F1 最終戦 アブダビ

FORMULA 1 ETIHAD AIRWAYS ABU DHABI GRAND PRIX 2022
Yas Marina Cuircuit 5.281km×58Laps=306.183km
winner:Max Verstappen(Oracle Red Bull Racing/Red Bull RB18-RBPT)


 2022年のF1第22戦、F1の最終戦にして私が見ているレースも今年はこれが最後のレースです。2日後に高熱を出して、どこかにやる気スイッチを落っことしたみたいになってしまったので8割書いた下書きがそのまま放置になってしまいました^^;
 やる気スイッチはまだ落としたままなんですけど、一昨日会社の前を掃除していて指輪を拾い(数日前に社長が落としていたらしい)、夕方になんば駅構内でSuicaを拾いました(首都圏からの旅行の方が落としたかも?)。みなさん落とし物には気を付けてくださいね。落とし物といえば去年の最終戦でここに大きな落とし物をした人が1人いる気がしますけど、まあいいやw


・レース前の話題

 ハースはミック シューマッハーが今季限りでチームを離脱し、来季のドライバーとしてニコ ヒュルケンベルグを起用すると発表しました。ニキータ マゼピンと比較すれば良い走りを見せていたミックでしたが、ケビン マグヌッセンとの比較では明らかにマグヌッセンに分がある状況で、既に離脱は決定的と見られていました。
ちょっとクリント ボイヤーと似てる?

 鈴木 尚広、みつくにと並んで世界3大代走に選ばれているヒュルケンベルグ、2010年にウイリアムズでデビューして以降フォース インディア、ルノーと渡り歩き、2020年はシートが無かったものの、COVID-19という想定外の事態が彼に代走という機会をもたらすことになりました。レーシング ポイントから3戦に出場すると、2022年にもアストン マーティンから2戦で代走。
 表彰台の経験すらないドライバーが3年間のブランクを経て35歳でまたフル参戦に戻って来るというのはかなり異例だと思いますが、代走職人がスタメンでシーズン60盗塁を目指します。

・予選

 Q3、レッド ブルは本来ならマックス フェルスタッペンがセルヒオ ペレスにスリップストリームを与えてあげる手はずだったようですが、なぜかマックスが動かずチェコ孤立。単に電気系の不具合でエンジンがかからなかったようですが、先週いざこざがあったばっかりなので、早速仲間割れじゃないかと国際映像的にはおいしい展開。
 結局ピレリ ポール ポジションはフェルスタッペンが獲得し、2回目のアタックではちょびっとだけスリップを貰えたペレスが2位、シャルル ルクレール、カルロス サインツ、ルイス ハミルトン、ジョージ ラッセルと波乱の無い上位6台の並びになりました。メルセデス、直線が遅すぎて勝負になりません^^;
 いよいよF1最後のレース、セバスチャン ベッテルは予選9位と健闘。途中3アタック連続で、最終コーナーでレッドブルの車が目の前にいてちょっと邪魔になる、という古巣からの謎の洗礼を受けましたが、車から出せる力を出した感じです。


・決勝

 タイヤの摩耗がハゲしいのでソフトは役に立たず上位15台がミディアムを選択。ルクレールとペレスによる選手権2位争いは同点なので、難しいことは考えず相手より前でゴールすれば2位獲得です。さあどうなる。
 ペレスは加速がそこそこ良かったのでターン1でフェルスタッペンの内側に並びそうにはなりましたが、別に譲ってくれるわけでもなくそのままフェルスタッペンがリード。スタートでサインツを抜いたハミルトンはターン6でサインツに差し返されますが、ちょっと押し出されて高い縁石でジャンプ、そのままシケインを通過してサインツの前に戻りました。
ちょっと縁石高すぎかも・・・

 これは一応接触回避という言い訳で居座るのかと思ったら、どうやらチーム側は分が悪いと考えたようで4周目に順位返還を指示。ただハミルトンの方がペースでは勝っているようで、5周目に改めて抜き返しました。ところがハミルトンも1周で1秒差を付けることができずサインツをDRS圏内に残したのが災いし、少し差を付けても毎周DRSで追いつかれる無限ループになりました。
 結局ハミルトンは8周目にサインツにまた抜き返されてしまい、続いてラッセルとの身内争いにも負けて9周目にラッセルが前に出ました。ハミルトンはパワー無いと訴えている上に、フロアが壊れてるんじゃないかとも言っていて、縁石大ジャンプで何か壊してるのかもしれません。単に電池切れしているのと苛立って乗れてないのを全部車のせいにしているかもしれません^^;

 その間にフェルスタッペンは2.7秒のリード、ペレスもルクレールから3秒リード、上位は早くも何も起きない雰囲気になって来たので、国際映像はベッテル成分多めになります。エステバン オコンを抜けなくて困ってますね。オコンは「なめてんじゃねえぞ、外から行かすかよお!」とばかりにベッテルを抑え込み、その後ろではフェルナンド アロンソが様子見。アロンソはベッテルに花を持たせてあげたいみたいなので無理に手を出しません。

・ピット サイクル

 14周目あたりからピットサイクルとなり、15周を終えてペレスとラッセルがピットへ。ペレスはベッテルとアロンソの真後ろというどう見ても悪い場所でコースに戻り、アロンソはすぐ抜いたもののベッテルを抜こうとしてターン6で痛恨の自滅。止まり切れずにはみ出してベッテルをさばき損ね、余分な時間を費やします。
 ラッセルの方も静止時間5秒と作業に失敗し、そのせいでピットに入ってきたランド ノリスと発進時に交錯。どう見てもアンセーフ リリース案件で、今年なぜか下手になったメルセデスのピット作業がここでも顔を出しました。ラッセルにはこれで5秒ペナルティー。

 17周目にサインツ、18周目にハミルトン、20周目にフェルスタッペン、そして21周目にルクレールが入って上位のサイクルが一巡しました。上位の人がピットに入るとベッテルの近辺で戻るので、これまたベッテルがよくテレビに映ります。いっぱい映ってるし、今日はもうベッテルの優勝ってことでどうでしょう?
 ところがそのベッテルは主流に反して1ストップ作戦を強いられ、遅くてどんどん抜かれているので引退レースなのに不満蓄積。序盤に自分の目の前にいたオコンがもう2秒ほど後方にいるので、お互いあと1ピット残しと考えるとどう見ても不利そうです。結局ベッテルは25周目にピットに入りましたが、作業も遅くてピットを出たらほぼビリ、最後なんだからガンガン攻めるレースをさせてあげたら良いのに、何でこんな地味作戦をやらせたんだ・・・

 33周目、6周のタイヤ履歴差があるルクレールがペレスを徐々に追い上げて1.3秒差まで詰め寄ると、ルクレールに対して「レッドブルの逆をやってボックス」の指示。これを聞いてレッドブルはアンダーカット阻止のために自分からピットに入りました。残り25周をハードでどうにかします。
 ルクレールの方は「プランCでこのペースを維持して走れる?」と聞かれ「そう思う」と同意。ということはもうピットには入らず1ストップでこのまま走り切ってしまう可能性があるので、もしそうならペレスは急いで追いかけないといけません。

 38周目、ターン5でミックとニコラス ラティフィーが接触し2台で揃ってスピン。幸い2台とも自走して復帰しました。ラティフィーは去年の大問題が起きるきっかけのクラッシュをした張本人ですから、一瞬またやったかと思いました。明らかにミックが不用意に距離を詰めすぎて自分からぶつけてますね。お互いにとりあえずF1最後のレースなんですが、お互いにイメージそのまんまの出来事で幕を下ろした感じです。またお声がかかる可能性は低いでしょう・・・

・1ストップ vs 2ストップ

 ペレスはルクレールより1秒弱速い状態で走っており、普通に行けばじゅうぶん追いついて抜けそうな状況。そのためにはハミルトンをコース上で抜かないといけませんでしたが、45周目のターン6で抜いたのにDRS返しを食らってターン9で抜き返されます。去年は自分がこれでハミルトンを抑え込んでフェルスタッペンの手助けをしましたが、1年経ってやり返されました。ところでハミルトン、「俺を1ストップに置くなよ」と無線で釘をさしていたんですが、結局そのままにされています。
 ペレスは1周余分に使って46周目にハミルトンを抜きますが、残り12周でルクレールまで9.7秒。リーダーのフェルスタッペンが無線で「タイヤの状態は良いぞ。チェコに全力で行けって伝えてくれ。タイヤは大丈夫だから。」とお墨付きを与えてくれています。フェルスタッペンはルクレールに合わせるために1ストップ我慢大会に参加させられましたのかと思ったら、レース後のペレスの話だと最初から1回だった模様。

 残り5周、ルクレールとペレスは4.7秒差、結局4位には放置状態のハミルトン。「やっぱり入るべきだった」とボヤいていますが私もそう思いますね。そしてそんなハミルトンには残り4周でなんと油圧系に起因した不具合が発生、今季最終戦はメルセデスにしては珍しいトラブルで幕を閉じました。ジャンプした影響もあるのでは。これでハミルトンはデビューした2007年から続けていた連続勝利が15年連続で途絶えました。

 ペレスは残り3周でルクレールの2.5秒後方までようやく追いついて姿が見えましたが、ターン6で周回遅れのピエール ガスリーに詰まって貴重な0.5秒を損失。ガスリーも目の前のアレクサンダー アルボンと順位を争って攻防の真っ最中だったので後ろへの警戒度が低かったと思われますが、13位争いなのでペレスからするとお前さっさとどけよの世界です。ペレスは残り2周で2秒差にはなりますが、ちょっと追いつかない雰囲気もあって焦っている様子が映像からも見て取れ、攻めすぎで逆に細かいミスを重ねています。
 
 フェルスタッペンは結局ルクレールに8.7秒差を付けてシーズン15勝という記録的な数字で2022年を終えました。映像がギリギリまで2位争いを追っていたのでチェッカーギリギリになってようやくフェルスタッペンが映りましたね。昔グランツーリスモの動画を作っていた時に、順位争いをギリギリまで追おうとしてうっかり1位のチェッカー場面までにカメラを戻し損ねて撮り直したことがありますw

 ルクレール、ペレス、サインツ、ラッセル、ノリスのトップ5で、結果ドライバー選手権の2位はルクレールが獲得しました。選手権3位からペレス、ラッセル、サインツ、ハミルトンの順となり、ハミルトンはリタイアのせいで5位にも入れなかったことになりました。逆から言うとサインツはなんとか5位になれたという感じです。
 そして、ハミルトンのリタイアに加えてアロンソも26周目に車が壊れてリタイアしたという、元チャンピオン2人のアシスト(?)により、ベッテルはなんとか10位で戻ってきて引退レースで入賞することができました。と言っても退屈な1ストップで1点獲るために最後のレースに臨んだわけではないと思うので気の毒な感じでした。
 オコンが7位でしたから、オコンと全く同じ動きをしていれば仮に抜けなくても8位にはなれた可能性があり、そうすればコンストラクターズ選手権でアルファ ロメオを抜いて6位になれていたと思います。対アルファロメオで少しでも多くの点を取ろうとして違うことをやったのかもしれませんが、ちょっと考えすぎでした。


 選手権2位とはいってもそんなに盛り上がるもんでもないだろう、と思ったら展開的にちょうどそこが一番の見どころになって良くできたもんだなと思いましたが、ルクレールが勝ったというよりはペレスとレッドブルがいくつか失点を重ねて相手に与えてしまった、という気がしました。
 1回目のペレスのピットで、なぜもう1周引っ張って混んだ場所を避けなかったのか、というのが最初にあり、しかもペレスはその対処で自らも失敗。替えたばかりのタイヤをいきなり酷使させてその後のペースに対してもマイナスですし、単純なタイム競争の話だけで言えば、ここで失った時間が無ければ最後にルクレールに追いついたはずなので、初手でミスったと感じました。
 逆にフェラーリはルクレールに対してタイヤの履歴差を活かした上手いレースをさせることができ、そしてタイヤがあんまりもたなくて困り気味な車でよく最後までタイヤを持たせたと思います。比較して言うのもアレですが、サインツではできない作戦ですね。1ストップが良かった、というより相手と違うことをしたのが良かった、ということだと思いますが、何かやると珍事を招いた2022年を最後は結果で締められて多少ルクレールも安堵したことでしょう・・・そもそも珍事が無ければ最終戦でギリギリ2位なんて争ってないんですよね、私がルクレールならやっぱり怒りがこみあげてきたぞw

 どうなるものかと思われた2022年、フェルスタッペンの圧勝でしたが、ちょっとしたことで違う結果になる程度の差の積み重ねで、見た目ほどの差は本来なら無いようにも感じました。予算制限がある中で上位3チームが接近するのか、中団のチームからどこが抜け出すのかが来年は楽しみですね。
 それと、個人的にやっぱり車に重量感がありすぎるので、次期規定は車を5秒以上遅くしてでも小型・軽量・低環境負荷にした上で競争してほしいな、と改めて思ったシーズンでもありました。絶対的速度が極端な話F2以下になっても競争環境さえ整えればF1は絶対面白くなりますし、上のカテゴリーで速度を抑えてFIAがピラミッド全体で速度を下げていけば、コースや車両の安全対策負担、環境負荷をいくらか軽減できると思います。そろそろモータースポーツ界は絶対的速度低下に舵を切るべき時が来たのではないかと感じる今日この頃です。

コメント

スイカ男 さんのコメント…
おおおお! ハースの27号車。どこかで見たことあるような。。とずっと思ってました!
あとは鉄拳制裁をどなたかに喰らわせれば完璧デス(((o(*゚▽゚*)o)))
カイル・プッシュ さんのコメント…
SCさん、大阪やったんですね(^^)ボクは京都です。めっちゃ近くからNASCARやらF1やらの情報が発信されてて嬉しいです。

さてさて、今年はフェルスタッペンの年でしたね。結果を見るとめちゃめちゃめちゃ強かったんですけど、個人的にはセナ・ベルガーの時のマクラーレンの方が強烈やった気がします。
あと、前のレースでフェルスタッペンがペレスに順位を譲っていたらどうなったんやろ、、とか、タラレバを考えてたりします。

フェルスタッペンの天下、来年も続くんですかね。もっと激しいポイント争いが見たいです。
SCfromLA さんの投稿…
>スイカ男さん

 ハースなのでピッタリな職場ですよね(っ ◠‿◠ c)
カーナンバー24番の人は特に鉄拳制裁を食らわないように要注意、あ、周冠宇が24番付けてるやないかw
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 完全に大阪の人です(っ ◠‿◠ c)やっぱりマクラーレンホンダ16戦15勝は印象も記録も強烈でしたし、唯一落としたイタリアGPも本来は勝ってて然るべきでしたから、それと比べると今年はフェラーリも対抗していた、というか本当はもっと対抗できたので本来ここまで圧勝はしないはずでしたよね。内紛を起こさずにフェラーリが前進してくれると良いのですが。