NCS プレイオフ 第4戦 テキサス

NASCAR Cup Series
Autotrader EchoPark Automotive 500
Texas Motor Speedway 1.5miles×334Laps(105/105/124)=501miles
winner:Tyler Reddick(Richard Childress Racing/Lenovo / ThinkEdge Chevrolet Camaro ZL1)

 NASCAR Cup Series、ここからプレイオフはラウンド オブ 12に入ります、初戦は1.5マイルのテキサス。カップシリーズでの今年のテキサスはオール スター戦で使用しただけなので、ちゃんとした長い距離のレースを新型車両で走行するのは初めてということになります。一応去年の勝者はカイル ラーソン、オールスターの勝者はライアン ブレイニーです。
 さて、プレイオフ コンテンダーの12人はこのレース前にポイントが3000+プレイオフ ポイントにリセットされます。このラウンド開始時点のポイントは

pos driver points +/-
1 Chase Elliott 3040 +31
2 Joey Logano 3025 +16
3 Ross Chastain 3020 +11
4 Kyle Larson 3019 +10
5 William Byron 3015 +6
6 Christopher Bell 3013 +4
7 Denny Hamlin 3013 +4
8 Ryan Blaney 3013 +4
9 Chase Briscoe 3009 -4
10 Alex Bowman 3007 -6
11 Daniel Suárez 3007 -6
12 Austin Cindric 3006 -7

 こうなっています。前ラウンドでは3戦全てノン コンテンダーが優勝する波乱があったため、初期ポイントがプレイオフ開始時とあまり変わっておりません。クリストファー ベルはぶっちぎりで前ラウンドを突破しましたが、ステージ優勝2回の2点だけが初期点に加わるのでまた混戦からやり直しです。ラウンド内の獲得ポイント1位の人にプレイオフポイントのボーナスをちょっと作ったらどうだろうか、とか思ったり思わなかったり。

 さて、今週からエクスフィニティ― シリーズもプレイオフが始まりました。ラウンドオブ12から始まって、カップシリーズと同様に3戦で4人ずつ脱落する方式です。レースはいきなりポール ポジションのブレンダン ジョーンズがターン1でイン巻きして事故りかける波乱のスタート。さらにはスポット参戦のジョン ハンター ネメチェックが速さを見せてレースをリードするわ、ステージ1、2ともステージ終盤にコーションが出て戦略が割れるわで混戦模様。
 最終ステージに入ると110周目のリスタート直後、バックストレッチでA J アルメンディンガーとブレンダン ブラウンが接触して多重事故になると、117周目のリスタートではターン2出口でネメチェックがスピン。外側の先頭の車がいきなり回ったので後続のドライバーが巻き込まれ、ジャスティン オールガイアー、ジョーンズ、ダニエル ヘムリックのコンテンダー3人が一気にリタイア。


 結果的に9回のコーションが出る荒れたレースになりましたが、勝ったのはノア グレッグソン。シリーズ最長タイ記録となる4連勝を達成し次ラウンド進出を決めました。オースティン ヒル、タイ ギブス、アルメンディンガー、ライリー ハブストのトップ5。AJは接触の損傷は大きくなかったので上位へ戻ってきました。
 なお、ギブスはカップシリーズでカート ブッシュの代役を務めていますが、この先もカートが復帰しない限りは両方に出場することが継続される見通しだとTRDの社長・デイビッド ウィルソンはNBCに説明しました。

 そしてそのカップシリーズ、ブッシュ ライト ポール アワードは先週あと一歩で勝てそうだったブラッド ケゼロウスキーが獲得しました。通算18回目のポールですが、そんなことよりまたノンコンテンダーがポールです。2位からジョーイ ロガーノ、ウイリアム バイロン、タイラー レディック、マイケル マクダウル、チェイス エリオットの順。
 先週歓喜の優勝を果たしたクリス ブッシャーは7列目からのスタートです。なお、これまで散々ブッシャー=ふなっしーを定着させようとしていながら、せっかく優勝した前戦の記事にふなっしー要素を欠片も入れなかったことをこの場を借りて謹んでお詫びいたしますなっしー。


 決勝日は猛暑、気温36℃、路面温度が60℃というタイヤにも人間にも厳しい条件となりました。もはやオールスターとは別物のトラックと言えます。ケゼロウスキーはターン1にかなり慎重に入ったように見えましたが、リードを守ってまずはレースをリード。
 スタート直後の車の速さには思わず「はや」とつぶやかずにいられませんが、それだけ速いということは空力依存度も高く、一旦レースが落ち着くと追い抜きはなかなかできません。ケゼロウスキーはクリーン エアーを得て元チームメイトを引き離していきます。
 16周目、オーナー ポイントのプレイオフでは勝ち残っているバッバ ウォーレスが予定外のピット。ステアリングに違和感を感じてとりあえず4輪交換しましたが、先週もパワステが壊れてますので非常に気になります。
 
 ケゼロウスキーは21周目あたりからペースが0.3秒ほど落ち込んで徐々に2位との差を失っていき、33周目のターン2で完全にラインを外れてロガーノに抜かれました。この後さらにバイロンにもかわされます、ちょっと飛ばしすぎたかケゼロウスキー。
 とはいえタイヤが苦しいのはみんな同じ状況らしく、40周目にマーティン トゥルーエックス ジュニアがターン4で単独スピンし最初のコーションが出ました。ルース気味な車に路面の凹凸が悪さをしたようです。MTJは綺麗に真後ろを壁にぶつけたので足回りへの損害は最小限と思われます。
 全車ピットに入り、ここでバイロンがロガーノを逆転。一方ケゼロウスキーは速度違反で後方に送られてしまいました。仕方ないので追加で給油してほぼビリからのリスタートです。
 45周目にリスタート、バイロン、ロガーノ、デニー ハムリン、そしてカイル ブッシュがゴキゲンな走りで4位です。ところが4周後、そのカイルがターン4で単独スピン。さっきMTJのスピンを目の前で見たのがカイルでしたが、ほぼ同じ場所で回って左後部を思いっきりぶつけました。カイル、そのままガレージへ向かい今日もリタイアです。なんだかもう「このチームではやる気が落ちて怒る気も無い」という風に見えてしまうのは私だけでしょうか^^;


 55周目にリスタートしたものの、翌周のフロントストレッチでリッキー ステンハウス ジュニアがタイ ディロンと軽く交錯してスピンしまたコーション。続く61周目のリスタートではハムリンがロガーノをかわして2位となります。ロガーノは右リアのタイヤ内圧を0.5ポンドだけ調整したそうですが、これがあまりうまく行っていないようです。45周目のリスタートでかなり底を擦っていましたね。この後5位まで後退します。
 トップ3はバイロン、ハムリン、そして好調に見えるレディック。レディックが徐々にハムリンに追いついていき面白くなりそうでしたが、78周目にクリストファー ベルがターン1でタイヤをパンクさせたようで早くも4回目のコーション。こちらはぶつけたわけではないようですがジョー ギブス レーシングは本日3人目のアクシデント。さらに、コーション発生直後に運悪くコール カスターもターン1でパンクして、こっちは思いっきり壁に突っ込んで中破しました。カスターはここでリタイアです。

 このコーションでは中団のドライバーがピットに入り84周目にリスタート。バイロンは悠々とリードしていたかと思ったら3周後にターン2出口で失敗。完全にスロットルを戻してしまって失速し、成すすべなく抜かれて4位に後退しました。これでリーダー争いはハムリンとレディックになりますが、2台が争って勢いを失った隙を衝いて3位のラーソンが2台抜きに成功します。そこそこタイヤが落ちてきている中で見ごたえのある攻防でした。
 ステージ1もようやく終わりが見えてきましたが、酷暑のテキサスはドライバーに全く優しくありませんでした。ステージ残り9周・8位を走っていたアレックス ボウマンがターン4で単独スピン。右後輪のパンクが原因と思われ、ぶつけた右前にかなりの損傷を受けました。ここからバイロンはひたすら修復を繰り返しながら完走を目指す長いレースになりました。
 ステージ終了前にコーションが出たので戦略が分かれるというエクスフィニティーと同じ展開になってしまい、ラーソン、ハムリンはステイ アウトしたものの3位以降は選択が分かれ11台がステイアウトした模様。
 ステージ残り3周でリスタートし、ラーソンとハムリンのリーダー争い。ステージ最終周のターン2出口でハムリンは軽くラーソンの左後部と接触しヒヤッとしましたが、ラーソンがステージ1を制しました。ただハムリンはラーソンが邪魔な動きをしてきたと不快感を持ったようで、ステージ終了後にも軽く当てて抗議活動。プレイオフの仁義なき戦いが熱くなってきました。ラーソン、ハムリン、ロガーノ、ダニエル スアレス、ロス チャステインのトップ5でした。

 ステージ間コーションでまだ1回しかピットに入っていない人はピットに入りますが、先ほどのコーションだけでなく4回目のコーションでピットに入った人もステイアウトを選択。ステージ2はマクダウル、ステンハウス、ハリソン バートン、ケビン ハービックというさっきまで全然出てこなかった人が上位で始まりました。今ピットに入った人は11列目以降の遥か後方です。
 まずリスタートでリードを奪ったのはステンハウスで、これをステージ終了前にピットに入ったレディックが追います。タイヤの履歴を考えてもレディックが圧倒的優位、と思った次の瞬間になんと振動を訴えて緊急ピット。今日は『惜しくもプレイオフから落ちた人』が続々と問題に見舞われてますね。。。
 ステンハウスは自分がスピンした後の57周目以降ピットに入っていないという最も古いタイヤで燃料も既にカツカツ。レディックがいなくなってもすぐバートンが追いつき、その後ろにエリオットが来ています。クリーン エアーのおかげで粘っていたステンハウスですが、123周目のターン4でミスってバートンに順位を明け渡しました。ここから意外なことにバートンはエリオットを従えてラップ リードを重ねていきます。やっぱりトラック ポジション大事。すると136周目、

 ベル、2度目のアクシデントで7回目のコーション。今度はターン4のバンプで滑ったようで、さっきと違ってぶつけたので無傷とはいきませんでした。ベルはこのクラッシュによる損傷を修復できずリタイアして34位でした。これでリード ラップ車両がピットに飛び込んで作戦のズレはリセット。ピットを最初に出たのはエリオット、2輪交換のチャステインが2番目。あれ、ハリソン君が来ないな・・・

 燃えとるやないかい!まず右後輪の交換に手間取ってその間にたっぷり給油し燃料をドボドボにこぼしており、さらに左後輪でまた手間取ってる間に火花をきっかけに引火したようです。出火してるのにクルーが普通にタイヤ交換作業を続けようと火の中に手を突っ込んでてちょっと怖かったですね。作業を終えて発進させすれば消える、という使命感か、正常時バイアスか。。。

 142周目、エリオットとチャステインの1列目でリスタート、ここはチャステインもスイカ投げを自重しエリオットがリードします。2本しか交換してないチャステインにはライアン ブレイニーが攻撃、エリック ジョーズを挟んで5位にはちょっとスイカっぽい色のウォーレス。ステアリングはとりあえず無事な模様。
 エリオットは独走するのかと思ったら0.7秒ほどの差でチャステインが付いていき、3位のブレイニーに対しては後ろからラーソンが追い上げてきました。ミヤタさんの追い上げに注目したいところでしたが168周目、ターン4でコディー ウェアーがクラッシュ。ウェアーはカウンターを当てたらお釣りが来た感じで勢いよく外側の壁にぶつかり、前が潰れて制御不能となってあろうことかピット内へ一直線。

 そのまま34番ピット(ボウマンの割り当て)付近の壁に直撃しました。34番ピットの手前はガレージとの接続道路の部分だったため、あと数メートル左にズレていたら頑強なコンクリートの角に真正面からぶつかっており非常に危険な事故でした。幸いウェアーは車を脱出、怪我も無く次戦にも出場する見込みでピット側の人にも被害はありませんでしたが、正直デイトナで車が横転するよりも怖かったです。

 ウェアーの車が片付けられてピットが開くと、エリオット、ブレイニーがステイアウトする一方でチャステイン、ラーソンがピットに入ってトップ4の選択は半々に。ラーソンは2輪交換でピット組先頭を確保しますが、ナットが締まっていない気がしたので再ピット。結局左も交換して大損しました。なんかうまく行かない(´・ω・`)
 また11台ステイアウトで178周目にリスタート、ステージはまだ33周あります。エリオットが引き続きリードしますが、僅か6周後、全米が泣きました。

 エリオットまでなんとターン4の餌食に。右リアのタイヤが壊れました。かなり激しく壁にぶつかり、サスペンションが前後ともやられている上に車両から出火。考えるまでもなく一発リタイアの状態でした。エリオット、ダーリントンに続いてまたもラウンド初戦でリタイアです。この場面の映像、無駄にカッコイイな・・・
SAFERバリアを直すオフィシャルのおじさん

 192周目にリスタート、離脱した小林くんに替わってブレイニーがリーダーとなりますが、タイヤの新しいバイロンとチャステインが既に来ていて2位、3位となります。しかし事故の連鎖は終わらず、197周目に8位のふなっしーがターン4で単独スピン。こちらは乱気流で滑ったみたいで、ぶつけず綺麗に復帰しましたが早くも本日10回目のコーションです。テキサス難しすぎません?w

 ステージ残り9周でリスタート、バイロンとチャステインが2位を争っている間にブレイニーが逃げました。ステージ2はブレイニーが制し、チャステイン、バイロン、ケゼロウスキー、スアレスのトップ5。ケゼロウスキー、今までどこにおったんや(デジャブ)

 ここもやっぱり作戦が分かれますが、先ほどのコーションでもピットに入っていたラーソンが給油だけの作業でピット組の先頭を今度こそ確保。ステイアウトが12台いてリーダーはマクダウルになりますが、4速が壊れているらしく3速からシフトを2回動かして5速にしろと言われています。リスタート危なくね?
 217周目に最終ステージ開始かと思われましたが、これだけ暑いので積乱雲が発達しているようで遠くに黒い雲があり、ターン4側で雨粒が落ちていました。またデイトナの悲劇を繰り返してはいけないのでNASCARは自ずと慎重に判断を行います。虹も見える美しい光景ですが、一旦レッド フラッグになって待つことになりました。

 すっかり夕暮れ時になってレッドフラッグ解除、雨は大したことなくても段々路面温度が下がってくるだけでレースには大きな影響です。中断前より路温が10℃ほど下がってしまったとピットからの情報。224周目に4速の壊れたマクダウルを先頭にようやく最終ステージが始まり、マクダウルはうまく加速できないかと思ったら特に違和感なく走りだしました。4速って実はいらない?w
 マクダウルはジョーンズを軽く壁に追いやってリードを奪いますが、翌周にレディックにかわされます。レディックが当面レースを引っ張りそうですが、これだけタイヤが壊れているとレディックにはカンザスでの悲劇が頭をかすめますね。タイヤ壊れないで~。
 気づけばレディック、ジョーンズ、ふなっしー、ハービック、マクダウル、バートン、ケゼロウスキーと、いくら戦略がばらけていると言ってもノンコンテンダーが上位を独占。コンテンダー最上位はバイロンですが、なかなかバートンを抜けずに詰まってしまいます。抜けない間にトゥルルがちょっかいをかけてきますがこちらももちろんノンコンテンダー。
 242周目、現地コマーシャル中にコーションの表示。まさかレディックも餌食に!?と思ったら、クラッシュしたのはブッシャーでした。ターン4でタイヤがブシャーっと潰れてスピンしクラッシュ。まさかの連勝かと思わせた直後に梨汁を撒いて争いから離脱し、結局270周でリタイアとなりました。リードラップ車両がピットへ。またラーソンが2輪交換で先頭に出ます。
 
 しかしまたまた11台がステイアウトした模様、ハービックとトゥルルの1列目で247周目にリスタート。少々タイヤが古くてもクリーンエアーなら速いしなかなか抜かれないのでトラックポジション重視が多いですが、問題はタイヤが壊れること。そういう意味ではタイヤを替えつつも2輪交換で常に前方を確保するラーソンもある意味徹底しています。
 とか言ってたらまた起きました。カメラがばっちり捉えている状況で253周目にリーダーのハービックがターン4でクラッシュ。これはもう見るからに右後輪がパンクしています。今度は「安物のタイヤのせいでレースが台無し」って言いだしそうです。
 これでリーダーはトゥルーエックスになりますが、259周目のリスタートから9周してなんとこれまたタイヤが壊れてスピンしクラッシュ。テキサスで史上最多となる14回目のコーション。彼にとっても本日2度目のスピンで、ここでリタイアとなりました。

 さらに、このコーション発生直後、フロントストレッチでハムリンにバイロンが追突。ハムリンがスピンして芝生の上を走ります。この数周前にバイロンはハムリンに少し追い出される形でターン2出口の壁に接触しており、報復と思われる動きでした。当然怒ったハムリンはスピンしたけどまた隊列の前方に戻り、ここからバイロンに対して煽り運転。半周ぐらい煽ったところでハムリンは本来いるべき後方へ戻りました。
 クルー チーフのクリス ゲイブハートは「あいつはこっちをスピンさせといてペナルティー無し?どうしろと?」となおもお怒り。これにハムリン「ヤツが近づいて来たら俺がペナルティー与えてやるよ」。なんか悪役みたいなセリフですw

 リードラップ車両がピットに入り、もう今さら順位を下げたくないので大半が2輪交換。ピットを先頭で出たのはレディックでしたが、ここでも3台がステイアウト。残り58周、ステンハウスとトッド ギリランドの1列目でリスタートされました。もう夜になったし、ギリランドも最後にいつピットに入って今まで何してたのか分からんし、ちょっと情報過多で疲れてきましたw
 1つ前のコーションでタイヤを替えたステンハウスに対して、さっき2輪交換したレディックが追い上げて281周目にリード チェンジ。もう波乱はいらんのでレディックさんそのまま勝ってくださいw
 
 レディックは1.2秒のリードで快走、放送席からは「1秒以上のリードはいらないからペースを抑えるべき」と、とにかくタイヤを壊さないようにできるだけ手抜きすることが推奨されますが、しかし291周目に自分と同じタイヤ履歴のロガーノが2位に浮上したので、そうそうペースを落としにくくなります。
 300周目、3位を維持していたステンハウスがターン2出口でスピン、5位のオースティン シンドリックは間一髪回避したもののスピンしてタイヤを傷めました。トラックポジション重視で行きたいけどタイヤがもたない。でもタイヤを替えると埋もれて順位が上がらない。まさにオール オア ナッシングといった感じのレースになっています。結局ステンハウスは27位でした。

 ここもピットに入る車は僅か、コーションが多すぎてまだ27台もリードラップにいるので今さら順位を捨てられないし、それ以前の問題としてもう新品タイヤの在庫が無い人もいます。ロガーノは既に在庫切れとの情報。
 残り29周、レディックとロガーノの1列目でリスタート。ロガーノは在庫が無いのに右前から振動があるという不穏な情報。不穏と言えば中団でバイロンの斜め後ろにハムリンがいます。リスタート後いきなりコーションが出たので早速やらかしたのかと思ったら、エリック アルミローラのスピンでした。ホットケーキがおいしそうなスキームのアルミローラ、エイプロンで姿勢を乱してスイカを軽く巻き添えにしていました。

 以前にF1の解説で聞きましたが、タイヤは内圧が上がってパンパンに膨らんだ後にこうやってコーションでしぼむと、その収縮でタイヤに亀裂が入ったりしてその後のバーストの原因になることがあるそうです。コーションはタイヤの熱を冷ましてオーバーヒートを解消できるのでなんとなくありがたそうですが、良くないこともあるみたいですね。

 残り24周、レディックとロガーノの1列目でリスタート、2列目に先週のブリストルでも無事に走って好結果だったジャスティン ヘイリー。そういえば、今年は『キャリア唯一の勝利が天候を理由に短縮されたレース』だったウォーレスとブッシャーが勝ちましたので、ヘイリーも続けるでしょうか。あ、バイロンの後ろにハムリンがいます。
 リスタート早々、ヘイリーの隣にいたギリランドが何か壊れたらしく急失速。幸い大きくラインを外れてくれたので事故にはならずに済みました。レディックがリードしてロガーノが追います。バイロンはハムリンを置いてけぼりにして順位を上げており私刑を回避。
 
 バイロン、ラーソン、ケゼロウスキーといったあたりがなおも姿勢を乱しかけてラインを外れる光景が見られたものの、みんなうまく対応して事故無くレースは残り5周に到達。レディックとロガーノの差は1.4秒。これはもううまくペースを落とさないといけませんね。
 レディックはそのまま大事に最後まで車を運んでチェッカー、今季3勝目、オーバルでは自身初の勝利を手にしました。またしてもノンコンテンダーの勝利で本日も次ラウンド進出の切符は誰ひとり手にすることができませんでした(;・∀・)

 2位からロガーノ、ヘイリー、ブレイニー、ブリスコーのトップ5。コンテンダーでは7位バイロン、9位ラーソン、10位にハムリン。軽く貰い事故のチャステインは13位、そこそこ貰い事故のシンドリックも15位で、本来ならトップ10圏に入りたかったでしょうが、最悪の結果は回避しました。1桁ポイントしか取れなかったのはボウマン、エリオット、ベル。ボウマンはなんとか5周遅れで、リタイアが多かったので29位で8点獲得しました。

 今回のレースもまたタイヤの破損がレースを左右しました。なぜこれほど壊れるのか、調べていたらハービックのクルー チーフ・ロドニー チルダースが分かりやすく説明していました。ざっくりとその話を記します。
 
 問題はタイヤではなく車体規則だと彼は言います。チルダースによれば、Gen7車両のサスペンションは可動範囲に限度があり、ディフューザーと路面をきちんと接近させるほど車高を下げるには不十分だそうです。しかし、エンジニアの側からするとディフューザーを有効活用するためにリアの車高をギリギリまで下げて地面に接近させ、最大限の床下からのダウンフォースを生み出したいと考えます。
 サスペンションの動きに限度があって車高は下げられない、ディフューザーの大きさも変更できない、でも車高をやっぱり下げたい、じゃあどうするのか?タイヤの空気を抜いて車高を下げれば良いのです(っ ◠‿◠ c)
 そして、テキサスは左右非対称でターン1・2のバンク角は20°、3・4は24°となっています。バンク角が低い1・2で最大限のダウンフォースを出して速く曲がるため、ここに合わせて足回りや内圧を設定すると、バンク角が高い3・4では特に右後輪の負荷が高くなりすぎてしまいます。これがターン4で事故が多発した理由だと彼は分析します。
 チルダースとしたら、サスペンションをもっと動くようにするか、ディフューザーを大きくしてくれればこっちはこんな危ないタイヤの使いかたをしなくて良いんだ、ということが言いたいんだろうなと思います。
 
 実際、リタイアしたエリオットはグッドイヤーを責めず、このレースで14位と健闘したコリー ラジョーイも同様の見解を示しました。彼は、「グッドイヤーがより頑丈なサイド ウォールを持ち、磨耗が少ないタイヤを作るなら、我々はさらに多くのキャンバーを入れ、空気をさらに少なくするだろう」と、結局は速さを求めてリスクを負うので堂々巡りだろうと予想しました。私もそう思いますね。
 優勝したレディックはカンザスでトップ快走中にタイヤが壊れてプレイオフ脱落の主要因となりました。そのため、クルーチーフのランドール バーネットは今回保守的に見積もった戦略を立て、レース終盤も路面温度が下がって全体的なペースが上がっていたので内圧を上げたとレース後に語っています。それでもレディックは振動を訴えており超安全というわけではなかった様子です。

 ヘイリーの3位もおそらく偶然ではなく、中~小規模のチームはそんなに極端な内圧設定でセッティングを出すような高度なことをそもそも行わず『普通の』セッティングの範囲にとどまっているので、結果的にこういうタイヤ爆発レースではそれとは無縁に生き残りやすいのではないかと考えられます。生き残ったからたまたま上位、ではなく、生き残れるセッティングになっているんですね。言い換えればそれしかできないので速さで上位チームには及ばないわけです。


 そしてもう1つ、ハムリンとバイロンの件ですが、バイロンは故意にぶつけたことは認めたものの、スピンさせるつもりではなかった、という趣旨の発言。寄せられて壁にぶつかったのでコーションになったらちょっと脅してやろうとして、たぶん見誤ってえらい勢いでぶつけてしまったのではないかと思います。実際にはハムリンは寄せそうになってスロットルを戻してたので、場所を残してはくれていたんですけどね。
 で、ゲイブハートもお怒りのノー ペナルティーですが、NASCARの事後説明によれば要するに「見ていなかった」とのこと。コーション発生時にはその現場を注視するため、発生直後に起きた接触を誰も見ておらず、ハムリンがスピンしているところからしか把握できていなかったようです。
 その後、何か起きたらしいと情報を集めている間にレースが進行してリスタートになってしまったので手を打つことももはやできなかった、というような話でちょっと情けないオチでした。テレビでさえすぐに接触の場面を捉えて「さっきの報復か」みたいな話をしていたんだから、対応が遅いと言われたら反論しようが無いですね^^;
 もっとも、大抵は減速して隊列走行に移行する過程ぐらいでこういう行為は行われるもので、コーション発生直後に高速で相手を吹っ飛ばすような行為はさすがに珍しい出来事。仮に気付いていても、故意なのか、単にコーションに対する反応が遅れて追突したのか、という精査にも時間がかかるので、対処できたかどうかはまた別の話です。どっちにしろコーション中にぶつかるのは危険なので、故意性関係無しにとりあえず後方リスタート、ないしは1周ペナルティーでも構わないのかもしれませんが。
 バイロンにはレース後にペナルティーが課され、本人に5万ドルの罰金と、ドライバー/オーナー ポイント25点減点となりました。バイロンのこのレースでの獲得ポイントは43でしたが、減点で18になりました。

 なお、これとは別件でギブスにもピット ロード内での危険行為に対して75000ドルの罰金とオーナーポイント25点減点のペナルティーが与えられています。なぜオーナーだけなのかというと、ギブス君はエクスフィニティ―のドライバーでカップシリーズのドライバーポイントがそもそも無いからですね。
 ギブスはピットロードを走行中に、作業を終えて出て来たT.ディロンに軽く接触されました。ファースト ネームが『タイ』同士の接触ですが、瞬間湯沸かし器になったギブスがなんとその場でいきなり幅寄せの報復行為。この幅寄せ行為のすぐ脇ではブッシャーが修復作業をしており、クルー数名と監視のためのNASCARのオフィシャルもいました。幸い接触しなかったもののバイロン以上の危険行為です。
 カイルの移籍からの玉突きで、予定より早く来年にカップシリーズに昇格か?なんてことも言われるギブスですが、危険な短気さを見せてしまいドライバーとして明らかにマイナス評価でした。最低もう1年はエクスフィニティ―で経験を積ませるべき、というギブスおじいちゃんの眼力は正しい気がします。あ、ちなみに『タイ』という名前は『タイラー』を短縮したものですね。タイラーだらけ。

 さて、最後にプレイオフのスタンディングスです。

pos driver points +/-
1 Joey Logano 3071 +37
2 Ross Chastain 3059 +25
3 Kyle Larson 3057 +23
4 Ryan Blaney 3056 +22
5 Denny Hamlin 3049 +15
6 Chase Elliott 3045 +11
7 Daniel Suárez 3045 +11
8 Chase Briscoe 3041 +7
9 Austin Cindric 3034 -7
10 William Byron 3033 -8
11 Christopher Bell 3016 -25
12 Alex Bowman 3015 -26

 前ラウンドで全て5位以内と安定していたベルがリタイアで取りこぼし早くも危険水域、バイロンも25点のペナルティーがけっこう効いています。ただ、ここからの2戦がタラデガとローバルというクセの強いイベントです。みんなできれば安心してタラデガを迎えたかったのに、誰一人安心できない状態で重圧は増すばかり。新たにできた因縁と相まって、普通に終わるとはちょっと思えないですね。ヘイリーが勝っても全然驚きませんが結末やいかに。

↓優勝争いのネタバレサムネイルと思いきや全然別件の絶妙な設定

コメント

通りすがり(2回目) さんのコメント…
つい先ほど出た情報ですが、ボウマンがクラッシュの影響でタラデガ欠場、グレッグソンが代役、更に空いた#62にオールガイアーになったそうです。カートみたいに長期離脱でなければいいですが、(ジョンソンと遊んでいて元気そうですが)ボウマンの身体が心配です。グレッグソンが強豪チームから参加は嬉しいですが、ちょっとカートの件があっただけにnext gen carの安全性(特に衝撃面)が気になります。レース自体はここ数年より面白いですが安全性だけは高めて欲しいです
まっさ さんのコメント…
スイカが2位におる。。。 この後がタラデガとローバルなのでなんとも言えないですが。。。ここまできたらと欲が出ますね! トラックハウスはスーパースピードウェイ速いので期待じゃぁ! 巻き添え食らわしたドライバーとチームスタッフにはスイカ丸飲みの刑ですぞ!
いやぁ、、、K&Nプロシリーズイーストから追っかけてカップでも15号車で後ろを走ってたスイカがここまで来るとは....。(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
NASCAR最高ーーーーーーー!
でにー さんのコメント…
チェイス、ボウマンに続いてバイロンとハムリンはヘンドリックの若手スタンプラリーみたいなことでもやってるんですかね……ただ強さだけじゃなくてこういう悪役っぽさも彼に惹かれた理由でもあるのでカイルやハーヴィックが鳴りを潜めてる中でもこうやって若手とバチバチにやってくれるのを見るとファンとしては安心しますねw
あと密かに応援しているヘイリーとラジョーイも今回はいい結果だったのでフルリプレイを楽しく見れそうです!
Cherry さんのコメント…
よりによってまた!チェイスがリタイアしてしまったのが悲しすぎる......
NASCARの神様は執念深く生き残ったチェイスの二冠目がみたいのかただのアンチなのか......w
にしてもXfinityシリーズのほうが例年カップで見慣れたプレイオフで安心感がありますねw
首跡 さんの投稿…
よっしゃあああ!今季3勝目!
レノボ スキームだったのでカリフォルニアの悪夢が脳裏をよぎりました...
チャンピオン争いからは脱落してしまったものの、彼が勝てて本当に嬉しかったです。
SCfromLA さんの投稿…
>通りすがり(2回目)さん

 ボウマンは昨日まで特に何もそんな話が無かったので驚きました。カーボンで頑強な車体になった一方で、角度や速度によってはうまく車体が潰れなくて衝撃吸収ができてないのかな、という印象を受けます。もしそうなら、近年のシミュレーションと安全技術からするとカテゴリーを問わず珍しい事案だと思いますが、必ず対処が必要ですよね。
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 このあたりで調子を上げて来ると期待しますよね~、今回スアレスと揃って速かったのも好材料だなと思います。タラデガでしれっと混乱をすり抜けて勝つ姿が頭に浮かびますねえ
(っ ◠‿◠ c)
SCfromLA さんの投稿…
>でにーさん

 最近は自分だけじゃなく23XIの車に何かあっても絡むのでスタンプラリーの進行が速そうですねw 今年は成績の浮き沈みが激しいですがプレイオフではここまで落ち着いているので、無冠の帝王返上の可能性はありそうで楽しみです。JGRは彼しか残らない可能性も出てきましたし...
SCfromLA さんの投稿…
>Cherryさん

 神様は最も人気のあるドライバーにちょっと冷たいみたいですね、プレイオフポイントがたくさんあって良かったなと思います^^; 
SCfromLA さんの投稿…
>首跡さん

 いつになくハイテンション( ゚Д゚) 脱落の原因になったレースの教訓で脱落後に勝つんだから難しいものだなと思いました。ローバルでもう1回勝ってすごいコンテンダーの邪魔をしそうな気配がありますが、このチームが活躍するほど喜んでるのはカイルじゃないかという気もしてきましたw
日日不穏日記 さんの投稿…
リタイアのDVPって何だろう?と思ってましたが、ピット作業のリペアの時間切れなんですね。ベルのマシンをクルーが修理していて、オフィシャルが合図して、クルーが作業を止めていたので、なるほどそうか、と思いました。
ChaseFun9 さんのコメント…
Bowman...( ノД`)シクシク…
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 DVP=Damage Vehicle Policyで『修復規定を満たせなかった』という意味ですね。時間になるとたぶん「お時間です・・・」って言われるんでしょう^^;
SCfromLA さんの投稿…
>ChaseFun9さん

 波乱は良いとしてドライバーの負傷は悲しいですよね・・・