FORMULA 1 LENOVO BRITISH GRAND PRIX 2022
Silverstone Cuircuit 5.891km×52Laps=306.198km
winner:Carlos Sainz Jr.(Scuderia Ferrari/Ferrari F1-75)
F1第10戦はヨーロッパに戻ってきてイギリスです。このレースでまた多くのチームがアップデート部品を投入してきましたが、いつもながらよく知りませんw
今回のレース、なんといっても大きいのはフジテレビNEXTの海外出張復活。解説の川井 一仁がパンデミック以降は途絶えていた現地放送席からの参加です。久々すぎて放送席の配線回りのあれこれを忘れていてスタッフさんとああでもないこうでもないやっていたそうですが、やっぱり現場であれこれしょうもない情報を仕込んでイキイキしてる川井ちゃんの方が良いですからね、回線ラグの影響で会話しにくい時もあるけどw
予選は前戦カナダに続いて雨に見舞われました。残念ながら(?)極端な波乱は起こりませんでしたが、Q3ではマックス フェルスタッペンがストウで見事に一回転。回ってもタイムが速かったのは笑いましたが、最後はシャルル ルクレールが失敗したことで発生した黄旗の影響を受けてタイムを伸ばしきれず2位。ピレリ ポール ポジションはカルロス サインツが手にしました。
サインツ、フェルスタッペン、ルクレール、セルヒオ ペレス、ルイス ハミルトン、ランド ノリス、とそれなりに順当な結果になりました。今回も雨ではしゃいでいたフェルナンド アロンソが7位。堅実なスタイルが合致したのか周 冠宇が9位でした。
翌日、決勝を前にして世界に衝撃が走りました。なんと川井ちゃんがPCR検査で陽性となってしまい、せっかくイギリスまで行ったのに放送に参加できなくなってしまいました。現地であれ日本からの放送であれ、30年近く一度も欠場したことが無いらしいF1界の鉄人・川井ちゃん、まさかの欠場です。これはもう今年の世界10大ニュースに間違いなく入りますね。冗談抜きにTwitterではこの時間帯に『川井ちゃん』という単語がトレンドに入りましたw
というわけで戦略の話を川井ちゃん抜きでどうにか自分で考える、という卒業試験的状態になりましたが、決勝タイヤの選択は上位勢はみんなミディアムかと思いきや2位のフェルスタッペンがソフト。また8位スタートのジョージ ラッセルは逆にハードを選択しており、後方にもソフトのドライバーがいるなどかなりばらけました。
スタート、フェルスタッペンは蹴りだしで簡単にサインツに並んで狙い通りに前を確保することに成功。ところがその直後に大事故が起こりました。ハードで蹴りだしが悪かったラッセル、さっさとニコラス ラティフィーには抜かれ、さらにピエールガスリーも来ていましたが、車を左へ動かしてしまいました。既にガスリーは車両長内に入っており、なおかつガスリーの左には周がいてどちらも避けようがありません。
ラッセルとガスリーのタイヤ同士が接触、これでいきなり左に巻き込んだラッセルの車が今度は周の車と接触し、不運にも周の車は瞬時に横転、そのままターン1を真っすぐに突っ切ってバリアの方へ向かいました。砂場を滑走した周の車は不運にも砂と舗装の境界あたりで飛び跳ねてタイヤ バリアーの上を飛び越え、金網に引っかかって止まりました。即座にレッド フラッグとなりました。
接触事故を起点に後方でも急減速による玉突き事故が起き、エステバン オコン、角田 祐毅、アレクサンダー アルボンも巻き添えで中破。特にアルボンは追突されて、壁に当たって、跳ね返ったところでさらに後続車両がぶつかって、とこちらもかなり酷い事故でした。周は車から出て搬送されたことが伝えられましたが、無事が確認されてリプレイ映像が公開されるまで20分以上かかっていたので、かなり深刻な事故だったと思われます。
周の車両はどうも横転して裏返しに着地した直後にロール フープが潰れてしまったようで、その状態で数百メートルも裏返しで滑走していましたのでヘイローが無かったら彼の頭部が守られていたかどうか分からない恐ろしい事故でした。アルボンも病院へ搬送されましたが、両者とも大事には至らなかったのが幸いでした。
この段階であるはずのちょんまげがもうない様子ですね。後ろにすっ飛んでる大きい部材がロールフープな気もするんですが違いますかね^^;
ロールフープというのはドライバーの後部、インダクション ポッドの部分に組み込まれているがっちりした構造物で、屋根のないフォーミュラ車両において裏返った際にドライバーの頭部が路面にぶつからないように空間を作ってくれる、屋根の代わりを果たすためのものです。だから、バラバラになって衝撃を吸収する前後の車体部品と違って、そうそう壊れずに堅牢さが必要です。色々探していたらクリスチャン ファラベーナという方が解説されている図が分かりやすいかなと思いました。
Why Zhou’s roll hoop has collapsed? Alfa Romeo has a single roll hoop structure that not provides the same stability under lateral forces. Despite this, obviously, Alfa has passed the crash tests that require to resist a 60kN lateral force for 10 sec#F1 #f1technical #f1tech pic.twitter.com/6MPlHpdKQg
— Christian Falavena (@CFalavena) July 4, 2022
フェラーリなんかは4本足の土台で三角形をしており、正面からインダクションを見ると『ハ』の形状にフープが入っているのが見えるんですが、アルファ ロメオが採用しているのは真っすぐのふっとい棒みたいな形状です。ブレード型、というそうです。ヘイローもそもそも『第2のロールフープ』という位置づけなので、この図では一緒に色付けされています。
最初に裏返って落ちた時点ではまだあったので2回目に地面にぶつかったあたりでもげたように見えるんですが、縦横の荷重のかかり方の中に構造上弱点になるような力の入り方があったのかもしれません。堅牢な部材に仕事をさせるには、取り付け点の強度もそれを受け止められるだけの堅牢さが必要ですが、そこらへんに安全規則が想定していなかった弱点があった可能性は素人目に感じます。
このレッドフラッグは1時間近く続きました。車両がスタートからセクター1を通過するまでに止まってしまったので規定上順位をスタート時に戻してのリスタートとなります。その昔Tカーという予備車両があった時代には、やり直しの場合事故った人もスタートまでに人間がピットへ戻ってくればTカーに乗り換えてスタートできたんですが、現在はそうはいきません。
再度タイヤを選べるので今回は上位7台がミディアムを選択。数字とすると3周目にスタンディングでリスタートされました。フェルスタッペンは今回はミディアムながらやはり好スタートでサインツの内側に並びかけましたが、サインツがなんとか抑え込みました。
その後ろではペレスがスタートでルクレールを抜いていましたがターン4でこの2台が接触。前でサインツとフェルスタッペンが争っていたのでペレスは内側に入ろうとしましたが、さらにその内側にルクレールも突っ込んできてしまいました。
ルクレールはウイングの右端を踏まれ、この後コプスの手前で翼端板が吹っ飛び、ペレスの車に命中して粉々になりました、これも怖いなあ。一方ペレスもルクレールに軽く弾かれた時に右にいたサインツと接触してやっぱり右の翼端板が壊れて吹っ飛び、結局ペレスは影響が大きくて5周目に緊急ピットを強いられました。
9周目、フェルスタッペンがサインツのDRS圏内へ。サインツも「向こうの方がちょっと速いよ」と無線で伝えます。すると10周目、サインツは攻めすぎたかベケッツで姿勢を乱して飛び出してしまい、フェルスタッペンがあっさりと前に出ました。フェラーリとするとルクレールもフェルスタッペンの1.5秒後方にいるので挟んだ状態で2台で戦いたい展開でしたが、前に出してしまうとできることが減ってしまいます。
11周目、いずれもソフトでスタートしていたガスリーと角田でしたが、角田がターン3でガスリーの内側に飛び込んでスピン。回りながらガスリーに接触してしまい、2台ともスピンする最悪の同士討ちになってしまいました。車に損傷は無いか聞かれた角田は「大丈夫だけどクソ!!!」。
アルファタウリは今回ガスリーが雨寄り、角田は晴れ寄りのセッティングで分けていて、予選では下位だった角田がこの時間帯ではペースは良かった模様。既にターン1のあたりで瞬間的には前に出ていたようなので、内側に入ったら開けてくれるだろう、と思ったら閉めて来たので急ブレーキ&急ハンドルで回った、というような状況だったようです。これで角田には5秒ペナルティー。
すると続く12周目にも事件発生。急にフェルスタッペンの旋回速度が低下してハンガー ストレートでさっとサインツに抜かれてしまいます。
「ちょっとカーボンの上を走ったんやけど、タイヤ調べてくれ。タイヤが良くない、パンクしてると思うわ」
パンクを感じたということでそのまま緊急ピット。やむを得ずまたミディアムへ繋いで2ストップ戦略にするしかありません。ところが、タイヤを替えたのにフェルスタッペンは依然として異常を訴え「100%車こわれとる」。データ上リアのダウンフォースが減っているということが伝えられました。
結局フェルスタッペンは最後までこの症状に悩まされたまま最後まで走り、レース後に原因が判明しました。なんと床下に破片が引っかかっていて、空気の流れを見事に邪魔していたのです。そしてその破片というのは、11周目に起きた角田とガスリーの接触で転がった部品だったようで、つまり角田はチームメイト2台を一気にやっつけてしまいました。ひょっとしてご両親はスイカ農家ですか?
なお、角田には国際映像で言うと15周目に5秒ペナルティーが表示され、17周目に『見直したけどこれ以上の審議は必要なし』という表示が出たので、角田のペナルティーが取り消されたとフジテレビ放送席では誤解されていました。
しかし、表示された文章を見ると分かりますが、1件目は『事故を起こした角田の件』に対する裁定で、もう1つは『ターン15でコース外に押し出した件に関するガスリーと角田の件』で別物です。角田がガスリーにぶつけたことへはペナルティー、その前にあったと思われるターン15でのコース外押し出しは審議の必要なし、ということでした。この押し出しの原因がどっちの車かは映像が無いので分かりません。
川井ちゃんがいないのでこの辺をフォローできる人がいないのも困りものでしたが、川井ちゃんの代役解説・松田 次生が「そうですよね、あれでペナルティーはちょっと、かわいそうですね」と言って片山 右京も同調したのがまた何とも言えませんでした。
テロップは数秒で消えるので、表示に気付いて読んでる途中で消えて内容を理解しきれないのは仕方ない面もあると思うんですが、そこは裏方のスタッフさんも誰かバックアップに回って、F1アプリや、自分たちの映像を見直して本当に内容がそれで合っているのか確認し、違っていたら情報を差し込む対応にはしてほしかったなと思いました。
これでウマゴンのワンツーになりました。しかしサインツはペースが上がらず、翼端板が無いルクレールが後ろに張り付きます。2台だけでレースをしているならまあどうとでもなるんでしょうが、3位のハミルトンがこの2台より速く走っており徐々に追いついています。ハミルトンはスタートでノリスに抜かれてしまったことで離れていたものの、現状はコース上で最速で、このままだと2台とも食われるのでサインツにはとにかく飛ばすよう指示が出ました。
20周目、サインツがピットへ。ハードへ交換して3位でコースに戻ります。これで前が開けたルクレールですが、ハミルトンの方がまだ僅かに早いペースで走行。ルクレールはウイングが壊れているので本当は直したいんですが、5秒かけてウイング交換をすべきかどうかちょっと悩みますね^^;
25周目、ハミルトンがとうとう1秒以内にまで追いついてきたところでルクレールがピットへ。やはりトラック ポジションを重視してウイングはそのままでタイヤだけ替えてコースへ。サインツの2秒ほど後方でコースに戻りました。タイヤに熱が入るとルクレールはサインツのDRS圏内に入りますが、フェラーリはドライバーの取り扱いに苦慮します。
サインツに対しては目標タイムが1分32秒2、これを超えたら入れ替えるような雰囲気で、サインツは「分かった、もう1周やらせて」。しかしルクレールは「32.2では足らんと思うで」と、これではハミルトンに負けると主張。結果、31周目にサインツは目標タイム未達で入れ替え指令が下りました。何せ彼らはハミルトンから18.5秒差で、ハミルトンから見てピット ストップ ウインドウの縁にかかっています。
33周目、ハミルトンもついにピットへ。しかし作業時間4秒と手間取ってしまい、残念ながらフェラーリ2台の後ろになってしまいました。作業は終わっていたのに信号が変わらなかったように見えます。仮に2秒の静止時間でもサインツのギリギリ前方、タイヤに熱が入る前にどのみち抜かれていたとは思いますが、1.5秒ほど損したことには変わりません。ただサインツより13周、ルクレールより9周新しいハードで走ることができます。そういえば今年は「OK Lewis,It's HAMMER TIME!」って無線を1回も聞いて無いなあ。
ここからはハミルトンがフェラーリ2台を抜けるのかどうかを楽しむ時間、のはずでしたが39周目、エステバン オコンに問題発生。一旦フェルスタッペンを抜いていたのにターン3あたりから明らかに勢いを失って抜き返されると、ルフィールドあたりで完全に力を失って車を停めてしまいました。どうせなら旧ピットの中へ車を入れてくれたら一番安全だったんですが、最も車を排除できない旧ホームストレートの端っこに車を停めてしまったのでSC導入となってしまいました。さあ大変。
これを受けてサインツとハミルトンがピットへ。もう残り10周ほどになるのでいずれもソフトへの交換。ルクレールは動きませんでした。ただ、これだとリスタート直後はサインツの方がペースが速いので、また入れ替えるかどうかで考えることになってしまいます。細かいタラレバは後ほど。
43周目、ちょうど残り10周でリスタート。上位3台の争いになっていたのですっかり存在を忘れていましたが、ウイングを壊したせいで全く勝負権が無かったペレスがSCのおかげで戻ってきており、リスタートするとタイヤがまだ冷えているらしいハミルトンをかわしました。観客席からは悲鳴。
一方フェラーリ同士の争いもサインツがルクレールをかわし、サインツ、ルクレール、ペレス、ハミルトンとここまでの1時間半は何だったのかという順位になりました。ここからさらに45周目に大きく動きます。
ペレスがルクレールを捉えてストウで並びかけそのまま最終区間を並走。そして、意地の張り合いをしたペレスが縁石の内側まで突っ込むちょっと強引な走り方でルクレールもろとも外側に流れていき、がら空きの内側からハミルトンが2台ともかわしました。まさかのごっつぁん展開に今度は観客席から大歓声。
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しかしペレスはまたすぐターン3でハミルトンの内側に入ると出口でハミルトンを軽く押し出して2位を取り返し、さらにルクレールもこれに続きます。また4位に戻ってしまったハミルトンはルフィールドの立ち上がりで外から抜こうとしましたが、今度はルクレールにも押し出されそうになりました。でもハミルトンもずっとこれをやってきたので文句は言えないですねえ。ターン3でブロックしなかったのも意外でした。
この後もルクレールはハミルトンに対して抵抗を続け、ハミルトンの方は状況が良く見えているようで、多少無理してくるルクレールにうまく対応しながらようやく48周目のハンガーストレートでかわしました。お客さんはもう一度大歓声。ハミルトンは久々にまともな形で上位争いしているのに、ずいぶんと冷静なドライビングをしている印象を受けました。
サインツはリスタート数周で築いた差を活かしてそのまま逃げ切り通算151戦目、スタートとしては通算150回目のスタートでついにF1初優勝、2020年のベルギーGPでPU故障によってスタートできなかったレースがあるので1つ数字がズレてるんですね。
サインツとフェルスタッペンは同期デビュー、フェルスタッペンは休みなしに出て前戦で通算150戦目を優勝で飾りましたので、2戦連続で『通算150度目のスタートをしたドライバーが優勝した』ということになります。
2位からペレス、ハミルトン、ルクレール、アロンソ、ノリスのトップ6。ルクレールはかなり進路変更してアロンソを抑え込んだので、レース後のアロンソは「ルクレールにはペナルティーが出ると思った」。自分はカナダで蛇行を理由にペナルティーを受けたので、こういうところはしっかり根に持ってぼやく大ベテランでした。
角田の部品が引っかかっていたフェルスタッペンはミック シューマッハーに追いかけ回され、最後はかなり強引は走りで7位を獲りました。ミックとしても初入賞がかかっているので、苛立つフェルスタッペンに対してこれ以上リスクを採れなかったようにも見えました。
今回はとにかくスタート直後の事故に関係したドライバー、観客に大事が無くて良かったです。ヘイローがあったので周の頭部は地面に直接接することが無かったと思われ、二重の横転事故対策が適切に機能したと考えられますが、こうも見事に潰れてしまって良いのか、というあたりは今後の調査の焦点になるのではないかと各メディアが伝えています。同感です。個人的にはそもそも車が重くなりすぎているのではないかという気もするのですが・・・
そしてレースの方はサインツがようやく初優勝を手にしたわけですが、何でしょうか、普段なら初優勝だと見ていて「おおおおめでとう!」ってなるんですが、なんだか今回は「結局サインツが勝ったかあ、あ、初めてやな」ぐらいのテンションになりました。SC時のチームの判断やら、そもそもサインツが勝っていないということを半分忘れているせいやらで、なんかピンと来ませんでしたw
SC時にルクレールを残したことについて、チーム代表のマッティア ビノットの話からすると、
・2台をピットに入れるとサインツが待たされて必ず順位を失う
・ルクレールが入ったらハミルトンはステイアウトする可能性が高い
・ルクレールはハードの履歴がまだ浅いので熱さえ入れば行けるはず
・ソフトはそのうち摩耗して苦しくなるはず
といったあたりが根拠となったようです。ただ、私はちょっと違うかなという気がしました。フェラーリには2台の動かし方として全部で4パターンあるわけですが、まず2台ともステイアウトは意味が無いので除外します。実際にやったのはサインツだけピットでした。
逆にルクレールだけピットに呼んだとしたら、おそらく今回と逆の結果になっていた可能性が高かったと思います。ハミルトンもステイアウトせずソフトに替えるので、リスタート後にペレスに抜かれるかどうかは考慮しないとしても、2台がサインツを抜いて、あとはルクレールが守れるかどうか。ただダーティー エアーでそう簡単にハミルトンが抜けたとは思えないですし、悪くても2位でした。サインツはズタボロだった可能性があります。
サインツを捨て駒として考えるのなら、リスタート後すぐルクレールに譲った上で1周目だけでも鬼ブロックしたらルクレールの勝率はグンと上がります。その代わりチーム内の問題は増えるでしょうけど。
では2台ともピットに入ったらどうだったでしょう。ハミルトンも一緒に入ったら、サインツは待たされるのでピット内で逆転されて、リスタート段階からルクレールとハミルトンの1位争いになったでしょう。ただ、万一これでハミルトンに抜かれても2位・3位は確保できそうです。それにメルセデスはやや冷え性で、実際ハミルトンがペレスに抜かれた理由もこれです。ということはリスタート直後に逆にサインツがハミルトンを抜いた可能性もあります。
ビノットが言うようにハミルトンがステイアウトしてクリーン エアーを取りに行く可能性もありますが、ハードが冷えたところからのリスタートなので新品ソフトにはかなりの追い抜きの機会があり、そしてこれまた仮に攻略に失敗しても2位・3位は固い展開です。そう考えるとメルセデスが4位以下にまで転がり落ちるリスクを採ってまでステイアウトしたかもわからないですね。一緒にピットに入れば確実に1台は抜けて、3位以内を固められるわけですから。
こう考えると、フェラーリ側はそれぞれの作戦での期待リターンを考えた時に、2台ともピットに入る戦略は目先では絶対ハミルトンに抜かれてしまいますが、最も2台を表彰台に送り込む確率が高い作戦ではなかったのか?と感じました。
チームとして、優先事項が『どっちでもいいから勝ってもらう』ことなのか、『選手権を争うルクレールに最大の得点機会を与える』ことなのか、『コンストラクターとして最大の得点を得る』ことなのか、軸足をどこに置くのかが曖昧だったことが、ルクレールが割を食った要因ではないかと思います。これはモナコGPでの戦略の混乱について、F1GPニュースで川井ちゃんも指摘していました。
別に、チームとして『どっちかが勝てば良いし選手権で上とか下とか関係無いし、チームとしても別に点数は重視してない』という方針であったのなら、今回の戦略でも間違ってはいないと思いますが、ビノットはややルクレールが勝てなかったことへの釈明のような状態になっていたので、そうしたかったわけではないと思います。意地の悪い書き方をしましたが、そりゃあそうです。
「後から考えて違うやり方ができたと言うのは、常に簡単なことだと思う」とビノット。確かにそうなんですが、『今この瞬間にSCが入ったらどうするか』といったことへの備え、方針をメルセデスやレッド ブルはもっと常に緻密に、言うなればレースが行われている5400秒間常に警戒を怠っておらず、フェラーリはその面で負けているように思えます。
例えばですが、オコンの車が止まりました、SCが出ました、ちょうど自分たちのドライバーはもうすぐピット入り口です、というのは数十秒の間に起こることですが、これを「ああハイハイ、その場合こうするんですよ」と、先に答えが用意されているぐらいに対応しているのがレッドブルだと思います。
まあずっと戦略がどうだと言われ続けていて、何年経ってもそのままなので、フェラーリというチームはそういうところに人員とお金を割いてレースをするようなことはあまりしようと思っていない組織なんだ、と言ったらそれまでなんですが、何か起きるたびに釈明やらドライバーへの謝罪やらするのであれば、もう少し改善策を考えないといけないと思います。
そういった多少の混乱が手伝ってとはいえ、サインツは勝利を手繰り寄せたのですから、これを飛躍の契機にしてもらいたいですね。ルクレールと比較してそんなに差が出るようなドライバーではないと思っているので、内紛起こしてチームから飛び出すぐらいの活躍を期待してます。
さて、次戦は2連戦でオーストリアへ飛びます。隔離されている川井ちゃんは本来は日本に戻って来る予定だったと思いますが、陰性証明が無いと日本に入れないはずですし、放送局側で陽性確認後はすぐに現場に入れない内規もあると思うで、出場は微妙かもしれません。自宅から電話出演?w






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