DualSense Edgeを買いました

 グランツーリスモ7の発売から1年が経過しました。未だに不具合や運営側のリスク管理の甘さを感じる問題等が複数発生して相変わらずな一方で、バージョン1.29からPSVR2に対応したことで話題になっています。グランツーリスモSPORTではオマケ程度のVR対応だったのに、今作はほぼ全てVRで遊べてしまうという驚きの仕様。
 邪推ですが、GT SophyのAI技術やPSVR2発売時の宣伝材料など、GT7はSIEどころか時にはソニーグループ本体の様々なプロモーション活動において活用する存在にもなっているので、完成度に関わらず期限を設けて発売せざるを得ない、という事情が存在し、ユーザーが求める優先順位とメーカー側の優先順位がズレて噛み合わない一因ではないかと思いますね。

 で、そんな中ですが私はさすがにVRに手を出す気はない一方で、ちょびっと臨時収入があったので、思い切って『DualSense Edge™ ワイヤレスコントローラー』を購入してみました。メーカーが公式に発売するカスタマイズコントローラー、というお題目のデュアルセンスエッジ、長いので以下エッジ君と呼ぶことにしますが、1週間ほど使って親父杯の30代クラスのレースにもこれで出場したので、現段階での感想を書いてみたいと思います。
 私の場合プレイステーションがグランツーリスモ専用機と化していますので、エッジ君×グランツーリスモ7限定での話になりますが、気になっている方がいらっしゃれば参考程度にご覧いただければと思います。


 エッジ君の特徴としては

・背面に2つのボタンがある
・スティックとトリガーのカスタムができる
・スティック部分は独立して交換できる

といった内容があります。順番に使い勝手などの感想を書いてみます。

・価格

 とりあえず先にお値段を確認しておきますと、ヨドバシカメラのお値段で従来のデュアルセンスは7670円、一方デュアルセンスエッジは29980円です。ソニーストアの公式販売価格でもほぼ同じですね。ちなみにヨドバシは通常ポイント10%還元ですが、これは5%還元です。本体重量に関してはデュアルセンスが279g、エッジ君は327g(背面ボタン無し、標準スティックキャップ時)となっていてエッジ君は50gほど重いです。

・背面ボタン

 エッジ君には通常版には無い背面ボタンを2つ取り付けることができます。ハーフドーム型とレバー型の2種類のボタンが用意されており、任意で取り替えることができます。もちろん左右別々でも構いませんし、不要なら外せばOK。私の場合、人差し指でL1/R1を、中指でL2/R2のトリガーを持っているので、背面ボタンを押すなら薬指になります。そうすると、レバー型はコントローラーを握るだけで簡単に押してしまって常時誤爆状態なので、ハーフドーム型を右にだけ装着しました。
 例えば人差し指でL2/R2トリガーを使っているなら、背面ボタンをレバー型にして中指でパドルシフトのようにシフト操作するようなこともできると思います。モーションでステアリングを操作したらもはやハンコン同然ですね(?)


 グランツーリスモはボタンが足りないぐらい割り当てる機能があるので2つ増えるとありがたい、と思いきや、背面ボタンが2つあるからと言って使用できるボタンの数が単純に2つ増えるというわけではありません。というのも、エッジ君に背面ボタンがあったところで、グランツーリスモ上のキーアサインは普通のデュアルセンスが対象物なので、背面ボタンに機能を割り当てられないからです。
 ですので、GT7上で背面ボタンを機能させるには、本体側の設定で背面ボタンに別のボタンの機能を割り当てるよう予め設定する必要があります。たとえば私の場合、オーバーテイクシステムを割り当てるボタンが無くて、仕方なくR3ボタンに割り当てていました。これを背面の右ボタンで使用したいので、本体側の設定で背面右ボタンにR3ボタンの機能を割り当てました。これで右背面ボタンはR3ボタンとして機能してくれます。ちょっと使いやすくなりました。
 じゃあ空いたR3ボタンに何か割り当てれば、と思いますが、それをやるにはまた『R3に違うボタンを割り当てる』ことをしないといけません。私はとりあえずR3にL3の機能を与え、グランツーリスモとしては『L3=ホーン』とすることで、R3をクリックするとホーンが鳴るようにしました。L3はステアリングなのでレース中はほぼ使えない&誤爆しやすいので休眠状態でしたから、R3に移し替えると多少は押せるものが増えます。今までホーンはボタン不足で使えなかったので実質1つ機能を増やせた形ですが、まあほぼいらない蛇足ですねw
背面ボタンにR3
R3にL3を割り当て



 今後の改善点の希望としては、グランツーリスモ側でエッジ君に対応したキーアサインを追加してもらうか、あるいは本体側の機能でタッチパッドの左/中/右も別ボタンへの割り当て変更できるようになると、ほぼ休眠状態のボタンを使う余地が出てくるので使い勝手が良くなるかなと思います。ハンコンなんて機種ごとに設定項目があるんだから、パッドもデュアルセンスとデュアルセンスエッジの2種類あっても良いと思うんですよね。

 なお、エッジ君には手前に『Fn』とかかれたボタンが2つありますが、これはエッジ君の専用メニューを呼び出すためのショートカットボタンみたいなもので、ここに他の機能を割り当てることはできない仕様になっています。

・スティックのカスタム/挙動設定

 エッジ君の目玉機能だと思いますが、スティックとトリガーについていくつかカスタマイズ余地があります。

 まずスティックですが、スティックキャップ=いわゆるキノコの部分を引っこ抜いて別のキノコと交換することができます。デュアルセンスと同形状のものが標準装備されていますが、他に頂点部分の形状が円形になっているロードーム型と、背が高いハイドーム型があります。


 通常型は根元からの長さが9mmほどですが、ロードーム型は頂点部分が丸い分だけ少し高くなって10mm、ハイドーム型は13mmあります。長くなると、先端部分が描く円の半径が大きくなるので多少ではありますがスティックの操作をより繊細に行うことができます。グランツーリスモの場合ステアリング操作に直結しますので、私は左だけハイドーム型にしました。私はやや手が大きいのであと2mmぐらい長くても行けそうですが、手の小さい方だと持ち方次第では既に指が届くギリギリか、ちょっと持ちにくいかもしれません。
片方だけハイドーム、右は長くても邪魔なだけ


 そして、本体側の機能としてスティックの感度を変更することもできます。変更できるのは感度とデッドゾーン。感度というのは、こっちがスティックを操作した時にそれに対してゲーム機側がどう動くかで、普通は倒したら倒した分だけ動きますが、これを『ちょっと操作しただけでたくさん動く』『ある程度倒すまではゆっくり動いて、その先で早く動く』といった内容に変更できます。標準以外に予め5種類のパターンが用意されていて、さらにそこにある程度自分で改良を加えることができます。
 極端な話、スティックを使ってはいるけどほぼ0-100で十字キーのように反応する設定にすることも可能です。ただ、グランツーリスモを遊ぶ上ではトリッキーな動きは混乱するだけなので、この機能は役に立たないと思いますw

 もう1つのデッドゾーンですが、これはスティックの中心側に設けられる『遊び』のことで、通常は0%です。例えばこれを20%にすると中心から20%の範囲ではスティックを倒してもゲーム側では入力無し扱いになります。スティックはだいたい直線距離で半径5mmほど傾きますので、半径1mmの範囲はスティックを倒しても何も起きない、ということになります。これもグランツーリスモでは不要ですね。


 なお、個体差もあるのかもしれませんが、エッジ君は今まで使っていたデュアルセンスと比較して僅かながら中心付近の動きが柔らかく、同じように操作しても動かし始めの応答性が機械的な面で少し早く感じました。そのため、パッド補正スピードを従来より少し下げてちょうど同じぐらい、という印象を受けました。補正の数値は下がってますが、元々早く動くものを相殺したに過ぎないので、これでタイヤのライフが伸びるということは無いです。むしろ気を付けないと削ります。

・トリガーのカスタム/挙動設定

 続いてトリガー。まずコントローラー側にある物理的な切り替えレバーによって、トリガーの可動範囲を3段階から選ぶことができます。最も長いものは通常のデュアルセンスと同じで、トリガーはだいたい10mm押し下げることができます。真ん中にすると7mm、最も短いものは4mmほどしか可動しなくなります。ボタンとして使いたいのでストロークが長いと邪魔だ、というゲームでは短くすると使い勝手が向上しますね。
 ただ、グランツーリスモにおいてはトリガーはもっと長くなって欲しいぐらいなので最大の一択。短くするとアダプティブトリガーも機能しなくなる仕様なので、トリガーでアクセル/ブレーキを操作している人間としてはいじる必要性は全く無いですね。トリガー本体も全長を長くする、できる方法を用意してもらえるともっと実用性が上がるんですけどね~。

最大可動:いつも通り動く

最小可動:すぐストッパーにかかってここで止まる


 そしてこちらもデッドゾーンの設定が可能で、始点・終点の双方で設定を行うことが可能です。最大は0%/100%の状態で、これもさっきまでと同じ理由でグランツーリスモでは最大設定の一択になります。つまるところ、スティックとトリガーのカスタム要素はスティックキャップ以外私には全く必要なものがありませんw
左右は個別でも一括でも設定可能

 ボタンの割り当て変更や感度設定など、本体側で行った各種の変更は『プロファイル』という単位で保存することが可能で、簡単なボタン操作ですぐに切り替えが可能です。ですから複数のゲームで遊んで、それぞれで全然違う設定内容を使いたい場合には『グランツーリスモ』『実況パワフルプロ野球』とか名前を付けてプロファイルを保存しておき、ゲームごとに任意で切り替えて遊ぶことができます。切り替え忘れて思わぬ失敗をしないように気を付けないといけませんね。

 で、ここまでの話だと何ら役に立たない気がしてくるエッジ君ですが、公式的な機能以外で1つかなり大きな違いがありました。個体差ではなく仕様だと思うんですが、デュアルセンスの場合トリガーの可動範囲である10mmのうち、実際は8mmまでトリガーを押すともう100%の入力になってしまい、残った2mmはデッドゾーンになっています。
 一方エッジ君なんですが、デッドゾーン設定を最大にした場合、10mm全てはやっぱり使いきれていないものの、9mmあたりで入力が100%になりました。(※必死に画面を見ながらトリガーを押して、定規でその長さを何回も測った超絶主導計測ですw)エッジ君の方が実質的なストローク量が1mm長かったのです。
 たったの1mmではありますが、割合で言うと10%以上長くなっています。普段その微妙なところを中指で頑張って調節している人間からすると、たった1mm伸びただけでもそれなりに操作性の向上を体感できます。特にブレーキの操作が、どうしてもフルブレーキからブレーキを少し抜く際、奥側のデッドゾーンが邪魔で『自分では少し戻したつもりなのに戻っていない』ことが起きやすいんですが、少し軽減されています。


・スティックだけを交換できる

 プレイステーションのデュアルショック系コントローラーは、構造上仕方ないんでしょうがスティック部分が壊れやすく、使用を重ねると劣化してスティックがきちんとセンターに止まらずに勝手に動いてしまう症状が出てしまうことがあります。この場合コントローラーごと買い替えるしかありませんでしたが、エッジ君はこのお悩みを解決すべく、なんとスティック部分だけが独立したモジュールになっていて、別売りのモジュールと交換可能です。
 モジュールは現在の価格だとソニーストアで2680円、これならコントローラーを買い替えるよりは安いです。とはいえ、そもそもエッジ君自体が高額で普通のデュアルセンス4個分近い値段ですし、スティックが蘇ってもアダプティブトリガーもまた機械的故障が起きるであろう箇所ですから、長生きできるというわけでも無いように思います。よっぽど数か月に1回スティックが壊れるような遊び方をしている方ならそのうち損益分岐点を超えて安上がりになるかもしれませんが、そんな人はまずいないので寿命だけを目当てに買っても効果は期待できないように思います。
 余談ですが、私はデュアルショック2では『振動でR1ボタンが勝手に押される』という症状が、デュアルショック3では『振動で稀に△ボタンが誤作動する&PSボタンが劣化してほぼ押せない』という症状が出て、それぞれ一度買い替えた経験があります。デュアルショック4はGT SPORTで4年間遊びましたけどノートラブルでしたね。その間USBケーブルは2回接触不良で買い替えましたけど。

・で、結局どうなのよ

 私にとってはスティックカバーと有効トリガー長の拡大というのはいずれも非常に使い勝手が良いので、『もしデュアルセンスが壊れた時に、通常とエッジ、どっちに買い替えるか』と考えたらエッジです。ただ、これはあくまで私の話で(あくまでグランツーリスモ7だけで使用するなら、という条件ですが)現時点ではおそらく大多数の方にとって、さすがに約3万円を出す価値は無い可能性が高いです。
 上記2点のメリット、いずれも(自分で言うのもアレですが)デュアルセンスでそれなりに繊細な制御を行うことができていて、でもあともう一歩何か武器が欲しい!という状況になって初めて役に立つものだと思います。トリガーを使ってはいるけどそもそもほとんど0%か100%のスイッチオンオフ状態の操作しかできていなければ、効果は期待できません。
 また、既にパッドでトップ級の方にとっては、もう通常のデュアルセンスで完璧に扱えてしまっているので、今さら少し機能が向上してもこれまた追加で得られるものは無いように思います。環境とお金が揃っていて、レーシングゲームに打ち込みたい人はたいていハンコンを買うことになるのでわざわざこれを買う必要は無く、そういう点で私はちょうどうまい具合にターゲットの狭い範囲にハマった気もしますw
 他のゲームをもう長いことやっていないので、他のゲームをやるとなったら今どきのゲームはカスタムできる利点が多く役に立つかもしれません。アーマードコアも作品を重ねるごとに機能が増えて、ラストレイブンとかボタンが足りなくてかなり大変な操作をしていた覚えがあるので、こういうゲームだと割り当てをいじったりする価値というのも出て来るのかもしれません。上にも書きましたが、グランツーリスモ側でエッジ君専用の設定が可能になるとこれだけでも使い勝手が向上すると思うのでできれば取り組んでいただきたいなと思います。

 というわけで、私なりの視点でデュアルセンスエッジについてのお話でした。可動範囲の計測値については、一生懸命定規で何回も測りましたが、公式な数字ではなくズラスポ測定値ですので悪しからず。

コメント