクルでは26周目にアロンソがミディアムからハードへ繋いだ一方、ノリスは1周猛烈に飛ばして27周目にピットに入り、新品ミディアム投入でオーバーカットに成功しました。あまりにあっさりしてたのでドラマ性もなにもありませんでしたが、これで事実上マクラーレンが2位、3位。記録を見ると、ノリスの24~26周目のタイムは
1'27.850
1'27.835
1'27.823
と見事にほぼ同タイム。ピットを挟んだイン/アウト ラップもフェルスタッペンから0.2秒ほど遅いだけのそん色ないタイムで間違いなくコース上で2番目に速いドライバーでした。

 一方、打つ手無くオーバーカットされたアロンソは34周目のターン2の入口でズルっといって広大な砂場を横断。これでラッセルとルクレールにも抜かれてしまいました。ラッセルは1周目の事故でタイヤを換えたので4ストップにするしかなかったものの、非常にペースが良くて気づいたら4位にいました。ピット回数は周囲のドライバーも同じくあと1回残しなので条件は同じ、サイクルによる一時的なものではなく実質でも4位です。

 この34周目にフェルスタッペンは2回目のピット、だいぶ引っ張ったのでピット後にピアストリとの差は6秒弱まで詰まっていますが、フェルスタッペンはここでハード、ピアストリは次にハードを使うと思われるので特に気にする状況でもありません。しかもフェルスタッペンはまだ新品ミディアムが残っています。

 そしてこのレース、10月のカタールは夜でも非常に蒸し暑くてドライバーには酷な条件で、サージェントは体調不良を訴えて40周でリタイア。最後は後続に譲って周回遅れになるためにミラーばっかり見ながら走りましたが、その譲る動きがよれよれしてるしはみ出すし、かなり危険な状況が伺えました。昔SUPER GTでもマレーシアでこういう状況ありましたね。
 一方別の意味で危なっかしいのはペレスで、序盤からトラックリミット違反を連発して早々に5秒加算。これを2回目のピットで消化したのに、また5秒加算を食らってエンジニアもどこか呆れた様子。頭では分かっていても精神的にボロボロすぎて体が思った通りに動いてくれてないんじゃないかとすら思えてきます。

 43周目、ピアストリが最後のピットへ。ただ3位のノリスが2.5秒差まで詰め寄ってきており、なおもファステストを刻んでオーバーカットする気満々です。ノリスは対ピアストリで規定上は2周引っ張れるんですが、そういうことが起こると困るのかマクラーレンは翌周にノリスもピットに呼びました。ハードを履いてピアストリの近所で合流、といってもハードは熱が入るまでに時間がかかるので、位置関係としてはほぼピット前と変わらず2.5秒差となります。


 しかしノリスはタイヤに熱が入るとすぐにペースを上げてピアストリを追い上げ始め、このままではマズそうだと察したマクラーレンは先手、ノリスに対して順位を維持するように指示を出します。
 「何で?後ろとは差があるし、明らかに俺の方が速いよ」と反抗するノリスに対してウィル ジョセフは「13秒前方にいるラッセルを危惧している、最後にソフトを履く可能性があるんだ」とラッセル脅威論を持ち出しますが、ノリスは「本当に警戒してんの?」とちょっと鼻で笑われました。方便はすぐバレましたがとりあえず指示には従っているようでピアストリと2秒差から動かなくなりました。

 50周目にラッセルがピットに入ってソフトへ交換、51周目にフェルスタッペンがピットへ入ってこっちは無理せずミディアムに繋ぎます。ちょっと左前輪が外れなくて時間がかかりましたが問題なし。そのままこのワケの分からんことになったカタールを制し、今季14勝目・通算49勝目を挙げました。前回開催では勝てなかったカタールで勝ってこれで通算24か所目の優勝、ハミルトンが持つ最多記録・31に迫ります。

 2位に4.8秒差でピアストリ、自己最高位。ノリスはまた最後にちょびっと差を詰めて先輩風を吹かせ5.9秒差の3位。4位にはスタートで事故ったラッセルが見事に巻き返しましたが、1回余分なピットを強いられた状態なので遠く離れた34秒差、ルクレール、アロンソ、オコンが続き、8位にバルテリ ボッタスが入りました。
 ボッタスはソフトでスタートして最初のSCでハードへ交換し、ここから新品繋ぎで3+18×3というピタリ賞の実質2ストップでした。周 冠宇も9位でアルファロメオは今季初のダブル入賞です。ボッタスは金曜日から調子がよさそうなので結果に繋がってよかったですね。ペレスは11位でチェッカーを受けましたがストロールにトラックリミット違反による5秒加算があったので辛くも10位でした。
 マクラーレンはコンストラクターズ選手権でアストンマーティンにとうとう11点差と迫って逆転が濃厚な状態、初夏からのアップデートでこうも速くなるとは名門の開発力おそるべしです。さすがにフェラーリまでは79点も差があるので追いつくのは難しいと思いますが、どこまで迫れるのか楽しみですし、もしフェルスタッペンに何かあった時に若手2人のどちらかに初優勝の順番が回ってくる可能性が高まっていますから色んな面で終盤戦の注目です。アルファタウリは、、、全然あかんかったね^^;


 それにしても今回はとにかく話について行くのが大変なレースでした。そもそもの発端は再舗装作業をして縁石も新しい仕様を設置して(前回は平たい縁石の外側に白いランブル ストリップスを配置した二重方式だった)、いきなりそれでF1を開催して、しかもスプリント方式でテスト時間が無い、という詰め込みすぎな運営方針にあったように思います。
 ピレリがタイヤの微細な問題に気づかずそのままレースをしていたら壊滅的だったのか、実は用心しすぎで何も起きずに終われたのかは誰にも分かりませんが、安全のためとはいえ週末の途中に急に別のルールが介入して多少なりとも有利不利が発生してしまったのは褒められたものではありません。
 また、サージェント以外にもレース後は複数のドライバーが体調不良に見舞われたとの情報。アロンソは「シートが熱くなってるからピットで水でもぶっかけてくれんか」と無線で無茶ぶりし、ラッセルは直線でステアリングの上に手首を置いて掌を正面に向かって差し出して体を少しでも冷やそうとする様子が捉えられていました。NASCARドライバーでしか見たことないですよあんなの。
黒に黒で分かりにくいけどな!

 ワールドカップも酷暑が懸念されて本来夏に開催するべきものが11月に開催されていました。たかが1か月、とはいえず10月ならそりゃあ暑いです。トラックリミットはちゃんと守ってる人がいるので守らずにルールに文句を言うのは筋違いだと思いますが、熱中症になるのは鍛え方が足らんからだ!大丈夫な奴もちゃんといる!なんてのは全然これとは話が違うと思います。
 サージェントも具合が悪い悪いと言いながらやっぱり選手としてそうそう「しんどいのでもうやめます」とは言いにくくて暫く走っていた様子ですが、ドライバーって記憶すらなくても勝手に走っているような人たちなので、そんなのは武勇伝でもなんでもなく一歩間違えたら事故って死んでるかもしれないし、他人を死に追いやった可能性もあるわけです。開催権料欲しさ、拡大ありきで開催環境を軽視した結果がこのレースだと思うので、運営は立ち止まってきちんと考えるべきだと思います。
 そういえば、かつて台風のせいで仕方なく予選と決勝を同日に開催したら、「これおもろいやんけ」と権力者の思い付きでそれが正式なルールに昇格してしまったことがあったので、とりあえず今回のレースを見て誰かが思い付きで「タイヤの周回数制限おもろいやんけ、これ毎回やろ」と言い出さないことを願います。

 次戦は1週間のお休みを挟んでアメリカ、そしてその後メキシコ、ブラジルと3連戦になり、1週休んだらもう1回アメリカに戻ってラスベガスです。しかもこの3連戦のうちアメリカとブラジルはスプリントなので働いている人は意味の分からん忙しさです。いやだから、そういうとこやんか。3連戦やる言うてんのにこれやったら5連戦やんか、はっきり言うて。

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