F1 第5戦 アメリカ(マイアミ)

Formula1 Cripto.com Miami Grand Prix
Miami International Autodrome 5.412km×57Laps=308.326km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB19-Honda RBPT)

 NASCAR Cup Series・AdventHealth 400の裏番組、F1の第5戦マイアミです。気づいたらF1は第2戦からジェッダ、メルボルン、バクー、マイアミと公道系のレースがこれで4戦連続ですね。去年のマイアミはあんまり覚えて無いんですが、バルテリ ボッタスがルイス ハミルトンをずっと抑え込んでたのに最後の最後にミスったことだけやたら覚えていますw

・予選

 走れば走るほどラバーが乗るのでセッション終了まで当落線が読めない予選。メルセデスがなんかタイムを伸ばせずハミルトンがあっけなくQ2で敗退、13位からのスタートになります。
 Q3・1回目のアタックでマックス フェルスタッペンはターン5の出口で軽く滑ったのを起点にラインがズレてアタックをやめてしまいますが、これが後に致命傷に。各車が2回目のアタックに入ったところでシャルル ルクレールが攻めすぎてターン6の縁石を跨ぎすぎてしまい、底打ちしてスピンしクラッシュ。赤旗で予選が終わってしまいました。この部分、高速のS字区間ですが追い風なので気を付けないといけませんでした。


 結果、1回目のアタックで最速だったセルヒオ ペレスがピレリ ポール ポジションを獲得、フェルナンド アロンソが2位となってサウジアラビアと同じ並びになります。3位にカルロス サインツ、4位はなんとケビン マグヌッセン。事故ったルクレールは7位、フェルスタッペンはタイム無しで9位でした。

・決勝

 この週末の観衆が27万人と発表された決勝。4月末に急に決まった決勝の開始手順10分繰り上げは絶対これのためだろ、というアメリカ的ドライバー紹介の演出を挟んだ長い長い前振りを経てスタートへ。多くはミディアムを選択しますが、埋まってしまったフェルスタッペンはハードを選択。ソフトは役に立たなさそうなので今日も1ストップ予想のレースです。
 スタートからマグヌッセンは3つ順位を下げてしまい、1周目はペレス、アロンソ、サインツ、ピエール ガスリー、ジョージ ラッセルのトップ5。そうだ、去年ガスリーがきっかけで多重事故になったんだ、思い出してきたぞw
 3周目、マグヌッセンがルクレールと抜きつ抜かれつの6位争いを繰り広げていましたが、2台で遅くなった隙を衝いてフェルスタッペンが2台を同時抜きすることに成功。この後も8周目にラッセル、9周目にガスリーを抜いてもう4位。ペレスからまだ4.6秒しか離されてないし、あっという間に優勝争いに加わりそうだぞ^^;


 さらに14周目にはサインツも一発でかわしてしまうと、そのすぐ前にいたアロンソも翌周に抜いてしまい早くも2位、ペレスとは3.7秒差。アロンソはレース前「フェルスタッペンは何周目にミラーに映ると思うか?」と聞かれて「25周目」と予想したそうですが、異世界おじさんの予想をも凌ぐ追い上げです。

 ミディアム勢はスロー映像でなくても前輪にグレイニングが見える人が増えてきて17周目あたりからピット サイクル、ペレスも20周目に入りました。ハードのフェルスタッペンはこれで前が開けて、走れるだけ走って運が良ければVSCでも拾いたい展開。
 ミディアム勢ではアロンソが最も長く24周目まで引っ張ってピットへ。先に動いているサインツにアンダーカットされるのは目に見えていたので違う組み立てにしたと思われますが、そのサインツはピットの入り口でブレーキを詰めすぎた結果速度違反をやらかしてしまい5秒加算のペナルティー。これならサインツを視界の範囲に入れておけばレース後に勝手に逆転できるので非常にお得な展開となりました。
 ところがアロンソにはそんなもの不要だったらしく、タイヤを換えたらすぐにサインツに追いついて27周目に自力で順位を取り返しました。サインツはかなり手前でスロットルを戻していたので、リフト&コーストがそこそこ必要で燃料があんまり楽じゃないのかもしれません。


 33周目、作戦が違うメルセデスの2人、ハードでまだ引っ張っているハミルトンに対してラッセルを抑えないように指示が出ると、ハミルトンは「俺は戻さないけど抜いていけよ」となんか冷たい感じの返事をしつつもターン12でがっつり内側を開けて道を譲ってくれました。ツンデレハミルトンさんに対してラッセルは「ありがとうございます。御礼申し上げます」とものすごくイギリス紳士の対応、よく走りながらそんなに丁寧にしゃべれるもんだw
 
 レッド ブル同士のリーダー争い、ハードでまだ引っ張っているフェルスタッペンとペレスの差は16秒弱で推移を続けていましたが、38周目あたりからペレスが少し離されてしまい徐々にオーバーカットが可能な20秒差が見えてきます。仮にオーバーカットできなくても新品のミディアムですぐに追いつければコース上で逆転可能。ピットに入るとだいたい20秒失います。

 45周目、ペレスに18.3秒ほどの差をつけてフェルスタッペンはとうとうピットへ、ペレスの1.5秒後方でコースに復帰します。国際映像に出て来る平均ロス17秒とは一体何なのかと計算根拠を教えていただきたいところですが、それはさておきすぐに1秒以内に入りました。さすがに抜かれたくないのでペレスもブロックしますが、フェルスタッペンは全然慌てた様子が無くて48周目のターン1でペレスを攻略。9位スタートから48周かけて指定席に戻ってきました。

 その後は特に大きな出来事も無く、フェルスタッペンは最終的にペレスを5秒近く引き離しての優勝。今季3勝目、通算38勝目ですが、9位からスタートしての優勝は初めて。9位からの優勝は比較的珍しく、F1史上でも5人目で1984年フランスでのニキ ラウダ以来の出来事でした。レッドブルは昨年5度のワンツーがありましたが、これで今年は5戦で早くも4度目。
 3位に入ったアロンソも早くも今季4度目の表彰台。ドライバー選手権でも3位を堅持しています。レッドブルに何かあってコケたらルクレールよりもアロンソの方が優勝に近そう^^;
 4位からラッセル、サインツ、ハミルトン、ルクレールの並び。フェラーリは決勝のペースでかなり苦戦し、サインツは3位スタートから5秒加算に関係無く5位が限界。ルクレールの方は今回やたら速かったマグヌッセンとかなり長い時間争う羽目になり、13位スタートのハミルトンにひっくり返されてしまって決勝だけならメルセデスの方が上という感じでした。
 レッドブルは空力性能の良さもさることながら、PUの効率でも優っていてリフト&コーストが少なくて済んでいるのかなという印象。フェルスタッペンが序盤に抜きまくっていましたが、抜き方とするとフォーミュラE的な、相手が戻した場所でまだ戻して無いので並んだものがいくつかあったので、相手としてもどうせ節約しないといけないレースで無駄に燃料とタイヤを使って争う気が無い雰囲気でした。

 ペレスはこういうレースできっちり勝たないとチャンピオンには遠いわけですが、コースによってフェルスタッペンに比肩する時と全然そうでない時があり、比肩できる時にフェルスタッペンが後ろからスタートしないと勝てない状況。これならフェルスタッペンは全然焦る必要も無いので、それもまた無理せずに引くときは引く落ち着いたレースを生んでいる好循環ですね。

 ところで今回、昨年のマイアミに続いてほぼNASCARと時間が重なりました。アメリカ東部時間でNASCARが午後3時、F1は3時30分開始だったと思います。気になるのが視聴者数ですが、ニールセンによる調査数値でF1は平均視聴率0.9%、視聴者数164万6000人という推計(レース前の90分の事前番組を含む)。昨年の1.08%/206万6000人には及ばず低下となりましたが、それでもアメリカでのF1視聴者数としては歴代2位に該当するそうです。
 一方のNASCARは1.35%で235万2000人でした。昨年はダーリントンのレースで1.45%/261万4000人だったのでこちらも低下、同じカンザスのイベントと比較しても微減という感じでした。また予選の視聴者数ではF1が75万1000人、NASCARは50万1000人とF1が上回りました。土曜日の夜に開催されたCraftsman Truck Seriesは70万5000人ということで、トラックの決勝はF1の予選に近いぐらいの人が見ているみたいですね。
 NASCARの視聴者数はF1があってもなくても似たような数値で、F1は若年層の視聴者が圧倒的に多いことを考えると、アメリカでは両者の顧客層はあまり重複していなくて普段NASCARを見ている人はF1がある時にそっちの生放送に移ってはいない様子が読み取れます。

 さて、次戦は1週間空けてイモラでのエミリア ロマーニャGP、この後モナコ、スペインと続く3連戦です。

コメント