F1 第3戦 オーストラリア

FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX 2023
Albert Park Cuircuit 5.278km×58Laps=306.124km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB19-Honda RBPT)


 F1第3戦オーストラリア。昨年から形状が一部変更されたオーストラリア・アルバート パーク サーキットです。個人的には市街地は市街地らしくストップ&ゴーで直角コーナーだらけの方が好みで面白いと思うので、別に追い抜きが増えるわけでもないのに何でやたら平均速度を上げようとするのかよく分かりません。平均速度が多少遅い方がお客さんは長くレースを楽しめて飲食物も売れると思うんですけどねえw

・レース前の話題

 前戦でレース後にフェルナンド アロンソのペナルティーが出たり消えたりした問題を受けて、ピットでのペナルティー消化に関する基準が明文化。『作業』とはどこからを指すのかが曖昧だったことが問題なので、はっきりとジャッキを含めてあらゆるものが車両に触れてはいけないことになりました。
 また、そのペナルティーのそもそもの原因だったのはアロンソがグリッドで左にズレて停車していたことですが、車の大きさに対してグリッド ボックスが小さすぎるというのも議題に上がったのか、今回から20cm拡幅されて中央を示す白線もお試しで追加ました。白線を引いたところで見えないからあまり意味は無いみたいですがw

・予選

 前戦ではQ2でマックス フェルスタッペンの車が壊れたレッド ブル。この週末はセルヒオ ペレスの車がフリー走行からブレーキの不調に見舞われており、Q1でも同じ症状が出ていきなりターン3で止まれずスナーバックス入店。予選最下位で決勝は部品を交換してピットからのスタート。
店員「こんばんは~♪」
ペレス「ト、トールのドリップ、メキシコ オアハカで・・・」


 ピレリ ポール ポジションはやはりフェルスタッペンで、2位にジョージ ラッセル、そして3位にルイス ハミルトン。好調フェルナンド アロンソも4位に付けてメルセデス系列が本家も分家もゴキゲンです。シャルル ルクレール、ランス ストロール、カルロス サインツと並びます。

・決勝

 ほぼ全員ミディアムでスタート。蹴り出しはなんとなくもっさりした蹴り出しのフェルスタッペンに対し、偶数列ながら良い蹴り出しを見せたラッセルが内側に思い切って飛び込んだのでフェルスタッペンは冷静に引きました。ただ出口でも失速してしまい、ターン3の入り口ではハミルトン、フェルスタッペン、サインツが3ワイドに。
 ここもフェルスタッペンは安全重視で引いたのでメルセデスがワンツーとなりますが、前が争うと後ろは詰まって行き場の無い争いになってしまい、ルクレールとストロールがちょっとお互いにどうしようもない感じで接触。昨日はペレスがハマったスナーバックスにルクレールが入店しSC導入となります。でも一番大変だったのは、前でごちゃごちゃしている中でなんとか当たらずに全部処理したアロンソだった気がします。
店員「こんにちは~」
ルクレール「エスプレッソダブルショット―ーー!!!」


 4周目にリスタートされますが、7周目にはアレクサンダー アルボンがクラッシュし2度目のSC。予選8位と大健闘だったのにアルボン無念。これで2台連なるメルセデスはラッセルをピットに呼んでミディアムからハードへ交換、ハミルトンはコース上に残して2台でなんとかフェルスタッペンを倒す考えでしたが、細かい破片が飛び散ったせいかレッド フラッグになってしまい、ラッセルはただ順位を下げただけになってしまいました。

・赤旗リスタート

 赤旗からの再開はグリッドからのスタンディング。タイヤはもうピットに入らないつもりでほぼ全員がハード。グリッドへ向かう道中では中団以降で玉突き事故が起こりそうになり、ドライバーによっては緊急回避で砂場に逃げた人もいました。原因は先頭のハミルトンが少しゆっくり走り、一方でラッセルはピットを出るのが遅れたので急いで隊列を追いかけたことにあるようです。速度差が大きいのでラッセルは急ブレーキを踏み、ラッセル以降のドライバーはこれをきっかけに危険な渋滞に巻き込まれました。何も事故が起きなくて良かったです。

 リスタート、ハミルトンは蹴り出し上々、ターン1はロックさせて一瞬ヒヤッとしましたが綺麗に止めてリードを守りました。それにしてもコース脇の鳥さんがこんなにうるさいのになぜ悠々と歩いているのか謎です、飛び出した車に跳ねられないうちに木の上に避難して欲しいですね(T T)
 リスタートは決めたハミルトンですが12周目にDRSが解禁されると成すすべがなく、ターン8~9のDRS区間でフェルスタッペンが豪快に抜き去って本日初リード。ハミルトンはとりあえず3位のアロンソとは差がありましたが、ここから徐々に差を詰められて17周目には1秒以内に入られました。が、17周目を終えるころにラッセルのPUに問題が発生した様子、排気管から出火してピット出口付近に車を止めたのでVSCとなり、ハミルトンとアロンソの争いも一時休止。

 車をどけるだけなので19周目の後半にはVSCが終了、アストン マーティンは冷え性なのかアロンソはここからまたハミルトンと差が広がります。一方中団ではペレスがDRSを使って抜きまくり23周目には9位浮上。事実上最も長い直線であるターン8~9のDRS区間で抜きまくってますが、ラインが1本の高速コーナーであるターン9でちょっと無理に入って避けてもらっている感もあり、時々抜き方がちょっと怖いです^^;

 リスタート以降に2.4秒ほどまで開いた後に平行線になったハミルトンとアロンソの差は29周目あたりから再び反転してアロンソ接近、今回はサインツも付いてきており、そのサインツにはピエール ガスリーがDRSを拾ってぶら下がっているのでハミルトンは頑張らないとごぼう抜きされかねません。
 ただ「このタイヤで最後まで行けるとは思えない」とか文句を言いつつも数字として結果を出すのがハミルトン。アロンソがペースを上げれば自分も上げて1.1~1.8秒の間でなんとか差を維持します。DRS圏に入られた瞬間にいきなり猛攻を浴びることになるので1秒は最終防衛線です。
 このまま2位争いは膠着したままレースは終盤まで進み、他にもいくつか争っている箇所があるのでフェルスタッペンなんてミスった時しかテレビに映らない状態でしたが、残り5周・ケビン マグヌッセンがターン2出口で右後輪を壁にぶつける珍しい事故、これでホイールが割れてタイヤだけが外れてしまい、コース上に落下したので3回目のSC、破片がまた散乱したので55周目終了時点で本日2度目の赤旗になりました。なお、この散乱した破片の一部が観客席に入り、軽症で済んだものの負傷者が出たとの情報です。

・2回目の赤旗リスタート

 昔ならもうこんなタイミングで赤旗になったらそのまま再開しなかったように思いますが、興行重視かレースは再開へ。これで残り2周でのスタンディング スタートのレースとなりました。当然全員手持ちのソフトを装着、NASCARだったらここからリスタートとオーバータイムの無限ループに入りますが、F1はまだオーバータイムが無いのでマシなもんですね、その分リスタートで何かあったら大変ですけど。

 残り2周でのリスタート、3度目の正直でフェルスタッペンは綺麗に蹴り出してリードを確保、一方3位のアロンソは後ろからサインツに引っ掛けられてスピン、ターン2の出口ではアルピーヌが2台でクラッシュし、ターン3でも複数の車両がスナーバックス入店。もう無茶苦茶になってしまいまた赤旗です。言わんこっちゃない(´・ω・`)

 どうやっても次が58周目=最終周なのでレースを再開することが事実上無いわけですが一応再開の手順を踏み、コースを片付けて先ほどの赤旗リスタート時の順位から事故車を間引いた順番に車を並べ替えてSC先導の下で車両は再びコースへ。あれこれと接触があった中でサインツがアロンソを引っ掛けた件だけは5秒ペナルティーの裁定が赤旗中に確定しており、サインツはなんとしても後続と距離を開けてチェッカーを受けないと入賞圏外に落ちる状態になりました。といっても自分ではどうしようもないですけどw
 『グリッド スタート』と宣告するとチェッカーを受ける直前に全車がグリッドに付いておかしなことになるので、運営手順としては『ローリングでリスタート』と指示された形となり、フェルスタッペンを先頭に1周のパレードを終えてチェッカーを受けました。生き残ったのは僅か12台、4番目にチェッカーを受けたサインツの後ろでやけにストロールが距離を開けていたので『ひょっとしてサインツ入賞できるか!?』とか思われましたが、残念ながら5秒加算したら全員に抜かれました。
 正式結果としてはフェルスタッペン、ハミルトン、アロンソがトップ3。4位以下が全員繰り上がってストロール、ペレス、ランド ノリス、ニコ ヒュルケンベルグ、オスカー ピアストリ、周 冠宇、角田 祐毅、とここまでが入賞。バルテリ ボッタス、そして12位がサインツでした。6位~10位の4人は全員今季初入賞ですね。ストロールがもうちょっとぼんやりしてたら角田は入賞を逃すところでしたw

・ちょっと無理があるシュートアウト

 なんといっても今回は残り2周でのグリッドからのリスタートが記憶に残ったわけですが、個人的には赤旗からの再開にグリッドスタートをすること自体に賛成ではありません。興行として盛り上げるために不確定要素が必要、という事情が主だった理由でしょうが、とりわけ残り2周でのヨーイドンはさすがに混乱を呼ぶに決まっています。

 2018年から導入されたこの規則、アメリカの会社であるリバティー メディアが不確定要素を増やそうとしたのは明らかだと思いますが、それならSC中のピットに関する規則とか、SC後の再開も全部グリッドスタートにするとか、悪い言い方をすれば『わざと有利不利が極端に出る仕組み』を作るなどしたって別に構わないわけで、そのあたりは公平性を重視した複雑な仕組みを作っておいて、赤旗のリスタートだけやたらリスキーなのもバランス感覚としてどうなんだろうと思います。
 グリッドスタートを良しとするにしても、レース距離の75%を超えてからの再開では適用しないとか、残り5周以下なら適用しないとか、もう1つ規則を増やしてあまりに駆け込みの再開は避けるべきではないかと感じました。『最後までレースを見せる』というと聞こえは良いんですが、ちょっと極端すぎる印象です。だったらもうNASCARと同じようにオーバータイムの規則を作って、オーバータイム前に一度だけ給油できるようにしたって良い気がします。
 今回の2周での短距離戦は正直『あわよくばフェルスタッペン負けてくれへんかな』という雰囲気を感じましたし、さらに言えば2021年最終戦で残り1周のリスタートを強行した過去の自分たちの行為を正当化するには今日も終わらせるわけにはいかない、というのもあるんじゃないかと邪推してしまいます。私はあの1周のシュートアウト自体がおかしかったと未だに思っているので見方がひねくれているかもしれませんが、興行に振るならもっと堂々と振れば良いし、そうでないならもうちょっとやり方を考えた方が良いと改めて思いました。
 この仕組みで今回一番得をしたのは、時間が長引いたことで売り上げが増えたであろう飲食店のみなさんでしょうか。冒頭で書いたやつ、こんな展開になるとは知らずに書いたんですよw

・DRS効きすぎ

 それと、今回はDRSもちょっと過剰でしたね。昨年は安全性の懸念から土曜日に急に撤廃された3か所目のDRS区間も復活したので合計4か所あり、全開区間のうちかなりの時間がDRS対象区間になっていました。特にこの3つ目のDRS区間がちょっと強力すぎた印象で、追い抜きはほとんどここで起きていたように思います。
 言い換えれば他の3か所のDRSはあっても追い抜きには足りないわけですが全体で得られるタイムがかなり大きく、たとえばガスリーは4位を単独で走っていた時より、サインツに抜かれてからDRS圏でコバンザメ走法した時の方がペースが上がっていました。ちょっとしたグランツーリスモのスリップストリーム弱状態です。ペレスもこの長いDRS区間がなければあれほどは抜けなかったでしょう。
 もちろん、DRSを使えばだれでも速く走れるわけではないですから、ずっと乱気流に負けず、DRSを使うことでズレるブレーキ位置を失敗せず、たぶんそんなに長時間居座ることを想定していないので温度が上がり過ぎたであろうブレーキ等をきちんと使ったガスリーは非常に素晴らしい仕事だったと思います。ガスリー、開幕戦の予選ではどうしたんだと思いましたけどなんかいい感じに馴染んで来たかもしれませんね。

 DRSに話を戻すと、追い抜きが無いとお客さんが退屈、というのがDRSの基本的概念でこれはリバティーメディア体制以前からの興行重視による施策なわけですが、一方で有力ドライバーが下位スタートになってしまった際でも早い段階で上位に戻ってくることが可能なので、見方を変えれば『状況に関わらず実力通りの結果になりやすい≒不確定要素を減らす』とも言えるのではないかと思います。
 追い抜きが見どころだというのはもちろん分かるんですが、一方で『力の劣る車のドライバーがなんとか抜かせまいと技術を駆使する』ということは起こりにくくなります。『抜けない良さ』みたいなものもあると思うんですが、その点でも運営さんはちょっと安易なものに飛びつきすぎてはいまいか、と思いました。

 次戦はちょっと間が空いて4週間後のアゼルバイジャン、このイベントは存在そのものが興行重視だからこそ、みたいなところがありますねw

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