F1 開幕戦 バーレーン

FORMULA 1 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX 2023
Bahrain International Circuit 5.142km×57Laps=308.238km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull Racing RB19-Honda RBPT)

 2023年のF1世界選手権がえらく早い時期から始まりました。日本を含むアジア圏の放映権に関してちょうど2022年末が更新時期だったので、もしフジテレビNEXTで見れずにDAZNやらネットフリックスやらだけになったら見るのやめようかなと思ったんですが、無事フジテレビがまた放映権を持って来たので継続となりましたw
 全くの余談ですが、私はたまたまスカパーの加入月が2月で、毎年加入月になると『16日間多チャンネルプレゼント』というキャンペーンがあって翌月末まで使用権があるので、3月のレースはこれを使って無料でフジテレビNEXTを視聴してやり過ごし、4月から本契約して費用が1か月分浮いています、ラッキー♪逆に12月1日とかにレースをやられると、この1戦のために12月も契約がいるのでちょっと損した気分になります。昔は年末の総集編を見てたんですけど、近年は時間がもったいなくて見なくなってしまいました。



・開幕前の話題

 お馴染み、F1に関してはオフの話題を調べない上に半分は「見れないかも」と思ってたので大したことは知りませんが、規則はインチキを防ぐための小さい変更が中心なので昨年とあまり変わりません。PUは開発凍結なのでお題目としては信頼性の向上のみ可能、空力開発も風洞実験の稼働時間に制限があり、上位チームほど制限が課されています。予算制限もありますし、その予算制限で昨年に超過を認定されたレッド ブルは基準よりさらに風洞実験の時間が制限されています。今は速くても、今季後半から来年の車両開発に向けて影響が出そうです。
 そのレッドブルは、搭載するPUについて2026年からはフォードと組むことを発表。2025年まではホンダとの協業が続き、今年からPUの名称もRBPTではなくホンダ RBPTへ変更されたんですが、一方でもう3年後のことを大々的に宣伝するといういかにも宣伝効果重視な行動を見せました。ホンダも2026年以降の活動が可能なようにPU製造業者として登録はされており、実際の決断や協業相手をどうするか等は検討を続ける構えです。あれあれ~、二度と戻らないんじゃありませんでしたっけ~?

 メルセデスの新車・W14はカラーリングが銀から黒に。再び人権保護を訴えかける取り組みかと思ったら、単に軽量化のため少しでも塗装を削減したかったというのが理由で、塗装をそもそもしていないカーボン地の部分も混在しているそうです。普通カーボン地の黒で出てきたらテスト車両だと馬鹿にされそうですが、一時期黒にしていたおかげで特に気にならないのは利点ですね、ただアストン マーティンとの見分けが・・・
 そのメルセデスで長年戦略を担当していたジェイムス バールズはウイリアムズの新代表に就任。メルセデスのチーム内で揉め事が起きた時に無線で「ジェイムスだ、〇〇してくれ」と言っていた、チーム全体の戦略を統括していた人です。前任のヨースト カピートが離脱を発表していたために後任としてやってきました。メルセデスとして人事異動したような感じになりましたね。

 重いから塗装すら省くメルセデスとは対照的に、マクラーレンは車体の一部になんと電子広告を導入。これにより表示する広告を自由に替えられます。余計なものは一切付けたくない人たちが、わざわざ宣伝のために余計なものを積むというのも進歩と言うべきか、時代の要請と言うべきか。そうしてでもスポンサーからの広告料が無いと困る、と捉えるべきか。広告で0.2秒遅くなっても、入ったお金で0.3秒分の開発が出来たらお釣りが来るともいえますからなかなか考えると面白い気もします。

 開幕の1週間目にバーレーンで唯一のテストが行われましたが、ランス ストロールはオフの自転車トレーニングで手首を骨折したのでこれを欠場。ほんの10日ほど前に手術したばかりなので開幕戦も無理かと思ったら、なんとやや強引に開幕戦に間に合わせました。何せ代走の切り札・ニコ ヒュルケンベルグがハースの正ドライバーになってしまいましたから、代走探しするなら大変ですしねえ()

・予選

 いきなりQ1開始5分ほどでシャルル ルクレールの車から小さい空力部品が脱落し赤旗になりました。開始5分でファンを不安にさせる天才的才能を見せたフェラーリですが、ルクレールはQ3の1回目のアタックでマックス フェルスタッペンから0.1秒遅れの2位と速さは相変わらず。ところが、決勝に新品タイヤを持ち越すために2回目のアタックに出て行かず、ポール ポジション争いはちょっと拍子抜け。
 フェルスタッペンは2回目のアタックでさらに記録を伸ばし、ピレリ ポールポジションを獲得、セルヒオ ペレスも2回目のアタックでフェルスタッペンに迫り2位となりました。ルクレールは出なかったことで1つ順位が下がりましたが、新品タイヤ1セットと奇数列を手に入れたので作戦としてはうまく行きました。4位にカルロス サインツ、5位はアストン マーティンに移籍したフェルナンド アロンソ。ジョージ ラッセル、ルイス ハミルトンがこれに続き、ちょっとしたF1界の異世界おじさんがメルセデスを破ってしまいました。

・決勝

 ほぼ全員ソフトでスタート、ルクレールは残しておいた新品を投入して2023年シーズン開幕。やはりペレスの蹴りだしが今一つでルクレールが狙い通り2位に浮上します。その先のターン4では8位スタートのストロールがアロンソにミサイル未遂、ウイングと右後輪が接触しました。アロンソは元々ハミルトンに抜かれて6位になっていましたが、当てられたせいで姿勢を乱してラッセルにも抜かれました。たぶんこの時は誰にぶつけられたか分かっていないと思うので、バレないうちに記憶を消した方がよさそうです。イキュラス キュオラ!


 とにかくタイヤの管理が大事なのですぐさまレースは縦長の隊列へ、フェルスタッペンとルクレールは徐々に離れて行き、スタートで5位に上がったハミルトンは苦戦してサインツに付いていけず。ラッセルは無線で軽くハミルトンの遅さに文句を付けつつ、リズムが狂ったのか自分ではみ出してしまい、そんな幸先の悪いメルセデスをアロンソが後ろから追いかけています。

 12周を終えて上位で最初にハミルトンがピットへ、メルセデスはラッセルも苦しんでいましたが前にいる人が優先なので取り残され、ここでアロンソがラッセルをかわしました。抜かれたラッセルはこの周を終えてピットへ。とりあえずアロンソをアンダーカットしてまたアロンソの前に出たいはずでしたが、作業に少し時間がかかってしまい結局ピット後もアロンソの後ろになってしまいます。踏んだり蹴ったりのラッセル、この後2回目のピットを終えてストロールにも抜かれてしまい7位で開幕戦を終えました。

 そしてこの13周目にはなんとびっくり、フェラーリが2台同時ピットを敢行。今年は組織体制を見直してきたというフェラーリ、去年までとは違うぞ、というところを見せつけます。これを見てフェルスタッペンもピットに入りこの後サイクルは一巡。大半のチームはソフト→ハード→ハードの2ストップですが、レッドブルだけはハードを1セットしか持っておらずソフトを連投です。

 暫く何も起きないレース、1回目のピットを引っ張ったペレスがソフト連投でルクレールを追い上げ26周目のターン1で逆転。昨年ドライバー選手権で2位を争ったライバルが開幕戦から争いを見せます。ペレスもルクレールも次はハードを履くので逆転は難しいかもしれません。 
 あまり何も起きない中盤にある種一番盛り上がっていたのはエステバン オコン、スタートでグリッド位置に正しく停止しなかったとして5秒ペナルティーを食らい、じゃあどうせ後方にいるのでペナ消化と壊したウイング交換してやれ、とピットに入ったら5秒経つ前にクルーが車に触れていて消化不成立。これで改めて10秒ペナルティーを食らった上に、さっきのピットで速度違反までやらかしていて合計15秒の負債を抱えてしまいました。結局オコンはこのレースリタイア、アロンソが抜けて気が緩んでいるのではw

 30周目、アロンソに睨まれたハミルトンはアンダーカット阻止のためピットへ。ここから2回目のピットサイクルへ入っていきました。2度目のサイクルを終えた後に盛り上がったのはやはりハミルトンとアロンソの争い。アロンソは37周目のターン4で内側に入ったものの出口でミスって一度は攻撃に失敗しますが、翌周は予想外のターン9~10でクロスをかけて鮮やかにかわしました。相手のラインを縛るためにギリギリまで距離を詰めつつ、一切危険な状況を作らずに自分が入る隙間を作る名人芸、さらにサインツの追撃に向かいます。


 すると表彰台の一角が危うくなってきたフェラーリに悲劇、40周目にルクレールの車に問題発生。コース脇に車を止めてしまいました。ルクレールの車は決勝前に蓄電装置と制御装置を交換。年間2基しか使えない部分を『懸念されるデータがある』ので交換するという異例と言える行動に出ていましたが、関係性の有無は別にして決勝でも問題が出ました。
 元々、開発凍結という特性上『まずは性能を重視して開発し、後から信頼性向上で対処する』という方針でPU開発を行っている様子のフェラーリですが、現行PU2年目になってもまだ問題を潰し切れていない様子です。現時点で何が原因か分かっていないんですが、ERS状態表示灯が赤色で点滅していたので、電動部分に何かしら異常があったのではないかと感じました。

 ルクレールが止まったことで一時VSCが発動し、中団はピットに入る車がいましたが上位は何もなく終了。アロンソはサインツ追撃を再開しました。「順位を守れよ」と指示されるサインツですが、「もし飛ばしたら最後までタイヤがもたないよ」と弱気の応答。そんな状況で異世界おじさんを止められるはずも無く、45周目にアロンソはサインツを抜いて表彰台圏に入りました。今回はターン9~10でまたクロスをかけようとするものの、ブロックされるのを察知したらすぐに手法を切り替えて立ち上がりで抜きました。
今度は立ち上がりで狙う

 アロンソは後ろが来ないし前にももう追いつかないので安全運転しつつ、車を褒めた上にストロールの順位まで気にする全方位対応で快走。アロンソの活躍のおかげでほとんどレッドブルが映像に映らないままレースは最終周となり、フェルスタッペンがチャンピオンとして開幕戦を制しました。開幕戦もバーレーンGPも初勝利となりますが、2017年以降開幕戦の勝者は全てシーズン2位であるという不吉なデータがあります(っ ◠‿:;...,
 フェルスタッペンが安全運転してたんでしょうがペレスも12秒差の2位で辿り着き、レッドブルは高いレベルでの開幕戦ワンツー達成です。ワンツーは何度もあるレッドブルですが、予選も決勝も、となると2013年のアブダビ以来でV6ハイブリッド制となってからは初めてでもありました。


 そして3位のアロンソは2021年カタールGP以来の表彰台、41歳219日での表彰台はここ37年間では2012年に43歳で表彰台に乗ったミハエル シューマッハー以来の高齢記録です。もう勝手に今年は異世界おじさんキャラで行こうと思いますが、バトルで自身の思うがままに相手の動きを縛って追い込み抜いて行く様を見ていると、テニスの王子様に出て来る手塚 国光の必殺技・手塚ゾーンも頭に浮かぶので悩ましいところです(謎)

 もう1人意外な順位だったのがピエール ガスリー、アルピーヌ移籍初戦は予選・Q1ではみ出してタイム抹消を食らったのでなんとビリになりましたが、決勝では早めにピットに入る作戦で順位を上げ、2回目のサイクルを終えるとあら不思議の11位。ここにルクレールのリタイアと、VSC時に3回目のタイヤ交換でソフトに戻してもう1台抜いて9位でした。予選では古巣・アルファタウリの後塵を拝しましたが、決勝できっちり取り返した形です。アルファタウリは角田 祐毅が惜しくも11位でした。


 今回レッドブルはソフトを5セット持って予選に入りました。多くのチームは特にリアのグリップ低下に苦しむのでハードを決勝で2セット使う想定でしたが、レッドブルは速い上にタイヤももたせられるのでソフトを2回使うことができました。フェルスタッペンはフリー走行の段階ではあまり感触が良くなかったようですが、ソフトをきっちり使える、という時点でレースに関しては始まる前から優位性がありました。
 フェラーリとしても、後ろとは少し差があるんだからたとえばルクレールのスタートを中古ソフト、そこからハードに繋いで、車が軽くなって路面温度も下がる最後に新品ソフトを使うぐらいの勝負手を試してもよかったのかな、とは思いますが、現実的に見てそれで勝てる見込みも無いので夢は追わなかったんでしょうね。どっちにしろ車が壊れてしまったので関係無くなってしまいましたけど。
 極端なストップ&ゴーのバーレーンは特殊な部類なのでこれだけで勢力図が決まるわけではないですが、今年もレッドブル優位は変わらなさそうだという第一印象でした。上位チームとすれば、たとえレッドブルに対して完全な互角で無くても、勝てる雰囲気を出して『今期の開発を止めさせないこと』ができると、気が早いですが多少なりとも来年の勢力図に影響します。前半で楽々勝ち続けるともう開発を来年に向けてしまって来年の独走にも繋がるので、前半でどのぐらい対抗してくれるのかを見てみたいと思います。

 次戦は2週間後、ずっとクネクネしてる危険な高速市街地のサウジアラビアです。もし3週間後だと16日間多チャンネルプレゼントの期間が終わっていて本加入するしかなかったので、2週間後はとてもありがたいです!w

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