NASCAR 第3戦 ラスベガス

NASCAR Cup Series
Pannzoil 400 presented by Jiffy Lube
Las Vegas Motor Speedway 1.5miles×267Laps=400.5miles
(NASCARオーバータイムにより271周に延長)
winner:William Byron(Hendrick Motorsports/Raptor Tough.com Chevrolet Camaro ZL1)


 NASCAR Cup Series、アメリカの西部を回る3連戦の2戦目はラスベガス。この時期にフロリダ、カリフォルニア、アリゾナ等で開催するのは、基本的に安定した気候と気温を求めてのことだと思いますが先週のフォンタナは異様に寒かったですね。ラスベガスあたりもどうやら雪が降ったみたいです。
 先週優勝したカイル ブッシュはネバダ州出身なので、移籍後にいきなり勝ってホームに凱旋という気分の良い状態で、この週末は3シリーズ全てにエントリー。本来なら兄・カート ブッシュも『今年で引退』と宣言した状態でこのレースに挑むはずだったんだろうなあ、と思うと改めて残念ですね。

・チェイス欠場

 このレースを前にファンにとっては残念な出来事が起きました。チェイス エリオットがコロラド州でスノーボードをしていて負傷。どうやらスネの部分にある脛骨を骨折したようで、チーム側の発表によると3時間の手術を受けました。復帰まで6週間ほど必要で当然レースには出場できず、代役には普段エクスフィニティ― シリーズにJRモータースポーツから出場しているジョッシュ ベリーが起用されることになりました。2021年にスパイアー モータースポーツから2戦だけカップシリーズへの出場経験がありますが、Gen7車両でのレースは初めてです。

・Craftsman Truck Series Victoria’s Voice Foundation 200

 トラックシリーズはカイルが自身のチームから出場。ポール ポジションから134周のレースで84周をリードする速さを見せつけて優勝し、通算63勝目、自身の移籍に伴ってトヨタからシボレーへ変更したカイル ブッシュ モータースポーツとして初勝利です。

 ちなみに大会スポンサーのビクトリアズ ボイス財団というのは、2015年に薬物の過剰摂取で亡くなったビクトリア シーゲルという18歳の女性の両親が中心となり、若年層への薬物過剰摂取被害を防ぐために活動を行う団体です。アメリカでは『オピオイド』という鎮痛薬を筆頭に薬物の過剰摂取による死亡者が問題となっており、2021年には年間でおよそ10万人が死亡したとされています。同財団のサイトでも、ビクトリアさんは『2015年6月6日に薬物の過剰摂取で亡くなった129人のうちの1人です』と書かれています。


・Xfinity Series Alsco Uniforms 300

 エクスフィニティ―はコウリッグ レーシングの新人・チャンドラー スミスが初のポールを獲り、ステージ勝利こそならないものの最終ステージの大半をリードしました。しかし開幕戦の勝者・オースティン ヒルが残り30周の時点で2.5秒あった差を徐々に詰めると、残り2周のターン4でとうとう逆転。マネージメントの差を見せつけてそのままトップでチェッカーを受け、早くも今季2勝目を挙げました。2位にジャスティン オールガイアー、スミスは3位。4位にコウリッグからエントリーしていたカイルでした。
#16 C.スミスはあと1周半で優勝を逃す

・予選

 カップシリーズの予選は唯一平均速度186mphを超えたジョーイ ロガーノがブッシュ ポール賞を獲得。ウイリアム バイロン、ライアン ブレイニー、タイ ギブスと続きます。カイルが5位からのスタート、ちなみに過去に30回行われているラスベガスのカップ戦、ポールから勝ったのは2009年のカイルだけとなっています。開幕から2連続クラッシュのタイラー レディックはエンジン交換で練習走行すらできず後方スタート、なんか呪われてないだろうか^^;

・ステージ1

 スタートからロガーノがリードしますが、まずはバイロンの調子が良いようで10周目にリード チェンジ。これに6位スタートのカイル ラーソンも続いてヘンドリックのワンツーとなります。特に何も起きないままバイロンがラーソンを1.5秒引き離し、33周目あたりからピット サイクルとなります。
 多くの車はタイヤの摩耗や曇り空の影響で車がタイトになっているようで、多少ピットのタイミングを早めてでもアジャストをしたかった様子。ただバイロンはバランスもペースも良かったので、周囲より少し引っ張った上でアンダーカットされることなくリーダーのままピットサイクルを終えました。逆にロング ランで今一つ冴えないロガーノはサイクルを終えて10位。
 ステージ1後半もバイロンとラーソンの2台だけが大きく先行し続け、結局コーションが出ることもなくバイロンがステージ1を制し、ラーソン、ロス チャステイン、クリストファー ベル、デニー ハムリン、マーティン トゥルーエックス ジュニアと続きました。

・ステージ2

 引き続きリーダーはバイロン。リスタートでやや失敗したラーソンにハムリンが挑みましたが、ラーソンはなんとか振り払いました。ハムリンはここで内側をギャンギャン攻めてタイヤを使いすぎたのか、3位から順位を下げていくことになります。リポートではステージ1で使用したアレックス ボウマンのタイヤが紹介されていましたが、こじると右前タイヤがダメになりますね。
 ステージ2もバイロンの独走、ラーソン、ボウマンと続くヘンドリック上位独占でピットサイクルへ。3秒以上離されたラーソンはこのピットで左のウエッジをかなり足した様子なので、タイトな車を曲げる方向にしたと思われます。このアジャストがかなり効いたのか、ピット後のラーソンはバイロンを少し上回るペースで周回、155周目には0.3秒差にまで迫る場面がありました。

 しかし周回遅れが間に挟まって再び差が広がるともうステージ2は終了のお時間。バイロンがステージ連勝で、ラーソンは連続2位。ボウマン、トゥルーエックス、ベル、バッバ ウォーレスと続きました。予選ではロガーノとブレイニーがいたフォード勢、レースになると上位から姿を消してシボレーとトヨタだけのレースになっています。


・ファイナル ステージ

 強風が良い感じに吹いているので、フラッグ マーシャルは旗を振らなくても前にかざすだけで勝手に旗が振られていますね、という小ネタを挟みつつ最終ステージ。てことはバックストレッチで追い風なのでターン2の出口に向けてダウンフォースが抜けるためここで車がよりタイトになりますね。小ネタからこういう考察をするとレースが0.02%ぐらい余分に面白く見られますw
バタバタバタバタ・・・

 ここもバイロン、ラーソン、ボウマンのトップ3、トゥルーエックス、ウォーレス、ベルが続き、ロガーノもブレイニーもトップ10圏外。別にメーカーごとに車両に得手不得手があるわけではないはずなので、ペンスキーはセッティングの基本的方向性をレースに向けて誤ったと思われます。
 ここもまたコーション無く綺麗なレース、14位争いはカイル、ケゼロウスキー、ロガーノのベテラン3人が3ワイドで見事な争いをしていたので、あとでここをクリップで切り取っておこうかな、なんて思ったらクラッシュ発生。182周目のターン4、外へせり上がったケゼロウスキーがロガーノを壁に挟んでしまいました。


 壁に当たって内側に巻き込んだロガーノは芝生を滑走。本日初めてアクシデントによるコーション発生となりました。ロガーノはダメージを制限時間内に修復できずそのままリタイア、大会スポンサーを背負っていたのに決勝では思うようにいきませんでしたね。ケゼロウスキーからすると、ロガーノは右後方だったので引くべき位置だと考えたけど、ロガーノからするとまだ3ワイドのつもりだった、という認識の差があったようにも見えます。あのまま3台並んでたらかっこよかったのになあ。

 これでリード ラップ車両がピットへ。ボウマンのクルーが非常に素早い作業を見せましたが、ハムリンが唯一の2輪交換を実行。ピットを出た順番はハムリン、ボウマン、ラーソン、バイロンとなり、今日初めてレースが大きく動きました。
 190周目・残り78周でリスタート、ラーソンが押してくれたおかげもあってハムリンがひとまずリードを確保します。まだ70周以上残っているけどとにかくここは絶対前に行かせない雰囲気のハムリン。かなりラインを変えて抵抗しましたが、さすがに抑え続けるのは無理があって196周目にラーソンが前へ。

 ここから一気に落ちるかと思われたハムリンですが、うまくレースが落ちついてそのまま2位を維持。さらに、ペースが落ちるどころかスティント終盤にはタイヤを使いきってラーソンと0.5秒差まで追い上げ、残り47周でアンダーカットを狙ってピットに入ります。これを受けてラーソンも翌周に即座に反応。ラーソン陣営のピット作業はハムリン陣営より1秒ほど早かった様子で、アンダーカットを阻止するどころか少し差を広げました。
 ここからハムリンはラーソンに付いて行けずバイロンが2位に浮上。ハムリンは2輪交換からの4輪交換でバランスが思っていた状態ではなかったか、前に出れないのならもう勝てないから45周をきっちりもたせることを考えたのか、いずれにしてもこの段階で優勝争いからは一歩後退です。
 ただバイロンもまたラーソンに追いつくことはできず徐々に差は広がっていきます。解説のラリー マクレイノルズは
「過去6回の春のラスベガスのレースのうち、2回は残り5周以内にコーションが起きており、クルー チーフはもしコーションが起きた際に自分たちはどうすれば良いか考えを巡らせています」
と、独走でもクルーチーフは常に心配性なことを解説してくれます。去年も残り3周でエリック ジョーンズがクラッシュしてコーションとなり、リーダーのカイルはこれが原因でほぼ手中に収めていた勝利を逃しています。でもまあ、言うたかてそんなに毎回都合よく最後に何かおきるなんてk
ごめんやってもうた

マジか・・・

 残り4周、エリック アルミローラの単独スピンでまさかのコーション。クルーチーフのクリフ ダニエルズも思わずこの反応。ちなみに去年の場合は全車ピットに入り、ラーソン、ボウマン、バイロンが2輪交換で前へ、勝利を手にしかけていたカイルは4輪交換したことでリードを失い、結局ボウマンが勝利しました。

 そんな経験も踏まえての今年のレース、さすがにここでステイ アウトという判断はあまりに無謀なので上位勢はピットへ入り右側の2輪交換。ラーソンは僅かながら作業がうまく流れず、ここでバイロンが逆転しました。唯一トゥルーエックスだけはギリギリのタイミングでフェイントをかけてステイアウトを選択しますが、他に誰もステイアウトがいない孤立状態です。詰んだ。

 オーバータイム、トゥルーエックスはターン3の入り口まで粘るのが精いっぱいでバイロンが外からあっさりと前へ。旋回速度の落ちたトゥルーエックスがターン4をせり上がったので、ボウマンとラーソンはちょうど邪魔になって2台とも詰まってしまい、事実上これで決着が付きました。最終周のバックストレッチでA.J.アルメンディンガーのスピンをきっかけに多重事故になり、ジョーンズもクラッシュしましたが前を走っていたドライバーには影響なくコーションも無し。バイロンが昨年の第8戦マーティンズビル以来けっこう久々の優勝を手にしました。


 2位ラーソン、3位ボウマンでヘンドリックがトップ3を独占。代走のベリーは2周遅れの29位でしたが致し方なし。4位にウォーレス、5位ベル、6位に気付いたらオースティン シンドリックでした。2回ほど壁に当ててアライメントがちょっと狂ったカイルは14位、同じく滑ったり軽く壁に当たったりしていたレディックは15位でやっと完走できました。

 元々コーションは少ないことが多いラスベガス、今回もアクシデントによるものは2回だけで2時間50分のスピーディーなレースでした。ほとんどはバイロンかラーソンが逃げているレースだったわけですが、ラーソンのアジャストが決まった、のに最後のコーションでひっくり返った、というあたりはNASCARらしい結末でした。
 ラーソンは左のウエッジをかなり足した後、次のピットでは右のウエッジも少しだけ足していたので、タイトを是正して概ねセットが合ったところでさらにバランスを取りにいったんだろうなと想像します。バイロンは映像が無い時もありましたが内圧のアジャストが中心であまりウエッジはいじっていなかったように見えたので、このあたりはチャンピオンを獲っているラーソン/ダニエルズの経験値がなせる業かなと思いました。こういうところを探りながら見るとレースが1%ぐらい面白く見れます。(個人の感想です)
 バイロンは速いしマネージメントも上手いと思いますが、そのあたりのレースでの細かい部分であと一歩足りていないところがチームメイトに負けてしまうことが多い要因なのかな、とも同時に思うわけですが、タフな身内争いを結果的に制してプレイオフもほぼ確定させたので、この先は思いきったレースのやり方とかもあえて試していくというのもたぶん大事なんだろうなと思いました。

 次戦はフェニックス、砂漠王・ハービック、2018年以来となるフェニックス通算10勝目を挙げられるか!?

コメント

日日不穏日記 さんの投稿…
最後にジャスティン・ヘイリー、クリストファー・ベル、オースティン・シンドリックら、今までどこにいたんだ?というドライバーがトップ10に入りましたね。ダニエル・スアレスも最後は、ロス・チャステインを出し抜き、フィニッシュ。ヘンドリックの強さが際立ちましたが、トヨタ勢では、タイラー・レディックの活躍を見たいところです。ヘイリーが上位に入ると、AJ・アルメンディンガーのリザルトが気になって仕方ありません。
首跡 さんの投稿…
とりあえずレディックが完走できて一安心(?)しました。
ベリーにはちょっと期待しているので、少しでもポイントを稼いでチームやエリオットに貢献できると良いなぁとか勝手に思っています。
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 想像ですが、エクスフィニティ―でのスミスの活躍具合というのはAJは気にするんじゃないかと思いますね。最低でもロードコースで勝ってプレイオフ進出は今季の必須任務だと思うので、とりあえずきっちりレースをまとめてCOTAへの流れを作ってもらいたいなと思います。下手したら来年スミスと入れ替えられちゃう^^;
SCfromLA さんの投稿…
>首跡さん

 けっこう危うかったですけどレディック完走できましたね。ベリーはなかなか大変な立場の代走になりましたけど、苦労人エピソードが応援したくなる存在なのであまり重荷に考えすぎず自分のレースをしてほしいなと思います。ロードコースでは別の人を立てられちゃいましたけど^^;