FORMULA 1 SINGAPORE AIRLINES SINGAPORE GRAND PRIX 2022
Marina Bay Street Cuircuit 5.063km×61Laps=308.706km
※制限時間到達のため59周で終了
winner:Sergio Perez(Oracle Red Bull Racing/Red Bull RB18-RBPT)
F1はここから過去2年間は開催できなかったイベント2連戦、まずはシンガポールです。3年ぶりの開催ですが直角コーナーだらけの市街地が激変したりはもちろんしていません。前回2019年の勝者はセバスチャン ベッテル、今のところキャリア最後の優勝で、たぶん更新されることもないでしょう。ベッテルのシンガポール通算5勝は最多記録です。
前戦イタリアを虫垂炎で欠場したアレクサンダー アルボン、手術後に一時容体が悪化したという心配な情報もありましたが、ちょうど2週間のお休みがあったタイミングだったのも幸いして無事復帰。なお、チームメイトのニコラス ラティフィーは今季限りでチームを離れることが発表されています。
そしてこの週末に妙に騒がしいのがコース外の話題で、ドイツの自動車雑誌が『レッド ブルとアストン マーティンが2021年の予算制限を超過しており、特にレッドブルはかなりのものである』と報じ、何らかの罰則が課せられるのではないか、あるいは、そうした事案はイメージが悪いので運営側が見てみぬふりをして公正に運営していないのではないか、と疑念を伝えています。
そんな中でのシンガポール、このイベントにどのぐらい予算がかかっているのか気になりますがそれはさておき、金曜日はよかったんですが肝心の土曜日に雨。
FP3が完全に雨で、予選時には雨は止んでいるもののとてもスリックでは走れない路面状態でした。降ったり止んだり、ではなく、一気にどこかでスリックに大転換が起きるわけでもなく、一部に濡れた部分が残っていてなかなか乾かないのでひたすらインターミディエイトで走るある意味安定した路面状況となり、そのため大きな波乱もなくQ3まで進行。
Q3になってようやくスリックの出番が登場し、1周が長いこともあって燃料を多めに積んでグルグルと周回してタイムを出す予選になりました。そんな状況で速いのはやっぱりマックス フェルスタッペンで、残り30秒あたりでコース上最速でセクター3に来ていましたが、ちょっとミスったのでアタックをやめて最後の1周へ仕切り直しました。
残り時間僅かで新しい周回に入ったので最も路面状況が良い最高の条件、フェルスタッペンはさっきよりさらに速いペースであとコーナー2つまで来ましたが、なんとここでいきなりピットに入るように大慌てで指示が出ました。従ったフェルスタッペンですが当然激怒、原因は燃料不足でした。
グルグル回ってアタックしているうちに想定より燃料を使ってしまったと思われ、さらに最後に追加でもう1周アタックに行ったので、このままアタックを完了すると予選後に提出する燃料サンプルが無くなってしまうので、損失を避けるにはやめてしまうしかありませんでした。実は中断したアタックでも十分最速だったフェルスタッペン、珍しくチームの混乱に足を掬われてまさかの8位でした。
ピレリ ポール ポジションはシャルル ルクレールが獲得、2位に0.022秒差でセルヒオ ペレス、3位もルクレールから0.054秒差でルイス ハミルトンとフェルスタッペンがいないとポール争いはとても白熱しました^^; カルロス サインツ、フェルナンド アロンソ、ランド ノリスが続きます。
そして日曜日も決勝を迎えるまでに大雨が降りました。スタート手順が1時間5分押して、久々に日本時間21時スタートだったレースは結局22時5分スタートに。待っている間にプロ野球ではオリックス バファローズが逆転で2年連続の優勝を果たしました。おかげで野球だけを先に見て劇的結末をじっくり見れました。三森 大貴が先頭打者ホームランを打って優勝が決まったみたいに騒ぐホークスのベンチと、点を貰ったらすぐひっくり返される今年の田中 将大のパターンから、どっちもひっくり返るんじゃないかと感じたんですよね・・・
シンガポールで日本の野球をチェックしていた人は1人もいないでしょうが、全員がインターミディエイトを装着して現地午後21時5分にフォーメーション周回が始まりました。週末のお客さんが累計で30万人だそうです。ブレーキの不具合で予選11位だったジョージ ラッセルが開き直ってPU部品を交換しピット レーンからのスタート。
スタートではペレスがトラクション コントロール使ってるんじゃないかというぐらい絶妙の発進でルクレールをかわして頭を取る一方、フェルスタッペンは動き出しで完全に失敗。ターン1では行き場が無くて内側をカットするように通過するしかなく11位に後退。このコースは誰かスタートで失敗すると事故になりやすいので何も起きなくてよかったです。
フェルスタッペンは危なっかしいケビン マグヌッセンと競ったので一旦は引いて12位に落ちたところから、ウイングの端っこが壊れているマグヌッセンを2周目に抜き返して追い上げを開始しました。あ、リプレイ見たらちょっとぶつかってるやん^^; マグヌッセンにはこの後オレンジ ディスク フラッグが出されて修復を命じられました、今季3度目だそうです。
ペレスは抜群のスタートを見せたもののルクレールがきっちり付いて行って1秒ほどの差で推移。まだ2分1秒ぐらいのペースなのでこのままだと2時間でレース距離を走り切ることができませんね。
湿度が83%もあるしもちろん夜なのでなかなか路面が乾かずペースが2分台から上に上がって行かない中、7周目に周 冠宇がラティフィーにほぼ壁に挟まれてしまってクラッシュ。ジョウがリタイア第1号となります。ラティフィーもパンクして低速走行。すでにエスケープにいるジョウの車を外へ出すだけなので特に何もないだろうと思ったら、8周目に不意打ちでSC導入となりました。
10周目にSCのライトが消えてリスタート手順に入りますが、規則で定められた『ライトが消えるまでは1位の車は10車身以内にいなければならない』といういわゆる10車身ルールにペレスが違反しているんじゃないか、とハミルトンが無線でクレームを入れました。確かにターン13、マーライオンがいるコーナーからターン14にかけてのちょっと長い直線で、SCがライトを光らせて走ってるのにペレスが全然追走してないですね。気になりますが11周目にリスタートされます。
ノリスの無線では、路面の状況は予選のQ1に近い印象だということなのでまだスリックは遠そうですが、この周にペレスがようやく2分を切るタイムを記録しました。ルクレールは付いて行くけどサインツは置いて行かれる、というパターンは最初のスタートもリスタートも同じ流れで、さらに言えばここ最近ずっと同じ。おそらくサインツの方がタイヤがオーバーヒート気味であると思われます。
厄介なのは予選と同様にセクター1はほぼ乾いているのに、セクター2・3のいくつかのコーナーでやたらと水が多いことで、これだとスリックは危ないけど、新しいインターミディエイトを下手に投入するとピットのロスが多い上にグレイニングが出来てさらにペースが悪化するおそれもあります。つまり今は作戦的にできることがなく、とにかく今のタイヤで我慢比べするしかありません。
21周目、フェルスタッペンを従えてずっと6位を走っていたアロンソの車に不具合発生。離脱するドライバーに故障連発はNASCARでのカイル ブッシュを思い浮かべてしまいますが、これでVSCとなりました。大半のドライバーがここも動くに動けない状況でしたが、15位で失うものが無いラッセルがここでお試しにミディアムを投入。VSCがまだ解除されていない中ですがピットを出た途端にドリフト大会になります。VSCの上限ペースにも届かなさそう・・・
23周目にVSCが解除されましたが、26周目にアルボンがターン8を曲がれず真っすぐ壁に刺さりました。ウイングだけ壁に刺して車はバックで脱出することに成功しますが、置いて行ったウイングを片付けないわけにはいかないのでまたVSCです。ラッセルのミディアムはまだ遅い状況。映像上、VSCが解除されたのにまだ現場でウイングを引っこ抜いていることになっていましたが、おそらくリプレイのオーバーレイとテロップが入って無かったものと思われます。もし本当にそうなら大問題。
立て続けの2度のVSCを終えペレスはルクレールに対して3.5秒ほどの差、サインツはそこから15秒も置いて行かれてずっとハミルトンに追いかけ回されています。ハミルトンはサインツの遅さにイライラ。すると28周目、今度はエステバン オコンがターン13で止まってしまいました。マーライオンの前にアルピーヌの車両展示会となりましたが、そのまま飾るわけにいかないので3度目のVSC。ヤバい音がして壊れたぞ^^;
30周目にVSC解除、フェルスタッペンは前を行くノリスをVSC解除前に抜きそうになって、というか一瞬前に出てしまって急ブレーキ、ノリスが「あれは危ない」と無線で苦言。
33周目、ラッセルがようやく2分を切るタイムを記録していよいよスリックへの交換時期が近づいてきている、と思わせた直後にメルセデスがターン7でクラッシュ。ラッセルやっちまったなあ、と思ったら
ラッセルではなくハミルトンでした、サインツとの根競べに負けて自滅した模様(´・ω・`)わりと真っすぐ壁に刺さったので脱出し、ノリスとフェルスタッペンの間というややこしい場所でコースに戻りました。ハミルトンは翼端板が曲がっていますが、同じ状況でマグヌッセンはオレンジディスクを出されたので、同様の処分をしないと明らかなご都合主義になります。
34周目、とうとうラッセルがセクター全体ベストを刻み始めたのでこれを見てルクレールがピットへ。しかしピットの路面が滑るので少し停止位置を超過してしまい作業に5秒かかってしまいました。ここからピット サイクルが始まり、ハミルトンもタイヤ交換ついでに指示されなくてもウイングをついでに交換しました。ただ14秒の作業時間を要したので順位は下がります。
ペレスも35周目にすぐピットへ、スリックを履いても即座に速く走れない状況なら基本は1周後から入った方が得策で、元々あった3秒のクッションも活かしてピット後もペレスがリードを守ります。すると36周目、ルクレールより前にスリックに替えていた角田 祐毅がターン10に真っすぐ突っ込んでしまい、サスペンションが折れて脱出不能だったので車を降りて2度目のSC導入です。
まだタイヤを替えていなかった人もここでみんなスリックに交換してしまったので、都合このレースは1時間20分かけて20人を14人にふるい落として、ここから作戦も何もないスリックでのレースに仕切り直し状態になりました。どのみち2時間ルールによりあと35分ぐらいでレースは終わりますが、私は翌日の仕事も考えてここでリアルタイム視聴を終了し残りは翌日に観戦する1ストップ作戦に変更しました。
画面表示も61周できないと悟って時間表示へ変更、残り35分30秒ほどでSC終了のお知らせ、リスタート手順に入りました。ペレスはさっきのことがあるのでSCとの距離を守るようエンジニアのヒュー バードから指示されましたが、またマー君の前から加速しなくてSCが独りで走り去っていきました。1回目の話が特に問題視されていないからこれで大丈夫なんでしょうか。
残り34分30秒ほどでリスタート、さっそくフェルスタッペンがターン7でノリスを抜きにかかりましたが、レコード ライン外を走るのはちょっとリスクがありすぎたか全然止まれずエスケープへ。8位に落ちた上にタイヤを傷めてしまい予定外のピットを強いられます。タイヤはソフトへ交換しました。
さらに翌周にはラッセルがミック シューマッハーを抜こうとしてターン1で接触し両方ともパンク。ラッセルはレコードライン外でブレーキを踏んだので、グリップが不安定で車が右に引っ張られてしまって自分からミックの方に当たりに行ってしまったようにように見えます。この件はお咎めなしになりました。
ペレスvsルクレールの第2幕はルクレールが少し速そう。ペレスはエンジンの操縦安定性が悪いと訴えており、ここに残り27周でDRS使用解禁のお知らせまで届いて大ピンチ。それでもこのコースは抜けないので焦れた展開となり、やがてルクレールの小さなミスでDRS圏から外れました。モナコで似たようなレースを制しているペレス、とりわけ縦方向にタイヤを使うコースでは絶対にミスしない印象です。
ただ、ペレスはさっきのリスタート手順が審議対象、しかもレース後審議という情報が伝えられます。結論がレース中に出ないのが困りものですが、とりあえず5秒加算があると想定してお互いにこの5秒の境界線を巡っての争いに焦点が変わりました。できればレース中に結論を出しておきたい問題のはずですが、本人への聴取が無いと結論が出ない問題ですかねえ。。。
結局レースが58周目の周回中の残り時間が0となり、59周目が最終周となりました。ペレスはルクレールを7秒以上にまで引き離してチェッカーに辿り着きました。ただ、審議がこの後待っています。しかも2位のルクレールに対してリカルド アダミは無線で「2つの5秒ペナルティーの可能性もある」となんか怖いこと言ってます。そう、1回目のSCの件も審議対象でした。
で、レース後にスチュワードがペレス本人への事情聴取も行った上で裁定が出ました。ペレスは2度のSC中の行為がいずれも規則違反と認定されました。が、このうち1回目はペレスから「タイヤとブレーキが冷えていてSCに付いて行くのが困難だった」と証言され、スチュワードもこれを考慮に入れて酌量の余地ありと判断し戒告。2回目は、ターン9~10で10車身を超えていたので警告されたのにターン13~14でまた同じことをしたので、こちらは『警告したのにまたやりおった』ということで5秒加算。結果レース結果に5秒だけ加算する、という裁定になりました。
よって、ルクレールに7秒差を付けていたペレスは今季2勝目が確定、モナコに続いてまたも雨絡みで短縮されたレースでした。ルクレールは惜しくも2位、3位にサインツ、4位ノリス。ダニエル リキャード、ランス ストロール、フェルスタッペン、セバスチャン ベッテルの順でした。
前半はサインツを抜けずに苛立ったハミルトン、今度はベッテルを抜けずに焦れていたら残り3周でターン8の内側、誰も走っていなくてあんまり乾いていない路面から抜きに行ってまた自滅し、その間にフェルスタッペンに抜かれて9位でした。元々メルセデスってこのV6ハイブリッド時代になってからもなぜかシンガポールは相性が今一つなんですが、ハミルトンも変な穴にハマりましたかね。逆にフェルスタッペンは落ち着いて最終周にベッテルを抜き7位になりました。
フェルスタッペンの連勝は予選での思わぬ失敗をきっかけにして止まりましたが、エースが外してしまった時にきっちりと勝ちを獲れるペレスの良さが出たレースでした。もしルクレールが先行していたらたぶん逃げてしまっていて、たった一度のタイヤ交換の機会で逆転することは、よほどフェラーリが変な作戦をしない限り無理だったでしょうから、結果的にスタートが全てでした。
ただ、この裁定結果は若干『10秒でレース後に結果が変わるのが嫌だからスチュワードが上手いこと言ったんじゃないの?』と思う人がいてもおかしくないかなとは思います。確かにSC下でブレーキとタイヤが冷えるのは分かるんですが、ターン13を出たペレスは全然加速する雰囲気がありませんでした。この動きは2回目のSCでも同様に見えます。
ひょっとしたらペレスは単純にSCのライトが消えるセクター3開始地点を勘違いしていて、ターン14手前で消えるのにターン13立ち上がりあたりで消えると思っていたんじゃないの?と思えるほど。コンディション云々で言えばミディアムに交換したばっかりの2回目のSCも難しいはずなので事情を酌むべきで、2回目の戒告だからとかは関係なく5秒加算自体が適切ではない、という真逆の考えがあっても不思議ではない気もします。
それに10周目の事案について36周目まで何の審議情報も無く、2度目のリスタート後に話が出て来た(少なくとも国際映像上はそれ以前にこの件が取り上げられた形跡が無かった)というのも処理として妙に感じます。
10車身を守らなかったおかげで不当にルクレールに対して利益を得たというものでもないのに、それで順位を下げられたらそっちの方が不都合では?という考えもありますが、SCと距離を開けて自分で隊列を制御すると自分のペースで熱入れができるので、早期に離れるとその時間を稼ぐことができるという利点が少なからず生じます。
ペレスがSCに付いて行ってたらルクレールに負けたかというとそんなことはなく勝利に相応しいレースでしたが、客観的情報から本当にペレスの主張やスチュワードの一連の動き・判断は妥当なのか、整理して検証するジャーナリストの方がいてほしいかな、と個人的には思いますね。
酌量という裁量の余地を広範に用いてしまうと重要な場面で大問題を起こす可能性があるので、こうした話は外部からの指摘や見解による権力の監視というのが重要ではないかと思います。ある場所で妙な解釈をした結果、巡り巡って数年後にチャンピオン争いで同様の事態が発生して大問題になる、なんてこともあり得るわけで、今の目先の結果だけで良し悪しを決めて終わりにしてしまうというのは私は好きではないですね。
裁定のあり方は別にして、フェルスタッペンが予選での躓きをきっかけに勝てない場面できっちりペレスが勝つ、というのはまさにレッドブルの理想の戦い方だったと思います。もちろんペレスも、できればフェルスタッペンなんて相手にならないぐらいの腕を手にして自分がチャンピオンになりたいはずですが、現実としてそこを割り切って2番手として実力を見せるのも簡単なことではありません。ルクレール相手の持久戦、お見事でした。
フェラーリは特にサインツのタイヤ摩耗問題がけっこう深刻な感じなので来年に向けて解決策をチームも開発もドライバーも考えないといけませんね。ニコ ロズベルグはそんな状況から大きく転換してハミルトンをやっつけて華麗にF1を去りましたが、サインツにも何かそういう化学変化が欲しいなと感じるここ数戦です。車両をポーポイズ現象対策優先でセッティングすると、どうしても自分に合わない部分があって解消できない、なんてこともひょっとしたらあるのかもしれません。
さて、次戦は日本です。今のところ週末は曇り、ないしは雨の予報が出ていてここ最近の暑さから季節なりの気温に戻る予報。メルセデスは車が冷え性で風邪をひかないか心配ですが、現地へ行かれる方はどうぞお気をつけて行ってらっしゃいませ。なお、ラティフィーは7周でリタイアした上にジョウとの接触の件で次戦は5グリッド降格ペナルティーが課せられます。
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