SGT 第3戦 鈴鹿

2022 AUTOBACS SUPER GT Round3
たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE
鈴鹿サーキット 5.807km×52Laps=301.964km
GT500 class winner:CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代 勝正/高星 明誠
(NDDP RACING/NISSAN Z GT500)
GT300 class winner:Studie BMW M4 荒 聖治/近藤 翼
(BMW Team Studie × CSL/BMW M4 GT3)

 大きな事故により第2戦がハーフ ポイントのレースになってしまったオートバックスSUPER GT。とりあえず騒動を一旦リセットして第3戦は鈴鹿300kmです。5月末ですがこの週末の日本は全国的に季節を先取りした暑さ、タイヤの運用が大変そうです^^;
 前戦で全損したCRAFTSPORTS MOTUL Z(12kg)、何から何まで壊れたのでニスモの開発用車両(いわゆる230号車)のモノコックを使用して、そこに予備部品を取り付けて形にしました。エンジンも壊れたので新品へ。本来モノコック交換はペナルティー対象、エンジンも年間2基規制があるので、このエンジンであと6戦全て走らない限りは3基目の投入でペナルティーですが、いずれも不可抗力と判断されて免除されるとのことです。
 
 予選、GT500ではそのCRAFTSPORTS・千代 勝正がQ1で「セッティング間違えてるんじゃないの!?」と思うぐらいスプリッターとフロアを擦りながらコール レコードを記録。普段のGT500の予選は基本的に1アタック勝負とはいえ2周目も途中まではそこそこのタイムで走れるので2回目で更新することもありますが、今回は暑すぎるせいか2周目はセクター2あたりでもうタイムが出なくなっている様子が見えます。マジで一発勝負ですね。
※決して壊れているわけではありません

 Q2でも高星が千代には0.2秒ほど及ばないものの暫定の最速タイムを記録。これを上回るタイムで来ていたKeePer TOM'S GR Supra・宮田 莉朋がシケインで失敗、Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(1kg)・大湯 都史樹も僅かに届かなかったので、何か見えない力でも働いているのかと思わされました。
 しかし、WedsSport ADVAN GR Supra(7kg)・国本 雄資がレコードを更新するタイムを記録し、2アタック目に入った宮田も高星のタイムを上回りました。予選順位はWedsSport、KeePer、CRAFTSPORTS、Red Bull、Astemo NSX-GT(6kg)、DENSO KOBELCO SARD GR Supra(6kg)の順。ZENT CERUMO GR Supra(16kg)は練習走行でエンジンに問題が出たため出走できませんでした。タイヤで言えば1位からヨコハマ、ブリヂストン、ミシュラン、ダンロップと上位4台はバラバラです。

 GT300クラスは若干の波乱。今回もポール ポジション候補だったSUBARU BRZ R&D SPORT(29kg)がアタック途中にターボの故障発生によりガレージへ。2位のタイムは当初Weibo Primez ランボルギーニ GT3(9kg)でしたがトラック リミット違反でタイム抹消。そして最速はTANAX GAINER GT-R(45kg)・大草 りきで、インタビューまで受けましたが予選後の車検で最低地上高違反とされて予選失格になってしまいます。
 結果、PPはStudie BMW M4・近藤 翼が獲得。今回はアウグスト ファルファスがニュルブルクリンクにいるので代走で参戦している近藤がM4にPPをもたらしました。2位からK-tunes RC F GT3(8kg)、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(66kg)、apr GR 86 GT、Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(9kg)、マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号のトップ6。ドライバー選手権1位のリアライズGT-Rが3位というのが恐ろしいです。

 そして決勝日、気温30℃・路面温度50℃。なんか8月の鈴鹿みたいな数字ですね、一応確認しますけど今日は5月29日です。私はこの日は京都にいたんですが、11時でもう暑かったし、夕方でも街歩きは暑かったです。シェイドレーシング GR86 GTが残念ながら決勝前の練習走行でクラッシュして出走不可となってしまい、ガードレール修復のために全体のレース進行も10分押しになりました。

 スタート、GT500は少し出遅れたっぽいKeePer・サッシャ フェネストラズを千代がターン1~2で抜くと、相変わらずお目覚めの早いミシュランなので国本も煽り立て、130Rの入り口で1位に躍り出ました。国本はこの流れでシケインの入り口でフェネストラズにもかわされます。Astemoの松下 信治も2周目に国本をかわし、ヨコハマのお目覚めの悪さもやはり恒例行事。

 GT300の方はM4の荒 聖治がリードを守り、上位6台には大きな順位変動は起こりませんでした。M4はまだまだロング ランでのデータが車両もタイヤも少ないので、この先どういったペースで走るのか非常に興味があります。

 3周目、エンジン関係と思われる故障でS字の外側に車を停めてしまったカルソニック IMPUL Z(19kg)を撤去するためにFCYが宣告され、スタートからのハゲしい争いは小休止。ほぼ1周を要して作業が終わり4周目にリスタートされました。国本にとってはせっかく熱が入りかけていたタイヤに冷や水を浴びせられたと思われ、リスタート直後にRed Bull・笹原 右京にもかわされました。

 9周目あたりからGT500は最初のGT300遭遇サイクル。この混戦のさなか、GT300のUPGARAGE NSX GT3(45kg)・太田 格之進がシケインでクラッシュ。ブレーキが壊れて止まらなかったという情報で、追突回避で最後は自分からバリアに向かって突っ込んだ感じです。これでSC導入。さらにZENTがエキゾーストから白煙を上げてS字に車を停め、SC中にはバンブー航空のウラカンが左後輪をパンクさせて低速走行、なぜこう色々と同時に起きるのか^^;

 SC中にGT300の4台がピットへ入り、GT500の15周目、GT300はおそらく14周目にリスタートされました。GT500は平穏なリスタートでしたが、GT300の方はリスタート前からずっとやっていたK-tunes・新田 守男とリアライズ・藤波 清斗の争いがリスタートされました。たぶん藤波は抜いてしまえばM4の荒よりもさらにペースが速いと思うんですが、66kgウエイトもあって無理はできないので牽制しつつも車を傷めないように細心の注意を払っている様子です。こうやって無理しないで戦略に幅をもたせておいて、相棒に繋ぐのが藤波とチームの得意技です。

 GT500が18周目に入るとGT300は早めに動く戦略のところがピットへ。マッハ号はたぶんやるだろうと思ってましたがタイヤ無交換作戦を実行し冨林 勇佑から平木 玲次へ。GT500も18周目を終えると早いところはもうピットへ向かいます。
 すると19周目に2位のKeePerが入ってフェネストラズから宮田へ繋ぎました。しかし翌周に入ったAstemoがKeePerより5秒以上静止時間が短くオーバーカットに成功、ピット組で先頭となります。
 コース上の争いではGT300の2位争いがようやく動き、藤波が19周目に新田をかわしました。新田はタイヤがヘロヘロになってきたのか、この後シケインでapr GR86・織戸 学にも仕掛けられ、そのままの流れでピットへ。ピットに入るつもりだったので争わなかったんですね。
 GT500のリーダー・CRAFTSPORTSは21周目にピットに入り千代から高星へ。GT300のリーダー・Studie M4も翌周にあたる20周目にピットに入り荒から近藤へ交替します。ピットを出た近藤の真後ろにはマッハ号の平木が迫りますが、M4は巨体を活かして(?)守ります。いかんせんパワーの無いMC86では全開区間になると離されるので、S字を過ぎたら平木の勝負権が無くなっていきました。


 ここで2台がやり合っている間にこの2台に追いついたのはSC中に給油とタイヤ交換を済ませる変則2ストップで順位を上げた埼玉トヨペットGB GR Supra GT(3kg)・吉田 広樹。この周のシケインで平木をかわし実質2位となります。

 GT500の27周目、GT300で今度は微博のウラカン・元嶋 佑弥がパンク、破片がまき散らされました。するとこの状況を見ていたのか分かりませんが、GT500で最後までピットを我慢していたDENSOがピットへ。関口 雄飛から中山 雄一へ交替して見た目上2位で合流、Astemo・塚越 広大が背後に迫ったその瞬間に2度目のFCYとなりました。
 FCYが解除されると、さすがにFCY走行でタイヤに熱は入らないので中山はすぐに塚越と宮田に抜かれはしたものの、ほどなくタイヤに熱が入って4位を確保、ピットサイクルの前は7位にいたので大きく利益を得ました。

 このFCYではGT500の10位争いで、中継だけでは状況を把握しきれない問題が生じました。FCYボードが掲示されてカウントダウンが開始されている中でMOTUL AUTECH Z・松田 次生がStanley NSX-GT・山本 尚貴をシケインでかわしていました。かわした後に速度制限がかかりました。
 で、さっきパンクしていたウラカンはFCY宣告の前にピットに辿り着いたので、通常のピット作業を行って元嶋から小暮 卓史に交代してコースへと戻りました。戻った場所はちょうど松田のすぐ前方でした。
 FCYは彼らの走行位置だとちょうどデグナーの入り口手前で解除されましたが、新しいタイヤでFCY走行している小暮はおそらくそろ~っとしか動けなかったと思われます。しかし松田は勢いよく加速してしまい小暮の左後部に追突。幸い小暮は走行を継続できましたが、松田の方は右前のフェンダーが壊れて風圧で吹っ飛びそうです。
 私も事後情報を調べて、録画したレース映像を突き合わせて時系列を整理したらやっと意味が分かりましたが、中継映像では時系列の関係が曖昧なままリプレイだけが出たので、この追突が起因でパンクして緊急ピットしたような話になってしまっていました。ディレクターさんか誰か分かりませんが、担当の方は話を整理した情報を放送席に提供してあげてほしいですね^^;

 一方そんな争いをよそに、GT500のリーダー・高星はなんと塚越の15秒前方です。予選は「なんかセッティング間違えてない!?」と思いましたが、今度は「なんか燃料搭載量間違えてない!?」と言いたくなるぐらいの差になっています。一時20秒差ほどにまで拡大しました。
 ピットサイクルになると中継映像の順位/タイム表示は常時表示されなくなるので、どういうタイミングでこんなに差が開いたのか判別しにくいですが、画面で高星と塚越の差をザックリ測ると、ピットを出た高星がピット出口あたりで約20秒差、S字の入り口で17秒差、タイヤに熱が入ったあたりで14秒差でした。サイクル前の千代と松下の差は5秒ほどでピット内の静止時間はほぼ同じでしたので、千代がまずピットに入るまでの数周でかなり稼ぎ、高星もタイヤに熱が入ってからの数周が異様に速かったと推定されます。

 GT300の方もサイクルが一巡しリーダーはM4の近藤。6秒差で吉田が追いますが、平木も離されず後ろについています。去年はレースの終盤にクールスーツの故障で人間の方がヘロヘロになってデグナーでスピンしたマッハ号、今年は大丈夫でしょうか。4位のリアライズGT-R・ジョアン パオロ デ オリベイラはマッハ号から5秒後方です。

 37周目、GAINER TANAX GT-R(15kg)の左後輪が脱輪してコース外で停止。なんか我々NASCAR勢は今年あまりにも多くの脱輪を見て来たので感覚が麻痺している気がしますが危ないです。しかしFCYも出ないしホイールの行方も全然映らないんですがどこへ行ったんでしょうか・・・
 と思ってたら2周ほど経過した39周目に唐突にFCY発令。さっきの脱輪の件かいな、と思ったら映像に出てきたのはGT300の6位を走っていたHACHI-ICHI GR Supra GT・三宅 淳詞がヘアピン手前で中破して停止している様子でした。画面外にRed Bullの大湯もクラッシュしていたことが後に分かります。
 見るからにFCYではどうにもならならそうな状況でSCへ転換され、CRAFTSPORTSの大量リードは消失、GT300で3位のマッハ号は自分だけ古いタイヤで後ろがみんな来てしまいます。しかも相手は馬力自慢のGT-R、これはありがたくないです^^;

 で、これもまた事後情報で分かることですが、現時点でそもそもなぜ脱輪したのかが分からないんですがFCYそのものはGAINERの車両の処理に伴うものだったと思われます。このFCYの速度制限開始のタイミングで大湯が三宅に追突していました。
 motorsports.comが双方に取材したところ、三宅は立体交差の下のあたりで無線が不安定だったので、車内モニターやポストの動きを信用してFCYの開始時期を判断し減速。一方の大湯は車内モニターが壊れてカウントダウンを視覚的に見れなかったために無線を頼りにしていたら、予想外に早く三宅が減速してしまった、という話でした。
 運悪く大湯はこの直前にタイヤの問題で2回目のタイヤ交換をしたばかりでまだ熱が入り切っておらずよけいに止まらなかったとのこと。大湯には危険行為でドライブスルーのペナルティーが課せられますが、クラッシュしてますので未消化となっています。

 隊列整理を経て残り9周でリスタート、GT500は高星が見事に後続を千切って独走に持ち込みます。ミシュランの起動の速さ健在。一方GT300は2位の吉田がシケインで曲がれないまさかのミス。これで平木が2位に戻りますが、予想通りオリベイラが攻撃を開始しました。近藤は無交換の車が壁になってくれるのですごく楽になりました。とりあえず両クラスとも1位は安泰の様子です。

 平木とオリベイラの争いは、シケインでオリベイラが軽く追突するぐらい激戦になりますが、ペラッペラのウイングで最高速が伸びるマッハ号を抜くのは簡単ではない様子。逆にオリベイラには残り2周で周回遅れのPACIFIC NAC hololive Ferrariのケイ コッツォリーノが「私の方が速いんですけど先行かせてくれませんかねえ」てな感じでちょっかいを出してしまい、これが原因で平木と差が開いてしまいました。

 レースはそのまま最終周へ。残り9周でのリスタート、という段階でそんな気もしましたが、GT500は高星がいよいよチェッカーに向かうあたりでGT300の大集団と遭遇。見てる方は心臓に悪くて仕方ないですが、既に2位に5秒の差を築いていたので超安全運転で帰ってきました。CRAFTSPORTS MOTUL Z、作り直した車で見事な復活の優勝です。


 2位からAstemo、KeePer、DENSO、WedsSportと続き、6位には10位スタートだったリアライズコーポレーション ADVAN Zでした。MOTUL AUTECH ZはFCY解除時の追突が危険なドライビング行為と判断されてレース中にペナルティーを受けた上、FCY中の追い抜きでレース後にさらに40秒加算のペナルティーを受けて12位でした。

 そしてGT300はStudie BMW M4が2位に9秒以上の差を築いて優勝。新車・M4 GT3は3戦目にして初優勝、StudieにとってもGT300初優勝。近藤は2勝目ですが、荒はGT300で初優勝。SUPER GTでの優勝はなんと2009年の開幕戦・HIS ADVAN KONDO GT-Rで優勝して以来でした。この時の相棒はオリベイラでした。


 2位からマッハ号MC86、リアライズGT-R、埼玉トヨペットGBスープラ、Weiboウラカン。2位スタートのK-tunesは給油時間が長かったせいでピット後にごっそり順位を下げて7位でした。ウラカンは1回パンクして大きく時間を失った上にぶつけられたのでなぜ上位にいるのか謎に見えますが、ピット作業の一部がFCYにかかってロスが短くなったことで、パンクで失った時間がかなり相殺されたと思われます。実際ピットを終えたら普通に5位でリアライズGT-Rの2秒後方と、ピット前と同じ位置にいました。
 最後の数周で急にペースが落ちて、最終周に入った段階では4位だったのに最後に抜かれて随分と離されての5位だったので何かあったっぽいですがその理由も今のところ分かっていません。でもあんだけ色々あって5位なら御の字な気がします。


 今回は両クラスとも優勝者は圧倒的に速かったですね。GT500のCRAFTSPORTSは、新品エンジンを載せていて、かつ2基で6戦を運用できるためエンジン面で多少優位性があったとは思います。車体側はテスト車両のモノコックのヘタリ具合が分からないので良いのか悪いのか判断できないです。
 ただそれ以上に、予選での車高セットに見られたようにセッティング面で非常に攻めていて、あんだけ床を擦って神経質であろう車で、特に高星は練習走行がほとんどできなかった中でも予選で3位に入った、というのが大きかったと思います。
 タイヤも高温の条件で抜群に良かったと思います。決勝での最速タイムは1'48.055でしたが、これは2番目に速かったKeePerより0.9秒、それ以外の車に対しては1秒を軽く超える差でした。タイヤの作動が早いのでスタート後に大きな不安が無く、タイムの水準が高い上にペースが落ちないんですからライバルがお手上げです。
 NDDPのメンテナンスは今年からニスモが担当していますので、ニスモの担当車両という見方をすれば鈴鹿では一昨年から3年越しで4連勝。『実質2台体制』とも呼ばれる中で、多少セッティングやタイヤ選択で3号車には実験的役割を与えて、あえて違うことをさせてたりするのかな、とも思いますが、結果的にこちらの車の方が全体的に強さを感じます。
 松田がmotorsports.comに答えた内容によれば、今回はタイヤは同じでセッティングの方向性に違いがあったとのことで「僕たちはGT-Rに乗り慣れているので、クルマの考え方や乗り方……そこをいろんな意味でZに切り替えて行くのもありなのかなと思います」と話しました。ニスモはある段階でベテラン組をバッサリ切って、好調な下の年齢のコンビに切り替えることがあるので、危機感はあるような気がしますね。
 
 それと、地味ですがヨコハマ装着車両が5位、6位というのはなかなか好成績に見えます。どちらかというと縦方向に使うもてぎでは強いけど、横方向に高荷重のかかる鈴鹿はあまり得意ではない印象がある中で、発熱特性にはまだ課題があるものの安定してしまったらその後はそれなりのペースでしっかり走れているように思います。

 GT300もM4が速く、こっちもロングで速そうでした。もし早い段階で藤波がコース上で2位に上がっていたら、もっと追いかけ回してM4のタイヤにも負担をかけることになったのではないかと思いましたが、少なくとも単独で走るぶんには全然ヘタった様子はなく、こちらのミシュランもタイヤがしっかりしていて、鈴鹿でこの条件のロングで速いんだから車の全体的なバランスも良く仕上がってるんだろうなと思います。
 出て来たばかりの車はBoP設定が難しいので今後の成績如何ではズルいのズルくないの論争が起きるかもしれませんが、もうかれこれ2年ぐらいそんな事を言われ続けている車もあるので、起こったとしてお互い様だと思うしかありません、どう考えても不利なBoPの車の人たちには怒る権利がありそうですが^^;

 2位のマッハ号も素晴らしいレースでした。タイヤ無交換作戦にとっては、タイヤ管理のために序盤に失う順位をどのぐらい抑えるか、そしてMC86の特性を考えると、スタート/リスタート後にGT3勢にいかに抜かれずに済むかが重要ですが、今回そのいずれもうまく対処し、1回目のSCで一旦差が無くなった利益を大きく享受できました。
 ひたすら下げる一方だと思っていたので、普通にグリーンブレイブを追走していたのはかなりの驚きでしたし、あのペラッペラウイングで軽やかにS字を駆け抜ける姿は最高でした。私、うっすいウイングで高速コーナーを飛びそうな走りで抜ける車が好きなんですね、なんなら4インチのスポイラーとかが最高ですw

 最後に、今回もFCYに関係した事故が数件起きました。何回も出てきて申し訳ないですが、FCY解除時の接触について松田は

「FCY明けでグリーンになっているのに(小暮が)加速しないばかりかコースの真ん中を走っていたので、避けるのが精一杯だったんです。だから、なのに何でこちらがペナルティなのか謎なんです」と苦笑した。

 とレース後にmotorsports.comに書かれています。実際は前述の通り小暮はタイヤ交換直後で、探りながら動くしかなかったと思われます。取材はレース直後なので、状況を再確認するなり、直接小暮と状況をやり取りして振り返るなりするとまた受ける印象も変わって来るとは思いますが、走っている感覚としたら「向こうが青信号なのに加速しなかった」と見えてしまったと思われます。
 このあたりはチーム側が「前にいる車がタイヤ交換直後ではないか」というのを常に把握して、ドライバーに教えてあげる努力が大事になりそうです。一応FCY時にピットからコースへ合流するウラカンが見えてはいると思いますが、別クラスの車でどこまでドライバーが注意を払えたかは難しいですし、無交換なのか4輪交換なのかはもう一切分からないですしね。

 もう一件のペナルティー対象となったFCY開始時の追い抜きや接触に関しては、レース中に迅速に状況を把握する手段に欠けるため、審議と裁定はレース後となって、チーム国光とすると『本来前にいるべきではない相手に、不正に得た順位で前を抑え込まれた』状態でした。
 また、悪い言い方をすればMaxレーシングは『安全のためのFCYで減速したら追突されて車を壊された』わけで、電波法の問題でテレメトリーが使えず、代替策でFCYを運用する限界も感じられます。
 レース展開をガラッと変えてしまうSCが頻発しては公平性・競技性が損なわれる、でもSC導入を躊躇うと安全性が損なわれる、というところから導入したFCYですが、FCYが競技性や公平性を損ね、事故を誘発しては完全に本末転倒になっているので、もちろん運営側の改善も必要ですが、ドライバー側も『何のためのFCYなのか』をもう少し冷静に捉えてレースに臨まないといけないようには思います。
 鈴鹿での事故を受けて運営が提示した事故の再発防止策の中ではこんな文言がありました。

追越す側の車両
・危険を察知した時には仲間を守る行動をとる。
・危険察知の為のアンテナを常に張っておくこと。

 FCY導入時もこれに該当するのではないでしょうか。「ドライバーはプロとして1秒に命を懸けてお金を貰ってるのにそんな甘いことできるか!」とか言われそうですが、そうやって事故を繰り返していたら、根本的に仕事場所そのものが無くなる、というのもまた事実だと思います。
 FCYに起因した事故が減らない、タイミングがどうやっても合わない、といった課題が解消されないなら、また実験段階に一旦戻してSCのみに戻ることもやむを得ないかな、と思いはじめる今日この頃です。

 で、次戦は第4戦・また富士に戻りますが開催は8月。SUPER GTは一足早く夏休みに入りました(っ ◠‿:;...,

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