SUPER GT 第4戦 富士

2023 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT 450km RACE
富士スピードウェイ 4.563km×100Laps=456.3km
GT500 class winner:Niterra MOTUL Z 千代 勝正/高星 明誠
(Nissan Z GT500/NDDP RACING)
GT300 class winner:GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎/石川 京侍/塩津 佑介
(NISSAN GT-R NISMO GT3/GAINER)
※塩津は決勝で走行していないため得点対象外


 2ヶ月ほど間が空いたオートバックスSUPER GT、第4戦は今年2度目の富士450km。今季は開幕戦と前戦が予定された距離のおよそ3/4しか消化できないまさしく消化不良でしたが、この週末も日曜日の天気予報が少し気になります。
 今回も450kmのレースということで2回の給油義務がありますが、前戦ではレースが途中で打ち切られた場合の取り扱いが規則上きちんと明文化されておらず混乱の原因となりました。そのため規則ではレース距離75%を境界に、これ未満だったら義務免除、75%以上走っていたら1周減算ペナルティー、と明確な規則が設けられました。また、その給油に関しても今回は付則事項により5周目以降でないと認められないことになり、1周目の捨てピット作戦は禁止になりました。

・レース前の話題

 前戦鈴鹿で大事故になって入院したニスモの松田 次生。間が2ヶ月空いたこともあり、このレースで復帰することになりました。大きな外傷無し、という発表しかなかったので実情が不明でしたが、実際は両足付け根付近の筋断裂と右足首の亀裂骨折があり1か月半近く入院とリハビリに費やしたとのこと。まだ完全に回復したという状況までは行っていないようです。なお、車両の方はモノコック交換があったので決勝で5秒停止のペナルティーを受けます。
 そして同じくこの事故でウラカンGT3が全損したJLOCの87号車。元々チームはシーズン途中でアップデート車両であるウラカンGT3 Evo2の導入を予定していたことから、88号車を新車に更新、そして元88号車をそのまま87号車へ転属させて1台抜けた穴を埋めました。この新車のBoP適用後重量は旧車と比べると10kg軽い1310kgとなっています。エンジンの吸気リストリクター径は旧車が40mm×2枚だったのが、新車は52mmを1枚と仕様が異なるので数字だけを見て直接の比較はできません。


 また、鈴鹿の事故とはまた別案件でARTAの大湯都史樹が7月に右肩の鎖骨をトレーニング中に骨折する事案がありスーパーフォーミュラ 第6戦を欠場。このレースは出場を予定しているものの、万一に備えて第3ドライバーとして木村 偉織が登録され代走に備えています。大湯選手、今年はフォーミュラの方で予選は速いけど決勝では何か起きてしまってゴールにたどり着けないレースが続いていましたが、まさかスタートすらできないとは^^;

 最後に、1つ時代の節目とでも言うべきか、7月28日にTGR TEAM ZENT CERUMOの立川 祐路が今季限りでの引退を発表しました。GT500のチャンピオンを獲ること3回、1999年からなんとセルモ一筋でGT500を戦ってきましたが、色々な状況がある中で最終的には前戦を戦ったところで決断に至った模様。せっかくなので決断を伝えるついでにチームメイトの石浦 宏明にも引退を誘ったそうですが断られたみたいですw

・予選

 GT300クラスではグッドスマイル初音ミクAMG(6kg)・谷口 信輝がポール ポジションを獲得。どちらかというと決勝でしぶとい車でポールとはなかなか縁がなく、チームとしては2017年最終戦、谷口自身は同年開幕戦以来のポールでした。どのセクターでも速かったので非常に仕上がりの良さを感じる走りでした。
 グッドスマイルレーシングと言えば、2019年の最終戦でチャンピオン争いをする中、Q1担当だった谷口は車の不具合で挙動がおかしくなり、最終コーナーの内側にあったボラード(ポール)をなぎ倒してしまって「ポール取ってきた」というジョークを言ったのが有名ですが、今回は正真正銘ポジションの方のポールですw

 2位からSUBARU BRZ R&D SPORT(18kg)、GAINER TANAX GT-R(18kg)、4位に新車のJLOC ランボルギーニ GT3(15kg)、5位は兄弟車のDOBOT Audi R8 LMS(12kg)です。R8はフォーミュラEの仕事を終えてロベルト メリーが帰ってきています。ヘルメットがドラゴンボールをイメージしたちょっと面白いデザインなんですね。
 元々予選終了時点での3位はapr LC500hでしたが、予選後の車検で燃料に違反があり失格に。規定では要するにサーキット内のガソリンスタンドで売っている燃料を使用する義務がありますが、LC500hは異なる成分が検出されたことが原因でした。チームによると鈴鹿で使用した燃料が入っていたようで、きちんと空っぽにせず前の残り物がどっかに入ってたんでしょうかね?
 
 一方GT500はGRスープラ勢でZENT CERUMO GR Supra(14kg)だけがQ2に進出し、富士マイスターと呼ばれた立川にQ2でのアタック機会到来!しかし残念ながら7位に終わり富士でのポール獲得記録を伸ばすことはできませんでした。
 ポールを獲ったのはリアライズコーポレーション ADVAN Z(6kg)・佐々木大樹。前戦は予選後に燃料タンク容量違反で失格となりまぼろし〜のポールでしたが、今度こそ正式にポールです。

 2位は16号車のARTA MUGEN NSX-GT(10kg)、3位が8号車のARTA MUGEN NSX-GT(22kg)、8号車の大湯は痛み止めを使いながら必死で3位を掴みました。そして4位に最大燃料流量を絞られているNiterra MOTUL Z(41kg/-1)、ドライバー選手権2位でこの順位は驚きです。

・決勝

 決勝前に1つ残念なお知らせ。K2 R&D LEON RACINGは蒲生 尚弥が予選後に発熱の症状に見舞われたため、決勝には出場しないことを発表しました。チームは第3ドライバーを登録していなかったためドライバーは篠原 拓郎だけになってしまい、決勝はレース距離の2/3まで走って撤退することになりました。昨年もグッドスマイルレーシングで同様の例がありましたね…
 余談ですが、蒲生選手と昨年結婚したフリー アナウンサー・岡副 麻希も4月ごろから体調不良でお仕事を休んでいたとのこと。SUPER GT+最後のキャスターということになりましたけど、麻希ちゃんは歴代アシスタントの中で特に好きだったなあ。お二人ともお体気を付けて。

 さて麻希ちゃんも中尾 明慶もいないコース上に話を戻すと、決勝はスタート前から雨が降ってきて路面が濡れてしまいました。その後も降ったりやんだりしていたのでSC先導でのスタートとなり全車レイン タイヤを装着。3周目にリスタートされて本格的なレース開始となりました。あ、ちなみに私は中尾くんもすごく熱意を持って長年真剣に取り組んでいるように見えたので好印象でしたよ☆
 で、雨が降ったらGT500は最強のミシュランレインが炸裂し二テラZ・千代 勝正が早々に2台を抜いて2位、そして4周目にリアライズ・佐々木も抜いてリーダーとなりました。
ミシュラン速すぎて草
とかいうコメントが付きそう

 一方GT300では初音ミクAMG・片岡 龍也がBRZ・井口 卓人、GAINER GT-R・石川 京侍に相次いで抜かれてしまいます。さらに4周目に入った直線では石川が井口を抜いてリーダーに。しかし片岡の苦戦はタイヤの作動の問題だったようでやがて息を吹き返し、すぐに井口を抜き返すことに成功すると、7周目には石川もかわして元いた場所に戻りました。ただその後ろではウラカンGT3 Evo2・元嶋 佑弥が強烈な速さで追い上げてきています。
 
 コース上は日差しが強くなってかなり路面が乾いてきたので、GT300の後方チームは7周目あたりから1回目の給油がてらスリックへの交換を開始。そして9周目には片岡と、既に片岡の真後ろにいた元嶋も同時にピットに入りました。ピット後もしばらくこの2台は接近していましたが、やがて片岡が安全圏まで差を広げて1位を守ることになります。
 一方GT500の方は11周目、リアライズ佐々木を先頭にスリックへの交換サイクルが始まりました。ただリーダーの千代は15周まで引っ張る作戦。GT500の場合めちゃくちゃ燃料をケチっても45周走れるかどうか、かといって3ストップはピットのロスが大きいので、できるだけここを引っ張りたい、でもそれでズタボロレインで順位を下げたくない、というせめぎ合いをしていたと思われます。その点ミシュランのレインは乾いてきた時の劣化が相対的に少なく戦略の幅が広い印象です。

 1回目のサイクルを終えてGT300は片岡、元嶋、石川、そして予選16位だったStudie BMW M4(72kg)・荒 聖治が続きます。一方のGT500はガラッと変わってしまい、先頭はARTA16号車・福住 仁嶺、続くのが11位スタートだったENEOS X PRIME GR Supra(42kg)・大嶋 和也、3位にDENSO KOBELCO SARD GR Supra(12kg)・関口 雄飛。これは後から分かることですが、エネオスは給油を全くしておらずトラック ポジション重視の戦略だったようです。千代は4位に下がりましたがそれでも好位置。一方ポールシッターの佐々木はスリックが全然発動しなかったのか大幅後退、結局このレース10位と雨に負けました。

 先頭に出た福住でしたが決してコース上で速い部類とは言えず、24周目のターン1で大嶋が福住を抜いて新しいリーダーに。ARTAは8号車の大湯もやや苦戦して順位を下げているので共通の課題があるようにも見えますが、元々の速さか、選んだタイヤか、燃料の使い方の問題か、要素が多すぎるのでこの段階では良し悪しを判断しにくいところがあります。


 ここからしばらくは両クラスとも状況が落ち着き、とりわけGT500はみんなほぼ似たペースで推移。もし2ピットで行くなら燃料をなんとしてももたせないといけないのでこれがペースを頭打ちさせている可能性が高そうだな、とか思っていたら35周目、GT300のHACHI-ICHI GR Supra GT(33kg)に車両火災発生、即座にSC導入となりました。これで2ストップがいくぶんやりやすくなりますが、私はなんとなくエネオスとデンソーは3ストップ狙いで燃料使ってるんじゃないかと思っていました。


 41周目にリスタート、翌周にさっそく関口が福住を抜いて2位となります。そのまま関口は大嶋に迫りましたが、バトルが始まるかと思った46周目に大嶋はピットへ、最初のピットで給油していないのでもう燃料が空っぽに近そうです。山下健太への交代と給油、タイヤ交換を行い、給油時間を見るとどうせもう1回給油が必要なので30周分ぐらいしか積んでいなさそう。
 翌周は関口が入って中山 雄一へ、こっちは14周目のピットで一度給油しているのでまだ燃料が残った状態で入ってきて長い給油=満タンまで入れた感じで作業時間に10秒の差がありました。ただ、いずれにしてもサードも3ストップです。
 3ストップにする狙いとしては、レースの終盤にまた雨が降る可能性があったようなので、そうなると結局全車に3回目のピットが必要となり、自分たちは元々予定していた3回目のピットをレインへの交換に充てるだけなので、そこまで燃料をしっかり使って速く走っていたぶん前に出られる、というのがあると思われます。

 1ストップで行くなら55周目が1つの目安になりますが、その通り54周目あたりからピットサイクルとなり、ニテラは56周目、実質1位と思われるARTA16号車は57周目にピットへ。それぞれ高星 明誠、大津 弘樹に交代します。ただ、ここでARTAは左後輪の装着に手間取ったのに、ナットを締めなおす前に給油作業を始めようとしてしまい、そこでまだ交換が終わっていないことに気づいて給油リグを抜く『お見合い』の状態になって時間を要しました。これで大津は高星に抜かれて二テラZが再度実質の1位になります。
 しかしこれに待ったをかけたのがDeloitte TOM'S GR Supra(10kg)でした。笹原 右京は12位スタートからコツコツと順位を上げていってピット前の段階で実質5位。そして最も遅い59周目にピットに入り、短い作業でコースに戻ってジュリアーノ アレジは高星の前方・実質1位で合流しました。高星はアレジのアウト ラップで捕えることができず、ここから事実上の優勝争いが展開されます。

 一方のGT300は46周目あたりからピットサイクルで、90周ちょいのレース距離になるでしょうからこっちもみんな1ストップ狙いという感じ。初音ミクAMGはたぶんそこまで燃費が良くないからだと思いますが56周目にピットに入り、代わった谷口は実質1位でコースに復帰。ただターン1で止まりきれずはみ出して少しの損失、その間に背後にはピットを終えた中で最上位だったPONOS GAINER GT-R(27kg)・安田 裕信が背後についてきました。その後ろにはウラカンの小暮 卓史も来ています。
 ちなみに小暮さん、新車でステアリングのボタン配置が変わってしまったので練習で数回押し間違えたとのこと。まあこれ、小暮選手のキャラクターゆえにチームも面白可笑しくそんな話を教えてくれるんだと思いますが、シーズン中にいきなり数年乗った車から変更されたら間違える選手はたくさんいると思います。決して小暮さんだけが面白プレーをしているわけではないでしょう、念のため。

 GT500のアレジvs高星が盛り上がっていた66周目、かなり悲しい出来事が起こりました。HOPPY Schatz GR Supra GT(3kg)の車両左後部から出火、かなり酷い燃え方で即座にSC導入となりました。場所がターン13のあたりの傾斜がキツイ場所なので車をきちんと止めるにはバリアに押し当てるしかなく、結果としてバリアにも延焼。不運にも火災は燃料系統を破壊して引火したようでなかなか消し止められず、最終的に車両はほぼ全損という状態でした。

 つちやエンジニアリングの整備する2台のGR スープラ GTがともに火災になり言葉がありません。委託を受けてメンテナンスしているMax Racingの車両をどうするかは横に置くとして、チームとしては限られたお金を全て注ぎ込んで作った車が無くなったので、もう新造する予算も時間もなく今季は活動終了、すぐにはGTに戻ってこれないかもしれません。レースの方はなかなか火が消えなかった上にバリアも破損しているので赤旗となりました。
 25号車はつちや自社製造、244号車は製造自体はapr製でメンテナンスがつちやさんのところですから製造課程も設計も異なるんですが、出火の原因はいずれも排気管先端部分の脱落の可能性が高いとのこと。244号車は中継映像で脱落の瞬間が映っていましたが、高温の排気ガスを吐き出す先端が無くなったので、内部の部材が高温に晒されて車を焼くことになったと現時点では考えられています。

 この赤旗中に空模様が一気に怪しくなってくると、レース再開予定時間を前に大雨。これで予定は繰り下げられて結局赤旗は約45分間に及びました。全車コース上でタイヤの交換が許可されたのでレインへと交換になり、これは3ストップ組とするとやや誤算。天気の読みは当たっていたにもかかわらず、全員がピット不要でタイヤを換えてしまったら狙いとは外れてしまいます。この後路面が乾いて全員がスリックに交換する展開を期待しないといけません。

 72周目にリスタート、私の想像ではエネオスは80周目ぐらいまでしか燃料がもたないんじゃないかと思いますが、そこで路面が乾いていなかったら完全に詰みます。コース上ではリスタートからまたもやミシュラン無双、高星があれほど苦労したアレジを豪快にかわして3位、さらに74周目には中山、そして75周目に山下と3台のGRスープラは成す術なく切り崩されました。二テラZ、またもや先頭へ。
特殊なタイヤで何が悪い!
日本特殊陶業

 GT300は初音ミクAMG・谷口、ポノスゲイナー・安田、そしてGAINER TANAX GT-R(18kg)・富田 竜一郎のトップ3でリスタートしましたが、スタート時と同様にミクちゃん寝起き悪い問題発生。谷口はコカ・コーラコーナーで姿勢を乱し、安田、富田の2台が揃って前に出ました。ここからゲイナーの身内同士で1位を争うことになりますが、後ろでミクが起きたようなので安田が富田に順位を譲る感じでリード チェンジ。タナックスゲイナーが先行します。「安田富田」ってなんか「ますだおかだ」みたいなコンビ名に見えてきましたね・・・
 谷口は予想通りというべきかここから速さが出てきて安田を早い段階で仕留めると、残り20周を切ったところで富田の真後ろへ。78周目に先頭に戻りました。ただ安心はできません、路面状況はスタート時と違って気温も下がって来たし日差しも無かったので一気に乾く様子ではないものの、GT300は車が重いせいもあってかタイヤがヘタリ始めているようで、画面には映っていなかったものの77周目にはポノスゲイナーがスリックへの交換を行っていました。

 GT500では83周目、エネオスがとうとう燃料の限界と思われピットへ、ルーキー レーシングとするともう打つ手が無いので一か八かタイヤはスリックを選択。山下は完全に他のチームに情報を与える係になってしまいましたが、結果としては全然スリックで行ける状態ではなくこのレースを11位で終えました。
 両クラスとも残り周回数が減ってきたのでこのままレインで耐えるか換えるか悩みまくる時間帯でしたが、ゲイナーは先に換えた10号車のデータも指標となって83周目・レース残り10周ほどというところでスリックへ。これを見てリーダーの谷口も翌周にピットに入りますが、なんとピットを出たらコカ・コーラコーナーで単独スピンして入賞圏外へ脱落してしまいました。くるんと回るだけならまだマシだったんですが、運悪く壁の方へ行ったのですぐ復帰できず、このレースまさかの12位でした。

 これで暫定の1位、2位はスタディーM4・柳田 真孝とEvo2ウラカン・小暮になりましたが、こちらも85周目にスリックへ相次いで交換しました。先に後ろを走る小暮がウインカーを出してピットへ向かっていましたが、見た感じ柳田はこれを見て咄嗟に誰かしらの判断で自分たちも相手に合わせて急いで動いたように見えました。
 タイヤを換えずにとどまる判断をしたのはBRZ・山内 英輝とSyntium LMcorsa GR Supra GT(21kg)・吉本 大樹、追いかけるスリック勢の先頭は谷口がスピンしたためゲイナーGT-R・富田。追われる側も追いかける側もダンロップ装着車両になりました。富田は入ったタイミングもタイヤの作動も速かった様子で、柳田はこれよりもかなり後方です。
 ここから富田は毎周6~7秒山内との差を詰めていき、その山内は吉本にも追いかけられて苦しい状況。ピットを出た時には40秒以上あった差があっという間に消し飛び、残り2周というところで富田は2台を抜いてスリック作戦大成功となりました。ただ抜かれた2台もまだ元々いた順位よりは上にいるので、あと2周耐えれば作戦は成功と言えます。


 GT500の方はレインでそのまま走り切る展開になり、みんなそこそこにへばってくる中で高星だけは毎周2~3秒ずつ他車を引き離すような別次元の走り。そして最終周の最終コーナーでちょうど富田と遭遇したため、チェッカーは日産の2台が並んで受けることになりました。GT500クラスはNiterra MOTUL Z、GT300クラスはGAINER TANAX GT-Rが並んでチェッカーを受け、いずれも今季初勝利となりました。ゴール写真は宣伝に最適でしょうw

 そして大変だったのがGT300の2位争いでした。なんとか最終周のダンロップコーナーまでたどり着いた山内と吉本でしたが、背後にはM4の柳田と、さらにDOBOT R8・メリーもセットで来てしまいました。全く別クラスの速さだったのでスリック勢はGRスープラコーナーで相次いで2台を抜いて2位、3位となりますが、ヘロヘロ同士の4位争いは最終コーナーへ。
 1つ前のコーナーからラインを交差させることを織り込んだ戦いになった2人のドライバーでしたが、お互い限界すぎて山内は内側をかなり締め、吉本はこれで縁石に乗って跳ねたので思わずカウンターを当ててしまい、結果スープラの左前がBRZの右後ろを引っかけてしまいました。もう何のグリップも無い山内はスピン。これで吉本は4位、山内は後続に抜かれて7位でチェッカーを受けましたが、吉本には40秒加算のペナルティーが課せられたので正式結果ではLMコルサは10位、BRZは繰り上がって6位でどっちも美味しくありませんでした。


 GT500でもレース後に2件のペナルティーがあり、2位でチェッカーを受けたARTA16号車はピット作業での『お見合い』が実際は両方の作業が同時に行われていた瞬間があったようで40秒加算のペナルティー、そして3位だったSTANLEY NSX-GT(44kg)も映像では映っていなかったと思いますが、同じくピット作業違反で40秒加算となりました。
 ただ、GT500は最後のリスタート以降ものすごくペース差が出て車間距離が空いてしまったので、16号車は40秒加算されても3位、スタンレーも6位に落ちるだけで済みました。というのも二テラZが速すぎてリード ラップ車両が6台しかいなかったんですね( ゚Д゚)NSX2台がペナったので、4位で帰ってきたはずのModulo NSX-GT(2kg)が2位となりました。チームとして2020年第7戦以来久々の表彰台です。


 GT500では、今回のレースは二テラZに対して「神様をお金で買収したんじゃないか」と思うぐらい全ての条件が味方しました。ミシュランにとって苦手な土砂降りの条件での走行が無く最強レインタイヤの得意な路面水量だった上に、乾きかけた路面での摩耗も他社より相対的に少ないとみられ最初のスティントで15周まで引っ張ってその後の燃料のやり繰りが多少なりとも楽になったはずです。タラレバですが、モチュールがリードラップを走った状態で最初のSCを捕まえることができていたのなら、最後のミシュラン無双の展開でひょっとしたらニスモも表彰台圏まで上がっていたかもしれません。
 そして、燃費レースになったことで最大燃料流量が1段階絞られている弱点も相対的に薄まりました。45周走ろうと思ったら他の車もそんなに常時燃料を注ぎ込んではいられないので、他の車も実質ハンデを背負って走っているも同然だったと思います。こんな燃費レースになることは滅多に無いですね^^;

 3ストップ組とすると、途中でまた雨が降ってみんな3ストップになるという読み自体は当たっていました。もし車両火災が無くレースが進んでいれば、まあひょっとしたらそれでもミシュラン無双なり自滅なりがあった可能性があるとはいえ、ピット回数の多さはチャラになって表彰台を争えていた可能性はあったと思います。
 デンソーも結局残り8周で給油のためピットに入り9位に終わったので、結果としたら作戦は外れたわけですが、読みとするとむしろ当たっていたのはこっちで、ただ赤旗という外部要因に対して左右されにくく幅広い待ち方ができたのが2ストップで、今回はそちらの方が流れにハマった、ということだと思います。
 でもルーキーレーシングは1回目のピットで、タイヤ交換で前輪から後輪へ移動する僅かな時間だけでも一応給油リグを挿して義務消化だけはしておいた方がよかった気がしますね。義務未消化だと本当に対応できる条件が狭まって、変なタイミングで赤旗終了になったら罰則対象の危険性もありました。
 ただ1点、エネオスがあの作戦を採用したことで影響があったとすると上記のタラレバで、目立っていたので覚えている方もいらっしゃると思いますが最初のSCが出た時点でニスモは唯一エネオスにだけ周回遅れにされていました。しかも周回遅れになったのはSC導入の直前の周で、つまりエネオスが1台抜け出して飛ばしていなければニスモは最初のSCでリードラップの最後尾に付けることができていました。そう、彼らはレース結果としては入賞圏外でしたが、ニスモが上位に進むのを身を挺して阻んでいたのです。な、なんだって~!

 で、この2ストップ3ストップの話、ある程度GTを見て知識のある人だとたぶん見ていて状況を把握できたと思うんですが、そうでない方も大勢いたと思われます。しかしJ SPORTSの放送席はとりわけ複雑な作戦面についての解説をする人材がいないため、「エネオスとデンソーは走り切れない」「2ストップだと55周ぐらいまで走らないといけない」といった作戦を考える上での基本的な情報が出てきません。
 300kmのレースならそんなに作戦の幅も無いのでそこまで影響は無いんですが、450kmの時はジャーナリストやエンジニア系の方をもう1人招いて、戦略上誰がどうなって実質の優勝は誰が争っているのか、というのを解説できるようになってもらえるとより良いかな、とか思いました。

 一方GT300はミク号が条件を問わず速いので車もドライバーもタイヤもすごいなと思って見ていたんですが、まさか自滅の幕切れが待っているとは思いませんでした。谷口選手も焦りがあったことを認めているようですが、天候に負けた、というやつです。
 逆にゲイナーは2台体制の利点も活かしながら適切なタイミングでタイヤを交換し、ドライバーも完璧に応えました。ハンデ込みで約1340kgの重い車なので乾き始めた路面ではレインタイヤがすぐ傷むのは容易に想像できますが、ダンロップのスリックは作動が早く、そして重い車はこういう時タイヤを目覚めさせるには長所にもなります。
 重い車と言えばスタディーM4は前戦で優勝からの75kgの重い車で2位となり、荒はドライバー選手権で1位に。あくまでブルーノ スペングラー不在の際だけの出場なので自身にチャンピオンの権利は基本的にない柳田ですが、現在ドライバー選手権で3位になっています。90kgハンデの日産メカニックチャレンジ GT-R(90kg)も4位できっちり得点を伸ばしており、このあたりは波乱の展開がうまく味方になりました。

 新車のウラカンは結局最後のスリックでの走りに苦戦したのか8位になってしまいましたが、持ってきた車でもうそれなりにセッティングが出ていて速いというのはチームもしっかりと準備した証でしょう。車両自体は昨年に発売開始されていて海外では使われている車なので、メーカー側から最低限のセッティング情報などは貰えたんだと思いますが、旧車から乗り換えて『セッティングが出てない分最初は遅くなる』という段階が無いというのはものすごく前向きな材料だと思いました、この先楽しみですね。

 次戦は8月末に鈴鹿での450km、前回は大事故が起きてしまいましたし近年ちょっと事故件数が多い気がするので、暑い長距離戦ですが事故無く進むことを願いましょう。

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