ギスバーゲン、『育成プログラム』で契約へ、他NASCAR情報

 普段はレースとレースの間に出た契約やらなんやらの情報はレース前の話題としてまとめて書いていますが、今回はネタが多くてブリストルの前に詰め込むと多すぎるので内容を独立させました。

・ギスバーゲンとトラックハウス、正式契約

 動向が注目されていたシェイン バン ギスバーゲンについて、トラックハウス レーシングは9月13日に契約の合意を発表しました。その内容は、カップ シリーズ、エクスフィニティー シリーズ、クラフツマン トラック シリーズの3大シリーズに跨って出場し、さらにNASCAR以外のレイト モデルのレースにも出場するというものでした。ギスバーゲンは声明で

「この発表は、僕にとって多くのことを意味する。ここオーストラリアで自分が成し遂げてきたことを誇りに思うけど、自分のキャリアの新たな章と、それがもたらすチャンスにワクワクしているよ。これまで僕のキャリアに関わってくれたすべての人たち、特にトリプル エイト レース エンジニアリングに感謝しているし、残るシーズンをさらなる活躍で締めくくることを楽しみにしているよ。」
「NASCARへの冒険は僕のキャリアの中で最大のチャレンジになるだろうし、本当に楽しみにしている。ジャスティン マークスをはじめ、僕にチャンスを与え、このチャンスを与えてくれたトラックハウスレーシングのみんなに感謝したい。アメリカに行ってシーズンをスタートさせるのが楽しみだよ。」

 一方オーナーのマークスは

「これはシェインにとってとてつもない挑戦になるだろうが、我々が見てきたように彼はとてつもないドライバーだ。来年は、オーバル トラック、スーパースピードウェイ、1.5マイルなど、彼のキャリアで経験したことのないすべてのコースに慣れさせることになるだろう。当然ながら学びの過程となるだろうが、シェインはかなりいいパフォーマンスを見せてくれると思うよ」。

 トラックハウスは既にロス チャステイン、ダニエル スアレスと2名のドライバーと複数年で契約を結んでおり、さらなるフル参戦ドライバーのためにチャーターを購入するのは費用的に壁が高いのでどう対応するのか注目されていましたが、なかなかトラックハウスらしいやり方で攻めて来たなという印象です。
 カップに関しては昨年からのプロジェクト91のような感覚でスポット参戦することになるでしょうが、今のところトラックハウスは自チームとして活動しているのはカップだけなので、他カテゴリーに関しては既存の参戦チームにドライバーとスポンサーをセットで持ち込んで委託する形でしょうかね。
 現実問題として他カテゴリーの選手がいきなりポンとカップに来ても結果を出すのは簡単ではなく、シカゴ市街地のようなことは普通は起こらないでオーバルで苦戦するのは目に見えていますから、まずはアメリカの流儀を覚えていくというのは本人にとって遠回りに見えて実際は大事な要素です。34歳なのでそんなに時間が無いんですけど、マークスが言うようにこの年でわざわざオーストラリアでの成功を捨ててアメリカに来ること自体がとんでもない挑戦ですからね。覚えてたら何かにつけて「なおギスバーゲンは・・・」を書いていきましょうかね。

・Z.スミスもトラックハウスへ

 そしてトラックハウスからギスバーゲンの契約発表3日後にもう1つ話題が出てきました。昨年のトラックシリーズチャンピオン・ゼイン スミスと複数年契約を結ぶとともに『2025年に3台のフル参戦車両の運営を行う』と発表。スミスは2024年からトラックハウスと契約したドライバーとなり、チームはスパイアー モータースポーツと提携してスミスをここへ送り込みます。

 これに関連して、スパイアーはリブ ファスト モータースポーツから新たにチャーターを購入。The Athleticのジョーダン ビアンキが伝えたところによると購入金額は4000万ドル・日本円にしておよそ59億円にも及ぶとのこと。リブファストは2024年にオープン枠でスポット参戦することを明らかにしており、フル参戦から活動体制が縮小されます。
 既にNo.7、No.77の2つのチャーターを持っているスパイアーはこれで3つ目のチャーターとなり、この車でスミスが走るとみられます。既にコリー ラジョーイの残留は発表されており、あとは77のドライバーだけが未定です。カーソン ホースバーの名前は挙がってるみたいですね。
 トラックハウスはチャステイン、スアレスとも2025年までは契約をしていると思われるので、2025年に3台体制になるとしても空いた枠は1つ。ここにスミスとギスバーゲンの2人いるわけで、オーバルはゼイン、ロードコースはSVG、みたいな体制になったり?ゼインの成績が良好ならチャステインもスアレスも2025年は結果を出さないと尻に火が付きますね。
 そもそも今回チャーターを買ったのはスパイアーですからトラックハウスがわざわざ来年これをあらためてスパイアーから買うというのは話が変なので、来年に向けてトラックハウスもまたチャーターをどっかから調達することになるのか、借りるのか、というあたりの話も気になります。このチームからは目が離せませんね。

 そもそもの話をすると、現行のチャーター制度はNASCARと各チームとの言うなれば労使交渉のような中で生み出された制度で、その制度の根幹はテレビ放映権契約による収益金分配と密接に関係しています。現在の放映権契約が切れる2024年末で現行のNASCARとチーム間の合意契約も満了になり新たな契約が必要になっています。
 その交渉はというとうなぎ上りのチャーター価格への対策や収益分配の仕組みで隔たりが大きく、4月に行われるはずだった会合をチーム側が拒否するなど膠着状態。放映権契約が決まったら運営側の収入の大枠が決まるので前に進むのかなとは思いますが、トラックハウスとしたらそのあたりの情勢がまだ不透明なのであえて今年自分からは動いてないのか?とか色々想像してしまいます。どういう結末になるにせよ、トラックハウスが色々とまたNASCAR界を動かす行動に出ているのは間違いないですね。

・ヘムリックはコウリッグへ

 なんかちょっと語感が似てますけど、コウリッグ レーシングは来季のNo.31のドライバーとしてダニエル ヘムリックを起用すると発表しました。ヘムリックは2019年にリチャード チルドレス レーシングからカップシリーズにフル参戦デビューしたものの、ちょっと事故癖が抜けなくて結果が振るわず、一応新人王は獲ったんですが複数年契約だったはずなのに1年でクビになりました。入れ替わって入ったのがタイラー レディックでしたからRCR的には正解だったわけですが。。。

 ただエクスフィニティーに出戻りしたヘムリックは2020年をJRモータースポーツ、そして2021年にジョー ギブス レーシングへ移籍し。勝てないながらも確実に点数を稼いでチャンピオンシップに残り、激戦を制してなんと最終戦でシーズン初勝利を挙げてこの年のチャンピオンを獲得。そして2022年からコウリッグに移籍してエクスフィニティーを戦い"昇格"を狙っていました。
 RCRでは不安定でクビになり、一転してJGRでは安定感でチャンピオンになったわけですが、来季は果たしてどっちのヘムリックが顔を出すことになるでしょうか。余談ですが、ヘムリックは2015年にケンジー ラストンという、当時K&N プロ シリーズに出場していた女性ドライバーと結婚し、現在2人の子供がいます。

・シャーロットでステージ ブレイク復活

 ここからレースに関する話題をもう2点。今年からロード コース戦ではステージが終了してもコーションが出ない仕組みに変えた(ただし下部カテゴリーが単独開催されるイベントは除く)NASCARでしたが、プレイオフの第6戦にあたるシャーロットでは再びステージ間コーションが復活することになりました。
 ロードコース戦でステージ間コーションを採用すると、ステージ終了2~3周前に上位のドライバーが一斉にピットへ駆け込んであとの2周を手抜きして走る作戦に走ってしまうので、見た目にも美しくない上にコース上ではなくピットでの爭いになってしまうので廃止したはずなんですが、インディアナポリス、ワトキンスグレンと立て続けに『あわやコーション無しで終了』という事態に見舞われたので、やっぱりリスタートを強制的に作ってレースを荒らしたいみたいですw
 また、ガイコ リスタート ゾーンも位置が変更され、なぜかシケインの1つ目のエイペックスあたりがリスタートゾーンの開始地点になります。インディアナポリスではリスタート後のターン1の混乱回避目的で位置を動かしましたが、こっちは混乱が一体どうなるんでしょうかね。後続がシケイン1つ目で追突事故起こしてすぐにコーション出そうな気もするんですけどw

・ブリストルのダートは消滅

 一方、今ちょうどこれを書いてる時間に開催されているブリストルですが、来年はダートでのレースを行わないと発表しました。春と秋の2回開催は維持される見込みで従来の姿に戻ります。ダートは春のブリストルが寒い!天気悪い!ということでなかなか客が集まらないことから打開策として2021年に導入され話題性と意外性がありましたが、砂ぼこりで観客席からよく見えない、そもそも天気が悪い時期だからドロドロになってレースできない、などの問題もありました。私も3回見たら「もう普通でいいかな」と思ってましたが、運営さんも同じだったみたいですね。

 ブリストルのダートが今年限りなのは以前から噂が出ており、焦点は代わりのダートが何かしら入るのかどうかです。トラックシリーズでは2013年から2019年までエルドラ スピードウェイで、2021年と2022年にはノックスビル レースウェイでダートが開催された実績があります。
 エルドラは現在トニー スチュワートがオーナーを務めています。現地メディアの報道によれば、2021年にダートを何かやるぞ、という話になった際にスチュワートはエルドラの開催を持ち掛けたようなんですが、NASCAR側はエルドラを開催地の候補として微塵も考えていなかったらしくこれにスチュワートが憤慨、逆にスチュワートの方から門を閉ざしたそうです。ただここに来てスチュワートはエルドラでの開催にまた前向きな姿勢を示し始めていると夏頃に報道が出ていました。
 ノックスビルもエルドラもカップ戦をやるだけの設備が整っているのかちょっと謎なのと、NASCAR側がそもそもダートにこだわっているのかも不明ですが、来季の日程発表ではダートの存在にも注目です。

 以上、長すぎたのでブリストルの記事から独立したNASCAR情報でした。

コメント

アールグレイ さんの投稿…
デイトナロードに続きブリストルダートとベルの勝利経験があるトラックがカレンダーから外れていくのは残念ですね。
ただここ10戦中5戦でポールポジションを獲得していますし、速さは普通のオーバルでも証明できるようになったので、あとは勝利数を増やすだけのドライバーだと思います。
トゥルーエックスは今年は3勝出来たとはいえ去年未勝利なのを考えるといつ活躍できなくなってもおかしくない気がしますし、ハムリンも契約延長したけれどオーナー業といつまで掛け持ち出来るかは難しいところがあるので、ベルに引っ張って貰わないとJGRも厳しくなる感じがします。
カイルの移籍はもちろん、ワトキンスグレン戦の記事でも書かれていた通りエクスフィニティーのギブスのマシンで怪しいスポンサーをつけて走らせていたのを見ると、そういう所にも頼らないといけない程、マースというスポンサーの離脱は大きかったんだなと思います。
SCfromLA さんの投稿…
>アールグレイさん

 ベルはベテラン勢に対してレースの強さで対抗するのか、一発の攻撃力で対抗するのか、引き出しがまだ少ないこともあるんでしょうけどどこか軸足が定まらずに足踏みしてる印象を受けますね。
 ハムリンは残留したもののフェデックスのサポートが急激に減っているあたりが私は気になってます。代わりのまあまあのスポンサーはちゃんとチームとして取れてはいるものの収入は減ってる気がしますし、しかしHE GETS USは23XIの理念からすると対極にあるはずなのでハムリン的には自分への支援はおろかJGRの他車への支援もちょっと受け入れにくい立場で、なんかけっこう生々しい話し合いになってるようには思いますね。考えただけでしんどい^^;
ウルミコス さんの投稿…
憤慨してるトニースチュワートの姿が容易に想像できて笑ってしまいましたw
SCfromLA さんの投稿…
>ウルミコスさん

 たしかにw