ABB FIA Formula E 2022 SABIC London E-Prix
ディグラッシは前が開けた途端にペースを上げ、ファンブーストも投入して先ほどまでの1分15秒台から14秒台へとペースを上げてデニスを近寄らせません。レースはそのまま45分を消化して、序盤のSCによってもたらされた3分の延長戦に突入しました。
ExCel London Circuit 2.141km
45minutes+1Lap(規定により3分延長)
winner:Lucas di Grassi(ROKiT Venturi Racing/Mercedes-EQ Silver Arrow 02)
フォーミュラE、何回やっても何回やっても無事に全員1周を終えられないロンドン2連戦。ドライバー選手権で2位に24点差をつけるストフェル バンドーンはここの結果次第で王手をかけることになります。
予選では前日に続いて選手権の上位勢が苦戦。バンドーン、ミッチ エバンス、エドアルド モルターラはいずれもグループ予選で敗退してしまいます。そして、唯一ジャン エリック ベルニュがB組の4位で生き残った、と思ったその瞬間に衝撃の事件発生!なんと最後にアタックしていたアントニオ ジョビナッツィーが2位に割り込んでベルニュを蹴落としました。
これにはDSテチーターのチームもガックリ、ライバルのメルセデス-EQのスタッフもついつい笑いをこらえてしまう状態でした。存在がネタ化しているジョビナッツィーの突然の割り込みに実況も現場もさすがに笑ってしまう状態です。
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| ジョビナッツィー?うそやろ・・・? |
デュエルスでもジョビナッツィーはニック デ フリースを破る金星を挙げてなんと予選3位。そしてポール ポジション争いはシーズン3以来のポールを狙うルーカス ディ グラッシと2戦連続ポールを狙うジェイク デニスの戦いとなり、完璧な走りを見せたデニスが連続ポールを獲得しました。
スタート順位はデニス、ディグラッシ、ジョビナッツィー、アントニオ フェリックス ダ コスタ、デフリース、セバスチャン ブエミのトップ6。ベルニュは10位、バンドーンは13位、エバンス14位、モルターラは17位と厳しい状態です。上位勢が軒並み低迷ならバンドーンが圧倒的有利になります。
決勝、本日のアタックモードは4分×3回です。たぶん回数を増やしてくると思ったw スタートでは上位7台には変動はなく、中団もターン1~2を無事に通過したので今日こそは無事に全員切り抜けたかと思ったら、ターン5の先のスロープ部分で行き場を無くしたオリバー ローランドの車がオリバー アスキューの車に乗りあげました。
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| ハンマーGクラッシュだ! |
前が浮いたらどうしようもなく、あろうことかローランドはそのままターン6に真っすぐ突っ込んでベルニュの側面に接触しました。せっかくスタートで1つ順位を上げて9位に上がったのになんたる不運。でもとりあえず9位でそのまま走っていました。
さらに2周目にダニエル ティクタムがターン22でクラッシュ、3周目にはベルニュがトラブルで突然車を止めてSCとなってしまいます。ベルニュは再起動したもののダメだったようでそのままピットへ。やはりハンマーGクラッシュを受けた影響があった模様です。
6周目にリスタート、デニスは特に変な駆け引きも無くリスタートしていきました。するとこの周に5位のデフリースが真っ先にアタックモードへ。ここから上位勢はサイクルに入り、デニスはうまく後ろとの差ができたので1位で入って1位のまま合流することに成功しました。
そしてここで悲しいお知らせ、ジョビナッツィーに対して出力超過の判定が出てペナルティー、ドライブスルーのため入賞圏からは脱落してしまいました。ジョビナッツィーは予選でも同じ審議が入っていたので、セッティングの問題で空転が多すぎるとか、ソフトウェアの管理が悪いとか、車両側に問題がありそうです。結局これでいつもの順位に戻ったナッツィーは19周でリタイアしました。3位スタートで完走すらできないとは・・・
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| 序盤めっちゃ頑張ってたジョビナッツィー |
残り27分、2位のディグラッシは1回目のアタックが終わったるとすぐに2回目に入りました。この時リーダーのデニスもアクティベーションを通過していましたが、まだ1回目のアタックが15秒残っていたのでこれは無効。チーム側の指示にミスがあったんだろうと思いますが、ただ遠回りしただけになって1.2秒ほど損をしています。
一方チャンピオンを争うドライバーではエバンスが今日も好調、1回目のサイクルを終えた段階で既に5位にまで順位を上げており、残り24分30秒で2回目のアタックに入りました。6位のブエミがかなり離れていたのでフリー アタックでした。現状の日産はレースでのペースがやや遅いので後ろに入ると空間を作りやすく、日産のドライバーが上位からスタートした場合、彼らを後ろに挟むのは展開上かなり重要です。逆に詰まると厄介です。
デニスはアタック中のディグラッシには抜かれませんでしたが、無駄に遠回りしたせいもあってフリーアタックを得られるほど引き離すことはできませんでした。残り21分で2回目のアタックに入り、ここでディグラッシにリードを明け渡します。ディグラッシには全力で走るよう指示が出て、通常モードですがデニスに順位を取り返させません。
残り17分、ディグラッシはデニスのアタックがあと10秒ほどで切れるタイミングで3回目のアタックへ。先に動いて常にアンダーカットできる体制を取りデニスに重圧をかけます。デニスからするとここでディグラッシに抜かれたら勝機が薄くなるのでブロック。この2日間で初めてデニスが後ろとの争いを気にし始めた気がします。
デニスはディグラッシの攻撃をどうにかしのぐと、相手のアタックが切れたところでフリーアタックを目指してペースを上げます。当然ディグラッシもそれは分かっているので0.8秒差のウインドウ内にとどまってデニスの動きを縛ります。ディグラッシは相手にエナジーを使わせてジリ貧にしてしまえば良いと思ってるので、無理に抜きには行きません。
28周目・残りは8分30秒、デニスは空間を作ることができませんでしたがここでアタックの指示。「距離が近いんだけど!?」とちょっと驚いた反応ですが仕方ありません。デニスの3回目のアタックでディグラッシが再度リーダーとなりました。エナジー残量としてはデニスはやや劣勢で、こうなるとデニスはアタックがあるからと言って簡単に抜ける状態ではありません。後ろからはデフリースとエバンスも迫っています。
ディグラッシは前が開けた途端にペースを上げ、ファンブーストも投入して先ほどまでの1分15秒台から14秒台へとペースを上げてデニスを近寄らせません。レースはそのまま45分を消化して、序盤のSCによってもたらされた3分の延長戦に突入しました。
すると延長に入った瞬間に衝撃の事態。4位まで追い上げていたエバンスの車に問題が発生し、自らシケインを真っすぐ通過して退避路へ。凍り付くピット。エバンスはそのままリタイアです。エバンスとチームのレース後段階での見解はインバーター故障の可能性が高いとのこと。昨年の最終戦でもインバーターの故障からスタートで車が動かず、手が届きかけていたチャンピオンを逃したエバンスですが、また別の問題だろうとはしつつも、またもやインバーター故障でタイトルが遠のきました。
そしてレースは最終周へ、圧倒的な強さを見せるディグラッシにはもはや手が付けられず、デニスにはデフリースが接近。それなりに残量が厳しい状態で最終周に入ったようには見えますが、上位勢はそのままいつも通り0.0%の状態でチェッカーを受けていきました。
ディグラッシ、昨年のベルリン以来でベンチュリー移籍後は初となる通算13勝目。前日は予選で妨害があったとして全タイムが抹消され不当な判定だと激怒していましたが、いくらか怒りをおさめる会心の勝利でした。デニスは連勝こそならなかったものの2位、デフリース、バンドーン、アントニオ フェリックス ダ コスタ、ブエミと続きました。
ジョビナッツィーが脱落して今日も無得点かと思われたドラゴン/ペンスキーでしたが、19位スタートのセルジオ セッテ カマラがなんと混戦を切り抜けて9位となり、今季初のポイントを獲得。チーム選手権で最下位を争うNIOはこのレースも無得点で、両者は5点差で最終戦を迎えます。どっちが最下位になるんでしょうか!まあそもそもドラゴンペンスキーは今まで何度もエナジー管理の失態で入賞を自ら投げ捨ててきたわけですが・・・
そしてチャンピオン争いはある種壊滅的な結果になりました。デフリースが4位になった一方で、エバンス、ベルニュはリタイア。そしてモルターラも接触するわ、突っ込みすぎて事故りかけるわと絵に描いたように焦りから無理をするレースになって13位となり、選手権の2位~4位が全員無得点でした。これによりバンドーンは2位のエバンスに対して36点の差を持って最終のソウル2連戦に臨むことになりました。
メルセデスEQはどうやらこの裏ではちょっとした問題があったようで、エバンスがリタイアした直後、チームはデフリースに対してバンドーンと入れ替わるように指示したようです。ところがデフリースはこれを拒否し、そのまま3位でチェッカーを受けました。デフリースはフロントのサスペンションに問題を抱えていたようで、レース後
「個人的には、まず第一に順位を下げようとして左フロントに何かが起こった場合、さらに多くのポイントを危険にさらすことになるのではないかと恐れていた。同時に、ストフェルのタイトル争いの相手がすべて彼の後ろにいることを知っていた。 彼は非常に快適なリードを持っており、彼がチャンピオンシップに勝つことに疑問の余地はないよ。」
「残りは3戦で、バンドーンとのタイム差を考えると、その時点で非常にばかげた判断だったと感じたんだ。」
ただ、この指示はバンドーン側には伝えていなかったそうで、彼は特にそんなやり取りがあったことも知らないまま4位でチェッカーを受け、現時点でドライバー間にはオーダー無視に関するわだかまりはなさそうです。来季を見ればメルセデスは撤退してマクラーレンになり、バンドーンはDSドラゴン/ペンスキーへ、デフリースはマセラティ―へ移籍すると目されているので、もめたところでもう大した問題では無いとも言えますね。
今回はベンチュリーとディグラッシが非常にうまく戦いました。デニスとすると誤ってアタックに入ってしまったのが痛恨の失敗で、普通に走っていればひょっとすると翌周にアタックに入ってギリギリ前を守れたかもしれません。
ただ、ディグラッシの速さを考えると仮に前を抑えてもエナジーを使わされて最終的にはコース上で抜かれてしまった可能性は高かったように思うので、いずれにしても2位というのは目一杯の結果だったように思います。昨日のレースはバンドーンが一切リスクを採らなかったことで上位が動きませんでしたが、前を狙う動きを見せるとなかなか緊張感があって面白いレースだったと思います。
しかし来年を見据えると、結局エクセルロンドンのレースは昨年からの4戦全てでスタートからセクター1のうちに事故が起きて、しかも車両の上に乗り上げてしまうような接触も発生しており、むしろ無事故で通過する方が難しい様子。果たして来年のタイヤむき出しの車両でこのコースは使えるのかちょっと不安です。
次戦はいよいよ最後のラウンド、韓国・ソウルでの2連戦です。下手したらバンドーンが1戦目でタイトルを決めてしまいますが、初開催なので何が起きるか分かりませんよ!と一応煽っておきます。ジョビナッツィー今度こそ!





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