F1 第7戦 スペイン

FORMULA 1 AWS GRAN PREMIO DE ESPAÑA 2023
Circuit de Barcelona-Catalunya 4.657km×66Laps=307.236km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB19-Honda RBPT)

 F1 第7戦はスペイン、長年の傾向として開幕からの遠征を終えてヨーロッパに戻ってきたこのあたりは大型のアップデート部品を投入することが多く今後のシーズンを見る上で重要とされていますが、今年もヨーロッパ初戦ではないもののやはりそれなりに重要なレースになりました。
 本来なら2週間前のイモラがヨーロッパ初戦でアップデートのタイミングでしたが洪水の影響で中止。モナコは特殊な低速サーキットで役に立つデータがあまり集まらないので、本来なら2週間前に最低限の実戦評価ができるはずだった部品はここでようやく実力を見ることができます。
 他方で開催地であるカタロニア サーキットにも今回は変更がありました。これまでも何度かレイアウトをが変更されており、2004年にはターン10が鋭角なV字のコーナーに、2007年には最終区間にシケインを追加。ところが2021年にターン10をほぼ旧来の大きな弧を描いた形状に再び更新すると、今年は最終区間のシケインを使用しないレイアウトになって、結局のところ2003年以前にほとんど戻りました。

 元々「追い抜きが少ないのは最終コーナーでダウンフォースが抜けて前についていけないからだ。低速にしよう」とシケインを設置したわけですが、じゃあ追い抜きが増えたかというと全然増えた気がしませんでしたからね。昨年から地面効果を積極活用した車になって、お題目としては前の車に近寄りやすくなったので「この車であれば最終コーナーが高速でもちゃんとついていけるだろう」という見積もりもあると思います。

 グランツーリスモ7に収録されているコースは2020年以前のもので、もっといえばコースの再舗装が行わる前のアスファルトがだいぶ白くなった時代だと思いますが、シケインなしレイアウトは収録されているのでそこは使うことができます。昔 F1 2004で遊んだときはシケインなんてなかったのでこのレイアウトを知っているはずなんですが、いざGT7で遊んだらなんか条件反射でシケインのところでブレーキを踏んでしまい慣れるまで苦戦しましたw
 ちなみにターン10もトラックリミットを無視したら一応V字のコーナーの奥にほぼ現行レイアウトに近いターン10はあるので、ロビーでみんなで遊ぶ分には一応現行レイアウトっぽいものでレースを行うことはできます、最初の周だけパイロンを吹っ飛ばす必要がありますけど。

・予選

 予選開始前になって急に雨がぱらついたのでQ1はみんな大慌てでコースへ。大慌てすぎてあっちこっちで飛び出すわ回るわのとっちらかった末に赤旗になってしまいました。赤旗中に大雨になることはなかったので再開後に各車が再度アタック。ただ一部にズラが落ちていたようで暴れる車もあり、結果としてシャルル ルクレールがまさかのQ1落ち。チームが何かやらかしたわけでもないのに落ちたのはかなりの衝撃でした。
 さらにQ2ではセルヒオ ペレスも脱落し、メルセデスは連携不足からストレート上でルイス ハミルトンがジョージ ラッセルに接触。ラッセルはQ2落ちするわ、ハミルトンはウイング壊すわで波乱だらけになりました。後方確認不十分のラッセルはご注意を受けましたがペナルティーは免れました。
ハミ「何で寄せてくんねん!」
ジョージ「え、おったん!?」
みたいな状態

 唯一波乱が起きないのはマックス フェルスタッペンだけで、もはや一人だけ別次元という感じでピレリ ポール ポジションを獲得。1回目のアタックで記録したタイムでもう誰も抜けそうになく、2回目は途中でやめてしまいました。
 2位からカルロス サインツ、ランド ノリス、ピエール ガスリーの順でしたが、ガスリーはQ1とQ2で2回もアタック妨害をやらかしてしまい、3×2で6グリッド降格のペナルティー。Q1でフェルスタッペンの邪魔になった際には、後ろで見ていたフェルナンド アロンソが
「フェルスタッペンに対して、アウト ラップのアルピーヌがすんごい妨害だな。ひどいわこれ、えーっと、ターン4だな、これは3グリッドだろう。」
とうとう走りながら審判までやるようになったんでしょうか(っ ◠‿◠ c)

 というわけでガスリーは10位に繰り下がり、ハミルトン、ランス ストロール、エステバン オコンが予選順位から1つずつ繰り上がって4〜6位スタートになりました。Q3に1セットの新品しかなかったアロンソは一発勝負で珍しく少しミスって8位からのスタートです。やっぱり審判との二刀流は難易度が高いですねえ(え)

・決勝

 フェルスタッペンはミディアム、サインツ以下の多くはソフトを選択してのスタート。出足で一発狙ったサインツですがターン1でフェルスタッペンには届かず。アロンソがターン2で少し窮屈になって詰まったせいもあり、3位を争うハミルトンとノリスがターン2で軽く接触、ノリスは翼端板を失いました。ノリスはこのレース17位でした。
 ハミルトンの方は損傷は無さそうでしたが、タイヤに熱が入り切っていないのかターン5で簡単にストロールに抜かれてしまい4位へ後退。もしホンダPUを搭載するときにダメダメなおぼっちゃんエースでは困るので、ストロールの動向はきっと日本のファンも気になる、いや、むしろ今のうちにクビになってくれることを期待してる人もいる、のか?^^;


 そうそうストロールに負けていられないハミルトンは8周目にDRSを使って抜き返し3位に戻り、2秒前方のサインツを追跡。サインツはもうフェルスタッペンの4秒後方でとりあえず優勝争いは何も考えなくてよさそうです。サインツはタイヤ管理がパッド勢かと思うぐらい厳しいときが多いですが、今日は2位を守れるでしょうか。

 中団では10周もしないうちにピットに入ってソフトからハードに繋ぐ人が出てきましたが上位勢はもう一息の我慢。14周目にやはりハミルトンがサインツの1秒以内に入って追い詰めます。サインツは抜かれる前に15周目でピットに呼ばれてソフトからミディアムへ交換しますが、作戦に不満があるようで「何で?」と不満そう。モナコをまだ根に持ってる可能性が^^;

 21周目、まだピットに一度も入っていないのはフェルスタッペン、ハミルトン、ラッセル、ペレスの4人。4位のラッセルはタイヤの状態が良いので1ストップで行くことを提案します。そういえばメルセデスがチーム内でタイトルを争っていた時期は、タイヤの使用順序やタイミングを変えて争うことは許されても、ピット回数自体を変えるというのは原則として認められていなかったなあ、とか急に思い出しました。
 24周目、ハミルトンがピットに入ってミディアムへ交換。当然さっき争っていたサインツよりも後ろでの合流となりますが、他に邪魔になるものはない状況なのでサインツを自分のペースで追いかけます。続く25周目にラッセルも入り、こちらもミディアムに繋ぎました。さっきの1ストップの話はどうやらボツになった模様。

 27周目にはフェルスタッペンも堅実にピットへ。ハードに繋いだので作戦的にどう転んでも安心です。と思ったら28周目にラッセルが「ターン5で雨だ」といきなりのお知らせ、先週のモナコでも最初に雨を教えてくれたのはラッセルでしたね。前日の予選も思いがけずいきなり降ってきたのでまたか、と思われましたが、どうもこの後の無線で『ラッセル自身の汗かもしれない』というおもしろ無線交信がかわされることになります。人騒がせw
 そのころハミルトンは自力であっさりサインツを抜いて2位へ復帰、サインツはメルセデス勢にペースで太刀打ちできず、この後ラッセルにも35周目に抜かれます。サインツはやっぱり車内でデュアルセンスを操作して運転してるのかもしれません、どうやってもタイヤ摩耗が酷くてレースで負ける気持ち、私にはよく分かるぞ(謎)

 この後順次2回目のタイヤ交換へと移っていき、後方から追い上げてきているぺレスにはなんとか抜かれたくないと思っていたサインツでしたが、やっぱりタイヤがもたずに54周目に残念ながら抜かれて5位へ。一方ペレスはさらに8秒前方にいるラッセルを抜いて表彰台へ戻るべくすっ飛ばします。
 レース終盤、入賞圏の8位以降をオコン、角田 祐樹、周 冠宇、ガスリーの4台が争っていましたが、56周目のターン1でそとからジョウが仕掛けると、角田は内側のブロック ラインから少し外へ膨らんでしまい、ジョウは接触回避でコース外へ退避。これに対して角田に5秒加算の裁定が下ってしまいました。レース後も物議を醸すことになります。
 一方、2位と18秒以上も差があるフェルスタッペンですが、そんなに差があるのに積み重なったトラック リミット違反が3回になってエンジニアから怒られます。でも全然気にしていないようで懲りずに現在のファステストを聞き出して狙う構え。正直これだけ差があったら5秒加算ぐらい関係ないんですが、万一残り3周とかでSCが導入されるような事態が起きた場合、2位に5秒差を付けてゴールすることが不可能になるのでやっぱり余計な罰則はもらわないに限ります。
 で、次にやらかしたら5秒ペナルティーなのでファステストは狙わないように釘を刺されたはずですが、フェルスタッペンはやっぱり言うことを聞かずに軽々とファステスト更新。ちゃんと車を持って帰れ、と注意されるもののチームもまあ諦めてるでしょうw 一方のペレスはタイヤを潰さないように温存しつつ距離を詰めて最後にドカンと行くことを考えましたが、ラッセルも頑張っているので追いつきません。

 そのままレースは決着を迎え、フェルスタッペンはハミルトンに24秒の大差を付けて今季5度目の優勝、通算40勝目。ポール、ファステスト、そして全周リードだったのでグランドスラムも達成し、こちらは自身3度目です。


 ハミルトンが2位、ラッセルが3位とメルセデスが残る2つの表彰台を手にしてコンストラクターズ選手権でアストン マーティンをかわし2位へ浮上。メルセデスは2022年に新たに投入した異形のデザイン、いわゆる『ゼロ ポッド』の形状をモナコからとうとう諦めて新しい形状へと設計思想を転換したようですが、ひとまず大外れせず決勝をまとめられたのは好材料と言えそうです。
 ぺレス、サインツ、ストロール、アロンソという順位となり、アロンソは母国で7位とこれまでのレースからするとやや期待が外れた形に。レースの終盤は新しいタイヤでストロールを追っていましたが、自ら抜かないことを無線で明確に示してそのままの順位で帰ってきました。元々AMR 23はダウンフォースが大きい一方で抵抗も大きいので、空力効率が重要なこのコースではやや部が悪かった可能性があるかもしれません。レース後は「これが表彰台に乗らない最後のレースだ」なんて冗談言ってたそうです。
 フェラーリも大型のアップデートを投入しましたが、サインツが5位、ルクレールは予選の失敗を取り戻せず11位と厳しい結果。ただ、アップデートは中低速域での安定性改善を主眼に据えているためにカタロニアではあまり効果が見えないものだった可能性があるそうです。予選重視で軽めのウイングを装備したこともタイヤ摩耗の早さに影響したそうで、ここはとりあえず様子を見てみることにしましょう、ルクレールはちょっと不安みたいですけど^^;


 レース後は角田のペナルティーに関して日本人のみならず議論があったようですが、事後情報として驚くべきは、角田にはこの件が審議になったことも、5秒のペナルティーが課されたこともレース中は知らされていなかった、ということでした。1年目から何度か似たようなことが起きてますけど、チームのやり方に問題があるのか、角田がすぐ無線で怒るから周囲の人が言うのを怖がってできるだけ話しかけない雰囲気になってしまっているのか、いずれにしても絶対に改善が必要な問題だと思います。
 接触そのものに関しては、原則論で言えば角田は相手に空間を残せず、ジョウに対して「避けるか、ぶつかるか」の2択しか与えない状況になっていたのでペナルティーが課せられるのは仕方ないと思います。ただ、これまでの運用としてこんなに厳しく違反を取っていたかな?というのも感じます。
 『”駐車違反してるのは俺だけじゃないのにどうして俺だけ摘発されるんだ”は通じない』と言われたらそれまでなのかもしれませんが、取るなら取るで全部ちゃんと取らないと競技としては成立しないわけで、個人的には『違反と判定される行為であったこと』については妥当だと思いますが、『違反と判定したこと』についてはうーん、という印象でした。この違い、伝わります?
 時々方針が変わって、ある時期は厳しく取り、ある時期は「ドライバーにレースをさせろ」と言って急に大甘になったりして、揺り戻しで振れることがちょっと多いように見えます。個人的には『厳しくしたらレースできない』なんてことはなくて、制約があればF1ほどのドライバーはその中で必ず戦う術を見せると思いますし、大甘判定で押し出したもん勝ちは将来F1を目指す若者にとって悪い見本でしかなく、下手すれば下部カテゴリーで重大事故を増やす遠因にすらなりかねないので、世界一の戦いぐらい厳しくて良いと思っています。
 2021年のハミルトンとフェルスタッペンの争いは正直もっと厳しく取って歯止めをかけるべきだったのに、ぶつかるぐらい争ってくれた方が盛り上がるから放っておいた、と言われても仕方ない気がしますし、あそこまで行くと競技ではなく本当に殺伐とした喧嘩に近いので見ていて気分の良いものではなかったです。厳しい判定をまず前提にしたうえで、罰則も現行の体系で都合が合わないところがあれば適宜見直す、というのが良いと思うんですけどね。


 正直、角田は追い出してしまった後でジョウに順位を返してしまえばこれ以上の審議や罰則は行われずに10位で入賞できた可能性がありましたから、罰則の是非や角田の実力の話云々とは別問題として、チーム側のレースのやり方として最大限入賞のためにどうすべきか、という部分で仕事を果たせていないように感じました。
 角田は追い出してしまった点はミスといえばミスですが、全く止まれていないわけでもなく車半分ぐらいの駆け引きでしたからそういうことも起こる、という段階の出来事です。最初からラインなんて残す気がないような走りとは全く違うことぐらい素人でも見れば分かるので、罰則を受けるべき事案かどうか、という話と、技量としてどうか、という話もまた切り離して考えるべきだと思います。
 あそこまでよく9位で走ってましたし、しいて言えばあそこで9位を守るべきか、リスクは負わず10位を確保することを最優先にジョウ相手には無理して粘りすぎないようにとどめるべきか、というところまで踏まえてチーム全体のレース管理を洗練する必要があるとは思いました。
 中には「ジョウは接触してもいないのに曲がり切れずにさっさと逃げて文句を言っただけだ」と言う人もいるでしょうが、あともう少し粘って並走してたら黄色いペイント部分に入ってターン2の切り返しになり、下手したら2台とも絡んで終わってます。あの段階で危ないと判断できるのも立派な能力です。
 そういう意見があること自体は別に構わないですが、もしこの関係が逆で角田が外へ逃げてジョウにペナルティーが何も出なかったとしても「そもそも争えても無い角田が騒いだだけ」と同じ意見を言えるのか、ということは考えないといけません。「そらそうよ、そんなん当たり前やん、誰であろうとこれは外が悪いに決まってるよ」と思えるならそれはそれで1つの意見だと思います。

 次戦は間を1週間空けてカナダ、その後も1週間空くので現場の皆さんは少しだけ体が楽かもしれない期間です。やがて地獄の連戦祭りが待ってますからね。。。

コメント

首跡 さんの投稿…
レッドブルがずば抜けて速いですね。
フェルスタッペンが言ったように、いつかは計画通りに物事が運ばないレースもあるはずなので楽ではないと思いますが、私としてはこの調子でどんどん勝って単一チームが全戦全勝するところを見てみたいです。
SCfromLA さんの投稿…
>首跡さん

 圧倒的に速い時でも年に1~2回なんだかよく分からない最悪のレースが起きるのがF1の歴史なので、今年は果たしてどうなるかですね。ハンガリーあたりが案外落とし穴になったりして^^;