NCS プレイオフ 第3戦 ブリストル

NASCAR Cup Series
Bass Pro Shops Night Race
Bristol Motor Speedway 0.533miles×500Laps(125/125/250)=266.5miles
winner:Christopher William Buescher(RFK Racing/Fastenal Ford Mustang)

 NASCAR Cup Series、プレイオフ ラウンド オブ 16の最終戦・ブリストルです。お馴染み土曜日のナイト レース。私はSUPER GTに気を取られてうっかり土曜日のうちに事前情報を集めるのを忘れてしまい、気づいたときにはレース時間を過ぎていたので、ネタバレ防止のために何も調べずにレースを見ることになりました^^;
 別記事でお伝えした通り、カイル ブッシュが今季限りでジョー ギブス レーシングを離れてリチャード チルドレス レーシングへ移籍することが発表され、発表後最初のレースということになります。カイルもタイラー レディックもプレイオフでは微妙な位置にいますので、それはそれとしてこのレースをまとめないといけません。このレースを終えて成績下位4人がチャンピオン争いから脱落します。

 併催のキャンピング ワールド トラック シリーズはここからプレイオフのラウンド オブ 8開始、ブリストル、タラデガ、ホームステッドの3戦で争われ、勝ち残った4人が最終戦フェニックスでチャンピオンを争います。
 ステージ1、2はいずれもチャンドラー スミスが制しますが、ステージ2終了後のコーションでピットに入るとステイ アウト組が前に出て埋もれてしまいます。代わってリーダーとなったのは、トランスミッションの不具合により最後尾スタートとなっていたゼイン スミス。彼は44周目にピットに入ったのを最後に一度もピットに入らずレースをリードします。
 しかし151周目に5回目のコーションが発生すると、次のリスタートで42周新しいタイヤを履いたタイ マジェスキーにかわされました。マジェスキーはそのまま残りのレースをリードし、シリーズ参戦4年目・通算40戦目で待望の初優勝。未勝利でプレイオフに進出していましたが、大事なレースで勝利してチャンピオンシップ進出一番乗りを果たしました。レース後は大喜びでドーナツやバーンナウトするかと思いきや、なぜかフロントストレッチを静かに1往復半して停止w

 Z.スミスが2位、スポット参戦のパーカー クリガーマンがこれまたトラック ポジション重視の戦略で3位。C.スミスは落とした順位を取り戻せず9位でしたが、ポイントでは1位となっています。

 一方エクスフィニティ― シリーズはこれがレギュラー シーズンの最終戦、ジャスティン オールガイアーが140周以上をリードして優勝に向け視界良好と思われましたが、271周目に周回遅れのJ J イェリーが見切りを誤ってオールガイアーに軽く接触し自爆スピン。既に90周以上走ったタイヤなのでこのコーションでリード ラップ車両がピットに入りますが、オールガイアーは痛恨の速度違反を犯してしまいます。
 残り20周のリスタートからは唯一ステイ アウトしたノア グレッグソンがリード。2位のブレンダン ジョーンズはリスタート直後の2位争いを時間を使ってしまってなかなか追いつけず、90周以上のタイヤ履歴差を活かすことができませんでした。ジョーンズは最後にグレッグソンに軽くぶつけることもできそうでしたがフェアーに争い、グレッグソンが逃げ切って3連勝/今季6勝目を挙げました。こちらはウォールの上に立つ仲間に向かってドーナツしたら、軽く壁にぶつけてクルーがよろけました。あぶねえw
よい子はマネしないでね

 レギュラーシーズンのチャンピオンはA J アルメンディンガーでしたが、グレッグソンはコンテンダー最多の51点のプレイオフ ポイントを持ってラウンド オブ 12に臨むことになりました。また、デイトナで優勝したもののレース後の車検で違反が見つかったとしてプレイオフ進出権を認められなかったジェレミー クレメンツですが、控訴の結果NASCARはこれを認めたため、彼もプレイオフに進出することができました。


 そしてカップシリーズ、ブッシュ ライト ポール アワードはなんとノン コンテンダーのエリック アルミローラが獲得。2位にチームメイトのチェイス ブリスコー。アレックス ボウマン、デニー ハムリン、カイル ラーソン、ライアン ブレイニーと続きます。絶対勝たないといけないケビン ハービックが7位。

 スタートからまずはアルミローラがリード、トラクション コンパウンドが内側に塗布されてはいるんですが、これは週末が始まる前に塗っただけなので、併催レースを経て既にだいぶ剥がれています。スタート時はみんな内側を走っていますが、いずれ外側を使うようになっていくと予想されます。
 スタートからほどなくしてハムリンとブレイニーが激しい2位争いを展開。ブレイニーは30周近くかけてようやくハムリンの壁を突破しアルミローラに迫ります。1周が短いので上位は早くも周回遅れに追いついて自由に走りにくくなってきました。

 現地コマーシャル中、ブリストルがうるさすぎて全然ジェシー パンチのリポートが聞こえなくて役に立っていない36周目にブレイニーがアルミローラをかわしリード チェンジ。ジェシーはマイクのアジャストが必要です。
 42周目、ハリソン バートンとJ J イェリーがそれぞれ別件でタイヤを傷めて低速走行し1回目のコーション。全くスポンサーの無い車で走っていることも多い15番、今日はカラフルです。FIM スーパークロス 世界選手権というスタジアム モトクロスの上級シリーズみたいなやつが新設されて、10月に開幕するのでその宣伝ですね。

 ここでリード ラップ車両の多くもピットへ。せっかく前に出たばかりのブレイニーでしたがハムリンに逆転されました。6台はステイ アウトを選択したため、ブラッド ケゼロウスキーとバッバ ウォーレスの1列目で49周目にリスタートしました。
 まずはケゼロウスキーがリード、クリス ブッシャーが続いてRFKレーシングがワンツーです。ステイアウト組のペースも悪くないのでなかなかハムリンが追いついてきません。一方、アルミローラとブリスコーはいずれもステアリングに問題を抱えている様子でブリストルでは致命的です。まだあと450周あります^^;
 84周目、今度はオースティン シンドリックが右前タイヤのパンクで失速。幸い車を壊しませんでしたが、運悪くコーションも出ませんでした。詳細は不明ですが既にパンクが3件目、この車でのブリストルは初めてのレースなのでやや不安を感じる案件です。
 すると不安的中、92周目にブレイニーがパンクで壁にぶつけてしまい、これを見たせいかアルミローラもびっくりスピン。2回目のコーションとなります。ブレイニーはさらにピットでのタイヤ交換を急ぎ過ぎて左後輪のナットを締めずに発進してしまい、思いっきり脱輪させてしまいました。いくら後ろでクルーが手を振ってもドライバーは止まれません。


 ここもピットとステイアウトで戦略が分かれ、ペンスキーは何を慌てているのか、ジョーイ ロガーノもナットの締め損ねで再ピットを強いられました。100周目にリスタートし、引き続きリーダーはケゼロウスキー。
 ブレイニーは壁にぶつけた影響が大きかったようで、右リアのサスペンションが壊れているのか火花を散らして動くシケイン状態。なんとかステージ終了まで粘ってやろうと思ったんでしょうが、さすがに無理があったのでようやくピットに入った、と思ったらウエッジ調整だけでごまかしにかかりました。
 そんな程度でどうにかなるなら誰も苦労するはずが無く、コースに戻ったブレイニーはなおも怪しげな動きをした末に最後はタイヤがパンク。タコ踊りする車をなんとかピットへ連れていって修復に入ります。その間もリーダーはケゼロウスキーで、結局一度もピットに入らずステージ1を走り切って今季初、つまりRFKレーシングの共同オーナー兼ドライバーとして初のステージ勝利を挙げました。
 クリストファー ベル、カイル、ブリスコー、ラーソンと続きました。ラーソンはヘンドリック モータースポーツとの契約を2026年まで延長したと発表されて、問題行動を起こさない限りしばらくは職場が安定しました。

 ステージ間コーション中にはジェシーがグッドイヤーのおじさんを捕まえてタイヤについて聞くというなかなか面白いことをやってくれました。ジェシーのマイク、ちゃんとアジャストされてレース中でも声が聞こえるように調節されてましたw
 リードラップ車両の多くはピットに入り、ケゼロウスキーはお隣さんのチェイス エリオットが邪魔になって発進に手間取り順位喪失。ピットを最初に出たのはブリスコーで、ラーソン、2輪交換のロガーノと続きました。ロガーノはミスで下げた順位をとりあえず戦略で挽回して競争に戻る方向性です。

 ステージ2、ステイアウトも多くブッシャーとハービックの1列目でリスタートです。ピット組は6列目あたりにいます。併催レースもトラックポジションは重要だったので、勝負所で自分が前にいることから逆算しないといけませんが、逆算するには不確定要素が多すぎるのがブリストルです。作戦が入り乱れてトラック上は大混戦となりますが、139周目にハリソン君が今度はスピンしてしまってコーション。最初にアルミローラとオースティン シンドリックが軽く接触し、弾みでシンドリックがバートンに当たったようです。シンドリックもプレイオフ生き残りの懸かった大事なレースですが序盤から問題多発。

 146周目にリスタート、ブッシャー、ハービック、ハムリン、ウォーレスのオーダーとなります。このころにはだいぶライン取りがまちまちになり、ハービックはブリストルの王道とも言えるV字のラインを取り始めました。高ダウンフォースのパッケージだとこのラインの旨味が無くてみんな内側を走るので、やっぱりこういうライン取りができる車両規定が面白いしカッコいいなと思いますね。

 しばらくはそんなブリストルのレース風景を楽しみたいところでしたが177周目、今度はウォーレスの右前から白煙。ステアリング系統の配管が壊れてオイルが漏れたと思われます。外したタイヤの内側にオイルがびっしり。事故による修復は『10分以内でピット内』の制限がありますが、機械的故障はガレージで無制限に修復可能です。およそ10周後にはチームメイトのタイ ギブスも緊急ピット。エンジン関係かと思ったらこれもステアリングでした。23XIレーシングは大忙し。

 既にボロボロになっていたブレイニーもこれまた修復のためにガレージへ。ブレイニーは最初の事故がきっかけなので全部10分の制限対象な気がするんですが、特にブリストルは車が勝手に壊れることも多いのでどこまでが事故の破損で、どこからが機械的破損なのか運営の判断も難しそうです。一応ガレージ修復対象らしくせっせと作業します。

 そんなわけでトラック上の争いよりピットばっかり画面に映っている気がしますが、ブッシャー、ハービック、ハムリンによるリーダー争いもハゲしくなってきました。ここから面白くなるかと思ったら196周目、ハリソン君がまたパンクで失速。これを見てタイ ディロンが速度を緩めましたが、後ろを走るエリック ジョーンズには予想外の動きでスピン、5回目のコーションとなります。
 
 リードラップ車両がピットに入りますが、今度はマーティン トゥルーエックス ジュニアがパワステの不具合でガレージへ。トラック上でもハムリン、ボウマンあたりがステアリングの不調を訴えており、かなり不穏な空気です。トゥルーエックスは車が直らなくて結局リタイア一番乗りで最下位でした。
 ステアリングとタイヤをおそらくみんな気にしながら206周目にリスタートし、引き続きブッシャー、ハービック、ハムリンのトップ3。そのままレースは進みステージ2も終盤となりますが、現地コマーシャル中の234周目になんとハムリンが右前タイヤを傷めたようで単独で壁に当たりました。そろーーーっとぶつけることに成功したので損傷は小さいものの順位は失われます。


 ここではラーソンがハムリンの動きを見てつい慌てた動きをしてしまい、後ろにいるベルに迷惑をかけたかもしれないので、無線ですぐ「パニックになってすまん」と謝ったみたいです。ベルの方も「自分もパニックで何が起きたか分からんかった」と気にしていない様子。グランツーリスモで時々「何でもすぐ謝り過ぎ」みたいな指摘がありますけど、プロでもこういうやり取りがあるんだということは知っておいてほしいなと思いますね。信頼関係の醸成は大事です。

 ステージは残り僅かのためピット戦略は分岐、ブッシャーもハービックもピットに入りました。ステージポイントをちょっと取ったぐらいでは埒が明かないハービックは勝つためにここは順位を捨てました。どうやら12台がステイアウトしたようで、ベルをリーダーにステージ残り10周でリスタートされました。
 ベルは蹴り出しで前に出た段階で半分勝ったようなもので、そのまま10周を危なげなく走ってステージ2を制しました。ロス チャステイン、ブリスコー、エリオット、カイルのトップ5でした。レース前の段階で当落線の下にいたブリスコーとカイルがせっせとポイントを集めています。

 ベルはステージ間コーションもステイ アウトしてトラック ポジションを重視。最終ステージはベルとエリオットの1列目でリスタートされました。2列目にバイロンとハービックで、上位3台は5回目のコーション/198周目にピットに入った人たちです。ブッシャーはさっきのリスタートで混戦に揉まれて順位を上げられなかったので4列目にいました。
 ベルに続いて速かったのはラーソンで、こちらはハービックと同様6回目のコーションでタイヤを替えた組。タイヤが新しいこともあってチームメイト2台をかわして2位に浮上、ハービックも急いでこれを追いかけます。因縁のエリオットをかわしたところで現地では昨年のその因縁を生む接触場面のリプレイが映し出されていましたが(国際映像では映らず)そのさなかの270周目

 なんとカイルにここ3戦で2度目のエンジン故障が発生。ステージポイントを確実に稼いでいたのに、どうしようもない問題でした。カイル、あとは他のドライバーの結果に頼るしかなくなりました。

 放送席では「それでもまだダニエル スアレスとかは順位を下げるとカイルより下になるから」、なんて話をしつつリスタート。するとリスタートしてターン2を立ち上がったところでそのスアレスがスピン、多重事故になってしまいました。リッキー ステンハウス ジュニア、レディック、ディロン、ボウマンが巻き添えで、リッキーとボウマンはこれでリタイアです。もう何がどうなってるのか。

 287周目にリスタート、ベルがリードしますがタイヤの新しいラーソンが迫り、混戦に乗じて気づいたらケゼロウスキーも3位に戻ってきました。今までどこにおったんや。
 レディックの方は10分の修復時間を使い切ったので規定最低タイムを目指して『アタック』を開始。3周以内に規定を満たせなければ強制リタイアなので、まさに彼にとっては予選のようなもので、なんとか任務をこなして続行が認められます。もう何十周遅れでもとにかく走れるだけ走るしかありません。なんかもうお腹いっぱいなんですけどまだ200周あるんですよねえ^^;

 ベルはリスタート直後のラーソンからの重圧をしのぐとここからクリーン エアーを活かして差を広げていきます。3位ケゼロウスキー、5位ハービック、7位ブッシャーと気になる存在も上位で争っており、まだまだ勝者は見通せない状況。
 周回遅れが出てくると、フェンダーが吹き飛んでいる割にそこそこのペースになっているレディックも含め、大集団がたびたび現れてリードラップ車両は簡単に前に出ることができません。当然ベルのリードは失われていきます。しかし352周目、ジョーンズの右後輪がパンクしてデブリーによりコーション発生。ここで給油すれば最後まで走り切ることが可能。ベルはそろそろ燃料が無くなるころだったので、ここで全員の作戦が揃うのは有り難いコーションです。

 ところが世の中そううまく行かないのがNASCARで、ピット作業を抜群に早く終わらせたラーソンが逆転しました。ラーソンとベルの1列目、2列目はケゼロウスキーとハービックで361周目にリスタート。
 リスタートからはケゼロウスキーが目の覚めるような走りでベルと並走、外からかわしにかかります。なかなか決着がつかないかと思ったら、偶然ピットを出て来たレディックが内側から登場し、ベルはラインが狭くなってスロットルを戻したのでケゼロウスキーが2位を奪いました。388周目にはラーソンもかわしリードを奪還します。正直そんなに簡単に抜けると思っていなかったので驚きました。

KOHLER Generatorsのスキームかっこいい

 398周目、今度はロガーノに右前タイヤのパンクが発生、コーションは無くしょんぼりとピットへ。ピット作業もとっ散らかってロガーノは3周遅れになりました。
 この間ラーソンが勢いを失ってきてケゼロウスキーのリードは2秒以上に拡大、2位はベルに替わりました。ところが414周目、ケゼロウスキーも右前タイヤをパンクさせ壁に接触。これもコーションが無くアンダーグリーンでのピットとなりました。ケゼロウスキー、優勝まであと一歩でしたが無念の後退です。
 これで優勝争いはふたたびベルとラーソンの追いかけっこ、残りは65周となりますが、現地コマーシャル中にいきなり右後部から火花を上げるベルの姿が。またパンクでした。今回はなぜかコーションが出て、ベルは見事な制御でどこにもぶつけなかったので最小限の損害で済みますが、このレースは終わりが見えません。

 リードラップ車両がピットに入りますがここでも信じられない出来事が続きます。1位でピットに入ったラーソンはまだホイールをはめてないのにジャッキを落とすミスで時間を失い、4位のハービックは左前輪のナットが締まらないまま発進して脱輪する大失敗。6位のハムリンもナットが締まっておらずバックしており、2位のベルはパンクして入った来たので作業に時間がかかりました。
 結果、3位で入ったブッシャーが2輪交換して余裕でピットを最初に出ていきました。みんなミスりまくっており結果的に4輪でも頭を獲れたかもしれませんが、相手のミスを見て急に作戦を替えて自分たちも失敗したら意味がないので考えた作戦で通します。
 
 だいぶ寒くなってきたのかさっきまで半袖だったジェシーが上着を装備するアジャストを実行。残り57周・ブッシャーとバイロンの1列目でリスタートしました。ブッシャーがリードを守り、バイロンをかわしたエリオットが続きます。2輪交換のブッシャーにとって課題はおそらく周回遅れです。
 しかし幸運なことに内にも外にも周回遅れが散らばって抜けない状況があまり起こらず、多くの車が内側のラインを通ってブッシャーは外から周回遅れを淡々と処理していきました。2輪交換だと左が踏ん張らないので内側はあまり通りたくないはずですから、みんな内側にどいてくれるのは願ってもない状況です。
 クリストファー ブッシャー、2016年のポコノ―以来となる通算2度目の優勝。前回は雨で途中終了のレースでしたので、レース距離を走り切っての優勝は初めてです。今シーズンはこれで19人目の勝者となり、1956年、1958年、1961年、2001年に並ぶ史上最多となりました。レース後、自分が勝ってもおかしくなかったレースでしたが、ブッシャーにケゼロ共同オーナー様が祝福に訪れます。

 一緒に何かやるのかと思ったら、腕を突き出して激励した後走り去りましたw RFKレーシングとしては初優勝ですが、ラウシュとしても2017年のタラデガと夏のデイトナでステンハウスが勝って以来5年ぶり、スーパー スピードウェイ以外だと2014年のカール エドワーズ以来です。エドワーズはこの年の春のブリストルとソノマで勝ったので、2マイル以下のオーバルに限定するとこのブリストル以来の優勝ですね。


 2位からエリオット、バイロン、ベル、ラーソン、チャステインのトップ6。7位にアルメンディンガー、12位にジャスティン ヘイリーとコウリッグ レーシングが2台揃って好成績を残しました。
 そして、複数のコンテンダーがトラブルに見舞われ、ボロボロでもとにかく走り続けてスアレスは6周遅れの19位、シンドリックは7周遅れの20位、レディックは31周遅れの25位、ブレイニーは162周遅れの30位でした。書いてて自分でも意味が分かりませんが、これを受けてレース後のポイントはこうなりました。レースが終わるとどこもポイントは次戦からの3000点にリセットされた順位になるので自分で足し算しています。細かい誤りがあったらごめんなさい。

pos driver points +/-
1 Christopher Bell 2160 +93
2 William Byron 2138 +71
3 Denny Hamlin 2125 +58
4 Chase Elliott 2120 +53
5 Kyle Larson 2117 +50
6 Ross Chastain 2116 +49
7 Joey Logano 2100 +33
8 Alex Bowman 2095 +28
9 Ryan Blaney 2093 +26
10 Chase Briscoe 2081 +14
11 Daniel Suárez 2074 +7
12 Austin Cindric 2069 +2
13 Tyler Reddick 2067 -2
14 Kyle Busch 2067 -2
15 Austin Dillon 2058 -11
16 Kevin Harvick 2045 -24

 2周遅れながら14位に入り、ステージと併せて38点を稼いだブリスコーがなんと事前の低評価を覆して次ラウンドに進出、貰い事故で破損したレディックとエンジンが壊れたカイルはいずれもあと僅かに及びませんでした。普通に完走すれば苦労はしなかったはずですが、2人ともこのラウンド3戦で2度大きく取りこぼしており致命的でした。おかげでシンドリックも新人ながら生き残りました。ハービックは脱輪してなければあるいは勝てたかも、という内容でした。

 ブッシャーの才能を信じて、いずれこいつが来ると思い続けてはや数年、ようやくの優勝で非常に面白かった一方で、壊れまくる車両がプレイオフに影響したのもまた事実でした。トゥルーエックスはリタイア後のインタビューで

「シールが壊れてオイルが全部右前輪に押し出されたんだ。信じられないよ。。。ハービックは何て言ってたっけ、クラッピー パーツ?」

と軽くNASCARを非難。ダーリントンで出火に見舞われたハービックがレース後に「これは安物の部品(crappy parts)のせいだと確信してるよ、これまで何度も目にしてきたんだ」と批判した際の言い回しを引用しました。
 NASCARの上級副社長・スコット ミラーも今回の不具合頻発については、ブリストルの特殊な環境がもたらした予想外のものであったと認め
「正直言い訳はできないですが、この車両の新しさ、すべての新しさを考えると、問題があるのは仕方がないことだと思います。しかし、それは私たちにとっては学びのプロセスの一部だと思います」と釈明しました。
 バンク角の高いトラックならデイトナやタラデガもありますが、ブリストルは高いバンクでありながら0.5マイルでターンは非常に鋭角。特にフロントのサスペンションやステアリングには、強大な縦荷重を受けながらも減速しながらステアリングを大きく切ることになり、しかもコンクリート舗装であるために路面からの入力が大きく、大小様々な波形の振動も入力されるので他とは受ける力が異なると考えられます。
 今にして思えば、春のブリストルはダートではなく通常レースを開催して、大事な秋のレースで不具合が出ないように『実走テスト』をしておくべきだったのかな、と思ってしまいますが、今さら言っても仕方ありません。NASCARは改善策を示す必要があるでしょう。

 ちなみに、ハービックはこれらの騒動とプレイオフ敗退を受けて、『Happy’s Crappy-Ass Parts 4 Less.』と描かれた新しいTシャツを発売しました。完全にNASCARをおちょくっています。



 この手の批判ってだいたい罰金が来るんですが、ミラーは「全てのチームとメーカーが選定プロセスに合意した」としてハービックのクズ部品扱いを否定したものの、それ以上の反応は特に示していないようです。

 色々起こりましたが次戦からはラウンド オブ 12となります。テキサス、タラデガ、シャーロットのローバル、という構成ですので、テキサス以外は20人目の勝者が生まれる可能性がそこそこあるレースになっています。

コメント

匿名 さんのコメント…
やっちゃいました!
カイルのことではなく、私がやっちゃいました。
時差を考えて、まだ大丈夫だろうと思って日曜日にNASCARのサイトを開いたら、そこにはブッシャーの勇姿がw
今週のレースは土曜日やったんですね。

という訳で完全にネタバレしちゃったんですが、次の瞬間には「え??ブッシャー??」って、冷静になってました。
19人目の勝者はトゥルーエックスかと思ってましたが、ブッシャーやったんですね。
カイル・プッシュ さんのコメント…
またやっちゃいました。
上のコメントは私です。
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 ペンスキーの慌てっぷりが移ってますよ(笑)レース開催日は確認するようにしてるんですが、私も今回は危なかったです。カイルは脱落してしまいましたが、これからは無関係の人間としてレースをかき回してもらいましょう!
ウルミコス さんの投稿…
すごいレースでした!

1ラウンド目から既に荒れまくりで既に予想が外れてしまいました(っ ◠‿:;...,
トゥルルもケセロもブレイニーも控えてますし、20人目の優勝者も秒読みですね。
特にローバルは見逃せませんね(っ ◠‿◠ c)
日日不穏日記 さんの投稿…
ディロンは覚醒しませんでしたね。このラウンドの勝者は全部20代。来年、プレーオフに出てくる気がします。ハーヴィックとレディックが落ちたのは予想外でしたが、カイルはやっぱりって感じです。ヘンドリックの4人と、新世代の時代に来年はなりそうですね。カイルは複数年契約ですか、不運はありましたが、時代は終わりつつある気がします。
まっさ さんのコメント…
スイカ男さん!やりましたーー!!!!
ここのところ低調気味でしたがしっかり生き残りラウンド12進出!
さぁどこまでいけるか!!!
因縁のハーヴィックさんも脱落なのでこのまま突き進めー!
SCfromLA さんの投稿…
>ウルミコスさん

 ローバルの最終ラップ、最終コーナーは既に嫌な予感しかしませんw
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 ディロンには何の雰囲気もありませんでしたねw しかし移籍の話が出る前後からいきなりカイルのエンジンばっかり壊れると、偶然にしてもモチベーション下がりますよね。ちなみにカイルにはなぜかマクラーレンが来年のインディー500での起用に興味を示しているとの情報が出てきました^^;
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 因縁のハービックさんは脱落して失うものが無いから何をしでかすか分からない、とも言えますw それはさておき、今回もうっかりピットボックスを通り過ぎて2回ピットに入るミスが映っていないところであったみたいなので(リードラップ車両が少なすぎてほとんど順位は下がらなかった)、一旦リセットされる次ラウンドは落ち着いて戦いたいですね~
あゆむ★★☆ さんのコメント…
マジェスキーの停止はチームからの指示で、最終戦にとって置くためとのことですね。かわいそうですが中小チームならではだと思います。
マジェスキーにしろブッシャーにしろラウシュのxfinity組が活躍してくれたのでとても楽しめました。
ChaseFun9 さんのコメント…
さて...Round of 12では何人のトップドライバーがぶち壊されることになるのか...16の結果を見て不安しかないですねw これでチャンピオン決まっていくのは良くないから早く誰か勝ってwww
SCfromLA さんの投稿…
>あゆむさん

 あ~、やっぱりエンジンは置いとかないといけないんですね。大きいチームだともうローテーションを決めてて最終戦用の新品は確保されてるんでしょうねえ。
SCfromLA さんの投稿…
>ChaseFun9さん

 とりあえずChaseもダーリントンの取りこぼしが致命傷にならずにリセットされて良かったですね、脱落してたらシャレにならんところでした。個人的にはもう最終戦も全然違う人が勝つの大歓迎ですw