NCS 第21戦 ポコノ―

NASCAR Cup Series
M&M's Fan Appreciation 400
Pocono Raceway 2.5miles×160Laps(30/65/65)=400miles
winner:Chase Elliott(Hendrick Motorsports/NAPA Auto Parts Chevrolet Camaro ZL1)

 NASCAR Cup Series、レギュラー シーズンは残り6戦となりました。第21戦は三角形の特殊なオーバル・ポコノ―です。1974年から開催されているここでのレース、1982年以来は年2回開催でしたが、ラインが1本しかなくて追い抜きが難しく単調になりがちな上に、ステージ制レースが明らかに悪さをしてコース上ではなく戦略重視のレースがお約束となってなんだか魅力に欠けていました。
 ここ2年は2日連続開催という新しい試みもありましたが、今年はとうとう1回開催となっています。ここはシリーズでも比較的少ない独立したオーナーが所有するトラックなので開催数が減るのは残念だと思いますが、単調になって『ポコノ―=退屈』という印象が付くぐらいなら1回だけになった方が楽しめる人が増えるかも、と前向きに捉えることもできます。

 さて、前戦終了後にNASCARから大事なお知らせがあり、来年にシカゴ市街地でのレースが開催されることが正式に発表されました。発表されたコース図を見ると、シカゴ美術館に近い市街地で基本的には直角コーナーを組み合わせただけの『ザ・市街地』という感じになっています。複々線の鉄道が走っていて、道路がその上を跨いでいるので鉄道も楽しめるかもしれません。これに伴ってロード アメリカのレースが日程から外れます。

 今週は3シリーズ併催、キャンピング ワールド トラック シリーズは第16戦で、レギュラー シーズンの最終戦。練習・予選が雨で中止となってぶっつけ本番のレースとなり、60周のうち49周をリードしたチャンドラ― スミスが今季2勝目を挙げました。

 レギュラーシーズンのチャンピオンはゼイン スミスで、勝利数でも最多の3勝。元々このシリーズではあんまり多くないフォード車では彼が唯一のプレイオフ コンテンダーとなりました。これでプレイオフ進出者の10人が決定し、マット ディベネデトーはシリーズ13位で進出できず。また服部レーシング エンタープライジーズのタイラー アンクラム、チェイス パーディーの2名も進出はできませんでした。

 一方エクスフィニティー シリーズは第19戦。46周目のターン4でサンティノ フェルッチがスピンしたことをきっかけに後続が大混乱となり、ピット ウォール側へ避けたジェブ バートンにちょうどスピンしたリッキー ステンハウス ジュニアが真横から突っ込み、壁と車に挟まれたバートンの車が横転する大事故になりました。幸いバートンは無事でした。ジェブって2015年のカップ戦の練習走行ではターン3でスピンしてピット内に突っ込んだことがありましたね^^;


2015年、スピンしてピットに突っ込んだジェブ バートン

 優勝争いはノア グレッグソンとタイ ギブスの争いになり、接触すれすれ、たぶんちょっとかすってるぐらい真横に並ぶギリギリの攻防となりました。しかしグレッグソンが外側のラインでなんとか耐えて優勝し、タラデガ以来の今季3勝目を挙げました。ロードアメリカでの故意接触もあってちょっと印象が悪くなってたので名誉挽回ですかね。


 そしてカップシリーズ、ブッシュ ライト ポール アワードはデニー ハムリンが獲得。今回M&M'sが大会スポンサーなので頑張りたいカイル ブッシュが2位、チェイス エリオット、カイル ラーソン、クリス ブッシャー、ライアン ブレイニーと続きます。
 ブッシャーもブレイニーもここは初優勝した思い出の地、ハムリンはフル参戦1年目にここで初優勝し、6戦後に訪れた2度目のポコノ―でも連勝しているので、なんとなくここと縁がある人が上位に並びました。
 一方で、カート ブッシュは予選のターン3でスピンして後ろからそこそこ高速で壁に当たり、脳震盪の疑いがあったため決勝の出場が医師から許可されませんでした。そのため、代役としてギブス君が急きょカップ戦にも登場。エクスフィニティ―のレースを終えて高速道路で帰っている途中に電話で呼ばれ、深夜1時までシミュレーターで練習しての、実車ではぶっつけ本番デビューです。

 また、ペティーGMSレーシングは予選前の車検でエリック ジョーンズ、タイ ディロンの2台の車にいずれも違反が見つかり、ポイントを35点減点、クルー チーフは出場停止になりました。

 決勝はスタートでいきなり波乱。綺麗にスタートしたと思われたハムリンでしたが、思ったほど車が曲がらなかったのかターン1の出口でタイトになっていきなり壁と接触。この間にカイルがリーダーとなりハムリンは5位に後退します。リーダーがターン1で自滅ってかなり珍しいですね。
 
 6周目、ターン3出口でオースティン シンドリックが単独スピンしてコーション。壁にぶつけた左リアのトー リンクが曲がっていてカニ走りしています。ただトーリンクはアトランタのレースでロガーノのクルーが数分で交換した実績があり、徐々に『直せる修理作業』になりつつあるようです。シンドリックは結局6周遅れの31位でレースを終えました。
 
 ピットがオープンとなると後方の車では何台かピットへ。13周目にリスタートされましたがまたもや波乱。リーダーのカイルがターン1で完全にラインを外れて失速、さっきのハムリンよりも酷い7位への後退となり、これで特に何もしていないのにリーダーはラーソンとなりました。
 今回NASCAR公式動画では新しい試みとして、現地のCM中にスタジオからの解説トークを挟むというのを取り入れてみたようで、ジェシー パンチが現場に出張していない時も色々と情報を挟んでくれるみたいです。一緒に解説してくれたのはエクスフィニティーに参戦中のライアン バーガス・21歳。コマーシャル中の現地映像を見ながら喋る仕様が基本ですが、インターナショナル アップデートはけっこうポンコツなのでたぶん色々不具合があると思います。しかし無料でこれだけ充実しているとは、実質こっちがお金を貰ってるみたいなもんですね!(謎)


 ステージ1は残り3周となり7位以下の車がピットへ。するとここでまたもやターン3で単独スピン発生、エリック アルミローラでした。これでそのままステージ1はコーション下での終了となってラーソンがステージ勝者、チェイス エリオット、ダニエル スアレス、ブレイニーが続きました。
 ただ、本来なら上位勢の多くは次の周にピットに入る予定だったと思われるので、そのままステージ1を走り切ってしまったことで戦略が微妙に狂った可能性があります。
 ところで、アルミローラは右側のタイヤを2本ともパンクしており、1周するとあまりに長いのでピット出口から逆走で自分のボックスへ。大きな損傷があるならともかく、パンクでこれをやって良いのか放送席ではあれこれと議論されました。結論としてはコミットメント ライン バイオレーションということになるんですが、それで良いんだろうか感がありますw
※ここはピット出口です

 ステージ間コーションでまだピットに入っていなかった人が給油とタイヤ交換。ラーソンが先頭でピットを出ますが、1回目のコーションとステージ1終了前に入った人がステイ アウトするためリスタート順位は大きく変動。ステージ2はハリソン バートンとジョーイ ロガーノの1列目、2列目にクリストファー ベルとロス チャステイン、3列目がバッバ ウォーレスとブッシャーです。
 タイヤの古いバートンはいくらクリーン エアーと言っても耐えられず、ベルがリードを奪いました。すると翌周、ジョッシュ ビリッキーがターン1でいきなりスピンしてクラッシュ・3回目のコーションとなります。スパイアー モータースポーツはけっこう車を壊している気がしますけどお金大丈夫でしょうかね^^;

 41周目にリスタートしましたが、今度はターン2で中団にいたハムリンが単独スピンしてまたコーション。内側に下りすぎて完全にエイプロンを走ってしまいました。この後45周目にリスタートしたものの、混戦からの軽い接触でコリー ラジョーイがスピンしてまたコーション、あーまたスパイアーの修理代が^^;

 ほとんどレースせずにじわじわと周回数だけ進むので後方のドライバーはこのコーションでピットへ。49周目にベルとカイルの1列目でリスタートしました。先ほどのリスタートで6位から2位に上げていたカイル、チャステインに押してもらってターン1の入り口でベルの前に出てリードを奪います。コーション連発が味方しました。
 
 57周目、ステージ2終了に対する燃料ウインドウが開いたので3位のウォーレスが上位勢で最初にピットへ。ウォーレスは2位のベルを抜けなくて詰まっていたようなのでアンダーカットを仕掛けました。周囲はすぐには反応せず、62周目に2位のベルと3位のラーソンがようやくピットへ。リーダーのカイルは65周目まで引っ張ってピットに入りました。
 これでサイクル前の上位3台は全員ピットに入りましたが、この中での先頭は依然としてカイル、ウォーレスはベルをアンダーカットしましたが、対カイルで言うと差がほとんど変わりませんでした。というのも、中古タイヤのカイルが54秒4あたりで周回し、タイヤを替えたウォーレスも同じようなペースだったからです。

 70周を迎えるころにはサイクルは概ね一巡し、ブレイニー、ジョーンズ、ハムリンが見た目上のトップ3。残るピット回数はみんな2回の想定ですが、先ほどまでにピットに入った人たちの戦略は、ステージ2終了直前とステージ2の中盤でピットに入る組み立ての王道作戦。
 一方ステイアウト組はステージ2終盤まで引っ張った上でピットに入り、ステージ間コーションをステイアウトして最終ステージを前からスタートし、最後のピットを早めにする組み立てと思われます。単にトラック ポジションだけで言えばこちらの方が前にいられる戦略です。
 ブレイニーはあまりペースが上がらなくなってきたようで、75周目にジョーンズがかわしてステイアウト組の先頭へ。ハムリンも続きます。ステージは残り13周となり、そろそろジョーンズもピットに入る頃合いになってきましたが、ここでなんとチームメイトの弟ディロンがスピンしてコーション発生。これでステイアウト組もカイルを筆頭とした王道作戦組も両方ピットになだれ込みました。

 ピットを先頭で出たのはカイル、王道組の方が給油時間が短いことが影響しており、人の道の裏を行って大きな利益を狙ったジョーンズでしたが、これで作戦が概ねみんな揃ってしまったのであまり良いコーションとは言えませんでした。そのコーションを出したのがチームメイトというのがまたなんとも・・・そして、このコーションで最も得をしたのは、その直前にピットに入っていたブレイニーでした。

 ステージ残り8周、全然違うことをしようとしてステイアウトを選んだウォーレスと、コーションで丸儲けしたブレイニーの1列目でリスタート。しかしブレイニーはターン1で失敗、ウォーレスはタイヤが古すぎて遅いので、この周のうちにカイルが3位から1位に戻りました。ウォーレスはこの後ステージ残り3周でピットに入ります。
 カイルはそのままステージ2を制し、チャステイン、ブレイニー、ジョーンズ、ケビン ハービックが続きました。ジョーンズはあと少しで3位を奪えたんですが、ブレイニーに僅かに届きませんでした。エリック勝ってほしいなあ。


 ステージ間コーションは上位勢は当然ステイアウト、中団以降は同じことをやっても埒が明かないのでピットに向かいます。中団が入ってくれた分だけウォーレスはリスタート順位が繰り上がることになります。
 最終ステージ、カイルとチャステインの1列目でリスタート。ウォーレスは21位になりました。ここから先の作戦はみんな同じなので、ちょっとタイヤが新しい以外に特に武器が無く、普通に行ったら全然魅力が無い作戦に見えます。
 カイルはリードを維持、今日はまだスイカを投げていないチャステインが追走。ブレイニーはハンドリングが悪くてリスタートから順位を下げていき無線での文句が絶えませんでしたが、さらに悪いことに108周目に左後輪がパンクしました。調子の悪い時は何をやってもダメなもので、不運にもコーションは出ず一人寂しくピットへ向かいました。

 残り43周あたりから一発逆転を狙う後方のドライバーがピットに入り始めます。このあたりの人は「燃料が足りるかすら分からんけど何もせんよりマシじゃ!」ぐらいのタイミングです。一方リーダー争いはカイルが周回遅れに多少乱気流を浴びせられたところでチャステインが接近。

 するとカイルは残り37周、スイカを投げられる前に先にピットに入りました。さっきからピットを終えた車が自分の前後に出てきて走りにくいですし、先に入られたら簡単にアンダーカットされるのでタイミングとしては適切な感じです。
 チャステインは翌周に反応してピットへ。このピット作業が非常に素早く、カイルより3秒近くピットで稼いだためにチャステインがオーバーカットを成功させて実質のリーダーとなりました。
 残り34周、暫定リーダーのハムリンがピットに入った直後にターン3でブッシャーがスピン。コーション発生でハムリン大儲け!と一瞬思いましたが、ブッシャーが絶妙の制御で車を抑え込んだのでコーションが出ませんでした。これはビックリ。
 大儲けし損ねたハムリンでしたがこちらもピット静止時間が非常に短く、ピットを出るとカイルの真後ろに接近。前の2台よりわずかながら新しいタイヤを武器に130周目にカイルをかわし、憎き因縁の相手・スイカ男を追います。カイル的には前に出しといて喧嘩してもらった方が得かもw
 
 ところがハムリンに対してチームから「燃料が2周半足りないのでブレーキを使わずリフト&コーストしてくれ」という情報が届きます。ハムリンの作業は2缶目の給油の際にうまく缶が給油口に刺さっておらず、目標の量を補給できないうちに車両が発進していました。クリス ゲイブハートが車載映像をライブで見ながらリフト位置を指導しているそうです。F1のランド ノリスとウィル ジョセフのコンビを思い出しますね。

 ハムリンは自分だけ燃費レースに突入しましたが、残り23周、ブレイニーがターン3出口で単独スピン。真正面からピットウォールに突っ込んでコーションとなりました。これならハムリンの燃料問題は解消されたも同然ですね。ブレイニーはかなり痛そうなぶつかり方に見えましたが無事に車を下りてきました。

 上位勢は当然ステイアウトして残り18周、チャステインとハムリンの1列目でリスタート。2列目にカイルとハービック。ここでハービックが勝ったらプレイオフ争いは大騒ぎになります。
 チャステインは絶対ハムリンが何かやってくると察知してかなりターン1を外回りしたんですが、ハムリンは見事に外へ寄って行ってチャステインと軽く接触。ターン1を曲がれず壁に当たったチャステインは失速し、なんとハービックが突っ込みました。ハービック、違う意味で大騒ぎになりました。


 過去のチャステインのやらかしからすると報復は予測されたことではありますが、別に外に膨らまなくても抜ける状態でわざわざ寄って行き、しかもそれを最前列でリスタート直後にやって関係ないドライバーにまで影響を及ぼしているので、ちょっと個人的にはガッカリでした。やるんだったら1対1の勝負になってからにしてほしかったです。

 残り13周、ハムリンとカイルの1列目。5位までは全員が既に今季の優勝経験者で、未勝利の最上位は6位のジョーンズです。なんか雨雲が近づいてきているようで、雨が降らなくても雷が近くて落ちたら規定でレースは止まりますし、トラックが広大すぎて「いきなりターン2だけ雨」みたいなことも起こるので、さっさと終わらせたい雰囲気です。
 リスタートされるとハムリンとカイルはワンツー体制を堅持。ハムリンは完全に後ろを見ながら走っており、念のためリフト&コーストして燃料も温存しながら快走。あと2周だったのにまたターン3でスピンが!なんてこともなく、そのままトップでチェッカーを受けました。観客席からは歓声とブーイング。

 ところが、このレースはこれで終わりませんでした。なんと、ハムリンとカイルの2台がレース後車検で違反と判定されて失格処分となったのです。

 この2台の車はフロントのフェンダーの隅っこの方、車両の角の部分に2インチ×5.5インチ、厚み0.012インチの透明なテープ(5cm×14cm×0.03cm)が、ラッピング塗装の内側に貼られていました。左右両側です。見つけにくい場所なのでレース前のレーザー計測車検では発見できず、詳細な検査を行う上位車両の車検だったがために発見され、具体的な位置は私が調べた程度では分からなかったんですが、おそらく

赤丸で囲ったあたりのどこかだと思います。ジョー ギブス レーシングのコンペティション ディレクター・ウォーリー ブラウンは声明で
「組み立てプロセスのこの変更は組織内で適切に精査されておらず、NASCARのルールに違反していると認識しています。この間違いをお詫び申し上げます。また、二度と起こらないようにプロセスを変更しました。」
とし、車両を組み上げる過程での作業手順に不備があったというような認識を示しました。何かテープで仮止めなんかをやって、ここにテープがあると違反だとは考えずそのまんまラッピングしたのか、あるいは故意に性能向上を狙ったのか。いずれにしても違反は違反でした。
 この部分は空力的には感度の高い部分のはずなので、僅かでも形状に違いがあると、例えば凹凸を意図的に作るとボーテックス ジェネレーターになる、なんてこともあるのかもしれませんし、剛性を上げることで高速走行中にたわんで気流が変わるのを防げる、なんてことがあるかもしれません。全然無いかもしれませんし遅くなるかもしれません。
 
 ともあれ、これでなんと上位2台が全く同じ違反で失格になってしまい、優勝はなんと3位でチェッカーを受けたエリオットのものとなりました。1周もリードしないで優勝です。2位からタイラー レディック、スアレス、ベル、ラーソンのトップ5でした。スアレスは車がしっかり路面を捉えているような動きをしていたので、あと少し前方でレースできていれば、という感じがしました。分が悪そうな作戦に出たウォーレスは8位でした。評価もしにくい微妙な順位w
 1位でチェッカーを受けた人が失格になったのは、1960年の第12戦・ウィルソンでのエマヌエル ザーバキス以来62年ぶり。この時は燃料タンクが規定より大きいことが理由で、2位のジョー ウェザリーが繰り上がりで優勝でした。
 そのウェザリーも実は失格経験者で、1955年のウエスト パーム ビーチのレースでした。この時は彼と2位のジム リードの2台が失格。理由は『市販ではない部品を使った』というものだったそうで、ストック カーのレースなのにストックじゃないエンジン部品を使ったみたいです。古すぎて良く分かりません!w

 1960年以前にはこうした失格が数例あったようですが、調べていたら優勝者以外で面白い話を見つけました。歌手であり時々レースにも出場していたマーティー ロビンスは1972年のタラデガのレースで前代未聞の珍事。決勝で予選よりも遥かに速い異様な速度を記録して優勝争いに食い込みますが、なんとリストリクター プレートを外してしまっていたことが発覚。意図的なもので「一度で良いから先頭を走るのはどんなものなのか見たかった」と発言。
 疑似直線レースのタラデガならでは、まだまだNASCARの運営もガバガバだったであろう1970年代ならではの豪快なエピソードです。皆さんは絶対真似しないように、危ない以前に確実にバレて追放されます。
 
 ところで、組み立て手順の問題であれば、JGRの残りの2台も失格では?という素朴な疑問が生まれますが、NASCARがレース後に厳密な車検を行うのは上位5台と、無作為に選んだ追加の2台に限定されており、着順で言うと6位だったベル、9位だったマーティン トゥルーエックス ジュニアは対象外でした。NASCARとしては調べたいと考えるかもしれませんが、仕組みが無いんですね。
 で、今回無作為に選ばれたのはマイケル マクダウルとリッキー ステンハウス ジュニアの車でした。マクダウルは着順で8位(正式結果6位)とかなり良いレースでしたが、なんとこの無作為車検で違反が発覚。共通部品に何かしら手を加えてしまったようで、10万ドルの罰金、ドライバー/オーナー ポイント100点とプレイオフ ポイント10点の減点、クルーチーフ・ブレイク ハリスの4戦出場停止となりました。
 マクダウルは現時点でプレイオフ進出圏に入っておらず、プレイオフポイントも持っていない状態ですが、減点はマイナスという扱いになっていて、この先のレースで稼いでも10点までは相殺されて行くことになります。

 というわけで、レース本編よりもまさかのレース後に大騒ぎというレースでした。ポコノ―が抜きにくくて1列になるのは相変わらずなんですが、今年の車はかなり神経質で自滅するドライバーが多かったので、昨年までと比べると質という面では良くなったように感じました。特性が似ているインディアナポリスも一度オーバルに戻してみて、ダメならまたロードのしたらいいのでは?とちょっとオーバル開催に個人的には乗り気になっています。

 そしてもう1つ嫌でも気になったのがギブスで、2台が失格となった恩恵を受けてデビュー戦は16位でした。エクスフィニティーで走ったとはいえ、未知の車両で事故らずに常に20位近辺にいましたので、仕事としては果たしたと思います。
 オーナーのジョー ギブスからすると、孫をもう1~2年はエクスフィニティーに留める方針を示していましたが、想定外の形でデビューしてしまい、しかもそこそこ走れてしまいました。スポンサーが見当たらずなかなかカイルとの契約更新ができない中でのこの状況、今までは「カイルとの契約が最優先」という方針だったものが、どこかで「カイルじゃなくても良いかな」と思い始めてしまうのでは、と思ったのはたぶん私だけではないでしょう。
 JGR2台の失格と孫のデビュー、数年後に「ああ、そういえば2022年のポコノ―でこんなことがあってね」と、振り返った時に節目として引き合いに出されるレースになってたりして・・・

 さて、次戦はインディアナポリスのロード コース。なんと元F1ドライバーのダニール クビアトが登場します!

コメント

カイル・プッシュ さんのコメント…
2人の失格、知りませんでした。YouTubeを見て、JGRのワンツー!って喜んでたんですが、、、
ルールはルールなんですけど、ペラッペラのテープで失格にまでなっちゃうんですね。テープより、ピットを逆走する方が問題な気がしますが、引退直前は大目に見てもらえるんですかね笑
まっさ さんのコメント…
スイカ男はハーヴィックを見ると問答無用でスイカ投げを炸裂させます。(xfinity参照)
オレ、実は怖いのよ。って思わせるのもレースだと思います。舐められたら終わりよ。
ライコネン×チャスティン=スイカバーだから舐めるでしょって?
お後がよろしいようで。
日日不穏日記 さんの投稿…
カイルのスポンサー探しをしている時に、この事件。2013年のリッチモンドでボウヤーがやったスピンと違い、カイルに非がないにせよ、残留は難しくなってきた気がしますね。エリオットも喜んでいる様子ではないし。チャステイン、ブレイニーが潰れたので、エリオットのレギュラーシーズンチャンピオンは、ほぼ確定。プレーオフも優位に戦えそうです。ブッシュ兄弟推しの僕としては、散々なポコノでした。
首跡 さんの投稿…
クビアト参戦キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
私にとって確実に朗報ですね。
まずは初戦で完走を!魚雷を発射しないか少し心配ですが...
SCfromLA さんの投稿…
>カイル・プッシュさん

 毎回必ず「見終えたらすぐ車検結果を見る」という癖を付けてるんですが(フォーミュラEのせい 笑)、それでもやっぱり驚きましたね。運営とすると「性能に大した影響無さそうなので罰金と出場停止」としてしまうと、みんなが「じゃあそこまではやっていいのね」とラッピングの下に武器を仕込みだすので、厳罰を下すしかない感じですね。
SCfromLA さんの投稿…
>まっささん

 チャステインは「ここ数か月の自分の行為に問題が・・・」ってちょっとしょんぼりしててましたね。ハムリンは会心の勝ち方をしたはずが結局失格になりましたし、そろそろ手打ちにしてほしいなあと思いました。なぜかスイカを投げられたハービックには何か救いが欲しいですw
SCfromLA さんの投稿…
>日日不穏日記さん

 契約の話ってだいたい8月、9月ぐらいにはまとまってくるものですから、ずっと話が停滞しているとさすがに崖っぷち感を感じてしまいますね。そしてカート兄貴は次戦もまだ欠場のようです・・・
SCfromLA さんの投稿…
>首跡さん

 最初に情報を見た時は「クビアト!?ああ、エクスフィニティーかな」と、意外すぎてカップだと信じられませんでした。しかも残りのロードコースは全部出る予定だというので、魚雷には気を付けたいと思います^^;
ChaseFun9 さんのコメント…
娘さんめっちゃ喜んでるやん~ M&Msイベだけどこれはしゃーねぇか
って思って観終わって昼頃スマホのウィジェット見たらまさかのChase WIN
イレギュラーとはいえ5戦連続トップ2フィニッシュとかいうとんでもない事やってのけちゃったよw