NASCAR 第6戦 オースティン

NASCAR Cup Series
EchoPark Automotive Grand Prix
Cuircuit of the Americas 3.41miles×68Laps(15/15/38)=231.88miles
※NASCARオーバータイムにより75周に延長
winner:Tyler Reddick(23XI Racing/Monster Energy Toyota Camry TRD)

 NASCAR Cup Series、今年初のロード コース戦オースティン。F1でもおなじみサーキット オブ ジ アメリカズが舞台です。NASCARでは原則『舗装されているところなら全部使って良い』なので、ターンでは内側も外側も白線を超えて道幅をいっぱいに使います。ただし、セクター1にあるS字区間だけは『縁石も走路とみなすが、4輪全て縁石の内側に入ったら走路外走行』と判定され、違反すると一発でパススルーのペナルティーを受けます。F1みたいに3回目でセーフ、とかありませんから~、残念!

・規則の確認

 ロードコースなので今年から導入された2インチのスポイラーを装備した低ダウンフォース仕様を採用、チューズ ルールも今年から適用されます。そして、新規則として今年からロードコースではステージ間コーションがありません。名目上は3ステージに分かれておりステージ ポイントも手に入りますが、ステージ周回数に到達してもそのままレースは続行されるのでコーションは偶発的にしか発生しません。ひょっとしたらコーション無しで走り切るかもしれません。
 また、今季は開幕から5週間限定でガイコ リスタート ゾーンを通常より50%増量する試行を行っていましたが、結果を検証したところ意図していたような効果は見られなかったとして、今週末からリスタートゾーンは通常の長さに戻されています。

・カマロ生産終了

 このレースを前にして話題になったのが、GMが現行のシボレー カマロを2024年1月で生産終了すると発表したことでした。後継車両は未定とする一方で、カマロの歴史がこれで終わるわけではない、的な表現をしており、モデルチェンジはひとまずしないか、様変わりした電気自動車の名前として使用されそうな雰囲気です。実際、フォードは既にマスタングを従来通り販売しつつも、『マスタング マックE』という電気自動車のSUVを販売しており、伝統的な名称を最新の電気自動車の看板車種に充てる可能性は高いと感じます。
 GMは同時に「NASCARへの関与は続ける」と明言していますが、規則ではNASCARへ参戦する車両は『そのシーズンの年次に製造・販売されている車両』であることが必要だと明記されており、2024年は大丈夫ですが2025年に現行カマロは使えません。別の車両を用意するか、あるいはNASCAR側が規則を変える必要がありそうです。SUPER GTなんて売ってない車が何年も走ってましたけどねえw

Craftsman Truck Series XPEL 225

 ロス チャステインとカイル ブッシュ、カップ シリーズの2人が1列目を占拠して始まったクラフツマン トラック。序盤はこの2人がリーダーを争っていましたが、27周目に発生した3回目のコーションが運命の分かれ道。まだ最後のピットに入っていなかったこの2人は損をしてしまい、逆に既に終えていたゼイン スミスがこれでリーダーに。カイルは17位のリスタートから猛烈に巻き返しましたが、5秒差でスミスが逃げ切りました。CoTA2連勝です。

・Xfinity Series Pit Boss 250 presented by USA Today

 ポール ポジションはA.J.アルメンディンガー。スタートからいきなりタイ ギブスが無茶な飛び込みをしたせいでぐちゃぐちゃになって2位に落ちますが、すぐリードを奪い返します。ところがその後コーションとピットのタイミングが噛み合わず中団に放り込まれ、リスタートでもみくちゃになってスピンするなど散々な状態。
 これで今日はもうだめかと思ったら、ちょっとボロボロになった車で猛烈に順位を上げて行き、残り14周のターン19でシェルドン クリードを吹っ飛ばしてリードを奪還。その後はウイリアム バイロンから執拗な追撃を受けましたがなんとか逃げ切りました。こちらもCoTAのエクスフィニティ―で2年連続の優勝。ぶつけたのはちと印象悪い気がしましたがw

・予選

 バイロンがブッシュ ポール賞を獲得。ポールを獲った後にエクスフィニティーでも2位でしたから好調と言えそうです。先週はウイルス性胃腸炎に見舞われて危うく欠場するところだったタイラー レディックが2位、3位にオースティン シンドリック、そしてなんと4位にチェイス エリオットの代役・ジョーダン テイラーが入りました。アルメンディンガーは7位。キミ ライコネンは22位、ジェンソン バトンは24位からのスタートです。


・ステージ1

 まずはバイロンが無事にレースをリードしましたが、1周目からブラッド ケゼロウスキーがスピン、流れで他の接触を誘発して多重事故になりいきなりのコーション。ジミー ジョンソンはこの完全貰い事故でリタイア、タイ ディロンもリタイアしました。
 6周目にリスタート、バイロンは内側に入らせないことを意識しすぎたか出口で膨らんでしまい、その隙をシンドリックに衝かれました。この後激しい順位争いからレディックがリーダーとなります。

 11周目、ターン12でバッバ ウォーレスの車が完全にブレーキを踏む場所を誤ったっぽくカイル ラーソンに衝突。これでウォーレスは明らかにトー リンクが壊れてよろよろと現場を離脱、ラーソンはスピンしたので後続を待って再始動し、とりあえずコーションは出ない、はずでした。ところがピットに向かったラーソンはターン19で目の前によろよろのウォーレスが視界に入り、慌てたのかいきなり進路を変えたので後ろから来ていたデニー ハムリンと接触。まさかの2次災害でまたラーソンがスピンしてコーションを呼んでしまいました。
 
 このコーションでレディックはピットへ向かいますがバイロンとシンドリックはステイ アウトと判断が割れました。全体では半数以上がステイアウトを選択します。ここで入ってもまだあと2回給油しないといけないので3ストップ作戦、残った人は2ストップ作戦と考えられます。リスタートされたのは16周目、つまりリスタートの瞬間にステージ1が終了し、ステージ1の勝者はバイロンということになりました。

・ステージ2

 バイロンがリーダー、シンドリックに続いて3位にAJが上がってきましたが、無線に不具合があって指示が聞こえない模様。中団ではライアン ブレイニーがケゼロウスキーを吹っ飛ばしたかと思ったら、そのブレイニーもラーソンに吹っ飛ばされる、というオーバルではなかなかお目にかかれない乱戦状態です^^;
 燃料はだいたい24周ほどもつので20周目あたりから2ストップ組のピット サイクルとなり、上位勢では23周目に2位のシンドリックが先にピットへ。しかし左右ともタイヤ交換に手間取ってなんと27秒もかかり大幅後退。バイロンなど残る2ストップ組も翌周にピットに入り、バイロンは2ストップ組の先頭を維持しました。

 これで3ストップのレディックがリーダーに戻ります。そのままステージ2の区切りである30周目を先頭で完了して今季初のステージ勝利。オースティン ディロン、マイケル マクダウル、ケビン ハービック、クリス ブッシャーと3ストップ側の人たちがステージ ポイントを手にしました。

・ファイナル ステージ

 昨年の終盤からこうやってステージ毎に内容を区切るようにしたのに、コーション無くレースが続くので奇妙な気もしますが引き続き最終ステージ。3ストップ組は16周目のリスタートからの残り周回数=53を3で割ると17ぐらいなので、ちょうどこのあたりからピットサイクルとなります。レディックも32周目にピットに入りました。

 これで作戦にかかわらず残るピット回数は1、リーダーに戻ったバイロンとレディックの差は7.5秒ほどで、先ほどバイロンがピットに入る前とほぼ同じ。この時点で2位はアルメンディンガーで、さすがロードコース職人でまだバイロンの1.6秒後方ときっちり付いています。でも無線が聞こえません。
 そのアルメンディンガーは37周目にレディックに道を譲り、これでレディックが早くも2位まで追い上げてバイロンとは2秒差。うさぎとかめの争いはうさぎさんがやや優勢な雰囲気です、今年はうさぎ年ですしね。うさぎの足は速く、39周目にレディックがバイロンをかわしてリードを奪いました。ちなみにレディックは1996年生まれなのでネズミ年生まれです。
 ところが41周目、みんなが内側を攻め込むターン8であまりに舗装上に砂が掻き出されすぎて、もはやちょっとしたダート場になり始めたのでコーションが出ました。クリストファー ベルがスピンするなど、ラインを少しでも外すとコースに留まることすら難しい状況でした。本来ならここがレコード ラインなんですけどw



 3ストップ組は給油時間が短く済むのでレディックは先頭でピットを出ました。しかしリード ラップでジョーイ ロガーノら3台がステイアウトを選択。3ストップ組からの変則作戦を採ったロガーノは38周目まで引っ張っていてさっきピットに入ったばかり、かつ後方にいたので一か八かのステイアウトです。ただこのままでは燃料は絶対足りないのでコーション連発でさらに作戦がごちゃごちゃになるのを期待する他力本願。
 2位はハリソン バートンですが、1速が壊れているという情報なので前にいると危なそうな状態。44周目・残り25周でリスタートです。バートンは加速が少し遅いぐらいで事故を招きはしませんでしたが外側の人はこれに詰まって成すすべ無し。
 一方レディックは内側からロガーノをかわそうとしたものの突っ込みすぎて出口で膨らみ、がら空きの内側をバイロンにつかれました。せっかくロガーノは抜いたのにバイロンには抜かれたレディック、とにかくすぐに前に出たい様子で47周目にはリードを奪い返します。25周を走り切るには燃料もタイヤも節約しないといけないため、ここからバイロン、チャステイン、アレックス ボウマンを引き連れて持久戦に入りました。

 このうちボウマンはかなり節約に入って5位に後退し、逆に4位になったのはダニエル スアレス。どうやら真っ先に燃料の問題に区切りをつけたようで、残り12周で前の3台に一気に前に近づくと、ちょうどバイロンが砂を踏んでミスったため混戦になり、2台抜きして2位へ。さあレディックも捉えるぞ!と思った瞬間にケゼロウスキーの車がコース脇に止まってしまってコーションとなりました。ドライブシャフトが壊れたケゼロウスキーはリタイアで35位でした。

 これでリードラップ車両の大半がピットへ。レディックは先頭でピットを出る一方、チャステインは作業に時間を要して中団へ。そして、ベル、カイル、デニー ハムリン、ライコネン、ライアン プリースの5台がステイアウトを選択しました。彼らは44周目のリスタート時点で25周を走り切ることを考えず1ストップで走る考えで、ちょうど数周前にピットに入ったばかりでした。

 残り9周でリスタート、3列目のレディックが内側から思い切った飛び込みを見せ一発でリードを奪い返したものの、後方で多重事故がありコーション。さっきピットで失敗したチャステインも巻き添えになって後方へ転落します(´・ω・`)
 
 残り7周でリスタート、レディックは真後ろにいるバイロンを警戒しますが、内側を閉めつつ追突されないようにブレーキも奥まで行くとなかなか難しく、突っ込みすぎてターン1の立ち上がりでバイロンにかわされました。それでも速さでは上回っている様子のレディックは激しくもフェアーな争いの末に残り5周でリードを奪い返します。
 しかしこれで終わらないのがNASCAR、翌周にディロンの車がパンク、破片が散らばったのでまたもやコーション。これでレースはオーバータイムとなりました。

 オーバータイム、バイロンは2列目の内側ではなくレディックの隣を選びましたが、外側からの正攻法では前に出ることができず、逆に2列目の内側で構えていたカイルが2位に浮上。しかしこのリスタートもターン1で複数の接触があり、ブレイニーとプリースの車から破片が撒かれたのでコーション。ブレイニーに当たったのはライコネンでした。もうもみくちゃなので誰がどう当たっても恨みっこなしです、しょうがないw
もうみんなボロボロ

 オーバータイム2回目、カイルはバイロンと違って2列目の内側を選びレディックをあと一歩で抜けそうでしたが、レディックはなんとか凌ぎます。これで今度こそ勝ったかと思ったら、またまたまたターン1の接触が原因でスアレスのタイヤがパンク、バックストレッチでホイールからタイヤだけ外れてしまいコーションになりました。コーション連発で、気づいたらついさっき後方にいたチャステインが5位にいますw

 3回目のオーバータイム、カイルがまたレディックの内側を狙っていましたが、後ろからバイロンに軽く押されて姿勢を乱し、滑って外側のボウマンとも軽く接触。これでレディックを追う3台が全員ターン1で出遅れたので最大の課題であるリスタートを今回も切り抜けました。

 さらにここからボウマンとカイルの2位争いが起きたのでレディックには好都合でした。後方でベルの車が前部を大破させておりまたコーションかと思いましたが、破片が出なかったのか運営が飽きたのか、そのまま続行されてレディックがようやくホワイト フラッグを受けました。
 そのままカイルに大きな差をつけて最終周を走り切り、レディックが23XIレーシング移籍後の初勝利、ロードコースではここ5戦で3勝目を挙げました。開幕からやたら事故に見舞われ、先週は体調不良でひょっとしたら代走を頼むかもしれない不運にも見舞われながら結果は着実に上向きでしたが、6戦目で早くも結果を出しました。

 2位からカイル、ボウマン、チャステイン、バイロンのトップ5。コーション連発で何が何か分からない間に、リッキー ステンハウス ジュニアが7位、トッド ギリランドが10位、コリー ラジョーイがなんと11位。バトンは18位、ライコネンは最後の多重事故に巻き込まれて29位、せっかく予選は良かったのに決勝はカップの洗礼を浴びたテイラーは24位でした。でも予選の速さは偶然では出せないので、今後また何か機会が訪れればなと思います。

 ところで、私は3月27日に首跡さんのコメントに対してこんな返信を書きました。

 時間的にはもうこのレースは終わってるんですが、ネタバレ厳禁な私は当然レース結果を知らずに書きました。レースが終わって「結果知って書いたみたいになってるやん」と思いましたねw

 そして、レース後に暴れたのがスアレスでした。2回目のオーバータイムで内側から突っ込んで来たボウマンにぶつけられて、あとはピンボール状態になって勝負権を失ったスアレス。ボウマンへの怒りと、ついでにリスタートで何度も押してきたチームメイトのチャステインへの怒りで溢れかえっており、チェッカー後に「48と1はどこ行きやがった!」と激怒。
 みんなレースが終わってゆっくり走る中を1人だけ急に全力で走り始め、ピット入り口でついに"ターゲット"を発見。まずピット入り口で軽くチャステインにぶつけると、先を急いでその先にいるボウマンにもぶつけました。このボウマンへのピット内での行為が危険行為と見做され、スアレスは5万ドルの罰金を受けました。


 ステージ間コーションが無く、ダウンフォースもスカスカのロードコース戦。25周の燃費レースでどうなるのかという結末も見てみたかったですが、やっぱりNASCARはこうなりますよね~、ここのターン1ってストック カーでレースやるために作ったんじゃないでしょうかw
 予め分かっているコーションからの逆算ではないのでトラック、エクスフィニティ―含め不確定要素があったと思いますし、結局オーバータイムで長いレースになりましたけど面白く見れましたね。そんな中でもレディックは車の仕上がりが素晴らしかったですし、ともするとぶつけられて終わりになるのでリスクもある先頭リスタートを全てやり過ごし、抜かれてもまた抜き返すだけの力がありました。これはライバルもお手上げ、混戦だったけれども勝つべき人が勝ち、レディックの立場から言えば勝てるレースできっちり勝てた、ということになります。
 もし燃費レースになっていたら、最初からバイロンを攻め立てて燃料とタイヤを使ったことを後悔したんじゃないかな~、という想像があったのであのまま走る結末も見てみたかったんですが、その幻の結末はともかく彼もロードコースを得意とするドライバーとして完全に立場を確立した感じですね。首跡さんもきっと大喜びでしょう。

 次戦はリッチモンド、Toyota Owners 400 なので、ここはトヨタ勢連勝と行きましょう。そろそろマーティン トゥルーエックス ジュニアの勝つところが見たい!なお次戦はトラックシリーズのみテキサスでの単独開催となります。

コメント

カイル・プッシュ さんのコメント…
レディック&トヨタ、やりましたねー
最後は何回コーション出すねん!って思いながら見てましたが、レディックが勝って良かったです!
もし負けてたら、胃炎が再発してたかも知れません笑
首跡 さんの投稿…
Yeeeeeeeeeeees!!! Great job, Reddick!
YOU ARE THE MAN!
日日不穏日記 さんの投稿…
レディックは完全にロードコースでの強さを確立させましたね。AJは完走しても、太刀打ち出来なかっただろうから、完敗です。ディロンの運をカイルが全部持って行ってる感じです。お祓いして貰った方が良いかもしれません。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 1周が長いから一旦オーバータイムになるとなかなかホワイトフラッグに辿り着かないんですよね(笑)後ろからぶつけられるリスクも管理しながらの上手い戦い方でした。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 やっぱりロードアメリカでチェイスを正面から破ったのは自信になってるでしょうからね~。ディロンは運というかあれが実ry、おっと誰か来たようだ。
SCfromLA さんの投稿…
首跡さんは完全にクルー側の気持ちが乗り移ってる(笑)
まっさ さんのコメント…
スイカ男、アウトサイドスタートを選ぶ。嫌な予感。
スイカ男、スピン。気力を失い流し見に。
オーバータイムー!♪───O(≧∇≦)O────♪
オーバータイムー!♪───O(≧∇≦)O────♪
勝てなかったけど、リスタートの上手さが光ったレースでした。
まっささんの感情のジェットコースターを思い浮かべてもう一度見ると楽しいかもです笑
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 安心してください、最初から想像ながら観戦して楽しんでます(笑)