NASCAR 第9戦 マーティンズビル

NASCAR Cup Series
NOCO 400
Martinsville Speedway 0.526miles×400Laps(80/100/220)=210.4miles
winner:Kyle Larson(Hendrick Motorsports/HendrickCars.com Chevrolet Camaro ZL1)

 NASCAR カップ シリーズ、先週のダートブリストルに続く2戦連続の0.5マイル・マーティンズビル。昨年までの3年間は鎮痛剤のBlue-Emuがスポンサーでしたが、今年はバッテリー等を手掛けるNOCOがスポンサーになりました。春のレースは周回数が昨年から400周になりましたね。

・レース前の話題

 このレースからチェイス エリオットが復帰。3月3日にスノーボードで骨折してしまい第3戦以降は欠場が続いていましたが、およそ1か月半で戻ってきました。いきなりペダル操作が忙しいレースですのでまずは体を慣らしてもらいたいところ。
 一方、先週のレースを一身上の都合で欠場、その後女性への暴力等の疑いで逮捕・起訴されていたことが明らかになったコディー ウェアーはNASCARから無期限出場停止となっているため欠場です。どうやら家庭内暴力の様子ですが、今回はゼイン スミスが代走でNo.51に乗ることになりました。事件の詳細が分からないので何とも言えないですが、オーナーの息子がドライバーですからこの先の処遇も対応が難しそうです。
 そして、先週は6位に入ったジャスティン ヘイリー、4月11日に結婚を発表。お相手はヘイリー モッティンガーという女性だそうです。夫婦同姓を選択したらヘイリー ヘイリーさんになるのでは?とかクソどうでも良いことが頭に浮かびました。日本だと真弓 まゆみさん、みたいなことですね。

・Craftsman Truck Series Long John Silver’s 200

 クラフツマンは天候不良で開始時間が遅れ、NASCARはここで今年からオーバルでも使用が可能となった雨用タイヤを史上初めて投入しました。と言っても雨の中で走るというよりは、雨が止んだ後完全に乾ききる前にレースを開始させ、走らせつつ路面状況を回復させるイメージ。「ドライ タイヤが使えるようになったらコンペティション コーション出すからそれまではレインで走ってや」ということで28周目までレインで走行。直線ではうっすらと水しぶきを上げつつ尾灯を点滅させながらストック カーがオーバルを走るお宝映像となりました。

 コンプコーションも特例でピットは非競争、スリックへの交換を経てレースは再開されますが、ステージ1終了後にまた雨で赤旗を挟みレインタイヤへ逆戻り。その後は116周目にコーションが出ると大雨が来てそのまま終了。スリックを使った第2スティントでカイル ブッシュを抜いてリードを奪いそのまま守り切ったコリー ハイムが通算3勝目・今季初勝利を挙げました。

 レインタイヤを使って走行時間を確保する試みは概ね好感された一方で、ほぼ路面が乾き切って壁際に少し水がある程度にまで回復しないとレースを許可されない状況にカイルはやや不満があったようです。このあたりは実際にレースを重ねて運用方法を探っていくことになるでしょうか。

・Xfinity Series CALL811.COM BEFORE YOU DIG 250

 掘削をする前には必ず811番に電話してくださいね、という啓発スポンサーのエクスフィニティ―。2位スタートのジョン ハンター ネメチェックが250周のうち198周をリードしてレースを圧倒。今季2勝目を挙げ、同時にdash 4 cash の賞金10万ドルも獲得しました。ところがレース後に思わぬ事件発生。

 バーンナウトしてたら後部から出火してしまい、走っても消えないのでAMRセーフティー チームのお世話になる事態となりました。信じられないことに、今回のジョンハンターのスポンサー・PYE-BARKERは消火器や火災報知器、スプリンクラーなどを扱う防火・消火関係の会社です。なんという奇跡的出来事、いや火が出たらスポンサー的にはあかんか。


・予選

 カップシリーズの予選ではライアン プリースが唯一の20秒切りを記録してブッシュ ライト ポール賞を獲得、自身初です。ダニエル スアレスとエリック アルミローラが同タイムで2位、3位。チェイス ブリスコー、マーティン トゥルーエックス ジュニア、タイラー レディックが続きました。復帰戦のチェイスは24位、"ヘイル メロン"の地へ帰還したロス チャステインはA組の最下位になってしまい34位スタートです。

・ステージ1

 プリースが20周で1.5秒差を付ける快調な出だし。決勝前に水漏れが見つかって修理したために後方スタートだったジョーイ ロガーノもあっという間に周回遅れになりました。珍しいベライゾンのスキームでいつもの黄色ではなく赤色なので、ロガーノもSHRのチームメイトに見えてしまいます。
一瞬見間違えそう

 そのまま何も起こらずステージ1は終了、プリースが自身初のステージ勝利、アルミローラ、レディックと続き、スアレスはステージ終盤にペースが落ちて4位。31位のチャステインはなんとかリード ラップで耐え抜き、その恩恵で32位のロガーノはフリー パスを手にしました。後でお礼にスイカの肥料でも送っておきましょう。
 

・ステージ2

 先頭は慣れてないせいか、ステージ間コーションで危うくプリースはピットが開く前に入りそうになりましたが、無事先頭を守ってステージ2開始。プリースとアルミローラの追いかけっこが展開されましたが、133周目にハリソン バートンのスピンでコーション。リードラップ車両がピットに入り、プリースが3ワイドの競争を文字通り鼻差で制した、と思いきや速度違反。
 1番ピットの経験も無いので慣れていないことが影響しているとみられ、速度違反だと言われたプリースは「俺たちが!?どうやってやるのさ!?」。ピットを出た後ピット出口の黄色い線までの少しの距離でも速度監視されてますからね。改めて規則を確認しておくと、ピット出口の順位を決めるのは白い線、速度制限が解除されるのはそれよりも奥にある黄色い線です。極端な話、1番ピットからだと白線まで全力で踏んだ後に急ブレーキをかけて平均速度を下げたらたぶん速度違反は回避できます。これで流れが変わってしまったプリースは結局15位でした。


 143周目、ステイアウトしたチャステインとスアレスの1列目でリスタート。2位をスアレスとアルミローラがやたら激しく争っている間に2輪交換のトッド ギリランドが割り込んできて、横から2位をかっさらっていきました。
 その後、まだステージ2なのに妙にごちゃついた中を切り抜けてきたのはケビン ハービック。気づけば4輪交換組の先頭に立つと、168周目にチャステインをかわしてリードを奪いました。今年のハービックはショート トラックで調子が良さそうです。そのままステージ2を制し、2位はチームメイトのチェイス ブリスコー。デニー ハムリン、レディックとJGRの2人が続きました。プリースは脱落しましたがSHR的には悪くない展開です。


・ファイナル ステージ

 ピットでブリスコーがハービックを僅差で逆転。最終ステージはまずこの2人とハムリンが3台で抜け出す形になりました。この中でロング ランで速かったのはハムリンで、247周目にハービックをかわすと、数周に渡って粘られたものの257周目にはブリスコーも抜いて今日初めてリードを奪いました。ブリスコーはハムリン相手に無理に粘りすぎたせいか、この後も少し順位を下げてしまいます。さっと譲って立て直すのも大事ですね。
 28位あたりでカイルとコリー ラジョーイが接触の応酬になっていたり、周回遅れになったバッバ ウォーレスがあろうことかハムリンを突き飛ばしてラップ バックしようとしたり、時々小さな事件は起きつつもハムリンは独走。何も起きないまま290周目あたりからピット サイクルとなります。今日はレース設定的にアンダー グリーンでのピットがこの一度しかありません。
 リーダーのハムリンは後ろの動きを見てピットに入ろうとしたものの、映像に映っていないところで新品タイヤの車と位置取りで交錯したらしく、ピットに入る周にちょっと時間を食ってハービックにアンダーカットを許してしまいました。
 さらに302周目、アンソニー アルフレードの車から右後輪が脱輪。なぜか20秒ほどコーションが出ずにオフィシャルがその様子をじーーーーーっと眺めていました。ウォーレスは「リスタート ゾーンにタイヤが落ちてる!誰か当たったら死人が出るぞ!」と激怒。何でこんなに時間がかかったのか分かりませんが、303周目にコーションとなり、まだピットに入らずコーション待ちしていたスアレス、ウォーレス、ロガーノあたりが大儲けしました。

 この時点でリードラップ車両は11台しかおらず、このうち3台がステイアウト、さっきタイヤを換えたばかりのハービックら他の8台はピットへ。1台がフリー パス、12台がウエイブ アラウンドを受けました。
 313周目にステイアウト組のブリスコーとラーソンの1列目でリスタート、ラーソンのペースが上がらず完全に後続の蓋になってしまい、ブリスコーが予想外に独走します。ハービックもステイアウト組のレディックを抜けずに4位で足止めを食らい、このままだとブリスコーの圧勝で終わりそうでしたが、343周目にJ.J.イェリーの単独クラッシュで5回目のコーション。そう簡単には勝たせてもらえない。
 ここでは上位勢はピットに入り4台がステイアウト。ピット組でも2輪交換のラーソンとスアレスが前に来て作戦が大きく割れました。ハービックもピットに入り最後の新品タイヤに交換しますが、なぜかホイールが壊れたようで取り付けはグラグラだしタイヤもパンクするしで当然ながら再ピット。右前輪だけ中古タイヤでリードラップ後方に送り出された悲運のハービック、このレース20位でした。


 残り46周・ロガーノとアルミローラの1列目でリスタート。2輪交換のラーソンがステイアウト組をかき分けて5周で2位に浮上しロガーノを追います。そもそも今日は苦戦気味だったロガーノ、さすがに古いタイヤで守り切るのは無理で残り29周、ラーソンがリードを奪いました。後続はロガーノと同じくステイアウト組のハムリンなので誰も追って来ず、今度はラーソンが完全に独走パターン。

 コーションがもう1回出てとしいところでしたがそのままレースは進行。19位スタートのラーソンが今季2勝目、通算41勝目、17回目のマーティンズビルで初めて勝利を挙げました。2位はペースが上がらずとも抑えきったロガーノで、トゥルーエックス、ハムリン、ブリスコーのトップ5。303周目のコーションで得をしたリッキー ステンハウス ジュニアが8位、ウォーレスも9位、そして復帰戦のチェイスが10位でしたが、さすがに車を降りたら足がしんどいのか座り込んでいました。

 ラーソンは303周目のコーションの際、リードラップ最後尾の11位でした。それもコーション直前のギリギリでスアレスを抜いてラップバック。スポッターからものすごい早口でスアレスを抜くよう要求され、急いで抜きました。オフィシャルが即座にコーションを出していたらたぶんラップバックできずフリーパスになっていたでしょうね。フリーパスだと当然前方からリスタートできないのでこの展開には繋がっていません。勝ったのはオフィシャルのおかげですね(え)

 本音を言えば、1.5マイルに行ったらヘンドリックが強いに決まっているので、マーティンズビルぐらい普段勝たない人が勝っておいてほしかったため「なんだ結局ラーソンか」というのが正直なところですが、同じヘンドリックでもウイリアム バイロンはえらく苦戦して23位止まり、全般的にこの日はヘンドリック勢の調子が今一つだったので、チームとして反省点は多いレースだっただろうなと思います。
 一方、スチュワート-ハース レーシングはプリース、ブリスコー、ハービックで合計244周をリードしていながら勝てず、このレースで最も悔しい思いをしたと思います。プリースは初めての優勝争いに圧し潰されちゃったかなあという印象ですが、ハービックは303周目のコーションでステイアウトすると思ったのでピットに入ったのは意外でした。結果論ですがあそこで集団の中に入ったことでラーソンと立場が逆転してしまいました。こちらはレース運びを反省ですが、車が全員良かったのは喜ばしい出来事だったでしょう。

 なお、レース後に無作為抽出検査の対象となったオースティン ディロン、NASCARがR&Dセンターに持ち帰った車を詳しく調べたら車両に規定違反があったとして、クルー チーフのキース ロッデンには2戦の出場停止と罰金7万5000ドル、ドライバー/オーナー ポイントから60点の選手権ポイントと5点のプレイオフ ポイントが減点されました。

 次戦は今季2度目のスーパー スピードウェイ、危険極まりないタラデガです(・∀・)

コメント

Cherry さんのコメント…
いつも学校から渡されたタブレットから読んでたのでそっちでコメントしてたんですが、何故かできなくなってたのでご無沙汰ですw
チェイスがやっと復帰しましたね!初回から完治してない足に絶対優しく無いマーティンズビルですけどwなんなら次はタラデガ、カンザスドーバーって事故ったら痛そうなコースしかねぇなおい()
プリースさんはウェレン時代の経験のおかげかタイトなショートオーバル系が得意そうですね。今後のスケジュールで見るとニューハンプシャー辺りで今回の反省を活かしてチェイスとかベルとかその辺と張り合って欲しいですw
あとトラックシリーズのレインタイヤの挙動を見てて思ったのがやっぱりウェットコンディションだと滑るのでドライのオーバルの時より滑りながら走ってます感がすごくあった気がしましたw
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 チェイスはタラデガ終わりまで待つのかなと思ってたので、なんか足にきつそうなところで戻って来たなあと思いましたけどさすがにまとめてきましたね。
レインタイヤはとりあえず一度使えたので、あとは運営がどこまで使用範囲を広げるかでしょうね、たいてい雨が降るとなったら大雨なのですごく限られた出番しかないとは思いますが。
日日不穏日記 さんの投稿…
ステージ1でラップダウンになったロガーノが最後に2位。ラーソンに対抗できたのは、さすがロガーノと言う感じ。好みで言えば、トゥレックスか、ハムリンに勝って欲しいとは思ってましたね。ロガーノとラーソンはあまり好きではないので。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 今回のロガーノはさすがに運の要素が大きかった気はしますね。というかステイアウトでトラックポジションを獲るメリットを上位勢が少し甘く見ていた感じでしょうか。ロガーノがラーソンに抜かれた後、一瞬だけミサイルの殺気を出してすぐ引っ込めたのが個人的に結構ツボでしたw