NASCAR Cup Series
殴り合うチャステインとグレッグソンでした。レース中盤に3ワイドの真ん中にいたチャステインが少しタイトになり、外側にいたグレッグソンが外へ追い出される形で壁に接触、これが結局その後のスピンに繋がったのでキレてしまいました。グレッグソンはチャステインのもとを訪れて口論から胸ぐらを掴みましたが、まさかの強烈な右フックが飛んできて、ここで周囲の人に引きはがされました。
レースに話を戻すと、37回のリード チェンジはNASCAR史上1.5マイルでの400マイルレースとしては史上最多記録でした。リスタートの攻防、サイドドラフト、ライン取り、単独スピンにピットのミスにクラッシュにラスト ラップ パスに乱闘と1.5マイルの見どころ全部盛りな感じで非常に見ごたえがあって面白かったです。
AdventHealth 400
Kansas Speedway 1.5miles×267Laps(80/85/102)=400.5miles
winner:Denny Hamlin(Joe Gibbs Racing/FedEX Express Toyota Camry TRD)
開催地の多角化とアトランタの疑似直線化で"普通の"1.5マイル オーバルがかなり減ってしまったNASCAR、今週は第3戦ラスベガス以来久々となる普通の1.5マイル・カンザスです。昨年のカンザスは春がカート ブッシュ、秋はバッバ ウォーレスといずれも23XIレーシングのNo.45が勝利、2016年以降の14戦でトヨタ カムリは8勝していて好相性の雰囲気があるトラックです。
・レース前の話題
そんなトヨタは5月2日、来季からレガシー モーター クラブと契約したことを明らかにしました。以前からもう2台ほど増やしたい意向を示していたので、あるとしたらレガシーMCかJTD ドアティーかどっちかだろうなと思っていましたが、2024年からはレガシーMCの2台の車が陣営に加わります。
レガシーMCの共同オーナーであるジミー ジョンソンががっつりシボレー色のドライバーなのでここが気になる点かなと思っていたんですが、大丈夫だったみたいですね。発表された声明でTRDの社長・デイビッド ウィルソンは「旧友のエリック ジョーンズ、ノア グレッグソンと再会できることも楽しみにしている」と語り、「トヨタのレガシーには2人のドライバーも含まれる」と書いてあるので、両名とも2024年の契約は不明なんですが、事実上の残留決定という解釈で良さそうです。
トヨタへの転向といえはファニチャー ロウ レーシングもリバイン ファミリー レーシングも速さを手に入れた一方で数年で資金難に直面してチームが潰れてしまった若干の地雷案件。ただ、おそらく当時はジョー ギブス レーシングから車両を供給してもらうためのお金が必要でしたが、Gen7車両の仕組みとレガシーMCの体制からすると自社メンテナンスで行けると思うので、極端に財政負担が増えることはないだろう、と思いたいですw
そのトヨタ陣営、先週のドーバーで優勝したマーティン トゥルーエックス ジュニアはここ数年引き際を探っている様子で、2023年も単年での契約延長でした。単年にした=今年こそ最後では?とも言われる中で優勝したため、さっそく現地メディアは来季に向けてどうなるのか騒がしくなっているようです。チーム側は残留希望のようなので、彼の気持ちと金額次第といったところでしょうか。
一方契約と言えば、今季ヘンドリック モータースポーツの貴重な代走として機能しているジョッシュ ベリーがKHIマネージメントとマネージメント契約を結んだことが明らかに。KHIはケビン ハービックが手掛けている会社なので、ひょっとしてハービックの後釜にベリーが入るのでは?という憶測を呼んでいます。
また、コディー ウェアーが出場停止になっているリック ウェアー レーシングは今週もブレナン プールとJ.J.イェリーの2人での参加ですが、次戦のダーリントン以降のいくつかのレースに、なんとライアン ニューマンを起用することを発表しています。ブラッド ケゼロウスキーに押し出されてシートを失ったニューマン、1年ぐらいのブランクならまあ問題ないでしょう、どうせチーム力が低いから遅くても何が悪いか分からんしw
・ARCA Menards Series Dawn 150
今週はエクスフィニティ― シリーズがお休み、ARCAの第4戦が開催されておりジェシー ラブが100周のうち96周をリード。クラフツマン トラック シリーズではチームメイトであるディーン トンプソン、テイラー グレイの2人を退けて、前戦タラデガに続く2連勝となりました。
土曜日のお昼に練習と予選、夜に決勝と忙しいトラックの第8戦、134周の決勝はこのうち65周をリードしたグラント エンフィンガーが今季初勝利、通算8勝目を挙げました。トラックシリーズはこれで8戦して7人の勝者が誕生しています。うち2人はプレイオフ対象外のジョーイ ロガーノとカイル ブッシュですけどね。
・予選
カップ シリーズの予選はウイリアム バイロンが今季2度目のブッシュ ライト ポール賞。カイル ラーソン、ロス チャステインが続き、4位にトゥルーエックス、5位にNo.45を引き継いだタイラー レディック。もし同一カー ナンバーの車両が、同一トラックで3戦連続異なるドライバーによって優勝すると、史上初の珍事です。
・ステージ1
スタートから異変の連続。3周目のターン2でバイロンが滑って壁に当ててしまいあっさりとリードを手放すと、ここからラーソン、チャステイン、レディックの3台が序盤とは思えない激しい争いを展開。ところが5周目のターン4出口で距離を詰めすぎたレディックがラーソンをほんの少し引っかけてしまい、ラーソンがスピンしてコーションとなりました。
11周目のリスタートからはレディックがリード、他のカムリも全員が8位以内でJGR/23XIは好調の様子です。特にトゥルーエックスとハムリンが好調のようで、28周目~29周目にこの2人がレディックをかわしてワンツーとなりました。37周目には一時的に上位6台が全てトヨタになります( ゚Д゚)
このあたりでステージは折り返しが近づいてきたのでピット サイクル。ここでハムリンがトゥルーエックスをあっさりとアンダーカットし、MTJからは「何で引っ張ったんだ」と先週と全く同じ不満の声。この後49周目に一旦ハムリンを抜いたものの、ロング ランではハムリンに分があるようで72周目にハムリンがリードを奪い返しステージ1を制しました。今季2度目。
トゥルーエックス、タイ ギブス、レディック、ダニエル スアレス、クリストファー ベル、ウォーレスの順となり、トヨタの独占をスアレスが阻止した形になりました。ポールシッターだったバイロンはピットの際に速度違反があった上に、壁にぶつけた影響かステージ終盤にもう一度タイヤを換える事態にも見舞われてなんと2周遅れになってしまいました。
・ステージ2
デニーvsMTJ第2ラウンド、リスタートから1周半ほど争った末に一旦トゥルーエックスが先行しますが、やはり距離を重ねるとハムリンに分があって98周目にはハムリンがリードを奪い返しそのまま単独走行になりました。このままだとハムリン無双になりそうですが、108周目にオースティン シンドリックがフロントストレッチでパンクでも起きたかクラッシュしてコーション。
リード ラップ車両がピットに入ると、さっきは3位、4位だったウォーレスとチャステインが1位、2位に浮上。トゥルーエックスは右のウエッジをかなりいじって3位、ハムリンは車の停止位置が悪くて左側の作業を手間取らせてしまい、6位まで落っこちて114周目にリスタートされました。
チャステインはリプレイ検証が必要なほど早い出だしだったもののその先でうまく行かずリーダーはウォーレス、これに付いて行ったトゥルーエックスが2位。4周後にはトゥルーエックスがウォーレスもかわしてリーダーとなります。この後序盤のスピンから盛り返してきたラーソンが2位となって少しずつトゥルーエックスに迫っていましたが、138周目にエリック アルミローラが単独スピンしたため4回目のコーション。
リードラップ車両がピットに入ると、ここでラーソンが悠々と先頭でピットを出ました。一方ギブス君はタイヤがきちんと装着されていなかったようで、ピット出口まで行ったのにバックして締めなおし、すこーしずつトヨタの牙城が崩れていますね^^;
144周目にリスタートしますが、久々の1.5マイルでみんなはっちゃけてるのか4周後に連鎖的な接触で最終的にベリーとジョーンズがスピンしてコーション。これでバイロンはフリー パスを得てリードラップに復帰することに成功、ルディー フューグルは「リードラップに戻れたら余裕でトップ10まで行けるぞ」と激励していたようです。
次のランもリスタートから4周後に8位を走っていたベルがバックストレッチでスピンしてコーション連発。ベルの前でチャステインがミスってスロットルを戻し、ベルは距離感を誤ってここに自分から軽く当たってスピンしました、チャステインが絡むと全部彼のせい、みたいになり始めてますけどこれはチャステイン悪くないですね・・・ベルは本日のリタイア第1号、カムリ1台撃沈。
これでどうせもうすぐステージ2終了なので勝利を狙う上位勢はピットへ。ステージ ポイントが欲しい9台がステイアウト、ライアン プリースだけ2輪交換、という状況でステージ残り3周のリスタートとなりますが、今回はバックストレッチでカイルがスピン。プリースに後ろを引っかけられたことが最終的な原因ですが、そこに至る過程がもう誰が悪いとも言えない連鎖的な出来事でした。カイルがリタイアで元カムリ乗りも撃沈。
ステージ2はこれで順位が確定し、ステイアウト大成功という形でロガーノがステージ2の勝者となり、車の色が似ていて困るマイケル マクダウルが2位、グレッグソン、ジョーンズ、A.J.アルメンディンガーのトップ5でした。
ラーソンとハムリンの1列目で始まった最終ステージ、各所で激しい争いが起きる中、コーション続きの展開で8位まで下がってしまったトゥルーエックスがギブスと争っていましたが、179周目のターン2で僅かに接触、姿勢を乱したギブスがルースになってスピン。
壁には軽く当たっただけですんだギブスでしたが、急いでピットに戻ろうとしたのが仇になってタイヤがど派手にパンク。右前のフェンダーを大破させたギブスは気持ちが切れたようにピット内でボックスへ向かえず芝生に突っ込んで自走不能になり、レッカー車のお世話になりました。カムリが1台また1台と消えていきます。。。
ここは上位勢はステイアウト、トゥルーエックスは色々計画が狂ったのであえてピットに入って4輪交換とウエッジアジャスト。今季は肌寒いレースが多かったけど、今日は気温が高くて車内温度も暑いですよ、というジャスティン ヘイリーの車載映像ですが
アメリカの温度の単位は℉=ファーレンハイトなのに、スポンサーがCELSIUS。セルシウス=℃なので話がややこしくてちょっとしたネタになりました。ちなみに112℉=44℃ですね、温度計を託す相手を間違えたなw
残り84周でリスタート、ここまであんまり存在感の無かったチェイス エリオットがハムリンをかわして2位となると、2周後にはラーソンも捉えてここに来て新たなリーダー誕生。しかしこのランも長続きせず、191周目にハリソン バートンが単独スピンしてコーションです。
これで大半の車はピットに入りますが、さっきタイヤを換えたばかりのトゥルーエックスは逆張りでステイアウト。196周目にリスタートしてとりあえずリードを確保しましたが、タイヤの新しいラーソンに簡単に捕まってしまい、204周目にラーソンがリーダーに戻ります。このランもまた短命で、207周目にグレッグソンが単独スピンして10回目のコーション。
リードラップ車両の多くがピットへ、ラーソンの先頭は変わりませんが、2位でピットを出たのは2周遅れから帰ってきたバイロン。そして重要な点として、ドライバーによっては新品タイヤの在庫が無くなっており、次にコーションが出た際に中古しか残っていません。トゥルーエックス陣営はこれを見越して中古をここで投入、普通にやっても勝てる見込みが少なくなってきたので、あえて新品を温存しました。
4台がステイアウトし残り56周でリスタート、どうも国際映像が誤って別のカメラ映像を選択してしまっているようでリーダー争いが全く映らないですがバイロンがリードを奪ってとうとう2周遅れからリーダーに戻ってきましたが、3周後にアルミローラと軽~く接触したジョーンズが本日2度目のスピンでコーション、来季からトヨタになるレガシーMCの2人も今日はトラブル多いですね。
ここは大して走ってないのでみんなステイアウトし残り47周でリスタート。ハムリンに押してもらったおかげでラーソンがリーダー。ここはラーソン、バイロン、ハムリンが早い段階で1列にまとまり、まだ40周以上あるのでロングランを見据えた一時休戦という感じになりました。
この中で動きを見せたのはハムリンで、残り26周でバイロンをかわしてラーソンに少しずつ接近。すると残り14周、ラーソンは周回遅れが出てきて影響を受けたかターン2で完全にミスってしまい、0.7秒あったリードが消し飛んでここからハムリンと接近戦になってしまいました。
残り5周、周回遅れに詰まった上にややルースになってきたラーソンの真横にハムリンが並んでドア トゥー ドアになりますが、ラーソンはここをしのいで最終周へ。大外ラインを選ぶラーソンに対してハムリンはギリギリまで斜め後ろに付けてダウンフォースを奪う作戦。これでラーソンは僅かにルースになってターン2の出口で壁に軽くこすり、失速したところにハムリンが軽く接触。これでラーソンは再度壁に当たって万事休す。
ハムリンがトップでチェッカーを受けて今季初勝利。昨年のシャーロット600を最後に勝っていないのでほぼ1年ぶりでカンザスで通算4度目の優勝でした。2位からラーソン、バイロン、ウォーレス、チャステインのトップ5。勝負手が決まらなかったトゥルーエックスが8位、レディックは9位と生き残ったカムリは全員9位以内に入りました。
レース後、2位のラーソンは車を降りるとそれなりにさばさばしてインタビューを受けていましたが、その最中に場内映像に映し出されたのは
スイカパンチ! |
殴り合うチャステインとグレッグソンでした。レース中盤に3ワイドの真ん中にいたチャステインが少しタイトになり、外側にいたグレッグソンが外へ追い出される形で壁に接触、これが結局その後のスピンに繋がったのでキレてしまいました。グレッグソンはチャステインのもとを訪れて口論から胸ぐらを掴みましたが、まさかの強烈な右フックが飛んできて、ここで周囲の人に引きはがされました。
ただ、あれはチャステインが完全にラインを潰したというわけでもなく普通のレースの範囲に見えました。グレッグソンといえば昨年のエクスフィニティ―・ロード アメリカのレースでセイジ カラムに報復し、あろうことか合計13台が巻き込まれる多重事故の引き金を引いて処分を受けたのは記憶に新しいところ、ちょっと悪い癖が出た感じはありますね。
だから反撃して思いっきり顔面にパンチを食らわせて良いもんじゃないですけど、とりあえず個人的にチャステインが手を出してちょっとマズかったんじゃないかと気になるのは、このレースの大会スポンサーが自身のスポンサーであるアドベント ヘルスだったこと。医療施設の看板背負った人が殴り合いがマズい気がw
NASCAR的にはどっちもどっちだったのか、車を使った危険行為ではないからか、特にこの乱闘にはお咎めはありませんでした。
レースに話を戻すと、37回のリード チェンジはNASCAR史上1.5マイルでの400マイルレースとしては史上最多記録でした。リスタートの攻防、サイドドラフト、ライン取り、単独スピンにピットのミスにクラッシュにラスト ラップ パスに乱闘と1.5マイルの見どころ全部盛りな感じで非常に見ごたえがあって面白かったです。
その中でも練習走行でロングランが良かったハムリンが決勝も同様に速くて、これだけ色々ありながら最後はその良さを活かして勝ったんだから、結果にも誰も文句は無いでしょう。最後はラーソンと絡みましたけど、ラーソンが姿勢を乱して失速した時点で相撲で言うところの死に体でしたから、引っかかったのはしょうがない出来事だったように思いました。こういう熱いレースを見ると1.5マイルイベントにもうちょっと戻ってもらいたなあと思いますね。
次戦はスロウバック ウイークエンドのダーリントン、今回も細かすぎて伝わらないものや自分の父親、ニューマンにいたっては2002年の自分のMobil1スキームを強引に再現するみたいですw
コメント
ラーソンのフラストレーションが爆発しないか心配です😅😅😅
レースは最高でしたね Hamlinやりやがった!からの乱闘wwww GragsonとChastainがシーズン前からの期待通り過ぎるwwww
ラーソンは結果はそこそこ出てるのに、もっと勝ってるはずなのに、という思いもあるだけに内心どう思ってるのかはけっこう気になりますね~。それでもチャンピオンのゆとりみたいなものは感じます。
これからシボレーでルマンに出る人がオーナーとしてトヨタ行き、ってのがなんかまだ本当なのか疑ってしまう自分がいますw
ハムリンは2018年に勝ってれば今年で18年連続優勝だったのにプッツリ途切れてるし、タイトルは届かないし、いろいろとなんか惜しいものが多いので結局最後までこのキャラかなあという気がどうしてもしてしまいますね^^;
スイカ投げはコース上で。。。。。
私のイメージも悪くなってしまいますわよぉ。。
スイカ畑でアタマ冷やしてチャンピオン取ってくれよー!!
安心してください、取っ組み合いでインタビュー中のラーソンも放送席もなぜか笑ってしまってバカうけでしたから(笑)
と言うわけで、かなりディレイドコメントですが、見応えのあるレースでしたね!序盤からやりあって、競り合いもコーションもパンチもたっぷりのレースでした。
最後は、ハムリン、やりやがった!って思いましたが、あれは仕方ないですよね、、、
今年は公式さんの動画アップロードが遅いことも多いので、私もけっこう次のレース開催までの期日が迫ってることが多いです^^;
今回みたいなレースができるとF1見てる若者も興味を持ってくれるかもしれないので、毎回は無理でしょうけどこういうレースを見たいですよね~