9月10日 撮り鉄日記(3)


 前回奈良にたどり着いた私、城陽では雨に見舞われましたが高解像度ナウキャストの的確な情報により再び暑いぐらいの晴れになりました。

 JR奈良のすぐ横には旧奈良駅舎が観光案内所として再利用されており、中にスターバックスコーヒーも入っています。でも私はここのスタバには入ったことがありません。JR奈良は観光地からやや西に外れたところにあるため、高速餅つきで有名な中谷堂などがある区域・もちいどの商店街や東向商店街、猿沢池などがある場所へは10分ちょっと歩くことになります。
 ただ、JR奈良のすぐ近くには『名物みむろ最中 白玉屋榮壽』というもなか屋さんがありまして、バラで1個から買えて安くておいしいのでここを通ると必ずといって良いほど買ってしまいます。JR奈良へお越しの際はぜひおみやげにみむろをどうぞ。いつもお世話になっているので勝手に宣伝しておきます。
 で、今回もみむろを買った私は東へ歩いてならまちエリアへ向かい猿田彦珈琲に入りました。以前一度入って別のコーヒーも飲んでみたかったのと、来月にスーパーアリーナへ行く際には自分一人で知らないお店に入らないといけないので、ちょっと耐性を付けておきたかったからです。いつもだいたい相方がいますので、1人で飲食店に入るのあんまり得意じゃないんです^^;
 ちょいと休憩し終えた私は「猿沢池に亀おらんかな」と駅へ行く前に寄り道


 ものすごく大きなハトがいました。鳴き声もちょっと太くて異彩を放っており、たぶん観光客がてきとーにあげてしまう人間の食べ物を食べすぎたのではないかと^^; 調べたら外来種のカメが激増したので『猿沢池の水全部抜く』をやって整頓したそうですね、たしかに四天王寺の本堂前にある池もカメがいっぱいで癒されますけどあいつら全部ミシシッピアカミミガメでしたね・・・
 ハトを楽しんだ私は近鉄こと近畿日本鉄道の奈良へ。大阪方面から奈良へ向かうなら、出発地点にもよりますけど近鉄が速くて観光地にも近くて便利です。でも私はJRを応援したいので関西本線をよく使います。関西本線だと大阪の都会から数十分で突然山間部に入って大和川と交差しながらトンネルをくぐったりして、その後に王子を過ぎると田んぼが広がっていて、遠くへ行った気分になれるのでお得です☆
近鉄の京阪奈区域の路線図


 奈良は地下にあるので撮影には不向きですが、ここから西に4kmほど行った朱雀門跡では史跡のど真ん中を突っ切る近鉄を撮影できるので有名です。Googleストリートビューでもたまたま列車が映ってるコマがありましたが、乗ってても『頼んでなくても史跡の方から来てくれる』というお得な区間ですw

 その先の大和西大寺は東西に走る奈良線と南北に走る京都線が直交しており、これが平面に交差しているので駅前後の分岐がもう意味の分からんごちゃごちゃになっていることでこれまた有名です。そんな西大寺近辺ですが、奈良県では『史跡のど真ん中を鉄道が走るのはよくない』『踏切が混雑する』という主に2点から大和西大寺の駅舎を高架にすることと、同時に奈良線を移設・地下化する案が議論されてきました。
 ただ、今年4月の知事選挙で当選した山下 真が膨大な費用のかかるこの案に待ったをかけて見直しが図られています。個人的には、史跡も所詮は人が作ったもの、廃れて誰も存在すら気づかなくなり、そこに人がまたモノを作り、という歴史自体にもまた人の営みと重みがあるので、この光景そのものがもはや遺産ではないかと思うので移設する必要が無い気がします。西大寺ごちゃごちゃ分岐ももはや世界遺産と呼んでも良い名物なので、全部そのままにしてほしいなあとか思います。地元の方は不便なので駅ぐらい高架化してもらいたいんでしょうけど。

 そんな西大寺ですがごちゃごちゃポイントはあれこれごちゃごちゃしすぎて制約が多い上に、ホームの端は人一人立つともう一歩も動けないぐらい狭い形状なので撮影にはちと不向き。とりあえず降りたものの1枚だけ撮ってすぐ撤退しました。こいつは兵庫県の酒蔵を応援しようという『Go! Go! 灘五郷!』という取り組みを宣伝するラッピング車両です。

 次に下調べした中から『額田(ぬかた)』という駅へ移動、ここはJR小倉と状況が似ていますが坂道のS字区間の途中にあるみたいな駅で、奈良方面ホーム奈良方から坂を下ってくる列車を撮れるという話だったんですが、言ってみたら大誤算。上下線のホームを往来できません(。∀゜)無人駅なので、ひょっとしてインターホンで事情を説明したら改札を通してもらえるのかもしれませんが、撮り終わってまた連絡するのは気が引けるし、そもそもホーム自体もものすごくほっそいので、ただ降りて歩いただけでしたw
 次が予定では最後の立ち寄り場所の河内花園。奈良線には『東花園』と『河内花園』があり、東花園は一部の列車の終点になっているので普段全く使わない人間にはやや馴染みのある駅名です。そのため、自分で調べて書いたメモなのに(・・・河内花園?東花園の間違いちゃうん?)と自分のメモを疑ってしまいました。
 そんなことを思いつつ河内花園到着、ここもまた奈良方面ホーム奈良方からの撮影になります。ここは近鉄にありがちな2面2線の高架駅でホームの幅も広く、列車の停止位置よりも前方で階段も近くにないので誰かの邪魔になることがありません。建築物の構造上どうしても端部は壁で、駅によってはこの壁が黄色い線の内側までせり出していて撮れないんですが、ここはちょっと場所が残っているので撮れるみたいです。一応窓の下にはよく展望台なんかに設置されている『ここから見える風景』的な案内図もあります。窓越しの撮影は窓が汚れているので無理です、勝手に拭いてピッカピカにお手入れした場合怒られるのかどうかは知りませんw
一応開けれそうだがその度胸は無い

 ここまで雑談ばかりしてましたが、お預けを食らったこともありここからとりあえずなんでもかんでも撮りました。

 背景が山なのでセンスがあると駅撮りでもいい感じのものが撮れる気がしました。と、こっちのホームに通過列車で80000系・ひのとりが来たのでとりあえず撮影。近鉄はあんま利用機会が無いので80000系撮ったのは初めてです。


5800系


 後追いは列車が正面に入りすぎてちと難しいです。よく見るとこの写真の左奥にヘッドライトとホームが見えてますが、あそこが東花園の駅で河内花園とは800mぐらいしか離れていません。巨大な望遠持ってきたらたぶんあっちのホームまで丸見えでしょう^^;

5820系

1000系

 奈良線は阪神電鉄と相互乗り入れして大阪難波~西九条~尼崎経由で最長で三宮まで直通運転しています。そのため近鉄線内でも阪神の車両とよく出会いますが、阪神から乗り入れてくるのは1000系か9000系。こちらはSDGsトレインという愛称のラッピング車で、阪急阪神ホールディングスとしての取り組みなので阪急にもSDGsトレインがあります。普通は時々ここで行き違いになるパターンのダイヤらしく、場合によっては近鉄の駅ですが阪神同士ということも当然あります。

9020系

 近鉄は運用によって車両の増結・解消を頻繁に行うため、異なる形式の車両が連結されていたり10両編成が2両×5というちょっとアホなことになったりしています。これも3・4両目だけ色が違うのは鉄道に詳しくなくてもすぐ分かりますね。
5800系 志摩スペイン村
スペイン村 後ろから

5800系 デボ1形復刻塗装
チョコレートに見える

9000系
1233系
1000系

 時々車両下段のライトが片方しか点いていないものがありますが壊れているわけではなく、前照灯は上部に取り付けられた2灯。下にあるのは種別灯とか通過標識灯と呼ばれるもので、列車の種別を判別しやすくするためのものです。近鉄だと2つとも点いていたら快速急行以上の速達列車、運転席側だけ点いてるのが急行、反対側だけ点いてたら準急、消えていたら普通、という具合です。
 このあたりまで、遠くで時々雷鳴が聞こえたり、一瞬だけ雨粒が落ちつつもまだ天気が持っていた(?)んですが、ここでとうとう土砂降りに。さっきまで見えていた山が見えなくなりました。

 次に列車が来る頃には
8600系

 もうスリックじゃ無理なのでピットに入ってインターミディエイトに換えないといけない感じです。「サッシャさん、ものすごい雨です!」という声が脳内で聞こえてきます。そしてこっちを向いた先頭車両が旧式だったのはこれがようやく初でした。もっと多いと思ってたんですけど、阪神車両と9020系・5800系・9020系がけっこう多いんですね。

5820系


 で、私は1本ぐらい特急型車両を撮りたくてここにおり、もうすぐ80000系がこっちに来るぞ、ということで待ってたんですがここで私を悲劇が襲いました。ここまで一度も起こらなかった車両かぶりが起きてしまい、まったくひのとりを撮れませんでした、雨が降ったから火が消えちゃったかあ。まあたぶん、他の列車がパターンダイヤで動いていて、特急だけその間に入る形なので被るんでしょうね。。。最後にもう1本だけ撮って帰りました。
1026系

 最後のハイジみたいなやつ一体なんやったんや、と調べたら『ならしかトレイン』という車両で、車内は鹿だらけになっていてとても面白いそうです。
 大阪からコの字型に京都、奈良、大阪と移動して帰りましたが、だいぶカメラの取り扱いの基本は理解しました。ただ、途中ハトを撮っていた際にシャッター速度をいじったら戻すのを忘れ、河内花園での1枚目がめちゃくちゃ遅い速度で失敗した、というのもあり、いじった設定を戻す、確認するのを絶対忘れてはいかんなと肝に銘じました。東京行って写真全滅とか最悪ですからね^^;
 撮影場所を紹介していただいている様々なサイトさんの情報と、実際自分が行ってどういうものが撮れるのか、あるいは無理なのか、というのもなんとなく分かって来たので、また別の場所を探しに行ってみたいと思います。たぶんまたこの手の記事がちょろちょろ出るかと思いますがよろしければお付き合いしてやってください。

・オマケ 近鉄の形式沼

 ところで近鉄の車両は1026系とか1233系とかやたら細かい数字が出てくることがあります。実は日本の、いや、世界の鉄道会社においても最も難解で複雑な車両形式のうちの1つであることで有名です。近鉄なのに『ナンカイ』とはこりゃいかに!(第2次世界大戦中には国策で現在の南海電鉄と当時の関西急行が合併して近畿日本鉄道になったのであながち間違いでもない。)
 それはおいといて、多くの鉄道会社では
千の位=大まかな車両の世代
百の位=モーターの有無、先頭車両か中間車両か、などの識別
十の位・一の位=その車両が何番目に作られたか

という法則になっています。千の位は基本的に代替わりするたびに増えていって数字が大きいほど新しくなり、9000まで行くと次は10000には繰り上がらずに1000に戻ることが多いです。1000に戻ったら被るやん、と思いそうですが、9世代も代替わりしていたらたいていは元々の1000系はとっくに引退しているので重ならないんですね。
 たとえば阪神の9000系と1000系が出てきましたが、9000系の次に新しいのが1000系です。で、上の写真で阪神の1000系には1252という数字が書いてありますが、これは1000系列の車両で、先頭車両は200を足しましょうね、先頭は2つあるから神戸側の車両は50を足しましょうね、という社内の法則に従い、そのうちの2番目に作られた車両なので『1252』という数字が割り振られています。

 ところが近鉄の場合、『5802と書いてあるから、、、5000系!』かというと全く違います。近鉄では千の位は『何線で使うか』を表しており、1と2は大阪線・名古屋線、8と9は奈良線・京都線・橿原線、といった具合です。挙句の果てに5だと『標準軌急行用クロスシート車』と路線じゃなくて車両の特徴で数字を割り振っています。そのため、
5000→古い
8000→新しい
などという概念が一切通用しませんw
 車両の世代を示す数字は次の百の位で、0、2、4、6、と大幅に車両が進化すると基本的に200増える仕組みです。このため、上に8600系というのが出てきましたが、これは他路線で使う2800系、6200系とだいたい同じ仕様の車両になっているそうです。私ももうさっぱり分からんのでWikipedia頼みです。
 で、一の位はさすがに車両の製造番号なんですが、近鉄は広大な路線網でなかなか大量に同一形式の車両を一気に生産ができずこまごまと作ることになります。そのため、一度作ってまた次に増備するときにはちょっと進化している場合があり、でも200を足すほどでもないなあ、みたいな時に十の位に+10をすることもあります。そもそも同一形式を10編成も同時に作らないので、製造番号に2桁も使うことがないんですね。
 場合によっては一の位ですらちょっとした改造や仕様変更によって『別形式』と扱ってしまうこともあり、これが原因で『1233系』みたいなことが起こります。素人には近しい系列との違いはおろか、5800系との区別も付かないでしょう。5200系というちょっと見た目にも特殊な3扉車があるんですが、こいつは『5200系』『5209系』『5211系』の3分類があるそうです、分かるかそんなもん!w
 F1に例えるなら、同じ年次の車両なのに低速市街地用、中速コース用、高速コース用でシャシー名が異なり、さらに空力アップデートが入るたびに名前を変更しているような状態です。詳しい人だと「この仕様は〇〇グランプリ仕様ですね」と見分けますが、それらに『RB182』『RB383』と名称がつけられているような状態です。身も蓋もないですが、要するに『そこまで細かく分類せんでええもんまで全部名前つけてる』からややこしいという側面が強いと思います。
 
 さらに面倒なのは、近鉄が21世紀に入って作ったいくつかの車両群に対して『シリーズ21』という愛称を付け、シリーズ21の車両では十の位を2から始める、という謎のルールを追加したこと。5800系と5820系って、数字だけ見たら十の位が20足してあるだけなので小変更かなと思いますが、製造年次で言えば5年前後の差しかないものの見た目から何から全然違います。
 車両形式の一万の位は特急型車両に付与され基本的に数字が大きいほど新しくなります。1万台の汎用特急は12400系だとか16400系だとかこれまたややこしく、名阪特急の看板列車・アーバンライナーは21000系、その進化版車両であるアートライナーNEXTはシリーズ21なので21020系というものすごく半端な車両形式です。一方で近年の特急はしまかぜが50000系、ひのとりは前述のとおり80000系と妙にすっきり、ただ60000と70000が現状欠番になって飛んでいます。ひのとりだけに飛んだのね(・∀・)
おあとがよろしいようでm(__)m

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